JPH075296A - 軟x線用多層膜 - Google Patents
軟x線用多層膜Info
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- JPH075296A JPH075296A JP5142295A JP14229593A JPH075296A JP H075296 A JPH075296 A JP H075296A JP 5142295 A JP5142295 A JP 5142295A JP 14229593 A JP14229593 A JP 14229593A JP H075296 A JPH075296 A JP H075296A
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- Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 屈折率の異なる2種の薄膜がそれぞれ所定の
膜厚で交互に積層された構造の軟X線多層膜において、
屈折率の低い方の薄膜を、組成式CoxCr1-x(式中、
xは0.3ないし0.8の数字である。)を有するコバ
ルトとクロムの合金とする。 【効果】 短周期で、界面粗さが小さい、しかも波長1
00Å以下の軟X線を高い反射率で反射する多層膜を得
ることができる。
膜厚で交互に積層された構造の軟X線多層膜において、
屈折率の低い方の薄膜を、組成式CoxCr1-x(式中、
xは0.3ないし0.8の数字である。)を有するコバ
ルトとクロムの合金とする。 【効果】 短周期で、界面粗さが小さい、しかも波長1
00Å以下の軟X線を高い反射率で反射する多層膜を得
ることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシンクロトロン放射光の
ビームライン光学素子、X線顕微鏡、X線露光装置など
の理科学機器、製造装置に広く用いられ、特に入射角が
鏡面に垂直に近い正入射の場合でも好適に使用できる軟
X線用の多層膜反射鏡に関する。
ビームライン光学素子、X線顕微鏡、X線露光装置など
の理科学機器、製造装置に広く用いられ、特に入射角が
鏡面に垂直に近い正入射の場合でも好適に使用できる軟
X線用の多層膜反射鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、真空紫外線と称される光よりも波
長が短い光に対しては、ほとんどの物質の屈折率がほぼ
1に等しくなるとともに、これらの物質の吸収係数が無
視できない程度に大きくなるため、通常の反射鏡では、
この種の光が鏡面に垂直または垂直に近い入射角で入射
した場合には、反射率が1%以下となり、反射鏡として
の機能を果たさなくなる。
長が短い光に対しては、ほとんどの物質の屈折率がほぼ
1に等しくなるとともに、これらの物質の吸収係数が無
視できない程度に大きくなるため、通常の反射鏡では、
この種の光が鏡面に垂直または垂直に近い入射角で入射
した場合には、反射率が1%以下となり、反射鏡として
の機能を果たさなくなる。
【0003】しかしながら、近年、薄膜の膜厚をオング
ストロームのオーダーで制御しながら多数積層する技術
が開発され、この技術を使って多数の層界面からの各反
射光が互いに干渉して強め合うように各層膜厚が設定さ
れた多層膜反射鏡が提案され、その後、その研究開発が
盛んに行なわれるようになった。
ストロームのオーダーで制御しながら多数積層する技術
が開発され、この技術を使って多数の層界面からの各反
射光が互いに干渉して強め合うように各層膜厚が設定さ
れた多層膜反射鏡が提案され、その後、その研究開発が
盛んに行なわれるようになった。
【0004】一般に、多層膜反射鏡は、異なる物質から
なる複数の薄膜が交互に数十〜数百層積層された多層膜
から成るが、高い反射率を得るためには、互いに隣接す
る薄膜間で構成物質の屈折率差が大きくなるように、複
数の薄膜材料の組み合せを選択する必要がある。屈折率
の差が大きい組み合せを選ぶ上での大まかな基準とし
て、重元素を主成分とする薄膜材料と軽元素を主成分と
する薄膜材料との組み合せを用いれば良いことが分かっ
ている。
なる複数の薄膜が交互に数十〜数百層積層された多層膜
から成るが、高い反射率を得るためには、互いに隣接す
る薄膜間で構成物質の屈折率差が大きくなるように、複
数の薄膜材料の組み合せを選択する必要がある。屈折率
の差が大きい組み合せを選ぶ上での大まかな基準とし
て、重元素を主成分とする薄膜材料と軽元素を主成分と
する薄膜材料との組み合せを用いれば良いことが分かっ
ている。
【0005】これまで、軟X線の波長が約100Å程度
以下の場合におけるこのような材料の組み合せとして
は、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)
などの重元素を主成分とする薄膜材料と、炭素(C)、
ホウ素(B)などの軽元素を主成分とする薄膜材料との
組み合せが知られている。
以下の場合におけるこのような材料の組み合せとして
は、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)
などの重元素を主成分とする薄膜材料と、炭素(C)、
ホウ素(B)などの軽元素を主成分とする薄膜材料との
組み合せが知られている。
【0006】中でもコバルト(Co)は、軟X線の波長
が100Å以下の場合に、軽元素との屈折率の差が大き
く、また吸収係数が比較的小さいことから、上記波長を
反射する多層膜の好適な構成材料である。
が100Å以下の場合に、軽元素との屈折率の差が大き
く、また吸収係数が比較的小さいことから、上記波長を
反射する多層膜の好適な構成材料である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、P. Rut
eranaらが報告しているように(J.Appl.Pys., Vol.68,
p.1033, 1990)、コバルトは膜厚約30Å以下の薄膜と
しようとする場合、材料の凝縮を起こし、一様で連続な
薄膜を得ることができない。このため、膜厚約30Å以
下のコバルトの薄膜を低屈折率層として有する多層膜に
おいては、コバルト層が島状となり、多層膜の層界面の
粗さが大きくなってX線の散乱が増すため、反射率が低
下し、甚だしい場合にはほとんど反射が起こらないとい
う欠点がある。
eranaらが報告しているように(J.Appl.Pys., Vol.68,
p.1033, 1990)、コバルトは膜厚約30Å以下の薄膜と
しようとする場合、材料の凝縮を起こし、一様で連続な
薄膜を得ることができない。このため、膜厚約30Å以
下のコバルトの薄膜を低屈折率層として有する多層膜に
おいては、コバルト層が島状となり、多層膜の層界面の
粗さが大きくなってX線の散乱が増すため、反射率が低
下し、甚だしい場合にはほとんど反射が起こらないとい
う欠点がある。
【0008】本発明の目的は、膜厚30Å以下のコバル
ト薄膜においても材料の凝縮を抑え、均一かつ連続な薄
膜よりなる多層膜を形成することにより、高反射率を有
する、短周期の軟X線用多層膜を形成することにある。
ト薄膜においても材料の凝縮を抑え、均一かつ連続な薄
膜よりなる多層膜を形成することにより、高反射率を有
する、短周期の軟X線用多層膜を形成することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、屈折率の異な
る2種の薄膜がそれぞれ所定の膜厚で交互に積層してな
る軟X線用多層膜において、屈折率の低い方の薄膜が、
主としてコバルト(Co)とクロム(Cr)の合金より
成り、しかも該合金の組成式がCoxCr1-x(式中、x
は0.3ないし0.8の数字である。)であることを特
徴とする軟X線用多層膜を提供する。
る2種の薄膜がそれぞれ所定の膜厚で交互に積層してな
る軟X線用多層膜において、屈折率の低い方の薄膜が、
主としてコバルト(Co)とクロム(Cr)の合金より
成り、しかも該合金の組成式がCoxCr1-x(式中、x
は0.3ないし0.8の数字である。)であることを特
徴とする軟X線用多層膜を提供する。
【0010】本発明者らは以前に、クロムが膜厚10Å
程度の薄膜形成でも材料の凝縮を起こさず、均一かつ連
続な多層膜を与えることを見いだし、それを報告した
(Proc.SPIE, Vol. 1720, p.208, 1992)。このことか
ら、クロムは短波長においても高反射率の期待できる好
適な材料の1つである。しかしながら、クロムとコバル
トの波長100Å以下での光学定数を比較すると(Henk
eら、At. Data Nucl. Data Tables, Vol.27, p.1, 198
2)、種々の高屈折率物質(軽元素)との屈折率の差は
コバルトの方がかなり大きく、均一かつ連続なコバルト
薄膜が30Å以下においても形成できるのであれば、ク
ロムの薄膜を用いた多層膜に比べて高い反射率が得られ
るはずである。図2に1例として、組み合せがコバルト
と炭素(Co/C)である多層膜およびクロムと炭素
(Cr/C)である多層膜であって、波長45Åで最適
設定されたものについての、層数(層対数)による反射
率計算値の変化、すなわち反射率の層数依存性を示す。
程度の薄膜形成でも材料の凝縮を起こさず、均一かつ連
続な多層膜を与えることを見いだし、それを報告した
(Proc.SPIE, Vol. 1720, p.208, 1992)。このことか
ら、クロムは短波長においても高反射率の期待できる好
適な材料の1つである。しかしながら、クロムとコバル
トの波長100Å以下での光学定数を比較すると(Henk
eら、At. Data Nucl. Data Tables, Vol.27, p.1, 198
2)、種々の高屈折率物質(軽元素)との屈折率の差は
コバルトの方がかなり大きく、均一かつ連続なコバルト
薄膜が30Å以下においても形成できるのであれば、ク
ロムの薄膜を用いた多層膜に比べて高い反射率が得られ
るはずである。図2に1例として、組み合せがコバルト
と炭素(Co/C)である多層膜およびクロムと炭素
(Cr/C)である多層膜であって、波長45Åで最適
設定されたものについての、層数(層対数)による反射
率計算値の変化、すなわち反射率の層数依存性を示す。
【0011】図2より、同じ層数ではCo/Cの反射率
がCr/Cを上回ることがわかるが、一方、同じ反射率
を得るためにはCo/Cの方が少ない積層数で済むこと
が分かる。このことは、Co/C多層膜が、同じ性能の
ものを得るのに単に製造が容易であるということ以外
に、次に示す優れた長所を持つことを意味している。
がCr/Cを上回ることがわかるが、一方、同じ反射率
を得るためにはCo/Cの方が少ない積層数で済むこと
が分かる。このことは、Co/C多層膜が、同じ性能の
ものを得るのに単に製造が容易であるということ以外
に、次に示す優れた長所を持つことを意味している。
【0012】すなわち、一般に多層膜においては反射で
きる波長の範囲が多層膜の構造によって決まるあるバン
ド幅に限定されており、このバンド幅は多層膜の層数に
ほぼ反比例している。すなわち、層数の増加に伴ってバ
ンド幅は狭くなる。従って、反射率ピークが同等の多層
膜をより少ない層数で形成できれば、その多層膜の入射
光に対する積分反射率はより大きくなる。積分反射率の
大きな多層膜は例えばX線の露光装置に用いた場合にス
ループットが上がるなど、多層膜を用いた光学装置の効
率を上昇させる効果を有する。
きる波長の範囲が多層膜の構造によって決まるあるバン
ド幅に限定されており、このバンド幅は多層膜の層数に
ほぼ反比例している。すなわち、層数の増加に伴ってバ
ンド幅は狭くなる。従って、反射率ピークが同等の多層
膜をより少ない層数で形成できれば、その多層膜の入射
光に対する積分反射率はより大きくなる。積分反射率の
大きな多層膜は例えばX線の露光装置に用いた場合にス
ループットが上がるなど、多層膜を用いた光学装置の効
率を上昇させる効果を有する。
【0013】本発明者らは、この光学定数的に優れたコ
バルトと界面平坦性の良いクロムとの合金(CoCr)
を多層膜の低屈折率薄膜の材料として用いることによ
り、膜厚が30Å以下においても材料の凝縮を抑えるこ
とができ、膜構造が均一かつ連続な、光学性能の高い多
層膜を作製することができた。さらに、CoCr材料か
ら成る層が均一かつ連続な膜構造を有するためには、合
金の組成においてコバルトのモル分率が0.8以下とい
う条件が必要であることを見いだした。また、高い反射
率を得るためには、上記合金の組成においてコバルトの
モル分率を0.3以上とすることが好ましいことがわか
った。これをまとめると、軟X線用多層膜においては、
低屈折率薄膜の材料をCoCr合金とし、その組成式を
CoxCr1 -xで表した場合のxが0.3〜0.8の範囲
となるようにすることにより、優れた効果を有する多層
膜とすることができる。
バルトと界面平坦性の良いクロムとの合金(CoCr)
を多層膜の低屈折率薄膜の材料として用いることによ
り、膜厚が30Å以下においても材料の凝縮を抑えるこ
とができ、膜構造が均一かつ連続な、光学性能の高い多
層膜を作製することができた。さらに、CoCr材料か
ら成る層が均一かつ連続な膜構造を有するためには、合
金の組成においてコバルトのモル分率が0.8以下とい
う条件が必要であることを見いだした。また、高い反射
率を得るためには、上記合金の組成においてコバルトの
モル分率を0.3以上とすることが好ましいことがわか
った。これをまとめると、軟X線用多層膜においては、
低屈折率薄膜の材料をCoCr合金とし、その組成式を
CoxCr1 -xで表した場合のxが0.3〜0.8の範囲
となるようにすることにより、優れた効果を有する多層
膜とすることができる。
【0014】なおこの薄膜材料については、単にコバル
トとクロムの合金のみでなく、上記組成式中の元素を主
成分として含む3種以上の元素よりなる材料において
も、同様の効果が得られることは言うまでもない。
トとクロムの合金のみでなく、上記組成式中の元素を主
成分として含む3種以上の元素よりなる材料において
も、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0015】本発明のCoCr合金を低屈折率薄膜の材
料として用いた多層膜において、その低屈折率層の組み
合せ相手となる高屈折率薄膜の材料としては、用いる波
長に応じて種々選択することが可能であるが、表1に示
す元素およびそれら元素の化合物が好適と考えられる。
料として用いた多層膜において、その低屈折率層の組み
合せ相手となる高屈折率薄膜の材料としては、用いる波
長に応じて種々選択することが可能であるが、表1に示
す元素およびそれら元素の化合物が好適と考えられる。
【0016】
【表1】 表2には、種々の波長において表1に示した元素を含む
材料によって最適化された多層膜の反射率の計算値の例
を、いくつかの材料の組み合せについて示した。反射率
の計算は、公知のフレネルの反射法則を基礎とした計算
法(例えば、J.H. Underwoodら, Appl. Opt., Vol. 20,
p.3027, 1981)によって求め、ここでは層数100層
対、垂直入射のS偏光反射率の場合について例示する。
材料によって最適化された多層膜の反射率の計算値の例
を、いくつかの材料の組み合せについて示した。反射率
の計算は、公知のフレネルの反射法則を基礎とした計算
法(例えば、J.H. Underwoodら, Appl. Opt., Vol. 20,
p.3027, 1981)によって求め、ここでは層数100層
対、垂直入射のS偏光反射率の場合について例示する。
【0017】
【表2】 adCoCr:CoCr薄膜の厚さb dB:高屈折率薄膜の厚さ
【0018】
【実施例】次に、本発明を図面を参照しながら実施例に
よって具体的に説明する。
よって具体的に説明する。
【0019】(実施例1)図1は本発明の多層膜の1実
施態様を示す要部断面図である。この軟X線用多層膜は
コバルト−クロム(CoCr)合金からなる低屈折率物
質の薄膜A1〜Anと、炭素(C)からなる高屈折率物質
の薄膜B1〜Bnとが交互に積層された多層膜が基板1上
に形成されたものである。ここで、基板1における軟X
線の散乱を防止するため、多層膜が形成される側の基板
1の表面は、軟X線の波長に対して十分滑らかになるよ
うに加工されている。また、高い反射率を得るために、
各CoCr薄膜および各C薄膜の厚さは、前記フレネル
の反射法則を基礎とした計算式から求められる値(例え
ば、コバルト−クロム合金の組成をCo0.5Cr0.5と
し、層数100層対の場合、波長50Åの軟X線を直入
射で反射するためには、dCoCr=9.36Å、dC
=15.79Å)に設定されている。
施態様を示す要部断面図である。この軟X線用多層膜は
コバルト−クロム(CoCr)合金からなる低屈折率物
質の薄膜A1〜Anと、炭素(C)からなる高屈折率物質
の薄膜B1〜Bnとが交互に積層された多層膜が基板1上
に形成されたものである。ここで、基板1における軟X
線の散乱を防止するため、多層膜が形成される側の基板
1の表面は、軟X線の波長に対して十分滑らかになるよ
うに加工されている。また、高い反射率を得るために、
各CoCr薄膜および各C薄膜の厚さは、前記フレネル
の反射法則を基礎とした計算式から求められる値(例え
ば、コバルト−クロム合金の組成をCo0.5Cr0.5と
し、層数100層対の場合、波長50Åの軟X線を直入
射で反射するためには、dCoCr=9.36Å、dC
=15.79Å)に設定されている。
【0020】次に、図1に示した多層膜の作製法につい
て説明する。
て説明する。
【0021】この多層膜は公知の高周波マグネトロンス
パッタ法を用いて形成した。すなわち、真空槽内に回転
自在に設けられた基板ホルダーに、石英からなる基板1
を設置し、真空槽内を真空度5E−7(Torr)まで
排気した後、圧力が0.5mTorrになるまで真空槽
内にアルゴンガスを導入し、CoCr合金と炭素(C)
の各ターゲット上に交互に放電を起こすことにより、基
板1上に各CoCr合金薄膜A1〜Anおよび各炭素薄膜
B1〜Bnを交互に積層した。なお、各CoCr合金薄膜
の膜厚dCoCrおよび各炭素薄膜の膜厚dCは水晶振
動子膜厚計で堆積膜厚をモニターし、蒸着シャッターで
堆積量を制御して調節した。またスパッタリングにおい
て、CoCr合金の堆積速度は0.4Å/secとし、
炭素の堆積速度は0.3Å/secとした。作製した多
層膜のCoCr薄膜の合金組成をオージェ電子分光(A
ES)法により分析した結果、スパッタターゲットとし
て用いたCoCr合金の組成と実験誤差の範囲で一致し
た。
パッタ法を用いて形成した。すなわち、真空槽内に回転
自在に設けられた基板ホルダーに、石英からなる基板1
を設置し、真空槽内を真空度5E−7(Torr)まで
排気した後、圧力が0.5mTorrになるまで真空槽
内にアルゴンガスを導入し、CoCr合金と炭素(C)
の各ターゲット上に交互に放電を起こすことにより、基
板1上に各CoCr合金薄膜A1〜Anおよび各炭素薄膜
B1〜Bnを交互に積層した。なお、各CoCr合金薄膜
の膜厚dCoCrおよび各炭素薄膜の膜厚dCは水晶振
動子膜厚計で堆積膜厚をモニターし、蒸着シャッターで
堆積量を制御して調節した。またスパッタリングにおい
て、CoCr合金の堆積速度は0.4Å/secとし、
炭素の堆積速度は0.3Å/secとした。作製した多
層膜のCoCr薄膜の合金組成をオージェ電子分光(A
ES)法により分析した結果、スパッタターゲットとし
て用いたCoCr合金の組成と実験誤差の範囲で一致し
た。
【0022】このようにして作製したCoCr/C多層
膜は、まず波長1.54ÅのX線の小角回折法により、
その周期性と回折強度を評価した。図3にはその実験結
果を示す。図3のグラフの横軸は作製した種々の多層膜
の周期を表し、縦軸は多層膜による1次のブラッグ回折
のピーク強度を示す。曲線11はCo0.8Cr0.2組成の
合金により作製した多層膜の、また曲線12はCo0.5
Cr0.5組成の合金より作製した多層膜の回折強度であ
る。図3には比較のために上記の多層膜の作製法と同様
の方法で作製したコバルト−炭素(Co/C)多層膜で
の測定結果を曲線13として示した。
膜は、まず波長1.54ÅのX線の小角回折法により、
その周期性と回折強度を評価した。図3にはその実験結
果を示す。図3のグラフの横軸は作製した種々の多層膜
の周期を表し、縦軸は多層膜による1次のブラッグ回折
のピーク強度を示す。曲線11はCo0.8Cr0.2組成の
合金により作製した多層膜の、また曲線12はCo0.5
Cr0.5組成の合金より作製した多層膜の回折強度であ
る。図3には比較のために上記の多層膜の作製法と同様
の方法で作製したコバルト−炭素(Co/C)多層膜で
の測定結果を曲線13として示した。
【0023】曲線13に見られるようにCo/C多層膜
は、周期40Å以下において、周期の減少に伴う回折強
度低下が急となり、周期が31Åより短い場合には、回
折強度がほぼ0となった。そこで、周期が40Åより短
いCo/C多層膜の断面を高分解能の透過電子顕微鏡
(TEM)法を用いて観察すると、Co層が島状に凝縮
し、連続な層構造になっていないことがわかった。
は、周期40Å以下において、周期の減少に伴う回折強
度低下が急となり、周期が31Åより短い場合には、回
折強度がほぼ0となった。そこで、周期が40Åより短
いCo/C多層膜の断面を高分解能の透過電子顕微鏡
(TEM)法を用いて観察すると、Co層が島状に凝縮
し、連続な層構造になっていないことがわかった。
【0024】一方、曲線11に見られるように、ターゲ
ットとしてコバルトに20モルパーセントのクロムを加
えた組成式Co0.8Cr0.2の合金を用いて作製した多層
膜においては、短周期での回折強度が著しく改善され、
周期25Åまで回折強度が観測された。また曲線12に
見られるように、コバルトに50モルパーセントのクロ
ムを加えた組成式Co0.5Cr0.5の合金をターゲットと
して作製した多層膜では、短周期側の回折強度がさらに
改善され、ほとんどCr/C多層膜と遜色ない程度の特
性を有する短周期の多層膜が得られることがわかった。
ットとしてコバルトに20モルパーセントのクロムを加
えた組成式Co0.8Cr0.2の合金を用いて作製した多層
膜においては、短周期での回折強度が著しく改善され、
周期25Åまで回折強度が観測された。また曲線12に
見られるように、コバルトに50モルパーセントのクロ
ムを加えた組成式Co0.5Cr0.5の合金をターゲットと
して作製した多層膜では、短周期側の回折強度がさらに
改善され、ほとんどCr/C多層膜と遜色ない程度の特
性を有する短周期の多層膜が得られることがわかった。
【0025】次に、このようにして作製した多層膜の軟
X線領域の反射率を評価した。軟X線の光源としてシン
クロトロン放射光を用い、放射光を回折格子分光器で分
光することにより、波長が20〜120Åの範囲の単色
の軟X線を得た。この軟X線を入射角10度で多層膜に
入射させ、多層膜から反射してくる軟X線の強度と入射
軟X線の強度との比から、反射率を求めた。
X線領域の反射率を評価した。軟X線の光源としてシン
クロトロン放射光を用い、放射光を回折格子分光器で分
光することにより、波長が20〜120Åの範囲の単色
の軟X線を得た。この軟X線を入射角10度で多層膜に
入射させ、多層膜から反射してくる軟X線の強度と入射
軟X線の強度との比から、反射率を求めた。
【0026】図4に、このようにして求めた反射率の波
長依存性を測定した結果を示す。この図に示された多層
膜は、組成がCo0.5Cr0.5の合金を低屈折率薄膜のタ
ーゲットとして用いて作製されたもので、CoCr薄膜
の膜厚dCoCr=9.4Å、炭素薄膜の膜厚dC=1
6.3Åであり、また層数は100層対であるが、波長
50Å付近に反射強度のピークがあり、ピーク反射率と
して10.2%が得られた。
長依存性を測定した結果を示す。この図に示された多層
膜は、組成がCo0.5Cr0.5の合金を低屈折率薄膜のタ
ーゲットとして用いて作製されたもので、CoCr薄膜
の膜厚dCoCr=9.4Å、炭素薄膜の膜厚dC=1
6.3Åであり、また層数は100層対であるが、波長
50Å付近に反射強度のピークがあり、ピーク反射率と
して10.2%が得られた。
【0027】波長60Å付近に反射強度のピークがあり
層数が100層対のCoCr/C多層膜について、Co
Cr合金の組成を変えて上記の反射率測定法によって反
射率ピーク値を求め、その変化を図5のグラフに示し
た。図5より、コバルトにクロムが20%加えられたC
o0.8Cr0.2合金を用いて作製した多層膜においては直
入射の反射率が著しく改善されることがわかる。これは
クロムを加えることにより、コバルト薄膜の島状成長が
抑制され、多層膜の界面粗さが減少したためである。反
射率はクロム濃度上昇に伴って上昇するが、クロムのモ
ル分率が50%を越すと逆に減少する。これは光学定数
的に有利なコバルトの濃度が減少するためである。クロ
ムのモル分率が70%以上の合金を用いて作製された多
層膜においては、反射率がクロム−炭素(Cr/C)多
層膜の場合と同程度になり、反射率の改善効果は認めら
れなくなる。
層数が100層対のCoCr/C多層膜について、Co
Cr合金の組成を変えて上記の反射率測定法によって反
射率ピーク値を求め、その変化を図5のグラフに示し
た。図5より、コバルトにクロムが20%加えられたC
o0.8Cr0.2合金を用いて作製した多層膜においては直
入射の反射率が著しく改善されることがわかる。これは
クロムを加えることにより、コバルト薄膜の島状成長が
抑制され、多層膜の界面粗さが減少したためである。反
射率はクロム濃度上昇に伴って上昇するが、クロムのモ
ル分率が50%を越すと逆に減少する。これは光学定数
的に有利なコバルトの濃度が減少するためである。クロ
ムのモル分率が70%以上の合金を用いて作製された多
層膜においては、反射率がクロム−炭素(Cr/C)多
層膜の場合と同程度になり、反射率の改善効果は認めら
れなくなる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、短
周期で、界面粗さが小さい、しかも波長100Å以下の
軟X線を高い反射率で反射する多層膜を得ることができ
る。
周期で、界面粗さが小さい、しかも波長100Å以下の
軟X線を高い反射率で反射する多層膜を得ることができ
る。
【図1】本発明の軟X線用多層膜の1実施態様を示す要
部断面図である。
部断面図である。
【図2】組み合せがCo/CおよびCr/Cで、最適設
定された多層膜の、反射率と層数(層対数)との関係を
示すグラフである。
定された多層膜の、反射率と層数(層対数)との関係を
示すグラフである。
【図3】本発明のCoCr/C多層膜および従来のCo
/C多層膜における、周期とX線回折強度との関係を示
すグラフである。
/C多層膜における、周期とX線回折強度との関係を示
すグラフである。
【図4】本発明の多層膜の軟X線反射率の波長依存性を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図5】本発明の多層膜の反射率とCoCr層組成との
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
1 基板 11 Co0.8Cr0.2/C多層膜の回折強度 12 Co0.5Cr0.5/C多層膜の回折強度 13 Co/C多層膜の回折強度 A1〜An CoCr合金薄膜 B1〜Bn 低屈折率物質(炭素:C)薄膜
Claims (1)
- 【請求項1】 屈折率の異なる2種の薄膜がそれぞれ所
定の膜厚で交互に積層してなる軟X線用多層膜におい
て、屈折率の低い方の薄膜が、主としてコバルト(C
o)とクロム(Cr)の合金より成り、しかも該合金の
組成式がCoxCr1-x(式中、xは0.3ないし0.8
の数字である。)であることを特徴とする軟X線用多層
膜。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5142295A JPH075296A (ja) | 1993-06-14 | 1993-06-14 | 軟x線用多層膜 |
US08/258,071 US5528654A (en) | 1993-06-14 | 1994-06-10 | Multilayer film for X-rays |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5142295A JPH075296A (ja) | 1993-06-14 | 1993-06-14 | 軟x線用多層膜 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH075296A true JPH075296A (ja) | 1995-01-10 |
Family
ID=15312060
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5142295A Pending JPH075296A (ja) | 1993-06-14 | 1993-06-14 | 軟x線用多層膜 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US5528654A (ja) |
JP (1) | JPH075296A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011522430A (ja) * | 2008-06-04 | 2011-07-28 | エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. | 多層ミラーおよびリソグラフィ装置 |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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USRE41220E1 (en) | 1999-07-22 | 2010-04-13 | Corning Incorporated | Extreme ultraviolet soft x-ray projection lithographic method system and lithographic elements |
JP2001057328A (ja) * | 1999-08-18 | 2001-02-27 | Nikon Corp | 反射マスク、露光装置および集積回路の製造方法 |
JP2002093684A (ja) * | 2000-09-18 | 2002-03-29 | Canon Inc | X線露光装置、x線露光方法、半導体製造装置および微細構造体 |
DE10134266C2 (de) * | 2001-07-18 | 2003-09-18 | Geesthacht Gkss Forschung | Einrichtung und Verfahren zur Analyse atomarer und/oder molekularer Elemente mittels wellenlängendispersiver, röntgenspektrometrischer Einrichtungen |
FR2889203A1 (fr) * | 2005-07-28 | 2007-02-02 | Commissariat Energie Atomique | Procede de controle de l'interdiffusion entre deux couches minces |
JP5606226B2 (ja) * | 2009-11-30 | 2014-10-15 | キヤノン株式会社 | X線モノクロメータ及びx線分光装置 |
US8744048B2 (en) | 2010-12-28 | 2014-06-03 | General Electric Company | Integrated X-ray source having a multilayer total internal reflection optic device |
WO2015161934A1 (en) * | 2014-04-23 | 2015-10-29 | Asml Netherlands B.V. | A lithographic apparatus, radiation source, and lithographic system |
EP4120291A3 (en) * | 2015-06-30 | 2023-04-05 | Jaiswal, Supriya | Coatings for extreme ultraviolet and soft x-ray optics |
US10468149B2 (en) * | 2017-02-03 | 2019-11-05 | Globalfoundries Inc. | Extreme ultraviolet mirrors and masks with improved reflectivity |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5310603A (en) * | 1986-10-01 | 1994-05-10 | Canon Kabushiki Kaisha | Multi-layer reflection mirror for soft X-ray to vacuum ultraviolet ray |
FR2653234A1 (fr) * | 1989-10-13 | 1991-04-19 | Philips Electronique Lab | Dispositif du type miroir dans le domaine des rayons x-uv. |
-
1993
- 1993-06-14 JP JP5142295A patent/JPH075296A/ja active Pending
-
1994
- 1994-06-10 US US08/258,071 patent/US5528654A/en not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011522430A (ja) * | 2008-06-04 | 2011-07-28 | エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. | 多層ミラーおよびリソグラフィ装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US5528654A (en) | 1996-06-18 |
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