JPH08197526A - セラミクスまたは金属粉末焼結体の製造方法 - Google Patents

セラミクスまたは金属粉末焼結体の製造方法

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JPH08197526A
JPH08197526A JP7011953A JP1195395A JPH08197526A JP H08197526 A JPH08197526 A JP H08197526A JP 7011953 A JP7011953 A JP 7011953A JP 1195395 A JP1195395 A JP 1195395A JP H08197526 A JPH08197526 A JP H08197526A
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JP
Japan
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primary
injection
injection molded
ceramics
molding
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JP7011953A
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Jun Inahashi
潤 稲橋
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Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来では部品組立てが必要なセラミクスまた
は金属粉末焼結体を、組立てることなく容易に製造す
る。 【構成】 セラミクスまたは金属粉末と有機バインダー
とを混練した後、該混練体を射出成形して所定の1次射
出成形体を得る1次射出成形工程と、該1次射出成形体
の表面にセラミクス部材を付着する工程と、該セラミク
ス部材を付着した前記1次射出成形体に、前記混練体を
射出成形して所定の2次射出成形体を得る2次射出成形
工程と、前記付着工程と2次射出成形工程とを繰り返
し、最終次射出成形体を得る工程と、該最終次射出成形
体を脱脂して脱脂体を得る脱脂工程と、該脱脂体を焼結
して焼結体を得る焼結工程とを具備することを特徴とす
るセラミクスまたは金属粉末焼結体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミクスまたは金属
粉末焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粉末冶金、セラミクスの製造方法におい
て、金属あるいは無機質の粉末を所定形状に成形する方
法としては、金型成形、静水圧成形、ホットプレス、テ
ープ成形、押出成形、鋳込成形等の種々の方法がある。
その中でも、近年、複雑形状を比較的容易に製造する方
法として、セラミクス粉末射出成形(Ceramics Injecti
on Molding)法または金属粉末射出成形(Metal Inject
ion Molding )法が注目され始めている。
【0003】例えば、特開昭59−229403号公報
には、セラミクスまたは金属粉末と有機バインダーとを
混練し、その混練体を射出成形し、その後前記有機バイ
ンダーを除去(脱脂)し、その脱脂体を焼結することに
より製品を得る方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のい
ずれの方法で製造したとしても、焼結後のセラミクスま
たは金属部品を組立てる必要がある。この組立工程のた
めに要する費用は、場合によっては、部品コストそのも
のより高く、大きな問題となっている。
【0005】また、例えば2つの部品をボスとボス穴で
組立てるようなことは、通常の組立方法、すなわち両者
の位置を合わせて嵌込む方法では、現在でも不可能であ
り、穴にピンを通してカシメ等で組立てているのが現状
である。これでは、セラミクス粉末射出成形法および金
属粉末射出成形法の大きな利点である、複雑形状を比較
的容易に製造できるという点(部品形状の自由度)が、
組立てのために制約されて生かしきれないという問題点
がある。
【0006】さらに、上記本方法により製造される製品
は複雑形状であり、今後更に、組立部品はその複雑さを
増すことが予想される。そのため、完成した焼結体のハ
ンドリング性、位置合わせ精度等はその形状の複雑さの
ゆえ、ますます困難になると考えられる。したがって、
その組立はますます困難になり、近い将来にはその部品
形状によっては組立てることができなくなる可能性すら
ある。
【0007】請求項1〜4に係る発明は、かかる従来の
問題点に鑑みてなされたもので、セラミクスまたは金属
粉末焼結体を、組立てることなく容易に製造することが
できるセラミクスまたは金属粉末焼結体の製造方法を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、セラミクスまたは金属粉末
焼結体の製造方法において、セラミクスまたは金属粉末
と有機バインダーとを混練した後、該混練体を射出成形
して所定の1次射出成形体を得る1次射出成形工程と、
該1次射出成形体の表面にセラミクス部材を付着する工
程と、該セラミクス部材を付着した前記1次射出成形体
に、前記混練体を射出成形して所定の2次射出成形体を
得る2次射出成形工程と、前記付着工程と2次射出成形
工程とを繰り返し、最終次射出成形体を得る工程と、該
最終次射出成形体を脱脂して脱脂体を得る脱脂工程と、
該脱脂体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を具備す
ることを特徴とする。
【0009】請求項2に係る発明は、セラミクスまたは
金属粉末焼結体の製造方法において、セラミクスまたは
金属粉末と有機バインダーとを混練した後、該混練体を
射出成形して所定の1次射出成形体を得る1次射出成形
工程と、該1次射出成形体を脱脂して1次脱脂体を得る
1次脱脂工程と、該1次脱脂体の表面にセラミクス部材
を付着させる付着工程と、該セラミクス部材を付着させ
た前記1次脱脂体に、前記混練体を射出成形して所定の
2次射出成形複合体を得る2次射出成形工程と、前記付
着工程と2次射出成形工程とを繰り返し、最終次射出成
形複合体を得る工程と、該最終次射出成形複合体を脱脂
して最終次脱脂体を得る最終次脱脂工程と、該最終次脱
脂体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を具備するこ
とを特徴とする。
【0010】請求項3に係る発明は、セラミクスまたは
金属粉末焼結体の製造方法において、セラミクスまたは
金属粉末と有機バインダーとを混練した後、該混練体を
射出成形して所定の1次射出成形体を得る1次射出成形
工程と、該1次射出成形体を脱脂して1次脱脂体を得る
1次脱脂工程と、該1次脱脂体を焼結して1次焼結体を
得る1次焼結工程と、該1次焼結体の表面にセラミクス
部材を付着させる付着工程と、該セラミクスを付着させ
た前記1次焼結体に、前記混練体を射出成形して所定の
2次射出成形複合体を得る2次射出成形工程と、前記付
着工程と2次射出成形工程とを繰り返し、最終次射出成
形複合体を得る工程と、該最終次射出成形複合体を脱脂
して最終次脱脂体を得る最終次脱脂工程と、該最終次脱
脂体を焼結して最終次焼結体を得る最終次焼結工程と、
を具備することを特徴とする。
【0011】請求項4に係る発明は、セラミクスまたは
金属粉末焼結体の製造方法において、セラミクスまたは
金属部品を用意する工程と、該セラミクスまたは金属部
品の表面にセラミクス部材を付着させる付着工程と、該
セラミクスを付着させたセラミクスまたは金属部品に、
セラミクスまたは金属粉末と有機バインダーとを混練し
た後、該混練体を射出成形して所定の1次射出成形複合
体を得る1次射出成形工程と、前記付着工程と1次射出
成形工程とを繰り返し、最終次射出成形複合体を得る工
程と、該最終次射出成形複合体を脱脂して脱脂体を得る
脱脂工程と、該脱脂体を焼結して焼結体を得る焼結工程
と、を具備することを特徴とする。
【0012】
【作用】上記構成においては、最終次射出成形体(最終
時射出成形複合体)を脱脂した後、焼結する。この時、
脱脂後の各次射出成形体同士の接触部には、セラミクス
部材が付着した状態である。このセラミクス部材が存在
するために、前記射出成形体同士は接触しない。公知の
ように、脱脂体同士が接触した状態で焼結すると、焼結
時に、その接触面が溶着し、焼結体が一体化する現象が
ある。ところが、本発明の方法によれば、上述のよう
に、脱脂体同士は非接触の状態を保ったまま焼結可能な
ので、溶着による一体化は生じない。なおかつ、脱脂後
の各次射出成形体はそれぞれ正常に焼結する。
【0013】すなわち、射出成形時、各次の射出成形体
を組立状態になるように順次射出成形し、射出成形と射
出成形との間に各次射出成形体が非接触に保たれるよう
に、上記手段の方法を用いることにより、脱脂、焼結後
に、組立状態の製品を得ることができる。すなわち、焼
結後の組立工程を経ることなく、かつ可動部分は焼結中
に溶着、拡散等により一体化せず、十分に機能する廻動
等自在な製品を得ることができる。
【0014】
【実施例】
[実施例1]図1〜図10に本実施例を示す。図1は1
次射出成形体1を示す斜視図であり、この1次射出成形
体1は偏平な楕円形状で、中心部に穴があり、外周の一
部にリベット状のボス2が立っている。図2は2次射出
成形体3を示す斜視図であり、この2次射出成形体3は
1次射出成形体1と同様に偏平な楕円形状で、中心部に
穴があるが、外周の一部にはボス穴4があいている点が
異なる。図3は組立状態の1次射出成形体1と2次射出
成形体3を示す斜視図である。これらは、1次射出成形
体1のボス2と2次射出成形体3のボス穴4とが嵌め合
わされて組立てられている。また、図4は1次射出成形
終了後の型開きの状態を、図5は1次射出成形体1にセ
ラミクス部材9を付着させた状態を、さらに図6は2次
射出成形終了後の型開きの状態をそれぞれ示す斜視図で
ある。図7は本実施例の工程図である。図8は射出成形
機の側面図、図9および図10はそれぞれ成形型の斜視
図を示す。
【0015】(構成)平均粒度10μmのステンレス鋼
(SUS316L)粉末91wt%に対し、ポリスチレ
ン3wt%、アクリル3wt%、ワックス2wt%、ス
テアリン酸1wt%を図示を省略した混練機に投入し、
混練した。その後、図示を省略した造粒機に前記混練体
を投入し、ペレット状に造粒した。
【0016】このペレットを図8に示す射出成形機に投
入した。この射出成形機は、プラテン9上に一つの加熱
筒14が配設され、第1成形可動型6、第2成形可動型
11、第1成形固定型7、第2成形固定型8が、対向配
置された一対のプラテン9に取り付けられている。第1
成形可動型6と第2成形可動型11とは、同一形状であ
り、第1成形固定型7と密着することにより、1次射出
成形体1の形状のキャビティ12を形成するようになっ
ている(図9参照)。また、前記第1成形可動型6、第
2成形可動型11と前記第2成形固定型8とが密着する
ことにより、1次射出成形体1と2次射出成形体3を組
立てた形状のキャビティが形成される。図10におい
て、13は第2成形固定型8に形成された2次射出成形
体3のキャビティである。前述のように、1次射出成形
体1と2次射出成形体3は円筒形であり、1次射出成形
体1にはリベット状のボス2が立っており、2次射出成
形体3には前記ボス2と嵌合するようにボス穴4が穿孔
されている。
【0017】第1成形可動型6と第1成形固定型7、第
2成形可動型11と第2成形固定型8とをそれぞれ型締
めし、前記ペレットを第1成形可動型6と第1成形固定
型7が形成するキャビティにのみ射出し、コールドスラ
グ15のついた1次射出成形体1を成形した(図4参
照)。その後、第1成形可動型6と第1成形固定型7、
第2成形可動型11と第2成形固定型8とをそれぞれ型
開きした。このとき、1次射出成形体1のボス2の周囲
と2次射出成形体3が接触する部位に、シート状のアル
ミナ(Al2 3 )で形成されたセラミクス部材9を設
置した(図5参照)。
【0018】この後、第1成形可動型6と第2成形可動
型11との位置をプラテン9の回動により入れ換えて、
第1成形可動型6と第2成形固定型8、第2成形可動型
11と第1成形固定型7とをそれぞれ型締めし、前記ペ
レットを第1成形可動型6と第2成形固定型8、第2成
形可動型11と第1成形固定型7とが形成するキャビテ
ィにそれぞれ射出した。すなわち、第1成形可動型6と
第2成形固定型8とで形成するキャビティでは、2次射
出成形体3を、前記1次射出成形体1と組立てた状態に
なるように成形した。このとき、1次射出成形体1と2
次射出成形体3とは、その間に前記セラミクス部材9が
存在するため、非接触に保たれており、ボス2、ボス穴
4によって組立状態も保っている。一方、第2成形可動
型11と第1成形固定型7とで形成するキャビティで
は、図示を省略した新たな1次射出成形体1を成形し
た。
【0019】この後、前記第1成形可動型6と第2成形
固定型8、第2成形可動型11と第1成形固定型7とを
それぞれ型開きし、組立状態の1次射出成形体1と2次
射出成形体3を取出すとともに、新たに射出成形した1
次射出成形体1には、前述と同様にして、前記セラミク
ス部材9を付着させた。その後、第1成形可動型6と第
2成形可動型11との位置を再度入れ換えて、第1成形
可動型6と第1成形固定型7、第2成形可動型11と第
2成形固定型8とをそれぞれ型締めし、順次前記の動作
を繰り返し、組立状態の1次射出成形体1と2次射出成
形体3を成形した。
【0020】次に、組立状態の1次射出成形体1と2次
射出成形体3を脱脂炉に移送し、脱脂した。さらに、こ
の脱脂後の組立状態の1次射出成形体1と2次射出成形
体3を焼結炉に移送し、焼結した。
【0021】(作用)1次射出成形体1に付着したセラ
ミクス部材9は、1次射出成形体1および2次射出成形
体3を保形しているポリスチレン、アクリル、ワックス
を侵すことがなく、したがって、1次射出成形体1に何
ら影響を与えることがない。さらに、1次射出成形体1
と2次射出成形体3とは、その間に前記セラミクス部材
9が存在するため、非接触に保たれており、ボス2、ボ
ス穴4によって組立状態をも保っている。また、脱脂工
程であっても、前記セラミクス部材9は組立状態の1次
射出成形体1と2次射出成形体3とを非接触に保ってい
る。
【0022】さらに、焼結工程では、脱脂後の1次射出
成形体1と2次射出成形体3とが非接触に保たれている
ため、溶着は発生しない。また、1次射出成形体1およ
び2次射出成形体3の構成要素であるSUS316Lと
アルミナとは、焼結中に反応することはなく、すなわち
1次射出成形体1および2次射出成形体3それぞれの焼
結を阻害することはなく、かつアルミナ自体も反応しな
い。
【0023】したがって、焼結後、1次射出成形体1お
よび2次射出成形体3はそれぞれ焼結体となり、互いに
溶着することなく、ボス2、ボス穴4によって組立完了
製品が得られる。
【0024】なお、アルミナからなるセラミクス部材9
は成形品にそのまま層となって残るが、廻動には何ら問
題ない。
【0025】(効果)本実施例では、焼結後の組立工程
を経ることなく、組立完了の製品が得られるので、組立
費用を大幅に削減でき、かつ組立が困難な製品であって
も問題なく製造することができた。
【0026】[実施例2]図11〜図15に実施例2を
示す。なお、射出成形体および装置の構成、作用等で実
施例1と共通のものは図示を省略する。図11は1次脱
脂体21にセラミクス部材22を付着させた状態を示す
斜視図である。図12は2次射出成形終了後の型開き状
態を示す斜視図である。図13は本実施例の工程図であ
る。また、図14は射出成形機を示す側面図であり、図
15は成形型を示す斜視図である。
【0027】(構成)平均粒度8μmのジルコニア(Z
rO2 )粉末91wt%に対し、ポリスチレン3wt
%、ポリエチレン3wt%、ワックス2wt%、ステア
リン酸ナトリウム1wt%の混練体を、ペレットに造粒
した。このペレットを図14に示す射出成形機に投入し
た。この射出成形機は、プラテン27上に一つの加熱筒
26が配設されており、第1成形可動型16、第1成形
固定型17が、対向配置された一対のプラテン27に取
り付けられている。これら第1成形可動型16、第1成
形固定型17を密着することにより、1次射出成形体1
の形状のキャビティが形成される。
【0028】前記第1成形可動型16と第1成形固定型
17とを型締めし、前記ペレットをキャビティに射出
し、1次射出成形体1を成形した。その後、前記1次射
出成形体1をアセトン90vol%およびエチルアルコ
ール10vol%の混合液中に投入し、脱脂して1次脱
脂体21を形成した。この後、前記脱脂体21のボス周
囲と2次射出成形体3が接触する部位に、シート状の酸
化チタン(TiO2 )からなるセラミクス部材22を設
置した(図11参照)。
【0029】この1次脱脂体21を第2成形可動型23
の所定の位置28に設置した(図15参照)。この第2
成形可動型23を第2成形固定型24と密着することに
より、1次脱脂体21と2次射出成形体25を組立てた
形状のキャビティが形成される。1次脱脂体21と2次
射出成形体25は円筒形であり、1次脱脂体21にはボ
スが立っており、2次射出成形体25には前記ボスと対
応する位置にボス穴が穿孔されている。また、第2成形
可動型23と第2成形固定型24は、前記射出成形機と
同じ構成の射出成形機の所定のプラテンにそれぞれ取り
付けられている。
【0030】前記第2成形可動型23と第2成形固定型
24とを型締めし、前記ペレットをキャビティに射出し
た。すなわち、2次射出成形体25を、前記1次脱脂体
21と組立てた状態になるように成形した。その後、組
立状態の1次脱脂体21と2次射出成形体25を前記ア
セトン−エチルアルコール混合液中に投入し、その後、
脱脂炉に移送して脱脂した。さらに、焼結炉に移送し、
焼結した。
【0031】(作用)1次射出成形体1を投入するアセ
トン−エチルアルコール混合液は、1次射出成形体1を
保形しているポリスチレン、ポリエチレン、ワックス、
ステアリン酸ナトリウムのうち、ポリスチレン、ステア
リン酸ナトリウムのみを溶解する。したがって、1次脱
脂体21は残留するポリエチレン、ワックスにより十分
形状を保持できる。
【0032】さらに、1次脱脂体21に付着させるセラ
ミクス部材22の酸化チタンは、1次脱脂体21および
2次射出成形体25を保形しているポリスチレン、ポリ
エチレン、ワックス、ステアリン酸ナトリウムを侵すこ
とがなく、したがって、1次脱脂体21および2次射出
成形体25に何ら影響を与えることはない。また、組立
状態の1次脱脂体21および2次射出成形体25を投入
するアセトン−エチルアルコール混合液は、前述のよう
に、ポリスチレン、ポリエチレン、ワックス、ステアリ
ン酸ナトリウムのうち、ポリスチレン、ステアリン酸ナ
トリウムのみを溶解するので、1次脱脂体21はこれ以
上脱脂されることはなく、すなわち1次脱脂体21の保
形状態を悪化させることなく、かつ、2次射出成形体2
5中からポリスチレン、ステアリン酸ナトリウムのみを
溶解する。
【0033】さらに、次工程の加熱脱脂により、残留し
ているポリエチレン、ワックスを除去するので、焼結に
は影響を与えない。また、酸化チタンは加熱脱脂後の1
次脱脂体21および2次射出成形体25の構成要素であ
るジルコニアとは全く反応せず、酸化チタン自身も反応
しない。
【0034】したがって、焼結後、1次脱脂体21およ
び2次射出成形体25はそれぞれ焼結体となり、互いに
溶着することなく、ボス、ボス穴によって組立完了製品
が得られる。また、酸化チタンのセラミクス部材22
は、前述の実施例1と同様に、成形品の一部となるが、
廻動には何ら影響を与えない。
【0035】(効果)本実施例では、実施例1と同様
に、焼結後の組立工程を経ずとも組立状態の製品が得ら
れる。さらに、1次射出成形体1を予備脱脂しているの
で、脱脂後の有機バインダーの残留、すなわち残渣を減
少させ、より焼結性を向上させることができる。
【0036】なお、本実施例では、1次脱脂体21と2
次射出成形体25のみの組合せであったが、製品形状等
により、1次射出→1次脱脂→2次射出→2次脱脂→3
次射出と、順次繰り返しても構わず、さらに、1次射出
→1次脱脂→2次射出→3次射出→2次脱脂と、射出工
程を繰り返しても構わない。すなわち、何らかの脱脂体
にセラミクス部材を付着させ、その脱脂体と組立状態に
なるように射出成形体を形成するものであれば、どのよ
うな工程の組合せであっても構わない。
【0037】[実施例3] (構成)平均粒度8μmのステンレス鋼(SUS30
4)粉末91wt%に対し、ポリプロピレン3wt%、
ポリフェニレンサルファイド3wt%、ワックス2wt
%、ステアリルアルコール1wt%の混練体と、ペレッ
トに造粒した。このペレットを図示を省略した射出成形
機に投入した。前記射出成形機は、加熱筒が一つで、第
1成形可動型、第1成形固定型がそれぞれ所定のプラテ
ンに取り付けられており、密着することにより、1次射
出成形体の形状のキャビティを形成するようになってい
る。
【0038】前記第1成形可動型と第1成形固定型とを
型締めし、前記ペレットをキャビティに射出し、1次射
出成形体を成形した。その後、前記1次射出成形体を、
脱脂炉に移送して脱脂し、脱脂後の1次射出成形体を焼
結炉に移送し焼結して1次焼結体を得た。
【0039】この1次焼結体にセラミクス部材としてシ
ート状の3Al2 3 −2SiO2を設置した後、第2
成形可動型の所定の位置に設置した。この第2成形可動
型は第2成形固定型と密着することにより、1次焼結体
と2次射出成形体を組立てた形状のキャビティを形成す
る。
【0040】1次焼結体と2次射出成形体は円筒形であ
り、1次焼結体にはボスが立っており、2次射出成形体
には前記ボスと対応する位置にボス穴が穿孔されてい
る。また、第2成形可動型と第2成形固定型は、前記射
出成形機と同じ構成の射出成形機の所定のプラテンにそ
れぞれ取り付けられている。
【0041】前記第2成形可動型と第2成形固定型とを
型締めし、前記ペレットをキャビティに射出した。すな
わち、2次射出成形体を、前記1次焼結体と組立てた状
態になるように成形した。その後、組立状態の1次焼結
体と2次射出成形体を、脱脂炉に移送し、脱脂した。さ
らに、この脱脂後の組立状態の1次焼結体と2次射出成
形体を焼結炉に移送し、焼結した。
【0042】(作用)1次焼結体に付着させる3Al2
3 −2SiO2 部材は、1次焼結体を構成しているS
US304を全く侵さず、また、2次射出成形体を保形
しているポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイ
ド、ワックス、ステアリルアルコールも全く侵さない。
すなわち、1次焼結体および2次射出成形体に何ら影響
を与えることはない。さらに、1次焼結体と2次射出成
形体は、前記3Al2 3 −2SiO2 部材が存在する
ために、非接触に保たれており、3Al2 3 −2Si
2 自身も反応しない。したがって、焼結後、2次射出
成形体は焼結体となり、1次焼結体と溶着することな
く、ボス、ボス穴によって組立完了の製品が得られる。
また、3Al2 3 −2SiO2 は、実施例1,2と同
様に、層となって部品の一部として残るが、廻動には問
題がない。
【0043】(効果)本実施例では、焼結後に組立工程
を経ることなく、組立状態の製品を得ることができる。
さらに、1次射出成形体を脱脂、焼結しているので、2
次射出成形時の射出圧力にも十分耐えられるので、2次
射出成形時の歩留まりを向上させる効果もある。
【0044】なお、本実施例では、1次焼結体と2次射
出成形体のみの組合せであったが、製品形状等により、
1次射出→1次脱脂→1次焼結→2次射出→2次脱脂→
2次焼結→3次射出と、順次繰り返しても構わない。さ
らに、1次射出→1次脱脂→1次焼結→2次射出→3次
射出と、射出工程を繰り返しても構わない。すなわち、
焼結体にセラミクス部材を付着させ、焼結体と組立状態
になるように射出成形体を形成するものであれば、どの
ような工程の組合せであっても構わない。また、2次射
出以降の射出成形時に設置する予めセラミクス部材を付
着させた部材は、焼結体に限らず、鍛造、切削等の他の
加工法で作製した部材であっても構わない。さらに、本
実施例では、アルミナ、酸化チタン、3Al2 3 −2
SiO2 を用いたが、これに限定されるものではなく、
例えば、炭化珪素(SiC)、クロミナ(CrO)、酸
化珪素(SiO2 )等の炭化物や酸化物を用いた場合で
あっても同様な効果が得られる。
【0045】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜4に係る発明
によれば、セラミクスまたは金属粉末を用いた複雑形状
部品を組立工程を経ずとも組立状態の製品として比較的
容易に得られるので、製品コストを安価にできるのみな
らず、従来では極めて組立困難であった、より複雑で微
細な製品であっても容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の1次射出成形体を示す斜視図であ
る。
【図2】実施例1の2次射出成形体を示す斜視図であ
る。
【図3】実施例1の1次射出成形体と2次射出成形体と
の組立状態を示す斜視図である。
【図4】実施例1の1次射出成形終了後の型開き状態を
示す斜視図である。
【図5】実施例1で1次射出成形体にセラミクス部材を
付着させた状態を示す斜視図である。
【図6】実施例1の2次射出成形終了後の型開き状態を
示す斜視図である。
【図7】実施例1の工程図である。
【図8】実施例1で用いた射出成形機を示す側面図であ
る。
【図9】実施例1で用いた成形型を示す斜視図である。
【図10】実施例1で用いた成形型を示す斜視図であ
る。
【図11】実施例2で1次脱脂体にセラミクス部材を付
着させた状態を示す斜視図である。
【図12】実施例2の2次射出成形終了後の型開き状態
を示す斜視図である。
【図13】実施例2の工程図である。
【図14】実施例2で用いた射出成形機を示す側面図で
ある。
【図15】実施例2で用いた成形型を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 1次射出成形体 2 ボス 3 2次射出成形体 4 ボス穴 6,16 第1成形可動型 7,17 第1成形固定型 8,24 第2成形固定型 9,22 セラミクス部材 11,23 第2成形可動型 12 1次射出成形体のキャビティ 13 2次射出成形体のキャビティ 21 1次脱脂体 25 2次射出成形体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミクスまたは金属粉末と有機バイン
    ダーとを混練した後、該混練体を射出成形して所定の1
    次射出成形体を得る1次射出成形工程と、 該1次射出成形体の表面にセラミクス部材を付着する工
    程と、 該セラミクス部材を付着した前記1次射出成形体に、前
    記混練体を射出成形して所定の2次射出成形体を得る2
    次射出成形工程と、 前記付着工程と2次射出成形工程とを繰り返し、最終次
    射出成形体を得る工程と、 該最終次射出成形体を脱脂して脱脂体を得る脱脂工程
    と、 該脱脂体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を具備す
    ることを特徴とするセラミクスまたは金属粉末焼結体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 セラミクスまたは金属粉末と有機バイン
    ダーとを混練した後、該混練体を射出成形して所定の1
    次射出成形体を得る1次射出成形工程と、 該1次射出成形体を脱脂して1次脱脂体を得る1次脱脂
    工程と、 該1次脱脂体の表面にセラミクス部材を付着させる付着
    工程と、 該セラミクス部材を付着させた前記1次脱脂体に、前記
    混練体を射出成形して所定の2次射出成形複合体を得る
    2次射出成形工程と、 前記付着工程と2次射出成形工程とを繰り返し、最終次
    射出成形複合体を得る工程と、 該最終次射出成形複合体を脱脂して最終次脱脂体を得る
    最終次脱脂工程と、 該最終次脱脂体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を
    具備することを特徴とするセラミクスまたは金属粉末焼
    結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 セラミクスまたは金属粉末と有機バイン
    ダーとを混練した後、該混練体を射出成形して所定の1
    次射出成形体を得る1次射出成形工程と、 該1次射出成形体を脱脂して1次脱脂体を得る1次脱脂
    工程と、 該1次脱脂体を焼結して1次焼結体を得る1次焼結工程
    と、 該1次焼結体の表面にセラミクス部材を付着させる付着
    工程と、 該セラミクスを付着させた前記1次焼結体に、前記混練
    体を射出成形して所定の2次射出成形複合体を得る2次
    射出成形工程と、 前記付着工程と2次射出成形工程とを繰り返し、最終次
    射出成形複合体を得る工程と、 該最終次射出成形複合体を脱脂して最終次脱脂体を得る
    最終次脱脂工程と、 該最終次脱脂体を焼結して最終次焼結体を得る最終次焼
    結工程と、を具備することを特徴とするセラミクスまた
    は金属粉末焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 セラミクスまたは金属部品を用意する工
    程と、 該セラミクスまたは金属部品の表面にセラミクス部材を
    付着させる付着工程と、 該セラミクスを付着させたセラミクスまたは金属部品
    に、セラミクスまたは金属粉末と有機バインダーとを混
    練した後、該混練体を射出成形して所定の1次射出成形
    複合体を得る1次射出成形工程と、 前記付着工程と1次射出成形工程とを繰り返し、最終次
    射出成形複合体を得る工程と、 該最終次射出成形複合体を脱脂して脱脂体を得る脱脂工
    程と、 該脱脂体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を具備す
    ることを特徴とするセラミクスまたは金属粉末焼結体の
    製造方法。
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CN111873142A (zh) * 2020-09-17 2020-11-03 合江县华艺陶瓷制品有限公司 一种陶瓷滚压自动接把的方法

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CN111873142A (zh) * 2020-09-17 2020-11-03 合江县华艺陶瓷制品有限公司 一种陶瓷滚压自动接把的方法
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