JPS5948929B2 - 高強度で耐水素誘起割れ性にすぐれた鋼材の製造法 - Google Patents
高強度で耐水素誘起割れ性にすぐれた鋼材の製造法Info
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- JPS5948929B2 JPS5948929B2 JP52076727A JP7672777A JPS5948929B2 JP S5948929 B2 JPS5948929 B2 JP S5948929B2 JP 52076727 A JP52076727 A JP 52076727A JP 7672777 A JP7672777 A JP 7672777A JP S5948929 B2 JPS5948929 B2 JP S5948929B2
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D8/00—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
- C21D8/005—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment of ferrous alloys
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D6/00—Heat treatment of ferrous alloys
- C21D6/001—Heat treatment of ferrous alloys containing Ni
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- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
本発明は高1/弓1張り強さをもち、かつ水素誘起割
れをおこし難い特性を具備した鋼材を得ることを目白勺
とする。
れをおこし難い特性を具備した鋼材を得ることを目白勺
とする。
一般に鋼を強化すると水素雰囲気下で脆化現象が顕著
にあらわれる。
にあらわれる。
高強度鋼を例えば化学工業、原子力産業あるいは海水の
影響を受ける環境下で用いる場合において、当然のこと
ながら鋼の強度をより向上させたいという要請があるが
、鋼を強化するに伴なって水素に起因すると考えられる
脆化現象がより顕著にあらわれ、この問題の解決が重大
な課題となっている。 本発明は鋼材に熱処理を施すこ
とによってオーステナイト均一組織とした後、該鋼材に
一方向の加工を施してオーステナイトと加工により生成
するマルテンサイトの層状組織とし、更に該鋼材に焼も
どし処理を施すことによりマルテンサイトを強化せしめ
ることを特徴とするもので、本発明により得られる鋼材
は150kg/1n7rL程度ないしそれ以上の高1弓
1張り強さと、極めてすぐれた耐水素誘起割れ性の両特
性を兼備するものである。
影響を受ける環境下で用いる場合において、当然のこと
ながら鋼の強度をより向上させたいという要請があるが
、鋼を強化するに伴なって水素に起因すると考えられる
脆化現象がより顕著にあらわれ、この問題の解決が重大
な課題となっている。 本発明は鋼材に熱処理を施すこ
とによってオーステナイト均一組織とした後、該鋼材に
一方向の加工を施してオーステナイトと加工により生成
するマルテンサイトの層状組織とし、更に該鋼材に焼も
どし処理を施すことによりマルテンサイトを強化せしめ
ることを特徴とするもので、本発明により得られる鋼材
は150kg/1n7rL程度ないしそれ以上の高1弓
1張り強さと、極めてすぐれた耐水素誘起割れ性の両特
性を兼備するものである。
本発明において先ず重要なことは、熱処理により生成
した均一オーステナイト基地から加工によってマルテン
サイトが生成される合金組織の鋼を用い、該鋼に一方向
の加工を施して、オーステナイトと加工により生成した
マルテンサイトとの層状組織を形成せしめたことである
。
した均一オーステナイト基地から加工によってマルテン
サイトが生成される合金組織の鋼を用い、該鋼に一方向
の加工を施して、オーステナイトと加工により生成した
マルテンサイトとの層状組織を形成せしめたことである
。
一般に熱処理により均一なオーステナイ1〜組織とし
た鋼をその鋼のMs点以下で、かつMf点以上の温度に
冷却すると硬いマルテンサイトとオーステナイトの混合
組織となる。
た鋼をその鋼のMs点以下で、かつMf点以上の温度に
冷却すると硬いマルテンサイトとオーステナイトの混合
組織となる。
しかしながらこの鋼は耐水素誘起割れ性が必ずしもすぐ
れているとはいえない。その理由は、マルテンサイトが
方向性なく混在し、水素雰囲気におかれた場合、互に相
接触して混在する各マルテンサイトに発生した割れが連
続して鋼材が破断されるものと認められる。 そこで、
本発明においてはオーステナイトと加工マルテンサイト
を一方向の層状組織とすることにより各マルテンサイト
層間を靭いオーステナイト層で遮断した組織としたこと
が一つの特徴である。
れているとはいえない。その理由は、マルテンサイトが
方向性なく混在し、水素雰囲気におかれた場合、互に相
接触して混在する各マルテンサイトに発生した割れが連
続して鋼材が破断されるものと認められる。 そこで、
本発明においてはオーステナイトと加工マルテンサイト
を一方向の層状組織とすることにより各マルテンサイト
層間を靭いオーステナイト層で遮断した組織としたこと
が一つの特徴である。
しかしながら単にマルテンサイトとオーステナイトの層
状組織としたのみでは耐水素誘起割れ性が必ずしも充分
に発揮されない。
状組織としたのみでは耐水素誘起割れ性が必ずしも充分
に発揮されない。
これはマルテンサイト層に水素誘起による割れが発生し
た場合にそれが伝播してオーステナイト層に当ると、そ
のオーステナイト層に上記割れの延長方向即ち応力方向
に垂直に応力誘起マルテンサイトが生成され、そのマル
テンサイトに沿ってクラツクが進行することによるもの
と認められた。そこで本発明において重要なことは、加
工により生成されたままのマルテンサイトは靭く、焼も
どしすることにより強化される合金組成を選んだことで
ある。
た場合にそれが伝播してオーステナイト層に当ると、そ
のオーステナイト層に上記割れの延長方向即ち応力方向
に垂直に応力誘起マルテンサイトが生成され、そのマル
テンサイトに沿ってクラツクが進行することによるもの
と認められた。そこで本発明において重要なことは、加
工により生成されたままのマルテンサイトは靭く、焼も
どしすることにより強化される合金組成を選んだことで
ある。
このため本発明によって得られる鋼材は焼もどしされて
高い強度を発揮し、またマルテンサイト層に水素誘起に
よる割れが発生したときにそれに起因して生成されたオ
ーステナイト層中のマルテンサイトは靭いために上記の
割れの伝播はそこで阻止されるのである。更に本発明に
おいて重要なことは、上記の如く本発明の処理を施すべ
き合金は加工により生成されたままのマルテンサイトは
靭く、焼もどしすることにより強化される組成のものを
用いるのであるが、発明者らはその組成、特にチタン、
アルミニウム、ベリリウムについて検討し、本発明の目
的を達成するための最も有効な組成を選んだことである
。
高い強度を発揮し、またマルテンサイト層に水素誘起に
よる割れが発生したときにそれに起因して生成されたオ
ーステナイト層中のマルテンサイトは靭いために上記の
割れの伝播はそこで阻止されるのである。更に本発明に
おいて重要なことは、上記の如く本発明の処理を施すべ
き合金は加工により生成されたままのマルテンサイトは
靭く、焼もどしすることにより強化される組成のものを
用いるのであるが、発明者らはその組成、特にチタン、
アルミニウム、ベリリウムについて検討し、本発明の目
的を達成するための最も有効な組成を選んだことである
。
このようにして本発明は極めて高強度であり、しかも耐
水素誘起割れ性のすぐれた鋼材を得ることに成功したの
である。
水素誘起割れ性のすぐれた鋼材を得ることに成功したの
である。
次に本発明の詳細につき説明する。
本発明では熱処理および加工を施すべき合金素材として
ニッケル15wt%〜27wt%、コバルト5wt%〜
10wt%、モリブデン1wt%〜7wt%、チタン0
.2wt%〜2,0wt%、アルミニウム0.2wt%
〜2,5wt%、ベリリウム0.05wt%〜0,80
Wt%で残部実質的に鉄より成る合金を用いる。しかし
て、上記合金素材を850℃以上、該合金の融点以下の
温度に加熱後、その合金のMs点以上で該Ms点より1
50℃高い温度範囲に冷却してオーステナイト均一組織
とした後、該温度にて合金素材に一方向の加工を与えて
組織中に10%ないしそれ以上の量の加工マルテンサイ
トを生成せしめてオーステナイトと加工マルテンサイト
との層状組織とし、然る後焼もどじを行なうことにより
極めて高し弓1張り強さと耐水素誘起割れ性のすぐれた
鋼材を得るのである。本発明の合金素材としては加工に
よって生成されたままのマルテンサイトは靭く、焼もど
しを行なうことにより強化される合金組成のものである
ことが必要である。マルエージング鋼の合金組成ノはこ
の条件を満足するものであって、本発明の素材の合金組
成はマルエージング鋼のそれに属するものである。ただ
し本発明においては高強度が比較的容易に得られる15
wt%〜27wt%ニッケル、5wt%〜10wt%コ
バルト、1wt%〜7wt%モリブデンに少量のチタン
、アルミニウムおよびベリリウムを含む組成とし、かつ
チタン、アルミニウムおよびベリリウムをそれぞれ上記
の割合とした組成のものを選ぶ。ニッケルはマルテンサ
イトを生成するために必要である。添加量は15wt%
より少ないと強度と靭件の向上度合が少なく、27wt
%を越えるとオーステナイトが不安定となり、また加工
マルテンサイトの生成が困難となる。コバルトおよびモ
リブデンは共存して加工後の焼もどし処理によりチタン
、アルミニウムおよびベリリウムとニッケルとの化合物
の析出を侃進し、マルテンサイトを強化する効果を発揮
する。コバルトおよびモリブデンの添加量がそれぞれ5
wt%および1wt%に満たないとマルテンサイトの強
化程度が低く、それぞれ10wt%および7wt%を越
えても添加量に見合う効果が得られない。チタンはNi
とNi3Tiの金属間化合物となり、焼もどし処理によ
って加工マルテンサイト中に析出しマルテンサイトを強
化する。
ニッケル15wt%〜27wt%、コバルト5wt%〜
10wt%、モリブデン1wt%〜7wt%、チタン0
.2wt%〜2,0wt%、アルミニウム0.2wt%
〜2,5wt%、ベリリウム0.05wt%〜0,80
Wt%で残部実質的に鉄より成る合金を用いる。しかし
て、上記合金素材を850℃以上、該合金の融点以下の
温度に加熱後、その合金のMs点以上で該Ms点より1
50℃高い温度範囲に冷却してオーステナイト均一組織
とした後、該温度にて合金素材に一方向の加工を与えて
組織中に10%ないしそれ以上の量の加工マルテンサイ
トを生成せしめてオーステナイトと加工マルテンサイト
との層状組織とし、然る後焼もどじを行なうことにより
極めて高し弓1張り強さと耐水素誘起割れ性のすぐれた
鋼材を得るのである。本発明の合金素材としては加工に
よって生成されたままのマルテンサイトは靭く、焼もど
しを行なうことにより強化される合金組成のものである
ことが必要である。マルエージング鋼の合金組成ノはこ
の条件を満足するものであって、本発明の素材の合金組
成はマルエージング鋼のそれに属するものである。ただ
し本発明においては高強度が比較的容易に得られる15
wt%〜27wt%ニッケル、5wt%〜10wt%コ
バルト、1wt%〜7wt%モリブデンに少量のチタン
、アルミニウムおよびベリリウムを含む組成とし、かつ
チタン、アルミニウムおよびベリリウムをそれぞれ上記
の割合とした組成のものを選ぶ。ニッケルはマルテンサ
イトを生成するために必要である。添加量は15wt%
より少ないと強度と靭件の向上度合が少なく、27wt
%を越えるとオーステナイトが不安定となり、また加工
マルテンサイトの生成が困難となる。コバルトおよびモ
リブデンは共存して加工後の焼もどし処理によりチタン
、アルミニウムおよびベリリウムとニッケルとの化合物
の析出を侃進し、マルテンサイトを強化する効果を発揮
する。コバルトおよびモリブデンの添加量がそれぞれ5
wt%および1wt%に満たないとマルテンサイトの強
化程度が低く、それぞれ10wt%および7wt%を越
えても添加量に見合う効果が得られない。チタンはNi
とNi3Tiの金属間化合物となり、焼もどし処理によ
って加工マルテンサイト中に析出しマルテンサイトを強
化する。
またチタンは合金のMs点を低下させる作用があり、ニ
ッケルと共存することにより一方向加工を施した場合に
層状の加工マルテンサイトの生成を容易にする。チタン
の添加量は0.2wt%に満たないとマルテンサイトの
強化が不充分であり、2.0wt%を越えるとMs点が
低下しすぎて加工マルテンサイトは生成されにくくなり
、かつ焼もどし後のオーステナイトが脆くなり、耐水素
誘起割れ性が乏しくなる。アルミニウムもNiとNi2
Alの金属間化合物となってマルテンサイトを強化する
のに役立つ。その添加量は0.2wt%未満ではマルテ
ンサイトの強化が困難であり、2.5wt%を越えると
一方向マルテンサイト生成のための加工が困難となる。
ベリリウムはNiとNiBeの金属間化合物をつくり、
マルテンサイトを強化する効果を有する。
ッケルと共存することにより一方向加工を施した場合に
層状の加工マルテンサイトの生成を容易にする。チタン
の添加量は0.2wt%に満たないとマルテンサイトの
強化が不充分であり、2.0wt%を越えるとMs点が
低下しすぎて加工マルテンサイトは生成されにくくなり
、かつ焼もどし後のオーステナイトが脆くなり、耐水素
誘起割れ性が乏しくなる。アルミニウムもNiとNi2
Alの金属間化合物となってマルテンサイトを強化する
のに役立つ。その添加量は0.2wt%未満ではマルテ
ンサイトの強化が困難であり、2.5wt%を越えると
一方向マルテンサイト生成のための加工が困難となる。
ベリリウムはNiとNiBeの金属間化合物をつくり、
マルテンサイトを強化する効果を有する。
また上記したように、チタンはマルテンサイトを強化す
る効果と、Ms点を低下させる効果を有するが、チタン
量を増加させてゆくと加工マルテンサイトは強化される
。しかしMs点が低下しすぎる問題がある。そこでベリ
リウムはMs点を低下させずに加工マルテンサイトを強
化する効果を発揮する。添加量は0.05Wt%未満で
は加工マルテンサイトを強化する程度が低く、0.8w
t%を越えるとNiBeの析出が多くなり、一方向マル
テンサイトを生成させるための加工が困難となる。また
鋼材の分塊圧延時にもNiBeの晶出物が残留しやすく
なり、加工性上好ましくない。更にチタン、アルミニウ
ム、ベリリウムは合金の強化と加工性の低下に相互に影
響を及ぼし、発明者らの行なった実験結果を綜合すると
、本発明を適用する合金中におけるチタン、アルミニウ
ム、ベリリウム量としては原子%で合金全体を100%
としたとき、これ等金属の合計が1.5%〜6.0%で
同時二Ti≦172(AI+Be) (7)範囲にある
場合に最も安定的にすぐれた耐水素誘起割れ性が得られ
る。
る効果と、Ms点を低下させる効果を有するが、チタン
量を増加させてゆくと加工マルテンサイトは強化される
。しかしMs点が低下しすぎる問題がある。そこでベリ
リウムはMs点を低下させずに加工マルテンサイトを強
化する効果を発揮する。添加量は0.05Wt%未満で
は加工マルテンサイトを強化する程度が低く、0.8w
t%を越えるとNiBeの析出が多くなり、一方向マル
テンサイトを生成させるための加工が困難となる。また
鋼材の分塊圧延時にもNiBeの晶出物が残留しやすく
なり、加工性上好ましくない。更にチタン、アルミニウ
ム、ベリリウムは合金の強化と加工性の低下に相互に影
響を及ぼし、発明者らの行なった実験結果を綜合すると
、本発明を適用する合金中におけるチタン、アルミニウ
ム、ベリリウム量としては原子%で合金全体を100%
としたとき、これ等金属の合計が1.5%〜6.0%で
同時二Ti≦172(AI+Be) (7)範囲にある
場合に最も安定的にすぐれた耐水素誘起割れ性が得られ
る。
本発明においては、先ず上記合金を850℃以上、融点
以下の温度に加熱し溶体化処理を施し、オーステナイト
の均一組織とする。
以下の温度に加熱し溶体化処理を施し、オーステナイト
の均一組織とする。
加熱温度が850℃未満ではオーステナイト均一組織と
ならず、融点を越えると合金は所定の形状に保持でき,
なくなる。次に冷却過程において組織中に加工マルテン
サイトを生成せしめるための加工を行なう。該加工は加
熱後合金素材を冷却せしめてMs点より150℃高い温
度からMs点に至る間に行なう。Ms点よリ150℃高
い温度より更に高温で加工こを行なっても加工マルテン
サイトは生成されにくい。一方、Ms点よりも低くなる
と加工によらないマルテンサイト変態が始まり、これに
より生成するマルテンサイト組織は方向性がなく、マル
エージング鋼と同様の組織となり本発明の目的が達q成
されない。本発明の加工は一方向の加工であリ、かつこ
の加工により組織中に少くとも10%の加工マルテンサ
イトを生成せしめることが必要である。一方向の加工は
オーステナイト基地中(二一方向に層状の加工マルテン
サイ1−を生成せしめるためであり、この加工により層
状のマルテンサイト間に靭いオーステナイトが介在する
組織となる。加工により組織中に少くとも10%のマル
テンサイトを生成せしめるのは、後記実験例に示す如く
、マルテンサイト量がそれ以下では充分な引張り強さが
得られないからである。組織中に少くとも10%の加工
マルテンサイトを生成せしめるための加工率は合金組成
または温度条件等により異るため一律に規定できない。
例えばMs点以上の温度において比較的低い温度で加工
すれば加工マルテンサイトは生成されやすく、温度が高
くなるにつれて生成されにくくなる。本発明においては
更に上記により得られた層状組織をもつ合金素材に焼も
どし処理を行なう。
ならず、融点を越えると合金は所定の形状に保持でき,
なくなる。次に冷却過程において組織中に加工マルテン
サイトを生成せしめるための加工を行なう。該加工は加
熱後合金素材を冷却せしめてMs点より150℃高い温
度からMs点に至る間に行なう。Ms点よリ150℃高
い温度より更に高温で加工こを行なっても加工マルテン
サイトは生成されにくい。一方、Ms点よりも低くなる
と加工によらないマルテンサイト変態が始まり、これに
より生成するマルテンサイト組織は方向性がなく、マル
エージング鋼と同様の組織となり本発明の目的が達q成
されない。本発明の加工は一方向の加工であリ、かつこ
の加工により組織中に少くとも10%の加工マルテンサ
イトを生成せしめることが必要である。一方向の加工は
オーステナイト基地中(二一方向に層状の加工マルテン
サイ1−を生成せしめるためであり、この加工により層
状のマルテンサイト間に靭いオーステナイトが介在する
組織となる。加工により組織中に少くとも10%のマル
テンサイトを生成せしめるのは、後記実験例に示す如く
、マルテンサイト量がそれ以下では充分な引張り強さが
得られないからである。組織中に少くとも10%の加工
マルテンサイトを生成せしめるための加工率は合金組成
または温度条件等により異るため一律に規定できない。
例えばMs点以上の温度において比較的低い温度で加工
すれば加工マルテンサイトは生成されやすく、温度が高
くなるにつれて生成されにくくなる。本発明においては
更に上記により得られた層状組織をもつ合金素材に焼も
どし処理を行なう。
焼もどし温度は300℃〜600℃程度が適当である。
本発明の合金素材はこの焼もどし処理によって強化され
る。このようにして本発明により得られる鋼材は150
kg/m/L程度ないしそれ以上という高い引張り強さ
をもつ。
本発明の合金素材はこの焼もどし処理によって強化され
る。このようにして本発明により得られる鋼材は150
kg/m/L程度ないしそれ以上という高い引張り強さ
をもつ。
しかして、かかる高強度の鋼は通常水素誘起割れ性が大
きいのであるが、本発明による鋼材は、極めてすぐれた
耐水素誘起割れ性を発揮する。これは上記の如く、硬い
層状のマルテンサイト間に靭いオーステナイトが介在し
た組織をもち、しかも上記マルテンサイト層に割れが発
生して、これを相接するオーステナイト中にそれぞれ応
力誘起マルテンサイトが生成されても、該マルテンサイ
トは靭いために割れの進行がそこで阻止されるためであ
る。かくして本発明は鋼の強度の向上と耐水素誘起割れ
性の向上という現在において相を反する課題に解決を与
え、上記両特性を兼備する鋼材を提供するものである。
実験例 (1)真空溶解、真空鋳造にて各種組成の鋼塊を得た後
、1100℃で16時間均一焼鈍し、その後1000℃
〜1100℃で鍛伸して直径20mmの九棒を得た。
きいのであるが、本発明による鋼材は、極めてすぐれた
耐水素誘起割れ性を発揮する。これは上記の如く、硬い
層状のマルテンサイト間に靭いオーステナイトが介在し
た組織をもち、しかも上記マルテンサイト層に割れが発
生して、これを相接するオーステナイト中にそれぞれ応
力誘起マルテンサイトが生成されても、該マルテンサイ
トは靭いために割れの進行がそこで阻止されるためであ
る。かくして本発明は鋼の強度の向上と耐水素誘起割れ
性の向上という現在において相を反する課題に解決を与
え、上記両特性を兼備する鋼材を提供するものである。
実験例 (1)真空溶解、真空鋳造にて各種組成の鋼塊を得た後
、1100℃で16時間均一焼鈍し、その後1000℃
〜1100℃で鍛伸して直径20mmの九棒を得た。
組成の代表例を下記の表に示す。これ等の九棒の表面を
切削加工にて表面の酸化物を除去して直径18mmの九
棒とした後、1180℃の塩浴中で加熱し、各々のMs
点直上の温度に保持した液体中で冷却した。
切削加工にて表面の酸化物を除去して直径18mmの九
棒とした後、1180℃の塩浴中で加熱し、各々のMs
点直上の温度に保持した液体中で冷却した。
即ち鋼種Aは50℃の温水中で、鋼種Bは20℃の水中
で、鋼種Cは0℃の氷水中で、鋼種Dは200℃の、鋼
種Eは240℃の油中で冷却した。また鋼種Fは−70
℃のドライアイス−エチルアルコールで冷却した。この
ように冷却して溶体化処理とし、それぞれオーステナイ
ト一相の組織を得た。以上の熱処理を施した試料をそれ
ぞれの冷却媒体の温度に保持しロータリースエージによ
り鍛伸した。
で、鋼種Cは0℃の氷水中で、鋼種Dは200℃の、鋼
種Eは240℃の油中で冷却した。また鋼種Fは−70
℃のドライアイス−エチルアルコールで冷却した。この
ように冷却して溶体化処理とし、それぞれオーステナイ
ト一相の組織を得た。以上の熱処理を施した試料をそれ
ぞれの冷却媒体の温度に保持しロータリースエージによ
り鍛伸した。
この加工によって鋼種A−Fの組成のものはいずれもオ
ーステナイト基地中に加工マルテンサイトが一方向に生
成された。代表例として鋼種Aの組織の顕微鏡写真を第
1図に示す。なお、この写真の組織は加工率(断面減少
率)95%で加工マルテンサイト量78%の場合のもの
である。更に上記の処理を行なった各試片に適当な温度
で焼もどし処理を施すことにより極めて高い強度を与え
ることができた。
ーステナイト基地中に加工マルテンサイトが一方向に生
成された。代表例として鋼種Aの組織の顕微鏡写真を第
1図に示す。なお、この写真の組織は加工率(断面減少
率)95%で加工マルテンサイト量78%の場合のもの
である。更に上記の処理を行なった各試片に適当な温度
で焼もどし処理を施すことにより極めて高い強度を与え
ることができた。
一例として鋼種Aについての強度を第3図に示す。図中
●印は上記本発明の処理を施した鋼種Aについて、加工
により組織中に生成した加工マルテンサイト量と450
℃で1時間焼もどした時の引張り強さの関係を示すもの
である。加工マルテンサイト量は主として加工率および
加工温度に依存し、同一鋼種について加工率が高いほど
、また加工時の温度が低いほど生成される加工マルテン
サイト量は多くなる。第3図に示されるものは、前記の
処理条件即ち加工時の温度を約50℃一定とした場合の
ものであって、加工マルテンサイト量はもっぱら加工率
に依存しており、例えば加工マルテンサイト量10%。
20%、40%、60%、80%、95%は、それぞれ
加工率を約45%、65%、80%、90%、95%、
99%とした場合に得られる。
●印は上記本発明の処理を施した鋼種Aについて、加工
により組織中に生成した加工マルテンサイト量と450
℃で1時間焼もどした時の引張り強さの関係を示すもの
である。加工マルテンサイト量は主として加工率および
加工温度に依存し、同一鋼種について加工率が高いほど
、また加工時の温度が低いほど生成される加工マルテン
サイト量は多くなる。第3図に示されるものは、前記の
処理条件即ち加工時の温度を約50℃一定とした場合の
ものであって、加工マルテンサイト量はもっぱら加工率
に依存しており、例えば加工マルテンサイト量10%。
20%、40%、60%、80%、95%は、それぞれ
加工率を約45%、65%、80%、90%、95%、
99%とした場合に得られる。
図より知られる如く、本発明により得られる鋼材の引張
り強さは組織中の加工マルテンサイl・量が10%で既
に140kg/M4に達し、加工マルテンサイト量の増
加とともにその値が上昇し、350kg/一をこえる高
い引張り強さを発揮するに至る。
り強さは組織中の加工マルテンサイl・量が10%で既
に140kg/M4に達し、加工マルテンサイト量の増
加とともにその値が上昇し、350kg/一をこえる高
い引張り強さを発揮するに至る。
第3図において○印で示すものは鋼種Aを1180℃に
加熱後、50℃〜−196℃の範囲の種々の温度に保持
した冷却媒体中に焼入れで、焼入れマルテンサイト量を
0%から100%まで変化させたものを450℃で焼き
もどすことにより得られた鋼材の引張り強度である。
加熱後、50℃〜−196℃の範囲の種々の温度に保持
した冷却媒体中に焼入れで、焼入れマルテンサイト量を
0%から100%まで変化させたものを450℃で焼き
もどすことにより得られた鋼材の引張り強度である。
焼入れマルテンサイト量と引張り強さはほぼ直線関係と
なり、最高強度は100%マルテンサイトの場合で約1
80kg/M4を示した。なお、この100%マルテン
サイトの場合がマルエージング鋼と称される鋼種の通常
の熱処理方法である。第3図から知られるように、焼入
れ焼もどしにより得られた鋼材に比べて、加工により生
成されたマルテンサイトを焼もどしして得られた鋼材の
方がはるかにすぐれた引張り強さを示す。
なり、最高強度は100%マルテンサイトの場合で約1
80kg/M4を示した。なお、この100%マルテン
サイトの場合がマルエージング鋼と称される鋼種の通常
の熱処理方法である。第3図から知られるように、焼入
れ焼もどしにより得られた鋼材に比べて、加工により生
成されたマルテンサイトを焼もどしして得られた鋼材の
方がはるかにすぐれた引張り強さを示す。
゛)本発明により得られた鋼材および種々の比較材につ
いて水素誘起割れ試験を行なった。
いて水素誘起割れ試験を行なった。
試験方法としては、レバー方式で試験片に荷重をかけ得
る状態とし、三酸二ヒ素(AS2O3)100mgハを
含む2.5%硫酸(H2SO4)液中で試験片を陰極、
鉛板を陽極、電流密度0.IA/Cm?として発生期の
水素雰囲気下であらかじめ無負荷状態で2時間水素チャ
ージをした後所定の応力を負荷し、その状態で破断に至
るまでの時間で水素誘起割れ性を評価する方法をとった
。
る状態とし、三酸二ヒ素(AS2O3)100mgハを
含む2.5%硫酸(H2SO4)液中で試験片を陰極、
鉛板を陽極、電流密度0.IA/Cm?として発生期の
水素雰囲気下であらかじめ無負荷状態で2時間水素チャ
ージをした後所定の応力を負荷し、その状態で破断に至
るまでの時間で水素誘起割れ性を評価する方法をとった
。
この陰極電解下での試験方法は、高湿度の大気中や海水
等の環境に比べて著しくきびしい条件とされている。第
4図は、上記のような負荷応力と破断時間との関係から
陰極電解下で10時間耐え得る強度を下限界応力とし、
各試料についてその引張り強さと上記下限界応力との関
係の実験結果を示すものである。
等の環境に比べて著しくきびしい条件とされている。第
4図は、上記のような負荷応力と破断時間との関係から
陰極電解下で10時間耐え得る強度を下限界応力とし、
各試料についてその引張り強さと上記下限界応力との関
係の実験結果を示すものである。
図中、Al,A2,B,C,D,Eで示されるものは本
発明により得られた鋼材試料の結果である。
発明により得られた鋼材試料の結果である。
以下、A1〜Eの処理条件を示す。なおりツコ内に先記
したものは引張り強さの値、後記したものは下限界応力
値である。A1(213、146) :鋼種AOll8
O℃から50℃に保持した温水中に急冷して均一オース
テナイト組織としたものを該温度でロータリースエージ
加工。
したものは引張り強さの値、後記したものは下限界応力
値である。A1(213、146) :鋼種AOll8
O℃から50℃に保持した温水中に急冷して均一オース
テナイト組織としたものを該温度でロータリースエージ
加工。
加工率(断面減少率)89%で加工マルテンサイト量5
0%。450℃で焼もどし処理。
0%。450℃で焼もどし処理。
A2(280、119) :加工率95%で加工マルテ
ンサイト量78%。その他はA1と同じ。B (225
、135) :鋼種BO2O℃に保持した水中に急冷。
ンサイト量78%。その他はA1と同じ。B (225
、135) :鋼種BO2O℃に保持した水中に急冷。
加工率92%で加工マルテンサイト量70%。その他は
A1と同じ。C (260、130) :鋼種CO氷水
中に急冷。
A1と同じ。C (260、130) :鋼種CO氷水
中に急冷。
加工率95%で加工マルテンサイト量80%。その他は
A1と同じ。D (206、146) :鋼種D。
A1と同じ。D (206、146) :鋼種D。
2OO℃の油中に急冷、加工率65%で加工マルテンサ
イト量55%。
イト量55%。
その他はA1と同じ。E (180、145) :鋼種
EO24O℃の油中に急冷。
EO24O℃の油中に急冷。
加工率64%で加工マルテンサイト量50%。その他は
A1と同じ。第4図により知られる如く、本発明により
得られる鋼材の下限界応力値はA1−A2線上付近にあ
り、引張り強さを増しても下限界応力の低下は少なく、
極めて耐水素誘起割れ性がすぐれている。
A1と同じ。第4図により知られる如く、本発明により
得られる鋼材の下限界応力値はA1−A2線上付近にあ
り、引張り強さを増しても下限界応力の低下は少なく、
極めて耐水素誘起割れ性がすぐれている。
第2図は上記A1の組織に発生した割れを示す写真であ
る。
る。
荷重は上下にかかつており、荷重方向にみられる層状の
マルテンサイトと垂直に割れが発生しているがその割れ
はオーステナイト層で停止している状態が観察される。
また、この割れがオーステナイト層に当った部分で、割
れのほぼ延長方向にオーステナイト層中に応力誘起と認
められるマルテンサイトが生成されているのがみられる
。しかし、本発明に用いる組成合金は焼もどすことによ
りはじめて強化されるものであり、生成されたままの加
工マルテンサイトは靭い状態にある。従って割れの延長
方向にオーステナイト層中に応力誘起マルテンサイトが
生成されても、それ以上割れは伝播しない。本発明によ
り得られる鋼材が耐水素誘起割れ性にすぐれている事実
は、以下に示す比較材との対比により、更に明瞭に知ら
れる。
マルテンサイトと垂直に割れが発生しているがその割れ
はオーステナイト層で停止している状態が観察される。
また、この割れがオーステナイト層に当った部分で、割
れのほぼ延長方向にオーステナイト層中に応力誘起と認
められるマルテンサイトが生成されているのがみられる
。しかし、本発明に用いる組成合金は焼もどすことによ
りはじめて強化されるものであり、生成されたままの加
工マルテンサイトは靭い状態にある。従って割れの延長
方向にオーステナイト層中に応力誘起マルテンサイトが
生成されても、それ以上割れは伝播しない。本発明によ
り得られる鋼材が耐水素誘起割れ性にすぐれている事実
は、以下に示す比較材との対比により、更に明瞭に知ら
れる。
第4図においてG1〜G4,Hl〜H4,AlO−A1
?,F1〜F2,J,K、は比較材についての試験結果
である。
?,F1〜F2,J,K、は比較材についての試験結果
である。
以下、各比較材について説明する。61〜G4:強靭性
にすぐれ強力ボルト、ナットとして用いられているJI
SSCM3を焼入れ、焼もどししたもの。
にすぐれ強力ボルト、ナットとして用いられているJI
SSCM3を焼入れ、焼もどししたもの。
引張り強さが100kg/7rLILをこえるような熱
処理をした場合には下限界応力の急激な低下がみられる
。H1〜H4:JISSNCM8(SCM3と似た特性
をもつ)を焼入れ、焼もどししたもの。
処理をした場合には下限界応力の急激な低下がみられる
。H1〜H4:JISSNCM8(SCM3と似た特性
をもつ)を焼入れ、焼もどししたもの。
下限界応力の変化はSCM3とほぼ同一の傾向を示す。
AlO−A1?:前記した表の鋼種Aを1180℃で溶
体化処理後、液体窒素中にサブゼロ処理をし、500℃
〜650℃で焼もどしをして引張り強さを155kg/
MILl94kg/M4&したもの。
AlO−A1?:前記した表の鋼種Aを1180℃で溶
体化処理後、液体窒素中にサブゼロ処理をし、500℃
〜650℃で焼もどしをして引張り強さを155kg/
MILl94kg/M4&したもの。
引張り強さが170kg/MAをこえると下限界応力は
急激に低下する。図のAl,A2と比べると本発明の処
理がいかに耐水素誘起割れ性に有効であるかがわかる。
: Fe−Q.3wt%C −2wt%Si− 2wt
%Mn−8Wt%Ni−9wt%Cr− 4wt%MO
合金鋼を本発明と同様にMs点直上で加工して一方向の
加工マルテンサイI・を生成させ、焼もどし処理したも
の。
急激に低下する。図のAl,A2と比べると本発明の処
理がいかに耐水素誘起割れ性に有効であるかがわかる。
: Fe−Q.3wt%C −2wt%Si− 2wt
%Mn−8Wt%Ni−9wt%Cr− 4wt%MO
合金鋼を本発明と同様にMs点直上で加工して一方向の
加工マルテンサイI・を生成させ、焼もどし処理したも
の。
この鋼は生成されたマルテンサイトがそのままの状態で
脆いために、加工マルテンサイトの割れに起因して発生
したオーステナイト層中の応力誘起マルテンサイトは脆
く、その部分に沿って割れが伝播し、耐水素誘起割れ性
の改善度は小さい。F1〜F2:前記表の鋼種Fを11
80℃から氷水中に冷却後ただちに−70℃のドライア
イス−エチルアルコール中に冷却し、その温度付近でロ
ータリースエジ加工によりオーステナイト基地中に一方
向の加工マルテンサイトを生成させ、その後450℃で
焼もどしをしたもの。F1はマルテンサイト20%(加
工率64%)、F2はマルテンサイト90%(加工率9
5%)。
脆いために、加工マルテンサイトの割れに起因して発生
したオーステナイト層中の応力誘起マルテンサイトは脆
く、その部分に沿って割れが伝播し、耐水素誘起割れ性
の改善度は小さい。F1〜F2:前記表の鋼種Fを11
80℃から氷水中に冷却後ただちに−70℃のドライア
イス−エチルアルコール中に冷却し、その温度付近でロ
ータリースエジ加工によりオーステナイト基地中に一方
向の加工マルテンサイトを生成させ、その後450℃で
焼もどしをしたもの。F1はマルテンサイト20%(加
工率64%)、F2はマルテンサイト90%(加工率9
5%)。
それぞれ171kg/一および262kg/m!Lの引
張り強さが得られた”が、下限界応力はそれぞれ77K
g/一および29kg/MAですぐれた耐水素誘起割れ
性は期待できない。これは、チタン量が4%と高いこと
によるものと認められる。K:市販の17− 7PH鋼
(Fe−17.26wt%Cr一7.07wt%Ni−
1.1Qwt%At)を1050℃で溶体化処理後水冷
して室温で加工率51%のロータリースエージング加工
を行ない、オーステナイl・中に−方向の加工マルテン
サイ1・を生成させ(マルテンサイト量65%)、48
0℃で焼もどししたもの。
張り強さが得られた”が、下限界応力はそれぞれ77K
g/一および29kg/MAですぐれた耐水素誘起割れ
性は期待できない。これは、チタン量が4%と高いこと
によるものと認められる。K:市販の17− 7PH鋼
(Fe−17.26wt%Cr一7.07wt%Ni−
1.1Qwt%At)を1050℃で溶体化処理後水冷
して室温で加工率51%のロータリースエージング加工
を行ない、オーステナイl・中に−方向の加工マルテン
サイ1・を生成させ(マルテンサイト量65%)、48
0℃で焼もどししたもの。
引張り強さ186kg/一の値が得ろメ上だが、下限界
),シ力は651クg/一の値にとどまった。上記の如
く本発明は加1−により生成されたままのマルテンサイ
1〜は靭く焼もどしすることにより強化される性質をも
つ組成合金に一方向の加工を.施すことによりマルテン
サイ}一とオーステナイ}・の層状組織とし、しかる後
に焼もどしをすることにより高強度とすぐれた耐水素誘
起割れ性を兼備した鋼材を提供するものである。
),シ力は651クg/一の値にとどまった。上記の如
く本発明は加1−により生成されたままのマルテンサイ
1〜は靭く焼もどしすることにより強化される性質をも
つ組成合金に一方向の加工を.施すことによりマルテン
サイ}一とオーステナイ}・の層状組織とし、しかる後
に焼もどしをすることにより高強度とすぐれた耐水素誘
起割れ性を兼備した鋼材を提供するものである。
従来一般の鋼材は強度を上げるに伴なって水素,誘起割
れは顕著に現れるのであるが、本発明により得られる合
金は高強度としてもなおすぐj′シた耐水素誘起割れ性
を維持するものであり、また冷間加工、切削加工も可能
であって、各種の部品を製作したあと焼もどしすること
により強化せしめるものであるため、広い用途に用いら
れ得る。
れは顕著に現れるのであるが、本発明により得られる合
金は高強度としてもなおすぐj′シた耐水素誘起割れ性
を維持するものであり、また冷間加工、切削加工も可能
であって、各種の部品を製作したあと焼もどしすること
により強化せしめるものであるため、広い用途に用いら
れ得る。
第1図は本発明により得られる鋼材の組織を示す写真、
第2図は本発明により得られる鋼材の組織とその中に発
生する割れの状態を示す写真、第3図は本発明により得
られる鋼材および比較材について組織中のマルテンサー
イ1〜量と引張り強さの関係を示す図、第4図は本発明
により得られる鋼材および比較材について引張り強さと
耐水素誘起割れ性の関係を示す図である。
第2図は本発明により得られる鋼材の組織とその中に発
生する割れの状態を示す写真、第3図は本発明により得
られる鋼材および比較材について組織中のマルテンサー
イ1〜量と引張り強さの関係を示す図、第4図は本発明
により得られる鋼材および比較材について引張り強さと
耐水素誘起割れ性の関係を示す図である。
Claims (1)
- 1 ニッケル15重量%(以下wt%という)〜27w
t%、コバルト5wt%〜10wt%、モリブデン1w
t%〜7wt%、チタン0.2wt%〜2.0wt%、
アルミニウム0.2wt%〜2.5wt%、ベリリウム
0.05wt%〜0.80wt%で残部実質的に鉄より
成る合金を、850℃ないし該合金の融点以下の温度に
加熱し、溶体化した後冷却し、該合金のMs点ないしM
s点より150℃高い温度範囲において該合金に一方向
の加工を与えて組織中に少くとも10%の加工マルテン
サイトの層状組織を生成せしめ、しかる後に該合金に焼
もどし処理を施すことを特徴とする高強度で耐水素誘起
割れ性にすぐれた鋼材の製造法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP52076727A JPS5948929B2 (ja) | 1977-06-28 | 1977-06-28 | 高強度で耐水素誘起割れ性にすぐれた鋼材の製造法 |
GB787827711A GB2001342B (en) | 1977-06-28 | 1978-06-23 | Steel production |
CA000306315A CA1116499A (en) | 1977-06-28 | 1978-06-27 | Steel having high tensile strength and excellent hydrogen-brittleness-cracking-resistance and process for producing same |
DE19782828196 DE2828196A1 (de) | 1977-06-28 | 1978-06-27 | Stahl mit hoher zugfestigkeit und geringer rissbildung sowie verfahren zu dessen herstellung |
US05/920,065 US4203782A (en) | 1977-06-28 | 1978-06-28 | Steel having a uni-directional lamellar martensite structure in an austenite matrix |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP52076727A JPS5948929B2 (ja) | 1977-06-28 | 1977-06-28 | 高強度で耐水素誘起割れ性にすぐれた鋼材の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5411018A JPS5411018A (en) | 1979-01-26 |
JPS5948929B2 true JPS5948929B2 (ja) | 1984-11-29 |
Family
ID=13613592
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP52076727A Expired JPS5948929B2 (ja) | 1977-06-28 | 1977-06-28 | 高強度で耐水素誘起割れ性にすぐれた鋼材の製造法 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US4203782A (ja) |
JP (1) | JPS5948929B2 (ja) |
CA (1) | CA1116499A (ja) |
DE (1) | DE2828196A1 (ja) |
GB (1) | GB2001342B (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57185447U (ja) * | 1981-05-20 | 1982-11-25 | ||
JPS58119428A (ja) * | 1981-12-30 | 1983-07-15 | Keiaishiya Mikami Seisakusho:Kk | プレス型におけるワ−ク送り装置 |
JPH0625395B2 (ja) * | 1989-06-26 | 1994-04-06 | 日立金属株式会社 | 高強度リードフレーム材料およびその製造方法 |
US5147470A (en) * | 1990-12-25 | 1992-09-15 | Hitachi Metals, Ltd. | High strength lead frame material and method of producing the same |
US6221183B1 (en) * | 1992-11-16 | 2001-04-24 | Hitachi Metals, Ltd. | High-strength and low-thermal-expansion alloy, wire of the alloy and method of manufacturing the alloy wire |
US5411613A (en) * | 1993-10-05 | 1995-05-02 | United States Surgical Corporation | Method of making heat treated stainless steel needles |
US6254729B1 (en) * | 1999-03-22 | 2001-07-03 | Voith Sulzer Paper Technology North America, Inc. | Pulper with extraction plate assembly having removable inserts and method of manufacturing same |
US6688148B1 (en) * | 2001-01-26 | 2004-02-10 | Defiance Precision Products, Inc. | Manufacturing process for making engine components of high carbon content steel using cold forming techniques |
CA2514181A1 (en) * | 2003-01-24 | 2004-08-12 | Ellwood National Forge Company | Eglin steel - a low alloy high strength composition |
US20160237518A1 (en) * | 2013-10-11 | 2016-08-18 | Nv Bekaert Sa | High tensile strength steel wire |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US2795519A (en) * | 1954-03-27 | 1957-06-11 | Sandvikens Jernverks Ab | Method of making corrosion resistant spring steel and product thereof |
US3093519A (en) * | 1961-01-03 | 1963-06-11 | Int Nickel Co | Age-hardenable, martensitic iron-base alloys |
US3340102A (en) * | 1962-05-15 | 1967-09-05 | Manlabs Inc | Metal process and article |
US3446333A (en) * | 1966-06-07 | 1969-05-27 | United States Steel Corp | Treating austenitic stainless steels |
US4042421A (en) * | 1975-12-03 | 1977-08-16 | Union Carbide Corporation | Method for providing strong tough metal alloys |
US4042423A (en) * | 1975-12-03 | 1977-08-16 | Union Carbide Corporation | Method for providing strong wire and strip |
-
1977
- 1977-06-28 JP JP52076727A patent/JPS5948929B2/ja not_active Expired
-
1978
- 1978-06-23 GB GB787827711A patent/GB2001342B/en not_active Expired
- 1978-06-27 CA CA000306315A patent/CA1116499A/en not_active Expired
- 1978-06-27 DE DE19782828196 patent/DE2828196A1/de not_active Withdrawn
- 1978-06-28 US US05/920,065 patent/US4203782A/en not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
DE2828196A1 (de) | 1979-01-04 |
US4203782A (en) | 1980-05-20 |
GB2001342A (en) | 1979-01-31 |
CA1116499A (en) | 1982-01-19 |
JPS5411018A (en) | 1979-01-26 |
GB2001342B (en) | 1982-05-06 |
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