JPH11352720A - トナー - Google Patents

トナー

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Publication number
JPH11352720A
JPH11352720A JP15509498A JP15509498A JPH11352720A JP H11352720 A JPH11352720 A JP H11352720A JP 15509498 A JP15509498 A JP 15509498A JP 15509498 A JP15509498 A JP 15509498A JP H11352720 A JPH11352720 A JP H11352720A
Authority
JP
Japan
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wax
toner
component
binder resin
weight
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Pending
Application number
JP15509498A
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English (en)
Inventor
Satoshi Matsunaga
聡 松永
Ganichi Endo
巌一 遠藤
Tadashi Michigami
正 道上
Yuichi Mizoo
祐一 溝尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP15509498A priority Critical patent/JPH11352720A/ja
Publication of JPH11352720A publication Critical patent/JPH11352720A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワックスが結着樹脂中に均一に分散されてお
り、粉砕性が良好で、定着性,耐オフセット性,耐ブロ
ッキング性及び多数枚耐久性等に優れたトナーを提供す
ることにある。 【解決手段】 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワック
スを含有するトナーにおいて、該結着樹脂が、 成分(i):ビニル系共重合体を形成するための芳香族
ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマ
ー、カルボキシル基を有するビニル系モノマー 成分(ii):ポリエステル樹脂を形成するための酸成
分及びアルコール成分 成分(iii):ワックス を少なくとも含有する混合物を使用し、 該混合物中の成分(i)のモノマーを重合してビニル
系共重合体(A)を生成し、次いで、ワックス及び該
ビニル系共重合体成分の存在下で成分(ii)の酸成分
及びアルコール成分を重縮合してポリエステル成分
(B)を生成することにより調製された樹脂成分であ
り、かつ、ビニル系共重合体とポリエステル樹脂との反
応生成物(C)を含有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法,静電
記録法,静電印刷法,トナージェット方式記録法などを
利用した記録方法に用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法としては米国特許第2,29
7,691号明細書、特公昭42−23910号公報及
び特公昭43−24748号公報に記載されている如く
多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利
用し、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成し、
次いで該静電荷像をトナーを用いて現像し、必要に応じ
て紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱,圧
力,加熱加圧或いは溶剤蒸気により定着し、トナー画像
を得るものである。
【0003】上述の最終工程であるトナー像を紙の如き
シートに定着する工程に関して種々の方法や装置が開発
されているが、現在最も一般的な方法は熱ローラー又は
耐熱フィルムを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱方
式である。
【0004】加熱ローラーによる圧着加熱方式は、トナ
ーに対し離型性を有する熱ローラーの表面と被定着シー
トのトナー像面を加圧下で接触しながら被定着シートを
通過せしめることによりトナー像の定着を行なうもので
ある。この方法は熱ローラーの表面と被定着シート上の
トナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を被定着
シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅
速に定着を行うことができる。
【0005】加熱ローラー表面とトナー像とが溶融状
態,加圧下で接触する為に、トナー像の一部が定着ロー
ラー表面に付着し転移し、次の被定着シートにこれが再
転移し、被定着シートを汚す、オフセット現象が定着速
度,定着温度の影響を大きく受ける。一般に定着速度が
遅い場合は、加熱ローラーの表面温度は比較的低く設定
され、定着速度が速い場合は、加熱ローラーの表面温度
は比較的高く設定される。これは、トナーを定着させる
為に加熱ローラーからトナーに与える熱量を、定着速度
によらずほぼ一定にするためである。
【0006】被定着シート上のトナーは、何層かのトナ
ー層を形成している為、特に定着速度が速く、加熱ロー
ラーの表面温度が高い系においては、加熱ローラーに接
触するトナー層と、被定着シートに接触している最下層
のトナー層との温度差が、大となる為に、加熱ローラー
の表面温度が高い場合には、最上層のトナーがオフセッ
ト現象を起こしやすく、加熱ローラーの表面温度が低い
場合は、最下層のトナーは十分に溶けない為に、被定着
シートにトナーが定着せず低温オフセットという現象が
起きやすい。
【0007】この問題を解決する方法として、定着速度
が速い場合には、定着時の圧力を上げ、被定着シートへ
トナーをアンカーリングさせる方法が、通常行われてい
る。この方法だと、加熱ローラー温度をある程度下げる
ことができ、最上トナー層の高温オフセット現象を防ぐ
ことは可能となる。しかし、トナーにかかるせん断力が
非常に大となる為に、被定着シートが定着ローラーに巻
きつき、巻きつきオフセットが発生したり、定着ローラ
ーから被定着シートを分離するための分離爪の分離あと
が定着画像に出現しやすい。さらには、圧力が高いがゆ
えに、定着時にライン画像が押しつぶされたり、トナー
が飛び散ったりして定着画像の画質劣化を生じ易い。
【0008】従来、トナー用樹脂としてはポリエステル
樹脂及びスチレン系樹脂などのビニル系共重合体が主に
使用されている。ポリエステル樹脂は低温定着性に優れ
た性能を有しているが、その反面高温でのオフセット現
象を発生しやすいという欠点を有すると言われ、この欠
点を補うためにポリエステル樹脂の分子量を上げて粘弾
性特性を改良する試みが行なわれてきたが、トナー製造
時の粉砕性を悪化させる傾向があり、トナーの微粒子化
に適用するには改善が求められていた。
【0009】またスチレン系樹脂などのビニル系共重合
体は、トナー製造時の粉砕性に優れ、高分子量化が容易
なため耐高温オフセット性には優れているが、低温定着
性を向上させるために低分子量化したり、ガラス転移温
度を下げたりと耐ブロッキング性や現像性が悪化してし
まうという問題点があった。
【0010】これら2種類の樹脂の長所を有効に生か
し、欠点を補うためにこれらの樹脂を混合して使用する
方法もいくつか検討されている。
【0011】例えば、特開昭54−114245号公報
では、ポリエステル樹脂とビニル系共重合体を混合した
樹脂を含有するトナーが開示されている。
【0012】特開昭56−116043号公報、特開昭
58−159546号公報では、ポリエステル樹脂の存
在下で単量体を重合して得られる重合体を含有すること
を特徴とするトナーが開示されている。
【0013】また、特開昭58−102246号公報、
特開平1−156759号公報では、不飽和ポリエステ
ル存在下でビニル系共重合体を重合して得られる重合体
を含有することを特徴とするトナーが開示されている。
【0014】しかしながら、ポリエステル樹脂とビニル
系共重合体とは化学的な構造が大きく異なるために相溶
性が悪く、低温定着性、耐高温オフセット性、耐ブロッ
キング性をすべて満足するものとするのは難しい。
【0015】また、トナー製造時に添加される種々の添
加剤、特にワックスの均一分散が困難でありトナーの定
着性能ばかりでなく、現像性にも問題が生じやすく、特
に近年、微粒子化が進んでいるトナーにおいてはこの問
題が顕著となる。
【0016】特開平2−881号公報では、ポリエステ
ル樹脂、スチレン系樹脂及び両者をエステル化して得た
ブロック重合体を含有する相分離した海島構造を有する
トナー用結着樹脂が開示されている。
【0017】上述の結着樹脂では、ブロック重合体を含
有することでポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の相分
離状態が安定するとしているが、ブロック重合体の存在
を直接確認したわけではない。また、結着樹脂製造時あ
るいはトナー製造時にワックスを添加するが、相分離し
た結着樹脂のためにワックス近傍の性質が大きく異な
り、ワックスの分散粒度、粒度分布ともに制御すること
は困難である。この様な結着樹脂をトナーに用いた場合
には定着性ばかりでなく、現像性においても未だ改良す
べき課題を残している。
【0018】特開平7−98518号公報では、各々独
立した反応経路を有する2つの重合系の原料モノマー、
これらのいずれとも反応し得る化合物及び3価以上のカ
ルボン酸を予め混合して一つの反応容器中で並行して重
合することにより製造される結着樹脂が開示されてい
る。
【0019】しかし上述の結着樹脂では、トナーのオフ
セット防止剤となるワックスを添加することは考慮され
ていない。また、2つの重合系の原料モノマーいずれと
も反応し得る化合物が実際に反応している確証がなく、
1種の重合体の製造にのみ重合体に分岐または架橋構造
を与えると推定される化合物が使用されるために、両者
の分子量分布に大きな差が生じる。従って、2種の重合
体の組成が不均一になりやすく、トナーの製造工程でワ
ックスを添加してもその分散粒度・分布を制御すること
は困難であり、更に粉砕工程では不均一な組成により粉
砕粒度がブロードになりやすく、未だ改良すべき課題を
残している。
【0020】特開平7−28725号公報では、ポリエ
ステルとビニル系樹脂のブレンド物からなり、特定の分
子量分布を有する結着樹脂を用い、融点が110〜17
0℃のワックスが2μm以下で分散されたトナーが開示
されている。
【0021】しかし上述のトナーでは、結着樹脂がポリ
エステルとビニル系樹脂の単純なブレンド物であること
から、ワックスの分散状態がワックスの存在する周囲の
樹脂の組成比に影響され易く、均一な粒度に分散するこ
とは困難であり、未だ改良すべき課題を残している。
【0022】複写機、プリンターともに画像の解像度及
び鮮鋭度の向上を求められており、これにはトナーの小
粒径化が有効であるが、ハーフトーン部の定着性が悪化
する傾向にある。これは、本発明者の検討によれば、ハ
ーフトーン部分のトナーの載り量が少ないことによるも
のであり、熱ロール定着器を使用する高速機及び耐熱フ
ィルムを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱方式を使
用する中〜低速機において顕著である。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の如き
問題点を解決したトナーを提供するものである。
【0024】即ち、本発明の目的は、ワックスが結着樹
脂中に均一に分散されたトナーを提供するものである。
【0025】本発明の目的は、トナーに含有されるワッ
クスが融点及び相溶性の異なる複数のポリエチレンワッ
クス、炭化水素系ワックスであっても、結着樹脂中に均
一に分散されたトナーを提供するものである。
【0026】本発明の目的は、粉砕性が良好であり、粉
砕粒度がシャープなトナー用結着樹脂を提供するもので
ある。
【0027】本発明の他の目的は、着色剤(特に磁性
体)の含有量が増大した小粒径化したトナーの結着樹脂
に使用した場合でも、良好なハーフトーン部の定着性を
示すトナーを提供するものである。
【0028】本発明の他の目的は、熱ロール定着器を使
用する高速機及び耐熱フィルムを介した固定発熱ヒータ
による圧着加熱方式を使用する中〜低速機であっても良
好な低温定着性を示し、かつ高温までオフセットが生じ
ることのない広い定着温度領域を示すトナーを提供する
ものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも結
着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナーにおい
て、該結着樹脂が、 成分(i):ビニル系共重合体を形成するための芳香族
ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマ
ー、カルボキシル基を有するビニル系モノマー 成分(ii):ポリエステル樹脂を形成するための酸成
分及びアルコール成分 成分(iii):ワックス を少なくとも含有する混合物を使用し、 該混合物中の成分(i)のモノマーを重合してビニル
系共重合体(A)を生成し、次いで、ワックス及び該
ビニル系共重合体成分の存在下で成分(ii)の酸成分
及びアルコール成分を重縮合してポリエステル成分
(B)を生成することにより調製された樹脂成分であ
り、かつ、ビニル系共重合体とポリエステル樹脂との反
応生成物(C)を含有することを特徴とするトナーに関
する。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明者の検討によれば、着色剤
(特に磁性体)の含有量が増加した小粒径化したトナー
で、定着器の加熱方式によらずハーフトーン画像でも良
好な低温定着性を示し、オフセット発生温度が高く、オ
フセットしないトナーを得るためには、トナーの結着樹
脂に含有されるワックスが微小な粒度に分散されるだけ
でなく、適当な粒度分布を有することが重要である。
【0031】本発明者の検討によれば、ワックスはビニ
ル系共重合体に対しては比較的容易に良好な分散粒度及
び粒度分布を達成することが可能であるが、ポリエステ
ル樹脂に対しては良好な分散状態を達成することは困難
である。
【0032】従来から知られているポリエステル樹脂と
ビニル系共重合体のブレンド物またはブレンド物と推定
される樹脂組成物を結着樹脂とするトナーにおいては、
ワックスは添加しないか、または特定の融点を有するワ
ックスあるいは特定の酸化を有する主に天然物を原料と
するワックスを添加するものである。
【0033】これらのワックスを用いた場合は、ある程
度微小な粒度に分散することは可能である。しかし、結
着樹脂の主成分であるビニル系共重合体とポリエステル
樹脂が均一に混合されているわけではないので、ワック
ス近傍における結着樹脂組成が必ずしも均一とはいえ
ず、分散しているワックスの粒度分布がブロードとなり
やすかった。従って、トナーの定着性に関してはある程
度改善されるものの、トナーの定着性ばかりでなく、現
像性にも多大な影響を及ぼす可能性のあるワックスの分
散粒度と粒度分布を評価するという観点からの評価では
なかった。
【0034】本発明者の検討によれば、結着樹脂がビニ
ル系共重合体とポリエステル樹脂を主成分として含有す
るトナーにおいて、ワックスの分散粒度ばかりでなく、
粒度分布まで制御するためには、従来から知られている
トナーの混練工程でワックスを添加する方法では不十分
であり、また結着樹脂の製造工程でワックスを添加する
だけでは結着樹脂の主成分であるビニル系共重合体とポ
リエステル樹脂が均一に混合されているわけではないの
で、上述した理由によりワックスの分散は必ずしも充分
とはいえない。
【0035】ワックスの分散状態をより改善するために
は、結着樹脂の製造工程でワックスを添加するだけでな
く、結着樹脂に特定の化学構造を有するビニル系共重合
体とポリエステル樹脂の反応生成物が一定量含有される
ことが重要である。ビニル系共重合体とポリエステル樹
脂の反応生成物が含有されることにより、ビニル系共重
合体とポリエステル樹脂の混合が促進される理由は明確
ではないが、両者の界面に集中的に配置されるためと推
察される。
【0036】本発明のトナーにおいて、ビニル系共重合
体とポリエステル樹脂の反応生成物は結着樹脂の製造工
程で副生成物として生成する可能性もあるが、結着樹脂
に対する含有量を制御するためには、カルボキシル基を
有するビニル系モノマーとポリエステル樹脂のアルコー
ル成分として使用されるアルコールとのエステル化反応
により得られるモノマーを使用するほうが好ましい。
【0037】本発明のビニル系共重合体を形成するため
の芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、
o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレ
ン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレ
ン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシル
スチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニル
スチレン、p−n−デシルスチレン、p−メトキシスチ
レン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン
等が挙げられる。
【0038】本発明のビニル系共重合体を形成するため
のカルボキシル基を有するビニル系モノマーとしては、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モ
ノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル等が挙げ
られる。
【0039】本発明のトナーにおけるビニル系共重合体
とポリエステル樹脂との反応生成物は、以下に示すビニ
ル系モノマーのエステル化物を原料として製造される。 (a)アクリル酸エステル (b)メタクリル酸エステル (c)フマル酸モノエステルまたはジエステル (d)マレイン酸モノエステルまたはジエステル
【0040】具体的なビニル系モノマー(a)〜(d)
のエステル化物を例示する。
【0041】
【化1】
【0042】
【化2】
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】本発明のトナーにおいて、ビニル系共重合
体は、芳香族ビニルモノマーを50乃至90重量%、好
ましくは60乃至85重量%含有する場合であり、(メ
タ)アクリル酸エステルモノマーを8乃至40重量%、
好ましくは10乃至30重量%含有する場合であり、カ
ルボキシル基を有するビニル系モノマーを2乃至20重
量%、好ましくは5乃至15重量%含有する場合であ
る。
【0046】芳香族ビニルモノマーの含有量が90重量
%超となる場合には、共重合する(メタ)アクリル酸エ
ステルモノマー及びカルボキシル基を有するビニル系モ
ノマーの組成によらず、トナーの低温定着性が損なわれ
ることがあり好ましくない。また、芳香族ビニルモノマ
ーの含有量が50重量%未満となる場合には、共重合す
る(メタ)アクリル酸エステルモノマー及びカルボキシ
ル基を有するビニル系モノマーの組成によらず、トナー
の耐ブロッキング性が損なわれることがあり好ましくな
い。
【0047】本発明のトナーにおいて、ビニル系共重合
体は、重量平均分子量(Mw)が2000乃至2000
0、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)
が1.5乃至50、ピーク分子量(Mp)が1500乃
至15000であればよいが、好ましくはMwが300
0乃至15000、Mw/Mnが2乃至40、Mpが2
500乃至12000となる場合であり、更に好ましく
はMwが4000乃至12000となり、Mw/Mnが
3乃至35、Mpが4500乃至10000となる場合
である。
【0048】Mwが2000未満、Mw/Mnが1.5
未満又はMpが1500未満となる場合には、トナーの
耐オフセット性が悪化する場合があり好ましくない。ま
た、Mwが20000超、Mw/Mnが50超、Mpが
15000超となる場合には、ポリエステル樹脂との相
溶性が著しく損なわれる場合があり好ましくない。
【0049】本発明のトナーにおいて、ビニル系共重合
体は、ガラス転移温度(Tg)は50乃至80℃であれ
ばよいが、好ましくは52乃至75℃となる場合であ
り、更に好ましくは55乃至70℃となる場合である。
Tgが50℃未満となる場合には、トナーの耐ブロッキ
ング性が損なわれる場合があり好ましくない。また、T
gが80℃超となる場合にはトナーの低温定着性が損な
われる場合があり好ましくない。
【0050】本発明のトナーにおいて、ビニル系共重合
体の酸価(Av)は5乃至35KOHmg/gであれば
よいが、好ましくはAvが7乃至30KOHmg/gと
なる場合であり、更に好ましくはAvが10乃至25K
OHmg/gとなる場合である。Avが5KOHmg/
g未満となる場合には、ポリエステル樹脂との相溶性が
損なわれ好ましくない。また、Avが35KOHmg/
g超となる場合には、ワックスの分散性を損なうことが
あり好ましくない。
【0051】本発明のトナーにおいて、結着樹脂に含有
されるビニル系共重合体(A)、ポリエステル樹脂
(B)及びビニル系共重合体とポリエステル樹脂の反応
生成物(C)の含有量は、重量比でA:B:C=(50
乃至300):(100乃至500):(3乃至50)
であればよいが、好ましくはA:B:C=(80乃至2
50):(150乃至400):(5乃至40)となる
場合であり、更に好ましくはA:B:C=(120乃至
200):(200乃至350):(10乃至30)と
なる場合である。
【0052】ビニル系共重合体とポリエステル樹脂の反
応生成物(C)の含有量が重量比で3未満となる場合に
は、ビニル系共重合体とポリエステル樹脂の含有量によ
らず、均一な相溶状態を保持することができずワックス
の分散及び現像性に悪影響を及ぼす場合があり好ましく
ない。また、ビニル系共重合体とポリエステル樹脂の反
応生成物(C)の含有量が重量比で50超となる場合に
は、ビニル系共重合体とポリエステル樹脂の含有量によ
らず、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂及び反応生
成物の各々が相分離した状態になる場合があり好ましく
ない。
【0053】本発明のトナーにおいて、トナーに含有さ
れる結着樹脂はテトラヒドロフラン(THF)に不溶な
成分を結着樹脂を基準にして5乃至60重量%含有する
ことが好ましく、より好ましくは10乃至55重量%含
有する場合であり、更に好ましくは15乃至50重量%
含有する場合である。もし、5重量%未満となる場合に
は、トナーの耐オフセット性が損なわれる場合があり好
ましくない。また、60重量%超となる場合には、トナ
ーの低温定着性が損なわれると同時にトナーの製造にお
ける粉砕性が悪化する。
【0054】本発明のトナーにおいて、トナーに含有さ
れる結着樹脂はテトラヒドロフラン(THF)に可溶な
成分は、重量平均分子量(Mw)が20000乃至15
00000、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw
/Mn)が10乃至200、ピーク分子量(Mp)が2
000乃至25000であればよいが、好ましくは、M
wが30000乃至1000000、Mw/Mnが15
乃至150、Mpが3000乃至20000となる場合
であり、更に好ましくは、Mwが40000乃至800
000となり、Mw/Mnが20乃至120、Mpが5
000乃至15000となる場合である。
【0055】Mwが20000未満、Mw/Mnが10
未満又はMpが2000未満となる場合には、トナーの
耐オフセット性が悪化する場合があり好ましくない。M
wが1500000超、Mw/Mnが200超又はMp
が25000超となる場合には、トナーの製造における
粉砕性が著しく損なわれる場合があり好ましくない。
【0056】本発明のトナーにおいて、結着樹脂はガラ
ス転移温度(Tg)は50乃至75℃であればよいが、
好ましくは52乃至72℃となる場合であり、更に好ま
しくは55乃至70℃となる場合である。Tgが50℃
未満となる場合には、トナーの耐ブロッキング性が損な
われる場合があり好ましくない。また、Tgが75℃超
となる場合には、トナーの低温定着性が損なわれる場合
があり好ましくない。
【0057】本発明のトナーにおいて、結着樹脂の酸価
(Av)は10乃至40KOHmg/gであればよい
が、好ましくはAvが12乃至35KOHmg/gとな
る場合であり、更に好ましくはAvが15乃至30KO
Hmg/gとなる場合である。Avが10KOHmg/
g未満となる場合には、トナーの現像性が損なわれる場
合があり好ましくない。また、Avが40KOHmg/
g超となる場合にもトナーの現像性が損なうことがあり
好ましくない。
【0058】本発明のビニル系共重合体を形成するため
の(メタ)アクリル酸モノマーとしては、例えば、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プ
ロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブ
チル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ド
デシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル
酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル
酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−
オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェ
ニル等が挙げられる。
【0059】また必要に応じて以下に例示するような架
橋性モノマーで架橋された重合体であってもよい。
【0060】芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビ
ニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキ
ル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、
エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレン
グリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ
アクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレー
ト、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペン
チルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアク
リレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エ
ーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート
化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジア
クリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、
テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレ
ングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレング
リコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコ
ールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートを
メタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及
びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合
物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレ
ート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上
の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの
が挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として例
えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
【0061】これらの架橋性モノマーのうち、トナー用
樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられ
るものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベ
ンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1含む鎖で結ば
れたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0062】本発明において、ビニル系共重合体を製造
する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−ア
ゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニ
トリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレー
ト、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニ
トリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニト
リル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペ
ンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−
メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メ
チル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノ
ンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、2,
2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチル
ハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイ
ド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパー
オキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチ
ルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、
α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)
ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパ
ーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイル
パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリ
オイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジ
カーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカ
ーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、
ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、
ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカー
ボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチル
パーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオ
デカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサ
ノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチ
ルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソ
プロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソ
フタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネー
ト、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、
ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレー
ト,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート等があげられ
る。
【0063】本発明のポリエステル樹脂を形成するため
の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸等のベンゼンジカルボン酸またはその酸無水物;コ
ハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のア
ルキルカルボン酸類またはその酸無水物;またさらに、
炭素数6〜20のアルキル基で置換されたコハク酸もし
くはその酸無水物等が挙げられる。
【0064】本発明のポリエステル樹脂を形成するため
のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−
ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチル
グリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水
素化ビスフェノールA、また下記式で表わされるビスフ
ェノール誘導体;
【0065】
【化5】
【0066】また次式で示されるジオール類;
【0067】
【化6】 等が挙げられる。
【0068】本発明に好ましく用いられるワックスは、
長鎖アルキル基を有する炭化水素からなるものであり、
好ましくは分岐の少ない長鎖アルキル基からなる炭化水
素化合物を主鎖または側鎖として有するワックスであ
り、炭化水素化合物が主鎖を形成するワックスは、具体
的には例えばアルキレンを高圧下でラジカル重合あるい
は低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキ
レンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解
して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素・水素か
らなる混合ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の
蒸留残分またはこれらを水素添加して得られる合成炭化
水素等である。また、炭化水素化合物を側鎖として有す
るワックスは長鎖アルケンとエチレン等のビニル系モノ
マーとを共重合することにより得られ、水酸基,カルボ
キシル基等の置換基有する成分を含有する場合もある。
【0069】本発明に用いられるワックスは、相対的に
融点の低い低融点ワックス成分と融点の高い高融点ワッ
クス成分を混合しても良く、各々のワックスの結着樹脂
成分100重量部に対する添加量の総和は3乃至20重
量部であればよいが、好ましくは4乃至15重量部であ
り、更に好ましくは5乃至10重量部となる場合であ
る。もし、ワックスの総添加量が3重量部未満となる場
合には、トナーの低温定着性及び耐ホットオフセット性
に悪影響することがあり好ましくなく、ワックスの総添
加量が20重量部超となる場合には、ワックスの分散を
良好な状態に保持することが困難であり、トナーの現像
性に悪影響する場合があり好ましくない。
【0070】本発明のトナーにおいて、2種以上のワッ
クスを使用する場合には融点及び添加量は、下記関係式
(1)を満足するものである。
【0071】
【数2】 (式中、Lv,Hvは各々低融点ワックス、高融点ワッ
クスの結着樹脂に対する添加量を表し、LM,HMは各々
低融点ワックス、高融点ワックスの融点を表す。)
【0072】式(1)で表せる関係式は、好ましくは7
5乃至125となる場合であり、更に好ましくは80乃
至120となる場合である。もし、式(1)で表せる関
係式が70未満となる場合には、トナーの耐ブロッキン
グ性及び耐ホットオフセット性に悪影響する場合があり
好ましくなく、式(1)で表せる関係式が130超とな
る場合には、トナーの低温定着性に悪影響する場合があ
り好ましくない。
【0073】本発明において好ましく用いられる低融点
ワックス成分は、炭化水素化合物からなる場合には重量
平均分子量(Mw)が600乃至950、より好ましく
は650乃至900となり、Mw/Mnが2.8以下、
より好ましくは2.3以下となる場合である。
【0074】また、低融点ワックス成分が分岐の少ない
直鎖状の炭化水素化合物を側鎖として有する場合には、
Mwが1000乃至3000、より好ましくは1200
乃至2500なり、Mw/Mnが8.0以下、より好ま
しくは3乃至7.5となる場合である。
【0075】本発明において好ましく用いられる高融点
ワックス成分は、炭化水素化合物からなる場合にはMw
が1000乃至15000、好ましくは1200乃至1
0000、更に好ましくは1500乃至9000となる
場合であり、Mw/Mnが3.0以下、より好ましくは
2.5以下となる場合である。
【0076】高融点ワックス成分が分岐の少ない直鎖状
の炭化水素化合物を側鎖として有する場合には、Mwが
2000乃至50000、より好ましくは3000乃至
35000となる場合であり、Mw/Mnが50以下、
より好ましくは5乃至30となる場合である。
【0077】本発明において、複数の相異なるワックス
をトナーに添加する方法を以下に示す。
【0078】[1]全てのワックスを結着樹脂製造時に
添加する場合 低融点炭化水素ワックス成分と高融点炭化水素ワックス
成分の組合せ:低融点炭化水素ワックスは分岐の少ない
長鎖アルキル基を有し、融点が70乃至90℃であり、
Mwが600乃至950であり、Mw/Mnが1.5乃
至2.5であるものが良い。また、低融点ワックスが分
岐の少ない長鎖アルキル基を側鎖として有する分岐した
構造を有する場合には、Mwが2000乃至7000で
あり、Mw/Mnが5.0乃至15であるものが良い。
高融点ワックス成分は分岐の少ない長鎖アルキル基を有
し、融点が95乃至130℃であり、Mwが800乃至
2500であるのが良い。
【0079】[2]低融点ワックスのみを結着樹脂製造
時に添加する場合 低融点炭化水素ワックス成分は、上記[1]で示した低
融点炭化水素ワックスと同様のものを使用する。高融点
ワックス成分は、上記[1]で示した高融点炭化水素ワ
ックスと同様のものを使用することもできるが、末端も
しくは分子内の一部に水素原子以外の置換基を有し、置
換基としては水酸基及び/又はカルボキシル基であり、
置換基を有するアルキル成分が全ワックス中の50重量
%以上含有されるのが好ましい。さらに高融点置換アル
キルワックス成分は、融点が95乃至130℃であり、
Mwが800乃至5000であり、Mw/Mnが2乃至
3.5である。
【0080】[3]高融点ワックスのみを結着樹脂製造
時に添加する場合 高融点炭化水素ワックス成分は、上記[1]で示した高
融点炭化水素ワックスと同様のものを使用する。低融点
ワックス成分は、上記[1]で示した低融点炭化水素ワ
ックスと同様のものを使用することもできるが、末端も
しくは分子内の一部に水素原子以外の置換基を有し、置
換基としては水酸基及び/又はカルボキシル基であり、
置換基を有するアルキル成分が全ワックス中の50重量
%以上含有されるのが好ましい。さらに低融点置換アル
キルワックス成分は、融点が70乃至90℃であり、M
wが400乃至700であり、Mw/Mnが1.5乃至
3である。
【0081】本発明のトナーは、その帯電性をさらに安
定化させる為に必要に応じて荷電制御剤を用いても良
い。荷電制御剤は、結着樹脂100重量部当り0.1〜
10重量部、好ましくは0.2〜5重量部使用するのが
好ましい。
【0082】荷電制御剤としては、以下のものが挙げら
れる。
【0083】例えば有機金属錯体、キレート化合物、有
機金属塩が挙げられる。具体的には、モノアゾ金属錯
体;芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸
化合物の金属錯体又は金属塩が挙げられる。他には、芳
香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカル
ボン酸及びその無水物、そのエステル類;ビスフェノー
ルのフェノール誘導体類が挙げられる。
【0084】本発明のトナーを磁性トナーとして用いる
場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネ
タイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び
他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのよう
な金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,
Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,C
d,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との
合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0085】具体的には、磁性材料としては、四三酸化
鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄
亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5
12)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄ガ
ドリニウム(Gd3Fe5−O12)、酸化鉄銅(CuFe
24)、酸化鉄鉛(PbFe12−O19)、酸化鉄ニッケ
ル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe
23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マ
グネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnF
24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(F
e)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙
げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の
組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄
又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0086】これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2
μm(より好ましくは0.1〜0.5μm)で、10K
エルステッド印加での磁気特性が抗磁力20〜150エ
ルステッド、飽和磁化50〜200emu/g(好まし
くは50〜100emu/g)、残留磁化2〜20em
u/gのものが好ましい。
【0087】結着樹脂100重量部に対して、磁性体1
0〜200重量部、好ましくは20〜150重量部使用
するのが良い。
【0088】磁性体の他に、着色剤としては、カーボン
ブラック,チタンホワイトやその他の顔料及び/又は染
料を用いることができる。例えば本発明のトナーを磁性
カラートナーとして使用する場合には、染料としては、
C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッ
ド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシック
レッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダ
イレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.
I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、
C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブル
ー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレク
トグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.
I.ベーシックグリーン6等がある。顔料としては、ミ
ネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトー
ルイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエロ
ーNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、
パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベ
ンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネント
レッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシ
ンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、フ
ァストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コ
バルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブル
ーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブ
ルー、インダンスレンブルーBC、ピグメントグリーン
B、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグ
リーンG等がある。
【0089】本発明のトナーを二成分フルカラー用トナ
ーとして使用する場合には、着色剤として、次の様なも
のが挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.
I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,
8,9,10,11,12,13,14,15,16,
17,18,19,21,22,23,30,31,3
2,37,38,39,40,41,48,49,5
0,51,52,53,54,55,57,58,6
0,63,64,68,81,83,87,88,8
9,90,112,114,122,123,163,
202,206,207,209、C.I.ピグメント
バイオレット19、C.I.バットレッド1,2,1
0,13,15,23,29,35等が挙げられる。
【0090】上記顔料を単独で使用しても構わないが、
染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフル
カラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染
料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,2
3,24,25,27,30,49,81,82,8
3,84,100,109,121、C.I.ディスパ
ースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,1
3,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレ
ット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,
2,9,12,13,14,15,17,18,22,
23,24,27,29,32,34,35,36,3
7,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレッ
ト1,3,7,10,14,15,21,25,26,
27,28等の塩基性染料が挙げられる。
【0091】シアン用着色顔料としては、C.I.ピグ
メントブルー2,3,15,16,17、C.I.バッ
トブルー6、C.I.アシッドブルー45又は次式で示
される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミド
メチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料であ
る。
【0092】
【化7】
【0093】イエロー用着色顔料としては、C.I.ピ
グメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,
11,12,13,14,15,16,17,23,6
5,73,83、C.I.バットイエロー1,3,20
等が挙げられる。
【0094】非磁性の着色剤の使用量は結着樹脂100
重量部に対して、0.1〜60重量部好ましくは0.5
〜50重量部である。
【0095】本発明のトナーに流動性向上剤を添加して
も良い。流動性向上剤は、トナーに添加することによ
り、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものであ
る。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフル
オロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法
シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸
化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリン
グ剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより
表面処理を施した処理シリカ,処理酸化チタン,処理ア
ルミナがある。
【0096】好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハ
ロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であ
り、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称さ
れるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔
中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎とな
る反応式は次の様なものである。
【0097】SiCl2+2H2+O2→SiO2+4HC
【0098】この製造工程において、塩化アルミニウム
又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハ
ロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金
属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカ
としてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒
径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好
ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範
囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0099】ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により
生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の
様な商品名で市販されているものがある。
【0100】 AEROSIL(日本アエロジル社) 130 200 300 380 TT600 MOX170 MOX80 COK84 Ca−O−SiL(CABOT Co.社) M−5 MS−7 MS−75 HS−5 EH−5 Wacker HDK N 20 V15 (WACKER−CHEMIE GMBH社) N20E T30 T40 D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社) Fransol(Fransil社)
【0101】さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相
酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処
理シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体に
おいて、メタノール滴定試験によって測定された疎水化
度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を
処理したものが特に好ましい。
【0102】疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応
あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処
理することによって付与される。好ましい方法として
は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成され
たシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0103】有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチル
ジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラ
ン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラ
ン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシ
ラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチ
ルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、
α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロルエチル
トリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラ
ン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリ
ルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビ
ニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシ
シラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニル
テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラ
メチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシ
ロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個
宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロ
キサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの
如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種ある
いは2種以上の混合物で用いられる。
【0104】流動性向上剤は、BET法で測定した窒素
吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは5
0m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー1
00重量部に対して流動性向上剤0.01〜8重量部、
好ましくは0.1〜4重量部使用するのが良い。
【0105】本発明のトナーを作製するには結着樹脂、
着色剤及び/又は磁性体、荷電制御剤またはその他の添
加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機
により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き
熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉して樹脂類を互い
に相溶せしめ、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕
し、粉砕物を分級して本発明のトナーを得ることができ
る。
【0106】本発明のトナーは、重量平均粒径が3乃至
9μm(より好ましくは、3〜8μm)を有することが
解像性,画像濃度の点で好ましく、小粒径トナーであっ
ても良好に加熱加圧定着され得る。
【0107】さらに、本発明において、トナーの体積平
均粒径(DV)が2.5μm以上の場合には、画像濃度
の低下が生じ難く、充分な画像濃度が得られ、また6.
0μm以下の場合には、特にハーフトーン画像の階調性
が向上することから、トナーの体積平均粒径(DV)は
2.5乃至6.0μmであることが好ましい。
【0108】さらに、流動性向上剤とトナーをヘンシェ
ルミキサーの如き混合機により充分混合し、トナー粒子
表面に流動性向上剤を有するトナーを得ることができ
る。
【0109】本発明のトナーの溶媒溶解成分の定量及び
その他の物性の測定方法を以下に示す。
【0110】(1)THF不溶分の測定 ここで本願でいうTHF不溶分とは、ソックスレイ抽出
法で算出した「トナー中のTHF溶媒に対して不溶性と
なったポリマー成分(実質的に架橋ポリマー)の重合割
合」を示す。すなわち、トナーサンプル2.0gを精秤
し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86
R;寸法 外径28mm×高さ100mm)に入れてソ
ックスレイ抽出器にかけ、溶媒としてTHF200ml
を用いて120℃に温度調節したオイルバスを用いて8
時間抽出を行った後、溶媒によって抽出された可溶樹脂
成分量を秤量する(W2g)。
【0111】トナーのTHF不溶分を測定する場合は、
顔料、着色剤、ワックス等は、溶媒に不溶であるとみな
す。すなわち該樹脂以外の溶媒不溶成分の重量を(W3
g)とした場合、該THF不溶分は以下の式で求められ
る。
【0112】
【数3】
【0113】(2)ワックスの融点測定 示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パー
キンエルマー社製)を用いてASTM D3418−8
2に準じて測定する。
【0114】測定試料は2〜10mg、好ましくは5m
gを精密に秤量する。
【0115】これをアルミパン中に入れ、リファレンス
として空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜20
0℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測
定を行う。
【0116】この昇温過程で、温度30〜200℃の範
囲におけるDSC曲線のメインピークの吸熱ピークが得
られる。
【0117】この吸熱メインピークの温度をもってワッ
クスの融点とする。
【0118】(3)トナーのDSC曲線の測定 上記ワックスの融点の測定と同様にして、トナーの昇温
過程におけるDSC曲線を測定する。
【0119】(4)結着樹脂のガラス転移温度(Tg)
の測定 示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パー
キンエルマー社製)を用いてASTM D3418−8
2に準じて測定する。
【0120】測定試料は5〜20mg、好ましくは10
mgを精密に秤量する。
【0121】これをアルミパン中に入れ、リファレンス
として空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜20
0℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測
定を行う。
【0122】この昇温過程で、温度40〜100℃の範
囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0123】このときの吸熱ピークが出る前と出た後の
ベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発
明におけるガラス転移温度Tgとする。
【0124】(5)ワックスの分子量分布の測定 ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定
装置:GPC−150C(ウォーターズ社) カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製) 温度:135℃ 溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添
加) 流速:1.0ml/min 試料:0.15%の試料を0.4ml注入
【0125】以上の条件で測定し、試料の分子量算出に
あたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した
分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Hou
wink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン
換算することによって算出される。
【0126】(6)結着樹脂原料又はトナーの結着樹脂
の分子量分布の測定 GPCによるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定
される。
【0127】40℃のヒートチャンバー中でカラムを安
定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテト
ラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。
試料が結着樹脂原料の場合は、結着樹脂原料をロールミ
ルに素通し(130℃,15分)したものを用いる。試
料がトナーの場合は、トナーをTHFに溶解後0.2μ
mフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。
試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂
のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定す
る。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子
量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作
製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出
する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、
例えば、Pressure Chemical Co.
製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×1
2 ,2.1×103 ,4×103 ,1.75×1
4 ,5.1×104 ,1.1×105 ,3.9×10
5 ,8.6×105 ,2×106 ,4.48×106
ものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン
試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折
率)検出器を用いる。
【0128】カラムとしては、103 〜2×106 の分
子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレン
ゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Wate
rs社製のμ−styragel 500,103 ,1
4 ,105 の組合せや、昭和電工社製のshodex
KA−801,802,803,804,805,8
06,807の組合せが好ましい。
【0129】本発明のトナーの粒度分布の測定は、コー
ルターカウンターTA−II型あるいはコールターマル
チサイザー(コールター社製)を用いる。電解液は、1
級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製す
る。例えば、ISOTONR−II(コールターサイエ
ンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法と
しては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤
として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフ
ォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜2
0mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器
で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置によ
り、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用い
て、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分
布と個数分布とを算出した。
【0130】それから、本発明に係る体積分布から求め
た重量基準の重量平均粒径(D4)及び体積平均粒径
(DV)(それぞれ各チャンネルの中央値をチャンネル
毎の代表値とする)を求めた。
【0131】次に、図1及び図2を参照しながら、本発
明トナーが適用可能な画像形成装置の一例について説明
する。一次帯電器2で静電荷像担持体(感光体)1表面
を負極性又は正極性に帯電し、アナログ露光又はレーザ
光による露光5により静電荷像(例えば、イメージスキ
ャニングによりデジタル潜像)を形成し、磁性ブレード
11と、磁極N1,N2,S1及びS2を有する磁石23を
内包している現像スリーブ4とを具備する現像器9の磁
性トナー13で静電荷像を反転現像又は正規現像により
現像する。現像部において感光体1の導電性基体16と
現像スリーブ4との間で、バイアス印加手段12により
交互バイアス,パルスバイアス及び/又は直流バイアス
が印加されている。磁性トナー像は、中間転写体を介し
て、又は、介さずに転写材へ転写される。転写紙Pが搬
送されて、転写部にくると転写帯電器3により転写紙P
の背面(感光体側と反対面)から正極性または負極性の
帯電をすることにより、感光体表面上の負荷電性磁性ト
ナー像または正荷電性磁性トナー像が転写紙P上へ静電
転写される。除電手段22で除電後、感光体1から分離
された転写紙Pは、ヒータ21を内包している加熱加圧
ローラ定着器7により転写紙P上のトナー画像は、加熱
加圧定着される。
【0132】転写工程後の感光体1に残留する磁性トナ
ーは、クリーニングブレード8を有するクリーニング手
段で除去される。クリーニング後の感光体1は、イレー
ス露光6により除電され、再度、一次帯電器2により帯
電工程から始まる工程が繰り返される。
【0133】静電荷像担持体(例えば感光ドラム)1は
感光層15及び導電性基体16を有し、矢印方向に動
く。現像スリーブ4である非磁性円筒の現像スリーブ4
は、現像部において静電荷像担持体1表面と同方向に進
むように回転する。非磁性の円筒状の現像スリーブ4の
内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネッ
トロール)23が回転しないように配されている。現像
器9内の磁性トナー13は現像スリーブ4に塗布され、
かつ現像スリーブ4の表面と磁性トナー粒子との摩擦に
よって、磁性トナー粒子はトリボ電荷が与えられる。さ
らに鉄製の磁性ドクターブレード17を円筒状の現像ス
リーブ4の表面に近接して(間隔50μm〜500μ
m)、多極永久磁石の一つの磁極位置に対向して配置す
ることにより、磁性トナー層の厚さを薄く(30μm〜
300μm)且つ均一に規制して、現像部における感光
体1と現像スリーブ4の間隙と同等又は間隙よりも薄い
磁性トナー層を形成する。現像スリーブ4の回転速度を
調節することにより、現像スリーブ表面速度が感光体1
の表面の速度と実質的に等速、もしくはそれに近い速度
となるようにする。磁性ドクターブレード17として鉄
のかわりに永久磁石を用いて対向磁極を形成してもよ
い。現像部において現像スリーブ4に交流バイアスまた
はパルスバイアスをバイアス手段12により印加しても
よい。この交流バイアスはfが200〜4,000H
z、Vppが500〜3,000Vであれば良い。
【0134】現像部における磁性トナー粒子の転移に際
し、感光体面の静電的力及び交流バイアスまたはパルス
バイアスの作用によって磁性トナー粒子は静電荷像側に
移行する。
【0135】磁性ブレード11のかわりに、シリコーン
ゴムの如き弾性材料で形成された弾性ブレードを用いて
押圧によって磁性トナー層の層厚を規制し、現像スリー
ブ上に磁性トナーを塗布しても良い。
【0136】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0137】 <製造例> [1−A]ビニル系共重合体とポリエステル樹脂の反応生成物(A)の製造: ・スチレン 85重量部 ・アクリル酸ブチル 15重量部 ・例示モノマー(a−2) 5重量部 ・ラウロイルパーオキサイド 3重量部
【0138】上記ビニルモノマー混合物をキシレン30
0重量部とともに、温度計,窒素導入管,減圧装置及び
撹拌装置を装着したオートクレーブに投入して、約12
0℃で溶液重合を行い中間体(a)を得た。尚、中間体
(a)は、重量平均分子量(Mw)16800、Mw/
Mn=2.9、ガラス転移温度(Tg)65.2℃の重
合体であった。
【0139】次に、上記中間体(a)を含有するキシレ
ン溶液に、中間体(a)100重量部に対して30重量
部の以下に示すポリエステル樹脂の原料であるアルコー
ル、カルボン酸及びエステル化触媒を添加し、常法に従
ってエステル化反応を行った。キシレンを留去すること
により、重量平均分子量(Mw)18300、Mw/M
n=3.7、ガラス転移温度(Tg)63.2℃のビニ
ル系共重合体とポリエステル樹脂の反応生成物(A)を
得た。 ・PO−BPA 3.0モル ・EO−BPA 2.0モル ・テレフタル酸 5.0モル ・無水トリメリット酸 1.5モル
【0140】[1−B]〜[1−D]ビニル系共重合体
とポリエステル樹脂の反応生成物(B)〜(D)の製
造:表1に示す例示モノマーを使用した以外は同様にし
てビニル系共重合体とポリエステル樹脂の反応生成物
(B)〜(D)を得た。
【0141】 [2−A]結着樹脂(1)の製造: ・スチレン 75重量部 ・アクリル酸ブチル 12重量部 ・アクリル酸 5重量部 ・反応生成物(A) 8重量部 ・ラウロイルパーオキサイド 3重量部 ・ワックスH−1(表3参照) 12重量部 ・PO−BPA 7.0モル ・EO−BPA 2.0モル ・テレフタル酸 5.0モル ・無水トリメリット酸 2.0モル
【0142】上記ビニル系共重合体を形成するためのビ
ニル系モノマー、ポリエステル樹脂を形成するためのカ
ルボン酸とアルコール及びワックスの混合物をトルエン
200重量部とともに、温度計,窒素導入管,減圧装置
及び撹拌装置を装着したオートクレーブに投入した。ビ
ニル系共重合体を形成するために、窒素雰囲気でラジカ
ル重合を約110℃で5時間行った。
【0143】次に、温度を約150℃に加熱して生成し
てくる水をトルエンともに留去しながらエステル化反応
を行った。水及びトルエンの留出がみられなくなってか
ら、さらにオートクレーブの温度を約220℃まで加熱
してエステル化反応を行うことにより、本発明の結着樹
脂(1)を得た。
【0144】[2−B]〜[2−G]結着樹脂(2)〜
(8)の製造:表2に示すビニル系共重合体とポリエス
テル樹脂の反応生成物及び表3に示すワックスを使用し
た以外は同様にして本発明の結着樹脂(2)〜(8)を
得た。
【0145】 <比較製造例1> 比較用ポリエステル樹脂の製造: ・テレフタル酸 10モル ・PO−BPA 5モル
【0146】上記アルコール及びカルボン酸の混合物を
用い、常法にしたがって温度230℃でエステル化反応
を行うことで酸価3.2KOHmg/mg、水酸基価3
4KOHmg/mg、Mwが5800、Tgが60.8
℃の比較用ポリエステル樹脂を得た。 比較用ビニル系共重合体の製造: ・スチレン 76重量部 ・アクリル酸ブチル 24重量部 ・ジビニルベンゼン 2重量部 ・ワックスH−5 4重量部
【0147】上記ビニルモノマー混合物をジオキサン2
00重量部に添加して還流しながら、ジオキサン40重
量部に重合開始剤である4,4−アゾビス(4−シアノ
ペンタノイックアシッド)1重量部を溶解した溶液を4
分割して断続的に添加して、溶液重合法によりビニル系
共重合体を製造した。尚、得られたビニル系共重合体は
Mwが236000、酸価3.6KOHmg/mgであ
った。
【0148】上記ビニル系共重合体のジオキサン溶液2
00重量部に比較用ポリエステル樹脂100重量部を添
加して溶解した後に、ジオキサンを減圧留去した。留去
終了後に180℃まで加熱することでエステル化を行
い、酸価1.6KOHmg/mg、Mw=19200
0、Mw/Mn=4.7、明瞭ではないが、Tg約5
8.2℃と72.1℃の重合体の混合物として測定され
る比較用結着樹脂(1)を得た。
【0149】<比較製造例2>比較製造例1において、
重合開始剤としてラウロイルパーオキサイドを用いた以
外は同様にして、比較用結着樹脂(2)を得た。
【0150】
【表1】
【0151】
【表2】
【0152】
【表3】
【0153】 [実施例1] ・本発明の結着樹脂(1) 104重量部 ・アゾ系鉄錯体化合物 2重量部 ・磁性酸化鉄 100重量部
【0154】上記混合物を、130℃に加熱された二軸
エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混合物をハン
マーミルで粗粉砕した。粗粉砕物をジェットミルで微粉
砕し、得られた微粉砕物を風力分級し、重量平均径7.
5μmの磁性トナーを得た。
【0155】この磁性トナー100重量部に疎水性乾式
シリカ(BET比表面積=200m2/g)1.0重量
部をヘンシェルミキサーにて外添添加してトナーとし
た。このトナーを用いて、キヤノン製複写機NP−67
50で画像特性の評価を行ったところ、表4に示す様に
良好な結果が得られた。
【0156】[実施例2〜11]実施例1において、結
着樹脂及びワックスを表4に示すものに変更した以外は
同様にして本発明のトナー(2)〜(11)を得た。実
施例1と同様にしてトナーを評価した。
【0157】[比較例1〜4]比較用結着樹脂(1)〜
(2)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用トナ
ー(1)〜(4)を製造し、評価した。
【0158】評価方法を以下に説明する。
【0159】・定着性 加圧ローラー温度150℃で、トナー画像を普通紙に定
着し、定着性は定着画像を50g/cm2の荷重をかけ
シルボン紙[lense cleaningpaper
“dasper (R)”(Ozu Paper C
o.,Ltd.)で10回擦り、擦り後の濃度低下率を
測定した。
【0160】ベタ黒(D=1.2)画像の場合 ランク5…濃度低下率0〜10% ランク4…濃度低下率11〜20% ランク3…濃度低下率21〜30% ランク2…濃度低下率31〜40% ランク1…濃度低下率41%以上 ハーフトーン(D=0.8)画像の場合 ランク5…濃度低下率0〜15% ランク4…濃度低下率16〜30% ランク3…濃度低下率31〜40% ランク2…濃度低下率41〜50% ランク1…濃度低下率51%以上
【0161】・耐ホットオフセット 加熱ローラーの表面温度230℃で、トナー画像を普通
紙に定着し、次いで普通紙を定着器に通して加熱ローラ
ー表面からトナーが普通紙表面に移行しているか否かを
評価した。 ランク5…トナーが移行せず ランク4…ごく軽微なトナーの移行 ランク3…軽微なトナーの移行 ランク2…トナーの移行が明瞭 ランク1…紙が加熱ローラーにまきつく
【0162】・トナーの保存性 約20gの磁性トナーを100mlポリコップにいれ、
50℃で10日間放置した後に目視で判定した。 ランク5…変化なし ランク4…凝集体があるが、すぐにほぐれる ランク3…ほぐれにくい ランク2…流動性なし ランク1…明白なケーキング
【0163】・画像濃度 ベタ黒画像濃度(エッジ効果のない部分の最大画像濃
度)Macbeth RD918(マクベス社)にて測
定した。
【0164】・トナーにおけるワックス分散性の評価 トナーを偏光板を取り付けた光学顕微鏡を用いて低倍率
(例えば、30〜100倍)で観察し、約500個のト
ナー粒子当りでトナーから遊離しているワックス粒子の
存在を示す輝点の数を測定した。 ランク5…偏光板を通して輝点なし ランク4…1〜10個の輝点 ランク3…11〜20個の輝点 ランク2…21〜30個の輝点 ランク1…31個以上の輝点がある
【0165】・粉砕性の評価 単位時間当りに重量平均径7.5μmに粉砕できた比較
例1のトナー原材料の混練物重量をもとにして相対評価
した。 ランク5…1.2倍以上粉砕でき、かつ重量平均径10
μm以上の粒子が20〜30% ランク4…1.2倍以上粉砕でき、かつ重量平均径10
μm以上の粒子が31%以上 ランク3…比較例1と同等 ランク2…比較例1より10〜20%少ない量しか粉砕
できない ランク3…比較例1より21%以上少ない量しか粉砕で
きない
【0166】
【表4】
【0167】
【発明の効果】本発明のトナーは、ワックスが結着樹脂
中に均一に分散されており、粉砕性が良好で、定着性,
耐オフセット性,耐ブロッキング性及び多数枚耐久性等
に優れているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーが適用し得る画像形成装置の一
例を示す説明図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の現像部の拡大図を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 溝尾 祐一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワック
    スを含有するトナーにおいて、 該結着樹脂が、 成分(i):ビニル系共重合体を形成するための芳香族
    ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマ
    ー、カルボキシル基を有するビニル系モノマー 成分(ii):ポリエステル樹脂を形成するための酸成
    分及びアルコール成分 成分(iii):ワックス を少なくとも含有する混合物を使用し、 該混合物中の成分(i)のモノマーを重合してビニル
    系共重合体(A)を生成し、次いで、ワックス及び該
    ビニル系共重合体成分の存在下で成分(ii)の酸成分
    及びアルコール成分を重縮合してポリエステル成分
    (B)を生成することにより調製された樹脂成分であ
    り、かつ、ビニル系共重合体とポリエステル樹脂との反
    応生成物(C)を含有することを特徴とするトナー。
  2. 【請求項2】 結着樹脂に含有されるビニル系共重合体
    (A)、ポリエステル樹脂(B)及びビニル系共重合体
    とポリエステル樹脂との反応生成物(C)の含有量が、
    重量比で A:B:C=(50乃至300):(100乃至50
    0):(3乃至50) であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 【請求項3】 比A:B:Cが、(80乃至250):
    (150乃至400):(5乃至40)であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 【請求項4】 比A:B:Cが、(120乃至20
    0):(200乃至350):(10乃至30)である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  5. 【請求項5】 ワックスが示差走査熱量計により測定さ
    れるDSC曲線において、昇温時に温度60乃至150
    ℃の領域に吸熱ピーク温度を有することを特徴とする請
    求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
  6. 【請求項6】 トナーに含有されるワックスが示差走査
    熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に
    温度70乃至140℃の領域に吸熱ピーク温度を複数有
    し、かつ、該ワックスが相異なる吸熱ピーク温度を有す
    る2種以上のワックスからなり、吸熱ピーク温度をワッ
    クスの融点とするときに主要な吸熱ピーク温度に関し
    て、下記式(1)の関係が成立することを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。 【数1】 (式中、Lv,Hvは各々低融点ワックス、高融点ワッ
    クスの結着樹脂に対する添加量を表し、LM,HMは各々
    低融点ワックス、高融点ワックスの融点を表す。)
  7. 【請求項7】 比(LM×LV+HM×HV)/(Lv+H
    v)が、75乃至125であることを特徴とする請求項
    1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  8. 【請求項8】 比(LM×LV+HM×HV)/(Lv+H
    v)が、80乃至120であることを特徴とする請求項
    1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  9. 【請求項9】 ワックスが長鎖アルキル基からなる炭化
    水素系ワックスであることを特徴とする請求項1乃至8
    のいずれかに記載のトナー。
  10. 【請求項10】 ワックスが分岐の少ない長鎖アルキル
    基からなる炭化水素化合物を主鎖または側鎖として有す
    るワックスであることを特徴とする請求項1乃至8のい
    ずれかに記載のトナー。
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