JPH08245835A - シリカ粒子を含む樹脂組成物およびシリカ粒子の表面 処理方法 - Google Patents
シリカ粒子を含む樹脂組成物およびシリカ粒子の表面 処理方法Info
- Publication number
- JPH08245835A JPH08245835A JP7961295A JP7961295A JPH08245835A JP H08245835 A JPH08245835 A JP H08245835A JP 7961295 A JP7961295 A JP 7961295A JP 7961295 A JP7961295 A JP 7961295A JP H08245835 A JPH08245835 A JP H08245835A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- silica particles
- silane coupling
- coupling agent
- solvent
- treated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
- Silicon Compounds (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 シリカ粒子表面をシランカップリング剤によ
り均一かつシリカ粒子/樹脂界面の良好な密着性を得る
ための表面処理方法およびこの表面処理シリカ粒子を含
有する樹脂組成物を提供する。 【構成】 シリカ粒子をシランカップリング剤の加水分
解を受けない溶媒を用いた溶液で湿式処理するシリカ粒
子の表面処理方法で、乾式処理におけるシランカップリ
ング剤の良好な加水分解の達成および湿式処理における
均一処理の実現という両方法の長所を兼ね備え、また比
較的簡単な操作でかつ熱源を余り必要としない利点も同
時に満足する。この表面処理シリカ粒子を含有する樹脂
組成物は良好な曲げ強度を有する。
り均一かつシリカ粒子/樹脂界面の良好な密着性を得る
ための表面処理方法およびこの表面処理シリカ粒子を含
有する樹脂組成物を提供する。 【構成】 シリカ粒子をシランカップリング剤の加水分
解を受けない溶媒を用いた溶液で湿式処理するシリカ粒
子の表面処理方法で、乾式処理におけるシランカップリ
ング剤の良好な加水分解の達成および湿式処理における
均一処理の実現という両方法の長所を兼ね備え、また比
較的簡単な操作でかつ熱源を余り必要としない利点も同
時に満足する。この表面処理シリカ粒子を含有する樹脂
組成物は良好な曲げ強度を有する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリカ粒子を含む樹脂
組成物およびシリカ粒子の表面処理方法に関し、特に、
半導体封止樹脂等の複合材料を構成するシリカ粒子を含
む樹脂組成物およびシリカ粒子表面をシランカップリン
グ剤により均一かつシリカ粒子/樹脂界面の良好な密着
性を得るためのシリカ粒子表面処理方法および良好な曲
げ強度を有する樹脂組成物に関する。
組成物およびシリカ粒子の表面処理方法に関し、特に、
半導体封止樹脂等の複合材料を構成するシリカ粒子を含
む樹脂組成物およびシリカ粒子表面をシランカップリン
グ剤により均一かつシリカ粒子/樹脂界面の良好な密着
性を得るためのシリカ粒子表面処理方法および良好な曲
げ強度を有する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体封止樹脂等の複合材料の強度は、
充填材とマトリックスを構成する高分子材料との界面の
状態および性質が極めて重要である。一般的に無機材料
であるシリカ粒子と有機材料であるエポキシ樹脂のよう
な異質な材料の界面の密着性は弱く、充填材とマトリッ
クスの密着性を強固にするために、充填材の表面を化学
的に処理し、強い結合を形成させることが行われてい
る。このときに使用する表面処理材料がカップリング剤
で、代表的なものが、式(1)の構造式で表されるシラ
ンカップリング剤である。
充填材とマトリックスを構成する高分子材料との界面の
状態および性質が極めて重要である。一般的に無機材料
であるシリカ粒子と有機材料であるエポキシ樹脂のよう
な異質な材料の界面の密着性は弱く、充填材とマトリッ
クスの密着性を強固にするために、充填材の表面を化学
的に処理し、強い結合を形成させることが行われてい
る。このときに使用する表面処理材料がカップリング剤
で、代表的なものが、式(1)の構造式で表されるシラ
ンカップリング剤である。
【化1】 X:加水分解性基・・・メトキシ基、エトキシ基等 Y:有機官能基・・・・エポキシ基、アミノ基等 n=2または3 なお、具体的には、X:OCH3,
【0003】加水分解性基は加水分解を受け活性なシラ
ノール基(≡Si−OH)に変化し、無機材料の表面と
反応し、強固な結合(≡Si−O−M,M:金属)を形
成したりあるいは吸着し無機材料と結びつく。一方、有
機官能基はマトリックスと反応しうる基であり、マトリ
ックスの種類、硬化方法等に応じて最適なものを選択す
る。
ノール基(≡Si−OH)に変化し、無機材料の表面と
反応し、強固な結合(≡Si−O−M,M:金属)を形
成したりあるいは吸着し無機材料と結びつく。一方、有
機官能基はマトリックスと反応しうる基であり、マトリ
ックスの種類、硬化方法等に応じて最適なものを選択す
る。
【0004】このようにシランカップリング剤は分子中
に無機材料と有機材料のいずれとも反応する官能基を有
するため、界面において熱的、化学的に強力な結合剤と
して作用する。したがって、複合材料の強化処理剤とし
て広く使用されている。シリカ粒子等の充填材をシラン
カップリング剤で表面処理する方法には、乾式処理法、
湿式処理法、インテグラルブレンド法の3つの方法が知
られている。
に無機材料と有機材料のいずれとも反応する官能基を有
するため、界面において熱的、化学的に強力な結合剤と
して作用する。したがって、複合材料の強化処理剤とし
て広く使用されている。シリカ粒子等の充填材をシラン
カップリング剤で表面処理する方法には、乾式処理法、
湿式処理法、インテグラルブレンド法の3つの方法が知
られている。
【0005】乾式処理法は、ヘンシェルミキサーのよう
な高速撹拌可能な機械の中に充填材を仕込み、撹拌下シ
ランカップリング剤あるいはシランカップリング剤の部
分加水分解液を滴下し、場合によってはその後熱処理す
る方法である。この方法は大量の充填材を短時間で処理
できる点、処理に熱源を余り必要としない点等の利点が
あり工業的に多用されているが、均一な処理が難しいと
いう欠点を有する。これを改良する方法として、例えば
特開平5−86265号公報には、ガス状のシランカッ
プリング剤で表面処理する方法が記載されている。しか
しながら、この方法ではシランカップリング剤を加熱し
て揮発させる必要があり、一般的にシランカップリング
剤の沸点は高いため、多量の熱源が必要なものである。
な高速撹拌可能な機械の中に充填材を仕込み、撹拌下シ
ランカップリング剤あるいはシランカップリング剤の部
分加水分解液を滴下し、場合によってはその後熱処理す
る方法である。この方法は大量の充填材を短時間で処理
できる点、処理に熱源を余り必要としない点等の利点が
あり工業的に多用されているが、均一な処理が難しいと
いう欠点を有する。これを改良する方法として、例えば
特開平5−86265号公報には、ガス状のシランカッ
プリング剤で表面処理する方法が記載されている。しか
しながら、この方法ではシランカップリング剤を加熱し
て揮発させる必要があり、一般的にシランカップリング
剤の沸点は高いため、多量の熱源が必要なものである。
【0006】湿式処理法は、充填材をシランカップリン
グ剤を加水分解性溶媒(通常水またはアルコールあるい
はこれらの混合溶媒)に溶解した溶解中で処理し、必要
に応じてその後乾燥させる方法である。例えば特開平4
−108853号公報にはシランカップリング剤に水を
添加し、これを加水分解して得られる処理液で処理する
方法が記載されている。しかしながら、この方法は乾燥
時多量の熱源を必要とするため工業的に不利であり、ま
たシリカ粒子表面のシランカップリング剤を分析した結
果シランカップリング剤の加水分解が不十分であり、シ
リカ粒子表面で結合に寄与していない加水分解性基が残
存することが判明した。しかしながら表面に均一に処理
できるためガラス繊維の処理には採用されているものが
ある。
グ剤を加水分解性溶媒(通常水またはアルコールあるい
はこれらの混合溶媒)に溶解した溶解中で処理し、必要
に応じてその後乾燥させる方法である。例えば特開平4
−108853号公報にはシランカップリング剤に水を
添加し、これを加水分解して得られる処理液で処理する
方法が記載されている。しかしながら、この方法は乾燥
時多量の熱源を必要とするため工業的に不利であり、ま
たシリカ粒子表面のシランカップリング剤を分析した結
果シランカップリング剤の加水分解が不十分であり、シ
リカ粒子表面で結合に寄与していない加水分解性基が残
存することが判明した。しかしながら表面に均一に処理
できるためガラス繊維の処理には採用されているものが
ある。
【0007】インテグラルブレンド法はマトリックスと
充填材とシランカップリング剤を一度に混合することに
よりマトリックス中で充填材の表面をシランカップリン
グ剤で処理する方法である。一段階でコンパウンディン
グできるため工業的にしばしば利用されているが、乾式
処理同様均一な処理が困難である。
充填材とシランカップリング剤を一度に混合することに
よりマトリックス中で充填材の表面をシランカップリン
グ剤で処理する方法である。一段階でコンパウンディン
グできるため工業的にしばしば利用されているが、乾式
処理同様均一な処理が困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の問題点
を鑑み、シリカ粒子表面をシランカップリング剤により
均一にかつシリカ粒子/樹脂界面の良好な密着性を得る
ための表面処理方法および良好な曲げ強度を有する樹脂
組成物の提供を目的としている。
を鑑み、シリカ粒子表面をシランカップリング剤により
均一にかつシリカ粒子/樹脂界面の良好な密着性を得る
ための表面処理方法および良好な曲げ強度を有する樹脂
組成物の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで上記目的を達成す
るため鋭意研究を重ねた結果、次の如き発明に到ったも
のである。本発明は、シリカ粒子表面のシランカップリ
ング剤が加水分解率90%以上で、シランカップリング
剤が加水分解しない溶媒を用いて湿式処理されたシリカ
粒子を含むことを特徴とする樹脂組成物である。
るため鋭意研究を重ねた結果、次の如き発明に到ったも
のである。本発明は、シリカ粒子表面のシランカップリ
ング剤が加水分解率90%以上で、シランカップリング
剤が加水分解しない溶媒を用いて湿式処理されたシリカ
粒子を含むことを特徴とする樹脂組成物である。
【0010】また、本発明は、シリカ粒子のシランカッ
プリング剤による表面処理において、シランカップリン
グ剤の加水分解性基が加水分解を受けない溶媒に溶解し
たシランカップリング剤希釈液中でシリカ粒子と接触さ
せた後溶媒を除去、乾燥し、必要に応じて熱処理し、シ
リカ粒子表面のシランカップリング剤が加水分解率90
%以上であることを特徴とするシリカ粒子の表面処理方
法である。
プリング剤による表面処理において、シランカップリン
グ剤の加水分解性基が加水分解を受けない溶媒に溶解し
たシランカップリング剤希釈液中でシリカ粒子と接触さ
せた後溶媒を除去、乾燥し、必要に応じて熱処理し、シ
リカ粒子表面のシランカップリング剤が加水分解率90
%以上であることを特徴とするシリカ粒子の表面処理方
法である。
【0011】また、本発明は、シリカ粒子のシランカッ
プリング剤による表面処理されたシリカ粒子の製造方法
において、予めシリカ粒子を表面処理前に相対湿度20
〜80%の雰囲気で調湿することを特徴とするシリカ粒
子の表面処理方法である。本発明において、シリカ粒子
表面のシランカップリング剤が加水分解率90%以上
で、実質的にシリカ粒子表面で結合に寄与していない加
水分解性基が残存しないもので、シランカップリング剤
が加水分解しない溶媒を用いて湿式処理されたシリカ粒
子であるが、好ましくは加水分解率95%以上であり、
より好ましくは加水分解率100%である。
プリング剤による表面処理されたシリカ粒子の製造方法
において、予めシリカ粒子を表面処理前に相対湿度20
〜80%の雰囲気で調湿することを特徴とするシリカ粒
子の表面処理方法である。本発明において、シリカ粒子
表面のシランカップリング剤が加水分解率90%以上
で、実質的にシリカ粒子表面で結合に寄与していない加
水分解性基が残存しないもので、シランカップリング剤
が加水分解しない溶媒を用いて湿式処理されたシリカ粒
子であるが、好ましくは加水分解率95%以上であり、
より好ましくは加水分解率100%である。
【0012】詳しくは、本発明はシリカ粒子のシランカ
ップリング剤による表面処理において、シランカップリ
ング剤の加水分解性基が加水分解を受けない溶媒による
シランカップリング剤希釈液中でシリカ粒子と接触させ
た後溶媒を除去、乾燥し、さらに必要に応じて熱処理す
ることを特徴とする表面処理方法および表面処理シリカ
粒子を含有する樹脂組成物を提供するものである。この
方法は、シリカ粒子表面のシランカップリング剤が加水
分解率90%以上好ましくは95%以上、より好ましく
は100%で、シリカ粒子表面で結合に寄与していない
加水分解性基がほとんど残存しない表面処理されたシリ
カ粒子が、表面に均一に処理できるもので、比較的簡単
な操作でかつ熱源を余り必要としない利点も有する処理
方法である。
ップリング剤による表面処理において、シランカップリ
ング剤の加水分解性基が加水分解を受けない溶媒による
シランカップリング剤希釈液中でシリカ粒子と接触させ
た後溶媒を除去、乾燥し、さらに必要に応じて熱処理す
ることを特徴とする表面処理方法および表面処理シリカ
粒子を含有する樹脂組成物を提供するものである。この
方法は、シリカ粒子表面のシランカップリング剤が加水
分解率90%以上好ましくは95%以上、より好ましく
は100%で、シリカ粒子表面で結合に寄与していない
加水分解性基がほとんど残存しない表面処理されたシリ
カ粒子が、表面に均一に処理できるもので、比較的簡単
な操作でかつ熱源を余り必要としない利点も有する処理
方法である。
【0013】次に、本発明について、更に詳しく説明す
る。本発明に用いられるシリカ粒子は特に限定されな
い。溶融シリカ、結晶性シリカ、球状シリカ、破砕状シ
リカ等いずれのものでも良いが、特に溶融シリカが好ま
しい。また粒径も特に限定はされない。しかしながら、
用途によっては必要な条件を満足するものを使用するこ
とが好ましい。たとえば半導体封止樹脂用のシリカ粒子
には粒径が極端に大きいものは使用できない。一般的に
は平均粒径15μm、比表面積2.5m2/g程度のも
のが多用される。またシリカ粒子中の不純物はα線対策
からウラン、トリウム等の放射性元素、重金属元素含有
量の少ないもの、またアルミニウム配線腐食対策からア
ルカリ金属、ハロゲン元素含有量の少ないものが好まし
い。
る。本発明に用いられるシリカ粒子は特に限定されな
い。溶融シリカ、結晶性シリカ、球状シリカ、破砕状シ
リカ等いずれのものでも良いが、特に溶融シリカが好ま
しい。また粒径も特に限定はされない。しかしながら、
用途によっては必要な条件を満足するものを使用するこ
とが好ましい。たとえば半導体封止樹脂用のシリカ粒子
には粒径が極端に大きいものは使用できない。一般的に
は平均粒径15μm、比表面積2.5m2/g程度のも
のが多用される。またシリカ粒子中の不純物はα線対策
からウラン、トリウム等の放射性元素、重金属元素含有
量の少ないもの、またアルミニウム配線腐食対策からア
ルカリ金属、ハロゲン元素含有量の少ないものが好まし
い。
【0014】本発明に用いられるシランカップリング剤
は、マトリックスの種類により適当なものが選択され
る。半導体封止樹脂においては、マトリックスとしてエ
ポキシ樹脂が通常用いられるため、エポキシ基と反応す
る官能基(アミノ基、エポキシ基等)を有するものが用
いられる。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン等が挙げられる。シランカップリング剤は、シリカ粒
子表面の吸着水や大気中の水分により加水分解された
後、シリカ粒子とシランカップリング剤が結合する。
は、マトリックスの種類により適当なものが選択され
る。半導体封止樹脂においては、マトリックスとしてエ
ポキシ樹脂が通常用いられるため、エポキシ基と反応す
る官能基(アミノ基、エポキシ基等)を有するものが用
いられる。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン等が挙げられる。シランカップリング剤は、シリカ粒
子表面の吸着水や大気中の水分により加水分解された
後、シリカ粒子とシランカップリング剤が結合する。
【0015】したがって、水分は不可欠であるが、水、
アルコール等の加水分解性溶媒を用いた湿式処理を行う
と、逆に水分が過剰になるためかシリカ粒子表面のシラ
ンカップリング剤はむしろ加水分解が不十分になること
が明らかになった。水、アルコール等の加水分解性溶媒
を用いて湿式処理した結合モデル例を、式(2)の構造
式に示すもので、シランカップリング剤は、シリカ粒子
表面で加水分解された後、シリカ粒子とシランカップリ
ング剤が結合されるものであるが、加水分解せずH3C
Oが残っているため、後の加熱処理で(Si−O−S
i)結合しないものである。
アルコール等の加水分解性溶媒を用いた湿式処理を行う
と、逆に水分が過剰になるためかシリカ粒子表面のシラ
ンカップリング剤はむしろ加水分解が不十分になること
が明らかになった。水、アルコール等の加水分解性溶媒
を用いて湿式処理した結合モデル例を、式(2)の構造
式に示すもので、シランカップリング剤は、シリカ粒子
表面で加水分解された後、シリカ粒子とシランカップリ
ング剤が結合されるものであるが、加水分解せずH3C
Oが残っているため、後の加熱処理で(Si−O−S
i)結合しないものである。
【化2】
【0016】一方、乾式処理においては、均一処理とい
う点では不十分であるが、シリカ粒子表面のシランカッ
プリング剤は加水分解に多少の時間を要するものの、十
分であることが明らかになった。これは、通常充填材と
して使用されるシリカ粒子表面に、適当な湿度を有する
大気中でシランカップリング剤の加水分解に十分な水分
が存在することを示唆している。
う点では不十分であるが、シリカ粒子表面のシランカッ
プリング剤は加水分解に多少の時間を要するものの、十
分であることが明らかになった。これは、通常充填材と
して使用されるシリカ粒子表面に、適当な湿度を有する
大気中でシランカップリング剤の加水分解に十分な水分
が存在することを示唆している。
【0017】ここで、シランカップリング剤の加水分解
は、未処理のシリカ粒子と表面処理されたシリカ粒子の
FTIR差スペクトルより算出される。一例として、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いた場
合について述べると、該化合物は2840−1にメトキ
シ基、2875−1にプロピル基に基づく吸収を有す
る。この化合物は加水分解を受けると、2840cm
−1の吸収が減少するが、プロピル基に基づく吸収は変
化しない。したがって、プロピル基に対するメトキシ基
の吸収強度を相対的に求めることにより、加水分解率が
算出される。即ち、プロピル基の吸収に対する相対値
(d2840cm−1/d2875−1=X)をパラメ
ータとし、加水分解を全く受けていないモノマー自体の
XをXOとする。加水分解を受けると、そのときのXは
XOより小さくなり、完全に加水分解された場合、Xは
Oになる。したがって、加水分解率は次式により算出さ
れる。
は、未処理のシリカ粒子と表面処理されたシリカ粒子の
FTIR差スペクトルより算出される。一例として、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いた場
合について述べると、該化合物は2840−1にメトキ
シ基、2875−1にプロピル基に基づく吸収を有す
る。この化合物は加水分解を受けると、2840cm
−1の吸収が減少するが、プロピル基に基づく吸収は変
化しない。したがって、プロピル基に対するメトキシ基
の吸収強度を相対的に求めることにより、加水分解率が
算出される。即ち、プロピル基の吸収に対する相対値
(d2840cm−1/d2875−1=X)をパラメ
ータとし、加水分解を全く受けていないモノマー自体の
XをXOとする。加水分解を受けると、そのときのXは
XOより小さくなり、完全に加水分解された場合、Xは
Oになる。したがって、加水分解率は次式により算出さ
れる。
【数1】
【0018】そこで、シランカップリング剤が加水分解
しない溶媒を用いて湿式処理した後、溶媒を除去するこ
とで乾式処理におけるシランカップリング剤の良好な加
水分解の進行と湿式処理における均一処理の実現を同時
に満足することができることを見出した。シランカップ
リング剤が加水分解しない溶媒を用いて湿式処理した結
合モデル例を、式(3)の構造式に示すもので、シラン
カップリング剤は、シリカ粒子表面で加水分解された
後、シリカ粒子とシランカップリング剤が結合されるも
のである。すなわち、式(2)のように加水分解せずに
H3COが残ることがなく、後の加熱処理で(Si−O
−Si)結合するものである。
しない溶媒を用いて湿式処理した後、溶媒を除去するこ
とで乾式処理におけるシランカップリング剤の良好な加
水分解の進行と湿式処理における均一処理の実現を同時
に満足することができることを見出した。シランカップ
リング剤が加水分解しない溶媒を用いて湿式処理した結
合モデル例を、式(3)の構造式に示すもので、シラン
カップリング剤は、シリカ粒子表面で加水分解された
後、シリカ粒子とシランカップリング剤が結合されるも
のである。すなわち、式(2)のように加水分解せずに
H3COが残ることがなく、後の加熱処理で(Si−O
−Si)結合するものである。
【化3】
【0019】本発明に用いられるシランカップリング剤
の加水分解性基が加水分解を受けない溶媒としては、脂
肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素のよう
な単なる希釈剤となる溶媒が用いられる。具体的にはヘ
キサン、シクロヘキサン、ベンゼン等が挙げられる。こ
れらの溶媒は処理後除去されるため、除去し易さから揮
発性が高い低沸点溶媒が好ましいが、比較的高沸点溶媒
を用いた後低沸点溶媒で置換洗浄することもできる。こ
れらの溶媒は水等の加水分解性溶媒含有量の少ないもの
が好ましく、多いものはモレキュラーシーブ等で予め少
なくしておくことが好ましい。
の加水分解性基が加水分解を受けない溶媒としては、脂
肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素のよう
な単なる希釈剤となる溶媒が用いられる。具体的にはヘ
キサン、シクロヘキサン、ベンゼン等が挙げられる。こ
れらの溶媒は処理後除去されるため、除去し易さから揮
発性が高い低沸点溶媒が好ましいが、比較的高沸点溶媒
を用いた後低沸点溶媒で置換洗浄することもできる。こ
れらの溶媒は水等の加水分解性溶媒含有量の少ないもの
が好ましく、多いものはモレキュラーシーブ等で予め少
なくしておくことが好ましい。
【0020】シリカ粒子表面でシランカップリング剤を
良好に加水分解させるため、予め処理前にシリカ粒子を
相対湿度が20〜80%の雰囲気が調湿する。20%未
満では十分な加水分解を進行するには水分が不足であ
り、80%より高いと逆に加水分解を抑制することがあ
る。梅雨時の高湿度、冬時の低湿度の時期以外であれ
ば、特に調湿しなくとも上述の相対湿度を通常満足する
ため、特別の配慮は不要である。
良好に加水分解させるため、予め処理前にシリカ粒子を
相対湿度が20〜80%の雰囲気が調湿する。20%未
満では十分な加水分解を進行するには水分が不足であ
り、80%より高いと逆に加水分解を抑制することがあ
る。梅雨時の高湿度、冬時の低湿度の時期以外であれ
ば、特に調湿しなくとも上述の相対湿度を通常満足する
ため、特別の配慮は不要である。
【0021】シランカップリング剤溶液は、通常の湿式
処理同様0.5〜2%程度の濃度のシランカップリング
剤希釈液が用いられる。この溶液中で処理する時間は1
〜2時間程度が好ましい。処理時間が短すぎるとシラン
カップリング剤のシリカ粒子表面への吸着が不十分にな
る。逆に長すぎる反応生成物のアルコール等が悪影響を
及ぼすためか、シリカ粒子表面のシランカップリング剤
には未反応のアルコキシ基が残存する。処理は攪拌混合
下で実施することが好ましい。
処理同様0.5〜2%程度の濃度のシランカップリング
剤希釈液が用いられる。この溶液中で処理する時間は1
〜2時間程度が好ましい。処理時間が短すぎるとシラン
カップリング剤のシリカ粒子表面への吸着が不十分にな
る。逆に長すぎる反応生成物のアルコール等が悪影響を
及ぼすためか、シリカ粒子表面のシランカップリング剤
には未反応のアルコキシ基が残存する。処理は攪拌混合
下で実施することが好ましい。
【0022】上記処理後の溶媒除去方法は、特に限定さ
れない。処理液を遠心分離あるいはろ過によりシリカ粒
子を分離してもよいし、処理液を減圧し溶媒のみを除去
してもよい。シリカ粒子は分離した後付着している溶媒
を乾燥する。乾燥方法も特に限定されないが、溶媒の臭
いがなくなるまで行うことが好ましい。揮発性の溶媒で
あれば、常温で数時間放置する程度でもよいが、溶媒の
沸点程度で30分程度あるいは減圧乾燥することが好ま
しい。乾燥後110℃で30分程度熱処理を行うとさら
に効果が上がる。後工程で処理したシリカ粒子を樹脂と
ブレンドする際加熱されるが、予備的に前記熱処理を行
うとシランカップリング剤同士の縮合のためかシリカ粒
子とシランカップリング剤界面の密着性がさらに強固に
なる。
れない。処理液を遠心分離あるいはろ過によりシリカ粒
子を分離してもよいし、処理液を減圧し溶媒のみを除去
してもよい。シリカ粒子は分離した後付着している溶媒
を乾燥する。乾燥方法も特に限定されないが、溶媒の臭
いがなくなるまで行うことが好ましい。揮発性の溶媒で
あれば、常温で数時間放置する程度でもよいが、溶媒の
沸点程度で30分程度あるいは減圧乾燥することが好ま
しい。乾燥後110℃で30分程度熱処理を行うとさら
に効果が上がる。後工程で処理したシリカ粒子を樹脂と
ブレンドする際加熱されるが、予備的に前記熱処理を行
うとシランカップリング剤同士の縮合のためかシリカ粒
子とシランカップリング剤界面の密着性がさらに強固に
なる。
【0023】表面処理されたシリカ粒子は、シリカ粒子
表面のシランカップリング剤が良好な加水分解を達成し
ており、加水分解率90%以上のものであり、シリカ粒
子表面で結合に寄与していない加水分解性基が残存しな
いものである。このように表面処理されたシリカ粒子を
含有させる樹脂は、特に限定されないが、シランカップ
リング剤の有する有機官能基と化学結合を形成しうる官
能基を有する樹脂であることが好ましい。
表面のシランカップリング剤が良好な加水分解を達成し
ており、加水分解率90%以上のものであり、シリカ粒
子表面で結合に寄与していない加水分解性基が残存しな
いものである。このように表面処理されたシリカ粒子を
含有させる樹脂は、特に限定されないが、シランカップ
リング剤の有する有機官能基と化学結合を形成しうる官
能基を有する樹脂であることが好ましい。
【0024】
【作用】本発明においては、シリカ粒子表面のシランカ
ップリング剤が良好な加水分解を達成しており、加水分
解率90%以上のものであり、実質的にシリカ粒子表面
で結合に寄与していない加水分解性基が残存しないもの
であるから、シランカップリング剤の有する有機官能基
と化学結合を形成し、この表面処理シリカ粒子を含有す
る樹脂組成物は良好な曲げ強度を有するものである。ま
た、シリカ粒子をシランカップリング剤の加水分解を受
けない溶媒を用いた溶液で湿式処理することにより、シ
リカ粒子表面のシランカップリング剤が良好な加水分解
を達成し、実質的に加水分解率90%以上、必要により
95%以上、あるいは100%の表面処理されたシリカ
粒子が得られるものである。
ップリング剤が良好な加水分解を達成しており、加水分
解率90%以上のものであり、実質的にシリカ粒子表面
で結合に寄与していない加水分解性基が残存しないもの
であるから、シランカップリング剤の有する有機官能基
と化学結合を形成し、この表面処理シリカ粒子を含有す
る樹脂組成物は良好な曲げ強度を有するものである。ま
た、シリカ粒子をシランカップリング剤の加水分解を受
けない溶媒を用いた溶液で湿式処理することにより、シ
リカ粒子表面のシランカップリング剤が良好な加水分解
を達成し、実質的に加水分解率90%以上、必要により
95%以上、あるいは100%の表面処理されたシリカ
粒子が得られるものである。
【0025】
【実施例】本発明を実施例によって具体的に説明する。
表1には、以下に示す実施例1〜4、及び比較例1〜7
の各種処理シリカ粒子の加水分解率、各種処理シリカ粒
子を用いたエポキシ樹脂の曲げ強度を示す。なお、本発
明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
表1には、以下に示す実施例1〜4、及び比較例1〜7
の各種処理シリカ粒子の加水分解率、各種処理シリカ粒
子を用いたエポキシ樹脂の曲げ強度を示す。なお、本発
明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0026】[実施例1]γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン10gをヘキサン11に溶解、均一混
合した。この溶液撹拌中に相対湿度50%の雰囲気で4
8時間調湿された平均粒径15μmの破砕状溶融シリカ
150gを徐々に添加し、添加終了後1時間混合を継続
した。その後ヘキサンを減圧除去し、シリカ粒子を2時
間常温で真空乾燥した。この処理シリカ粒子100gを
オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂25g、フ
ェノールノボラック型硬化剤13g、2−エチルイミダ
ゾール硬化助剤0.6g、カルナバワックス0.75g
と均一混合し、金型に充填し175℃、2分間にて曲げ
試験サンプルを成形した後150℃で3時間窒素雰囲気
下でポストキュアした。このサンプルの常温の曲げ強度
は16kgf/mm2と良好であった。
リメトキシシラン10gをヘキサン11に溶解、均一混
合した。この溶液撹拌中に相対湿度50%の雰囲気で4
8時間調湿された平均粒径15μmの破砕状溶融シリカ
150gを徐々に添加し、添加終了後1時間混合を継続
した。その後ヘキサンを減圧除去し、シリカ粒子を2時
間常温で真空乾燥した。この処理シリカ粒子100gを
オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂25g、フ
ェノールノボラック型硬化剤13g、2−エチルイミダ
ゾール硬化助剤0.6g、カルナバワックス0.75g
と均一混合し、金型に充填し175℃、2分間にて曲げ
試験サンプルを成形した後150℃で3時間窒素雰囲気
下でポストキュアした。このサンプルの常温の曲げ強度
は16kgf/mm2と良好であった。
【0027】[実施例2]実施例1において、シリカ粒
子をシランカップリング剤処理、溶媒除去後、2時間真
空乾燥する代わりに、30分間110℃で熱処理する以
外は全く同様の操作で、曲げ強度サンプルを作製した。
このサンプルの常温の曲げ強度は17.5kgf/mm
2と良好であった。
子をシランカップリング剤処理、溶媒除去後、2時間真
空乾燥する代わりに、30分間110℃で熱処理する以
外は全く同様の操作で、曲げ強度サンプルを作製した。
このサンプルの常温の曲げ強度は17.5kgf/mm
2と良好であった。
【0028】[比較例1]実施例1において、ヘキサン
の代わりに純水を使用した以外は全く同じ操作、原材料
により曲げ試験サンプルを作製した。常温の曲げ強度は
14kgf/mm2と実施例1より劣った。
の代わりに純水を使用した以外は全く同じ操作、原材料
により曲げ試験サンプルを作製した。常温の曲げ強度は
14kgf/mm2と実施例1より劣った。
【0029】[比較例2]実施例2において、ヘキサン
の代わりにメタノールを使用し、処理時間を1日にした
以外は全く同じ操作、原材料により曲げ試験サンプルを
作製した。常温での曲げ強度は13.5kgf/mm2
と比較例1と同等レベルに留まった。
の代わりにメタノールを使用し、処理時間を1日にした
以外は全く同じ操作、原材料により曲げ試験サンプルを
作製した。常温での曲げ強度は13.5kgf/mm2
と比較例1と同等レベルに留まった。
【0030】[比較例3]実施例1において、相対湿度
10%以下の雰囲気で48時間調湿したシリカ粒子を使
用した以外は全く同じ操作、原材料により曲げ試験サン
プルを作製した。常温での曲げ強度は14.5kgf/
mm2と比較例1と同等レベルに留まった。
10%以下の雰囲気で48時間調湿したシリカ粒子を使
用した以外は全く同じ操作、原材料により曲げ試験サン
プルを作製した。常温での曲げ強度は14.5kgf/
mm2と比較例1と同等レベルに留まった。
【0031】[比較例4]γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン10gをヘンシェルミキサーにて撹拌
中の平均粒径15μmの破砕状溶融シリカ1kg中にゆ
っくり添加し、乾式処理シリカ粒子を調製した。この処
理シリカ粒子100gをオルトクレゾールノボラック型
エポキシ樹脂25g、フェノールノボラック型硬化剤1
3g、2−エチルイミダゾール硬化助剤0.6g、カル
ナバワックス0.75gと均一混合し、金型に充填し1
75℃、2分間にて曲げ試験サンプルを成形した後、1
50℃で3時間窒素雰囲気下でポストキュアした。常温
での曲げ強度は13kgf/mm2と実施例1より劣っ
た。
リメトキシシラン10gをヘンシェルミキサーにて撹拌
中の平均粒径15μmの破砕状溶融シリカ1kg中にゆ
っくり添加し、乾式処理シリカ粒子を調製した。この処
理シリカ粒子100gをオルトクレゾールノボラック型
エポキシ樹脂25g、フェノールノボラック型硬化剤1
3g、2−エチルイミダゾール硬化助剤0.6g、カル
ナバワックス0.75gと均一混合し、金型に充填し1
75℃、2分間にて曲げ試験サンプルを成形した後、1
50℃で3時間窒素雰囲気下でポストキュアした。常温
での曲げ強度は13kgf/mm2と実施例1より劣っ
た。
【0032】[実施例3]γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン10gをシクロヘキサン11に溶解、均一混
合した。この溶液撹拌中に相対湿度50%の雰囲気で4
8時間調湿された平均粒径15μmの破砕状溶融シリカ
150gを徐々に添加し、添加終了後1時間混合を継続
した。その後シリカ粒子をろ過後2時間常温で真空乾燥
した。この処理シリカ粒子105gビスフェノールA型
エポキシ(グリシジルエーテル型)樹脂45g、イミダ
ゾール型硬化剤2g、カルナバワックス0.75gと均
一混合し、脱泡後金型に充填し150℃で2時間窒素雰
囲気下で硬化させ曲げ試験サンプルを成形した。常温で
の曲げ強度は15kgf/mm2と良好であった。っ
た。
キシシラン10gをシクロヘキサン11に溶解、均一混
合した。この溶液撹拌中に相対湿度50%の雰囲気で4
8時間調湿された平均粒径15μmの破砕状溶融シリカ
150gを徐々に添加し、添加終了後1時間混合を継続
した。その後シリカ粒子をろ過後2時間常温で真空乾燥
した。この処理シリカ粒子105gビスフェノールA型
エポキシ(グリシジルエーテル型)樹脂45g、イミダ
ゾール型硬化剤2g、カルナバワックス0.75gと均
一混合し、脱泡後金型に充填し150℃で2時間窒素雰
囲気下で硬化させ曲げ試験サンプルを成形した。常温で
の曲げ強度は15kgf/mm2と良好であった。っ
た。
【0033】[実施例4]実施例3において、シリカ粒
子をシランカップリング剤処理、ろ過後2時間真空乾燥
する代わりに、30分間110℃で熱処理する以外は全
く同様の操作で曲げ強度サンプルを作製した。このサン
プルの常温の曲げ強度は16.5kgf/mm2と良好
であった。
子をシランカップリング剤処理、ろ過後2時間真空乾燥
する代わりに、30分間110℃で熱処理する以外は全
く同様の操作で曲げ強度サンプルを作製した。このサン
プルの常温の曲げ強度は16.5kgf/mm2と良好
であった。
【0034】[比較例5]実施例3において、シクロヘ
キサンの代わりに純水/メタノール=1/1混合溶媒を
使用した以外は全く同じ操作、原材料により曲げ試験サ
ンプルを作製した。常温での曲げ強度は13.5kgf
/mm2と実施例3より劣った。
キサンの代わりに純水/メタノール=1/1混合溶媒を
使用した以外は全く同じ操作、原材料により曲げ試験サ
ンプルを作製した。常温での曲げ強度は13.5kgf
/mm2と実施例3より劣った。
【0035】[比較例6]実施例3において、相対湿度
95%以上の雰囲気で48時間調湿したシリカ粒子を使
用した以外は全く同じ操作、原材料により曲げ試験サン
プルを作製した。常温での曲げ強度は14kgf/mm
2と比較例5と同等レベルに留まった。
95%以上の雰囲気で48時間調湿したシリカ粒子を使
用した以外は全く同じ操作、原材料により曲げ試験サン
プルを作製した。常温での曲げ強度は14kgf/mm
2と比較例5と同等レベルに留まった。
【0036】[比較例7]γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン10gをヘンシェルミキサーにて撹拌中の平
均粒径15μmの破砕状溶融シリカ1kg中にゆっくり
添加し、乾式処理シリカ粒子を調製した。この処理シリ
カ粒子105gをビスフェノールA型エポキシ(グリシ
ジルエーテル型)樹脂45g、イミダゾール型硬化剤2
gと均一混合、脱泡後金型に充填し150℃で2時間窒
素雰囲気下で硬化させ曲げ試験サンプルを成形した。常
温での曲げ強度は13kgf/mm2と実施例3より若
干劣った。
キシシラン10gをヘンシェルミキサーにて撹拌中の平
均粒径15μmの破砕状溶融シリカ1kg中にゆっくり
添加し、乾式処理シリカ粒子を調製した。この処理シリ
カ粒子105gをビスフェノールA型エポキシ(グリシ
ジルエーテル型)樹脂45g、イミダゾール型硬化剤2
gと均一混合、脱泡後金型に充填し150℃で2時間窒
素雰囲気下で硬化させ曲げ試験サンプルを成形した。常
温での曲げ強度は13kgf/mm2と実施例3より若
干劣った。
【表1】
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
シリカ粒子表面のシランカップリング剤が良好な加水分
解を達成しており、加水分解率90%以上のものであ
り、実質的にシリカ粒子表面で結合に寄与していない加
水分解性基が残存しない湿式表面処理シリカ粒子を含有
するもので、その樹脂組成物は良好な曲げ強度を有し、
シリカ粒子表面をシランカップリング剤により均一かつ
シリカ粒子/樹脂界面の良好な密着性をを有するという
効果を奏するものである。また、シリカ粒子をシランカ
ップリング剤の加水分解を受けない溶媒を用いた溶液で
湿式処理することにより、シリカ粒子表面のシランカッ
プリング剤が良好な加水分解を達成し、実質的に加水分
解率90%以上、必要により95%以上、あるいは10
0%の表面処理されたシリカ粒子が得られるという効果
を奏するものである。
シリカ粒子表面のシランカップリング剤が良好な加水分
解を達成しており、加水分解率90%以上のものであ
り、実質的にシリカ粒子表面で結合に寄与していない加
水分解性基が残存しない湿式表面処理シリカ粒子を含有
するもので、その樹脂組成物は良好な曲げ強度を有し、
シリカ粒子表面をシランカップリング剤により均一かつ
シリカ粒子/樹脂界面の良好な密着性をを有するという
効果を奏するものである。また、シリカ粒子をシランカ
ップリング剤の加水分解を受けない溶媒を用いた溶液で
湿式処理することにより、シリカ粒子表面のシランカッ
プリング剤が良好な加水分解を達成し、実質的に加水分
解率90%以上、必要により95%以上、あるいは10
0%の表面処理されたシリカ粒子が得られるという効果
を奏するものである。
【0038】さらに、シリカ粒子をシランカップリング
剤の加水分解を受けない溶媒を用いた溶液で湿式処理す
ることにより、乾式処理におけるシランカップリング剤
の良好な加水分解の達成および湿式処理における均一処
理の実現という両方法の長所を兼ね備え、また比較的簡
単な操作でかつ熱源を余り必要としない利点も同時に満
足することができる。従来処理品に比べて、この処理シ
リカ粒子を充填材として使用した複合材料の曲げ強度は
向上するという効果を奏するものである。
剤の加水分解を受けない溶媒を用いた溶液で湿式処理す
ることにより、乾式処理におけるシランカップリング剤
の良好な加水分解の達成および湿式処理における均一処
理の実現という両方法の長所を兼ね備え、また比較的簡
単な操作でかつ熱源を余り必要としない利点も同時に満
足することができる。従来処理品に比べて、この処理シ
リカ粒子を充填材として使用した複合材料の曲げ強度は
向上するという効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09C 3/12 PCH C09C 3/12 PCH
Claims (4)
- 【請求項1】 シリカ粒子表面のシランカップリング剤
が加水分解率90%以上で、シランカップリング剤が加
水分解しない溶媒を用いて湿式処理されたシリカ粒子を
含むことを特徴とする樹脂組成物。 - 【請求項2】 請求項1記載の樹脂組成物がエポキシ樹
脂であることを特徴とする樹脂組成物。 - 【請求項3】 シリカ粒子のシランカップリング剤によ
る表面処理において、シランカップリング剤の加水分解
性基が加水分解を受けない溶媒に溶解したシランカップ
リング剤希釈液中でシリカ粒子と接触させた後溶媒を除
去、乾燥し、必要に応じて熱処理し、シリカ粒子表面の
シランカップリング剤が加水分解率90%以上であるこ
とを特徴とするシリカ粒子の表面処理方法。 - 【請求項4】 請求項3記載のシリカ粒子のシランカッ
プリング剤による表面処理されたシリカ粒子の製造方法
において、予めシリカ粒子を表面処理前に相対湿度20
〜80%の雰囲気で調湿することを特徴とするシリカ粒
子の表面処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7961295A JPH08245835A (ja) | 1995-03-10 | 1995-03-10 | シリカ粒子を含む樹脂組成物およびシリカ粒子の表面 処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7961295A JPH08245835A (ja) | 1995-03-10 | 1995-03-10 | シリカ粒子を含む樹脂組成物およびシリカ粒子の表面 処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08245835A true JPH08245835A (ja) | 1996-09-24 |
Family
ID=13694873
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7961295A Pending JPH08245835A (ja) | 1995-03-10 | 1995-03-10 | シリカ粒子を含む樹脂組成物およびシリカ粒子の表面 処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08245835A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10204319A (ja) * | 1997-01-24 | 1998-08-04 | Mitsubishi Materials Corp | 表面にエポキシ基を有する無機微粉末およびその製造方法並びにそれからなる添加剤 |
JP2001189407A (ja) * | 1999-12-28 | 2001-07-10 | Nitto Denko Corp | 表面処理済み無機質充填剤の製法および半導体封止用エポキシ樹脂組成物ならびに半導体装置 |
KR100341617B1 (ko) * | 2000-08-08 | 2002-06-22 | 홍종윤 | 폴리에스테르 코팅포 제조방법 |
JP2002256169A (ja) * | 2001-02-28 | 2002-09-11 | Mitsubishi Materials Corp | シリカ粉末及びその製造方法 |
EP1352930A2 (en) | 2002-02-07 | 2003-10-15 | Toda Kogyo Corporation | Black composite particles for semiconductor sealing material, and semiconductor sealing material using the same |
EP1711258A1 (en) * | 2004-02-12 | 2006-10-18 | Varian, Inc. | Polar-modified bonded phase materials for chromatographic separations |
JP4697569B2 (ja) * | 1999-09-22 | 2011-06-08 | 日本アエロジル株式会社 | 表面改質シリカ微粉末とその用途 |
JP2013221031A (ja) * | 2012-04-12 | 2013-10-28 | Ishihara Sangyo Kaisha Ltd | 有機化合物被覆粉体の製造方法 |
US10407571B2 (en) | 2006-09-15 | 2019-09-10 | Cabot Corporation | Hydrophobic-treated metal oxide |
CN113604073A (zh) * | 2021-06-29 | 2021-11-05 | 中国科学院深圳先进技术研究院 | 一种改性二氧化硅填料及其制备方法 |
WO2021246191A1 (ja) * | 2020-06-03 | 2021-12-09 | 東ソー・シリカ株式会社 | 塗料艶消し用表面処理含水ケイ酸及びその製造方法 |
TWI757349B (zh) * | 2016-11-07 | 2022-03-11 | 日商日揮觸媒化成股份有限公司 | 研磨用氧化矽系粒子及研磨材 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0321647A (ja) * | 1989-06-19 | 1991-01-30 | Hitachi Ltd | 樹脂組成物および該組成物を用いた樹脂封止型電子装置 |
JPH0848910A (ja) * | 1994-08-03 | 1996-02-20 | Asahi Glass Co Ltd | 表面処理金属酸化物およびその製造方法 |
-
1995
- 1995-03-10 JP JP7961295A patent/JPH08245835A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0321647A (ja) * | 1989-06-19 | 1991-01-30 | Hitachi Ltd | 樹脂組成物および該組成物を用いた樹脂封止型電子装置 |
JPH0848910A (ja) * | 1994-08-03 | 1996-02-20 | Asahi Glass Co Ltd | 表面処理金属酸化物およびその製造方法 |
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10204319A (ja) * | 1997-01-24 | 1998-08-04 | Mitsubishi Materials Corp | 表面にエポキシ基を有する無機微粉末およびその製造方法並びにそれからなる添加剤 |
JP4697569B2 (ja) * | 1999-09-22 | 2011-06-08 | 日本アエロジル株式会社 | 表面改質シリカ微粉末とその用途 |
JP2001189407A (ja) * | 1999-12-28 | 2001-07-10 | Nitto Denko Corp | 表面処理済み無機質充填剤の製法および半導体封止用エポキシ樹脂組成物ならびに半導体装置 |
KR100341617B1 (ko) * | 2000-08-08 | 2002-06-22 | 홍종윤 | 폴리에스테르 코팅포 제조방법 |
JP2002256169A (ja) * | 2001-02-28 | 2002-09-11 | Mitsubishi Materials Corp | シリカ粉末及びその製造方法 |
EP1352930A2 (en) | 2002-02-07 | 2003-10-15 | Toda Kogyo Corporation | Black composite particles for semiconductor sealing material, and semiconductor sealing material using the same |
EP1711258A1 (en) * | 2004-02-12 | 2006-10-18 | Varian, Inc. | Polar-modified bonded phase materials for chromatographic separations |
US10407571B2 (en) | 2006-09-15 | 2019-09-10 | Cabot Corporation | Hydrophobic-treated metal oxide |
JP2013221031A (ja) * | 2012-04-12 | 2013-10-28 | Ishihara Sangyo Kaisha Ltd | 有機化合物被覆粉体の製造方法 |
TWI757349B (zh) * | 2016-11-07 | 2022-03-11 | 日商日揮觸媒化成股份有限公司 | 研磨用氧化矽系粒子及研磨材 |
WO2021246191A1 (ja) * | 2020-06-03 | 2021-12-09 | 東ソー・シリカ株式会社 | 塗料艶消し用表面処理含水ケイ酸及びその製造方法 |
JPWO2021246191A1 (ja) * | 2020-06-03 | 2021-12-09 | ||
CN113604073A (zh) * | 2021-06-29 | 2021-11-05 | 中国科学院深圳先进技术研究院 | 一种改性二氧化硅填料及其制备方法 |
WO2023273192A1 (zh) * | 2021-06-29 | 2023-01-05 | 中国科学院深圳先进技术研究院 | 一种改性二氧化硅填料及其制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH08245835A (ja) | シリカ粒子を含む樹脂組成物およびシリカ粒子の表面 処理方法 | |
CA2442369C (en) | Silicon dioxide dispersion | |
JPH0617476B2 (ja) | 有機基修飾シリカ粒子、その製造方法および該粒子をフィラーとする樹脂組成物 | |
DE69509438T2 (de) | Härtbare Harzzusammensetzungen, die mit Kieselsäure beschichtete Mikroteilchen einer gehärteten Organosiloxanzusammensetzung enthalten | |
KR100557697B1 (ko) | 수지 접착된 연마 공구의 제조방법 | |
JP2012197443A (ja) | オルガノシルセスキオキサンの製造方法 | |
KR900007765B1 (ko) | 고무가 피복된 저용력화제 제조방법 및 이를 함유한 조성물 | |
KR20030027816A (ko) | 소성 실리카 입자 및 그 제조 방법 | |
JPH06263875A (ja) | ポリオルガノシルセスキオキサン微粒子の製造方法 | |
JP2004083334A (ja) | 窒化アルミニウム系粉末 | |
JPH1143320A (ja) | シリカフィラーの製造方法ならびにフィラー用組成物およびその製造方法 | |
JP5152656B2 (ja) | 表面被覆シリカオルガノゾルの製造方法、および表面被覆シリカ粒子含有エポキシ樹脂組成物の製造方法 | |
JPH09118821A (ja) | 熱硬化性樹脂複合材料の製造方法及び熱硬化性樹脂複合材料 | |
JPH10183010A (ja) | ケイ酸を解凝集する方法およびシリコーンゴム混合物中の充填剤としての解凝集されたケイ酸の使用 | |
JP3493109B2 (ja) | 有機基含有シリカ微粒子分散ゾルの製造方法 | |
JP2002274834A (ja) | 表面改質されたエポキシ成形材料用シリカ、その製造方法、装置、及び半導体パッケージ用エポキシ成形材料 | |
JPH0416518A (ja) | 無機物質表面の改質方法 | |
JP2001302234A (ja) | 水酸化アルミニウムの表面処理方法 | |
JPH08245214A (ja) | シリカ微粉末、その製造法及び半導体封止用エポキシ樹脂組成物 | |
JPH09118829A (ja) | 熱硬化性樹脂複合材料の製造方法及び熱硬化性樹脂複合材料 | |
De et al. | Reinforcing effect of silica on the properties of styrene butadiene rubber–reclaim rubber blend system | |
JP2000264619A (ja) | シリカ質粉末及びその製造方法 | |
JP3901786B2 (ja) | カップリング剤、このカップリング剤を用いた無機充填剤の表面処理方法およびこの無機充填剤を用いた複合材料 | |
JP3491717B2 (ja) | 無機充填有機高分子複合材及びその製造方法 | |
CN116285895B (zh) | 一种乙二胺四乙酸接枝氧化铈复合磨粒、其制备方法及其应用 |