【発明の詳細な説明】
フィブリノゲン受容体拮抗物質
発明の分野
本発明は血小板凝集を阻害する新規化合物、該化合物を含む医薬組成物、およ
び該化合物の使用法に関する。
発明の背景
血小板の凝集は、主に、インテグリンと称する付着レセプターの一種であるフ
ィブリノゲンレセプター、またはGPIIb-IIIa血小板レセプター複合体により
媒介されると考えられる。インテグリンレセプターの天然のリガンドは、しばし
ば、Arg-Gly-Asp配列を含有するタンパク質であることが判明している。GP
IIb−IIIaレセプターに関する天然のリガンドであると考えられるVon Wille
brandファクターおよびフィブリノゲンはその一次構造においてArg-Gly-Asp
(1文字のアミノ酸コードではRGD)配列を有する。機能的には、これらのタ
ンパク質は隣接する血小板のGPIIb-IIIaレセプターと結合および架橋し、そ
れにより、血小板の凝集を起こしうる。
フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびトロンボスポンジンもまたGPIIb
-IIIaと結合することが立証されているRGD含有タンパク質である。フィブロ
ネクチンは血漿中に見いだされ、構造タンパク質として細胞内基質中に見いださ
れる。構造タンパク質およびGPIIb-IIIa間の結合は、血小板を損傷した血管
壁に付着させるように機能する。
ビトロネクチンに結合し、RGD配列を有する直鎖状および環状ペプチドが、
WO89/05150(PCT US88/04403)に開示されている。E
P0275748は、GPIIb-IIIaレセプターに結合し、血小板凝集を阻害す
る直鎖状のテトラないしヘキサペプチドおよび環状ヘキサないしオクタペプチド
を開示している。他の直鎖状および環状ペプチドがEP−A0341915に報
告されており、その開示を出典明示により本明細書の一部とする。しかし、この
ような阻害剤のペプチド状構造は、薬剤のデリバリー、代謝安定性および選択性
などにおいてしばしば問題を提起する。天然のアミノ酸配列で構成されないフィ
ブリノゲンレセプターの阻害剤がEP−A0372486、EP−A03810
33およびEP−A0478363に開示されている。WO92/07568(
PCT/US91/08166)は、単環式7員環構造を形成することによりR
GD配列におけるγ−ターン構造を模倣したフィブリノゲンレセプター拮抗物質
を開示している。しかし、有効なin vivoおよびin vitro効果を有し、アミノ酸
配列のペプチド骨格構造を有しない新規フィブリノゲンレセプター拮抗物質(例
えば、GPIIb-IIIaタンパク質の阻害物質)についてなお要求がある。
本発明は、新規化合物を開示する。これらの化合物はGPIIb-IIIaレセプタ
ーを阻害し、血小板の凝集を阻害する。
発明の要約
一態様において、本発明は以下の式(I)に記載するような化合物である。
本発明はまた、式(I)の化合物と医薬上許容される担体とからなる、血小板
凝集または血餅形成を抑制する医薬組成物である。
本発明はさらに、これを必要とする哺乳動物における血小板凝集の抑制法であ
って、有効量の式(I)の化合物を内部投与することからなる方法である。
別の態様において、本発明はフィブリン溶解療法の後の哺乳動物における動脈
または静脈の再閉塞の抑制法であって、有効量のフィブリン溶解剤および式(I
)の化合物を内部投与することからなる方法を提供する。本発明はまた、卒中、
一過性虚血発作、および心筋梗塞の治療法である。
発明の詳細な記載
本発明は、血小板凝集を抑制する化合物を開示する。本発明の化合物は、GP
IIb-IIIaレセプターに有利と相互作用すると考えられる。
特定の作用機構と結び付けるものではないが、これらの化合物は、フィブリノ
ゲンの血小板結合フィブリノゲンレセプターGPIIb-IIIaとの結合を抑制し、
他の付着タンパク質と推定RGD結合部位の拮抗作用により相互作用すると考え
られる。
本発明の化合物は、式(I):
[式中、R*は、
または
であり;
R1はOR'またはNR'R'であり;
R'は、各々、独立して水素またはC1-6アルキルであり;
R"は水素、C1-6アルキルまたはNR'R'であり;
XおよびQは独立してCHまたはN(ここに、XおよびQは同時にNでないと
する)であり;
DはCHまたはN(ここに、DがNである場合、R"はNR'R'であるとする
)であり;
Yは水素、C1-6アルキル、ハロ、CF3、CH2OR2、COR2、CONR2−
R2、CO2R2、CN、アリール、ヘテロアリール、NR2R2、NR2COR2、
NR2CO2R2、NR2CONR2R2、NR2SO2R2、NO2、OR2、S(O)0-2
R2、またはSO(0-2)CF3であり;Zは水素、C1-6アルキル、CH2OR2、C
H2CO2R2、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、アリール、アラルキルC1-6
、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルC1-6、COR2、CONR2R2、CO2R2
、NR2R2、NR2COR2、NR2CONR2R2、NR2CO2R2、NR2SO2R2
、OR2、SO2R2、またはSO2NR2R2であり;
R2は水素、C1-6アルキル、アラルキルC1-6、アリール、ヘテロアラルキル
C1-6、またはヘテロアリールであり;
り;
sは1ないし4であり;
nは0ないし3を意味する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
本発明の化合物の医薬上許容される付加塩、複合体またはプロドラッグも本発
明に含まれる。プロドラッグは、in vivoで式(I)に係る活性な親薬剤を放出
する共有結合した担体と考えられる。
本発明の化合物が1またはそれ以上のキラル中心を有する場合、特に記載しな
いかぎり、本発明は通常の技術により合成され、分割される各独自の非ラセミ化
合物を含む。化合物が不飽和炭素−炭素二重結合を有する場合、シス(Z)およ
びトランス(E)異性体の両方とも本発明の範囲に含まれる。特に記載しないか
ぎり、ある一の場合のどの置換基の意味も他の場合でのその意味するところ、ま
たは他の置換基の意味するところと無関係である。
式(I)に関して、式(Ia):
[式中、R1はOR'またはNR'R'であり;
R'は、各々、独立して水素またはC1-6アルキルであり;
XおよびQは独立してCHまたはN(ここに、XおよびQは同時にNでないと
する)であり;
Yは水素、C1-6アルキル、ハロ、CF3、CH2OR2、COR2、CONR2R2
、CO2R2、CN、アリール、ヘテロアリール、NR2R2、NR2COR2、N
R2CO2R2、NR2CONR2R2、NR2SO2R2、NO2、OR2、S(O)0-2R2
、またはSO(0-2)CF3であり;
Zは水素、C1-6アルキル、CH2OR2、CH2CO2R2、C2-6アルケニル、
C2-6アルキニル、アリール、アラルキルC1-6、ヘテロアリール、ヘテロアラル
キルC1-6、COR2、CONR2R2、CO2R2、NR2R2、NR2COR2、NR2
CONR2R2、NR2CO2R2、NR2SO2R2、OR2、SO2R2、またはSO2
NR2R2であり;
R2は水素、C1-6アルキル、アラルキルC1-6、アリール、ヘテロアラルキル
C1-6、またはヘテロアリールであり;
nは0ないし3を意味する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩が好ましい。
好ましくは、式(Ia)の化合物は、Zが水素、C1-6アルキル、CH2OR2
、CH2CO2R2、COR2、CONR2R2、CO2R2、NR2R2、またはOR2
で
あり、R1がOR'であり、XおよびQがそれぞれCHであるものである。
好ましい式(Ia)の化合物は:
N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]イソフタリル−ベータ−アラニン;
N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]イソフタリルグリシン;
N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]イソフタリル−4−アミノ酪酸;およ
び
N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]テレフタリル−ベータ−アラニン;
またはその医薬上許容される塩である。
式(I)に関して、式(Ib):
[式中、
R1はOR'またはNR'R'であり;
R'は、各々、独立して水素またはC1-6アルキルであり;
Yは水素、C1-6アルキル、ハロ、CF3、CH2OR2、COR2、CONR2R2
、CO2R2、CN、アリール、ヘテロアリール、NR2R2、NR2COR2、N
R2CO2R2、NR2CONR2R2、NR2SO2R2、NO2、OR2、S(O)0-2R2
、またはSO(0-2)CF3であり;
Zは水素、C1-6アルキル、CH2OR2、CH2CO2R2、C2-6アルケニル、
C2-6アルキニル、アリール、アラルキルC1-6、ヘテロアリール、ヘテロアラル
キルC1-6、COR2、CONR2R2、CO2R2、NR2R2、NR2COR2、NR2
CONR2R2、NR2CO2R2、NR2SO2R2、OR2、SO2R2、またはSO2
NR2R2であり;
R2は水素、C1-6アルキル、アラルキルC1-6、アリール、ヘテロアラルキル
C1-6、またはヘテロアリールであり;
あり;
sは1ないし4であり;
nは0ないし3を意味する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩も好ましい。
好ましくは、式(Ib)の化合物は、Zが水素、C1-6アルキル、CH2OR2
、CH2CO2R2、COR2、CONR2R2、CO2R2、NR2R2、またはOR2
であり、R1がOR'であるものである。
好ましい式(Ib)の化合物は:
N−[[ビス−4−(ピリジル)エチル]アミノ]イソフタリル−ベータ−アラ
ニン;
N−{[ビス−4−(ピペリジニル)エチル]アミノ}イソフタリル−ベータ−
アラニン;
N−{[ビス−4−(ピリジル)エチル]アミノ}テレフタリル−ベータ−アラ
ニン;および
N−[[ビス−4−(ピペリジニル)エチル]アミノ]テレフタリル−ベータ−
アラニン;
またはその医薬上許容される塩である。
式(I)に関して、式(Ic):
[式中、
R1はOR'またはNR'R'であり;
R'は、各々、独立して水素またはC1-6アルキルであり;
R"は水素、C1-6アルキル、またはNR'R'であり;
XはCHまたはNであり;
Yは水素、C1-6アルキル、ハロ、CF3、CH2OR2、COR2、CONR2R2
、CO2R2、CN、アリール、ヘテロアリール、NR2R2、NR2COR2、N
R2CO2R2、NR2CONR2R2、NR2SO2R2、NO2、OR2、S(O)0-2R2
、またはS(O)0-2CF3であり;
Zは水素、C1-6アルキル、CH2OR2、CH2CO2R2、C2-6アルケニル、
C2-6アルキニル、アリール、アラルキルC1-6、ヘテロアリール、ヘテロアラル
キルC1-6、COR2、CONR2R2、CO2R2、NR2R2、NR2COR2、NR2
CONR2R2、NR2CO2R2、NR2SO2R2、OR2、SO2R2、またはSO2
NR2R2であり;
R2は水素、C1-6アルキル、アラルキルC1-6、アリール、ヘテロアラルキル
C1-6、またはヘテロアリールであり;
nは0ないし3を意味する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩も好ましい。
好ましくは、式(Ic)の化合物は、Zが水素、C1-6アルキル、CH2OR2
、CH2CO2R2、COR2、CONR2R2、CO2R2、NR2R2、またはOR2
であり、R1がOR'であり、XがNであるものである。
好ましい式(Ic)の化合物は:
N−[4−(4−ピリジル)ピペラジニル]イソフタリル−ベータ−アラニン;
および
N−[4−(4−ピリジル)ピペラジニル]テレフタリル−ベータ−アラニン;
またはその医薬上許容される塩である。
前記において、C1-6アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネ
オペンチルおよびヘキシルおよびその単純な脂肪族異性体を包含することを意図
とする。
本明細書におけるC2-6アルケニルは、2ないし6個の炭素原子を有するアル
キル基の炭素−炭素−重結合が炭素−炭素二重結合に換わっているものを意味す
る。C2-6アルケニルは、エチレン、1−プロペン、2−プロペン、1−ブテン
、2−ブテン、イソブテンおよびいくつかのペンテンおよびヘキセンの異性体を
包含する。シスおよびトランス異性体の両方が包まれる。
C2-6アルキニルは、2ないし6個の炭素原子を有するアルキル基の炭素−炭
素−重結合が炭素−炭素三重結合に置き換わっているものを意味する。C2-6ア
ルキニルは、アセチレン、1−プロピン、2−プロピン、1−ブチン、2−ブチ
ン、3−ブチンおよびペンチンおよびヘキシンの単純な異性体を包含する。
本明細書におけるアリールは、フェニルまたはナフチル、あるいは1ないし3
個のR11基により置換されているフェニルまたはナフチルを意味する。特に、R11
は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、トリフルオロア
ルキル、OH、F、Cl、BrまたはIである。本明細書において用いるアラルキ
ルC1-6は、C1-6アルキル鎖に結合したアリール基を意味する。
ヘテロアリールは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1ないし
3個の複素原子を含有する所望により置換されていてもよい5または6員芳香族
単環、または9または10員二環であって、安定であり、通常の化学合成により
得られるものを示す。ヘテロアリールの例は、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾ
ール、ベンゾチオフェン、フラン、イミダゾール、およびピリジンである。化学
合成により得られる安定なヘテロアリール環上のR11から選択されるような3個
までの置換基の組み合わせは本発明の範囲に含まれる。本明細書において用いる
ヘテロアラルキルC1-6は、C1-6アルキル鎖に結合したヘテロアリール基を意味
する。
ある種の基は本明細書において略記する。t−Buは第三ブチル基を意味し、
Bocはt−ブトキシカルボニル基を意味し、Fmocはフルオレニルメトキシカル
ボニル基を意味し、Phはフェニル基を意味し、Cbzはベンジルオキシカルボニ
ル基を意味し、BrZはo−ブロモベンジルオキシカルボニル基を意味し、ClZ
はo−クロロベンジルオキシカルボニル基を意味し、Bzlはベンジル基を意味し
、4−MBzlは4−メチルベンジル基を意味し、Meはメチルを意味し、Etはエ
チルを意味し、Acはアセチルを意味し、AlkはC1-6アルキルを意味し、Nphは
1−または2−ナフチルを意味し、cHexはシクロヘキシルを意味する。
MeArgはNα−メチル−アルギニンを意味する。Tetは5−テトラゾリルを意
味する。
ある種の試薬は本明細書において略記する。DCCはジシクロヘキシルカルボ
ジイミドを意味し、DMAPはジメチルアミノピリジンを意味し、DIEAはジ
イソプロピルエチルアミンを意味し、EDCはN−エチル−N'(ジメチルアミ
ノプロピル)−カルボジイミドを意味する。HOBtは1−ヒドロキシベンゾト
リアゾールを意味し、THFはテトラヒドロフランを意味し、DMFはジメチル
ホルムアミドを意味し、NBSはN−ブロモスクシンイミドを意味し、Pd/C
は炭素上パラジウム触媒を意味し、PPAは1−プロパンホスホン酸環状無水物
を意味し、DPPAはジフェニルホスホリルアジドを意味し、BOPはベンゾト
リアゾール−1−イルオキシートリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフ
ルオロホスフェートを意味し、HFはフッ化水素酸を意味し、TEAはトリエチ
ルアミンを意味し、TEAはトリフルオロ酢酸を意味し、PCCはクロロクロム
酸ピリジニウムを意味する。
式(I)の化合物は、一般に、式(II)の化合物を、式(III)の化合物と反
応させ:
[式中、Y、A、Z、n、R1およびR*は式(I)におけるのと同意義であり、
いずれの反応性官能基も保護されている]
その後にいずれの保護基も除去し、所望により医薬上許容される塩を形成するこ
とにより調製する。
式(II)におけるL1の正確な意義は、式(II)のL2と反応してNCO結合を
形成できる官能基であることは明らかである。例えば、L1はCO2Hであり、カ
ルボキシルの活性化および(III)との縮合によりNCO結合を得、所望のアミ
ドを得る。アミドとの縮合のためのカルボン酸の活性化法は、カルボジイミドで
の処理、酸塩化物を形成するための塩化チオニルでの処理、または混合無水物を
形成するための酸無水物、酸塩化物またはクロロギ酸塩での処理を包含する。
他の方法においては、L1はブロモ、ヨード、トリフルオロメチルスルホニル
オキシなどであり、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、トルエン
などの適当な溶媒中、(II)の(III)および一酸化炭素でのパラジウム−触媒
アミノカルボニル化によりNCO結合を形成する。
さらに多くのカルボン酸のアミドへの変換法が公知であり、「コンペンジウム
・オブ・オーガニック・シンセティック・メソッズ(Compendium of Organic Sy
nthetic Methods)」第I〜VI巻(Wiley-Interscience)などの標準参考書を含
む当該技術分野において見ることができる。
式(I)の化合物はスキームIに記載したのと類似の方法により調製される。
a)t−Bu CO2−(CH2)n−NH2・HCl、EDC、HOBt、DIEA/
DMF;b)1N NaOH/MeOH;c)Boc−ピペリジン、EDC、HOBt
、DIEA;d)4M HCl/ジオキサン
モノメチルイソフタレート(I−1)をt−ブチル−β−アラニンエステル塩
酸塩と、DIEA、HOBt・H2OおよびEDCの存在下に無水DMF中縮合し
た。得られたメチルエステルを1N NaOHで鹸化して、モノ酸(I−2)を
得た。EDC、HOBt・H2OおよびDIEAの存在下、(I−2)のt−Boc
−ピペリジン(ボンディネル(Bondinell)ら、WO94/14776により記
載された方法により調製)との縮合により、完全に保護された(I−3)を得た
。t−ブチルエステルおよびN保護t−Bocを4M HCl/ジオキサンで同
時に除去して、塩酸塩の最終生成物(I−3)を得た。
本発明において用いるカップリング剤は、アミド結合を形成するために用いら
れる試薬を意味する。典型的なカップリング法では、カルボジイミド、活性化無
水物およびエステルおよびアシルハライドを用いる。EDC、DCC、DPPA
、PPA、BOP試薬、HOBt、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび塩化オ
キサリルなどの試薬が代表的である。
アミド結合を形成するカップリング法は当該分野において周知である。一般に
、ボダンスキー(Bodansky)ら、ザ・プラクティス・オブ・ペプタイド・シンセ
シス(THE PRACTICE OF PEPTIDE SYNTHESIS,Springer−Verlag,Berlin,1984
、アリ(Ali)ら、ジャーナル・オブ・メジシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.
)、29、984(1986)およびジャーナル・オブ・メジシナル・ケミスト
リー(J.Med.Chem.)、30、2291(1987)に記載されたペプチド合成
法は
一般的な技術例であり、出典明示により本明細書の一部とする。
アミド結合を形成する溶液合成は、アミド結合を形成するのに用いられる常法
を用いて達成される。典型的には、アミンまたはアニリンをその遊離アミノ基に
より、N,N'ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などの適当なカルボジ
イミドカップリング剤を用い、所望により1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(
HOBt)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)などの触媒の存在下に、
適当なカルボン酸と結合させる。他の方法、例えば適当に保護した酸基質の遊離
カルボキシルの活性化エステル、無水物または酸ハロゲン化物の形成、およびそ
れに続く適当に保護した遊離アミンとの所望により塩基の存在下での反応も適切
である。例えば、保護したBoc−アミノ酸またはCbz−アミジノ安息香酸を
塩化メチレンまたはテトラヒドロフラン(THF)などの無水溶媒中、N−メチ
ルモルホリン、DMAPまたはトリアルキルアミンなどの塩基の存在下、クロロ
ギ酸イソブチルで処理して、「活性化無水物」を形成し、これを続いて第二の保
護したアミノ酸またはアニリンと反応させる。
各合成フラグメントの側鎖の反応性官能基を当該分野において公知のように適
当に保護する。適当な保護基は当該分野で公知のように適当に保護される。適当
な保護基は、グリーン(Greene)、「有機化学における保護基」(PROTECTIVE G
ROUPS IN ORGANIC CHEMISTRY,John Wiley and Sons,New York,1981)に
開示されている。例えば、Boc、Cbz、フタロイルまたはFmoc基はアミノまた
はアミジノ基の保護に用いられる。Boc基は、一般に、α−アミノ基の保護に好
ましい。t−Bu、cHexまたはベンジルエステルは側鎖カルボキシルの保護に
用いられる。ベンジル基または適当に保護されたベンジル基(例えば、4−メト
キシ−ベンジルまたは2,4−ジメトキシ−ベンジル)はメルカプト基またはヒ
ドロキシル基を保護するために用いられる。適当に置換されたカルボベンジルオ
キシ基またはベンジル基もヒドロキシル基またはアミノ基について用いられる。
カルボベンジルオキシまたはベンジル保護基の適当な置換は、クロロ、ブロモ、
ニトロまたはメチルでのオルトおよび/またはパラ置換であり、保護基の反応性
を修飾するために用いられる。Boc基を除いて、アミノ基の保護基は、最も好都
合には、穏やかな酸処理によって除去されないものである。これらの保護基は、
当該分野で公知のように、接触水素添加、液体アンモニア中ナトリウムまたはH
F処理などにより除去される。
本発明の化合物の酸付加塩は、親化合物および塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン
酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸またはメタンスルホン酸などの過剰の酸から適
当な溶媒中、標準的方法で調製される。酢酸塩の形態が特に有用である。ある種
の化合物は許容できる内部塩または双性イオンを形成する。カチオン性塩は、親
化合物を、適当なカチオンを含有する水酸化物、炭酸塩またはアルコキシドなど
の過剰のアルカリ性試薬;または適当な有機アミンで処理することにより調製さ
れる。Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++およびNH4 +などのカチオンは医薬上許
容される塩において存在するカチオンの例である。
本発明は、式(I)の化合物と医薬上許容される担体とからなる医薬組成物を
提供する。したがって、式(I)の化合物は医薬の製造において用いられる。す
でに記載したようにして調製した式(I)の化合物の医薬組成物を非経口投与用
溶液または凍結乾燥粉末として処方してもよい。粉末は使用前に適当な希釈剤ま
たは他の医薬上許容される担体を添加することにより復元されうる。液体処方物
は緩衝等張水性溶液である。適当な希釈剤の例は、通常の等張塩溶液、標準5%
水中デキストロースまたは緩衝酢酸ナトリウムまたはアンモニウム溶液である。
このような処方物は特に非経口投与に適当であるが、経口投与用にも用いられ、
また吸入用の目盛付吸入器またはネブライザにいれてもよい。ポリビニルピロリ
ドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリコール、
マンニトール、塩化ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムなどの賦形剤を添加す
るのが望ましい。
別法として、本発明の化合物は経口投与用にカプセル化、打錠または乳剤また
はシロップに調製される。医薬上許容される固体または液体担体を添加して、組
成物を向上または安定化させ、また組成物の調製を容易にすることができる。固
体担体は、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白陶土、ステアリ
ン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク、ペクチン、アカシアまたはゼラ
チンを包含する。液体担体は、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油、食塩水およ
び水を包含する。担体は、また、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリ
ン酸グリセリルなどの除放性物質を単独またはワックスと共に含む。固体担体の
量は一定でないが、好ましくは、単位投与量あたり約20mgないし約1gの間
である。医薬製剤は、錠剤の形態に関しては粉砕、混合、顆粒化、および必要な
らば圧縮;ハードゼラチンカプセル形態に関しては粉砕、混合および充填を含む
通常の調剤技術にしたがって調製される。液体担体を用いる場合、製剤はシロッ
プ、エリキシル、乳剤または水性または非水性懸濁剤の形態にされる。このよう
な液体処方物は、経口で直接、またはソフトゼラチンカプセルに充填して投与さ
れる。
経直腸投与の場合、本発明の化合物はまた、カカオ脂、グリセリン、ゼラチン
またはポリエチレングリコールなどの賦形剤と組み合わせ、坐剤に成型してもよ
い。
本発明の化合物は、例えば貯蔵、または診断または研究用途などにおけるex v
ivo操作用にin vitroで血液または血液製剤中の血小板の凝集の阻害に用いられ
る。
本発明は、また、哺乳動物、特にヒトにおける血小板凝集および血餅形成の阻
害法であって、式(I)の化合物および医薬上許容される担体を内部投与するこ
とからなる方法を提供する。このような療法の適応症は、急性心筋梗塞(AMI)
、深静脈血栓症、肺塞栓症、無尿症、一過性虚血発作(TIA)、卒中および他
の梗塞関連障害、および不安定アンギナが挙げられる。分散性静脈内凝固(DI
C)、敗血症、手術または感染性ショック、手術後および分娩後外傷、心肺バイ
パス手術、不適合輸血、胎盤早期剥離、血栓症性血小板減少性紫斑症(TTP)
、ヘビ毒および免疫病などの慢性または急性の高凝集性はこのような治療に反応
しやすい。さらに、本発明の化合物は、転移状態の予防、免疫刺激を起こす真菌
性または細菌性感染症の予防または治療、鎌状赤血球病の治療、および骨吸収が
要因である病気の予防または治療法において有用である。
式(I)の化合物を患者に、血漿中の薬剤濃度が血小板凝集またはこのような
他の適応症を阻害するのに十分な濃度になるように経口または非経口投与する。
該化合物を含有する医薬組成物を、約0.2ないし約50mg/kgの用量で、
患者の症状にあうように投与する。急性療法の場合、非経口投与が好ましい。高
凝集状態の持久性状態に関しては、5%水中デキストロースまたは標準的食塩水
中ペプチドの静脈内注入がもっとも有効であるが、筋肉内濃縮塊注射で十分であ
る。
慢性であるが、重篤でない血小板凝集の状態に関しては、カプセルまたは錠剤
の経口投与または濃縮塊筋肉内注射が適当である。本発明の化合物を一日につき
1ないし4回、約0.4ないし約50mg/kgのレベルで投与して、合計約0.
4〜約200mg/kg/日の日用量を達成する。
本発明はさらにフィブリン溶解療法後の動脈または静脈の再閉塞の阻害法であ
って、式(I)の化合物およびフィブリン溶解剤を内部投与することからなる方
法を提供する。フィブリン溶解療法においてペプチドの投与が、再閉塞を完全に
防止するかまたは再閉塞までの時間を延長させることが判明した。
本発明の範囲において用いる場合、フィブリン溶解剤は、天然または合成製品
のいずれであっても、フィブリン血餅の溶解を直接または間接的におこす化合物
を意味する。プラスミノーゲン活性化剤はフィブリン溶解剤の周知のものである
。有用なプラスミノーゲン活性化剤としては、例えば、アニストレプラーゼ、ウ
ロキナーゼ(UK)、プロ−ウロキナーゼ(pUK)、ストレプトキナーゼ(S
K)、組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、および化学的に修飾されてい
るかまた1以上のアミノ酸が添加、欠失または置換されているかまたは1個のプ
ラスミノーゲン活性化剤の活性部位を他のプラスミノーゲン活性化剤またはフィ
ブリン結合分子のフィブリン結合領域と結合させることにより1以上の官能領域
が添加、欠失または変更されているその変異体などのプラスミノーゲン活性化剤
活性を保持する突然変異体または変異株が挙げられる。他の変異株の例としては
、1以上のグリコシル化部位が変更されているtPA分子がある。プラスミノー
ゲン活性化剤のうち好ましいのは、第一アミノ酸配列が成長因子領域でプラスミ
ノーゲン活性化剤の血清半減期が増加するように変更されているtPA変異株で
ある。t
PA成長因子変異株は、例えば、ロビンソン(Robinson)ら、EP−A0297
589およびブラウン(Browne)ら、EP−A0240334に開示されている
。他の変異株は、ハイブリッドタンパク、例えば、EP 0028489、EP
0155387およびEP 0297882に開示されているものを包含し、
その開示をすべて出典明示として本明細書の一部とする。アニストレプラーゼが
本発明における使用に好ましいハイブリッドタンパクである。フィブリン溶解剤
は、天然源から単離されるが、通常は遺伝子工学の伝統的方法により産生される
。
tPA、SK、UKおよびpUKの有用な処方は、例えばEP−A 0211
592、EP−A 0092182および米国特許番号4568543に開示さ
れており、その開示をすべて出典明示として本明細書の一部とする。典型的には
、フィブリン溶解剤は、水性緩衝等張溶液、例えば、酢酸またはアジピン酸ナト
リウムまたはアンモニウム緩衝液(pH3.5ないし5.5)中に処方される。ポ
リビニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレ
ン、グリコール、マンニトールおよび塩化ナトリウムなどの別の賦形剤を添加し
てもよい。このような組成物は凍結乾燥できる。
医薬組成物は、式(I)の化合物およびフィブリン溶解剤の両方を同一容器中
に処方してもよいが、別の容器内に処方するのが好ましい。両方の薬剤を溶液形
態にした場合、これは同時投与または連続投与用の注入/注射系にしてもよい。
このような療法の適応症としては、心筋梗塞、深静脈血栓症、肺塞栓症、卒中
および他の梗塞関連障害がある。式(I)の化合物をtPAまたは他のフィブリ
ン溶解剤の非経口投与の直前、同時、または直後に投与する。ペプチドでの治療
を、療法後の再閉塞を最大限に阻害する再潅流が確立された後十分な期間続ける
のが望ましいことが判明している。tPA、SK、UKまたはpUKの有効用量
は、0.5ないし5mg/kgで、本発明の化合物の有効用量は、約0.1ないし
25mg/kgである。
阻害剤およびフィブリン溶解剤を同時または別々に都合よく投与するために、
1個の容器、例えば箱、カートンまたは他の容器、個別のビン、袋、バイアルま
たは他の容器であって、それぞれに前記の有効量の非経口投与用阻害剤および前
記の有効量の非経口投与用のtPAまたは他のフィブリン溶解剤を入れたものか
らなるキットが調製される。このようなキットは、例えば、別々の容器または同
一の容器中に両医薬を含み、所望により凍結乾燥プラグおよび復元用溶液の容器
を含んでもよい。これのバリエーションは、復元用溶液および凍結乾燥プラグを
1個の容器の2つの部分に含み、使用前に混合できるものを包含する。このよう
にして、フィブリン溶解剤および本発明の化合物を別々に、2個の容器中に包装
したり、一緒に凍結乾燥して粉末にし、1個の容器中に包装できる。
両薬剤が溶液形態にされる場合、これらは同時投与または連続投与用注入/注
射系にできる。例えば、血小板凝集阻害剤は、静脈内注射可能な形態、またはチ
ューブで一列に別の注入バッグ内のフィブリン溶解剤につながった注入バッグに
入れてもよい。このような系を用いて、患者は、ペプチド阻害剤の初回濃縮塊型
注射または注入を受け、続いてフィブリン溶解剤の注入を受ける。
本発明の化合物の薬理活性を、3H−SK&F107260(公知のRGD−
フィブリノゲン拮抗剤)のGPIIb-IIIaレセプターとの結合を阻害する能力;
in vitroで血小板凝集を阻害する能力およびin vivoでの血栓形成を阻害する能
力により評価する。
RGD−媒介GPIIb−IIIa結合の阻害
GPIIb−IIIaの精製
10単位の古い洗浄したヒト血小板(赤十字より入手)を3%オクチルグルコ
シド、20mM Tris−HCl、pH7.4、140mM NaCl、2mM Ca
Cl2中、4℃で2時間穏やかに撹拌することにより溶解させた。溶解物を100
000gで1時間遠心分離した。得られた上清を20mM Tris−HCl、p
H7.4、100mM NaCl、2mM CaCl2、1%オクチルグルコシド(緩
衝液A)であらかじめ平衡化した5mL レンズ豆レクチンセファロース4Bカ
ラム(イー・ワイ・ラブズ製品)にかけた。2時間インキュベートした後、カラ
ムを50mL冷緩衝液Aで洗浄した。レクチン保持GPIIb-IIIaを10%デキ
ストロースを含有する緩衝液Aで溶出した。全工程は4℃で行った。得られたG
PIIb-IIIaはSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で示されるように>95
%の純度であった。
リポソーム中のGPIIb-IIIaの取り込み
ホスファチジルセリン(70%)およびホスファチジルコリン(30%)の混
合物(アバンティ・ポーラー・リピッズ製品)を窒素流下でガラス管の壁で乾燥
させた。精製GPIIb-IIIaを希釈して最終濃度0.5mg/mLにし、タンパ
ク質:リン脂質比が1:3(w:w)でリン脂質と混合した。混合物を再懸濁し
、5分間浴超音波処理装置で音波処理した。混合物を次に1000倍過剰の50
mM Tris−HCl、pH7.4、100mM NaCl、2mM CaCl2に対し
て12000ないし14000分子量カットオフ透析管を用いて一夜透析した(
2回交換)。GPIIb-IIIa含有リポソームを12000gで15分間遠心分離
し、最終タンパク質濃度約1mg/mLで透析緩衝液中に再懸濁した。リポソー
ムを必要になるまで−70℃で保存した。
GPIIb-IIIaに対する競合的結合
フィブリノゲンレセプター(GPIIb-IIIa)に対する結合を[3H]−SK
&F−107260をRGDタイプリガンドとして用いて間接的競合結合法によ
り試験した。結合検定を96ウェル濾過プレートアセンブリ(ミリポア・コーポ
レィション製品)中、0.22um親水性耐久性膜を用いて行った。ウェルを予
め0.2mLの10μg/mLポリリシン(シグマ・ケミカル社製品)で室温で
1時間予めコートし、非特異性結合をブロックした。種々の濃度の非標識ベンズ
アジアザピンを四重反復でウェルに添加した。[3H]−SK&F−10726
0を各ウェルに4.5nMの最終濃度で添加し、つづいて1μgの精製血小板G
PΠb-IIIa含有リポソームを添加した。混合物を室温で1時間インキュベート
した。GPIIb-IIIa結合[3H]−SK&F−107260をミリポアフィル
トレーションマニホールドを用いた濾過により非結合体から分離し、続いて氷冷
緩衝液で洗浄した(2回、各0.2mL)。フィルター上に残存する結合放射能
を1.5mLレディーソルブ(レディ−・ソルブ、ベックマン・インスツルメン
ツ)中、ベックマンリキッドシンチレーションカウンター(LS6800型)で
カウントした(40%効率)。非特異性結合を2μM非標識SK&F−1072
60の存
在下で測定し、これは一貫してサンプルに添加された全放射能の0.14%未満
であった。全データは四重反復試験の測定値の平均である。
競合的結合データを非線形最小二乗曲線適合法により分析した。この方法によ
り、拮抗物質のIC50([3H]−SK&F−107260の特異性結合を平衡
状態で50%まで阻害する拮抗物質の濃度)が得られる。IC50をチェンおよび
プルソフの式(Cheng and Prusoff equation):Ki=IC50/(1+L/Kd
)(式中、Lは競合的結合検定に用いた[3H]−SK&F−107260の濃
度(4.5nM)であり、Kdは[3H]−SK&F−107260の解離定数で
あり、Scatchard分析により測定すると4.5nMである)に基づいて拮抗物質の
平衡解離定数(Ki)に関連させる。本発明の化合物は[3H]−SK&F−1
−7260のKiとの結合を約0.1マイクロモルないし約10.0マイクロモル
の範囲で阻害する。
血小板凝集の阻害
血小板凝集の阻害をニコルズ(Nichols)ら、トロンボシス・リサーチ(Throm
bosis Research)、75、143(1994)に記載された方法にしたがって測
定した。血液を、シクロオキシゲナーゼ阻害物質を過去14日間に摂取していな
い正常人ボランティアの前腕前部静脈から抜取り、9部の血液に対して1部の3
.8%クエン酸三ナトリウムを含有するプラスチックシリンジ中にいれた。血小
板に富む血漿を、室温で200gで10分間遠心分離することにより調製した。
血小板に富む血漿を抜取り、残りの血液を2400gで5分間遠心分離すること
により血小板の少ない血漿を調製した。血小板数をZB1型コールター・カウン
ター(コールター・エレクトロニクス・インコーポレイテッド製品)で測定し、
血小板の少ない血漿を用いて300000/μlに調節した。血小板凝集をコロ
ノ−ログ400VS型ルミ・アグリゴメーター(クロノ−ログ製品)中、120
0rpmで攪拌し、37℃に維持した血小板に富む血漿と100%透過標準とし
て血小板の少ない血漿を用いて研究した。アデノシン二リン酸塩(10μM)の
最大濃度により誘発される、光透過における最大変化として測定した、化合物の
血小板凝集を阻害する能力に関する濃度−応答曲線を得、作用物質に対
する応答の50%阻害を得るのに要する拮抗物質の濃度としてIC50を測定した
。
血小板凝集のin vivo阻害
血栓形成のin vivo阻害は、エイケン(Aiken)ら、プロスタグランディンズ(
Prostaglandins)、19,629(1980)に記載されている方法にしたがっ
て、麻酔したイヌにペプチドを注入し、全身性および血液力学的効果を記録する
ことにより示す。
一般論
核磁気共鳴スペクトルはBruker AC400分光光度計を用いて400MHzで
記録した。CDCl3は重水素化クロロホルムであり、DMSO−d6はヘキサ重
水素化ジメチルスルホキシドであり、CD3ODはテトラ重水素化メタノールで
ある。化学シフトを内標テトラメチルシランから低磁場(δ)の1000000
分の1で記録する。NMRデータの略号は以下のとおりである:s=一重線、d
=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、dd=二重線の二重線、dt
=三重線の二重線、app=明瞭、br=ブロード。Jはヘルツで測定したNM
Rカップリング定数を示す。質量分析は、VG70FE、PE Syx API III
、またはVG ZAB HF装置のいずれかで、高速原子衝撃(FAB)または電
子スプレー(ES)イオン化技術を用いて行った。元素分析は、パーキン−エル
マー(Perkin-Elmer)240C元素分析器を用いて行った。融点は、トーマス−
フーバー(Thomas-Hoover)融点測定装置で行い、校正していない。すべての温
度は摂氏で記録する。
アナルテックシリカゲルGFおよびイー・メルクシリカゲル60F−254薄
層プレートを薄層クロマトグラフィーに用いた。フラッシュおよび重力クロマト
グラフィーをイー・メルク多孔質珪藻土60(230〜400メッシュ)シリカ
ゲル上で行った。分析的および分取用HPLCをレイニンまたはベックマンクロ
マトグラフ上で行った。ODSはオクタデシルシリル誘導シリカゲルクロマトグ
ラフィー支持体を意味する。Apex−ODSは公称粒度が5μであるジョーンズ
・クロマトグラフィー(Jones Chromatography,Littleton,Colorado)製造の
オクタデシルシリル誘導シリカゲルクロマトグラフィー支持体を表す。YMC
ODS−AQはODSクロマトグラフィー支持体であり、YMC社(日本、京都
)の登録商標である。PRP−1はポリマー(スチレン−ジビニルベンゼン)ク
ロマトグラフィー支持体であり、ハミルトン社(Reno,Nevada)の登録商標であ
る。セライトは酸洗浄珪藻土シリカからなる濾過助剤であり、マンビル社(Denv
er,Colorado)の登録商標である。
モノメチルイソフタレート、モノメチルテレフタレート、tert−ブチル−β−
アラニン塩酸塩およびt−ブチルグリシネート塩酸塩を、アルドリッチ、ランカ
スター・ケミカルズまたはベイチェムから購入し、4−ピリジルピペラジンをE
MK−CHEMIE社から購入し、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4,4
−ビピペリジンをボンディネル(Bondinell)ら、WO94/14776の方法
により調製した。
実施例1 N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]イソフタリル−ベータ−アラニン塩酸 塩の調製
a)N−(メチルイソフタリル)−ベータ−アラニン−tert−ブチルエステル
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(E
DC)(11.60g、60.5ミリモル)を、モノメチルイソフタレート(9.
91g、55ミリモル)、tert−ブチル−β−アラニン塩酸塩(9.99g、5
5ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt・H2O)
(8.18g、60.5ミリモル)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA
)(21.1ml、121ミリモル)の無水DMF(50mL)中溶液に室温で
添加した。20時間攪拌後、反応混合物をロータバップ(rotavap)(高真空)
で濃縮した。残渣を酢酸エチル(EtOAc)中に溶かし、連続して、H2O(3
×100mL)、5%クエン酸(3×100ml)、H2O(3×100mL)
、10% Na2CO3(2×100mL)、H2O(3×100mL)、最後に飽
和塩溶液(NaCl)で1回洗浄した。有機抽出物を乾燥し(無水MgSO4)、濾
過し、濃縮し、クロマトグラフィー(シリカゲル 1%メタノール/塩化メチレ
ン)に付して、白色固体の標記化合物(13.6g、81%)を得た。1H NM
R(4
00MHz、CDCl3)δ8.38(s,1H)、8.18(d,1H)、8.01(
d,1H)、7.53(t,1H)、3.94(s,3H)、3.71(m,2H)、
2.57(t,2H)、1.47(s,9H)。MS(ES) m/e 308[M
+H]+。
b)N−(カルボキシイソフタリル)−ベータ−アラニン−tert−ブチルエステ
ル
1N NaOH(88.7mL、88.7ミリモル)の溶液を、実施例1(a)の
化合物(13g、42.3ミリモル)のMeOH(120mL)中溶液に滴下した
。得られた溶液を室温で20時間攪拌した。次にこれを濃縮し、得られた油状残
渣をH2O(30mL)中に溶解させ、6M HClで冷却しながら酸性化して酸性
pHにし、白色沈殿を得た。固体を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥して白色
固体の標記化合物を得た(4.75g、収率38.3%)。1H NMR(400M
Hz、DMSO−d6)δ8.73(br,1H)、8.40(s,1H)、8.06
(dd,2H)、7.59(t,1H)、3.46(m,2H)、2.49(m,2H
)、1.38(s,9H);MS(ES)m/e294[M+H]+。
c)N−[(tert−ブトキシカルボニル)−4,4−ビピペリジニル]イソフタ
リル−ベータ−アラニン−tert−ブチルエステル
EDC(708mg、3.9ミリモル)を、実施例1(b)の化合物(879
mg、3.0ミリモル)、tert−ブトキシカルボニル−4,4'−ビピペリジン(
805mg,3ミリモル)およびDIEA(1.05mL、6ミリモル)の無水D
MF(5mL)中溶液に室温で添加した。20時間攪拌後、反応物をロータバッ
プ(高真空)で濃縮した。得られた残渣をEtOAc中に溶かし、連続してH2O
(3×20mL)、5%クエン酸(3×20ml)、H2O、10% Na2CO3
(3×20mL)および飽和NaClで洗浄した。有機抽出物を乾燥し(無水MgS
O4)、濾過し、濃縮し、クロマトグラフィー(シリカゲル 1.5%メタノール
/塩化メチレン)にかけて、白色固体の標記化合物(810mg、36%)を得
た。1
H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.78(s,1H)、7.51−7.4
8(dd,2H)、6.90(t,1H)、4.11−1.16(m,4H);
MS(ES)m/e544.4[M+H]+。
d)N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]イソフタリル−ベータ−アラニン
塩酸塩
実施例1(c)の化合物(560mg、1.03ミリモル)のCH2Cl2(12
mL)中溶液に4M HCl/ジオキサン(12ml,48ミリモル)を室温で添
加した。得られた混合物を22時間攪拌した。得られた白色沈殿を濾過により集
め、白色固体の標記化合物(300mg、75%)を得た。HPLC k’8.4
6(Ultrasphere ODS、勾配、A:アセトニトリル B:水−0.1%トリフ
ルオロ酢酸、5−60% アセトニトリル20分;220nmでUV検出)。1
H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ8.82(br,1H)、8.64
(t,1H)、7.91(d,1H)、7.82(s,1H)、7.52(d,1H)
、7.51(s,1H)、3.46−1.10(m,22H);MS(ES)m/e
388.2[M+H]+;元素分析(C21H29N3O4・2HCl・2H2O)として
計算値(C=50.81;H=7.11;N=8.46)測定値(C=50.97;
H=7.25;N=8.44)。
実施例2 N−[[ビス−4−(ピリジル)エチル]アミノ]イソフタリル−ベータ−アラ ニン塩酸塩の調製
a)ビス−(4−ピリジルエチル)アミン
4−ビニルピリジン(10.0g、95.1ミリモル)および塩化アンモニウム
(5.1g、95.1ミリモル)の混合物を、アルゴン雰囲気下MeOH(90ml
)中27時間還流温度に加熱した。得られた沈殿を濾過し、濾液をロータバップ
で濃縮した。得られた残渣をH2O(200ml)中に溶かし、2N NaOHでp
H10.5の塩基性にし、CH2Cl2(3×100ml)で抽出した。合した有機
抽出物を乾燥し(無水MgSO4)、濃縮して黄色油状物を得、これをシリカゲル
上カラムクロマトグラフィー(10% MeOH/CH2Cl2)により精製し、黄
色固体の標記化合物(4.0g、18.5%)を得た。1H NMR(400MHz
、DMSO−d6)δ8.50(d,4H)、7.10(d,4H)、2.93(t,
4
H)、2.80(t,4H)、1.81(br,1H);MS(ES)m/e228.
2[M+H]+。
b)N−[[ビス−4−(ピリジル)エチル]アミノ]イソフタリル−ベータ−
アラニンtert−ブチルエステル
実施例1(c)の手順にしたがって、EDC(421mg、2.2ミリモル)
を、実施例1(b)の化合物(586mg、2.0ミリモル)、ビス−4−(ピ
リジルエチル)アミン(454mg、2.0ミリモル)、HOBt・H2O(29
7mg、2.2ミリモル)およびDIEA(0.42mL,2.4ミリモル)の無水
DMF(5mL)中溶液に室温で添加した。20時間攪拌後、反応混合物をロー
タバップ(高真空)で濃縮した。得られた残渣をEtOAc中に溶かし、H2O(
3×100mL)および飽和NaClで1回洗浄した。有機抽出物を乾燥し(無水
MgSO4)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を精製し、シリカゲルクロマトグ
ラフィー(3% MeOH/CH2Cl2)により、白色固体の標記化合物(330
mg、33%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.38(s,
1H)、8.18(d,1H)、8.01(d,1H)、7.53(t,1H)、3.
94(s,3H)、3.71(m,2H)、2.57(t,2H)、1.47(s,9
H)。
c)N−[[ビス−4−(ピリジル)エチル]アミノ]イソフタリル−ベータ−
アラニン塩酸塩
4M HCl/ジオキサン(10ml、40ミリモル)の溶液を、実施例2(b
)の化合物(450mg、0.89ミリモル)のCH2Cl2(10mL)中溶液に
室温で滴下した。22時間攪拌後、白色沈殿が析出し、これを濾過により集めて
、白色固体の標記化合物(120mg、30%)を得た。HPLC k’ 8.1
8(Ultrasphere ODS、勾配、A:アセトニトリル B:水−0.1%トリフ
ルオロ酢酸、5−60% アセトニトリル 20分;220nmでUV検出)。1
H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ8.52(d,2H)、8.38(
d,2H)、7.85(d,1H)、7.63(s,1H)、7.45(t,1H)、
7.36(d,2H)、7.18(d,1H)、6.97(d,2H)、3.74(t,
2H)、3.45(t,2H)、2.97(t,4H)、2.78(t,4H);MS
(ES)m/e447.2[M+H]+;元素分析(C25H26N4O4・0.9HCl
)として、計算値(C=62.65;H=5.66;N=11.69)測定値(C
=62.61;H=5.99;N=11.42)。
実施例3 N−{[ビス−4−(ピペリジニル)エチル]アミノ}イソフタリル−ベータ− アラニン塩酸塩の調製
a)N−[[ビス−4−(ピペリジニル)エチル]アミノ]イソフタリル−ベー
タ−アラニンtert−ブチルエステル
実施例2(b)の化合物(300mg、0.6ミリモル)、4M HCl/ジオ
キサン(2.0ml)およびPtO2(140mg)の混合物を50psiでParr
装置中室温で5時間水素化した。反応混合物をアルゴンでパージし、濾過し、濃
縮して、淡黄色固体の標記化合物を得た(280mg、91%)。MS(ES)
m/e 515.4[M+H]+。
b)N−{[ビス−4−(ピペリジニル)エチル]アミノ}イソフタリル−ベー
タ−アラニン塩酸塩
実施例2(c)の手順にしたがって、実施例3(a)の化合物を4M HCl/
ジオキサンの溶液で処理して、白色固体の標記化合物(140mg、60%)を
得た。HPLC k’8.73(Ultrasphere ODS、勾配、A:アセトニトリル
B:水−0.1%トリフルオロ酢酸、5−60% アセトニトリル 20分;
220nmでUV検出)。1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ8.4
2(t,1H)、7.92(d,1H)、7.84(s,1H)、7.52(t,1H)
、7.44(d,1H)、3.47−1.27(m,32H);MS(ES)m/e
459.2[M+H]+;元素分析(C25H38N4O4・HCl・2.25H2O)と
して、計算値(C=56.06;H=8.19;N=10.46)測定値(C=5
5.95;H=8.26;N=10.42)。
実施例4 N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]イソフタリルグリシンの調製
a)[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4,4'−ビピペリジン−1−イル]
イソフタル酸メチル
(EDC)(1.25g、6.5ミリモル)を、モノメチルイソフタレート(0
.9g、5ミリモル)、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4,4−ビピペリジ
ン塩酸塩(1.53g,5ミリモル)、HOBt・H2O(0.88g、6.5ミリ
モル)およびDIEA(1.75mL、10ミリモル)の無水DMF(25mL
)中溶液に室温で添加した。20時間攪拌後、反応物をロータバップ(高真空)
で濃縮した。黄色油状残渣をEtOAc(100mL)中に溶かし、連続してH2
O(3×30mL)、5%クエン酸(3×30ml)、H2O(3×30mL)
、10% Na2CO3(2×30mL)、H2O(3×30mL)および最後に飽
和塩溶液(NaCl)で1回洗浄した。有機抽出物を乾燥し(無水Na2SO4)
、濾過し、濃縮して、白色ワックス状物質の標記化合物(2.0g、93%)を
得た。HPLC k’12.7(Ultrasphere ODS、勾配、A:アセトニトリル
B:水−0.1%トリフルオロ酢酸、5−60% アセトニトリル 20分;
220nmでUV検出)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.08(m
,1H)、7.6(m,1H)、7.4(m,1H)、7.3(s,1H)、3.94(
s,3H)、2.6(m,2H)、1.65−1.1(m,16H)、1.47(s,9
H);MS(ES)m/e 431.4[M+H]+。
b)[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4,4'−ビピペリジン−1−イル]
イソフタル酸
1N NaOH(7mL、7ミリモル)の溶液を、実施例4(a)の化合物(2
.0g、4.65ミリモル)のメタノール−テトラヒドロフランの1:1混合物(
30mL)中溶液に滴下した。得られた溶液を室温で20時間攪拌した。次にこ
れを濃縮し、得られた油状残渣H2O(30mL)中に溶解させ、冷却しながら
50%酢酸で酸性化して酸性pH(5.0)にした。水性溶液をEtOAcで抽出し
、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮して、白色綿毛状粉末の標記化合物(1.
73g、89%)を得た。HPLC k’10.9(Ultrasphere ODS、勾配、
A:アセトニトリル B:水−0.1%トリフルオロ酢酸、5−60% アセト
ニト
リル 20分;220nmでUV検出)。MS(ES)m/e 417.2[M+
H]+。
c)N−[(tert−ブトキシカルボニル)−4,4'−ビピペリジニル]イソフタ
リルグリシンtert−ブチルエステル
EDC(242mg、1.25ミリモル)を、実施例4(b)の化合物(52
0mg、1.25ミリモル)、tert-ブチルグリシンエステル塩酸塩(210mg
、1.25ミリモル)、HOBt・H2O(170mg、1.25ミリモル)およ
びDIEA(480μL、2.75ミリモル)の無水DMF(7mL)中溶液に
室温で添加した。20時間攪拌後、反応物をロータバップ(高真空)で濃縮した
。得られた残渣をEtOAc中に溶かし、連続してH2O(3×20mL)、5%
クエン酸(3×20ml)、H2O、10% Na2CO3(3×20mL)および
飽和NaClで洗浄した。有機抽出物を乾燥し(無水Na2SO4)、濾過し、濃縮
して、白色固体の標記化合物(520mg、78%)を得た。HPLC k’1
2.5(Ultrasphere ODS、勾配、A:アセトニトリル B:水−0.1%トリ
フルオロ酢酸、5−60% アセトニトリル 20分;220nmでUV検出)
。MS(ES)m/e 530.4[M+H]+。
d)N−[4,4−ビピペリジン−1−イル]イソフタリルグリシン
実施例4(c)の化合物(500mg、0.94ミリモル)のCH2Cl2(8m
l)中溶液にトリフルオロ酢酸(TFA)(2ml)を室温で添加した。得られ
た混合物を20時間攪拌し、ロータバップで濃縮乾固した。得られた残渣を水中
に溶かし、希水酸化アンモニウムによりpHを8に調節した。水性溶液をフラッ
シュODSカラム(段階勾配、8−15%アセトニトリル/水)上で精製した。
純粋な化合物を含有するフラクションを集め、濃縮し、凍結乾燥して、白色粉末
の標記化合物を得た(265mg、74%)。HPLC k'5.0(Ultrasphere
ODS、勾配、A:アセトニトリル B:水−0.1%トリフルオロ酢酸、5−
60% アセトニトリル20分間;220nmでUV検出)。1H NMR(40
0MHz、DMSO−d6/TFA)δ9.0(brt,1H)、8.45(br,1
H)、8.15(brd,1H)、7.95(m,1H)、7.9(s,1H)、7.
55(m,1H)、4.6(brm,1H)、3.95(d,2H)、2.6−3.7
(m,11H)、1.1−1.9(m,11H);MS(ES)m/e 374.2[
M+H]+;元素分析(C20H27N3O4・1.5H2O)として、計算値(C=5
9.98;H=7.55;N=10.45)測定値(C=59.70;H=7.64
;N=10.49)。
実施例5 N−[4−(4−ピリジル)ピペラジニル]イソフタリル−ベータ−アラニンの 調製
a)N−[4−(4−ピリジル)ピペラジニル]イソフタリル−ベータ−アラニ
ンtert−ブチルエステル
実施例1(c)の手順にしたがって、無水DMF(5mL)中1(b)の化合
物(330mg、1.13ミリモル)、EDC(238mg、1.24ミリモル)
、HOBt・H2O(170mg、1.24ミリモル)、1−(4−ピリジル)−
ピペラジン(184mg、1.13ミリモル)、およびジイソプロピルエチルア
ミン(0.24mL、1.36ミリモル)を含有する混合物を室温で20時間攪拌
した。反応物をロータバップ(高真空)で濃縮乾固した。得られた油状残渣をリ
カゲルクロマトグラフィー(15%MeOH/CHCl3)により精製し、淡黄色
固体の標記化合物(160mg、33%)を得た。1H NMR(400MHz、
DMSO−d6)δ8.67(t,1H)、8.19(d,2H)、7.93(d,1
H)、7.88(s,1H)、7.59−7.53(dd,2H)、6.85(d,2
H)、3.46−1.21(m,21H)。
b)N−[4−(4−ピリジル)ピペラジニル]イソフタリル−ベータ−アラニ
ン
実施例1(d)の手順にしたがって、実施例5(a)の化合物を4M HCl/
ジオキサンで処理して、標記化合物(40mg、29%)を得た。HPLC k
’ 4.46(Ultrasphere ODS、勾配、A:アセトニトリル B:水−0.1
%トリフルオロ酢酸、5−60% アセトニトリル 20分;220nmでUV
検出)。1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ8.66(t,1H)、8
.
19(d,2H)、7.93(d,1H)、7.89(s,1H)、7.59−7.5
3(dd,2H)、6.85(d,2H)、3.75−3.44(m,12H);MS
(ES)m/e 383.2[M+H]+。
実施例6 N−{[ビス−4−(ピリジル)エチル]アミノ}テレフタリル−ベータ−アラ ニン塩酸塩の調製
a)N−(メチルテレフタリル)−ベータ−アラニン−t−ブチルエステル
EDC(11.43g、59.6ミリモル)を、モノメチルテレフタレート(1
0.74g、59.6ミリモル)、tert−ブチル−β−アラニン塩酸塩(9.85
g、54.2ミリモル)、HOBt・H2O(8.06g、59.6ミリモル)およ
びジイソプロピルエチルアミン(20.8mL、119.24ミリモル)の無水D
MF(50mL)中溶液に室温で添加した。20時間攪拌後、反応物をロータバ
ップ(高真空)で濃縮した。得られた残渣をEtOAc中に溶かし、連続してH2
O(3×100mL)、5%クエン酸(3×100mL)、H2O(3×100
mL)および10%Na2CO3(2×100mL)で洗浄した。有機抽出物を乾
燥し(無水MgSO4)、シリカゲルクロマトグラフィー(1%MeOH/CH2C
l2)により精製して、白色固体の標記化合物(14.79g、88.4%)を得た
。1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ8.56(t,1H)、7.95
(s,1H)、7.59(s,1H)、7.56(d,1H)、7.43(d,1H)
、7.33(d,1H)、7.01(t,1H)、6.93(t,1H)、6.55(
d,1H)、6.33(br,1H)、6.25(s,1H)、5.49(d,1H)
、5.14(t,1H)、4.56(d,2H)、3.82(d,1H)、3.61(
s,3H)、2.92(s,3H)、2.75(dd,1H)、2.53(d,1H)
;MS(ES)m/e 421.2[M+H]+。
b)N−(カルボキシテレフタリル)−ベータ−アラニン−t−ブチルエステル
実施例1(b)の手順にしたがって、実施例6(a)の化合物を鹸化して、白
色固体の標記化合物を得た。1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ8.
55(t,1H)、7.57(s,1H)、7.56(d,1H)、7.43(d,1
H)、7.33(d,1H)、7.01(t,1H)、6.93(t,1H)、6.5
5(d,1H)、6.33(br,1H)、6.25(s,1H)、5.49(d,1
H)、5.08(t,1H)、4.55(d,2H)、3.82(d,1H)、2.9
2(s,3H)、2.75(dd,1H)、2.53(d,1H);MS(ES)m
/e 407.2[M+H]+。
c)N−[[ビス−4−(ピリジル)エチル]アミノ]テレフタリル−ベータ−
アラニンt−ブチルエステル
実施例1(c)の手順にしたがって、EDC(844mg、4.4ミリモル)
を、実施例6(b)の化合物(1.29g、4.0ミリモル)、ビス−4−ピリジ
ルエチルアミン(908mg,4.0ミリモル)、HOBt・H2O(595mg
、4.4ミリモル)およびジイソプロピルエチルアミン(0.84mL、4.8ミ
リモル)の無水DMF(10mL)中溶液に室温で添加した。20時間攪拌後、
反応物をロータバップ(高真空)で濃縮した。得られた残渣をEtOAc中に溶か
し、H2O(3×20mL)および飽和NaClで洗浄した。有機抽出物を乾燥し
(無水MgSO4)、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(1%MeOH/C
H2Cl2)により精製して、白色固体の標記化合物(1.3g、65%)を得た。1
H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.57(d,2H)、8.44(d,2
H)、7.74(d,2H)、7.13(d,2H)、6.99(d,2H)、6.8
0(d,2H)、3.79−1.46(m,21H)。
d)N−[[ビス−4−(ピリジル)エチル]アミノ]テレフタリル−ベータ−
アラニン
実施例1(d)の手順にしたがって、4M HCl/ジオキサン(15ml、6
0ミリモル)を、実施例6(c)の化合物(600mg、1.19ミリモル)の
CH2Cl2(15mL)中溶液に室温で滴下した。得られた混合物を22時間攪
拌した。得られた白色沈殿を濾過により集めて、灰白色固体の標記化合物(38
0mg、72%)を得た。HPLC k’4.21(Ultrasphere ODS、勾配、
A:アセトニトリル B:水−0.1%トリフルオロ酢酸、5−60% アセト
ニトリル20分間;220nmでUV検出)。1H NMR(400MHz、DM
SO−d6)δ8.87(d,2H)、8.77(d,2H)、8.70(d,1H)
、8.09(d,1H)、7.82(d,1H)、7.16(d,2H)、3.90(
t,2H)、3.56(t,2H)、3.47(t,2H)、3.45(t,2H)、
3.28(t,2H)、3.12(t,2H);MS(ES)m/e 447.2[M
+H]+。元素分析(C25H26N4O4・3HCl・H2O)として、計算値(C=
52.30;H=5.44;N=9.76)測定値(C=52.25;H=5.56
;N=9.78)。
実施例7 N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]テレフタリル−ベータ−アラニン塩酸 塩の調製
a)N−[(tert−ブトキシカルボニル−4,4'−ビピペリジニル]テレフタリ
ル−ベータ−アラニンtert−ブチルエステル
実施例1(c)の手順にしたがって、実施例6(b)の化合物(879mg、
3.0ミリモル)、EDC(690mg、3.6ミリモル)、HOBt・H2O(
446mg、3.3ミリモル)、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4,4'−
ビピペリジン(805mg、3ミリモル)、およびジイソプロピルエチルアミン
(0.63mL、3.6ミリモル)の無水DMF(5mL)を含有する混合物を室
温で20時間攪拌した。反応混合物をロータバップ(高真空)で濃縮乾固した。
得られた残渣をEtOAc中に溶かし、連続してH2O(3×20mL)、5%ク
エン酸(3×20mL)、H2O、10%Na2CO3(3×20mL)および飽和
NaClで洗浄した。有機抽出物を乾燥し(無水MgSO4)、濾過し、濃縮した。
得られた残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(1%MeOH/CH2Cl2)に
付し、白色固体の標記化合物(530mg、33%)を得た。1H NMR(40
0MHz、CDCl3)δ7.79(d,2H)、7.44(d,2H)、3.70−1
.43(m,40H)。
b)N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]テレフタリル−ベータ−アラニン
実施例1(d)の手順にしたがって、実施例7(a)の化合物(530mg、
0.98ミリモル)をCH2Cl2(12ml)中4M HCl/ジオキサン(12
ml、48ミリモル)とともに室温で22時間攪拌した。得られた白色沈殿を濾
過により集め、白色固体の標記化合物(270mg、72%)を得た。HPLC
k’4.68(Ultrasphere ODS、勾配、A:アセトニトリル B:水−0.
1%トリフルオロ酢酸、5−60% アセトニトリル 20分;220nmでU
V検出)。1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ7.87(d,2H)、
7.43(d,2H)、3.71−1.36(m,22H) MS(ES)m/e 3
88.2[M+H]+。元素分析(C21H29N3O4・1.5HCl・1H2O)とし
て、計算値(C=54.81;H=7.12;N=9.13)測定値(C=54.6
8;H=7.16;N=9.04)。
実施例8 N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]イソフタリル−4−アミノ酪酸の調製
a)N−[(tert−ブトキシカルボニル)−4,4'−ビピペリジニル]イソフタ
リル−4−アミノ酪酸エチル
EDC(263mg、1.37ミリモル)を、実施例4(b)の化合物(57
0mg、1.37ミリモル)、4−アミノ酪酸エチル塩酸塩(230mg、1.3
7ミリモル)、HOBt・H2O(190mg、1.37ミリモル)およびDIE
A(480μL、2.75ミリモル)の無水DMF(7mL)中溶液に室温で添
加した。20時間攪拌後、反応物をロータバップ(高真空)で濃縮した。得られ
た残渣をEtOAc中に溶かし、連続してH2O(3×20mL)、5%クエン酸
(3×20mL)、H2O、10% Na2CO3(3×20mL)および飽和Na
Clで洗浄した。有機抽出物を乾燥し(無水Na2SO4)、濾過し、濃縮して、白
色固体の標記化合物(670mg、92%)を得た。HPLC k’11.8(Ul
trasphere ODS、勾配、A:アセトニトリル B:水−0.1%トリフルオロ
酢酸、5−60% アセトニトリル20分間;220nmでUV検出)。
MS(ES)m/e 530.2[M+H]+。
b)N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]イソフタリル−4−アミノ酪酸エ
チル
実施例8(a)の化合物(670mg、1.26ミリモル)のCH2Cl2(8
ml)中溶液にトリフルオロ酢酸(TFA)(2ml)を添加した。得られた混合
物を2時間攪拌し、ロータバップで濃縮乾固した。
c)N−[4,4'−ビピペリジン−1−イル]イソフタリル−4−ピペリジンカ
ルボン酸
実施例8(b)の化合物のエタノール(10mL)中溶液に、1N NaOH(
6.3mL、6.3ミリモル)の溶液を添加し、室温で20時間攪拌した。これを
次に濃縮し、得られ油状残渣をH2O中に溶かし、50%酢酸によりpHを7に調
節した。水性溶液をフラッシュODSカラム(段階的勾配、2−9%アセトニト
リル/水)で精製した。純粋な化合物を含有するフラクションを集め、濃縮し、
凍結乾燥して、白色粉末の標記化合物(350mg、70%)を得た。HPLC
k’5.38(Ultrasphere ODS、勾配、A:アセトニトリル B:水−0.
1%トリフルオロ酢酸、5−60% アセトニトリル20分間;220nmでU
V検出)。MS(ES)m/e 430.4[M+H]+。元素分析(C22H31N3
O4・2.0H2O)として、計算値(C=60.39;H=8.06;N=9.60
)測定値(C=60.49;H=8.05;N=9.50)。
実施例9 N−[[ビス−4−(ピペリジニル)エチル]アミノ]テレフタリル−ベータ− アラニン塩酸塩の調製
a)N−[[ビス−4−(ピペリジニル)エチル]アミノ]テレフタリル−ベー
タ−アラニン−t−ブチルエステル
実施例3(a)の手順にしたがって、実施例6(c)の化合物を50psiで
パール装置中、室温で50時間水素化した。反応混合物をアルゴンでパージし、
濾過し、濃縮して、淡黄色固体の標記化合物を得た。1H NMR(400MHz
、DMSO−d6)δ7.88(d,2H)、7.45(d,2H)、3.45−1.
39(m,40H);MS(ES)m/e 515.4[M+H]+。
b)N−[[ビス−4−(ピペリジニル)エチル]アミノ]テレフタリル−ベー
タ−アラニン
実施例3(b)の手順にしたがって、実施例9(a)の化合物を4M HCl/
ジオキサンの溶液で処理して、標記化合物を得た。HPLC k’5.95(Ultr
asphere ODS、勾配、A:アセトニトリル B:水−0.1%トリフルオロ酢
酸、5−60% アセトニトリル20分間;220nmでUV検出)。1H NM
R(400MHz、DMSO−d6)δ7.86(d,2H)、7.42(d,2H)
、3.44−1.23(m,32H) MS(ES)m/e 459.2[M+H]+
。元素分析(C25H38N4O4・0.5HCl・2.25H2O)として、計算値(C
=58.04;H=8.38;N=10.83)測定値(C=57.96;H=8.
35;N=10.53)。
実施例10 N−[4−(4−ピリジル)ピペラジニル]テレフタリル−ベータ−アラニン塩 酸塩の調製
実施例1の手順にしたがって標記化合物を調製した。
実施例は本発明の範囲をなんら制限するものではなく、本発明の化合物の製造
法および使用法を説明するものである。当業者には他の具体例は容易に理解でき
、利用できる。