JPH11256339A - 撥水性コーティング膜、防汚性物品、及び撥水性コーティング膜の製造方法 - Google Patents
撥水性コーティング膜、防汚性物品、及び撥水性コーティング膜の製造方法Info
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Abstract
ティング膜及びその製造方法と、撥水性が付与されたS
iO2 膜を防汚性表面として持つ物品を提供する。 【解決手段】 CH3 基及び/又はC2 H5 基を残すよ
うにCVD法でSiO2 膜を形成すると撥水性コーティ
ング膜となる。望ましくは、膜厚が10Å以上であり、
且つ水に対する接触角が90°以上である。Si原子と
CH3 基またはC2 H5 基を含むモノマー材料と、酸素
ガスを含む混合ガスを、モノマー材料100重量部に対
して酸素ガスが10重量部〜1000重量部の割合で、
真空槽内に導入し、CVD法によりCH3 基及び/又は
C2 H5 基が残存したSiO2膜の薄膜を基材上に形成
する。
Description
てなるコーティング膜、防汚性を物品表面に付与するた
めの撥水性コーティング膜及びその製造方法に関する。
特に、光学物品の光学特性に対して影響を及ぼさない撥
水性コーティング膜の製造方法に関する。
めのコーティング膜はフッ素系樹脂をウェットコーティ
ングにより形成する方式が一般的であり、いわゆる撥水
性コーティング膜と呼ばれている。撥水性を付与した表
面は、汚れが着きにくいことから防汚性表面としての機
能を有する。
料としてのフッ素系樹脂材料は高価なため、付加価値の
高い製品、たとえばコンピュータディスプレイの上位機
種に装備される反射防止フィルムの最表面に形成される
防汚コートなどに使用されてきた。特に、コンピュータ
ディスプレイのような光学物品の表面に使用される反射
防止フィルムの最表面に形成する防汚コートにおいて
は、積層型反射防止層の光学特性に影響を与えないよう
にするために、非常に薄い膜を均一に成膜する必要があ
り、高度な技術を必要とし、また歩留まりも高くなかっ
た。
ッ素系樹脂は環境に対して悪い影響を与えるフッ素系溶
媒を使用する必要があり、溶媒の回収処理のために高価
な装置を導入する必要があったり、また将来にわたって
はフッ素系溶媒の使用が制限される可能性もあり、フッ
素系溶媒を使用しない撥水性コーティングが望まれてい
る。
ては、CVD法や蒸着法等の真空成膜工程によって反射
防止層が形成されることが一般的であることから、その
後に、ウェットコーティングを施すとなると段取り替え
の製造ロスが大きいという問題があった。
従来のCVD法により作製したSiOx 膜は均一性や安
全性に優れているものの、撥水性は高くなかった。
目的は撥水性が付与されたSiO2 膜からなるコーティ
ング膜を提供すること、本発明の第二の目的は撥水性が
付与されたSiO2 膜からなるコーティング膜を防汚性
表面として持つ物品を提供すること、及び本発明の第三
の目的は撥水性が付与されたSiO2 膜からなるコーテ
ィング膜の製造方法を提供することである。
るための本発明は、CH3 基及び/又はC2 H5 基を残
すようにCVD法で形成した撥水性を示すSiO2 膜で
あることを特徴とする撥水性コーティング膜である。本
発明の撥水性コーティング膜は、望ましくは、膜厚が1
0Å以上であり、且つ水に対する接触角が90°以上で
ある。
は、CH3 基及び/又はC2 H5 基を含んだ撥水性の増
大しているSiO2 膜をコーティング膜として持つ防汚
性物品である。
は、Si原子とCH3 基及び/又はC2 H5 基を含むモ
ノマー材料と、酸素ガスを含む混合ガスを、モノマー材
料100重量部に対して酸素ガスが10重量部〜100
0重量部である割合で、真空槽内に導入し、CVD法に
よりCH3 基及び/又はC2 H5 基が残存したSiO2
膜の薄膜を基材上に形成することを特徴とする撥水性コ
ーティング膜の製造方法である。メチル基又はエチル基
を含む材料を用い、これをCVD法で製膜しなければ、
メチル基又はエチル基を膜中に導入することはできな
い。
はエチル基を導入する条件は、前記した材料を使用する
ことに加え、Si原子とCH3 基及び/又はC2 H5 基
を含むモノマー材料と、酸素ガスを含む混合ガスの組成
比を、モノマー材料100重量部に対して酸素ガス10
重量部〜1000重量部とすることである。酸素ガスが
10重量部未満だとSiO2 膜を形成することができ
ず、また酸素ガスが1000重量部を超えるとSiO2
膜の中にメチル基又はエチル基が含まれなくなり、撥水
性が失われるので好ましくない。また、撥水性が発揮さ
れるためには、少なくとも10Å以上の撥水性コーティ
ング膜の厚みが必要である。撥水性コーティング膜の厚
みが10Å未満だと連続膜として存在しなくなる。
水性が付与されたSiO2 コーティング膜は、表面エネ
ルギーが低く、指紋などの汚れの主成分である油脂分を
はじきやすく、汚れにくい。特に、水に対する接触角が
90°以上であるとSiO2 コーティング膜の防汚効果
が高くなる。
明の撥水性が付与されたSiO2 コーティング膜は、コ
ンピュータディスプレイのような表示部材では汚れがあ
ると目立つ表面に防汚性コーティングが好ましく使用で
きる。特に、反射防止のために反射防止層が形成されて
いるコンピュータディスプレイのような表示部材は、特
に防汚コートが必要とされる。また、眼鏡やカメラのレ
ンズなど光学物品は、表面の汚れが嫌われるので、防汚
コートが必要とされる。その他の分野では、タイルや化
粧版などの内装部材、外装部材、自動車の車体、屋外標
識、外灯のカバーなど様々な分野で、防汚性表面が必要
とされる。本発明の撥水性コーティング膜は防汚性表面
膜として有効である。防汚性、すなわち撥水性は表面の
性質であるので、防汚コートの膜厚は厚い必要はなく、
少なくとも膜厚が10Å以上であればよい。また膜厚を
制御する必要もない。ところが、上記の光学部材、特に
反射防止処理を施している部材の場合にはその光学特性
に影響を与えないように100Å以下の膜厚に制御する
ことが好ましい。また、摩耗が激しい部材の場合には比
較的膜厚を厚くして、耐久性を上げてもよい。
て:本発明のCVD法により撥水性を有するSiO2 膜
を形成するモノマー材料には、メチル基或いはエチル基
を含み、且つSiを主鎖とする、次のようなモノマー材
料、例えば、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサ
ン)、TMDSO(テトラメチルジシロキサン)、オク
タメチルシクロテトラシロキサン、TEOS(テトラエ
トキシシラン)、TMOS(テトラメトキシシラン)、
MTMOS (メチルトリメトキシシラン)、メチルシ
ラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチ
ルシラン、エチルシランなどが、好ましく使用される。
を形成するモノマー材料には、上記の例に関わらず、S
i原子とCH3 基及び/又はC2 H5 基を含む有機化合
物で、常温で適当な蒸気圧を持ち、CVD法を実施する
ことが可能な材料であれば、どのような材料でも構わな
い。
もつ材料を用いて、該官能基を含むSiO2 膜をCVD
法により形成することは理論的に可能であると考えられ
るが、現実にはこれらの材料の蒸気圧が非常に低いた
め、SiO2 膜の作製は非常に困難である。
O、TMDSO、オクタメチルシクロテトラシロキサン
が撥水性のSiO2 膜を形成する材料としては特に望ま
しい。その理由は、これらのシロキサン材料は撥水性を
発現するCH3 基が、結合が切れやすいSi−O結合や
O−C結合を介してでなく、直接Si原子と結合してお
り、膜中に安定して取り込まれやすいからである。
2 膜を形成するためには、上記のモノマー材料のほかに
酸素ガスを導入する必要がある。酸素ガスの代わりに酸
化性を持つガス、例えばオゾンガスや笑気ガス(N
2 O)などを使用することも可能であるが、成膜効率や
コストの面から酸素ガスが最も好ましい。
モノマー蒸気を効率よく真空槽内に導入するためのガス
(キャリアーガス)やプラズマを発生させたり、プラズ
マを増強させたりする目的のガスを増強して導入するこ
とも必要に応じて使用される。
D法には熱CVD法や光CVD法などいくつかの方法が
あるが、撥水性が付与されたSiO2 膜を形成する方法
としては、低温成膜が可能な点や、材料の利用効率が高
い点からプラズマCVD法が最適である。
方法は、平行平板電極間に13.56MHzの電界を印
加する方式である。すなわち、真空チャンバー内に原料
ガスを導入することで一定圧力(例えば、50mTor
r)に維持し、真空槽内に設置した平板電極と該平板電
極と平行に対向して設置したアース電極との間に13.
56MHzのRF交流電圧を印加する(例えば、500
cm2 の電極面積に対して300Wの電力を投入する)
ことで、グロー放電プラズマを発生させ、そのプラズマ
流を利用することで原料ガスを化学的に反応させ、撥水
性が付与されたSiO2 膜を形成させる。該膜を堆積さ
せるための基材は通常アース電極表面に設置するが、R
F電力を印加する平板電極側に設置することも可能であ
る。
方法において、印加するRF交流電圧について13.5
6MHZの代わりにもっと低い周波数(40kHzや5
0kHzなど)を印加したり、もっと高い周波数(2.
45GHzなど)を印加することも可能である。また、
直流電圧を印加することも可能である。平板電極の代わ
りに、ガスの吹出しによりプラズマ流を発生させるよう
なホローカソード電極を利用したり、外部コイルから誘
導プラズマを発生させたりすることも可能である。磁場
を用いたり、ECR共鳴現象(電場と磁場を適切に調節
することで、プラズマ中の電子をサイクロトロン共鳴さ
せる現象)を用いたりしてプラズマ密度を高めたりする
ことも可能である。
成膜条件には、CVD法の方式(投入電力周波数や電極
構造など)以外にも、投入電力、ガス流量、成膜圧力、
電極間距離など様々なパラメータがあるが、撥水性に影
響を持つのは、モノマーと酸素ガスの流量比である。す
なわち、モノマーが酸素に対して多い場合には、反応し
きれないCH3 基が膜中に残存するため、高い撥水性を
発現するが、十分な酸素が供給された場合にはCH3基
がすべて分解され、膜中CH3 基が存在しなくなり、水
に対する接触角が低い状態になる。
場合に、原料がすべてSiO2 とCO2 、H2 Oになっ
てしまう理想状態の場合、HMDSOが100重量部に
対して酸素ガスが1200重量部必要である。しかしな
がら、このような量比でCVD法を実施しても、現実的
には、中間的な反応物(例えばCH3 OHやHCHOな
ど)が生成されたり、材料自体が排気されたりするの
で、また、逆に反応できなかった酸素が排気される場合
もあるので、CVD法に必要とされるモノマー材料と酸
素ガスの比は化学式通りにはならない。
材料と酸素ガスの流量比はモノマー材料が100重量部
に対して、酸素ガスが1000重量部である場合におい
て、水に対する接触角が約90度の防汚性を出すのに必
要な撥水性コーティング膜となる。酸素ガスの流量をこ
れより増加させれば、水に対する接触角は減少し、酸素
ガスの流量をこれより減少させれば接触角は上昇する。
材料と酸素ガスの流量比に関連して得られたSiO2 の
水に対する接触角について、実験した結果、下記の表1
の関係を得た。
結合したCH3 基の存在を確認することができる。すな
わち、IR分光スペクトルで1280cm-1付近に現れ
るピークは、Si−CH3 伸縮振動に起因するものであ
り、このピークの存在でCH3 基の存在を確認できる。
測定方法は、IRを透過するシリコンウエハー上にSi
O2 膜を1000〜2000Åの膜厚で形成し、IR分
光測定器で測定する。
比が1:5、図2は1:10、図3は1:20である場
合のそれぞれのIR分光スペクトル示すグラフである。
図1では1280cm-1付近のピークは非常に大きい
が、図2では小さく、図3ではスペクトルから1280
cm-1付近のピークは確認できない。
る。なお、以下の説明で示される実施例は本発明の範囲
内の好適例に過ぎない。従って、本発明は以下に示す実
施例にのみ限定されるものではない。
(株)製)内に基材として、シリコンウエハー(4イン
チφ、P型0.2Ωcm)を載置し、成膜前の到達真空
度を0.02mToorとし、Arガスをキャリアーガ
スとし、原料ガスとして酸素、HMDSO(ヘキサメチ
ルジシロキサン)を室温でバブリングし、該装置内に供
給した。
モノマーの流量が6sccmとなるようにArガス流量
を調節した。成膜圧力が50mTorrとなるように、
コンダクタンスバルブを調節した。
平板電極と下部アース電極の間に印加することによりプ
ラズマを生成した。基材は下部アース電極上に設置し、
SiOx膜を成膜した。成膜時間は10分とした。エリ
プソメトリーにより約1000ÅのSiOx膜ができた
ことを確認した。
た。評価方法は水に対する接触角を用いて評価した。比
較のために、酸素ガス流量30sccm、モノマー流量
を1.5sccmとし、CH3 基がない膜を作製して評
価した。その結果、前者の接触角は110度であるのに
対して、後者の接触角は55度であった。
0、厚さ100μm、幅660mm)上に、下記に示す
4層構成の反射防止層を真空巻取りスパッタ法により成
膜した。
で形成されるため、親水性が強く、撥水性を持たず、防
汚性はない。このようにして準備された原反上に、防汚
性を持つSiO2 膜をCVD法により形成した。該CV
D法に使用された装置には、真空巻取り装置(CVD)
を用いた。チヤンバーの到達圧力は0.05mTorr
とし、ここに酸素ガス及びHMDSOからなる原料ガス
を導入し、45mTorrの圧力にした。導入した原料
ガスの流量は、酸素ガスが10slm、HMDSOが2
slmであった。
系を使用し、キャリアーガスを使用しなかった。成膜ド
ラムはフィルム基材の熱ダメージをなくすため、−10
度に冷却した。成膜ドラムに対向した位置にある平板電
極(成膜ドラムからの距離3cm、電極の面積 70c
m×20cm)に13.56MHzのRF交流電圧を印
加し(1.5kW)、電気的にアースされた成膜ドラム
との間で、プラズマを生成し、基材上に成膜を行なっ
た。フィルムの走行速度は30m/分であった。
射防止フィルムを、防汚コートのない反射防止フィル
ム、すなわちCVD成膜を行なわない以外は本実施例2
と同一の条件として製造したフィルムと反射防止特性に
ついて比較したが、両者に差がなかた。すなわち、反射
防止フィルム上に防汚コートをCVD法で形成しても反
射防止特性が損なわれることがなかった。
防止フィルムは、汚れがつきにくく、指紋等の汚れも簡
単に拭き取ることが出来たのに対し、防汚処理を施して
いないフィルムは、指紋がつきやすく、拭き取っても汚
れを除去することは出来なかった。
D法で作製されているので、従来のフッ素系樹脂やシリ
コン樹脂の撥水性膜に比べて、均一性があり、且つ製造
時に有害物質を発生しないため、安全性がある。また副
次的効果として、通常の成膜、例えば蒸着法と比較して
高い成膜速度を実現している。
膜は、撥水性SiO2 膜のみならず、CVD法によるS
iO2 膜であるためハードコート膜となる。したがっ
て、従来の有機高分子化合物の撥水性膜に比べてSiO
2 膜は硬いので、傷の着きにくい、防汚表面が可能であ
る。
である場合のIR分光スペクトル示すグラフである。
0である場合のIR分光スペクトル示すグラフである。
0である場合のIR分光スペクトル示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 CH3 基及び/又はC2 H5 基を残すよ
うにCVD法で形成した撥水性を示すSiO2 膜である
ことを特徴とする撥水性コーティング膜。 - 【請求項2】 前記撥水性コーティング膜の膜厚が10
Å以上であり、且つ水に対する接触角が90°以上であ
る請求項1記載の撥水性コーティング膜。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の撥水性コーティン
グ膜を表面に持つ防汚性物品。 - 【請求項4】 Si原子とCH3 基及び/又はC2 H5
基を含むモノマー材料と、酸素ガスを含む混合ガスを、
モノマー材料100重量部に対して酸素ガスが10重量
部〜1000重量部である割合で、真空槽内に導入し、
CVD法によりCH3 基及び/又はC2 H5 基が残存し
たSiO2 膜の薄膜を基材上に形成することを特徴とす
る撥水性コーティング膜の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08024998A JP3938431B2 (ja) | 1998-03-12 | 1998-03-12 | 撥水性コーティング膜の製造方法 |
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- 1998-03-12 JP JP08024998A patent/JP3938431B2/ja not_active Expired - Fee Related
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