JPH08144194A - 難燃性シート - Google Patents
難燃性シートInfo
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- JPH08144194A JPH08144194A JP28491294A JP28491294A JPH08144194A JP H08144194 A JPH08144194 A JP H08144194A JP 28491294 A JP28491294 A JP 28491294A JP 28491294 A JP28491294 A JP 28491294A JP H08144194 A JPH08144194 A JP H08144194A
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- oyster shell
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- shell powder
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 廃棄物としてのカキ殻を利用して、優れた難
燃性と十分な紙力を有する難燃性シートを得る。 【構成】 カキ殻を粉砕して得た粒子径20〜500μ
mのカキ殻粉を主材とし、パルプを補助材料として含む
スラリを抄造する。スラリには、紙力をより高めるため
に、ガラス繊維等の補強用繊維、アクリル樹脂等の高分
子有機化合物からなるバインダを更に加えることができ
る。またスラリには、耐火性の向上のために、更にセピ
オライトを加えることができる。カキ殻粉は容易に抄造
することができ、またカキ殻は実質的に無機質であるた
め、難燃性に優れたシート(紙)が得られる。
燃性と十分な紙力を有する難燃性シートを得る。 【構成】 カキ殻を粉砕して得た粒子径20〜500μ
mのカキ殻粉を主材とし、パルプを補助材料として含む
スラリを抄造する。スラリには、紙力をより高めるため
に、ガラス繊維等の補強用繊維、アクリル樹脂等の高分
子有機化合物からなるバインダを更に加えることができ
る。またスラリには、耐火性の向上のために、更にセピ
オライトを加えることができる。カキ殻粉は容易に抄造
することができ、またカキ殻は実質的に無機質であるた
め、難燃性に優れたシート(紙)が得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は壁装材等の建築内装材、
建材表装材、或いは建材や炉壁等のコアのための紙材等
に用いられる難燃性シートに関するもので、特に、廃棄
物としてのカキ殻の有効利用を図った難燃性シートに関
するものである。
建材表装材、或いは建材や炉壁等のコアのための紙材等
に用いられる難燃性シートに関するもので、特に、廃棄
物としてのカキ殻の有効利用を図った難燃性シートに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、火災事故の防止に係わる社会的ニ
ーズのもとに、建築素材等と共に建築内装材等で不燃・
耐火といった問題が取上げられ、かなり厳しく規制され
るようになった。壁装材を始めとする紙等のシート材料
もその例にもれず、「燃えない・熱に強い」いわゆる難
燃性シート(紙)の市場の要求は高い。
ーズのもとに、建築素材等と共に建築内装材等で不燃・
耐火といった問題が取上げられ、かなり厳しく規制され
るようになった。壁装材を始めとする紙等のシート材料
もその例にもれず、「燃えない・熱に強い」いわゆる難
燃性シート(紙)の市場の要求は高い。
【0003】従来、汎用な難燃性シートは、石綿繊維と
を主材とし、パルプを補助材料として抄造した石綿繊維
紙が代表とされていた。この石綿繊維紙は難燃、耐熱、
高強度、易生産性、廉価等すべての面で卓越しており、
難燃剤を含浸または塗布した一般の難燃処理紙では困難
な応用領域をカバーし、幅広い用途を持っていた。とこ
ろが、周知のように、石綿は健康を害する作用があるた
め、日本においてはその使用が徐々に規制されるように
なった。また、西欧においてはほぼ全面的に使えない状
態にある。そのため、現在、石綿繊維紙に代替する難燃
性シートの開発が社会的、産業的見地から強く要求さ
れ、また急務とされている。
を主材とし、パルプを補助材料として抄造した石綿繊維
紙が代表とされていた。この石綿繊維紙は難燃、耐熱、
高強度、易生産性、廉価等すべての面で卓越しており、
難燃剤を含浸または塗布した一般の難燃処理紙では困難
な応用領域をカバーし、幅広い用途を持っていた。とこ
ろが、周知のように、石綿は健康を害する作用があるた
め、日本においてはその使用が徐々に規制されるように
なった。また、西欧においてはほぼ全面的に使えない状
態にある。そのため、現在、石綿繊維紙に代替する難燃
性シートの開発が社会的、産業的見地から強く要求さ
れ、また急務とされている。
【0004】このような状況において、難燃性シートと
しては、水酸化アルミニウム高含有紙が一般に知られて
いる。この水酸化アルミニウム高含有紙は、水酸化アル
ミニウムの粉末を主材とし、パルプを補助材料として含
むスラリを抄造したもので、水酸化アルミニウムを50
〜90重量%の高い割合で含有するものである。また、
特公平3−4679号公報では、その水酸化アルミニウ
ムの粉末に代えて、含水ホウ酸カルシウム(灰硼石)の
粉末を使用したものが提案されている。更に、特開平5
−279991号公報では、繊維性の水酸化マグネシウ
ムを主材として使用することが提案されている。また更
に、特開平6−49795号公報では、その水酸化アル
ミニウム等の粉末に、シートの燃焼後の形状保持性を高
めるために、含水ケイ酸マグネシウム鉱物であるセピオ
ライトを更に加えることが提案されている。
しては、水酸化アルミニウム高含有紙が一般に知られて
いる。この水酸化アルミニウム高含有紙は、水酸化アル
ミニウムの粉末を主材とし、パルプを補助材料として含
むスラリを抄造したもので、水酸化アルミニウムを50
〜90重量%の高い割合で含有するものである。また、
特公平3−4679号公報では、その水酸化アルミニウ
ムの粉末に代えて、含水ホウ酸カルシウム(灰硼石)の
粉末を使用したものが提案されている。更に、特開平5
−279991号公報では、繊維性の水酸化マグネシウ
ムを主材として使用することが提案されている。また更
に、特開平6−49795号公報では、その水酸化アル
ミニウム等の粉末に、シートの燃焼後の形状保持性を高
めるために、含水ケイ酸マグネシウム鉱物であるセピオ
ライトを更に加えることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように石綿繊維紙
に代替する従来知られた難燃性シートは枚挙にいとまが
ないが、それらの難燃性シートにおいては、主材として
はいずれも一般に、比較的安価な天然鉱物が使用されて
いる。そして、無機物である天然鉱物が高い割合で含有
されるため、それらの抄造されたシートは優れた難燃性
を有している。
に代替する従来知られた難燃性シートは枚挙にいとまが
ないが、それらの難燃性シートにおいては、主材として
はいずれも一般に、比較的安価な天然鉱物が使用されて
いる。そして、無機物である天然鉱物が高い割合で含有
されるため、それらの抄造されたシートは優れた難燃性
を有している。
【0006】ところで、水産物であるカキは、養殖技術
の進歩にもよって、現在では貝類の中で最も食される代
表的なものの一つとなっている。ところが、このカキは
身の部分に比較して大きな殻を有し、このカキ殻が多量
に廃棄物として生じる。しかし、カキ殻は堅く、しかも
鋭利な凹凸を有するため、飼料等として利用することが
できず、また漁網を損傷する等のために、海に投棄する
こともできない。なお、一部では、このカキ殻を超微粒
状に粉砕して化粧品類の増粘剤とする試みがなされてい
るが、その量は極く僅かである。
の進歩にもよって、現在では貝類の中で最も食される代
表的なものの一つとなっている。ところが、このカキは
身の部分に比較して大きな殻を有し、このカキ殻が多量
に廃棄物として生じる。しかし、カキ殻は堅く、しかも
鋭利な凹凸を有するため、飼料等として利用することが
できず、また漁網を損傷する等のために、海に投棄する
こともできない。なお、一部では、このカキ殻を超微粒
状に粉砕して化粧品類の増粘剤とする試みがなされてい
るが、その量は極く僅かである。
【0007】そのため、カキの産地では、燃えず、また
腐らないこのカキ殻は、年々増加する一方で山積みとな
って放置され、社会的にも問題となる等、その処理に困
窮しているのが現状である。
腐らないこのカキ殻は、年々増加する一方で山積みとな
って放置され、社会的にも問題となる等、その処理に困
窮しているのが現状である。
【0008】本発明は、このような実状に鑑み廃棄物と
してのカキ殻の有効利用を図ったもので、優れた難燃性
を有すると共に十分な紙力を有する難燃性シートの提供
を課題とするものである。
してのカキ殻の有効利用を図ったもので、優れた難燃性
を有すると共に十分な紙力を有する難燃性シートの提供
を課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる難燃性
シートは、カキ殻を粉砕して得た粒子径10〜500μ
mのカキ殻粉を主材とし、パルプを補助材料として含む
スラリを抄造してなるものである。
シートは、カキ殻を粉砕して得た粒子径10〜500μ
mのカキ殻粉を主材とし、パルプを補助材料として含む
スラリを抄造してなるものである。
【0010】請求項2にかかる難燃性シートは、カキ殻
粉を主材として含む請求項1のスラリに、更に補強用繊
維を含めたものである。
粉を主材として含む請求項1のスラリに、更に補強用繊
維を含めたものである。
【0011】請求項3にかかる難燃性シートは、カキ殻
粉を主材として含む請求項1または請求項2のスラリ
に、更に高分子有機化合物からなるバインダを含めたも
のである。
粉を主材として含む請求項1または請求項2のスラリ
に、更に高分子有機化合物からなるバインダを含めたも
のである。
【0012】請求項4にかかる難燃性シートは、カキ殻
粉を主材として含む請求項1乃至請求項3のいずれか1
項のスラリに、更にセピオライトを含めたものである。
粉を主材として含む請求項1乃至請求項3のいずれか1
項のスラリに、更にセピオライトを含めたものである。
【0013】請求項5にかかる難燃性シートは、カキ殻
を粉砕して得た粒子径10〜500μmのカキ殻粉を主
材とし、補助材料としてのパルプと、補強用繊維と、高
分子有機化合物からなるバインダと、セピオライトとを
含むスラリを抄造してなるものである。
を粉砕して得た粒子径10〜500μmのカキ殻粉を主
材とし、補助材料としてのパルプと、補強用繊維と、高
分子有機化合物からなるバインダと、セピオライトとを
含むスラリを抄造してなるものである。
【0014】
【作用】カキ殻はリン酸カルシウムも僅かに含まれる
が、ほとんど純粋な炭酸カルシウムCaCO3 からな
り、一般に密に結合した結晶構造を有している。そし
て、これを機械的に粉砕して得られたカキ殻粉は、通常
の鉱物等の粉砕物のような球状の形状ではなく、偏平状
の粒子形状を有し、しかもその表面には微細な突起が含
まれている。したがって、カキ殻粉は体積比が大きく、
水中ではカチオンに帯電して安定的に浮遊したスラリを
形成する。例えば、以下の表1は、カキ殻粉(中心粒径
約160μm)をスラリ化した場合の沈降分離体積量
を、通常の難燃紙に使用される水酸化アルミニウム、及
び珪灰石と対比して示すものである。なお、これは、各
資料と木材パルプとの7:3(重量比)の混合物を0.
5%のスラリとして500cc作成し、これをメスシリ
ンダ中で20分間放置した場合の沈降分離体積量を測定
したものである。
が、ほとんど純粋な炭酸カルシウムCaCO3 からな
り、一般に密に結合した結晶構造を有している。そし
て、これを機械的に粉砕して得られたカキ殻粉は、通常
の鉱物等の粉砕物のような球状の形状ではなく、偏平状
の粒子形状を有し、しかもその表面には微細な突起が含
まれている。したがって、カキ殻粉は体積比が大きく、
水中ではカチオンに帯電して安定的に浮遊したスラリを
形成する。例えば、以下の表1は、カキ殻粉(中心粒径
約160μm)をスラリ化した場合の沈降分離体積量
を、通常の難燃紙に使用される水酸化アルミニウム、及
び珪灰石と対比して示すものである。なお、これは、各
資料と木材パルプとの7:3(重量比)の混合物を0.
5%のスラリとして500cc作成し、これをメスシリ
ンダ中で20分間放置した場合の沈降分離体積量を測定
したものである。
【0015】
【表1】
【0016】このように、カキ殻を粉砕して得たカキ殻
粉は、抄造のためのスラリ化が容易であり、抄造によっ
て容易にシート(紙)を形成することができる。
粉は、抄造のためのスラリ化が容易であり、抄造によっ
て容易にシート(紙)を形成することができる。
【0017】そして、請求項1においては、このような
カキ殻粉を主材とし、パルプを補助材料として含むスラ
リを抄造しているので、主材としてのカキ殻粉が実質的
に炭酸カルシウムからなる無機物であるため、難燃性に
優れたシートを得ることができる。また、カキ殻粉は、
上述のように偏平な粒子形状を有し、しかも表面には微
細な突起を含むので、補助材料であるパルプと絡み付き
易い。そのため、少ないパルプの配合によってもカキ殻
粉は相互に強固に結合されるため、十分な紙力を有する
難燃性シートを得ることができる。
カキ殻粉を主材とし、パルプを補助材料として含むスラ
リを抄造しているので、主材としてのカキ殻粉が実質的
に炭酸カルシウムからなる無機物であるため、難燃性に
優れたシートを得ることができる。また、カキ殻粉は、
上述のように偏平な粒子形状を有し、しかも表面には微
細な突起を含むので、補助材料であるパルプと絡み付き
易い。そのため、少ないパルプの配合によってもカキ殻
粉は相互に強固に結合されるため、十分な紙力を有する
難燃性シートを得ることができる。
【0018】また、請求項2においては、上記のスラリ
に更に補強用繊維が含められているので、カキ殻粉を主
材とする難燃性シートはこの内添された補強用繊維によ
って補強されるため、難燃性シートの紙力がより高めら
れる。
に更に補強用繊維が含められているので、カキ殻粉を主
材とする難燃性シートはこの内添された補強用繊維によ
って補強されるため、難燃性シートの紙力がより高めら
れる。
【0019】請求項3においては、上記のスラリに更に
高分子有機化合物からなるバインダが含められているの
で、カキ殻粉を主材とする難燃性シートの成分はこの内
添されたバインダによって相互に結合されるため、難燃
性シートの紙力がより高められる。
高分子有機化合物からなるバインダが含められているの
で、カキ殻粉を主材とする難燃性シートの成分はこの内
添されたバインダによって相互に結合されるため、難燃
性シートの紙力がより高められる。
【0020】請求項4においては、上記のスラリに更に
セピオライトが含められているので、含水ケイ酸マグネ
シウム鉱物であるセピオライトによって難燃性がより高
められるだけでなく、このセピオライトは焼結性を有す
るため難燃性シートの耐火性が向上され、難燃性シート
の有機質分が高温加熱時に炭化しまたは焼失した場合で
あっても、内添されたセピオライトによってシートの形
状が保持され、欠落や崩れ落ちが防止される。
セピオライトが含められているので、含水ケイ酸マグネ
シウム鉱物であるセピオライトによって難燃性がより高
められるだけでなく、このセピオライトは焼結性を有す
るため難燃性シートの耐火性が向上され、難燃性シート
の有機質分が高温加熱時に炭化しまたは焼失した場合で
あっても、内添されたセピオライトによってシートの形
状が保持され、欠落や崩れ落ちが防止される。
【0021】更に、請求項5においては、スラリには主
材としてのカキ殻粉と補助材料としてのパルプの他に、
補強用繊維と高分子有機化合物からなるバインダとセピ
オライトが含められているので、請求項1の作用に加え
て、紙力がより高く、難燃性がより優れ、また耐火性に
も優れた難燃性シートを得ることができる。
材としてのカキ殻粉と補助材料としてのパルプの他に、
補強用繊維と高分子有機化合物からなるバインダとセピ
オライトが含められているので、請求項1の作用に加え
て、紙力がより高く、難燃性がより優れ、また耐火性に
も優れた難燃性シートを得ることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
する。
【0023】図1は本発明の実施例の難燃性シートの製
造工程を概略的に示す説明図である。
造工程を概略的に示す説明図である。
【0024】図1のように、本実施例の難燃性シートは
抄造によって製造され、主材としてのカキ殻粉と、補助
材料としてのパルプを含むスラリを形成するスラリ形成
工程Aと、形成したスラリを抄紙機を用いて抄紙する抄
紙工程Bと、抄紙工程で形成された湿った紙層を圧搾し
て脱水し、次いで乾燥する乾燥工程Cとからなってい
る。
抄造によって製造され、主材としてのカキ殻粉と、補助
材料としてのパルプを含むスラリを形成するスラリ形成
工程Aと、形成したスラリを抄紙機を用いて抄紙する抄
紙工程Bと、抄紙工程で形成された湿った紙層を圧搾し
て脱水し、次いで乾燥する乾燥工程Cとからなってい
る。
【0025】この抄造による本実施例の難燃性シートの
製造方法自体は、通常の紙の製造の場合と同様である。
即ち、スラリ形成工程Aでは、カキ殻粉等の抄造原料を
水中に分散し、スラリ(泥漿)を形成する。このスラリ
濃度は一般に0.1〜0.5%の範囲とされるが、これ
よりも少ない濃度、或いは高い濃度とすることもでき
る。またスラリには、抄造操作を改善するために、凝集
剤、歩留り促進剤、水切り促進剤、或いは消泡剤等を添
加することができる。そして、形成されたスラリは、ス
トックタンクで沈降分離しないように維持され蓄積され
て、次いで、抄紙工程に送られる。
製造方法自体は、通常の紙の製造の場合と同様である。
即ち、スラリ形成工程Aでは、カキ殻粉等の抄造原料を
水中に分散し、スラリ(泥漿)を形成する。このスラリ
濃度は一般に0.1〜0.5%の範囲とされるが、これ
よりも少ない濃度、或いは高い濃度とすることもでき
る。またスラリには、抄造操作を改善するために、凝集
剤、歩留り促進剤、水切り促進剤、或いは消泡剤等を添
加することができる。そして、形成されたスラリは、ス
トックタンクで沈降分離しないように維持され蓄積され
て、次いで、抄紙工程に送られる。
【0026】抄紙工程Bにおいては、スラリー形成工程
Aで形成したスラリを抄紙機を用いて抄紙する。この抄
紙機としては、長網式、円網式、或いはこれらのコンビ
ネーション式等の任意の形式のものを用いることができ
る。また、抄網の目の大きさは、スラリー中の成分粒子
の大きさ等に応じて適宜選定することができるが、一般
には60〜80メッシュが好適である。そして、この抄
紙工程Bによって、スラリー中の凝集フロックと水とは
抄網上で速やかに分離して、カキ殻粉等の原料混合物か
らなる湿潤シートが形成される。
Aで形成したスラリを抄紙機を用いて抄紙する。この抄
紙機としては、長網式、円網式、或いはこれらのコンビ
ネーション式等の任意の形式のものを用いることができ
る。また、抄網の目の大きさは、スラリー中の成分粒子
の大きさ等に応じて適宜選定することができるが、一般
には60〜80メッシュが好適である。そして、この抄
紙工程Bによって、スラリー中の凝集フロックと水とは
抄網上で速やかに分離して、カキ殻粉等の原料混合物か
らなる湿潤シートが形成される。
【0027】次に、乾燥工程Cでは、抄紙工程Bで得ら
れた湿潤シートを、プレスロールで圧搾して脱水し、次
いで乾燥する。この乾燥には、多筒式ドライヤ、ロール
形、ノズル形、またはボックス形回転ドライヤ、或いは
普通の熱風乾燥装置等を使用することができる。また、
この乾燥は一般に60〜150℃、またはそれ以上の温
度で行うことができる。こうして、本実施例の難燃性シ
ートを得ることができる。そして、そのシート厚さは、
スラリ濃度や抄紙速度を調製することによって、一般に
0.1〜1.0mmとすることができる。
れた湿潤シートを、プレスロールで圧搾して脱水し、次
いで乾燥する。この乾燥には、多筒式ドライヤ、ロール
形、ノズル形、またはボックス形回転ドライヤ、或いは
普通の熱風乾燥装置等を使用することができる。また、
この乾燥は一般に60〜150℃、またはそれ以上の温
度で行うことができる。こうして、本実施例の難燃性シ
ートを得ることができる。そして、そのシート厚さは、
スラリ濃度や抄紙速度を調製することによって、一般に
0.1〜1.0mmとすることができる。
【0028】このように本実施例の難燃性シートは、一
般の紙材と同様に抄造によって製造されるが、ここで、
この難燃性シートを形成するカキ殻粉等の原料について
説明する。
般の紙材と同様に抄造によって製造されるが、ここで、
この難燃性シートを形成するカキ殻粉等の原料について
説明する。
【0029】〈カキ殻粉〉本実施例の難燃性シートの主
材として使用されるカキ殻粉は、廃棄物であるカキ殻を
洗浄等によって適度に清浄化処理し、ロールミル、ジェ
ット粉砕機等の粉砕機によって粉砕して得たものであ
る。そして、その粒子径(粒子の大きさ)は実用上一般
に10〜500μmの範囲であることが好ましい。即
ち、粒子径が余り小さいと、カキ殻粉はスラリ形成工程
Aでは凝集してフロックを形成するものの、抄紙工程B
において抄網上に保持され難くなり、歩留り性が悪くな
る。また、粒子径を小さくすれば、表面の仕上り性のよ
いシートを形成することができるが、粉砕に要するコス
トもその分増大する。また逆に、粒子径が余り大きい
と、抄造されたシートの表面が粗くなり、またシートの
表面から脱落し易くなる。そのため、カキ殻粉の粒子径
は一般に10〜500μmが好ましく、より好ましくは
20〜200μm程度である。また、このカキ殻粉は一
定範囲の粒子径に分級されたものであることが好ましい
が、難燃性シートが芯材等として使用される場合には、
特に分級されたものである必要はなく、それによってカ
キ殻の粉砕のためのコストも最少限にすることができ
る。
材として使用されるカキ殻粉は、廃棄物であるカキ殻を
洗浄等によって適度に清浄化処理し、ロールミル、ジェ
ット粉砕機等の粉砕機によって粉砕して得たものであ
る。そして、その粒子径(粒子の大きさ)は実用上一般
に10〜500μmの範囲であることが好ましい。即
ち、粒子径が余り小さいと、カキ殻粉はスラリ形成工程
Aでは凝集してフロックを形成するものの、抄紙工程B
において抄網上に保持され難くなり、歩留り性が悪くな
る。また、粒子径を小さくすれば、表面の仕上り性のよ
いシートを形成することができるが、粉砕に要するコス
トもその分増大する。また逆に、粒子径が余り大きい
と、抄造されたシートの表面が粗くなり、またシートの
表面から脱落し易くなる。そのため、カキ殻粉の粒子径
は一般に10〜500μmが好ましく、より好ましくは
20〜200μm程度である。また、このカキ殻粉は一
定範囲の粒子径に分級されたものであることが好ましい
が、難燃性シートが芯材等として使用される場合には、
特に分級されたものである必要はなく、それによってカ
キ殻の粉砕のためのコストも最少限にすることができ
る。
【0030】また、このカキ殻粉は、単なる無機質フィ
ラとして比較的少ない割合で添加することもできるが、
廃棄物であるカキ殻を積極的に利用するという点では、
不燃性シートを形成する材料の主材として、少なくとも
全材料の40重量%以上であることが好ましい。また特
に、カキ殻粉と共に抄造される材料が有機物であるパル
プのみである場合、カキ殻粉は50重量%以上であるこ
とが好ましく、60重量%以上であることがより好まし
い。これは燃焼試験によって確認され、50重量%の周
辺では若干の延焼はあるが自己消火し、また、60重量
%以上ではほとんど着火することがなかった。
ラとして比較的少ない割合で添加することもできるが、
廃棄物であるカキ殻を積極的に利用するという点では、
不燃性シートを形成する材料の主材として、少なくとも
全材料の40重量%以上であることが好ましい。また特
に、カキ殻粉と共に抄造される材料が有機物であるパル
プのみである場合、カキ殻粉は50重量%以上であるこ
とが好ましく、60重量%以上であることがより好まし
い。これは燃焼試験によって確認され、50重量%の周
辺では若干の延焼はあるが自己消火し、また、60重量
%以上ではほとんど着火することがなかった。
【0031】〈パルプ〉カキ殻粉は単独でもシートに抄
造することはできるが、その形成されたシートは柔軟性
がなく、折曲げたりすることによって容易に崩壊する。
そこで、本実施例の難燃性シートでは、主材としてのカ
キ殻粉に合わせて、比較的長い繊維性材料であるパルプ
が補助材料として使用される。
造することはできるが、その形成されたシートは柔軟性
がなく、折曲げたりすることによって容易に崩壊する。
そこで、本実施例の難燃性シートでは、主材としてのカ
キ殻粉に合わせて、比較的長い繊維性材料であるパルプ
が補助材料として使用される。
【0032】このパルプとしては、針葉樹等の木材から
得られたクラフトパルプ、リンタパルプ等だけでなく、
故紙を主原料としたパルプ、或いはリン酸パルプ等、任
意のパルプ材料を使用することができる。また、このパ
ルプは、それらの植物繊維質のパルプだけでなく、合成
樹脂から形成されたパルプ状の材料であることもでき
る。
得られたクラフトパルプ、リンタパルプ等だけでなく、
故紙を主原料としたパルプ、或いはリン酸パルプ等、任
意のパルプ材料を使用することができる。また、このパ
ルプは、それらの植物繊維質のパルプだけでなく、合成
樹脂から形成されたパルプ状の材料であることもでき
る。
【0033】そして、このパルプは、そのフィブリルが
偏平で微細な突起を有するカキ殻粉に絡み付くことによ
ってカキ殻粉を相互に結合するため、形成される難燃性
シートに十分な紙力を与え、柔軟性を付与する。したが
って、パルプは、この十分な紙力を得るために、抄造材
料全体の、即ち抄造される難燃性シート全体の少なくと
も5重量%以上の割合で含まれることが好ましい。しか
し、パルプは可燃性であるため、余り多い配合は好まし
くなく、カキ殻粉と共に抄造される材料がパルプのみで
ある場合には、上述のように50重量%以下とすること
が好ましい。また、バインダ、補強用繊維、セピオライ
ト等の他の原材料が合わせて用いられる場合には、パル
プの配合割合は、10重量%以内とすることが最も好ま
しい。
偏平で微細な突起を有するカキ殻粉に絡み付くことによ
ってカキ殻粉を相互に結合するため、形成される難燃性
シートに十分な紙力を与え、柔軟性を付与する。したが
って、パルプは、この十分な紙力を得るために、抄造材
料全体の、即ち抄造される難燃性シート全体の少なくと
も5重量%以上の割合で含まれることが好ましい。しか
し、パルプは可燃性であるため、余り多い配合は好まし
くなく、カキ殻粉と共に抄造される材料がパルプのみで
ある場合には、上述のように50重量%以下とすること
が好ましい。また、バインダ、補強用繊維、セピオライ
ト等の他の原材料が合わせて用いられる場合には、パル
プの配合割合は、10重量%以内とすることが最も好ま
しい。
【0034】〈補強用繊維〉このようにパルプを補助材
料として用いることによって、実用上必要な十分な紙力
を有する難燃性シートを形成することができる。しか
し、その難燃性シートの強度をより高いものとするため
に、それに合わせて、補強用繊維、バインダを更に配合
することが好ましい。
料として用いることによって、実用上必要な十分な紙力
を有する難燃性シートを形成することができる。しか
し、その難燃性シートの強度をより高いものとするため
に、それに合わせて、補強用繊維、バインダを更に配合
することが好ましい。
【0035】この補強用繊維としては、ガラス繊維、或
いは、炭素繊維、ロックウール繊維等の鉱物繊維、ステ
ンレス繊維等の金属繊維、チタン酸カリウム繊維等のセ
ラミック繊維またはウィスカー、石膏繊維等の無機化合
物繊維等が挙げられる。また、これらの無機質繊維だけ
でなく、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊
維等の有機質繊維も使用することができる。しかしなが
ら、これらの中でも、不燃性である点で無機質繊維が好
ましく、更には、無機質繊維の中でも、材料コスト、凝
集効果等の点からガラス繊維が最適である。なお、この
ガラス繊維の場合、繊維長さは2〜15mm程度が好ま
しい。
いは、炭素繊維、ロックウール繊維等の鉱物繊維、ステ
ンレス繊維等の金属繊維、チタン酸カリウム繊維等のセ
ラミック繊維またはウィスカー、石膏繊維等の無機化合
物繊維等が挙げられる。また、これらの無機質繊維だけ
でなく、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊
維等の有機質繊維も使用することができる。しかしなが
ら、これらの中でも、不燃性である点で無機質繊維が好
ましく、更には、無機質繊維の中でも、材料コスト、凝
集効果等の点からガラス繊維が最適である。なお、この
ガラス繊維の場合、繊維長さは2〜15mm程度が好ま
しい。
【0036】そして、この補強用繊維は任意の割合で配
合することができ、その配合割合を多くする程、難燃性
シートの強度を高めることができる。ただし、補強用繊
維自体は接着性がないため、余り多く配合してもシート
の紙力はその配合量に比例しない。そのため、補強用繊
維の配合割合は、抄造原料全体(難燃性シート全体)の
5〜20重量%が実用上最も好ましい範囲である。しか
し、パルプが比較的多く用いられる場合には、この補強
用繊維の配合割合は、より少なくすることができる。
合することができ、その配合割合を多くする程、難燃性
シートの強度を高めることができる。ただし、補強用繊
維自体は接着性がないため、余り多く配合してもシート
の紙力はその配合量に比例しない。そのため、補強用繊
維の配合割合は、抄造原料全体(難燃性シート全体)の
5〜20重量%が実用上最も好ましい範囲である。しか
し、パルプが比較的多く用いられる場合には、この補強
用繊維の配合割合は、より少なくすることができる。
【0037】〈バインダ〉バインダは高分子有機化合物
からなり、カキ殻粉、パルプ等の粒子材料を相互に接着
し結合して、難燃性シートの紙力を高める。
からなり、カキ殻粉、パルプ等の粒子材料を相互に接着
し結合して、難燃性シートの紙力を高める。
【0038】このバインダとしては、グアーガム、でん
ぷん等の天然高分子化合物も使用可能であるが、好まし
くは、合成高分子化合物である合成樹脂が使用される。
そして合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂
脂のいずれも適宜に用いることができ、また、凝集剤と
しての作用を合わせて有するカチオン系、アニオン系、
またはノニオン系のものを使用することができる。熱可
塑性樹脂は主に難燃性シートの乾燥時の紙力を高め、例
えば、カチオン、またはアニオン性のポリアミド、ポリ
アクリルアミド等の重合体または共重合体、或いは、ア
クリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹
脂、AS樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられる。また、熱硬化
性樹脂は主に難燃性シートの湿潤時の紙力を高め、例え
ば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムア
ルデヒド樹脂、エピクロルヒドリン系ポリアミド樹脂等
が代表的であるが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ア
ルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレ
ート樹脂等も使用することができる。
ぷん等の天然高分子化合物も使用可能であるが、好まし
くは、合成高分子化合物である合成樹脂が使用される。
そして合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂
脂のいずれも適宜に用いることができ、また、凝集剤と
しての作用を合わせて有するカチオン系、アニオン系、
またはノニオン系のものを使用することができる。熱可
塑性樹脂は主に難燃性シートの乾燥時の紙力を高め、例
えば、カチオン、またはアニオン性のポリアミド、ポリ
アクリルアミド等の重合体または共重合体、或いは、ア
クリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹
脂、AS樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられる。また、熱硬化
性樹脂は主に難燃性シートの湿潤時の紙力を高め、例え
ば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムア
ルデヒド樹脂、エピクロルヒドリン系ポリアミド樹脂等
が代表的であるが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ア
ルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレ
ート樹脂等も使用することができる。
【0039】そして、これらの特に合成樹脂のバインダ
は、粉体として、或いはディスパージョンまたはエマル
ジョンとして、スラリ中に分散することができる。水溶
液としても加えることもできるが、多量の添加はスラリ
の粘度を過剰に高めることになり、また抄造時の歩留り
も悪いため好ましくはない。最も好ましいのは粉体の形
態である。また、このバインダの配合割合は、抄造後の
難燃性シート全体に対して、一般に5重量%以下である
ことが好ましい。余り多い配合は、得られるシートの難
燃性を低下させるだけでなく、シートの柔軟性が反って
損なわれる。しかし、剛性のある難燃性シートを得るこ
とが望まれる場合には、より多くの配合も可能である。
は、粉体として、或いはディスパージョンまたはエマル
ジョンとして、スラリ中に分散することができる。水溶
液としても加えることもできるが、多量の添加はスラリ
の粘度を過剰に高めることになり、また抄造時の歩留り
も悪いため好ましくはない。最も好ましいのは粉体の形
態である。また、このバインダの配合割合は、抄造後の
難燃性シート全体に対して、一般に5重量%以下である
ことが好ましい。余り多い配合は、得られるシートの難
燃性を低下させるだけでなく、シートの柔軟性が反って
損なわれる。しかし、剛性のある難燃性シートを得るこ
とが望まれる場合には、より多くの配合も可能である。
【0040】なお、バインダとして熱可塑性樹脂または
熱硬化性樹脂が使用される場合には、乾燥工程Cにおけ
る加熱温度を、その樹脂が溶融し、または硬化する温度
とすることが必要である。
熱硬化性樹脂が使用される場合には、乾燥工程Cにおけ
る加熱温度を、その樹脂が溶融し、または硬化する温度
とすることが必要である。
【0041】〈セピオライト〉また、本実施例におい
て、カキ殻粉を主材として含むスラリには、更にセピオ
ライトを配合することができる。
て、カキ殻粉を主材として含むスラリには、更にセピオ
ライトを配合することができる。
【0042】セピオライトは、通称、マウンテンレザー
(山皮)、マウンテンコルク、マウンテンウッドと呼ば
れている粘土鉱物で、日本における海泡石もこの一種で
ある。外観はコルク状であったり、レザー状であった
り、まっ白な柔かい塊であったりするが、一般には繊維
性を持ったケイ酸マグネシウムの塊である。そして、そ
の表面には反応性に富んだ水酸基を有し、吸着性、揺変
性、固結性、焼結性等の基本的な性質がある。
(山皮)、マウンテンコルク、マウンテンウッドと呼ば
れている粘土鉱物で、日本における海泡石もこの一種で
ある。外観はコルク状であったり、レザー状であった
り、まっ白な柔かい塊であったりするが、一般には繊維
性を持ったケイ酸マグネシウムの塊である。そして、そ
の表面には反応性に富んだ水酸基を有し、吸着性、揺変
性、固結性、焼結性等の基本的な性質がある。
【0043】そして、抄造性にも優れたこのセピオライ
トを配合することによって、得られるシートの難燃性を
より高めることができるだけでなく、特に、その焼結性
によって、火炎に長時間晒されパルプ等の有機質分が炭
化しまたは焼失した場合にも、シートが欠落したり崩れ
落ちたりすることを防止し、その形状を保持することが
でき、それによって火炎を遮断することができる。した
がって、このセピオライトは、カキ殻粉の主材としての
使用を妨げない範囲で比較的多く使用することができ、
抄造材料全体に対して一般に15〜40重量%の割合で
配合することができる。そして、これによって、高温加
熱時の形状保持性が高められ、難燃性シートの耐火性を
向上することができる。
トを配合することによって、得られるシートの難燃性を
より高めることができるだけでなく、特に、その焼結性
によって、火炎に長時間晒されパルプ等の有機質分が炭
化しまたは焼失した場合にも、シートが欠落したり崩れ
落ちたりすることを防止し、その形状を保持することが
でき、それによって火炎を遮断することができる。した
がって、このセピオライトは、カキ殻粉の主材としての
使用を妨げない範囲で比較的多く使用することができ、
抄造材料全体に対して一般に15〜40重量%の割合で
配合することができる。そして、これによって、高温加
熱時の形状保持性が高められ、難燃性シートの耐火性を
向上することができる。
【0044】〈その他の配合材〉更に、本実施例の難燃
性シートを形成するためのスラリには、その他の材料も
必要に応じて配合して、カキ殻粉等と共に抄造すること
ができる。
性シートを形成するためのスラリには、その他の材料も
必要に応じて配合して、カキ殻粉等と共に抄造すること
ができる。
【0045】例えば、コロイドシリカを添加することが
でき、それによって、難燃性シートの白色度を増し、ま
た、シートを強化することができる。また、合成膨潤性
雲母または合成スメクタイトを配合することができ、そ
れによって、難燃性シートの表面の平滑性を高め、ソフ
ト感を高めることができる。更に、従来の難燃性シート
に用いられている水酸化アルミニウム、含水ホウ酸カル
シウム(灰硼石)、炭酸カルシウム(天然石の粉砕
物)、タルク、二酸化チタン、或いは水酸化マグネシウ
ム(ブルーサイト)等も、必要に応じて適宜添加するこ
とができる。ただし、これらは、主材であるカキ殻粉の
特性を阻害しないように、比較的少ない割合で使用され
ることが好ましい。
でき、それによって、難燃性シートの白色度を増し、ま
た、シートを強化することができる。また、合成膨潤性
雲母または合成スメクタイトを配合することができ、そ
れによって、難燃性シートの表面の平滑性を高め、ソフ
ト感を高めることができる。更に、従来の難燃性シート
に用いられている水酸化アルミニウム、含水ホウ酸カル
シウム(灰硼石)、炭酸カルシウム(天然石の粉砕
物)、タルク、二酸化チタン、或いは水酸化マグネシウ
ム(ブルーサイト)等も、必要に応じて適宜添加するこ
とができる。ただし、これらは、主材であるカキ殻粉の
特性を阻害しないように、比較的少ない割合で使用され
ることが好ましい。
【0046】ここで、上述の材料を使用した本実施例の
難燃性シートの製造試験例について説明する。
難燃性シートの製造試験例について説明する。
【0047】〔試験例1〕表2に示すNo.1乃至N
o.6の6種類の配合(重量%)で、カキ殻粉、パル
プ、ガラス繊維、及びセピオライトからなる抄造原料を
調製した。そして、これらの各抄造原料の2%のスラリ
を形成し、このスラリをTAPPI標準型手抄き機(抄
網80メッシュ)を用いて抄紙し、次いで、プレスして
脱水した後、オーブン中で120℃の温度で5分間乾燥
し、No.1乃至No.6の難燃性シートをそれぞれ作
製した。
o.6の6種類の配合(重量%)で、カキ殻粉、パル
プ、ガラス繊維、及びセピオライトからなる抄造原料を
調製した。そして、これらの各抄造原料の2%のスラリ
を形成し、このスラリをTAPPI標準型手抄き機(抄
網80メッシュ)を用いて抄紙し、次いで、プレスして
脱水した後、オーブン中で120℃の温度で5分間乾燥
し、No.1乃至No.6の難燃性シートをそれぞれ作
製した。
【0048】なお、ここで使用したカキ殻粉は、カキ殻
を粉砕して得た中心粒子径が約150μmで、30μm
程度の粒子から300μm程度までの粒子を含むもので
ある。またパルプとしては、クラフトパルプを使用し
た。ガラス繊維は、その繊維長さが約5mmである。な
お、パルプとセピオライトは、スラリを形成する前に、
予め叩解機に入れて十分に叩解した。また、スラリ形成
時には、凝集剤(歩留り促進剤)としてポリエチレンオ
キサイドを使用した。そのため、作製された難燃性シー
トには、僅かではあるがこれが含まれている。
を粉砕して得た中心粒子径が約150μmで、30μm
程度の粒子から300μm程度までの粒子を含むもので
ある。またパルプとしては、クラフトパルプを使用し
た。ガラス繊維は、その繊維長さが約5mmである。な
お、パルプとセピオライトは、スラリを形成する前に、
予め叩解機に入れて十分に叩解した。また、スラリ形成
時には、凝集剤(歩留り促進剤)としてポリエチレンオ
キサイドを使用した。そのため、作製された難燃性シー
トには、僅かではあるがこれが含まれている。
【0049】この試験は、主にカキ殻粉の配合割合(内
添率)と得られる難燃性シートの物性との関係を調べた
もので、カキ殻粉の配合を40重量%から70重量%ま
で6段階に変え、それに応じてセピオライトの配合を4
0重量%から15重量%まで調整したものである。そし
て、これらの各原料配合から得られたNo.1乃至N
o.6の難燃性シートの物性を、表2に合わせて示す。
なお、抄紙時の歩留りはほぼ100%に近いものであっ
たため、抄造原料の配合組成と得られた難燃性シートの
組成とはほぼ対応するものである。
添率)と得られる難燃性シートの物性との関係を調べた
もので、カキ殻粉の配合を40重量%から70重量%ま
で6段階に変え、それに応じてセピオライトの配合を4
0重量%から15重量%まで調整したものである。そし
て、これらの各原料配合から得られたNo.1乃至N
o.6の難燃性シートの物性を、表2に合わせて示す。
なお、抄紙時の歩留りはほぼ100%に近いものであっ
たため、抄造原料の配合組成と得られた難燃性シートの
組成とはほぼ対応するものである。
【0050】
【表2】
【0051】表2のように、カキ殻粉とセピオライトと
は性状も異なるために、得られた難燃性シートには重量
(g/m2 )、厚さ(mm)、密度(g/cm3 )にお
いて変動が見られるが、その変動量は僅かである。ま
た、引張強さ(kg)及び裂断強さ(引裂強度 kg)
については、カキ殻粉の配合割合が多くなるに従って若
干低下する傾向が見られるものの、70重量%の配合割
合であるNo.6の難燃性シートの場合でも、5重量%
のパルプの配合で実用上十分な強度を有するものであっ
た。なお、この紙力強度試験に用いた難燃性シートは、
20×25cmのタッピーシート判の大きさである。
は性状も異なるために、得られた難燃性シートには重量
(g/m2 )、厚さ(mm)、密度(g/cm3 )にお
いて変動が見られるが、その変動量は僅かである。ま
た、引張強さ(kg)及び裂断強さ(引裂強度 kg)
については、カキ殻粉の配合割合が多くなるに従って若
干低下する傾向が見られるものの、70重量%の配合割
合であるNo.6の難燃性シートの場合でも、5重量%
のパルプの配合で実用上十分な強度を有するものであっ
た。なお、この紙力強度試験に用いた難燃性シートは、
20×25cmのタッピーシート判の大きさである。
【0052】また、この紙力試験とは別にメッケルバー
ナ法による燃焼試験を行った。これによれば、No.1
乃至No.6の難燃性シートは、炎に晒された部分では
黒煙を発生し黒色化したが、燃焼はなく、いずれも完全
な不着火性を示した。更に、これらの難燃性シートを電
気炉に入れて、有機質分が完全に焼失するまで加熱した
が、いずれのシートも崩れ落ちることなく、その形状が
保持された。ただ、セピオライトの配合が15重量%と
比較的少ないNo.6のシートでは、成分の脱落が僅か
に見られた。
ナ法による燃焼試験を行った。これによれば、No.1
乃至No.6の難燃性シートは、炎に晒された部分では
黒煙を発生し黒色化したが、燃焼はなく、いずれも完全
な不着火性を示した。更に、これらの難燃性シートを電
気炉に入れて、有機質分が完全に焼失するまで加熱した
が、いずれのシートも崩れ落ちることなく、その形状が
保持された。ただ、セピオライトの配合が15重量%と
比較的少ないNo.6のシートでは、成分の脱落が僅か
に見られた。
【0053】このように、得られた難燃性シートは、カ
キ殻粉の粒子径が不揃いで粗粒の混入も多いため表面に
ザラつきはあったが、抄造性がよいと共に、カキ殻粉の
配合割合にかかわらず十分な紙力を有し、しかも、優れ
た不燃性と耐火性または耐熱性を有するものであった。
キ殻粉の粒子径が不揃いで粗粒の混入も多いため表面に
ザラつきはあったが、抄造性がよいと共に、カキ殻粉の
配合割合にかかわらず十分な紙力を有し、しかも、優れ
た不燃性と耐火性または耐熱性を有するものであった。
【0054】〔試験例2〕表3に示す抄造原料の配合
(重量%)で、試験例1と同様に、難燃性シートを作製
した。そして、この試験ではバインダを更に配合し、そ
の配合量と得られる難燃性シートの物性との関係を調べ
た。ここで、バインダとしては、粉状のアクリル系の熱
可塑性樹脂を使用した。なお、カキ殻粉等の他の材料
は、試験例1で用いたものと同じである。また、抄造条
件についても、乾燥温度を150℃とし、15分間加熱
した他は、試験例1と同じである。
(重量%)で、試験例1と同様に、難燃性シートを作製
した。そして、この試験ではバインダを更に配合し、そ
の配合量と得られる難燃性シートの物性との関係を調べ
た。ここで、バインダとしては、粉状のアクリル系の熱
可塑性樹脂を使用した。なお、カキ殻粉等の他の材料
は、試験例1で用いたものと同じである。また、抄造条
件についても、乾燥温度を150℃とし、15分間加熱
した他は、試験例1と同じである。
【0055】そして、バインダの配合を1.0重量%、
1.5重量%、及び2.0重量%に変え、それと共にセ
ピオライトを減量したNo.1乃至No.3の難燃性シ
ートについて、その物性を測定した。その結果を表3に
合わせて示す。なお、紙力試験条件は試験例1の場合と
同じであり、伸び(%)は難燃性シートの破断時のもの
である。
1.5重量%、及び2.0重量%に変え、それと共にセ
ピオライトを減量したNo.1乃至No.3の難燃性シ
ートについて、その物性を測定した。その結果を表3に
合わせて示す。なお、紙力試験条件は試験例1の場合と
同じであり、伸び(%)は難燃性シートの破断時のもの
である。
【0056】
【表3】
【0057】表3のように、バインダを配合することに
よって、試験例1の場合に比較して、難燃性シートの紙
力がかなり増強された。ただし、この試験結果からは、
アクリル系樹脂からなるバインダの配合割合が変わって
も、紙力の増強効果にはほとんど差異が生じなかった。
このことは、バインダが比較的少ない配合割合でも十分
な紙力の増強効果を生じることを示している。
よって、試験例1の場合に比較して、難燃性シートの紙
力がかなり増強された。ただし、この試験結果からは、
アクリル系樹脂からなるバインダの配合割合が変わって
も、紙力の増強効果にはほとんど差異が生じなかった。
このことは、バインダが比較的少ない配合割合でも十分
な紙力の増強効果を生じることを示している。
【0058】なお、これらのNo.1乃至No.3の難
燃性シートについて、別途メッケルバーナ法による燃焼
試験を行ったが、試験例1の場合と同様に、いずれも完
全な不着火性を示した。
燃性シートについて、別途メッケルバーナ法による燃焼
試験を行ったが、試験例1の場合と同様に、いずれも完
全な不着火性を示した。
【0059】〔試験例3〕更に、表4の配合(重量%)
で抄造原料を調製し、そのスラリから試験例1,2と同
様に難燃性シートを作製した。この試験は、補強用繊維
であるガラス繊維の配合割合と得られる難燃性シートの
物性との関係を調べたもので、ガラス繊維の配合を10
重量%、15重量%、20重量%に変え、それに応じて
セピオライトの配合を減少させた。それぞれ得られたN
o.1乃至No.3の難燃性シートの紙力強度試験の結
果を表4に合わせて示す。
で抄造原料を調製し、そのスラリから試験例1,2と同
様に難燃性シートを作製した。この試験は、補強用繊維
であるガラス繊維の配合割合と得られる難燃性シートの
物性との関係を調べたもので、ガラス繊維の配合を10
重量%、15重量%、20重量%に変え、それに応じて
セピオライトの配合を減少させた。それぞれ得られたN
o.1乃至No.3の難燃性シートの紙力強度試験の結
果を表4に合わせて示す。
【0060】
【表4】
【0061】表4のように、ガラス繊維の配合割合を1
0重量%(No.1)から15重量%(No.2)、2
0重量%(No.3)に増量しても、紙力の増強は余り
見られなかった。ただし、表には示されていないが、ガ
ラス繊維は嵩高であることから、形成された難燃性シー
トの重量と厚さはガラス繊維の配合が多くなるに従って
増加し、また、密度は低下する傾向にあった。そしてこ
の試験結果は、補強用繊維としてのガラス繊維による紙
力の増強効果は、10〜15重量%の配合割合でほぼ飽
和することを示している。
0重量%(No.1)から15重量%(No.2)、2
0重量%(No.3)に増量しても、紙力の増強は余り
見られなかった。ただし、表には示されていないが、ガ
ラス繊維は嵩高であることから、形成された難燃性シー
トの重量と厚さはガラス繊維の配合が多くなるに従って
増加し、また、密度は低下する傾向にあった。そしてこ
の試験結果は、補強用繊維としてのガラス繊維による紙
力の増強効果は、10〜15重量%の配合割合でほぼ飽
和することを示している。
【0062】〔試験例4〕なお、表5の原料配合に示す
ように、パルプ(クラフトパルプ)の配合割合を5重量
%(No.1)から、7.5重量%(No.2)、10
重量%(No.3)に変え、得られる難燃性シートの紙
力との関係を調べた。難燃性シートの作製条件、試験条
件は上述の試験例の場合と同じである。ただし、別個の
試験として行ったため、原料配合が同じでも、得られた
難燃性シートの物性には多少の変動がある。そして、得
られた各難燃性シートの紙力を、表5に合わせて示す。
ように、パルプ(クラフトパルプ)の配合割合を5重量
%(No.1)から、7.5重量%(No.2)、10
重量%(No.3)に変え、得られる難燃性シートの紙
力との関係を調べた。難燃性シートの作製条件、試験条
件は上述の試験例の場合と同じである。ただし、別個の
試験として行ったため、原料配合が同じでも、得られた
難燃性シートの物性には多少の変動がある。そして、得
られた各難燃性シートの紙力を、表5に合わせて示す。
【0063】
【表5】
【0064】表5のように、パルプの配合割合を5重量
%(No.1)から7.5重量%(No.2)に増量す
ると、かなりの紙力の増強があった。しかし、10重量
%(No.3)に更に増量しても、紙力の増強は余り見
られない。そこで、この試験結果から、パルプの配合割
合は、難燃性、耐火性の点から5〜7.5重量%程度の
範囲が最も好ましいことがわかる。ただし、紙力試験と
は別に行ったメッケルバーナ法による燃焼試験によれ
ば、パルプが10重量%含有されているNo.3の難燃
性シートであっても、完全な不着火性を示した。
%(No.1)から7.5重量%(No.2)に増量す
ると、かなりの紙力の増強があった。しかし、10重量
%(No.3)に更に増量しても、紙力の増強は余り見
られない。そこで、この試験結果から、パルプの配合割
合は、難燃性、耐火性の点から5〜7.5重量%程度の
範囲が最も好ましいことがわかる。ただし、紙力試験と
は別に行ったメッケルバーナ法による燃焼試験によれ
ば、パルプが10重量%含有されているNo.3の難燃
性シートであっても、完全な不着火性を示した。
【0065】これらの試験例1乃至試験例4から、抄造
原料であるカキ殻粉、パルプ、ガラス繊維(補強用繊
維)、セピオライト、及びバインダは広い範囲の配合割
合で使用できることがわかるが、その好ましい代表的な
一例を挙げるとすれば、次のものである。即ち、抄造原
料の配合組成(難燃性シートの組成)の好ましい一例
は、カキ殻粉60重量%、パルプ7重量%、ガラス繊維
10重量%、セピオライト21.5重量%、及びバイン
ダ1.5重量%からなるものである。また、耐火性を特
に高めたものとして、カキ殻粉50重量%、パルプ5重
量%、ガラス繊維10重量%、セピオライト33.5重
量%、及びバインダ1.5重量%からなる組成を挙げる
こともできる。
原料であるカキ殻粉、パルプ、ガラス繊維(補強用繊
維)、セピオライト、及びバインダは広い範囲の配合割
合で使用できることがわかるが、その好ましい代表的な
一例を挙げるとすれば、次のものである。即ち、抄造原
料の配合組成(難燃性シートの組成)の好ましい一例
は、カキ殻粉60重量%、パルプ7重量%、ガラス繊維
10重量%、セピオライト21.5重量%、及びバイン
ダ1.5重量%からなるものである。また、耐火性を特
に高めたものとして、カキ殻粉50重量%、パルプ5重
量%、ガラス繊維10重量%、セピオライト33.5重
量%、及びバインダ1.5重量%からなる組成を挙げる
こともできる。
【0066】このように、本実施例の難燃性シートは、
カキ殻を粉砕して得た粒子径10〜500μmのカキ殻
粉を主材とし、パルプを補助材料として含むスラリを、
スラリ形成工程A、抄紙工程B、及び乾燥工程Cを含む
一般的な抄造工程によって、抄造してなるものである。
カキ殻を粉砕して得た粒子径10〜500μmのカキ殻
粉を主材とし、パルプを補助材料として含むスラリを、
スラリ形成工程A、抄紙工程B、及び乾燥工程Cを含む
一般的な抄造工程によって、抄造してなるものである。
【0067】したがって、これによれば、主材であるカ
キ殻粉は炭酸カルシウムから実質的になる無機物である
ため、難燃性に優れたシートを得ることができる。ま
た、カキ殻の粉砕物であるカキ殻粉は偏平な粒子形状を
有し、しかもその表面には微細な突起を含むので、補助
材料であるパルプと絡み付き易く、少ないパルプの配合
によっても相互に強固に結合されるため、十分な紙力を
有する難燃性シートを得ることができる。また、主材と
するカキ殻粉は廃棄物であるカキ殻を粉砕したものであ
るため、安価な難燃性シートを得ることができる。そし
て、特に、カキ殻をこのように難燃性シートの主材とし
て有効に利用できるため、カキ殻の廃棄処理問題の解決
にも貢献することができる。
キ殻粉は炭酸カルシウムから実質的になる無機物である
ため、難燃性に優れたシートを得ることができる。ま
た、カキ殻の粉砕物であるカキ殻粉は偏平な粒子形状を
有し、しかもその表面には微細な突起を含むので、補助
材料であるパルプと絡み付き易く、少ないパルプの配合
によっても相互に強固に結合されるため、十分な紙力を
有する難燃性シートを得ることができる。また、主材と
するカキ殻粉は廃棄物であるカキ殻を粉砕したものであ
るため、安価な難燃性シートを得ることができる。そし
て、特に、カキ殻をこのように難燃性シートの主材とし
て有効に利用できるため、カキ殻の廃棄処理問題の解決
にも貢献することができる。
【0068】また、本実施例の難燃性シートにおいて
は、カキ殻粉を主材として含む上記スラリに、更に補強
用繊維を配合することができ、これによって、得られる
難燃性シートの紙力をより高めることができる。また、
同様に、高分子有機化合物からなるバインダを更に配合
することもでき、これによって、得られる難燃性シート
の紙力をより高めることができる。
は、カキ殻粉を主材として含む上記スラリに、更に補強
用繊維を配合することができ、これによって、得られる
難燃性シートの紙力をより高めることができる。また、
同様に、高分子有機化合物からなるバインダを更に配合
することもでき、これによって、得られる難燃性シート
の紙力をより高めることができる。
【0069】更に、含水ケイ酸マグネシウム鉱物である
セピオライトを、カキ殻粉を主材として含む上記スラリ
に更に配合することができる。そして、これによれば、
特に有機質分の炭化または消失後のシートの形状保持性
を高めることができ、難燃性シートの耐火性を向上する
ことができる。
セピオライトを、カキ殻粉を主材として含む上記スラリ
に更に配合することができる。そして、これによれば、
特に有機質分の炭化または消失後のシートの形状保持性
を高めることができ、難燃性シートの耐火性を向上する
ことができる。
【0070】そして、このような難燃性シートは難燃性
に優れ、また十分な紙力を有しているので、幅広い種々
の分野に利用できる。例えば、壁装材等の建築内装材、
建材表装材等として使用でき、また、建材或いは炉壁等
の芯材として使用されるハニカムコア、ロールコア等の
コアを形成するための紙材として、また樹脂含浸積層材
の芯紙材として利用することができる。更に、シール
材、ガスケット、パッキング、アスファルトルーヒン
グ、クッションフロアー等の用途にも利用することがで
きる。そして、それらの用途に応じて、この難燃性シー
トには着色、印刷、撥水処理等の適宜の表面処理、或い
は加工等を施すことができる。また、この難燃性シート
は、金属箔或いはガラス繊維クロス等を積層することに
よって、強度の高い難燃性のシート材料とすることもで
きる。
に優れ、また十分な紙力を有しているので、幅広い種々
の分野に利用できる。例えば、壁装材等の建築内装材、
建材表装材等として使用でき、また、建材或いは炉壁等
の芯材として使用されるハニカムコア、ロールコア等の
コアを形成するための紙材として、また樹脂含浸積層材
の芯紙材として利用することができる。更に、シール
材、ガスケット、パッキング、アスファルトルーヒン
グ、クッションフロアー等の用途にも利用することがで
きる。そして、それらの用途に応じて、この難燃性シー
トには着色、印刷、撥水処理等の適宜の表面処理、或い
は加工等を施すことができる。また、この難燃性シート
は、金属箔或いはガラス繊維クロス等を積層することに
よって、強度の高い難燃性のシート材料とすることもで
きる。
【0071】
【発明の効果】以上のように、請求項1にかかる難燃性
シートは、カキ殻を粉砕して得た粒子径10〜500μ
mのカキ殻粉を主材とし、パルプを補助材料として含む
スラリを抄造してなるものである。
シートは、カキ殻を粉砕して得た粒子径10〜500μ
mのカキ殻粉を主材とし、パルプを補助材料として含む
スラリを抄造してなるものである。
【0072】そのため、主材であるカキ殻粉は実質的に
炭酸カルシウムからなる無機物であるので、難燃性の優
れたシートを得ることができる。また、カキ殻の粉砕物
であるカキ殻粉は偏平な粒子形状を有し、しかも表面に
は微細な突起を含むので、補助材料であるパルプと絡み
付き易く、少ないパルプの配合によっても相互に強固に
結合されるため、十分な紙力を有する難燃性シートを得
ることができる。したがって、これによれば、優れた難
燃性を有すると共に十分な紙力を有する難燃性シートを
得ることができる。そして、このように、廃棄物である
カキ殻を難燃性シートの主材として有効に利用すること
ができるため、それの廃棄処理問題の解決にも資するこ
とができる。
炭酸カルシウムからなる無機物であるので、難燃性の優
れたシートを得ることができる。また、カキ殻の粉砕物
であるカキ殻粉は偏平な粒子形状を有し、しかも表面に
は微細な突起を含むので、補助材料であるパルプと絡み
付き易く、少ないパルプの配合によっても相互に強固に
結合されるため、十分な紙力を有する難燃性シートを得
ることができる。したがって、これによれば、優れた難
燃性を有すると共に十分な紙力を有する難燃性シートを
得ることができる。そして、このように、廃棄物である
カキ殻を難燃性シートの主材として有効に利用すること
ができるため、それの廃棄処理問題の解決にも資するこ
とができる。
【0073】また、請求項2にかかる難燃性シートは、
カキ殻粉を主材として含む請求項1のスラリに、更に補
強用繊維を含めたものである。
カキ殻粉を主材として含む請求項1のスラリに、更に補
強用繊維を含めたものである。
【0074】したがって、カキ殻粉を主材とする難燃性
シートはこの内添された補強用繊維によって補強される
ため、難燃性シートの紙力をより高めることができる。
シートはこの内添された補強用繊維によって補強される
ため、難燃性シートの紙力をより高めることができる。
【0075】請求項3にかかる難燃性シートは、カキ殻
粉を主材として含む請求項1または請求項2のスラリ
に、更に高分子有機化合物からなるバインダを含めたも
のである。
粉を主材として含む請求項1または請求項2のスラリ
に、更に高分子有機化合物からなるバインダを含めたも
のである。
【0076】したがって、カキ殻粉を主材とする難燃性
シートの成分はこの内添されたバインダによって相互に
結合されるため、難燃性シートの紙力をより高めること
ができる。
シートの成分はこの内添されたバインダによって相互に
結合されるため、難燃性シートの紙力をより高めること
ができる。
【0077】請求項4にかかる難燃性シートは、カキ殻
粉を主材として含む請求項1乃至請求項3のいずれか1
項のスラリに、更にセピオライトを含めたものである。
粉を主材として含む請求項1乃至請求項3のいずれか1
項のスラリに、更にセピオライトを含めたものである。
【0078】したがって、セピオライトは無機の含水鉱
物であるためシートの難燃性がより高められるだけでな
く、セピオライトは焼結性を有するため難燃性シートの
耐火性が向上され、難燃性シートの有機質分が高温加熱
時に炭化しまたは焼失した場合であっても、内添された
セピオライトによってシートの形状が保持され、欠落や
崩れ落ちが防止される。即ち、難燃性シートの難燃性を
より高めることができると共に、耐火性を向上すること
ができる。
物であるためシートの難燃性がより高められるだけでな
く、セピオライトは焼結性を有するため難燃性シートの
耐火性が向上され、難燃性シートの有機質分が高温加熱
時に炭化しまたは焼失した場合であっても、内添された
セピオライトによってシートの形状が保持され、欠落や
崩れ落ちが防止される。即ち、難燃性シートの難燃性を
より高めることができると共に、耐火性を向上すること
ができる。
【0079】請求項5にかかる難燃性シートは、カキ殻
を粉砕して得た粒子径10〜500μmのカキ殻粉を主
材とし、補助材料としてのパルプと、補強用繊維と、高
分子有機化合物からなるバインダと、セピオライトとを
含むスラリを抄造してなるものである。
を粉砕して得た粒子径10〜500μmのカキ殻粉を主
材とし、補助材料としてのパルプと、補強用繊維と、高
分子有機化合物からなるバインダと、セピオライトとを
含むスラリを抄造してなるものである。
【0080】したがって、主材としてのカキ殻粉と補助
材料としてのパルプの他に、補強用繊維と高分子有機化
合物からなるバインダとセピオライトを含むので、請求
項1の効果に加えて、紙力がより高く、難燃性がより優
れ、また耐火性にも優れた難燃性シートを得ることがで
きる。
材料としてのパルプの他に、補強用繊維と高分子有機化
合物からなるバインダとセピオライトを含むので、請求
項1の効果に加えて、紙力がより高く、難燃性がより優
れ、また耐火性にも優れた難燃性シートを得ることがで
きる。
【図1】図1は本発明の実施例の難燃性シートの一般的
製造工程を示す説明図である。
製造工程を示す説明図である。
A スラリ形成工程 B 抄紙工程 C 乾燥工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 好正 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 堀 長生 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 小川 晴果 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 三谷 一房 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 川原 正雄 埼玉県川越市南台1丁目10番地4 株式会 社ショックベトン・ジャパン内 (72)発明者 林 鍵三 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内 (72)発明者 林 宏三 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内 (72)発明者 土屋 孝次 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内
Claims (5)
- 【請求項1】 カキ殻を粉砕して得た粒子径10〜50
0μmのカキ殻粉を主材とし、パルプを補助材料として
含むスラリを、抄造してなることを特徴とする難燃性シ
ート。 - 【請求項2】 前記カキ殻粉を主材として含むスラリ
に、更に補強用繊維を含めたことを特徴とする請求項1
に記載の難燃性シート。 - 【請求項3】 前記カキ殻粉を主材として含むスラリ
に、更に高分子有機化合物からなるバインダを含めたこ
とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の難燃性
シート。 - 【請求項4】 前記カキ殻粉を主材として含むスラリ
に、更にセピオライトを含めたことを特徴とする請求項
1乃至請求項3のいずれか1項に記載の難燃性シート。 - 【請求項5】 カキ殻を粉砕して得た粒子径10〜50
0μmのカキ殻粉を主材とし、補助材料としてのパルプ
と、補強用繊維と、高分子有機化合物からなるバインダ
と、セピオライトとを含むスラリを抄造してなることを
特徴とする難燃性シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28491294A JPH08144194A (ja) | 1994-11-18 | 1994-11-18 | 難燃性シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28491294A JPH08144194A (ja) | 1994-11-18 | 1994-11-18 | 難燃性シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08144194A true JPH08144194A (ja) | 1996-06-04 |
Family
ID=17684666
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28491294A Pending JPH08144194A (ja) | 1994-11-18 | 1994-11-18 | 難燃性シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08144194A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1088859A1 (en) * | 1999-09-28 | 2001-04-04 | Geopolimeri S.r.l. | Process for producing inorganic flours from natural waste products and their use |
JP2003089998A (ja) * | 2001-09-14 | 2003-03-28 | Asahi Kasei Corp | 不燃性軟質面材 |
JP2020183600A (ja) * | 2019-08-21 | 2020-11-12 | 株式会社Samurai Trading | 繊維成形品の製造方法、繊維成形品 |
CN114539801A (zh) * | 2021-11-25 | 2022-05-27 | 广西医科大学 | 一种牡蛎壳粉增强的3d打印复合材料及制备方法 |
-
1994
- 1994-11-18 JP JP28491294A patent/JPH08144194A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1088859A1 (en) * | 1999-09-28 | 2001-04-04 | Geopolimeri S.r.l. | Process for producing inorganic flours from natural waste products and their use |
JP2003089998A (ja) * | 2001-09-14 | 2003-03-28 | Asahi Kasei Corp | 不燃性軟質面材 |
JP2020183600A (ja) * | 2019-08-21 | 2020-11-12 | 株式会社Samurai Trading | 繊維成形品の製造方法、繊維成形品 |
CN114539801A (zh) * | 2021-11-25 | 2022-05-27 | 广西医科大学 | 一种牡蛎壳粉增强的3d打印复合材料及制备方法 |
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