JPH09110707A - 慢性腎不全改善剤および透析患者のクオリティー オブ ライフ改善剤 - Google Patents

慢性腎不全改善剤および透析患者のクオリティー オブ ライフ改善剤

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JPH09110707A
JPH09110707A JP7289222A JP28922295A JPH09110707A JP H09110707 A JPH09110707 A JP H09110707A JP 7289222 A JP7289222 A JP 7289222A JP 28922295 A JP28922295 A JP 28922295A JP H09110707 A JPH09110707 A JP H09110707A
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dialysis patients
dialysis
renal failure
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chronic renal
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JP7289222A
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Yoshio Hida
美穂 飛田
Takeshi Aiba
勇志 相場
Nobuyuki Suzuki
信之 鈴木
Naomi Kokubo
直美 小久保
Haruhisa Hirata
晴久 平田
Yoshitami Ohashi
良民 大橋
Makoto Maeda
孚 前田
Yasuhiro Koga
泰裕 古賀
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Wakamoto Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Wakamoto Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 慢性腎不全および透析患者の腸内菌叢の改善
ならびに血中の尿毒症毒素成分(uremic tox
in)の生成抑制と軽減を目的に、乳酸菌製剤を臨床の
場で応用し、患者のクオリティー オブ ライフをはじ
め臨床所見ならびに腸内菌叢の変化さらには腸内腐敗産
物、血中の尿毒症毒素成分を調べた。 【効果】 尿中排泄の障害を持った慢性腎不全の患者も
しくは尿中排泄のできない透析患者に対する乳酸菌製剤
の投与は患者の生命予後に重要な働きを担っていること
が判った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は慢性腎不全の改善および
透析患者のクオリティー オブ ライフ(qualit
y of life,QOL)の改善に効果的な医薬品
に関する。
【0002】
【従来の技術ならびに発明が解決すべき問題点】日本に
おける透析患者は1993年にはついに11万人を突破
し、毎年約1万人以上が新たに透析導入に加わってい
る。また、透析にかかる1人当たりの医療費は月80万
円、年額960万円にもなり、全国の透析患者の総医療
費は約1兆円と云う膨大な費用が使われている。この額
は何と国民総医療費24兆円に対して1/24に当た
る。
【0003】透析患者の増加を抑えるためには、腎疾患
に罹病した患者の早期発見と早期治療が望まれるところ
であるが、現在のところ有効な治療薬はまだ見出されて
いない。特に糖尿病の合併症の一つである糖尿病性腎症
は患者の生命予後に直結するものであり、仮に透析を導
入しても約3年間で50%の死亡率を示し極めて生命予
後が悪い。
【0004】現在実施されている慢性腎不全の治療では
低蛋白食を中心とした食事療法や降圧剤、降圧利尿剤な
どの薬物療法などのほかに、1991年より慢性腎不全
用吸着剤クレメジン(登録商標)(呉羽化学−三共)が
医薬品として登場した。本薬剤は新しい作用機序に基づ
いて尿毒症症状の改善と腎機能低下をできるだけ抑える
ことにより透析導入の遅延を狙って開発された薬剤であ
る。
【0005】慢性腎不全の進展・増悪については、いく
つかの考え方が提唱されているが、その一つに腎機能障
害によって排泄機能が低下してしまうと尿毒症毒素(u
remic toxin)や尿毒症性代謝物などが体内
に蓄積され、これらが腎不全をさらに悪化させ悪循環を
来すことが考えられている。
【0006】このような腎不全の液性増悪因子の一つと
して最近インドキシル硫酸が注目されている。食事とし
て摂取した蛋白質はプロテアーゼによって加水分解さ
れ、低分子ペプチドあるいはアミノ酸となって大部分は
小腸から吸収されるが、未吸収のペプチドやアミノ酸は
腸内微生物によって代謝される。その中でもトリプトフ
ァンはインドールに変換され、そのまま便中に排泄され
るが、一部は腸管から吸収され血流に乗って肝に運ば
れ、肝でインドキシルに変換後、インドキシル硫酸とし
て抱合される。
【0007】通常、健常人であればこのインドキシル硫
酸は腎を経て尿中に排泄されるが、腎障害を来した患者
では、本物質が体内に貯留し、これが慢性腎不全の進展
・増悪に大きく関っていることが指摘されている。
【0008】慢性腎不全用経口吸着剤クレメジン(登録
商標)は直径0.2〜0.4mmの球形の高純度炭素微
粒子からなるカプセル製剤であり、1カプセル200m
g、1日服用量6gを1日3回に分けて服用する。
【0009】このような吸着剤は腸内に発生したフェノ
ール類やインドール類などの腐敗産物を吸着することに
よって腸管からの腐敗産物の吸収を極力抑えるものであ
るが、本吸着剤は生体にとって大切なビタミン類やその
他の栄養素、さらには消化酵素などにも吸着し、腐敗産
物のみを選択的に吸着できる製剤ではない。さらに、慢
性腎不全患者は厳格な水分制限を強いられており患者の
QOLからみて1回、10カプセルと云う大量の吸着剤
を1日3回、毎日飲み続けることは大きな負担となり決
して望ましいことではない。また、服用後の腹部膨張感
をはじめ便秘症状や食欲不振、悪心あるいは嘔吐など消
化器系の副作用を伴う場合が多く、必ずしも患者のQO
Lを満足せしめるものではない。このような現状に鑑
み、腸内腐敗産物の生成を抑制して慢性腎不全の進展・
増悪を抑え、かつ、患者のQOLを向上させる薬剤が望
まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる実情
に鑑み、慢性腎不全および透析患者のQOLを重視した
腎不全改善薬の発明に鋭意研究した結果、すでに医薬品
として認可されている乳酸菌製剤が非常に有効であるこ
とを突き止めた。
【0011】元来、乳酸菌製剤は、整腸薬として効能が
認められており、かつ、長い間の使用経験から極めて安
全性に優れた医薬品である。
【0012】最近の研究から乳酸菌製剤の有効成分であ
るビフィズス菌やラクトバチルス・アシドフィルス菌な
どはヒトや動物の腸内細菌として腸内に生息し、健康維
持に極めて重要な働きをしていることが判明しており、
また、以下に示す作用についても次第に明らかにされつ
つある。
【0013】(1)発癌物質などの有害物質の生成を抑
制する。 (2)病原菌の腸管感染を防ぐ。 (3)腸内有害菌の増殖を抑える。 (4)ビタミンを合成する(ビタミンB1 ,B2
6 ,B12,K)。 (5)消化・吸収を助ける。 (6)免疫能を高める。 [光岡知足:腸内菌の世界、叢文社(1980)]
【0014】これらの作用はいずれも乳酸菌製剤の腸内
菌叢のアンバランスを是正する働きによるものと考えら
れる。従来から腸内菌叢のバランスがくずれると重篤な
感染症を引き起こす危険性のあることが指摘されてい
た。
【0015】特に、最近医療の現場で益々混迷を深め、
社会問題にもなったMRSA感染症は広範囲抗生物質の
使い過ぎと院内感染対策の遅れが指摘され大きな反省点
となったが、本感染症にも広範囲抗生物質による腸内菌
叢のバランスの崩壊が深く関与している。
【0016】すなわち、本発明者らが、MRSA菌で発
症した患者の糞便を検索した結果、健常人の腸内菌叢を
形成しているビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス
属、ユウバクテリウム属、バクテロイデス属、クロスト
リジウム属などの嫌気性菌が全くと云って良いほど検出
されず、代わりに好気性菌のMRSA菌を多量に検出し
た。このことから感染の成立あるいは感染防御の立場か
らみても、いかに腸内菌叢が重要であるかが理解でき
る。したがって、ヒトの健康と腸内菌叢との関わりは非
常に大切である。
【0017】一方、安定期透析患者の腸内菌叢を解析し
た事例はほとんどなく、本発明を完遂するためにも重要
な事項であった。透析患者は前述したごとく水分の制限
のもとで、高カロリー、高脂肪、低蛋白、低食物繊維食
を主体にした透析食を摂取し、さらに腸管の蠕動も減弱
している症例も多く、便秘の合併もしばしば経験する症
例に遭遇する。その結果、透析患者は、健康人とは異な
る腸内菌叢で構成されている可能性があり、この腸内菌
叢の異常が尿毒症毒素の血中での蓄積および易感染状態
を作り上げている要因の一つと考えられる。
【0018】そこで本発明者らは比較例に示したよう
に、健常人と透析患者の腸内菌叢を構成する菌種と菌数
の比較を行い、その結果を表1に示した。表1から明ら
かなように、透析患者の腸内菌叢は健常者と比べて好気
性菌の比率が高く、またヒトに有用なビフィズス菌の検
出率も低い。さらに、透析患者は免疫能の低下も指摘さ
れており、スタフィロコッカス属やエンテロコッカス属
あるいはクレブシエラ属、シュードモナス属などの日和
見感染菌が透析患者に高い検出率で認められたことは、
患者の易感染状態と相乗して重大な日和見感染症を引き
起こす危険性もある。このような透析患者における腸内
菌叢の異常は本発明者らによって初めて明らかとなった
ものである。
【0019】そこで、本発明者らは腸内菌叢の異常を改
善すると共に慢性腎不全および透析患者のQOLを改善
する目的で、医薬品として認可されている乳酸菌製剤を
実際の臨床の場で透析患者に投与し、投与前後の腸内菌
叢の解析、尿毒症毒素成分、腐敗産物(フェノール、パ
ラクレゾール、インドール、スカトール)について分析
を重ね解析を行った。その結果、透析患者における腸内
菌叢の改善はもとより、腸内の腐敗産物の生成抑制と血
中のインドキシル硫酸の減少を認めた。本結果は乳酸菌
製剤の服用が慢性腎不全の改善および透析患者のQOL
の改善に結び付くことを示すものである。
【0020】
〔比較例〕
《健常人と透析患者の腸内菌叢の比較》健常人12名
(男性6名、女性6名、平均年齢49.2±6.8歳)
および透析患者20名(男性8名、女性12名、平均年
齢56.4±12.8歳)の乳酸菌製剤投与前の腸内菌
叢を調べる目的で、光岡らの方法[Microbio
l.Immunol.,36,683−694(199
2),Zentralbl.Bakteriol.,1
Abt.Orig.A195:455−469(196
5)]に従って、新鮮便約1gを採取し、嫌気条件下で
懸濁後、10-1から10-8までに段階的に10倍希釈を
行った。その各々の希釈液0.05mlをTS,EG,
BLの3種類の非選択培地のアガープレートおよび以下
に示す13種類の選択培地のアガープレート上に広げ
た。
【0021】DHL,TATAC,PEES,P,NA
C[シュードモナス属検出用培地(栄研化学株式会
社)]、NGBT,BS,ES,VS,変法LBS,N
N,CCFA[クロストリジウム・ディフシル検出用培
地(オクソイド社、イギリス)]、2.5%の卵黄およ
び5μg/mlのメチシリンを含むスタフィロコッカス
培地No.110(日水製薬株式会社)[MRSAおよ
びMSSA検出用培地]。
【0022】好気性菌検出用プレートは37℃、2日
間、嫌気性菌検出用プレートは37℃、3日間インキュ
ベーションして後、各プレート上のコロニー形状と細胞
の形態、グラム染色、胞子形成能、好気性および嫌気性
条件下での生育状況から判定して、各種細菌の分類と酵
母類の帰属を行った。
【0023】その結果を表1に示したが、表1の数値は
糞便1g当たりの生菌数(colony formin
g unit,cfu)を常用対数で示し、( )の数
値は健常人12名または透析患者20名中に各菌が検出
された人数から率を求め、これを検出率として表したも
のである。
【0024】《解析結果》表1の結果から、透析患者の
糞便菌叢は健常人のそれと比較して腸内細菌科(Ent
erobacteriaceae)の菌数が有意に高
く、腸球菌(エンテロコッカス属)もやや高い菌数を示
し、全体的に好気性菌の比率が高いことが判った。さら
に、日和見感染症の起因菌として注目されているスタフ
ィロコッカス属やシュードモナス属の検出率は健常人に
比べて透析患者の方が高値であった。
【0025】一方、嫌気性菌のビフィズス菌について
は、健常人全員から検出されたが(検出率100%)、
透析患者では65%の検出率でその菌数も低い。また、
老化との関連で最近注目されているクロストリジウム・
パーフリンジェンスは、菌数、検出率ともに透析患者の
方が高く、また総菌数は透析患者の方が若干低いことが
判った。
【0026】以上、糞便菌叢の解析から、透析患者は健
常人と比較して全般的に好気性菌の比率が高く、健常人
の腸内菌叢とはかなり異なる腸内菌叢を有することが判
った。
【0027】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳
細に説明するが、本実施例は本発明の一態様を記載した
ものであって、本発明はこれに限定されるものではな
い。 〔実施例1〕 《「レベニン(登録商標)」カプセルの投与方法》透析
患者20名(男性8名、女性12名、平均年齢56.4
±12.8歳)に「レベニン(登録商標)」カプセルを
食後に1回、1カプセル、1日3回、4週間服用させ
た。2週間後に患者の新鮮便と採血を行って、さらに2
週間後に再び採血を行い、分析に供した。
【0028】「レベニン(登録商標)」カプセルは医療
用医薬品として承認された抗生物質耐性乳酸菌製剤であ
り、1カプセル200mg中にビフィドバクテリウム・
インファンティス1×108 cfu、ラクトバチルス・
アシドフィルス1×108 cfu、エンテロコッカス・
フェカリス1×108 cfuの3菌種からなり総菌数と
して3×108 cfu/カプセルを含む製剤である。
【0029】《「レベニン(登録商標)」カプセル投与
後の腸内菌叢の検索》透析患者の糞便菌叢の検索は比較
例に示した各種選択培地および非選択培地を用い同一の
方法に従った。
【0030】《検索結果》表2の結果から、「レベニン
(登録商標)」カプセルを服用した透析患者の糞便菌叢
の変化として腸内細菌科(Enterobacteri
aceae)について有意な減少が認められ、また、日
和見感染の起因菌になりうるクレブシエラ、スタフィロ
コッカス、シュードモナス、カンジダ属は服用以前と比
べると菌数および検出率ともに減少した。
【0031】一方、嫌気性菌については服用前後でビフ
ィズス菌の検出率が65%から90%に増加したのに対
し、クロストリジウム・パーフリンジェンスは70%か
ら20%に減少し、総菌数では若干の増加をみた。以上
より「レベニン(登録商標)」カプセルの服用によって
腸内菌叢の改善が認められた。
【0032】《糞便中のフェノール類、インドール類の
分析》 (分析方法)健常人12名、透析患者20名の糞便約
0.5gづつ採取し、内部標準として10mMのパライ
ソプロピルフェノールを10μlづつ添加し、1Nの塩
酸0.5mlを加えて酸性とし、ジエチルエーテルを加
え、よく混液して、3,000回転、15分間遠心分離
を行い、上層を集め、再び0.5Mの重炭酸ソーダを加
えてよく混液後、3,000回転、15分間遠心分離を
行い、フェノール類およびインドール類を抽出した。フ
ェノール類やインドール類を含むエーテル層から5μl
をマイクロシリンジで精容後、ガスクロマトグラフィー
に注液し分析を行った。
【0033】ガスクロマトグラフィーの測定条件は、以
下の通りである。 分析装置:島津GC−9A 検出器:水素炎検出(FID) キャリアーガス:ヘリウム(He)、50ml/分 カラム:ガラスカラム(長さ2.1m×直径3mm) 充填剤:14%シリコンSE−30クロモソルブW A
W−DWCS(80〜100メッシュ) 温度:110℃(一定温度)
【0034】(分析結果)図1は、縦軸に糞便1g当た
りのフェノール類、インドール類のナノモル量で示し、
横軸に健常人および透析患者の「レベニン(登録商
標」」カプセル服用前、服用後を示したものである。
【0035】健常人、透析患者ともにフェノール類のう
ち、パラクレゾールが最も多く、次いでスカトール、イ
ンドール、フェノールの順であった。健常人と服用前、
服用後の透析患者のフェノールの量を比較してみると透
析患者の1例が高い値を示したのみで他の健常人とほぼ
よく似た値であった。しかしながら、インドール、スカ
トール、パラクレゾールは健常人に比べ透析患者では高
い値であった。2週間に及ぶ透析患者への「レベニン
(登録商標)」カプセルの服用の結果、インドール、パ
ラクレゾールおよびスカトールは減少し、腸内環境の改
善がみられた。
【0036】《血漿中のフェノールとパラクレゾールお
よび血漿中のインドキシル硫酸の分析》 (分析方法) ○血漿中のフェノールおよびパラクレゾールの分析 健常人12名、透析患者20名の採血を行って、血漿を
分離し得られた血漿0.1mlに内部標準物質として1
mMのパライソプロピルフェノールを5μlづつ添加
し、4Nの塩酸10μlを加えて酸性とし、食塩0.1
gを加え溶解後、0.2mlの酢酸エチルを加えよく混
液して、3,000回転、15分間遠心分離を行い、酢
酸エチル層より5μlをマイクロシリンジで精容後、ガ
スクロマトグラフィーに注液して分析を行った。
【0037】ガスクロマトグラフィーの測定条件は、以
下の通りである。 分析装置:島津GC−9A 検出器:水素炎検出(FID) キャリアーガス:ヘリウム(He)、50ml/分 カラム:ガラスカラム(長さ2.1m×直径3mm) 充填剤:14%シリコンSE−30クロモソルブW A
W−DWCS(80〜100メッシュ) 温度:100℃(一定温度)
【0038】○血漿中のインドキシル硫酸の分析 健常人12名、透析患者20名の採血を行って、血漿を
分離し得られた血漿0.1mlに0.3Nの塩酸を等量
加えて酸性とし、水飽和クロロホルム0.1mlを加え
てよく混液して、10,000回転、15分間遠心分離
を行い、水層から4μlをマイクロシリンジで精容後、
高速液体クロマトグラフィーに注液し分析を行った。な
お、定量に際し、標品のインドキシル硫酸(シグマ社)
を用いて標準曲線をあらかじめ作成し、これを使用し
た。
【0039】高速液体クロマトグラフィーの測定条件
は、以下の通りである。 分析装置:島津LC−6A 検出器:島津SPD−6A、UV検出(波長270n
m) カラム:ODSシリカゲルカラム、YMC−PackA
−312(株式会社ワイエムシィ)(長さ150mm×
直径6.0mm) 移動相:1mMのテトラ−ノルマル−ブチルアンモニウ
ムハイドロキサイドを含む20mMのナトリウム−カリ
ウムリン酸緩衝液(pH6.5):アセトニトリル(7
5:25v/v) 流速:1ml/分
【0040】(分析結果)図2は健常人および透析患者
の透析前、透析後の血漿中の尿毒症毒素成分の比較を示
したものである。縦軸に血漿1ml当たりの尿毒症毒素
成分であるフェノール、パラクレゾール、インドキシル
硫酸のナノモル量を表わし、横軸に健常人、透析前の患
者、透析後の患者を示した。
【0041】図2から明らかなように、透析前の患者の
血漿中には健常人に比べてフェノール、パラクレゾー
ル、インドールの硫酸抱合体であるインドキシル硫酸が
多量に蓄積されており、透析によってフェノールについ
ては約60%が除去されるが、パラクレゾールやインド
キシル硫酸は約10〜20%程度しか除去できないこと
を示している。
【0042】尿毒症毒素成分の中でもインドキシル硫酸
は腎不全の液性増悪因子の一つとして考えられており、
また透析患者のQOLを考える上でこれら尿毒症毒素成
分が血流に乗って体循環を繰り返すことは透析患者の生
命予後に大きく影響するものと考えられる。
【0043】図3は透析患者に「レベニン(登録商
標)」カプセルを最大4週間服用させて服用前と服用後
の尿毒症毒素成分の一つであるインドキシル硫酸を追跡
したものである。フェノールやパラクレゾールについて
は減少した症例を認めたが有意差は認められなかった
(データは呈示していない)。しかしながら、インドキ
シル硫酸については2週目で減少傾向を示し4週目では
有意に減少した(p<0.01)。
【0044】(臨床症状)図4は透析患者の「レベニン
(登録商標)」カプセル服用前と服用後2週目の糞便性
状を観察したものである。判定基準は、軟便(水分81
%以上)、普通便(水分71〜80%)、硬便(水分7
0%以下)で示した。
【0045】図4からも明らかなように、「レベニン
(登録商標)」カプセル服用前には硬便を呈した45%
の患者が、服用後には25%に減少し普通便に改善され
た。
【0046】〔実施例2〕 《「ロロン(登録商標)S」錠剤の投与方法》男子5
名、女子5名の透析患者計10名(平均年齢66.1±
15.5歳)に「ロロン(登録商標)S」錠を食後に1
回2錠、1日3回、1カ月間服用させた。1カ月後に患
者の新鮮便を採取し糞便菌叢および腐敗産物の解析を行
った。
【0047】「ロロン(登録商標)S」錠は一般用医薬
品として承認された局外規ビフィズス菌、局外規ラクト
ミンからなる乳酸菌製剤であり、1錠200mgの白色
錠で1回服用量(2錠)中にビフィドバクテリウム・ロ
ンガム6×107 cfu、ビフィドバクテリウム・ビフ
ィダム6×107 cfu、ラクトバチルス・アシドフィ
ルス6×107 cfuの3菌種からなり、総菌数として
1.8×108 cfu/2錠を含む製剤である。
【0048】《透析患者の腸内菌叢の検索法》腸内菌叢
の検索は比較例に示した各種選択培地および非選択培地
を用い同一の方法に従った。
【0049】《検索結果》表3より明らかなように、
「ロロン(登録商標)S」錠服用前の透析患者では、腸
内細菌科(Enterobacteriaceae)お
よびカンジダ属が健常人に比べ有意に菌数が高く、さら
に日和見感染の起因菌として注目されているエンテロコ
ッカス属やスタフィロコッカス属においても菌数が高
く、好気性菌に富んだ菌叢を呈した。一方、嫌気性菌で
は健常人100%検出されたビフィドバクテリウム属が
透析患者では50%程度の検出率に留まり、その菌数も
有意に低いものであった。これらのことは、実施例1に
示した「レベニン(登録商標)」カプセル服用前の成績
とよく一致している。
【0050】しかしながら、「ロロン(登録商標)S」
錠1カ月間の連続服用によって、腸内細菌科(Ente
robacteriaceae)およびカンジダ属は健
常人に比べて有意差が認められない程度まで減少し、ス
タフィロコッカス属の検出率に若干の減少が認められる
など全体的に好気性菌の減少が認められた。
【0051】一方、嫌気性菌については今回ビフィドバ
クテリウム属の菌数には変化がみられなかったが、検出
率の点では50%から70%に増加し、腸内腐敗菌とさ
れているクロストリジウム属の菌数は若干の減少がみら
れた。以上、「ロロン(登録商標)S」錠の服用によっ
て透析患者における腸内菌叢に改善が認められた。
【0052】《糞便中のフェノール類、インドール類の
分析》 (分析方法)透析患者6名の糞便を約0.5gづつ採取
し、フェノール類およびインドール類の抽出方法は実施
例1に従った。
【0053】ガスクロマトグラフィーの測定条件は、以
下の通りである。 分析装置:ヒューレットパッカードHP6890 検出器:水素炎検出(FID) キャリアーガス:ヘリウム(He)1.32ml/分 カラム:J&W SCIENTIFIC社(Calif
ornia,USA) キャピラリーカラム(長さ30m×直径250μm) 5%ジフェニル−95%ジメチルポリシロキサン(架橋
結合型) 温度:50℃→180℃、昇温速度20℃/分
【0054】(分析結果)表4に示したごとく、「ロロ
ン(登録商標)S」錠の服用前後における糞便中のフェ
ノール、パラクレゾール、インドール、スカトールの腐
敗産物を分析した結果、フェノール、パラクレゾールに
ついては個人差が大きいものの若干の減少をみた。イン
ドールについては、今回服用前の透析患者の糞便中のイ
ンドールの生成量は非常に少なく、「ロロン(登録商
標)S」錠の服用後においても変化がみられなかったこ
とから患者自身良好な状態が保たれているものと考えら
れる。一方、スカトールにおいては服用前と比べて激減
していることから、「ロロン(登録商標)S」錠の長期
服用が透析患者の腸内菌叢の改善と糞便中の腐敗産物の
抑制に有用であることが明らかとなった。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】透析患者における「レベニン(登録商標)」カ
プセル2週間連続服用後の糞便中腐敗産物(フェノー
ル、パラクレゾール、インドール、スカトール)の変化
と有用性を示す図面である。
【図2】健常人および透析患者における透析前後の尿毒
症毒素成分の蓄積量を示す図面である。
【図3】透析患者における「レベニン(登録商標)」カ
プセル服用後の血漿中のインドキシル硫酸の変化を示す
図面である。
【図4】透析患者の糞便性状に及ぼす「レベニン(登録
商標)」カプセル服用の効果を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小久保 直美 東京都中央区日本橋室町1−5−3 わか もと製薬株式会社内 (72)発明者 平田 晴久 東京都中央区日本橋室町1−5−3 わか もと製薬株式会社内 (72)発明者 大橋 良民 東京都中央区日本橋室町1−5−3 わか もと製薬株式会社内 (72)発明者 前田 孚 東京都中央区日本橋室町1−5−3 わか もと製薬株式会社内 (72)発明者 古賀 泰裕 神奈川県伊勢原市上粕谷246 東海大学伊 勢原職員住宅307

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳酸菌製剤を有効成分とする慢性腎不全
    改善剤および透析患者のクオリティー オブ ライフ改
    善剤。
  2. 【請求項2】 乳酸菌製剤が局外規ビフィズス菌、局外
    規ラクトミン、局外規耐性乳酸菌から選ばれる請求項1
    記載の慢性腎不全改善剤および透析患者のクオリティー
    オブ ライフ改善剤。
JP7289222A 1995-10-12 1995-10-12 慢性腎不全改善剤および透析患者のクオリティー オブ ライフ改善剤 Pending JPH09110707A (ja)

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