JPH11185530A - 電気絶縁油 - Google Patents

電気絶縁油

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JPH11185530A
JPH11185530A JP36550997A JP36550997A JPH11185530A JP H11185530 A JPH11185530 A JP H11185530A JP 36550997 A JP36550997 A JP 36550997A JP 36550997 A JP36550997 A JP 36550997A JP H11185530 A JPH11185530 A JP H11185530A
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JP
Japan
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oil
base oil
less
mass
mineral
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JP36550997A
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English (en)
Inventor
Masaki Kataoka
正樹 片岡
Susumu Oosako
進 大硲
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱・酸化安定性に優れると共に、従来より使
用されている電気絶縁油と比較してより安全性の高い電
気絶縁油を得る。 【解決手段】 電気絶縁油は、DMSO抽出物量が3.
0質量%以下、変異原性指数MIが1.0未満、硫黄分
が500質量ppm以下及びアロマ分が10%以下であ
る鉱油を基油とし、かつ酸化防止剤してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気絶縁油に関
し、詳しくは、熱・酸化安定性に優れかつ安全性により
優れた電気絶縁油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複素環系の化合物などのいわゆる不純物
は、電気絶縁油の電気特性や長期安定性を阻害するもの
であるため、電気絶縁油の基油を製造する際には、これ
らの物質を除去する必要がある。一方、特に酸化安定性
を確保するため、最適芳香族性が重視され、また、天然
の酸化防止剤として微量の硫黄化合物の存在が必要とさ
れてきた。このような芳香族化合物や硫黄化合物は、上
記複素環系の化合物などの不純物を除去するため高度な
水素化精製や溶剤精製を行った場合には、同時に除去さ
れてしまう。このため、電気絶縁油に用いる基油を精製
する際には、比較的穏和な精製を行い一定量の芳香族分
と硫黄化合物を残すことが不可欠とされてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、比較的穏和
な精製を行った場合には、多環芳香族化合物が芳香族分
として残存している場合が多い。この多環芳香族化合物
の中には、発癌性の可能性有りと指摘されている化合物
も含まれており、より安全性の高い電気絶縁油が求めら
れるようになった。このような発癌性の可能性有りと指
摘されている多環芳香族化合物を極力除去するために
は、高度な精製により芳香族分を取り除く必要がある
が、同時に天然の酸化防止剤である硫黄化合物が消失し
てしまうため、酸化安定性が低下せざるを得なかった。
そこで、本発明は、かかる状況を鑑み、熱・酸化安定性
に優れると共に、従来より使用されている電気絶縁油と
比較してより安全性の高い電気絶縁油を得ることを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明に係る電気絶縁油は、DMSO抽出物量が
3.0質量%以下、変異原性指数MIが1.0未満、硫
黄分が500質量ppm以下及びアロマ分が10%以下
である鉱油を基油とし、かつ酸化防止剤を含有してなる
ものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容を詳しく説明
する。本発明の電気絶縁油の基油として用いられる鉱油
は、DMSO抽出物量が3.0質量%以下であることが
必要である。DMSO抽出物量が3.0質量%を越える
と、安全性に問題が生じる可能性が高くなり好ましくな
い。ここでいうDMSO抽出物量とは、IP(The
Institute of Petoleum)346
法(PCA標準試験)に準拠して測定される多環芳香族
化合物の鉱油全量に対する重量百分率を意味している。
本発明の電気絶縁油の基油として用いられる鉱油は、変
異原性指数MIが1.0未満であることが必要である。
MIが1.0以上であると、安全性に問題が生じる可能
性が高くなり好ましくない。ここでいう変異原性指数M
Iとは、ASTM-E-1687-95に規定する"Standard Test Met
hod for Determining Carcinogenic Potential of Virg
inBase Oils in Metalworking Fluids"に準拠して規定
される指数を意味している。本発明の電気絶縁油の基油
として用いられる鉱油は、硫黄分が500質量ppm以
下、好ましくは100質量ppm以下、より好ましくは
50質量ppm以下、さらにより好ましくは10質量p
pm以下、最も好ましくは5質量ppm以下であること
が必要である。硫黄分が500質量ppmを越える場合
には、酸化防止剤の添加効果が小さくなるため好ましく
ない。ここでいう硫黄分は、JISK 2541「原油
及び石油製品−硫黄分試験方法」に準拠して測定される
値を表す。本発明の電気絶縁油の基油として用いられる
鉱油は、アロマ分が10%以下、好ましくは5%以下、
より好ましくは3%以下、さらにより好ましくは2%以
下であることが必要である。アロマ分が10%を越える
場合には、酸化安定性に劣りまた酸化防止剤の添加効果
が小さくなるため好ましくない。また、本発明の電気絶
縁油の基油として用いられる鉱油は、ナフテン分が5%
以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以
上であり、65%以下、好ましくは50%以下、より好
ましくは40%以下であることが望ましい。ナフテン分
が65%を越える場合には、酸化安定性に劣りまた酸化
防止剤の添加効果が小さくなる恐れがある。また、本発
明の電気絶縁油の基油として用いられる鉱油は、パラフ
ィン分が25%以上、好ましくは40%以上、より好ま
しくは50%以上であり、95%以下、好ましくは90
%以下、より好ましくは85%以下であることが望まし
い。なお、上記したアロマ分、ナフテン分およびパラフ
ィン分の値は、全てASTM-D-3238-90に規定する"Standar
d Test Method for Carbon Distributionand Structura
l Group Analysis of Petroleum Oils by the n-d-M Me
thod"に準拠して規定される値を表す。本発明の電気絶
縁油の基油として用いられる鉱油の動粘度は、特に制限
はないが、40℃で5〜50mm2/s以上であること
が好ましい。本発明の電気絶縁油の基油として用いられ
る鉱油は、JIS K 2265「原油及び石油製品引
火点試験方法」に準拠して規定される引火点が130℃
以上であることが好ましい。本発明の電気絶縁油の基油
として用いられる鉱油は、JIS K 2269「原油
及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」
に準拠して規定される流動点が−27.5℃以下である
ことが好ましい。
【0006】本発明の電気絶縁油の基油の製造方法につ
いては特に制限はないが、好ましくは原料を水素化分解
触媒の存在下、全圧力150kg/cm2以下、温度3
60〜440℃、LHSV0.5hr-1以下の反応条件
で、分解率が40質量%以上になるように水素化分解
し、当該生成物をそのまま、当該生成物から潤滑留分を
回収したものを、脱ろう処理してから脱芳香族処理する
かまたは脱芳香族処理した後、脱ろう処理することによ
り製造されることが望ましい。この場合の原料として
は、減圧蒸留留出油(WVGO)、WVGOのマイルド
ハイドロクラッキング(MHC)処理油(HIX)、脱
れき油(DAO)、DAOのMHC処理油またはこれら
の混合油のいずれもが使用可能である。WVGOは原油
の常圧蒸留装置からの残渣油を減圧蒸留装置で蒸留した
際に得られる留出油で、好ましくは360〜530℃の
沸点を持つものがよい。HIXとは、WVGOをMHC
処理油(全圧力が100kg/cm2以下、好ましくは
60〜90kg/cm2、温度が370〜450℃、好
ましくは400〜430℃、LHSVが0.5〜4.0
hr-1、好ましくは1.0〜2.0hr-1の反応条件
下、360℃+留分の分解率が20〜30質量%の範囲
にある比較的温和な水素分解のことをいう。)によって
生成する重質減圧軽油である。MHC処理の触媒として
は、アルミナ、シリカアルミナ、アルミナボリア等の複
合酸化物担体に、第VI族金属および第VIII族金属
を担持して硫化したものが使用できる。アルミナには例
えばリン化合物のようなプロモーターが添加されること
がある。前記金属の担持量は、酸化物基準で第VI族金
属の場合、例えばモリブデン、タングステン、クロムは
5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%の範囲で
あり、第VIII族金属の場合、例えばコバルト、ニッ
ケルは1〜10質量%、好ましくは2〜10質量%の範
囲である。WVGOとHIXを混合する場合は、WVG
OにHIXを50質量%以上混合することが好ましい。
前記脱れき油とは、原油の常圧蒸留装置からの残渣油を
減圧蒸留装置で蒸留し、その際に得られる残渣油をプロ
パン脱れき法等で処理した実質アスファルテンを含有し
ない油である。
【0007】原料油の水素化分解は、水素化分解触媒の
存在下、全圧力が150kg/cm2以下、好ましくは
100〜130kg/cm2の中低圧であり、温度が3
60〜440℃好ましくは370〜430℃、LHSV
は0.5hr-1以下、好ましくは0.2〜0.3hr-1
の低LHSVであり、水素対原料油比が1000〜60
00s.c.f/bbl−原料油、好ましくは2500
〜5000s.c.f/bbl−原料油である反応条件
で行うことが好ましい。原料油の水素化分解に際して
は、原料油中360℃+ 留分の分解率が40質量%以
上、好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50
質量%以上になるよう反応条件が調節されることが好ま
しい。なお、原料油としてHIXを用いた場合、MHC
処理と水素化分解の合計の分解率は、60質量%以上、
好ましくは70質量%以上である。また、未分解油の一
部をリサイクルする場合、ここでいう分解率はリサイク
ル油込みの分解率ではなく、フレッシュフィールド当り
の分解率を指す。水素化分解に用いる触媒は特に制限さ
れないが、二元機能を有するものが好ましく、具体的に
は、例えば、第VIb族金属および第VIII族鉄族金
属から構成される水素化点と、第III族、第IVおよ
び第V族元素の複合酸化物から構成される分解点とを有
する触媒が使用される。第VIb族金属としてはタング
ステン、モリブテンが挙げられ、第VIII族鉄族金属
としてはニッケル、コバルト、鉄が挙げられ、これらは
複合酸化物担体に担持後、最終的には硫化物として用い
られる。担体に用いる複合酸化物としては、シリカアル
ミナ、シリカジルコニア、シリカチタニア、シリカマグ
ネシア、シリカアルミナジルコニア、シリカアルミナチ
タニア、シリカアルミナマグネシア、結晶性シリカアル
ミナ(ゼオライト)、結晶性アルミナホスフェート(A
LPO)、結晶性シリカアルミナホスフェート(SAP
O)等が挙げられる。複合酸化物への前記金属の担持量
は、酸化物基準として第VIb族金属では5〜30質量
%、好ましくは10〜25質量%の範囲であり、第VI
II族鉄族金属では1〜20質量%、好ましくは5〜1
5質量%の範囲である。念のため付言すれば、原料油を
水素化分解するに当っては、水素化分解触媒充填の床の
上流側に、脱硫および/または脱窒素能に優れた前処理
触媒を充填しても差し支えない。この種の前処理触媒と
しては、アルミナ、アルミナボリア等の担体に、例えば
第VI族金属および第VIII族金属を担持して、硫化
したものが使用できる。アルミナ、アルミナボリアには
プロモーター、例えばリン化合物が添加されることもあ
る。
【0008】原料油を水素化分解した後は、必要に応じ
て分解生成物から通常の蒸留操作で潤滑油留分を回収し
てもよい。回収可能な潤滑油留分としては、沸点範囲が
343℃〜390℃の70ペール留分、390℃〜44
5℃のSAE−10留分、445℃〜500℃のSAE
−20留分、500℃〜565℃のSAE−30留分な
どがある。必要に応じて潤滑油留分が分離回収された前
記の水素化分解生成物は、次いで脱ろう処理後、脱芳香
族処理されるかあるいは脱芳香族処理後、脱ろう処理さ
れる。脱ろう処理としては、溶剤脱ろう処理又は接触脱
ろう処理等が採用できる。溶剤脱ろう処理は、例えばM
EK法などの通常の方法で行うことができる。MEK法
は溶剤としてベンゼン、トルエン、アセトン又はベンゼ
ン、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)などの混
合溶剤を使用する。処理条件は脱ろう油が所定の流動点
になるように冷却温度を調節する。溶剤/油の容積比は
0.5〜5.0、好ましくは1.0〜4.5、温度は−
5〜−45℃、好ましくは−10〜−40℃である。接
触脱ろう処理は、通常の方法で行うことができる。例え
ばペンタシル型ゼオライトを触媒とし、水素流通下、脱
ろう油が所定の流動点になるように反応温度を調節する
が、その反応条件は一般に、全圧力が10〜70kg/
cm2、好ましくは20〜50kg/cm2、温度が24
0〜400℃、好ましくは260〜380℃である。L
HSVは0.1〜3.0hr-1、好ましくは0.5〜
2.0hr-1の範囲にある。脱芳香族処理としては、溶
剤脱芳香族処理あるいは高圧水素化脱芳香族処理のいず
れもが採用可能であるが、好ましくは溶剤脱芳香族処理
が望ましい。溶剤脱芳香族処理としては、通常フルフラ
ール、フェノール等の溶剤を用いて行うが、本発明では
溶剤にフルフラールを用いることが好ましい。溶剤脱芳
香族処理の条件としては、溶剤/油容積比4以下、好ま
しくは3以下、さらに好ましくは2以下および温度90
〜150℃であり、かつ、ラフィネート収率は60容量
%以上、好ましくは70容量%以上、さらに好ましくは
85容量%以上となるようにすることが望ましい。高圧
水素化反応による脱芳香族処理は、通常アルミナ担体に
第VIb族金属および第VIII族鉄族金属を担持して
硫化した触媒の存在下、全圧力150〜200kg/c
2、好ましくは70〜200kg/cm2、温度280
〜350℃、好ましくは300〜330℃、LHSV
0.2〜2.0hr-1、好ましくは0.5〜1.0hr
-1の条件で行われることが好ましい。触媒の金属担持量
は、酸化物基準で第VIb族金属の場合、例えばモリブ
デン、タングステン、クロムは5〜30質量%、好まし
くは10〜25質量%の範囲であり、第VIII族鉄族
金属の場合、例えばコバルト、ニッケルは1〜10質量
%、好ましくは2〜10質量%の範囲であることが好ま
しい。脱芳香族処理として溶剤脱芳香族処理を用いた場
合、必要によりこの処理の後に、水素化処理を行うこと
ができる。この水素化処理は、溶剤脱芳香族処理油を、
全反応圧力50kg/cm2以下、好ましくは25〜4
0kg/cm2の低圧の水素化反応条件で、アルミナ担
体にVIb族金属および第VIII族鉄族金属を担持し
て硫化した水素化触媒と接触させることにより行う。前
記金属の担持量は酸化物基準で第VIb族金属の場合、
例えばモリブデン、タングステン、クロムは5〜30質
量%、好ましくは10〜25質量%の範囲であり、第V
III族鉄族金属、例えばコバルト、ニッケルは1〜1
0質量%、好ましくは2〜10質量%の範囲であること
が好ましい。このような比較的低圧下での水素化処理は
溶剤脱芳香族油の光安定性を飛躍的に向上させることに
寄与している。
【0009】以上は本発明の電気絶縁油において、その
基油として使用される油の製造法の一例を記したもので
あるが、その製造過程で原料油の水素化分解後、その生
成物から潤滑油留分を回収しなかった場合は、脱芳香族
処理、脱ろう処理あるいは水素化処理の後に、通常の蒸
留操作により、潤滑油留分を回収することができる。こ
こで回収される潤滑油留分は、先の場合と同様、沸点範
囲が343℃〜390℃の70ペール留分、390℃〜
445℃のSAE−10留分、445℃〜800℃のS
AE−20留分、500℃〜565℃のSAE−30留
分等である。
【0010】本発明においては、基油として前記した水
素化分解基油を単独で用いることが好ましいが、公知の
鉱油系および/または合成油系潤滑基油を混合して用い
ることも可能である。鉱油系基油としては、例えば、原
油を常圧蒸留および滅圧蒸留して得られた潤滑油留分
を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、
接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製
処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテ
ン系などの基油等が挙げられる。また、合成油系基油と
しては、例えば、ポリα−オレフィン(ポリブテン、1
−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマーなど)、
アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル
(ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルア
ジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジ
ペート、ジ3−エチルヘキシルセバケートなど)、ポリ
オールエステル(トリメチロールプロパンカプリレー
ト、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエ
リスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリス
リトールペラルゴネートなど)、ポリオキシアルキレン
グリコール、ポリフェニルエーテル、シリコーン油、パ
ーフルオロアルキルエーテル、またはこれらの2種以上
の混合物等が挙げられる。鉱油系および/または合成油
系潤滑基油を混用する場合は、前記した水素化分解基油
が基油全量に対し、50質量%以上、好ましくは70質
量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含まれてい
ることが望ましい。
【0011】電気絶縁油の基油としては、体積抵抗率、
誘電正接などの電気特性向上のため精製の最終段階にお
いて白土処理が不可欠とされてきた。しかしながら、白
土処理を実施した後に残る廃白土には多大な処理費用を
要すると共に、自然環境への負荷が懸念される。このよ
うな背景から、白土処理を必要としない電気絶縁油の製
造が望まれているが、本発明、特に基油として上記水素
化分解を用いた場合には、白土処理は必ずしも必要では
なく、電気特性に優れた電気絶縁油が得られ、かつ、製
造コストの低減と共に自然環境への影響を低減させるこ
とができる。
【0012】本発明の電気絶縁油は、基油として上記各
性状を満たすものを用いると共に酸化防止剤を含有して
なるものである。本発明における酸化防止剤としては任
意のものが使用可能であるが、具体的には例えば、2,
6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール(D
BPC)や2,6−ジターシャリーブチルフェノール等
のフェノール系酸化防止剤、フェニルナフチルアミン
(PAN)等のアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
また、その含有量は特に制限はないが、通常電気絶縁油
全量基準で0.01〜1質量%、好ましくは0.05〜
0.5質量%の範囲である。
【0013】本発明の電気絶縁油としては、さらにその
優れた性能を高めるために、電気絶縁油用として公知の
添加剤を配合することも可能性である。具体的には例え
ば、ベンゾトリアゾール等の流動帯電防止剤、塩素化パ
ラフィンとナフタリンの縮合物、ポリメタクリレート、
オレフィン重合物(エチレン−プロピレンコポリマー、
アルキル化ポリスチレン等を含む)等の流動点降下剤な
どが挙げられる。これらの各添加剤の含有量については
何ら制限はないが、電気絶縁油全量基準で通常10質量
%以下、好ましくは5質量%以下(合計量)である。
【0014】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例および比較例に
よって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施
例に何ら限定されるものではない。
【0015】まず、表1の各例に示すような性状を有す
る各基油(基油1〜8)を製造した。各基油の製造方法
は以下の通りである。 (基油1)パラフィン系の原油から得られた減圧蒸留留
出油に対し、水素化分解処理、溶剤脱ろう処理およびフ
ルフラールを用いた溶剤脱芳香族処理を行った。 (基油2)基油1を白土処理した。 (基油3)ナフテン系の原油から得られた減圧蒸留留出
油に対し、高度の水素化精製処理を行った。 (基油4)基油3を白土処理した。 (基油5)ナフテン系の原油から得られた減圧蒸留留出
油に対し、高度の溶剤精製処理を行った。 (基油6)基油5を白土処理した。 (基油7)ナフテン系の原油から得られた減圧蒸留留出
油に対し、中度の水素化精製処理を行った。 (基油8)基油7を白土処理した。
【0016】
【表1】
【0017】次に表2の各例(実施例1〜6および比較
例1〜10)に示すように各基油に酸化防止剤としてD
BPCを添加して電気絶縁油を製造し、これら電気絶縁
油について、下記の方法により熱・酸化安定性および電
気特性の評価を行った。その結果を表2に示す。試験1 JIS C 2101「電気絶縁油試験方法」の「1
8.酸化安定性試験」に準拠し、試料を劣化させた後の
スラッジ及び全酸価を測定した。試験2 ASTM-D-2112に規定する"Standard Test Method for Oxi
dation Stability ofInhibited Mineral Insulating Oi
l by Rotating Bomb"に準拠し、試験温度140℃の条
件で酸化寿命を測定した。試験3 JIS C 2101「電気絶縁油試験方法」の「2
3.誘電正接および比誘電率試験」および「24.体積
抵抗率試験」に準拠し、誘電正接(tanδ)および体
積抵抗率を測定した。
【0018】
【表2】
【0019】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、熱・酸化
安定性に優れると共に、安全性の高い電気絶縁油が得ら
れる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DMSO抽出物量が3.0質量%以下、
    変異原性指数MIが1.0未満、硫黄分が500質量p
    pm以下及びアロマ分が10%以下である鉱油を基油と
    し、かつ酸化防止剤を含有してなることを特徴とする電
    気絶縁油。
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