JPH1070858A

JPH1070858A - 中空回転子を有する回転電機

Info

Publication number: JPH1070858A
Application number: JP9130445A
Authority: JP
Inventors: Tadakatsu Yamamoto; 忠勝山本
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1996-05-07
Filing date: 1997-05-02
Publication date: 1998-03-10

Abstract

(57)【要約】（修正有）【課題】流体移送のためのランナ、羽根車、翼車等の
機能を兼ね備えた中空回転子を有する新規構造の回転電
機を提供すること。【解決手段】周囲に固定子巻線（１２）が巻回された
筒状回転子（１０）と、前記固定子巻線（１２）との間
で電磁作用を発生するための筒状電磁作用発生部（２
２）を備えた中空回転子（２０）と、を有し、該中空回
転子（２０）が前記筒状固定子（１０）の内部に回転可
能に嵌入せしめられた、中空回転子を有する回転電機に
よって解決される。この中空回転子（２０）の内側に
は、例えば流体移送用の羽根、翼、スクリュー等を形成
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、新規構造を有する電動
機または発電機等の回転電機に関し、特に中空回転子を
備えた回転電機に関するものである。ここで使用する、
中空回転子における「中空」なる用語は、電磁気的に作
用する部分が回転子内部に含まれていないことを意味
し、その他の機能を発揮する要素、例えば流体に対して
作用する羽根や翼類あるいは目的とする対象を相対的に
移動せしめるための構造等の存在までも否定するもので
はない。

【０００２】

【従来技術】電気エネルギーを機械エネルギーに変換し
て動力を取り出す通常の電動機は、機械動力を回転軸か
ら取り出している。回転軸から取り出される機械動力
は、負荷に加えられ、所期の仕事を行う。

【０００３】通常の負荷は、各種カップリングを介して
の直結、歯車変速手段を介しての連結、またはプーリー
やスプロケットを介してのベルトまたはチェーンによる
連結等によって動力の伝達を行っている。

【０００４】そのため、中空回転子電動機は、機械動力
を取り出すことができず、前述のような用途に対しては
適合しない。また、機械的エネルギーを電気エネルギー
に変換する通常の発電機は、水力、汽力、風力、内燃力
その他による回転動力である運動エネルギーを外部から
加え、発電機内においてエネルギー変換を行い、電気エ
ネルギーを出力するものである。したがって、回転軸の
無い発電機も外部動力を入力することができないため従
来設備にあっては、電動機の場合と同様に適合しない。

【０００５】しかしながら、かかる回転軸や中実の回転
子中央部の存在が障害になる用途も多数存在する。例え
ば、流体移送用のブロア、ファン、風車またはポンプ、
水車等の装置類においては、回転軸の存在によって羽根
やランナにより移送されるべき流体の流動方向を強制的
に変更することになり損失増大の大きな要因となってい
る。また、スクリュー上を回転しつつ位置決めを行う可
動部の回転体等にあっても同様である。

【０００６】回転羽根車またはプロペラを有する、いわ
ゆる軸流式のポンプやブロアにおいても、電動機の存在
による流体抵抗の増加を回避するために、流路方向の強
制的変更を行ったり、回転翼や羽根車の付された回転電
機類の本体を流線型カバーで包囲し、流路内に直接配置
する等の配慮が不可欠となる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の従来
技術の問題点を解消し、流体移送のためのランナ、羽根
車等の機能を付加することのできる中空回転子を有する
回転電機を提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の課題は、第１図
（Ａ）、（Ｂ）に示すように、周囲に固定子巻線１２が
巻回配設された筒状固定子１０と、前記固定子巻線１２
との間で電磁作用を発生するための筒状電磁作用発生部
２２を備えた中空回転子２０とを有し、該中空回転子２
０が前記筒状固定子１０の内部に回転可能に配設せしめ
られている中空回転子を有する回転電機によって解決さ
れる。

【０００９】上述の構成において、前記筒状固定子１０
の内面と、前記中空回転子２０の外表面との間の少なく
とも１箇所に軸受を設けることが望ましい。

【００１０】このような軸受は、機械的摩擦低減のため
の接触形軸受、例えば玉軸受、ローラー軸受、ニードル
軸受、プラスチック軸受等とすることができ、また、磁
気の反発力を利用した非接触の磁気軸受とすることがで
きる。

【００１１】本発明における中空回転子とは、回転電機
の回転子として中空であることを意味するものであり、
その内部には、他機能に必要な構成を直接または着脱可
能に適宜付加することができる。例えば、上述の中空回
転子の内側には、流体対応の羽根、翼、突起類を所定数
設けることができる。これらの羽根、翼、突起等は、そ
れぞれ液体対応構造、または、気体対応構造とすること
ができる。

【００１２】このような回転電機は、電動機として構成
することができるが、水車、風車等のような流体による
運動エネルギーを入力する発電機とすることもできる。
これらの各構成における中空回転子は、良導体製かご形
導体を導電率の異なる他の金属または非金属材料によっ
て包囲したかご形回転体、回転体周辺に多数並列された
磁性体性突起を有する有歯状回転子、または適宜形状の
所要数の永久磁石を筒状非磁性体材料内に埋設した永久
磁石回転体等とすることができる。

【００１３】このような中空回転子を有する回転電機を
電動機として利用する場合には、電動機回転子の内部に
そのまま、ポンプ、送風機、ブロア、ファン等の回転部
を形成するように構成することができる。したがって、
両者を一体化した全体構造を小形かつ簡易化することが
可能となる。このような構造にあっては、流体の移動方
向はほとんど直線となるため、強制的な流路変更に伴う
流路内の損失を大幅に軽減することができる。

【００１４】本発明にかかる回転電機を発電機とする場
合も同様の構造をとることができ、回転子内部に流体運
動によってトルクを発生せしめる構造とすることによ
り、同様の効果を期待することができる。なお、発電機
として構成する場合には、回転子は、通常永久磁石埋設
形とすることが多く、比較的小形の装置とすることがで
きる。このように構成された装置を液状流体管路や気体
状流体管路中に設置することにより容易に発電を行うこ
とができる。しかし、かご形回転子として誘導発電機の
形態で使用することも可能である。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、実施例を表わす添付図を参
照しつつ本発明を詳述するが、本発明の範囲を限定する
ものではない。図１（Ａ）は、本発明にかかる中空回転
子を有する回転電機における固定子１０およびこれに嵌
入せしめられた中空回転子２０の基本構成例を、そし
て、図（Ｂ）は中空回転子２０の構成を略示した斜視図
である。なお、以下の実施例は、主として電動機の形態
について記述する。

【００１６】図１（Ａ）は、プラスチック、非磁性金属
等適宜材質の筒状体１１の外表面に固定子巻線１２が巻
回配設された状態を示すもので、周知の磁界発生用の固
定子巻線構造、例えば三相、六相等の多相交流による回
転磁界発生用巻線、単相交流による移動磁界巻線、交直
変換による交番磁界巻線、パルスによって順次進行磁界
を発生するステッピングモータ用巻線、レラクタンスモ
ータ巻線、ＳＲ（ＳｗｉｔｃｈｅｄＲｅｌｕｔａｎｃ
ｅ）モータ巻線等とすることができるが、ここでは単な
る円筒状体として略示している。

【００１７】この固定子巻線１２に対して、図示してい
ない適宜電源から所要電流を供給することにより回転磁
界、移動磁界、交番磁界等が発生せしめられる。なお、
筒状体１１の端部は、用途に応じた構造、例えば適宜配
管との接続に適した構造やケーシングに対する取り付け
構造等とすることができる。また、適宜アダプタやユニ
オンカップリングを介して接続するものであってもよ
い。

【００１８】この場合の電源は、多相交流電源とするこ
とができることはもとより、サイリスタ等の制御整流素
子およびその他の素子によって形成されたインバータそ
の他等の可変電源装置を利用することができる。このよ
うなインバータを利用すれば、回転磁界や移動磁界が可
変速となり、電動機としての回転速度の調整が容易に実
施できることになり、適用範囲が拡大される。また、移
動磁界を形成するために進相または遅相電流を利用する
単相誘導電動機と同様の構造であっても良い。さらに、
前述のようにパルス発生装置を駆動源とし、ステッピン
グモータとして構成することもできる。

【００１９】筒状体１１の内部には、軸受１４Ａ、１４
Ｂを配設して中空回転子２０の外表面または回転体の直
径より若干小径の中空軸部分を支持する構造が望まし
い。低速回転の装置の場合や、軸受の形式によっては、
いずれか一方のみとし、あるいは回転子の構造に軸受の
機能を付加することも可能である。なお、固定子巻線１
２を二分割し、その中央部に１個の軸受を配設すること
もできる。さらに、流体内で回転せしめるポンプのよう
な用途においては、硬質かつ滑り抵抗の少ないエンジニ
アリングプラスチック、例えばポリテトラフルオロエチ
レン（ＰＴＦＥ）やポリアセタール（ポリオキシメチレ
ン：ＰＯＭ）等によって構成することもできる。

【００２０】図１（Ｂ）は、中空回転子２０の基本構成
を示す斜視図である。適宜材質、例えばプラスチックそ
の他の非金属材料またはアルミニウム合金等の非磁性金
属の筒状体２１の中央付近であって、前記固定子巻線１
２に対応する部位に電磁作用発生部２２が形成される。
この電磁作用発生部２２は、例えば良導体製のかご状体
とすることができる。かかるかご状体を利用する場合に
は、筒状体２１は、熱可塑性または熱硬化性の合成樹脂
製またはこのかご状体よりも導電率の低い金属製とする
ことができる。

【００２１】なお、移送する流体の種類を考慮し、例え
ば、耐溶剤性、耐薬品性等に優れていて、かつ、硬質か
つ滑り抵抗の少ないエンジニアリングプラスチック、例
えば前述のようなＰＴＦＥやＰＯＭ等によって構成する
こともできる。かかる材質を選択することにより、回転
子筒状体２１自体を軸受の一部として構成することが可
能となる。

【００２２】筒状の電磁作用トルク発生部２２の他の構
成例としては、軸方向に沿って並列に埋設された棒状の
永久磁石によって形成することができる。なお、棒状永
久磁石の向きを軸方向から若干傾斜せしめて配設するこ
とができる。かかる構造は、電動機の場合のトルクを平
滑化し、かつ始動トルクを確実に発生するために有効で
ある。このような永久磁石を使用した回転子の場合は、
同期機、ステッピングモータまたはブラシレス直流機と
して作動する。

【００２３】このブラシレス直流機は、周知のように固
定子巻線に対し外部から直流を与えておき、回転子の磁
極位置をホール素子等の磁気センサで検出し、それぞれ
の位置において吸引・反発が生ずるように電流の制御を
行い回転トルクを発生せしめるものである。なお、パル
ス状電流によるステッピングモータや、レラクタンスモ
ータ、ＳＲモータとすることも可能である。

【００２４】筒状の電磁作用発生部２２は、電磁エネル
ギーの利用効率を高めるために、可能な限り筒状体２１
の外表面付近に設けることが望ましい。回転子２０の置
かれる周囲の流体の種類にもかかわるが、周囲流体によ
るケミカルアタック等の支障がなければ、その外表面の
一部を露出させる構造とすることもできる。

【００２５】なお、上述のかご形導体と棒状永久磁石と
の両者を組み合わせた筒状の電磁作用発生部２２とする
こともできる。両構性を組み合わせることによって、多
様な特性、例えば各用途に適する始動特性、回転速度、
トルク、制動特性等を発揮する中空回転子電動機が得ら
れる。

【００２６】この中空回転子２０では、固定子１０の内
側に嵌入させた際に軸受１４Ａ、１４Ｂに対応する部位
に内部側軸受部材２４Ａ、２４Ｂが配設されている。当
然、固定子１０と回転子２０の間の対応する部位に設け
られるものであり、取り付け部位はそれぞれの用途に応
じて設計される。

【００２７】図２は、中空回転子２０の内壁面から中心
方向に向けて流体に適合する適宜枚数の羽根２６が形成
されている。この羽根２６は、回転子中空部の内径の寸
法、対象とする流体の種類、例えば気体か液体かによっ
て異なる。また、流体の比重や粘度等を考慮して形状、
寸法、枚数、ピッチ、傾斜、曲率等を変更することがで
きる。なお、中空回転子２０の筒状体２１と内挿する羽
根２６の構造とを別個に作成しておき、例えば両者間に
形成された突条とこれに対応する溝のような嵌合構造、
ねじ止めまたは接着等により一体化するよう構成するこ
とができる。

【００２８】このような構成であれば、予め製造されて
いる標準的中空回転子２０に対して、用途毎に異なる構
造および特性の羽根２６の構造を組み合わせることによ
り多様な用途に適合せしめることができ、あるいは摩耗
や折損時等にも交換可能に構成することができる。いず
れの場合であっても、完成した中空回転子２０の回転バ
ランスを調整する必要があることは、通常の回転体の場
合と同様である。しかし、中心軸では無く外方から支承
される構造であるため、遠心力による影響も少ないため
振動の発生は軽微となる。

【００２９】中空回転子２０を固定子１０の筒状体１１
の所定位置に支承するための軸受１４Ａ、１４Ｂならび
に２４Ａ、２４Ｂは、前述のように対象流体の種類やそ
の物理的・化学的性質等を考慮して定めるべきである。
よく知られている軸受、例えば鋼鉄や焼結金属その他の
特殊金属を素材とする球軸受、ローラー軸受、ニードル
軸受等の接触形軸受とすることができる。流体が空気そ
の他の通常の気体の場合には、これら軸受を適宜選択し
て使用することができる。

【００３０】しかし、流体が強酸や強アルカリのように
腐蝕性を有する成分を含む場合や、気液混合体の場合に
あっては、配慮が必要である。かかる問題が存する場合
には、耐蝕性材料、例えば前述のようなＰＴＦＥやＰＯ
Ｍ等のようなケミカルアタックに対する耐性の大きい材
料および潤滑系を考慮する必要がある。

【００３１】さらに、対象流体が液体の場合には、流動
液体が良質の油類である場合を除き、軸受の構成を特に
考慮する必要がある。また、飲用や医療用の液体のよう
に対象流体中に潤滑剤が混入すると都合が悪い場合に
も、同様の配慮が必要となる。

【００３２】このように、接触軸受の使用が問題となる
場合には、磁気軸受を採用することができる。磁気軸受
は、中空回転子２０の所望部位に永久磁石の磁極を配設
し、この回転子側磁極と固定子１０側に取り付けられて
いる同極性磁極との間に作用する反発力により非接触で
所定位置に保持される構造である。

【００３３】このような磁気軸受は、現在のところ高価
ではあるが、上述のような接触形軸受の使用に適さない
用途、あるいは相応しくない用途にも適用可能である。

【００３４】空気その他のような格別支障の生じない流
体を対象とする用途に対しては、廉価な接触形軸受で対
応することができる。例えば、各種ファン類やブロア等
への適用軸受は接触形でもよい。

【００３５】本発明にかかる中空回転子を有する電動機
の用途は、移送用流体が気体である例としては、電機掃
除機、ふとん乾燥機、ヘアドライヤ、扇風機、エアコン
用送風機、電気ストーブ用送風機、電気・電子機器用冷
却ファン等に適用することができる。また、中空回転子
を極端に短く形成し、半導体集積素子に取り付ける小形
冷却ファンとして使用することもできる。

【００３６】流体が液体である場合の用途としては、管
路の途中に配設して使用する、いわゆるインラインポン
プやタンク類と配管との接続部における吸引・排出・攪
拌等のためのポンプまたはアジテータとして使用するこ
とができる。このようなインラインポンプとしての用途
は、配管の水平部、傾斜部、垂直部等の適宜位置に容易
に配設することができ、流体の流路変更も生じないため
効率のよい液体移送が可能となる。例えば、配管の低所
に配設することにより内容物の停滞を防止するような用
途にも適用可能である。

【００３７】この場合、中空回転子並びに固定子側筒状
体それぞれの材質を適宜考慮することにより、清水、食
用油、燃料油、各種薬品・血液類、アルコール類、ジュ
ースその他の飲料水類、醤油・ソース等の調味料類、上
水、下水、液体肥料類等のいずれにも有利に対応可能で
ある。容量的には、大小いずれでも対応可能であるが、
特に小形化に有利であり、例えば自動販売機内の液体移
送ポンプとして液漏れや他物の混入による汚染等のおそ
れが無く、安全な液体移送が可能となる。

【００３８】本発明にかかる中空回転子を有する回転電
機を発電機とする場合には、かご形回転子とする誘導電
動機や、永久磁石回転子による同期発電機とすることが
できる。このような発電機としての用途にあっては、中
空回転子２０の内部の羽根の形状および構造を対象流体
の種類、水、蒸気等の高速流体、風等に応じたものとす
る必要がある。これら気体または液体の流速および流量
の積に比例する回転動力を得、これを固定子巻線におい
て電気エネルギーに変換して出力するものである。発生
する電力は交流であるが、特に誘導発電機においては、
他の基準発電機または系統と連係されている必要があ
る。

【００３９】かかる構造の中空回転子を有する発電機に
より、管路の適宜位置にインライン接続し、発電するこ
とができる。この電力は、必ずしも大電力を意味するも
のではなく、例えば長距離パイプラインの適宜位置で計
測・制御・伝送あるいは照明等の電源を必要とするよう
な用途にも適用することができる。かかる用途では、電
源の配線、電池設備等が不要となる。

【００４０】発電機本来の用途としては、水流をせき止
める小堰堤を形成し、この発電機を設置することにより
容易に小形発電設備を構成することができる。山間部や
電源の無い地域における簡易発電設備を構成することが
できる。山小屋、キャンプ場、別荘等の電源確保に応用
することができる。また、海浜において潮流や波力を利
用することもできる。

【００４１】本発明にかかる中空回転子を有する回転電
機は、種々の態様に適用することができる。したがっ
て、固定子１０並びに中空回転子２０の形状は円筒状の
みならずそれぞれに適応する様に改変可能である。中空
回転子２０の内外部の形状は、例えば図３の側面図のよ
うに破線で示した円筒状外形に対して実線で示した様に
ラッパ形、異径２段形、たる形、中間絞り形等の適宜内
部形状を採用することができる。

【００４２】かかる内外部の破線と実線とで囲まれた部
分に、内部構造体としての電磁作用発生部２２や軸受用
部材を設けることができる。また、中空部内の形状は流
体の単なる移送か圧縮かまたは放出か等の内容を考慮し
て選定すべきものである。例えば、流体の圧縮を行う場
合には、大径側から吸引し、小径側へ通過させつつ圧縮
を行うものである。外形についても適宜変更することが
でき、例えば一部を軸受の内部部材とする場合等は適合
する小径部分を形成し、固定子側筒状体の一部に嵌入せ
しめる形状とすることができる。

【００４３】また、図４のように内部に流体移送用羽根
２７または翼等を有する中空回転軸２８の周囲に中空回
転子２０を取り付けた構造とすることができる。このよ
うな攻勢においては、中空軸２８の適宜位置に軸受２４
Ｃおよび２４Ｄを設けることができる。かかる構造は特
に小形流体移送装置、例えば鑑賞魚飼育のためのフィル
タ用ポンプ、自動販売機用ポンプ、その他の流体移送ポ
ンプとして有利な構成を得ることができる。当然、気体
移送用ファン、またはブロアとしても構成することがで
きる。

【００４４】

【発明の効果】本発明にかかる中空回転子を有する回転
電機によれば、回転子の内部が中空となっていることか
ら、所望の目的達成のための機能、例えば空気その他各
種気体を始め、液体等の流体を移送するための羽根、
翼、プロペラ類を直接形成することができる。したがっ
て、電動機の回転子の内部がそのままポンプ、ファン、
ブロア、水車、タービン等の機能部となる。そのため、
従来設備のような動力伝達上の損失が無くかつ、流路の
強制変更に伴う損失の発生が回避される。また、回転軸
貫通部等における流体の漏洩も生じないため安全かつ効
率のよい流体移送が可能となる。

【００４５】本発明にかかる中空回転子を有する回転電
機を利用した流体移送装置によれば、流体配管の適宜位
置に、漏洩の生じないような適宜カップリングを利用す
ることにより、直列（インライン）設置することができ
る。したがって、流体配管内に複数の装置を適宜間隔で
設置することも可能であり、縦続作動が可能となる。そ
のため。高粘度流体や沈澱し易い物質の混在する流体の
移送にも適する。

【００４６】このような流体移送用ポンプは、固定子側
の筒状体並びに中空回転子を構成する素材および構造を
適宜選択することにより、特殊流体、例えば強酸や強ア
ルカリ、その他有毒・有害物質の移送にも適するケミカ
ルポンプを提供することができる。また、他物質の混入
を嫌う用途、例えばソース・醤油・味醂等の調味料類、
食用油類、牛乳、アルコール飲料、ジュース・コーラ等
のような飲料水等移送にも適する。なお、駆動軸の貫通
部等が無く密閉構造であることから、揮発性の強い燃料
や薬品類にも適用することができる。各種用途において
固定子構造を完全密閉構造とすることにより全体をこれ
ら液体中に埋没せしめて使用することも可能である。

【００４７】さらに、本発明にかかる中空回転子を有す
る回転電機により構成される流体移送装置は、気体用と
して構成することができる。換気扇やルーフファンとし
て利用可能である。また吸引部と集塵部との間に配置し
て電気掃除機を構成し、熱源を配置してこれと組み合わ
せる布団乾燥機やヘアドライヤー、エアコンの送風部等
の家電製品に適用することができる。

【００４８】また、小形電子機器類、あるいはこれらの
構成要素等に直接組み込む小形冷却装置として使用する
ことができる。かかる用途にあっては、流体の流路変更
が生じないことから流動抵抗が大幅に低減され、効率の
よい流体移送が可能となり、全体的に装置の小形化およ
び省エネルギーが達成される。

【００４９】本発明にかかる中空回転子を有する回転電
機を発電機として適用すれば、小形水車発電機やその他
高速流体による発電機を極めて簡易な構成によって形成
することができる。例えば、流体移送管路において、管
路内の適宜部位にインライン接続することにより、管内
流体の流動に応じて発電することができる。

【００５０】得られる電力は、照明、電熱、電動機駆動
を始め計測・制御・遠隔伝送用電源とすることができ
る。遠距離パイプラインや寒冷地プラント設備配管にお
ける凍結防止用電源や情報伝達用電源とすることも可能
である。この場合、固定子側を完全防水とすることによ
り、液体中に埋没せしめて運用や地中に埋設した利用も
可能となる。例えば、小河川や海浜等に配置し、水流ま
たは波力・潮流に伴う流動水を利用した発電を行うこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図（Ａ）、（Ｂ）は、本発明にかかる中空回転
子を有する回転電機の基本構成を示す斜視図である。

【図２】本発明にかかる中空回転子を有する回転電機の
中空回転子の構成例を示す斜視図である。

【図３】図（Ａ）〜図（Ｄ）は、本発明にかかる中空回
転子の形状例を示す側面図である。

【図４】本発明にかかる中空回転子の他の形状例を示す
正面図である。

【符号の説明】１０中空回転子１１筒状体１２固定子巻線１４Ａ軸受１４Ｂ軸受２０中空回転子２１筒状体２２電磁作用発生部２４Ａ軸受２４Ｂ軸受２６羽根２７羽根２８中空軸受２４Ｃ軸受２４Ｄ軸受

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】周囲に固定子巻線（１２）が巻回された
筒状固定子（１０）と、前記固定子巻線（１２）との間
で電磁作用を発生するための筒状電磁作用発生部（２
２）を備えた中空回転子（２０）とを有し、該中空回転子（２０）が前記筒状固定子（１０）の内部
に回転可能に嵌入せしめられていることを特徴とする中
空回転子を有する回転電機。
【請求項２】前記筒状固定子（１０）の内面と、前記
中空回転子（２０）の外表面との少なくとも１箇所に軸
受（１４Ａ、１４Ｂ；２４Ａ、２４Ｂ）が設けられるこ
とを特徴とする、請求項１に記載の中空回転子を有する
回転電機。
【請求項３】前記軸受が機械的摩擦低減のための接触
形軸受であることを特徴とする、請求項２に記載の中空
回転子を有する回転電機。
【請求項４】前記軸受が磁気の相互反発力を利用した
磁気軸受であることを特徴とする、請求項２に記載の中
空回転子を有する回転電機。
【請求項５】前記中空回転子（２０）の内面に、流体
用羽根（２６）が所定数設けられることを特徴とする、
請求項１ないし４のいずれかに記載の中空回転子を有す
る回転電機。
【請求項６】前記中空回転子（２０）の内面に形成さ
れる流体用羽根が、液体対応構造を有することを特徴と
する、請求項５に記載の中空回転子を有する回転電機。
【請求項７】前記中空回転子（２０）の内面に形成さ
れる流体用羽根が、気体対応構造を有することを特徴と
する、請求項５に記載の中空回転子を有する回転電機。
【請求項８】前記回転電機が、電動機として構成され
ることを特徴とする、請求項１ないし７のいずれかに記
載の中空回転子を有する回転電機。
【請求項９】前記中空回転子の電磁作用発生部（２
２）が、かご形回転子として形成され、前記固定子巻線
（１２）の発生する回転磁界によって回転力を発生する
誘導電動機として構成されることを特徴とする、請求項
８に記載の中空回転子を有する回転電機。
【請求項１０】前記中空回転子の電磁作用発生部（２
２）が、永久磁石の埋設された中空回転子として形成さ
れ、前記固定子巻線（１２）の発生する回転磁界によっ
て回転力を発生する同期電動機として構成されることを
特徴とする、請求項８に記載の中空回転子を有する回転
電機。
【請求項１１】前記中空回転子の電磁作用発生部（２
２）が、永久磁石の埋設された中空回転子として形成さ
れ、前記固定子巻線（１２）の電流が回転子に埋設され
た永久磁石の磁極位置に応じて変流せしめられることに
より回転力を発生するブラシレス直流電動機として構成
されることを特徴とする、請求項８に記載の中空回転子
を有する回転電機。
【請求項１２】前記中空回転子（２０）の内面に形成
される流体用羽根が、ポンプ回転体として形成されるこ
とを特徴とする、請求項８ないし１１のいずれかに記載
の中空回転子を有する回転電機。
【請求項１３】前記中空回転子（２０）の内面に形成
される流体用羽根が、電気掃除機用送風羽根として形成
されることを特徴とする、請求項８ないし１１のいずれ
かに記載の中空回転子を有する回転電機。
【請求項１４】前記中空回転子（２０）の内面に形成
される流体用羽根が、換気扇の羽根として形成されるこ
とを特徴とする、請求項８ないし１１のいずれかに記載
の中空回転子を有する回転電機。
【請求項１５】前記中空回転子（２０）の内面に形成
される流体用羽根が、電気集塵機用送風羽根として形成
されることを特徴とする、請求項８ないし１１のいずれ
かに記載の中空回転子を有する回転電機。
【請求項１６】前記中空回転子（２０）の内面に形成
される流体用羽根が、空調用送風羽根として形成される
ことを特徴とする、請求項８ないし１１のいずれかに記
載の中空回転子を有する回転電機。
【請求項１７】前記中空回転子（２０）の内面に形成
される流体用羽根が、ふとん乾燥機用送風羽根として形
成されることを特徴とする、請求項８ないし１１のいず
れかに記載の中空回転子を有する回転電機。
【請求項１８】前記中空回転子（２０）の内面に形成
される流体用羽根が、ヘアドライヤ用送風羽根として形
成されることを特徴とする、請求項８ないし１１のいず
れかに記載の中空回転子を有する回転電機。
【請求項１９】前記回転電機が、発電機として構成さ
れることを特徴とする、請求項１ないし７のいずれかに
記載の中空回転子を有する回転電機。
【請求項２０】前記中空回転子（２０）の内面に形成
される流体用羽根が、水車のランナとして形成されるこ
とを特徴とする、請求項１９に記載の中空回転子を有す
る回転電機。
【請求項２１】前記中空回転子（２０）の内側に中空
軸（２８）が配設されることを特徴とする、請求項１な
いし２０に記載の中空回転子を有する回転電機。