【発明の詳細な説明】
アルファ1aアドレナリンレセプターアンタゴニスト 発明の分野
本発明は、ある特定の新規化合物とそれらの誘導体、それらの合成、及び選択
的アルファ1aアドレナリンレセプターアンタゴニストとしてのそれらの使用に
関する。より詳細には、本発明の化合物は、前立腺過形成(BPH)の治療に有
用である。発明の背景
ヒトアドレナリンレセプターは膜内在性タンパク質であり、2種の広範なクラ
ス、即ちアルファ及びベータアドレナリンレセプターに分類された。両方の型は
、カテコールアミン、即ちノルエピネフリン及びエピネフリンの結合によって末
梢交感神経系の作用を媒介する。
ノルエピネフリンはアドレナリン性神経終末で産生され、エピネフリンは副腎
髄質で産生される。これらの化合物に対するアドレナリンレセプターの結合アフ
ィニティーは、分類の基礎となる。即ち、アルファレセプターは、エピネフリン
よりも強くノルエピネフリンと結合し、合成化合物であるイソプロテレノールよ
りもかなり強くノルエピネフリンと結合する。これら
のホルモンの結合アフィニティーはベータレセプターでは逆である。多くの組織
で、アルファレセプター活性化によって誘起される平滑筋収縮などの機能応答は
、ベータレセプター結合によって誘起される応答とは反対である。
続いて、アルフアとベータレセプターの機能的差異が更に強調され、種々の動
物と組織源からのこれらのレセプターの薬理学的キャラクタリゼーションによっ
て明確化された。結果として、アルファとベータアドレナリンレセプターは更に
、α1、α2、β1、及びβ2サブタイプに分類された。α1とα2レセプター
の機能的差異が認識され、これらの2種のサブタイプに対し選択的に結合する化
合物が開発された。即ち、WO92/0073では、テラゾシンのR(+)エナ
ンチオマーがアルファ1サブタイプのアドレナリンレセプターに選択的に結合で
きることが報告された。この化合物のα1/α2選択性は重大なものとして開示
された。何故ならば、α2レセプターのアゴニスト刺激はエピネフリンとノルエ
ピネフリンの分泌を阻害すると言われ、α2レセプターの拮抗作用はこれらのホ
ルモンの分泌を増加させると言われたからである。フェノキシベンズアミンとフ
ェントールアミンなどの非選択的アルファ−アドレナ
リンブロッカーの使用は、α2アドレナリンレセプターによって媒介される血漿
カテコールアミン濃度の増加及び付随する生理的現象(心拍数増加と平滑筋収縮
)誘導によって限定されたものとなる。
α−アドレナリンレセプターの一般的背景については、Robert R.Ruffolo,J
r.,α−Adrenoreceptors:Molecular Biology,Biochemistry and Pharmacolog y,(Progress in Basic and Clinical Pharmacology
series,Karger,1991)を
参照されたい。同書には、α1/α2サブ分類の基礎、分子生物学、シグナル伝
達(G−タンパク質との相互作用、及びアルファ−アドレナリンレセプターの3
′末端から離れたG−タンパク質とリガンド結合活性のための重大な部位の位置
)、アゴニスト構造−活性相関、レセプター機能、及びα−アドレナリンレセプ
ターアフィニティーを示す化合物の治療適用が記載されている。
動物組織からのアルファレセプターサブタイプのクローニング、配列決定、及
び発現により、α レセプターのサブ分類が可能となった。即ち、α1a(Lomas
ney ら、J.Biol.Chem.,266:6365-6369(1991),ラットα1a; Bruno ら、BBRC,
179:1485-
1490(1991),ヒトα1a)、α1b(Cotecchia ら、PNAS,85: 7159-7163(1988),
ハムスターα1b; Libert ら、Science(1989),イヌα1b;Ramarao ら、J.Bi
ol.Chem.,267:21936-21945(1992),ヒトα1b)である。非常に最近、ウシ脳を
用いる研究で、新規α1cサブタイプが提案された(Schwinn ら、J.Biol.Chem.
,265:8183-8189(1990)); Hirasawa ら、BBRC,195:902-909(1993)はヒトα1
cアドレナリンレセプターのクローニング、機能的発現及び組織分布を報告した
; Hoehe ら、Human Mol.Genetics1(5):349(8/92)はα1cアドレナリンレセプ
ター遺伝子における2種の対立遺伝子Pst1制限断片多形性を報告した; 別
の研究によると、アルファ−1dレセプターサブタイプでさえある可能性が示唆
される、Perezら、Mol.Pham.,40:876-883,1992を参照されたい)。各α1レセプ
ターサブタイプはそれ自身の薬理的特異性と組織特異性を有する。Schwinn と共
同研究者らは、クローン化されたウシα1cレセプターはα1aサブタイプのた
めに提案された薬理的性質を有することを報告した。それにも関わらず、α1a
サブタイプが発現されている組織でα1cレセプターが発現されていないこと、
及びクロロエチルクロニジンに対する感受性に基づき、そのレセプターは新規な
名
称が付けられた。
α−アドレナリンレセプターサブタイプの差異は、病的生理的状態に関連性を
有する。前立腺過形成は前立腺肥大又はBPHとも言われ、典型的には50才以
上の男性がかかる疾患であって、加齢と共に程度が重くなる。この疾患の症状は
排尿の困難性の増大及び性機能不全であるが、それらに限らない。これらの症状
は、前立腺の増大、又は過形成によって誘起される。前立腺の大きさが増大する
につれて、それは男性尿道を通る液体の自由な流れの妨害となる。更に、増大し
た前立腺へのノルアドレナリンの神経刺激伝達が増大すると、膀胱頚部と尿道の
アドレナリンに対する感受性が増大し、ついには尿道を通る尿の流れが制限され
るようになる。
前立腺過形成では、男性ホルモンの5α−ジヒドロテストステロンが主犯であ
ると同定された。男性精巣による5α−ジヒドロテストステロンの連続的産生に
よって、男性の生存中前立腺の成長が誘起される。約50才以上の多くの男性に
おいて、この増大した前立腺は、上記の病的症状を伴ない、尿道の障害となる。
上記に要約した機構の解明により、最近、BPHの悪性進行
を制御し、多くの場合に逆転させる有効薬が開発された。これらの薬剤の前線に
は Merck & Co.,Inc.の製品であるPROS
テストステロンを5α−ジヒドロテストステロンに変換する酵素テストステロン
5−アルファレダクターゼを阻害することであり、前立腺増大の速度を減少させ
、しばしば前立腺体積を減少させる。
制御の吉兆となる。しかし、この症候群の長い進行から理解されるように、その
逆転現象も即時的ではない。当分の間、BPHの男性患者は苦しみ続け、実際に
、薬剤が十分に速く効いているという希望を失うかもしれない。
この問題に関し、一つの解決は、速効性によって遅効性治療薬を補う医薬的に
活性な化合物を同定することである。アルファ−1アドレナリンレセプターに結
合することによって尿道平滑筋の弛緩を誘起させ、この疾患によるアドレナリン
感受性の増大を減少させる薬剤は、この活性の良好な候補薬であろう。一つのこ
のような薬剤はアルフゾシンであり、欧州特許第0204597号で報告されて
いるが、これは前立腺過形成の症例
で排尿を誘起する。同様に、WO92/0073では、テラゾシンのR(+)エ
ナンチオマーがα1サブタイプのアドレナリンレセプターに選択的に結合できる
ということが開示されている。更に、WO92/161213(引用により本明
細書に含まれるものとする)では、5−アルファ−レダクターゼ阻害化合物とア
ルファ1−アドレナリンレセプターブロッカー(テトラゾシン、ドキサゾシン、
プラゾシン、ブナゾシン、インドラミン、アルフゾシン)の組合せが開示された
。しかし、これらの化合物のα1a、α1b、又はα1cサブタイプ特異性に関
する情報は、データとして報告されていないし、BPH治療に関する関連性は不
明であった。現行のBPH治療では、プラゾシン(Minipress,Pfizer)、テラ
ゾシン(Hytrin,Abbott)、又はドキサゾシンメシレート(cardura,Pfizer)な
どの現存の非選択性アルファ−1アンタゴニストを用いる。これらの非選択性ア
ンタゴニストは、例えば起立性低血圧及び失神などの、末梢脈管構造中でのアル
ファ−1aとアルファ−1bレセプターの拮抗作用に関する副作用を有する。
典型的には、活性化合物の同定は、アドレナリンレセプターに富むと知られて
いる動物組織の使用によって達成される。従
って、ラット組織が、アドレナリンレセプターアンタゴニストの可能性のあるも
のをスクリーニングするのに用いられた。しかし、種変異性のために、動物組織
で活性であると考えられる化合物は、ヒトで活性又は十分な選択性を有しない可
能性がある。このことから、時間と努力のかなりの浪費であり、特に大容量化合
物スクリーニングプログラムを用いる場合はそうである。ヒトで非常に有効であ
りうる化合物が、異種の動物レセプターに対する感知されるアフィニティーも無
いために見逃す危険もある。この点に関し、注目すべきは、一つの種における生
物活性タンパク質配列の唯一のアミノ酸変化でさえ、実質的な薬理的差異を生じ
させる可能性があるということである。Fongら(J.Biol.Chem.,267:25668-25671
,1992)は、ヒトニューロキニン−1レセプターと相同なラットレセプターの配
列には22個の異なるアミノ酸残基があることを報告した。変異体レセプターを
用いた研究で、ほんの2個のアミノ酸残基の置換が、ヒトレセプターでラットレ
セプターアンタゴニスト結合アフィニティーを再現するために必要でもあり、十
分でもあることをFong らは報告した。Oksenberg ら(Nature,360:161-163,1992
)は、唯一のアミノ酸の違いによって、ヒトと齧歯類の5−ヒド
ロキシトリプタミンレセプターの間の主要薬理変異が起ることを報告した。同様
に、Kuhseら(Neuron,5:867-873,1990)は、唯一のアミノ酸交換で、新生児ラッ
トグリシンレセプターサブユニットの薬理が変ることを報告した。この困難性と
予測不可能性によって、ヒトで活性な化合物を同定する化合物スクリーニングの
必要性が存在する。
これらの問題は、α1cサブタイプのヒトアドレナリンレセプターをクローン
化し(ATCC CRL 11140)、ヒトα1cアドレナリンレセプターと
特異的に相互作用する化合物の同定を可能とするスクリーニングアッセイを使用
することによって解決された[WO94/08040(1994年4月14日公開)及
びWO94/10989(1994年5月26日公開)]。本明細書で開示するように
、クローン化ヒトα1cアドレナリンレセプター及びヒトα1cレセプターと結
合する化合物の同定方法は、BPHの治療に有用な選択的ヒトα1cアドレナリ
ンレセプターアンタゴニストの同定を現在可能なものとしている。本明細書は、
ヒトα1cレセプターに選択的に結合する新規化合物を開示する。これらの化合
物は更に、他のヒトα1レセプターサブタイプへの結合を試験され、他のタイプ
のレセプ
ターに対し逆クリーニングされ、本発明の化合物のヒトα1cアドレナリンレセ
プターへの特異性を明確にする。
本発明の化合物は、BPHの急性症状を減少させるために用いられる。従って
、本発明の化合物は単独で使用されうるし、
ロン5−アルファレダクターゼ阻害剤などのより長期間の抗BPH治療薬と組合
せて使用されうる。抗BPH剤としての有用性は別として、これらの化合物は、
必要なときにはいつでも、高度に組織特異的で、局在化されたα1cアドレナリ
ンレセプター遮断を誘起させるために使用されうる。この遮断の効果には、眼内
圧の減少、心臓不整脈の制御、及び恐らくアルファ−1cレセプター媒介中枢神
経系疾患の患者などがある。命名
最近、Ford ら[α1−Adrenocetor Classification:Sharpening Occam's Razo r,Trends in Pharm.Sci.
1994,15,167-170]によって提案されたものと同様
の新規α1アドレナリンレセプター(α1−AR)分類スキームが、カナダ、Mo
ntrealで開催された国際薬理学連合(IUPHAR)の1994年8月の会議で採用
された。従来、α1a/d、α1b、及びα1c
と言われたα1−AR遺伝子は、それぞれα1d、α1b、及びα1aと再命名
された。この新規命名法は、α1aとα1b遺伝子(新規IUPHAR命名)に
よってコードされたタンパク質と文献でそれぞれα1Aとα1Bとして伝統的薬
理学手法でキャラクタリゼーションが行われたレセプター間の対応を反映してい
る。組換えレセプターと組織で薬理学的にキャラクタリゼーションが行われたレ
セプターは、それぞれ小文字及び大文字添字記号で区別される。
発明の背景に記載した上記考察では、従来の分類スキームを用いた(即ち、α
1a/d、α1b及びα1c)。しかし、以後、新規分類スキームを用いる(即
ち、α1d、α1b及びα1a)。従って、従来α1cレセプター(及びα1c
レセプターアンタゴニスト)といわれたものは、以後新規命名を用いてα1aレ
セプター(及びα1aレセプターアンタゴニスト)という。発明の概要
本発明は、前立腺過形成(BPH)によって起る泌尿障害の治療用化合物を提
供する。本化合物は、ナノモル濃度及びナノモル以下の濃度でヒトアルファ−1
aアドレナリンレセプター
に選択的に拮抗するが、アルファ−1dとアルファ−1bヒトアドレナリンレセ
プター及び多くの他のG−タンパク質結合レセプターに対し少なくとも10倍小
さいアフィニティーしか有さない。本発明は、非選択的アルファ−1アドレナリ
ンレセプターアンタゴニストに対し、末梢アドレナリン遮断に関連する副作用が
減少するという利点を有する。このような副作用には、起立性低血圧、失神、昏
睡などがある。本発明の化合物は、構造
(式中、
Yは、CHR3又はNR5から選択される;
Zは、非置換、一置換、もしくはポリ置換のフェニル(置換基は独立に、ハロゲ
ンもしくはC1-4アルキルから選択される);
又は非置換、一置換、もしくはポリ置換の、ピリジル、チェニル、フラニル、も
しくはナフチル(ピリジル、チェニル、フラニル、もしくはナフチル上の置換基
は独立に、CF3、フェニ
ル、OR5、ハロゲン、C1-4アルキル、もしくはC3-8シクロアルキルから選択
される)から選択される;
R1、R2、及びR3は各々独立に、水素、シアノ、テトラゾール、イソオキサジ
アゾール、CONR5R6、CO2R5、又はSO2R6から選択される;
R4は、
から選択される;及び
R5及びR6は各々独立に、水素、C1-8アルキル、又はC3-8シクロアルキルから
選択される)
を有する化合物及び医薬として許容できるその塩である。
好ましくは、R4は、
から選択される。
本発明の一実施態様には、
YはCHR3;
R1及びR2は水素;
R2、R4、R5、及びR6は上記定義の通りである;
であることを特徴とする化合物及び医薬として許容できるその塩がある。
本発明の一クラスには、式
(式中、
R8は、水素、C1-4アルキル又はハロゲンから選択される;R2及びR4は上記定
義の通りである)
を有する化合物及び医薬として許容できるその塩がある。
本発明の一サブクラスには、式
(式中、
R2は、CO2R5又はSO2R6から選択される;
R7は、水素又はクロロから選択される;
R8は、水素、クロロ又はメチルから選択される)
を有することを特徴とする化合物及び医薬として許容できるその塩がある。
式
(式中、
R5はC1-4アルキル;
R7及びR8は上記定義の通りである)
を有することを特徴とする化合物及び医薬として許容できるその塩は、本発明の
一例である。
(±)−(3R*,4R*)−N−[(3−カルボキシエチル−4−フェニル)
ピペリジン−1−イル)ブチル]−5−クロ
ロ−1−スルホベンズイミド塩酸塩;
(−)−(3R*,4R*)−N−[(3−カルボキシエチル−4−フェニル)
ピペリジン−1−イル)ブチル]−5−クロロ−1−スルホベンズイミド塩酸塩
;及び
(+)−(3R*,4R*)−N−[(3−カルボキシエチル−4−フェニル)
ピペリジン−1−イル)ブチル]−5−クロロ−1−スルホベンズイミド塩酸塩
;又は
(±)−(3S*,4R*)−N−[(3−カルボキシエチル−4−フェニル)
ピペリジン−1−イル)ブチル]−5−クロロ−1−スルホベンズイミドトリフ
ルオロ酢酸塩;
から選択される化合物及び医薬として許容できるその塩は、本発明の例である。
治療有効量の上記化合物のいずれかと医薬として許容できる担体を含む医薬組
成物は、本発明の例である。本発明の一例は、上記化合物のいずれかと医薬とし
て許容できる担体を混合することによって製造される医薬組成物である。本発明
の例は、上記化合物のいずれかと医薬として許容できる担体を混合することを特
徴とする医薬組成物の製造方法である。
本発明の更なる例は、治療有効量のテストステロン5−アル
ファレダクターゼ阻害剤を更に含む組成物である。好ましくは、テストステロン
5−アルファレダクターゼ阻害剤は、1型、2型、1型と2型の両方(即ち、上
記化合物のいずれかと、1型テストステロン5−アルファレダクターゼ阻害剤及
び2型テストステロン5−アルファレダクターゼ阻害剤の両方を一緒に含む3成
分組合せ)、又は二重1型・2型(dual type 1 and type2)テストステロン5
−アルファレダクターゼ阻害剤である。より好ましくは、テストステロン5−ア
ルファレダクターゼ阻害剤は2型テストステロン5−アルファレダクターゼ阻害
剤である。最適には、テストステロン5−アルファレダクターゼ阻害剤はフィナ
ステライド(finasteride)である。
より詳細には、前立腺過形成の治療の必要のある患者の前立腺過形成の治療方
法であって、治療有効量の上記化合物のいずれか(又は組成物のいずれか)を上
記患者に投与することを特徴とする上記方法である。
より詳細には、BPHの治療方法であって、BPHを軽減させるのに有効な投
与量で、上記化合物(又は組成物)が副作用として血圧降下を引起さないことを
特徴とする上記方法は、本発明の例である。
本発明のもう一つの例は、前立腺過形成の治療方法であって、上記化合物を、
テストステロン5−アルファレダクターゼ阻害剤と組合せて投与することを特徴
とする上記方法である。好ましくは、テストステロン5−アルファレダクターゼ
阻害剤はフィナステライドである。
前立腺組織の収縮の阻害又は尿道平滑筋の弛緩の必要のある患者の前立腺組織
の収縮の阻害方法又は尿道平滑筋の弛緩方法であって、治療有効量の上記化合物
のいずれか(又は組成物のいずれか)を上記患者に投与することを特徴とする上
記方法は、本発明の更なる例である。
前立腺組織の収縮の阻害方法又は尿道平滑筋の弛緩方法であって、前立腺組織
の収縮を阻害するのに有効な投与量で、上記化合物(又は組成物)が副作用とし
て血圧降下を引起さないことを特徴とする上記方法は、本発明の更なる一例であ
る。
更に詳細には、前立腺組織の収縮の阻害方法又は尿道平滑筋の弛緩方法であっ
て、上記化合物(又は組成物)を、テストステロン5−アルファレダクターゼ阻
害剤と組合せて投与することを特徴とする上記方法は、本発明の一例である。好
ましくは、テストステロン5−アルファレダクターゼ阻害剤はフィナステ
ライドである。
より詳細には、アルファ1aレセプターの拮抗作用によって治療可能な疾患の
治療方法であって、治療の必要のある患者に、上記疾患の治療に有効な量の上記
化合物のいずれかを投与することを特徴とする上記方法は、本発明の一例である
。アルファ1aレセプターの拮抗作用による治療可能な疾患にはBPH、高眼圧
、高コレステロール、インポテンツ、交換神経媒介疼痛、及び心臓不整脈などが
あるが、これらに限定されない。
本発明の更なる一例は、以下のものの必要のある患者において、a)前立腺過
形成の治療、b)尿道平滑筋の弛緩、又はc)前立腺組織の収縮の阻害のための
医薬の製造における、上記化合物のいずれかの使用である。
本発明の更なる一例は、以下のものの必要のある患者において、a)前立腺過
形成の治療、b)尿道平滑筋の弛緩、又はc)前立腺組織の収縮の阻害のために
有用である薬剤であって、上記薬剤の有効成分が上記化合物のいずれかであるこ
とを特徴とする上記薬剤である。
本発明のもう一つの面は、上記アルファ1aアドレナリンレセプターアンタゴ
ニスト化合物のいずれかの製造方法であって、
ハロゲン化ブチルサッカリンを脱保護フェニルピペリジンでアルキル化すること
を特徴とする上記方法である。発明の詳細な説明
本発明の代表的化合物は、ヒトアルファ1aアドレナリンレセプターに対する
高選択性を有する。この選択性の意味するところは、これらの化合物が、拡張期
血圧に実質的に影響を与えることなく、尿道内圧力を減少させるための選択性を
有するということである。
本発明の代表的化合物は、ヒトアルファ1aアドレナリンレセプタータイプに
対するマイクロモル以下のアフィニティーを有するが、ヒトアルファ1dとアル
ファ1bアドレナリンレセプターサブタイプ、及び多くのG−タンパク質結合ヒ
トレセプターに対しては少なくとも10倍小さいアフィニティーしか有しない。
本発明の特別の代表的化合物は、ヒトアルファ1aアドレナリンレセプターサブ
タイプに対するナノモル及びナノモル以下のアフィニティーを有するが、ヒトア
ルファ1dとアルファ1bアドレナリンレセプターサブタイプ、及び多くの他の
G−タンパク質結合ヒトレセプターに対しては少なくとも30倍小さいアフィニ
ティーしか有しない。本発明の好適化合物は、
ヒトアルファ1aアドレナリンレセプターに対して、ヒトアルファ1d又はアル
ファ1bアドレナリンレセプターに対するよりも400倍以上小さいKiを有し
、試験した他の全てのヒトG−タンパク質結合レセプター(セロトニン、ドーパ
ミン、アルファ2アドレナリン、ベータアドレナリン、又はムスカリンの各レセ
プターを含む)よりもヒトアルファ1aアドレナリンレセプターに対し500倍
以上の選択性を有する。
これらの化合物は、BPHのようにこのような治療が必要なアルファ1aレセ
プターと拮抗するのに有効な投与量で投与される。医療での使用の場合、本発明
の化合物の塩は、非毒性の“医薬として許容できる塩”を指す。しかし、他の塩
も、本発明の化合物又は医薬として許容できるそれらの塩の製造において有用で
ありうる。本発明の化合物の適切な医薬として許容できる塩には、酸付加塩があ
るが、それらは、例えば本発明の化合物の溶液と、以下のもののような医薬とし
て許容できる酸の溶液を混合することによって生成させうる:塩酸、硫酸、フマ
ル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、
カルボン酸、又はリン酸。更に、本発明の化合物が酸部分を有する場合、適切な
医薬として許容できるそれ
らの塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩又はカリウム塩、アルカリ土
類金属塩、例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩、及び適切な有機リガンドと
形成される塩、例えば4級アンモニウム塩が含まれうる。従って、代表的な医薬
として許容できる塩には、以下のものが含まれる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸
塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシ
ウム塩、カムシレート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒド
ロ塩化物塩、エデテート、エジシレート、エストレート、エシレート、フマル酸
塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸
塩、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキ
シナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオネート、ラウ
リル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、臭化メチル
、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシレート、硝酸塩、N−メチルグ
ルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート
)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロ
ン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、サブアセテート、コ
ハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシレート、トリエトヨー
ダイド、及びバレリアン酸塩。
本発明はその範囲内に本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般的に、この
ようなプロドラッグは、インビボで必要な化合物に容易に転換できる、本発明の
化合物の機能性誘導体である。適切なプロドラッグ誘導体の選別と製造の通常の
方法は、例えば“Design of Prodrugs”、H.Bundgaard 編、Elsevier,1985に記
載されている。これらの化合物の代謝産物には、本発明の化合物を生物的環境に
導入して生成される活性種がある。
本発明の化合物が少なくとも一つのキラル中心を有する場合、化合物はエナン
チオマーとして存在しうる。本発明の化合物が2個以上のキラル中心を有する場
合、更にジアステレオマーとして存在しうる。それらのこのような異性体及びそ
れらの混合物は全て本発明の範囲内に包含されることを理解すべきである。更に
、本発明の化合物の結晶形態の幾つかは、多形相として存在しえ、それ自体、本
発明に含まれるものとする。更に、本発明の化合物の幾つかは、水又は普通の有
機溶媒との溶媒和物を形成しうる。このような溶媒和物も本発明の範囲内に包含
される。
“アルキル”という用語は、1〜10個の総炭素原子、又はこの範囲内の任意
の個数を有する、直鎖又は分岐鎖のアルカンを意味するものとする(即ち、メチ
ル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチ
ルなど)。
“アルケニル”という用語は、2〜10個の総炭素原子、又はこの範囲内の任
意の個数を有する、直鎖又は分岐鎖のアルケンを意味するものとする。
“アリール”という用語は、フェニル又はナフチルを指す。
“シクロアルキル”という用語は、3〜8個の総炭素原子を有する環のアルカ
ンを意味するものとする(即ち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチル)。
“アルキル”もしくは“アリール”という用語、又はそれらの接頭辞語根のど
ちらかがが置換基の名称(例えば、アラルコキシアリールオキシ)にある場合、
“アルキル”及び“アリール”に対し上記の制限を含むものと理解すべきである
。炭素原子の指定数(例えば、C1-10)は、アルキル部分もしくはサイクリック
アルキル部分の中の炭素原子数を独立に指す、又はアルキルがその接頭辞語根と
して存在するより大きな置換基の
アルキル部分を独立に指す。
“ハロゲン”という用語は、ヨウ素、臭素、塩素、及びフッ素を含むものとす
る。
“置換”という用語は、命名された置換基による多重の置換を含むと考えられ
るものとする。本明細書で使用する“ポリ置換”という用語は、命名された置換
基による二置換、三置換、四置換、及び五置換を含むものとする。
多重置換基部分が開示され、又はクレームされる場合、置換のある化合物は、
開示され、又はクレームされる置換基部分の一つ以上によって(単数又は複数)
、独立に置換されることができる。
本明細書で使用するへテロ環という用語は、非置換の、又は置換された安定な
5員〜7員の単環系であって、その単環系は飽和又は不飽和でありえ、炭素原子
とN、O又はSから選択される1個〜3個のヘテロ原子からなり、窒素ヘテロ原
子と硫黄ヘテロ原子は必要に応じて酸化されえ、窒素ヘテロ原子は必要に応じて
4級化されうる。ヘテロ環はヘテロ原子又は炭素原子に結合しえ、それにより安
定な構造ができうる。このようなヘテロ環基の例には、ピペリジニル、ピペラジ
ニル、オキソピペ
ラジニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、オキソアゼピニル、アゼ
ピニル、ピロリル、ピロリジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、ピラゾリ
ジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピラジ
ニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオ
キサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニ
ル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニ
ル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、及びオキサジ
アゾリルなどがあるが、それらには限定されない。モルホリノはモルホリニルと
同じである。
本明細書で使用する“チエニル”という用語は、以下の基
を指す。
本明細書で使用する“患者”という用語は、治療、観察又は実験の対象である
動物、好ましくは哺乳動物、最適にはヒトを指す。
本明細書で使用する“治療有効量”という用語は、研究者、
獣医、医師又は他の臨床家によって求められ、治療する疾患の症状の軽減を含む
、組織、系、動物又はヒトでの生物的又は医学的応答を起こす活性化合物又は医
薬の量を意味する。
本発明はまた、一つ以上の本発明の化合物と医薬として許容できる担体を組合
せて含む医薬組成物を提供する。好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口
、鼻内、舌下、又は直腸投与のための、錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、滅
菌済非経口用溶液もしくは懸濁液、計量済エアゾルもしくは液体スプレー、ドロ
ップ、アンプル、自動注入装置、又は座薬などの単位投与形態として存在する。
あるいは、組成物は、一週間に一度、又は一月に一度の投与に適した形態として
存在できうる。例えば、活性化合物の不溶性塩、例えばデカン酸塩は、筋肉内注
射用デポー製剤を提供するように適合しうる。錠剤などの固体組成物を製造する
場合、主活性成分は、医薬担体、例えばコーンスターチ、乳糖、砂糖、ソルビト
ール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、
又はゴムなどの通常の錠剤化成分、及び他の医薬希釈剤、例えば水と混合されて
、本発明の化合物又は医薬として許容できるその塩の均一混合物を含む固体の予
め処方された組成物が形成される。これら
の予め処方された組成物を均一という場合、組成物が、錠剤、ピル及びカプセル
などの、等しく有効な単位投与形態に容易に細分割できるように、活性成分が組
成物中に一様に分散されていることを意味する。次に、この固体の予め処方され
た組成物を、本発明の活性成分0.1〜約500mgを含む、上記タイプの単位
投与形態に細分割する。新規組成物の錠剤又はピルは被覆、又はそうでなければ
混合でき、持続作用という利点を有する投与単位を提供できる。例えば、錠剤又
はピルは、内部投与成分と外部投与成分を含みうるが、後者は前者に対する被覆
形態である。2成分は腸層で分離されうるが、その腸層は胃での崩壊に抵抗する
ように作用し、内部成分が十二指腸にそのまま送られ、又は放出を遅延させるこ
とができる。種々の物質をこのような腸層又は被覆用に使用できるが、このよう
な物質には、幾つかの重合酸、及び重合酸と、シェラック、セチルアルコール及
び酢酸セルロースなどの物質との混合物がある。
本明細書で使用する“組成物”という用語は、特定の量の特定の成分を含む製
品、及び直接的又は間接的に特定の量の特定の成分の組合せから製造される製品
を包含するものとする。
本発明の新規組成物が経口又は注射によって投与されるため
に導入される液体形態には、水溶液、適切に着香したシロップ、水性もしくは油
性懸濁液、綿実油、ゴマ油、ココナッツ油又はピーナッツ油などの食用油を含む
着香エマルション、並びにエリキシル剤及び同様の医薬ビヒクルなどがある。水
性懸濁液のための適切な分散剤又は懸濁剤には、トラガカント・アカシアなどの
合成及び天然ゴム、アルギン酸、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン、又はゼラチンなどがあ
る。
本発明の化合物の製造方法によって立体異性体の混合物が製造される場合、こ
れらの異性体は、分取クロマトグラフィーなどの通常の技術によって分離できう
る。化合物はラセミ体として製造できうるし、又は個々のエナンチオマーはエナ
ンチオ特異的合成もしくは分割によって製造できうる。化合物は、例えば標準的
技術、例えば光学活性酸((−)−ジ−p−トルオイル−d−酒石酸及び/又は
(+)−ジ−p−トルオイル−1−酒石酸など)との塩形成によるジアステレオ
マー対の形成、次の分別結晶化及び遊離塩基の再生成によって、成分のエナンチ
オマーに分割できうる。化合物はまた、ジアステレオマーエステル又はアミドの
形成、次のクロマトグラフィー分離及びキラ
ル助剤の除去によって分割されうる。あるいは、化合物は、キラルHPLCカラ
ムを用いて分割できうる。
本発明の化合物の製造過程で、関連する分子の感受性基又は反応性基を保護す
ることが必要であり、及び/又は望ましい可能性がある。これは、通常の保護基
、例えばProtective Groupsin Oranic Chemistry, J.F.W.McOmie編, Plenum Pr
ess,1973;T.W.Greene & P.G.M.Wuts, Protective Groups in OrganicSynthesi s
,John Wiley & Sons,1991 に記載のものによって達成できうる。保護基は、
当業界公知の方法を用いて、通常の次の段階で除去しうる。
α1aレセプターへのアフィニティーを有する化合物の結合特異性は、α1a
レセプターを発現しているトランスフェクトされた細胞系から得られた膜と、ア
ルファアドレナリンレセプターの他のタイプ(例えば、α1d、α1b)又はベ
ータアドレナリンレセプターを発現することが知られている細胞系又は組織から
の膜に対するアフィニティーを比較することにより分る。クローン化ヒトα1d
、α1b及びα1aレセプターの発現、並びに公知の選択的アンタゴニストとの
結合特性の比較により、化合物の選別及び予測可能な薬理活性を有する新規化合
物の発見の合理的方法が得られる。ヒトアルファ1aアドレナリンレセプターサ
ブタイプのこれらの化合物による拮抗作用は、麻酔した動物で機能的に証明しう
る。これらの化合物を用いて、起立性低血圧効果を示すことなく尿量を増加させ
うる。
本発明の化合物がα1aレセプターに特異的に結合しうることによって、本発
明の化合物はBPH治療に有用である。α1aレセプターに対するアフィニティ
ーを有する化合物の結合特異性を、アルファアドレナリンレセプターの他のタイ
プ又はベータアドレナリンレセプターに対する結合アフィニティーに対し比較す
る。最近、1−aサブタイプのヒトアルファアドレナリンレセプターは同定、ク
ローン化、発現された。このことは、WO94/08040(1994年4月14日公
開)及びWO94/21660(1994年9月29日公開)[各々は引用により本明
細書に含まれるものとする]に開示されている。哺乳動物細胞系で発現された場
合クローン化ヒトα1aレセプターを用いて、レセプターに結合し、その機能を
変えるリガンドを発見できる。クローン化ヒトα1d、α1b、及びα1aレセ
プターの発現並びにそれらの結合特性の公知の選択的アンタゴニストとの比較に
より、化合物の選別及び予測可能な薬理活性を有す
る新規化合物の発見のための合理的方法が得られる。
選択的ヒトα1aアドレナリンレセプター拮抗作用を有する本発明の化合物は
更に、逆(カウンター)スクリーニングによって規定されることができうる。こ
のことは、異なる生物機能を媒介する他のレセプターを用い、当業界公知の方法
により達成される[例えば、WO94/10989(1994年5月26日公開);米
国特許第5,403,847号(1995年4月4日発行)を参照されたい]。種々の
ヒトアルファ1アドレナリンレセプターサブタイプの間で選択的で、且つ他のレ
セプター、例えばアルファ2アドレナリンレセプター、β−アドレナリンレセプ
ター、ムスカリンレセプター、セレトニンレセプターなどに対し低アフィニティ
ーを有する化合物が特に好ましい。これらの非特異的活性が無いことは、種々の
ヒトアルファ1アドレナリンレセプターに対する高アフィニティーを有する化合
物の同定のために本明細書で開示した方法と類似の方法で、クローン化され発現
されたレセプターを用いて確認できうる。更に、機能的生物試験を用いて、アル
ファ1aアドレナリンレセプターアンタゴニストとして同定された化合物の効果
を確認できる。
本発明はまた、本発明の治療の新規方法における使用のため
の適切な局所、経口、全身及び非経口用の医薬組成物を提供するという目的を有
する。ヒトアルファ1aアドレナリンレセプターの特異的拮抗作用のための使用
での活性成分として本発明の化合物を含む組成物は、全身的投与のための通常の
ビヒクル中での種々の治療用投与形態で投与できうる。例えば、化合物は、錠剤
、カプセル(各々は時間規定放出型組成物及び持続放出型組成物を含む)、ピル
、粉末、顆粒、エリキシル剤、チンキ剤、溶液、懸濁液、シロップ及びエマルシ
ョンなどの経口投与形態、又は注射により投与できる。同様に、本発明の化合物
はまた、静脈内(ボーラスと点滴の両方)、腹腔内、皮下、密封の有無の局所、
又は筋肉内形態で投与できうるが、全ての使用形態は製薬業界の当業者に周知で
ある。有効だが非毒性量の所望の化合物がアルファ1aアンタゴニスト剤として
使用できる。
好都合にも、本発明の化合物は、単一1日投与で投与できうるし、又は総1日
投与量は1日当り2回、3回もしくは4回の分割投与で投与できうる。更に、本
発明の化合物は、適切な鼻内ビヒクルの局所使用を介し鼻内形態で投与できうる
し、又は当業者周知の経皮膚パッチの形態を使用し、経皮膚経路で投与
できうる。経皮膚デリバリー系の形態で投与するために、投与は勿論、投与中間
歇的よりも連続的である。
本発明の化合物を用いる投与法は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別、医
学的状態;治療する疾患の程度;投与経路;患者の腎肝機能;及び使用する特定
の化合物を含む種々の因子に基づき選択される。通常の技術を有する医師又は獣
医は、疾患の進行を予防、防止、又は阻止するために必要な薬剤の有効量を容易
に決定でき処方できる。毒性無くして効力を与える範囲内の薬剤濃度を達成する
のに最適な正確さのために、標的部位の薬剤の利用性の動力学に基づく投与法が
必要である。このためには、薬剤の分布、平衡、及び排除を考慮することが必要
である。
本発明の方法において、本明細書で詳細に記載した化合物は、活性成分を形成
でき、典型的には、意図した投与形態、即ち経口用錠剤、カプセル、エリキシル
剤、シロップなどに関し適切に選択され、通常の医薬実施と一致した適切な医薬
用希釈剤、賦形剤、又は担体(本明細書では集合的に“担体”物質という)と混
合して投与される。
例えば、錠剤又はカプセルの形態での経口投与の場合、活性
成分は、エタノール、グリヤロール、水などの経口用、非毒性の医薬として許容
できる不活性担体と混合できる。更に、所望又は必要のあるとき、適切な結合剤
、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤も混合物に導入できる。適切な結合剤の非限定例は
、澱粉、ゼラチン、グルコースもしくはベータ−乳糖などの天然の糖、コーン甘
味料、アカシア・トラガカント・アルギン酸ナトリウムなどの天然及び合成ゴム
、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどである
。これらの投与形態で使用する潤滑剤の非限定例は、オレイン酸ナトリウム、ス
テアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸
ナトリウム、塩化ナトリウムなどである。崩壊剤の非限定例は、澱粉、メチルセ
ルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどである。
液体は、合成及び天然のゴム(例えば、トラガカント、アカシア、メチルセル
ロースなど)などの適切な着香懸濁剤又は分散剤中で形成される。使用されうる
他の分散剤の例はグリセリンなどである。非経口投与の場合、滅菌済懸濁液と溶
液が望ましい。一般的に適切な保存剤を含む等張性製剤は、静脈内投与が望まし
いときに使用される。
本発明の化合物はまた、小単一ラメラ小胞、大単一ラメラ小胞、及び多ラメラ
小胞などのリポソームデリバリー系の形態で投与できる。リポソームは、種々の
リン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリ
ンから形成できる。
本発明の化合物はまた、化合物分子が結合する個々の担体としてモノクローナ
ル抗体の使用によって送達できうる。本発明の化合物はまた、標的に向けられた
薬剤担体として可溶性ポリマーと結合できうる。このようなポリマーの例は、ポ
リビニル−ピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリル
−アミドフェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルトアミドフェノール、又
はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンなどである。
更に、本発明の化合物は、薬剤放出の制御を達成するのに有用な一クラスの生分
解性ポリマー、例えばポリ乳酸、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキ
シ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロ−ピラン、ポリシ
アノアクリレート、及びハイドロゲルの架橋性もしくは両親媒性ブロックコポリ
マーなどと結合できうる。
本発明の化合物は、ヒトアルファ1aアドレナリンレセプターの特異的遮断が
必要なときはいつでも、上述の組成物中で、且つ当業界で確立された投与法に基
づき投与できうる。
本発明の化合物の1日の投与量は、1日当り成人1人当り0.01〜1,00
0mgの広い範囲で変化させることができる。経口投与の場合、好ましくは、組
成物は、治療する患者への症状に合わせた投与量のために、活性成分を0.01
、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、
25.0、50.0及び100mg含む錠剤の形態で提供される。典型的には、
医薬は、活性成分を約0.01mg〜約500mgを含む。好ましくは、活性成
分を約1mg〜約100mg含む。有効量の薬剤は、通常1日当り体重1kg当
り約0.0002〜約250mgの投与レベルで供給される。好ましくは、範囲
は、1日当り体重1kg当り約0.001〜100mgであり、特に約0.00
1〜約7mgである。化合物は、1日当り1回〜4回の投与法で投与できうる。
本明細書の化合物は、ヒトα1aアドレナリンレセプターの最適拮抗作用を得
るために、一方可能性ある毒性を最小化するために、ルーチンな試験によって規
定される適切な投与量で単
独で使用できうる。更に、BPHの影響を軽減する他の薬剤の同時投与又は連続
的投与が望ましい。従って、一つの実施態様では、このことは、本発明の化合物
とヒトテストステロン5−αレダクターゼ阻害剤の投与を含む。5−アルファレ
ダクターゼアイソザイム2の阻害剤はこの実施態様に含まれる。多くのこのよう
な化合物は現在当業界周知であり、それらの例は、P
ザ−ステロイド;例えば米国特許第4,377,584号及び米国特許第4,7
60,071号を参照されたい(引用により本明細書に含まれるものとする)な
どの化合物である。ヒト5−αレダクターゼアイソザイム2に対する選択性の故
に主に前
5−αレダクターゼアイソザイム1を阻害するのに特異的に活性な化合物と、ア
イソザイム1と2の両方に対する二重阻害剤として作用する化合物の組合せは、
本発明の化合物との組合せにおいて有用である。5α−レダクターゼ阻害剤とし
て活性な化合物は、WO93/23420、EP0572166;WO93/2
3050;WO93/23038;WO93/23048;WO93/2304
1;WO93/23040;WO9
3/23039;WO93/23376;WO93/23419、EP0572
165;WO93/23051(各々は引用により本明細書に含まれるものとす
る)に記載されている。
アルファ1aアドレナリンレセプターアンタゴニストとテストステロン5−ア
ルファレダクターゼ阻害剤の投与量は、所望の効果を達成するために、混合され
るときに調整する。5−アルファレダクターゼ阻害剤とアルファ1aアドレナリ
ンレセプターアンタゴニストの投与量は独立に最適化されえ、混合して、どちら
かの薬剤を単独で使用する場合よりも病理が減少するという相乗効果を達成でき
うることを当業者は理解しよう。本発明の方法に基づき、組合せの個々の成分は
、治療過程で異なる時間に別々に投与できうるし、又は分割形態もしくは単一組
合せ形態で同時に投与できうる。それ故、本発明は、このような同時又は交互治
療法の全てを包含するものと理解されるべきであるし、“投与”という用語はそ
ういうものと解釈されるべきである。
従って、本発明の一つの好適実施態様では、治療の必要のある患者に、BPH
を治療するのに有効な、本発明の化合物とフィナステライドの組合せを投与する
ことを特徴とするBPHの
治療方法を提供する。患者に投与するフィナステライドの投与量は、α1aアン
タゴニストと組合せて、1日当り患者1人当り約0.01mg〜約50mgであ
る。好ましくは、組合せてのフィナステライドの投与量は1日当り患者1人当り
約0.2mgから約10mg、より好ましくは約1mg〜約10mg、最適には
約5mgである。
前立腺過形成の治療の場合、アルファ1aアドレナリンレセプター遮断作用を
有する本発明の化合物は、単一経口用、単一全身用、又は単一非経口用医薬投与
組成物中で、4,7β−ジメチル−4−アザ−5α−コレスタン−3−オンなど
の5α−レダクターゼ1阻害剤に加えて、フィナステライドなどの5α−レダク
ターゼ2阻害剤の治療有効量と混合できる。あるいは、アルファ1aアドレナリ
ンレセプターアンタゴニストと5α−レダクターゼ1又は2阻害剤が、別々の経
口用、全身用、又は非経口用投与組成物で投与される組合せ治療法を使用できる
。例えば、5α−レダクターゼ阻害剤の投与量と組成物を開示する米国特許第4
,377,584号及び第4,760,071号を参照されたい。
本明細書、特にスキームと実施例で使用する略号は以下の通
りである。
Boc又はBOC=t−ブチルオキシカルボニル
Cbz−Cl=塩化ベンジルオキシカルボニル
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
Et=エチル
Et3N=トリエチルアミン
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エタノール
FABLRMS=高速原子衝撃低分解能質量分析法
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
HOAc=酢酸
iPr2NEt=ジイソプロピルエチルアミン
i−PrOH=2−プロパノール
Me=メチル
MeOH=メタノール
NMP=1−メチル−2−ピロリジノン
NMR=核磁気共鳴
PEI=ポリエチレンイミン
Ph=フェニル
RT=保持時間
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
本発明の化合物は、容易に入手できる出発物質、試薬と通常の合成方法を用い
て、以下の反応スキームと実施例、又はそれらの改変に基づき、容易に製造でき
る。これらの反応において、それ自体が当業者に公知の改変を使用することも可
能であり、より詳細には記載しない。
本発明の化合物及び医薬として許容できるその塩は、スキーム1と2及びスキ
ームの説明で概略を示した一般的方法並びに以下の実施例に基づいて合成できる
。以下のスキーム1と2で、全ての変りうる基は、異なるような記載がなければ
上記定義の通りである。
4及び6などの3,4−二置換ピペリジンの一般的な製造方法を開発した。即
ち、(1)市販の出発物質から得られる、2のようなN−Boc保護3−カルボ
キシ4−エノールトリフラートから出発すること、(2)次に、2の、種々の置
換アリー
ルとヘテロアリールのボロン酸1aとトリアルキルスタンナン1bとのパラジウ
ム媒介結合、(3)次の水素化によって、(±)−シス異性体4を得ること、及
び(4)4の塩基触媒エピマー化によって、(±)−トランス異性体6を得るこ
と。この方法により、4−位置に種々の基を導入でき、シス又はトランスの立体
化学を可能とし、更なる官能基化のための3−カルボキシレートを含む。次に、
これらのピペリジンを、モジュラー形式でより複雑な物質に製造できる。例えば
臭化物10との反応により11を製造できる。
より詳細には、N−Boc3−カルボキシエチル4−ピペリジノンと、トリエ
チルアミン及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物との反応から得られるビニ
ルトリフラート2を、Pd触媒下、フェニルボロン酸及びフェニルトリメチルス
ズと良好な収率で結合させた。得られたα,β−不飽和エステル3を水素とPd
−Cで還元して、(±)−シス鏡像体対4を得た。この段階で、幾つかの経路を
検討した。即ち、(1)(±)−シスラセミ体4を脱保護して5を得、ブロモブ
チル5−クロロサッカリン8でアルキル化して9(±)−シスを得た、(2)ナ
トリウムエトキシドを使用して、ジエカトリアル異性体への
エピマー化を介し、(±)−シス鏡像体対4を(±)−トランス6へ変換し、得
られた6(±)−トランスを脱保護して7を得、8でアルキル化して9c(±)
−トランスを得た、(3)正常相キラルHPLCを用いて、(±)−シス鏡像体
4の混合物を分離して4a(−)−シス及び4b(+)−シスを得、次に4aを
脱保護し5aを得、8でアルキル化して9a(−)−シスを得た。最後に、正常
相キラルHPLCを再度用いて、鏡像体混合物9(±)−シスを分離し、9a(
−)−シス及び9b(+)−シスを得た。
ピペリジンの代わりに対応するピペラジン酸(piperazicacid)への置換は、
スキーム2で概略を示したように容易に可能である。12のBOCジイミドとの
ディールスーアルダー反応によりピペラジン酸誘導体13を得る。次に、塩基処
理により、オレフィンを共役化して14を得た。次のフェニル第一銅添加、続い
て妨害の少ない面からのプロトン化により、(±)−シス付加化合物15を得る
。塩基触媒エピマー化により、対応する(±)−トランスジアステレオマー17
を得る。次に、各ピペラジン酸誘導体は、脱保護後、例えばブロモブチル5−
クロロサッカリン8でアルキル化して、所望の付加化合物19及び20を得るこ
とができる。
本発明を更に明確にするために以下の実施例を記載するが、本発明を実施例と
いう特定例に限定するものではない。
実施例1 (3R*,4R*)−N−(3−カルボキシエチル−4−フェニル)ピペリジン− 1−イル)ブチル]−5−クロロ−1−スルホベンズイミド塩酸塩
DMF(1mL)中の、シス3−カルボキシエチル−4−フ
ェニルピペリジン塩酸塩(34mg,0.126mmol)と4−ブロモブチル
−5−クロロ−1−スルホベンズイミド(55mg,0.152mmol)の溶
液を、室温で(4日)N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.168mL,
0.968mmol)で処理し、次に真空濃縮し、残渣をEtOAc(20mL
)に溶解し、飽和NaHCO3(5mL)、H2O(2×5mL)、及びNaCL
飽和水溶液(5mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空濃縮した。分取H
PLC(Vydac;C18;直径=1インチ;長さ=25cm;グラジエント
=CH3CN[0.1%TFA]−H2O[0.1%TFA],5%−95%,9
5−5%,60分間,流速8mL/分)により、シスN−[(3−カルボキシエ
チル−4−フェニル)ピペリジン−1−イル)ブチル]−5−クロロ−1−スル
ホベンズイミドトリフルオロ酢酸塩を油状物として得た。HCl飽和EtOAc
溶液(50mL)を室温で(1時間)シスN−[(3−カルボキシエチル−4−
フェニル)ピペリジン−1−イル)ブチル]−5−クロロ−1−スルホベンズイ
ミドトリフルオロ酢酸塩に加え、次にEtOAcを真空除去し、シスN−[(3
−カルボキシエチル−4−フェニル)ピペリジン−1−イル)
ブチル]−5−クロロ−1−スルホベンズイミド塩酸塩を白色固体として得た。
1H NMR(CDCl3,400MHz)d8.03(s,1H),7.84
(s,2H),7.31(m,3H),7.19(m,2H),4.02(m,
4H),3.82(br s,3H),3.33(m,4H),3.10(m,
2H),2.96(m,1H),2.74(m,1H),2.10(m,1H)
,1.96(m,2H),1.05(t,3H,J=6.9Hz)。
FABLRMS(MeOH中、3:1 ジチオトレイトール:ジチオエリトリ
トールの混合物)m/e505g/モル(M++H,C25H29N2O5SCl=5
05.0g/モル)
HPLC(Vydac;C18;直径=4.6mm;長さ=15cm;グラジ
エント=CH3CN[0.1%TFA]−H2O[0.1%TFA],5%−95
%,95−5%,20分間,流速1.5mL/分;RT=7.8分;焦点=21
5nm;純度98.1%)。
分析:C25H29N2O5SCl・HCl・0.95H2Oとしての計算値C=5
3.75,H=5.76,N−5.01;
実測値C=53.74,H=5.57,N=4.88。
正常相キラルHPLC(キラルセルOD,2.5cm×25cm,65ヘキサ
ン/35 2−プロパノール/0.2 ジエチルアミン,2.5mL/分)を用
い、鏡像体混合物を分離した。各鏡像体は同一の分光学的性質を有したが、施光
は逆であった。同様のHPLC条件(キラルセルOD,4.6mm×25cm,
65ヘキサン/35 2−プロパノール/0.2ジエチルアミン,0.7mL/
分)を用い、キラル純度を評価した。(−)−シス鏡像体,化合物9a,RT−
8.97分;(+)−シス鏡像体,化合物9b,RT=10.02分。
実施例2 (3S*,4R*)−N−[(3−カルボキシエチル−4−フェニル)ピペリジン −1−イル)ブチル]−5−クロロ−1−スルホベンズイミドトリフルオロ酢酸 塩
DMF(1mL)中の、トランス3−カルボキシエチル−4−フェニルピペリ
ジン塩酸塩(39mg,0.145mmol)と4−ブロモブチル−5−クロロ
−1−スルホベンズイミド(63mg,0.174mmol)の溶液を、室温で
(2日)N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.192mL,1.
10mmol)で処理した。溶媒を真空除去し、残渣をEtOAc(20mL)
に溶解し、飽和NaHCO3(5mL)、H2O(2×5mL)、及びNaCL飽
和水溶液(5mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空濃縮した。分取HP
LC(Vydac;C18;直径=1インチ;長さ=25cm;グラジエント=
CH3CN[0.1%TFA]−H2O[0.1%TFA],35%−65%,6
5−35%,30分間;焦点235nm;流速8mL/分)により、トランスN
−[(3−カルボキシエチル−4−フェニル)ピペリジン−1−イル)ブチル]
−5−クロロ−1−スルホベンズイミドトリフルオロ酢酸塩を白色固体として得
た。
1H NMR(CD3OD,400MHz)d8.10(m,2H),8.02
(dd,1H,J=4.4,11.2Hz),7.32(m,2H),7.25
(m,3H),3.93(m,5H),3.70(m,1H),3.31(m,
2H),3.29(m,2H),3.05(m,2H),2.11(br s,
2H),1.94(br s,4H),0.89(m,3H)。
FABLRMS(MeOH中、3:1 ジチオトレイトール:ジチオエリトリ
トールの混合物)m/e505g/モル(M+
+H,C25H29N2O5SCl=505.0g/モル)
HPLC(Vydac;C18;直径=4.6mm;長さ=15cm;グラジ
エント=CH3CN[0.1%TFA]−H2O[0.1%TFA],5%−95
%,95−5%,20分間,流速1.5mL/分;RT−9.41分;焦点=2
15nm;純度95.1%)。
分析:C25H29N2O5SCl−C2H2F3・0.90H2Oとしての計算値C=
48.11,H=4.75,N=4.02;実測値C=48.08,H=4.6
2,N=4.36。
実施例3
25℃のTi(OiPr)4(0.12mL)中のアミン(80.0mg,0
.3422mmol)とケトン(110.0mg,0.3422mmol)の混
合物を、アルゴン下撹拌し(50分間)、次にEtOH(2mL)で希釈し、シ
アノホウ水素化ナトリウムを細分割して加えた。泡立ちが観察された。tlcに
よって判定して反応が完了した後(アミンの消費)、反応混合液を真空濃縮した
。得られた残渣をEtOAc(25mL)に溶解し、濾過し、真空濃縮した。ク
ロマトグラフィー(PCTLC,SiO2,2mm,CHCl3−95/5/0.
5 CH3OH−CHCl3−NH4OH)により、アルキル化生成物21を得た
。NMRは構造に一致した。Vydac;C18;直径=4.6mm;長さ=1
5cm;グラジエント=CH3CN[0.1%TFA]−H2O[0.1%TFA
],5%−95%,95%−5%,20分間,RT=10.45分。分析 0.
15CH2Cl2溶媒和物の計算分子量=559.968/モル,計算値C=75
.60%,H=7.65%,N−5.00%,実測値C=75.50%,H=7
.46%,N=5.07%。
実施例4
経口用組成物の特定の具体例として、実施例1に記載の化合
物9a 100mgを十分に細分した乳糖と一緒に処方して、合計量580〜5
90mgを得、サイズOの硬ゲルカプセルを充填する。
実施例5 スクリーニングアッセイ:アルファ1aアドレナリンレセプター結合
安定にトランスフェクトされたヒトα1a細胞系(ATCCCRL 1114
0)から調製した膜を用い、ヒトアルファ1aアドレナリンレセプターに結合す
る化合物を同定した。これらの競合結合反応液(総容量=200μL)は、50
mM Tris−HCl pH7.4、5mM EDTA、150mM NaC
l、100pM[125I]−HEAT、α1a細胞系から調製した膜、及び増加
量の非標識リガンドを含んでいた。反応液を、室温で1時間振蕩しながらインキ
ュベートした。Inotec96穴細胞回収器を用いワットマンGF/Cガラスファイ
バーフィルターで、反応液を濾過した。フィルターを、氷冷緩衝液で3回洗浄し
、結合した放射活性を測定した(Ki)。本発明の代表的化合物は、150nM
以下のKi値を有することが知見された。
実施例6 選択的結合アッセイ
安定にトランスフェクトされたヒトα1d及びα1b細胞系(それぞれATC
C CRL 11138及びCRL 11139)から調製した膜を用い、ヒト
アルファ1aアドレナリンレセプターに選択的に結合する化合物を同定した。こ
れらの競合結合反応液(総容量=200μL)は、50mM Tris−HCl
pH7.4、5mM EDTA、150mM NaCl、100pM[125I
]−HEAT、それぞれのアルファ1サブタイプ発現プラスミドでトランスフェ
クトされた細胞系から調製した膜、及び増加量の非標識リガンドを含んでいた。
反応液を、室温で1時間振蕩しながらインキュベートした。Inotec 96穴細胞
回収器を用いワットマンGF/Cガラスファイバーフィルターで、反応液を濾過
した。フィルターを、氷冷緩衝液で3回洗浄し、結合した放射活性を測定した(
Ki)。
実施例7 典型的逆スクリーン 1.アッセイ標題
:ドーパミンD2、D3、D4インビトロスクリーン
アッセイの目的
このアッセイの目的は、ヒトドーパミンレセプターD2、D3又はD4を発現
している細胞への[3H]スピペロンの結合に特異的に影響を与える薬剤を除去
することである。方法:
VanTolら、Nature(Vol 350)Pg610-613の方法を改変した。
クローン化細胞系で安定に発現している特異的ドーパミンレセプターサブタイ
プを含む凍結ペレットを、溶解緩衝液(10mM Tris−HCl/5mM
Mg,pH7.4)2mL中で溶解させる。これらの膜を遠心した後(24,4
50rpmで15分)得られたペレットを、EDTA、MgCl[2]、KCl
、NaCl、CaCl[2]及びアスコルビン酸を含む50mM Tris−H
Cl pH7.4に再懸濁させ、1mg/mLの懸濁液を得る。0.2nM[3
H]−スピペロンを含む総容量500μL中に膜50〜75μgを添加すること
によってアッセイを開始する。非特異的結合は、10μMアポモルフィンを用い
決定する。室温で2時間インキュベードした後、50mM Tris−HCl
pH7.4を用い、0.3%PEI中に予め浸したGF/Bフィルター上での急
速濾過により、
アッセイを止める。2.アッセイ標題:
セロトニン5HT1a
アッセイの目的
このアッセイの目的は、クローン化ヒト5HT1aレセプターへの結合に特異
的に影響を与える薬剤を除去することである。方法:
Schelegel 及び Peroutka、Biochemical Pharmacology35:1943-1949(1986)に
記載の方法を改変した。
クローン化ヒト5HT1aレセプターを発現している哺乳動物細胞を、氷冷5
mM Tris−HCl、2mM EDTA(pH7.4)中に溶解させ、ポリ
トロンホモゲナイザーでホモゲナイズする。ホモゲネートを1000×gで30
分間遠心し、次に上清を38,000×gで30分間遠心する。結合アッセイ液
は、50mM Tris−HCl中0.25nM[3H]8−OH−DPAT(
8−ヒドロキシ−2−ジプロピルアミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタ
レン)、4mM CaCl2及び1mg/mLアスコルベートを含んでいた。非
特異的結合を、10μMプロプラノロールを用い決定する。室温で1時間インキ
ュベート後、GF/Cフィルター上での急速濾
過により、アッセイを停止する。
実施例8 典型的機能アッセイ
ヒトアルファ1aアドレナリンレセプターのための化合物の特異性を確認し、
化合物の生物活性を決定するために、以下の機能試験を行いうる。
1.インビトロ ラット、イヌ、及びヒト前立腺及びイヌ尿道
体重250〜400gの Taconic Farms Sprague-Dawley オスラットを、麻酔
下(メトヘキシタール:50mg/kg,i.p.)首脱臼により殺す。下腹部を切
開し、前立腺腹葉を除去する。雑種イヌから採取した各前立腺を、尿道開口部に
そって縦に6〜8切片に切り、必要ならば使用前に氷冷した酸素化クレブス液中
で保存する。前立腺に近いイヌ尿道を、約5mmの環に切断し、次に環状筋肉の
収縮性測定のために切開する。前立腺過形成の尿道を含む手術からのヒト前立腺
切片も、必要ならば氷冷クレブス液中で一晩保存する。
37℃に温めた酸素化クレブス液[NaCl,118mM;KCl,4.7m
M;CaCl2,2.5mM;KH2PO4,1.2mM;MgSO4,1.2mM
;NaHCO3,2.0
mM;デキストロース,11mM]を含むペトリ皿に組織を入れる。過剰の脂質
物質と結合組織を注意深く除去する。組織セグメントを、4−0手術用絹糸を用
いガラス組織ホルダーに結合させ、5%CO2/95%O2を通気した37℃のク
レブス緩衝液を含む5mLの覆いの有る組織浴に入れる。組織をStatham-Gould
フォーストランスジューサーに連結する。張力1g(ラット、ヒト)又は1.5
g(イヌ)を適用し、組織を1時間平衡化させる。収縮を、Hewlett-Packard 77
00 シリーズストリップチャートレコーダーで記録する。
3μM(ラット)、10μM(イヌ)及び20μM(ヒト)のフェニルエフリ
ンの第1の単一投与後、アゴニストに対する累積的濃度応答曲線を作製する。組
織を1時間中に10分毎に洗浄する。ビヒクル又はアンタゴニストを浴に加え、
1時間インキュベートし、次に別の、上記アゴニストに対する累積的濃度応答曲
線を作製する。
EC50値を、GraphPad Inplot ソフトウエアを用い各群で計算する。3個以上
の濃度を試験したときに、pA2(−IogKb)値をSchildプロットから得た。
3個未満の濃度のアンタゴニストを試験したとき、式Kb=[B]/x−1(X
は、
アンタゴニストの存在下及び不存在下でのアゴニストのEC50の比であり、[B
]はアンタゴニスト濃度である)に基づきKb値を計算した。2.麻酔イヌの尿道内圧力の測定
目的:前立腺過形成は、尿流量速度を減少させるが、それは、前立腺体積の増加
による前立腺尿道の受動物理的障害及び前立腺収縮による能動障害によって生じ
うる。プラゾシンやテラゾシンなどのアルファアドレナリンレセプターアンタゴ
ニストは能動的前立腺収縮を防止し、尿流量速度を改善し、男性の症状を軽減さ
せる。しかし、これらは、血管への影響も示した非選択的アルファ−1レセプタ
ーアンタゴニストである。本発明者らは、ヒト前立腺における主要サブタイプと
してアルファ−1aレセプターサブタイプを同定したので、脈管構造における付
随変化なしに前立腺収縮を阻害するためにこのレセプターを特異的に標的とする
ことが現在可能である。以下のモデルを用い、選択的アルファアドレナリンレセ
プターアンタゴニストの効力と能力を評価するために、麻酔イヌでの尿道内圧力
及び動脈圧におけるアドレナリン媒介変化を測定する。ゴールは、1)前立腺/
尿道収縮に関与するアルファ−1レセプターサブタイプ
の同定、及び2)このモデルを用い、新規選択的アルファアドレナリンアンタゴ
ニストを評価することである。新規及び標準的アルファアドレナリンアンタゴニ
ストをこの方法で評価しうる。
方法:オスの雑種イヌ(7〜12kg)をこの研究に用いる。イヌをペントバル
ビタールナトリウム(35mg/kg,i.v.プラス4mg/kg/時間 i
v点滴)で麻酔する。気管内チューブを挿入し、Harvard instruments positive
displacement 大動物換気装置を用いて室内空気を動物に通気する。動脈圧の測
定と薬剤の投与のためにそれぞれ大腿動脈を介し大動脈に、及び大腿静脈を介し
大静脈に(2本のカテーテル、各静脈に1本ずつ)カテーテル(PE240又は
260)を挿入する。ペニスの側面約1/2インチの恥骨上部切開をし、尿管、
膀胱及び尿道をむき出す。尿が自由にビーカーに流れるように、尿管を連結し、
カニューレを挿入する。膀胱の円蓋をひっこめさせ、近位及び遠位尿道の切開を
容易にする。腹部中心のテープを膀胱頚部での尿道の下に通し、別の腹部中心の
テープを前立腺から約1〜2cm離れた遠位尿道の下に置く。膀胱を切開し、Mi
llar ミクロチップ圧力トランスジューサーを
尿道内に入れる。膀胱切開を2−0又は3−0絹糸で縫合し(財布のひも状縫合
)、トランスジューサーを支える。トランスジューサーのチップを前立腺尿道に
入れ、Millar カテーテルの位置を、前立腺を穏やかに握って、尿道圧力におけ
る大きな変化に注意して確かめる。
アルファ−1アドレナリンアゴニストであるフェニルエフリンを投与し(0.
1−100μg/kg,iv;0.05mL/kg容量)、尿道内圧力と動脈圧
の変化のための投与量応答曲線を作製する。アルファアドレナリンアンタゴニス
ト(又はビヒクル)の投与量を増加させて投与した後、動脈圧と尿道内圧力への
フェニルエフリンの効果を再評価する。4種又は5種のフェニルエフリン投与量
応答曲線を各動物で作製する(対照一つ、アンタゴニスト又はビヒクルの3種又
は4種の投与)。動脈圧と尿道内圧力におけるフェニルエフリン誘導変化におけ
る関連アンタゴニスト効力を Schild 分析で測定する。平均曲線の一群は、曲線
間で一定である、傾き、最小応答及び最大応答を束縛する4種のパラメーターの
ロジスティック式に同時に合致する(ALLFITソフトウエアパッケージを使
用する)。アンタゴニスト投与量の投与量比(対照の投与量−応答曲線の
右方シフト)は、それぞれの曲線のED50の比から計算する。次に、これらの投
与量−比を用いてSchildプロットを作製し、Kb(μg/kg,ivとして表示
)を決定する。Kb(フェニルエフリン投与量−応答曲線の2倍右方シフトを引
起すアンタゴニストの投与量)を用い、尿道内圧力と動脈圧へのフェニルエフリ
ン応答の阻害におけるアンタゴニストの相対的効力を比較する。相対的選択性は
、動脈圧と尿道内圧力Kbの比として計算する。ベースラインの動脈圧における
アルファ−1アンタゴニストの効果も監視する。動脈圧と尿道内圧力における変
化でのアンタゴニストの相対的効力の比較により、尿道内圧力が増加するのに関
与するアルファレセプターサブタイプが全身的脈管構造にも存在するかどうかに
ついての洞察ができる。この方法により、脈管構造に全く活性を有せずにフェニ
ルエフリンに対する尿道内圧力の増加を防止するアルファ1aアドレナリンレセ
プターアンタゴニストの選択性を確認できる。
上記明細書は本発明の原理を教示し、実施例は例示のために記載したが、本発
明の実施は、通常の変化、適応及び/又は改変の全てを包含し、以下の請求の範
囲及びそれらの均等物の範囲内であることが理解されよう。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ,BB
,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,EE,GE,
HU,IL,IS,JP,KG,KR,KZ,LK,L
R,LT,LV,MD,MG,MK,MN,MX,NO
,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,SK,TJ,
TM,TR,TT,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 ボツク,マーク・ジー
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
(72)発明者 フレイデインガー,ロジヤー・エム
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126