JPH0994829A - 加硫成形モールド及びこれを用いて製造された空気入 りタイヤ - Google Patents

加硫成形モールド及びこれを用いて製造された空気入 りタイヤ

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JPH0994829A
JPH0994829A JP7250999A JP25099995A JPH0994829A JP H0994829 A JPH0994829 A JP H0994829A JP 7250999 A JP7250999 A JP 7250999A JP 25099995 A JP25099995 A JP 25099995A JP H0994829 A JPH0994829 A JP H0994829A
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blade
block
vulcanization molding
pneumatic tire
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JP7250999A
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Yuji Yamaguchi
裕二 山口
Chishiro Tanabe
千城 田邊
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Bridgestone Corp
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Bridgestone Corp
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    • B60C11/12Tread patterns characterised by the use of narrow slits or incisions, e.g. sipes
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加硫成形時におけるブレード曲がりの発生を
防止することができ、しかも製品化されたタイヤの氷上
性能を良好に維持する。 【解決手段】 加硫成形モールド24の凹部26には、
ジグザグ形状かつサイプ底に対応する部分が直線状かつ
フラスコ形状とされた一対のブレード28が配設されて
いる。このため、加硫成形時におけるブレード曲がりの
発生を防止することができ、しかも製品化されたタイヤ
の氷上性能を良好に維持することができる。さらに、フ
ラスコ部28Bについては直線状に形成したので、横力
が作用した場合に歪みが生じることはなく、製品化され
たタイヤの耐クラック性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブロックパターン
を有する空気入りタイヤを加硫成形により製造する際に
用いられる加硫成形モールド及びこれを用いて製造され
た空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】スパイクタイヤの使用禁止に伴い、より
優れたスタッドレスタイヤを求めてトレッドに関する種
々の改良がなされてきた。
【0003】この種のスタッドレスタイヤにおいて、エ
ッジ成分を増大させて氷上性能を向上させるためには、
周方向に延びる複数の主溝及びこれらの主溝と交わる方
向に延びる多数のラグ溝によって区分したブロックパタ
ーンでトレッド部を構成すると共に当該ブロック陸部に
多数本の横サイプを配設することが有用である。
【0004】上記横サイプは、陸部を横断する両側開口
サイプ(オープンサイプ)と、一端が主溝に開口し他端
が陸部内で実質的に終端する片側開口サイプと、の二種
類に大別される。前者にあっては、後者よりもエッジ成
分が増加するというメリットがあるものの、ブロック剛
性の低下により後者に比べれば耐偏摩耗性及びDRY操
安性(乾燥路面での操縦安定性)は低下するというディ
メリットがある。逆に、後者にあっては、前者に比べれ
ばエッジ成分が減少するというディメリットがあるもの
の、ブロック剛性が低下しないため前者よりも耐偏摩耗
性及びDRY操安性が良いというメリットがある。な
お、両側開口サイプ及び片側開口サイプのいずれにおい
てもディメリットはあるが、このディメリットによって
支障をきたすことはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たいずれの横サイプであっても、これを備えたタイヤを
製造するためには、加硫成形モールドのブロック形成用
の凹部にサイプ形成用のブレードを配設する必要がある
が、このサイプ形成用のブレードは極めて薄肉な板材で
あるため、剛性が不足しがちである。このため、加硫成
形時にブレード曲がりが発生する可能性がある。
【0006】用途別では、特にトラックやバス等に用い
られる重荷重用タイヤの場合に、サイプ深さが深くトレ
ッドゴムも硬いものが用いられるため、加硫成形時にト
レッドに大きな力が加わってブレード曲がりが発生しや
すい。
【0007】タイプ別では、片側開口サイプの場合に、
四辺のうち二辺(底辺と一方の側部辺)しかブレードが
凹部に固定されていないため(つまり、片側開口サイプ
の場合にはブレードを片側支持構造となるため)、ブレ
ードの支持剛性が低下して加硫成形時にブレード曲がり
が発生しやすい。
【0008】また、この種の横サイプを備えた空気入り
タイヤでは、排水性能を向上させて氷上性能を良好に維
持したいという要請もある。
【0009】本発明は上記事実を考慮し、加硫成形時に
おけるブレード曲がりの発生を防止することができ、し
かも製品化されたタイヤの氷上性能を良好に維持するこ
とができる加硫成形モールド及びこれを用いて製造され
た空気入りタイヤを得ることが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、タイヤ周方向に沿って形成された主溝とタイヤ幅方
向に沿って形成されたラグ溝とによって複数のブロック
に区画されたブロックパターンを有する空気入りタイヤ
を加硫成形により製造する際に用いられる加硫成形モー
ルドであって、前記ブロックに形成されかつタイヤ幅方
向に沿って延びる横サイプを形成するためのブレードを
有し、前記ブレードに少なくとも一箇所以上の折れ曲が
り部を設けると共に当該ブレードのサイプ底に対応する
部分を直線状としかつその断面形状をフラスコ形状とし
た、ことを特徴としている。
【0011】請求項2記載の本発明は、請求項1に記載
の加硫成形モールドを用いて製造した、ことを特徴とし
ている。
【0012】請求項3記載の本発明は、請求項2に記載
の空気入りタイヤにおける横サイプは、一端がブロック
端に開口し、他端がブロック陸部内で実質的に終端する
片側開口サイプである、ことを特徴としている。
【0013】請求項4記載の本発明は、前記横サイプの
他端の断面形状もフラスコ形状とした、ことを特徴とし
ている。
【0014】請求項1記載の本発明によれば、タイヤ幅
方向に沿って延びる横サイプを形成するためのブレード
に少なくとも一箇所以上の折れ曲がり部を設けたので、
直線サイプ形成用のブレードに比べ、ブレードの剛性が
高くなる。このため、加硫成形時に、ブレード曲がりは
発生しない。
【0015】また、本発明によれば、ブレードのサイプ
底に対応する断面形状をフラスコ形状としたので、この
ブレードによって形成された横サイプのサイプ底の断面
形状もフラスコ形状となり、これに起因して氷上性能が
良好に維持される。すなわち、前述した如く、ブレード
に少なくとも一箇所以上の折れ曲がり部を設け、横サイ
プを折れ曲がり形状にした場合には、横サイプのエッジ
部が接触して排水性が低下する。このため、氷雪路面上
での摩擦係数μが低下し、氷上性能が低下する可能性が
ある。しかし、本発明では、ブレードのサイプ底に対応
する断面形状をフラスコ形状にすることで横サイプのサ
イプ底の断面形状をフラスコ形状としたので、サイプ底
からの排水性が向上される。このため、氷雪路面上での
摩擦係数μを高めることができ、氷上性能が良好に維持
される。
【0016】すなわち、請求項1記載の本発明に係る加
硫成形モールド及びこれを用いて製造された請求項2記
載の本発明に係る空気入りタイヤによれば、加硫成形時
におけるブレード曲がりの発生の防止並びに氷上性能の
維持を両立させることが可能となる。
【0017】さらに、本発明によれば、ブレードに少な
くとも一箇所以上の折れ曲がり部を設けているものの、
ブレードのサイプ底に対応する部分を直線状としたの
で、請求項1記載の本発明に係る加硫成形モールドを用
いて製造した請求項2記載の本発明に係る空気入りタイ
ヤの耐クラック性が向上される。つまり、ブレードのサ
イプ底に対応する部分にも少なくとも一箇所以上の折れ
曲がり部を設けて、製品である空気入りタイヤの横サイ
プのサイプ底にも折れ曲がり部を設けた場合には、路面
からブロックに横力が入力された際に、折れ曲がり部に
歪みが集中してクラックが散見されることがある。しか
し、本発明では、ブレードのサイプ底に対応する部分を
直線状としたので、横力が入力された際に歪みが集中す
ることはない。このため、空気入りタイヤの耐クラック
性が向上される。なお、サイプ底の断面形状をフラスコ
形状としたことにより、サイプ底での応力が分散される
ので、サイプ底をフラスコ形状としたこと自体によって
も亀裂発生が抑止される。
【0018】請求項3記載の本発明によれば、横サイプ
の一端がブロック端に開口し、他端がブロック陸部内で
実質的に終端する片側開口サイプによって請求項2に記
載の空気入りタイヤにおける横サイプを構成したので、
両側開口サイプ(オープンサイプ)にした場合に比べ、
ブロック剛性を向上させることが可能になり、耐偏摩耗
性及びDRY操安性が向上される。
【0019】請求項4記載の本発明によれば、請求項3
に記載の発明において、横サイプの他端の断面形状もフ
ラスコ形状としたので、横サイプの他端での亀裂発生が
防止される。このため、サイプ底での亀裂発生防止効果
と相まってより一層亀裂の発生を抑止することが可能に
なる。なお、横サイプの他端の断面形状をフラスコ形状
としたことにより、横サイプの他端での排水性も向上さ
れる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図8を用いて、本発
明の一実施形態について説明する。
【0021】図1に示されるように、スタッドレス空気
入りタイヤ10は、左右一対のサイドウォール(図示省
略)に跨がる円筒状のトレッド12を備えている。トレ
ッド12には、タイヤ周方向に沿って形成された複数の
主溝14と、タイヤ幅方向に沿って形成された複数のラ
グ溝16と、が形成されており、これにより複数のブロ
ック18が区画形成されている。これらのブロック18
には、タイヤ幅方向に沿って延びる横サイプ20が形成
されている。
【0022】図2には、ブロック単体の平面図が示され
ている。この図に示されるように、横サイプ20は、ブ
ロック18に一対形成されている。いずれの横サイプ2
0も、一端が主溝14に開口されており、他端はブロッ
ク陸部18A内で終端されている。すなわち、本実施形
態の横サイプ20は、片側開口サイプとされている。さ
らに、横サイプ20は、ブロック18の幅方向(横サイ
プ20の延出方向)に沿って三箇所にサイプ折れ曲がり
部22を有している。これにより、横サイプ20は、ブ
ロック18の面直角方向から見てジグザグ形状に形成さ
れている。
【0023】図3には、横サイプ20の断面形状が示さ
れている。この図に示されるように、横サイプ20は、
細長い矩形断面形状とされたサイプ基部20Aと、この
サイプ基部20Aに連続して形成されフラスコ断面形状
とされたサイプ底部20Bと、によって構成されてい
る。このうち、サイプ基部20Aは前述した如くブロッ
ク18の面積直角方向から見てジグザグ状に延出されて
いるが、サイプ底部20Bは直線状に延出されている。
【0024】次に、上述した横サイプ20を備えたスタ
ッドレス空気入りタイヤ10を製造する際に用いられる
加硫成形モールド24の構成について説明する。
【0025】図4には、加硫成形モールド24における
ブロック18を形成するための凹部26が斜視図にて示
されている。この図に示されるように、ブロック18を
形成するための凹部26は略直方体形状の凹部とされて
おり、その内方には横サイプ20を形成するための一対
の薄肉板状のブレード28が配設されている。一方のブ
レード28は、凹部26の一方の側壁26A及び底壁2
6Bに固着されている。また、他方のブレード28は、
凹部26の他方の側壁26C及び底壁26Bに固着され
ている。なお、凹部26の底壁26Bには、大気開放用
の図示しないベントホールが形成されている。
【0026】図5には、ブレード単品の斜視図が示され
ている。この図に示されるように、ブレード28は、平
板状のブレード基部28Aと、このブレード基部28A
の高さ方向の一方の端部に設けられたフラスコ部28B
と、によって構成されている。このうち、フラスコ部2
8Bは、直線状に形成されている。これに対し、ブレー
ド基部28Aは、凹部26の幅方向に沿って三箇所にブ
レード折れ曲がり部30を有している。これにより、ブ
レード28は、凹部26の高さ方向から見てジグザグ形
状に形成されている。従って、このブレード28は、直
線状のブレードに比べ、高剛性化されている。また、ブ
レード28はジグザグ形状とされているため、凹部26
に片側支持されているものの支持面積は直線状のブレー
ドに比べて増加している。従って、ブレード28の凹部
26への支持剛性も高い。
【0027】なお、上述したブロック18の寸度は、ブ
ロック長23mm、ブロック幅30mm、サイプ幅0.5m
m、サイプ深さ10mmに設定されている。また、サイプ
底部20Bの直径は、2mmに設定されている。さらに、
主溝14の深さは20mm、ラグ溝16の深さは15mmに
設定されている。また、タイヤサイズは、11R22.
5である。
【0028】次に、本実施形態の作用並びに効果を説明
する。未加硫の生タイヤが加硫成形モールド24に充填
され、この生タイヤの内側に配設された図示しないブラ
ダーによって未加硫の生タイヤへ圧力が加えられると、
生タイヤのゴムが凹部26内へ流入する。これにより、
凹部26内の空気は図示しないベントホールを介して大
気開放され、生タイヤのゴムは凹部26の隅々まで達し
て型内面に密着される。その後、加硫成形モールド24
内の生タイヤは、所定の温度で所定時間加硫される。こ
の結果、ジグザグ形状かつサイプ底の断面形状がフラス
コ形状とされた横サイプ20を備えたスタッドレス空気
入りタイヤ10が成形される。
【0029】ここで、本実施形態では、ブレード28の
ブレード基部28Aに複数のブレード折れ曲がり部30
を設けてジグザグ状に形成し、ブレード28自体の剛性
を高め、更にはブレード28の凹部26への支持剛性も
高めたので、加硫成形時に生タイヤのゴムによって押圧
されても、ブレード28に曲げ等の変形が生じるのを防
止することができる。
【0030】さらに、ブレード28にフラスコ部28B
を設けたことにより、成形後のブロック18の横サイプ
20にもフラスコ断面形状のサイプ底部20Bが形成さ
れるので、スタッドレス空気入りタイヤ10の氷上性能
を良好に維持することができる。すなわち、横サイプ2
0に複数のサイプ折れ曲がり部22を形成した場合に
は、横サイプ20のエッジ部が接触して排水性が低下す
る。なお、条件的には、路面温度(氷温)が高く(0°
C近傍)、氷の表面に水膜が存在するような場合に排水
性が低下する。このため、氷雪路面上での摩擦係数μが
低下し、氷上性能が低下する可能性がある。しかし、本
実施形態では、横サイプ20のサイプ底部20Bの断面
形状をフラスコ形状としたので、路面温度が0°C近傍
でもサイプ底部20Bからの排水性を向上させることが
できる。このため、氷雪路面上での摩擦係数μを高める
ことができ、氷上性能を良好に維持することができる。
【0031】すなわち、本実施形態によれば、加硫成形
時におけるブレード28の曲がりの発生の防止並びにこ
のブレード28を備えた加硫成形モールド24によって
製造されたスタッドレス空気入りタイヤ10の良好な氷
上性能の維持を両立させることができる。
【0032】さらに、本実施形態では、ブレード基部2
8Aはジグザグ形状に形成したものの、フラスコ部28
Bについては直線状に形成することで、成形後のブロッ
ク18の横サイプ20のサイプ底20Bを直線状にした
ので、スタッドレス空気入りタイヤ10の耐クラック性
を向上させることができる。つまり、ブレードのフラス
コ部もジグザグ形状にして、製品であるスタッドレス空
気入りタイヤの横サイプのサイプ底をもジグザグ形状に
した場合には、路面からブロックに横力が入力された際
に、折れ曲がり部に歪みが集中してクラックが発生する
可能性がある。しかし、本実施形態では、ブレード28
のフラスコ部28Bについては直線状にしたので、横力
が入力された際に歪みが集中することはない。このた
め、空気入りタイヤ10の耐クラック性を向上させるこ
とができる。なお、サイプ底部20Bの断面形状をフラ
スコ形状としたことにより、サイプ底部20Bでの応力
を分散させることができるので、サイプ底部20Bをフ
ラスコ形状としたこと自体によっても亀裂発生を抑止す
る効果がある。
【0033】また、本実施形態によれば、横サイプ20
の一端がブロック18の主溝14に開口し、他端がブロ
ック陸部18A内で実質的に終端する片側開口サイプに
よって横サイプ20を構成したので、両側開口サイプ
(オープンサイプ)にした場合に比べ、ブロック18の
剛性を向上させることができ、耐偏摩耗性及びDRY操
安性を向上させることができる。
【0034】上述した効果を実証するべく、本実施形態
のスタッドレス空気入りタイヤ10の氷上ブレーキ性能
及びブロック欠け発生の有無並びに加硫成形時における
ブレード曲がりの発生の有無についてテストを実施し
た。テストの結果は、下記表1の通りである。
【0035】なお、テストは、本実施形態に係るスタッ
ドレス空気入りタイヤ10及びこれを製造するための加
硫成形モールド24、比較タイヤ1(図6に示される如
く、直線状かつサイプ底がフラスコ断面形状とされてい
ない横サイプ32入りのブロック34を備えたスタッド
レス空気入りタイヤ)及びこれを製造するための加硫成
形モールド(図示省略)、比較タイヤ2(図7に示され
る如く、ジグザグ状かつサイプ底がフラスコ断面形状と
されていない横サイプ36入りのブロック38を備えた
スタッドレス空気入りタイヤ)及びこれを製造するため
の加硫成形モールド(図示省略)、比較タイヤ3(図8
に示される如く、ジグザグ状かつサイプ底がフラスコ断
面形状とされた横サイプ40入りのブロック42を備え
たスタッドレス空気入りタイヤ)及びこれを製造するた
めの加硫成形モールド(図示省略)の四者を対象にして
実施した。
【0036】また、氷上ブレーキ性能のテスト結果は、
タイヤを車両に装着し、氷結した特設コース上を積荷条
件にて時速20km/hで走行中に急ブレーキをかけ、当該
ブレーキをかけた地点から停止した地点までの距離を測
定し、その逆数を氷上性能として指数表示したものであ
る。
【0037】さらに、ブロック欠けの有無のテストは、
同様に実車にてアスファルト舗装路を平均時速60km/h
でスラローム走行を交えて20000km走行し、ブロッ
ク欠けの有無を調査するという方法を採った。
【0038】
【表1】 上記表1から判るように、サイプ底の断面形状がフラス
コ形状ではなくサイプ折れ曲がり部を有していない直線
状の横サイプ32を備えた比較タイヤ1では、氷上ブレ
ーキ性能は良好であり、ブロック欠けも発生しないが、
ブレード曲がりが発生している。また、サイプ折れ曲が
り部を有しているがサイプ底の断面形状がフラスコ形状
とされていない横サイプ36を備えた比較タイヤ2で
は、ブレード曲がりは発生していないが、氷上ブレーキ
性能が低下していると共にブロック欠けが発生してい
る。さらに、サイプ折れ曲がり部を有しサイプ底の断面
形状がフラスコ形状とされた横サイプ40を備えた比較
タイヤ3では、氷上ブレーキ性能も良好でブレード曲が
りも発生していないが、ブロック欠けが発生している。
これに対し、サイプ折れ曲がり部を有するジグザグ形状
とされかつサイプ底が直線状に形成されかつその断面形
状がフラスコ形状とされた横サイプを備えた本実施形態
では、氷上ブレーキ性能も良好であり、又ブロック欠け
及びブレード曲がりも発生しないことが判る。
【0039】以下、図9を用いて、他の実施形態につい
て簡単に説明する。図9に示される実施形態では、同図
(B)に示される如く、ブロック44に一対のジグザグ
状変形サイプ46が互い違いに形成されている。なお、
前述した横サイプ20もジグザグ状であるが、本実施形
態のジグザグ状変形サイプ46は山と谷の間隔が比較的
狭い点で相違している。各ジグザグ状変形サイプ46
は、サイプ折れ曲がり部48を五箇所に有しており、又
サイプ底部46A及びサイプ他端46Bの二箇所の断面
形状がフラスコ形状とされている。なお、サイプ底部4
6A及びサイプ他端46Bは、いずれも直線状に形成さ
れている。
【0040】図9(A)には、上述したジグザグ状変形
サイプ46を形成するためのブレード50が斜視図にて
示されている。この図に示される如く、ブレード50は
五箇所にブレード折れ曲がり部52を有するジグザグ状
に形成されている。また、ブレード基部50Aの下端縁
及び自由端側の側縁の二箇所に、円柱状のフラスコ部5
0Bが設けられている。
【0041】上記実施形態によっても、前述した実施形
態と同様に、加硫成形時におけるブレード曲がりの発生
の防止並びにこのブレード50を備えた加硫成形モール
ドによって製造されたスタッドレス空気入りタイヤの良
好な氷上性能の維持を両立させることができる。
【0042】また、ブレード基部50Aはジグザグ形状
に形成したものの、フラスコ部50Bについては直線状
に形成することで、成形後のブロック44のジグザグ状
変形サイプ46のサイプ底46Aを直線状にしたので、
スタッドレス空気入りタイヤ10の耐クラック性を向上
させることができる。
【0043】さらに、このジグザグ状変形サイプ46も
片側開口サイプであるため、両側開口サイプに場合に比
べ、ブロック40の剛性を向上させることができ、耐偏
摩耗性及びDRY操安性を向上させることができる。
【0044】さらに、本実施形態によれば、ブレード基
部50Aの下端縁のみならず自由端側の側縁にも円柱状
のフラスコ部50Bを設けることで、ジグザグ状変形サ
イプ46のサイプ他端46Bの断面形状をもフラスコ形
状としたので、ジグザグ状変形サイプ46のサイプ他端
46Bでの亀裂発生を防止することができる。このた
め、サイプ底部46Aでの亀裂発生防止効果と相まって
より一層亀裂の発生を抑止することができる。このた
め、入力がシビアな場合(より軟らかいcapゴムを用
い、ブロックの変形量が増大する場合やサイプ幅、サイ
プ深さが大きい場合)に功を奏す。なお、ジグザグ状変
形サイプ46のサイプ他端46Bの断面形状をフラスコ
形状としたことにより、ジグザグ状変形サイプ46のサ
イプ他端46Bでの排水性も向上させることができる。
【0045】なお、以上の実施形態では、片側開口サイ
プを例にして説明したが、これに限らず、両側開口サイ
プを採用してもよい。この場合、ブレードは頂辺を除く
三辺で凹部に支持されることになる。
【0046】また、ブレード折れ曲がり部及びサイプ折
れ曲がり部は少なくとも一箇所以上に設けられていれば
よい。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る加硫成
形モールド及びこれを用いて製造された空気入りタイヤ
は、加硫成形時におけるブレード曲がりの発生を防止す
ることができ、しかも製品化されたタイヤの氷上性能を
良好に維持することができるという優れた効果を有す
る。
【0048】さらに、本発明に係る加硫成形モールド及
びこれを用いて製造された空気入りタイヤは、製品化さ
れたスタッドレス空気入りタイヤの耐クラック性を向上
させることができるという優れた効果をも有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るスタッドレス空気入りタイヤ
のトレッド平面図である。
【図2】図1に示されるブロックの平面図である。
【図3】図2に示される横サイプをタイヤ周方向に沿っ
て切断して示す断面図である。
【図4】加硫成形モールドにおけるブロックを形成する
ための凹部の斜視図である。
【図5】図4に示されるブレード単品の斜視図である。
【図6】本実施形態の効果を説明するための比較タイヤ
1の図2に対応するブロックの平面図である。
【図7】本実施形態の効果を説明するための比較タイヤ
2の図2に対応するブロックの平面図である。
【図8】本実施形態の効果を説明するための比較タイヤ
3の図2に対応するブロックの平面図である。
【図9】他の実施形態に係り、(A)はブレードの斜視
図、(B)はブロックの平面図である。
【符号の説明】
10 スタッドレス空気入りタイヤ 14 主溝 16 ラグ溝 18 ブロック 18A ブロック陸部 20 横サイプ 20B サイプ底部 22 サイプ折れ曲がり部 24 加硫成形モールド 28 ブレード 28B フラスコ部 30 ブレード折れ曲がり部 44 ブロック 46 ジグザグ状変形サイプ(横サイプ) 48 サイプ折れ曲がり部 50 ブレード 52 ブレード折れ曲がり部
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:24 B29L 30:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タイヤ周方向に沿って形成された主溝と
    タイヤ幅方向に沿って形成されたラグ溝とによって複数
    のブロックに区画されたブロックパターンを有する空気
    入りタイヤを加硫成形により製造する際に用いられる加
    硫成形モールドであって、 前記ブロックに形成されかつタイヤ幅方向に沿って延び
    る横サイプを形成するためのブレードを有し、 前記ブレードに少なくとも一箇所以上の折れ曲がり部を
    設けると共に当該ブレードのサイプ底に対応する部分を
    直線状としかつその断面形状をフラスコ形状とした、 ことを特徴とする加硫成形モールド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の加硫成形モールドを用
    いて製造した、 ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の空気入りタイヤにおけ
    る横サイプは、一端がブロック端に開口し、他端がブロ
    ック陸部内で実質的に終端する片側開口サイプである、 ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】 前記横サイプの他端の断面形状もフラス
    コ形状とした、 ことを特徴とする請求項3記載の空気入りタイヤ。
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