JPH0819636B2 - 紙の製法 - Google Patents

紙の製法

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JPH0819636B2
JPH0819636B2 JP61144545A JP14454586A JPH0819636B2 JP H0819636 B2 JPH0819636 B2 JP H0819636B2 JP 61144545 A JP61144545 A JP 61144545A JP 14454586 A JP14454586 A JP 14454586A JP H0819636 B2 JPH0819636 B2 JP H0819636B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はカチオン性の紙力増強剤を用いた紙の製法に
関するものである。
部分的に加水分解されたポリN−ビニルアセトアミド
は、分子内にポリビニルアミンの構造を有する安定性の
良いカチオン性の水溶性高分子であり、中性抄紙用にお
ける紙力増強剤として有効である。
〔従来の技術〕
従来、酸性抄紙法においては、紙力増強剤として用い
るアニオン性ポリアクリルアミドの定着剤として硫酸バ
ンドを用いるため、抄紙機の損耗、成紙の保存中の劣
化、排水の問題等があった。このため、これらの問題を
回避し、さらには、填料として安価な炭酸カルシウムを
用いることのできる中性または、弱塩基性条件下の抄紙
法が検討されつつある。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような条件下で使用される紙力増強剤としては、
それ自身、パルプに対して優れた定着性を有するカチオ
ン性の水溶性高分子からなる紙力増強剤が必要であり、
定着性に優れ、安定性の良いカチオン性の紙力増強剤が
望まれている。
分子中にポリビニルアミンの構造単位を有するポリア
クリルアミドのホフマン分解物は興味ある紙力増強効果
を示すことが知られている。しかし、製造時に強塩基性
の条件を経るため、副反応による両性化が避け難く、性
能に問題がある上、製造時に使用した次亜ハロゲン酸塩
の影響により、水溶液状における安定性に問題があっ
た。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、分子内にポリビニルアミンの構造単位を有
し、パルプに対して優れた定着性を示すカチオン性の紙
力増強剤を用いた紙の製法を提供することにある。そし
て、本発明の上記目的は下記一般式、〔I〕および〔I
I〕で表される構造単位からなり、 構造単位〔I〕:〔II〕のモル比が5:95〜90:10の範囲
であり、1規定食塩水中0.1g/dl溶液として25℃で測定
した還元粘度が0.1〜10dl/gである水溶性重合体をパル
プの乾燥重量に対して0.3〜2重量%の量で、パルプス
ラリーに添加して抄紙する、あるいは、紙に塗布するこ
とを特徴とする紙の製法により達せられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
前記の水溶性重合体の構造単位〔I〕式中、X-は陰イ
オンを表し、具体的には、水酸化物イオン、塩素イオ
ン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオ
ン、りん酸イオン、スルフアミン酸イオン、および水溶
性のアルキル硫酸、アルカンスルホン酸、カルボン酸か
らなる有機酸イオン等が例示される。
前記の水溶性重合体はN−ビニルアセトアミドを重合
して得られる重合体を酸または塩基性の条件下変性する
ことにより製造される。
カチオン性紙力増強剤は、通常、分子中のカチオン性
構造単位の比率が高い場合や、分子量の大きい場合に、
抄紙時のパルプの地合が悪くなるという傾向がある。し
かし、本発明の紙力増強剤は、極めて広い範囲で優れた
紙力増強効果を示し、構造単位〔I〕:〔II〕の比が5:
95〜90:10、好ましくは、10:90〜70:30の範囲の重合体
が使用される。また、高分子量であっても地合むらが起
こりにくく優れた紙力増強効果を示し、重合体を1規定
食塩水中0.1g/dlの溶液として25℃で測定した還元粘度
の値が0.1〜10dl/g、好ましくは0.5〜5dl/gの範囲のも
のが使用される。
本発明で用いるカチオン性紙力増強剤は、たとえば、
N−ビニルアセトアミドの5〜60重量%の水溶液をラジ
カル重合開始剤の存在下、40〜80℃の温度で重合して得
られた高分子量の水溶性重合体を酸または、塩基性の条
件下、変性して得られる。
ラジカル重合開始剤としては、通常、水溶性のビニル
モノマーに用いられる一般的な開始剤が使用されるが、
重合体を収率よく合成するためには、水溶性のアゾ化合
物を用いることが好ましい。好ましい重合開始剤の例と
しては、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパンの塩
酸塩または酢酸塩、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草
酸のナトリウム塩、アゾビス−N,N′−ジメチレンイソ
ブチルアミジンの塩酸塩、硫酸塩が例示される。その使
用量は、通常、N−ビニルアセトアミドの重量に対して
0.01〜1%の範囲である。得られた重合体の変性反応
は、加水分解、加アルコール分解などアミド基をアミノ
基に変えるいずれの反応も利用することができるが、水
溶液状の製品を得るためには、重合体水溶液を加水分解
する方法が用いられる。加水分解反応は塩基性でも酸性
でもよい。塩基性の加水分解物はそのまま使用すること
ができるが、反応終了後、酸を添加して中和することに
より、より安定に保存することができる。酸加水分解物
は、変性物をそのまま使用することができるが、酸を過
剰に用いた場合には、過剰の酸を中和しておくことが望
ましい。加水分解反応は、通常、重合体の濃度が5〜30
重量%の濃度で実施される。塩基または、酸の使用量
は、重合体中のアミド基の当量に対し、0.05〜2倍モル
の範囲で適宜目的とする変性率に応じて選択される。加
水分解反応は、40〜100℃の温度で実施される。かくし
て得られたカチオン性の重合体の水溶液は、極めて安定
であり、長期の保存後もその性能は低下せず、優れた紙
力増強効果を示す。
本発明の紙の製法におけるカチオン性紙力増強剤の使
用方法としては、従来公知の紙力増強方法のいずれをも
用いることができる。内添剤としてパルプスラリーに添
加して抄紙してもよく、湿紙または、乾燥紙にロールコ
ーター、サイズプレス、および浸漬機により塗布を行っ
てもよいが、内添剤として使用する場合その効果は顕著
である。
カチオン性紙力増強剤の使用量はパルプの乾燥重量に
対して0.3〜2重量%であって、内添剤として使用する
場合は、例えば、1〜3重量%のパルプスラリー中に、
その所定量を0.5〜2重量%の水溶液状で添加したのち
抄紙する。必要に応じ、硫酸バンドやアニオン性紙力増
強剤を併用してもよい。パルプの種類には限定されず、
グランドパルプ、サルフアイドパルプ、クラフトパル
プ、離解した古紙などいずれにも使用される。また、サ
イズ剤、填料の種類にも制約されない。
本発明で用いるカチオン性紙力増強剤は、溶解水の水
質によらず希薄な水溶液状であっても極めて安定であ
る。また、炭酸カルシウムを填料として用いる弱アルカ
リ性の抄紙条件下でも安定でその効力を失わず中性、ま
たは、弱アルカリ性の抄紙条件に優れた紙力増強剤であ
る。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例に
限定されるものではない。
(部分加水分解ポリN−ビニルアセトアミドの製造) 撹拌機、窒素導入下、冷却管を備えた200mlの四口フ
ラスコに、10gのN−ビニルアセトアミドと39.7gの脱塩
水を入れた。窒素ガス気流中、撹拌しつつ60℃に昇温し
たのち、10重量%の2,2′−アゾビス−2−アミジノプ
ロパン2塩酸塩水溶液0.3gを添加して、60℃にて6時間
保持した。得られた重合体水溶液に濃塩酸を所定量加え
て均一に混合後、6時間加熱還流し、加水分解物を得
た。生成物の一部に脱塩水および水酸化ナトリウムを添
加して希釈し、pH5の1重量%の重合体水溶液を調製
し、抄紙試験に供した。
生成物の一部をイソプロパノール中で脱水析出させた
のち、真空乾燥して固体状重合体を得た。これを用いて
組成および水溶液の粘度の測定に供した。
注1)還元粘度の測定 固体状の重合体を1規定の食塩水に0.1g/dlの濃度に
溶解し、25℃の条件下、オストワルドの粘度計を用いて
測定した。
還元粘度ηsp/C=(t−to)/to/0.1〔dl/g〕 to:食塩水の下降速度 t:重合体溶液の下降速度 注2)加水分解率の測定 固体状の重合体を0.1重量%の濃度に蒸留水に溶解し
た。この水溶液5.0gを脱塩水を用いて200mlに希釈し希
塩酸を用いて溶液のpHを3に調整したのち、1/400規定
のポリビニル硫酸カリウムを用い、トルイジンブルーを
指示薬としたコロイド滴定法により得られた滴定値より
算出した。
実施例1〜4、比較例1〜3 カナダ標準法で測定した、濾水度435mlを有するLBKP
の1%スラリーを500mlのビーカーに入れ、撹拌しつ
つ、前記方法で製造した重合体よりなるカチオン性紙力
増強剤を1重量%の水溶液状で対パルプ0.4重量%を添
加し1分間保持した。これをTAPPIスタンダード角型抄
紙機を用いて坪量60gの紙を抄いた。得られた湿紙を120
℃のドラムドライヤーを用いて3分間乾燥した。20℃、
相対湿度60%の条件下、成紙を放置したのち、JIS−P81
12およびJIS−P8113に従い、比破裂度および裂断長を測
定した。
ここで、 S1:破断強さ 〔kg/cm2〕 W :試験紙の坪量 〔g/m2〕 S2:引っ張り強さ 〔kg〕 B :試験片の巾 〔mm〕 使用した重合体の種類、組成および物性と、得られた
紙の紙力増強効果を第1表に示した。
〔発明の効果〕 部分的に加水分解された、ポリN−ビニルアセトアミ
ドからなる本発明で用いるカチオン性紙力増強剤は、安
定性および紙力増強効果に優れ、自己定着性を有し、中
性条件および弱アルカリ性の条件下の抄紙法に寄与する
ことが大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 耕一 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成工業株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭58−23809(JP,A) 特開 昭61−118406(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式〔I〕および〔II〕で表される
    構造単位からなり、 構造単位〔I〕:〔II〕のモル比が5:95〜90:10の範囲
    であり、1規定食塩水中0.1g/dl溶液として25℃で測定
    した還元粘度が0.1〜10dl/gである水溶性重合体をパル
    プの乾燥重量に対して0.3〜2重量%の量で、パルプス
    ラリーに添加して抄紙する、あるいは、紙に塗布するこ
    とを特徴とする紙の製法。
JP61144545A 1986-06-20 1986-06-20 紙の製法 Expired - Fee Related JPH0819636B2 (ja)

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