JPH061091A - 圧縮性ゴムブランケット及びその製造方法 - Google Patents

圧縮性ゴムブランケット及びその製造方法

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JPH061091A
JPH061091A JP16293192A JP16293192A JPH061091A JP H061091 A JPH061091 A JP H061091A JP 16293192 A JP16293192 A JP 16293192A JP 16293192 A JP16293192 A JP 16293192A JP H061091 A JPH061091 A JP H061091A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、特別な工程や複雑な設備を必要とす
ることなく、最終製品でもセルをマイクロバルーンによ
って構成しえることを主要な目的とする。 【構成】少なくとも一層の補強層を含む圧縮性ゴムブラ
ンケットにおいて、耐油性ゴム配合物に熱変形温度が1
20℃以上でかつ40Kg/cm2 の耐圧性を有するマ
イクロバルーン(11)を内包させてなる圧縮層(2) と、こ
の圧縮層(2) 上に設けられた表面ゴム層(4) とを具備
し、前記マイクロバルーン(11)の材質がメタアクリロニ
トリルとアクリロニトリルの共重合体であることを特徴
とする圧縮性ゴムブランケット及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧縮性ゴムブランケッ
ト及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、圧縮性ゴムブランケットとして
は、例えばNew Developments in Offset Blanket
s .Prof .Print.,Vol.22.no.6,Nov./D
ec.1978,pp2〜7(従来技術1)が知られている。
この圧縮性ゴムブランケットは、N.G.Chamerlain
によれば、スマッシュ・レジスタンスを向上させるため
に開発されたもので、機能的には印刷機の版胴や圧胴に
接触して回転する場合に垂直方向への圧縮が起こり、横
方向への隆起が起こらないと述べている。前記圧縮性ゴ
ムブランケットの圧縮層の作り方としては、(1) 含浸紙
を使う方法、(2) 塩の溶出法、(3) 発泡剤法、及び(4)
マイクロバルーン法の4種類ある。
【0003】特公昭52−7371号(英国特許132
7758)公報(従来技術2)には、弾性重合体中に圧
力に対して弾力性及び/又は圧壊性を呈するマイクロバ
ルーンを混入することにより実質上全てが閉じているセ
ル、即ち独立気泡を形成する方法を開示されている。前
記公報には、前記マイクロバルーンとしてガラス,フェ
ノール樹脂,炭素あるいは熱プラスチック材料、特にア
クリロニトリルと塩化ビニリデンの共重合体が適切であ
ることが開示されている。また、前記公報には、ブラン
ケットが140℃で90分間加硫することにより作られ
ることが開示されている。
【0004】特公昭61−52800号公報(従来技術
3)には、アクリロニトリルと塩化ビニリデンの共重合
体を用いることが開示されている。この改良方法として
は、未加硫の圧縮性ゴムシートを約9メガrad以下の
電子線を照射して、不完全に加硫してマイクロバルーン
を固定した後にドラムに巻き、加圧,加熱して加硫する
二工程の加硫方法が提案されている。
【0005】米国特許4770928(従来技術4)に
は、アクリロニトリルと塩化ビニリデンとの共重合体か
らなるマイクロバルーンをエラストマー材料中に混入し
てなる圧縮層中間体を、マイクロバルーンの溶融しない
温度、即ち約110F(43℃)〜170F(77℃)
で1〜12時間加硫してマイクロバルーンをエラストマ
ー材料内に固定することが開示されている。上記公報の
場合、低温で加硫させるため、特殊な超加硫促進剤であ
るジチオカルバメートを使用することが必須条件となっ
ている。また、上記公報では、加硫した圧縮層中間体に
更に布及び表面ゴム層をつけた後に本加硫を132℃〜
160℃の温度で行い最終製品を得る、即ち二工程とし
ていることが特徴となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来技術によれば、以下に述べる問題点を有する。
【0007】(イ)従来技術1:上記(1) ,(2) の方法
によるブランケットは、気孔が連続した構造となってい
る。そのため、印刷中に使用される湿し水や洗浄剤がブ
ランケットの圧縮層中に浸透し、その部分が厚くなり過
圧となり、破れや印刷物のアミ点の太りなどの印刷障害
を引き起こす。
【0008】上記(3) の方法による圧縮層の製造は、未
加硫ゴム配合物中に有機発泡剤を混入してシート状と
し、一定温度に加熱し、ゴムの加硫と発泡(スポンジ
化)を行なう方法である。この方法の欠点は、ゴムの加
硫と発泡が加熱によって同時に進行するために気泡のサ
イズにバラツキが生じ、その結果ブランケットの圧縮性
がバラつくことである。また、ドラムに巻き付けて加熱
し加硫と発泡を行なわせると、下巻きと上巻きの部分と
では巻き圧に差が生じる。特に下巻き部は圧力が高いた
めに、発泡が起こりにくく、十分な圧縮性が得られにく
い。また、上巻き部は逆に圧力が十分にかからないた
め、気泡の成長が早くおこるため、粗大な気泡となり、
圧縮性が大きすぎて印刷機に取り付けて印刷すると印圧
不足となる。
【0009】(ロ)従来技術2:加硫用ドラムに巻き取
られ、加熱して加硫する工程中にマイクロバルーンが溶
融,破壊され圧縮層の厚みのバラツキを生じ、印刷適性
のバラツキの大きな原因となる。
【0010】(ハ)従来技術3:アクリロニトリルと塩
化ビニリデンの共重合体からなるマイクロバルーンは通
常の加硫温度では溶融、破壊してしまうため、未加硫の
状態のゴムシートを約5メガrad以下の電子線を照射
して不完全に加硫してマイクロバルーンを固定する。し
かる後に、ドラムに巻き付けて再度加硫する二工程の方
法である。従って、二工程で不経済であると同時に、高
価で危険な特殊な設備を必要とする方法である。
【0011】(ホ)従来技術4:アクリルニトリルと塩
化ビニリデンの共重合体からなるマイクロバルーンは、
通常の加硫温度である120〜150℃では溶融してし
まうため、その製造方法を二工程に分けている。そのた
め、工程の複雑化やコストアップとなっている。また、
この技術は、超加硫促進剤であるジチオカルバメートを
使用しマイクロバルーンの溶融しない温度でゴムを加硫
し固定化する方法であり、このことはマイクロバルーン
を混合したゴム糊が室温においても不安定であることを
意味する。即ち、ゴム糊を製作中及び保存中に早期加硫
を起こす危険性を伴う。
【0012】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、特別な工程や複雑な設備を必要とすることなく、最
終製品でもセルをマイクロバルーンによって構成しえる
圧縮性ブランケット及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願第1の発明は、少な
くとも一層の補強層を含む圧縮性ゴムブランケットにお
いて、耐油性ゴム配合物に熱変形温度が120℃以上で
かつ40Kg/cm2 の耐圧性を有するマイクロバルー
ンを内包させてなる圧縮層と、この圧縮層上に設けられ
た表面ゴム層とを具備し、前記マイクロバルーンの材質
がメタアクリロニトリルとアクリロニトリルの共重合体
であることを特徴とする圧縮性ゴムブランケットであ
る。
【0014】本願第2の発明は、少なくとも一層の補強
層を含む圧縮性ゴムブランケットの製造方法において、
耐油性ゴム配合物に熱変形温度が120℃以上でかつ4
0Kg/cm2 の耐圧性を有し,かつメタアクリロニト
リルとアクリロニトリルの共重合体からなるマイクロバ
ルーンを内包させた圧縮層と表面ゴム層と一体化した
後、120℃以上の温度で前記圧縮層と表面ゴム層を一
度に加硫することを特徴とする圧縮性ゴムブランケット
の製造方法である。
【0015】本発明において、圧縮層となる耐油性ゴム
に加えるマイクロバルーンの量は、印刷機械の種類や印
刷物によって変わるが、耐油性ゴム100重量部に対し
て5〜40重量部が好ましく、望ましくは10〜30重
量部である。ここで、混入するマイクロバルーンの量は
完成したブランケットの性能,特に圧縮性に影響を与え
る。つまり、少量の場合は空隙率が小さく、圧縮性は小
さい。逆に、量が増えるに従って圧縮性は大きくなる。
【0016】本発明において、マイクロバルーンの直径
は30〜100μmが好ましい。ここで、マイクロバル
ーンの直径もブランケットの圧縮性に影響を与える。つ
まり、あまり細かいとセルを形成する壁の厚みが厚くな
り、圧縮性が不十分となる。逆に、あまり大きすぎる
と、壁の厚みが薄くなり、圧縮性が過大(軟らかすぎ)
となる。
【0017】本発明において、マイクロバルーンを形成
する材質は、メタアクリロニトリルとアクリロニトリル
の共重合体が最も好ましい。本発明者らはこの材質を選
択するに当たって次のような比較試験を行なった。即
ち、まず(a)塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共
重合体、(b)メチルメタアクリレートとアクリロニト
リルの共重合体、及び(c)メタアクリロニトリルとア
クリロニトリルの共重合体の三種の材質からなるマイク
ロバルーンを用意した。なお、これらの材質はいずれも
イソブタンあるいはイソペンタンを膨脹剤として内包し
ている。次に、これらの3種のマイクロバルーンを80
℃,90℃,110℃,120℃,130℃,140
℃,150℃,160℃に温度調節したオーブン内に1
時間放置した後、顕微鏡で観察しマイクロバルーンが溶
融,破壊しているかあるいは異常がないかを観察した。
その結果、下記「表1」に示すようなデータが得られ
た。
【0018】
【表1】
【0019】上記「表1」により、材質(a)と材質
(b)からなるマイクロバルーンの場合は、100℃ま
では安定であるが、110℃になると一部にマイクロバ
ルーンの溶融,破壊が見られ、これ以上の温度では完全
に溶融,破壊していることが明らかである。このこと
は、一般に行われているゴムの加硫温度である120〜
150℃で加硫を行なうと、マイクロバルーンは溶融,
破壊してしまうことを意味する。これに対し、材質
(c)からなるマイクロバルーンの場合は、熱に対する
安定性が極めて高く、一般に行われる加硫温度に十分に
耐えられることが判明した。
【0020】ところで、材質(a)からなるマイクロバ
ルーンは、熱変形温度が100℃以下である。このため
に、熱変形温度以下で一旦加硫しマイクロバルーンをゴ
ム中に固定する必要がある。そして、再度表面ゴム層等
を形成し、今度は更に高い温度で加硫することになる。
しかし、高い温度で加硫すると、マイクロバルーンは溶
融してしまい、最終的にはマイクロバルーンはセル中に
は残存しないことになる。従って、材質(a)や材質
(b)を用いた圧縮層のセルは最終的にはゴム膜によっ
て形成されていることになる。
【0021】これに対し、材質(c)を用いたマイクロ
バルーンを内包した圧縮層を用いた圧縮性ゴムブランケ
ットは、マイクロバルーンの熱変形温度が高く、ゴムの
加硫温度で溶融しないため、最終製品でもセルはマイク
ロバルーンによって形成されることになる。
【0022】上記した差異は耐圧性の差となって現れて
くる。実際、材質(a)によるマイクロバルーンと材質
(c)によるマイクロバルーンを用いて2種類の圧縮性
ブランケットを作り、印刷試験を行なって耐圧性を比較
した。即ち、印圧を0.1mmに設定し、厚み0.05
mmの印刷用紙に幅1cm、厚さ0.25mmの紙を張
り付け、部分的に過圧の部分を設けて印刷した。
【0023】その結果、過圧の箇所は凹みを生じ、その
部分のインキ濃度は低下した。その後、通常の厚み0.
05mmの紙で印刷を続け、何枚目で正常な濃度に戻る
かを調べた。その結果、材質(a)によるマイクロバル
ーンによって作られたブランケットは20枚目の印刷で
正常なインキ濃度となった。これに対し、材質(c)に
よるマイクロバルーンによって作られたブランケット
は、5枚目で正常なインキ濃度に戻った。即ち、本発明
によるブランケットはセルの復元性が極めて優れている
ことが判明した。これは、加硫によってマイクロバルー
ンの壁が溶融しないで、残存しているためと思われる。
次に、マイクロバルーンの耐圧性について説明する。
【0024】一般に、オフセット印刷では、ブランケッ
トの元の厚さに対して、0.1mm〜0.15mmの圧
縮を受けて高速で版胴及び圧胴と接触回転する。ここ
で、テンシロン(オリエンテック社製圧縮試験機)で
1.9mmの厚さのブランケットを0.1mm圧縮する
時の応力は一般に3〜5Kg/cm2 である。また、
0.15mm圧縮する時の応力は、5〜10Kg/cm
2 である。これらの応力はブランケットの品種によって
異なる。ところで、ブランケットは、印刷中に紙が切れ
てブランケット胴に巻き付き、非常に過圧となることが
ある。このような時は、おそらく40Kg/cm2 程度
の応力を受けることになる。このような時には、耐圧性
のない例えばガラスバルーンなどはバルーンが容易に破
壊し、バルーンを取り巻くゴムまでもが破壊されてしま
うことになる。耐圧性の劣るこのようなガラスバルーン
では、過大な圧力がかかった場合には、その部分に永久
的な凹みを生じて復元せず、印刷物にムラを生じ不良と
なる。
【0025】ブランケットを製造するには、耐インキ性
を有するゴムに硫黄,加硫促進剤,補強剤,軟化剤及び
加工助剤等を練りロール等で十分に混合し、しかる後ゴ
ムの良溶媒に溶解することが必要となる。ゴム糊にマイ
クロバルーンを混合し、スプレッダー(糊引機)で織布
の上にコーティングする。耐インキ性を有する最も一般
的なゴムとしては、例えばNBR(アクリルニトルブタ
ジエンラバー)やクロロプレンゴムが挙げられる。これ
らのゴムの一般的な溶媒としては、例えばM.E.K
(メチルエチルケトン)が挙げられる。従って、圧縮層
を形成するマイクロバルーンはこの溶媒に耐えなけれな
らない。そこで、上記材質(a),(b),(c)を
M.E.Kに4時間浸けておいたところ、材質(c)を
除いて溶解してしまった。このことは、ゴム糊の中でマ
イクロバルーンが溶解してしまい、気泡が形成されない
ことを意味する。従って、上記材質(c)によるマイク
ロバルーンのみが気孔を形成できることが判明した。
【0026】以上より、圧縮性ブランケットを作るため
の要件及び圧縮性ブランケットとしての性能を検証した
結果、上記材質(c)によるマイクロバルーンによる圧
縮層をもつ圧縮性ブランケットのみが下記要件を満たす
ことが判明した。 (1) 気泡を安定的に形成するためのマイクロバルーンの
耐溶剤性 (2) ブランケットを加硫する温度に対する熱変形温度 (3) 印刷時における耐圧性 次に、圧縮性ブランケットの製造方法について説明す
る。図1は、圧縮性ゴムブランケットの概略断面図を示
す。
【0027】(1) まず、第1綿布1aの上に圧縮層2と
なるゴム配合物を塗布し、第2綿布1bと貼り合わせ
る。なお、圧縮層2が塩の溶出法である場合には、ゴム
配合物の中に一定量の粉砕塩を入れておく。 (2) そして、120℃〜150℃の加硫缶に入れて4時
間程度加熱し、ゴムを加硫させる。 (3) その後、温湯に浸けて塩を溶出させ、乾燥する。 (4) 次に、第1接着用ゴム3aを用いて第3綿布1cと
貼り合わせる。 (5) 次に、第4綿布1dの上に第2接着用ゴム3bを用
いて貼り合わせる。 (6) 次に、第3接着用ゴム3cを介して表面ゴム層4を
コーティングする。
【0028】(7) 最後に、このようにしてできたブラン
ケット材を離型紙と抱き合わせてドラムに巻きつけて加
硫缶に導入し、再度120〜150℃で加熱して加硫を
完成させる。
【0029】
【作用】本発明によれば、メタアクリロニトリルとアク
リロニトリルとの共重合体からなるマイクロバルーンは
通常の加硫温度120〜150℃で溶融,破壊されない
ため、圧縮層となるゴム配合物に前記マイクロバルーン
を混入し,一体にブランケットを形成した後、通常の加
硫温度で1回の加硫工程で圧縮層の形成と表面ゴム層な
どの加硫を行なうことができる。従って、熱による綿布
の劣化を防止することができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1)
【0031】まず、中高ニトリルゴム(NBR)100
重量部に、イオウ,加硫促進剤,老化防止剤,補強剤,
可塑剤を混合し、メチル・エチル・ケトンに溶解しゴム
糊とした。次に、このゴム糊にメタアクリロニトリルと
アクリロニトリルとの共重合体のマイクロバルーン(商
品名:エクスパンセル091DE 、ノーベル・インダストリ
ー社製)を20重量部加えてゴム糊を作成する。ここ
で、マイクロバルーンは予め加熱し、60μm程度の直
径に膨脹させたものを用いた。また、加硫促進剤は、
D.M(ジベンゾチアゾル.ジスフィド)やM(2−メ
ルカプトベンゾチアゾール)などのごく普通のものを用
いた。前記ゴム糊は、加硫することにより多数のマイク
ロバルーンを含んだクッション性に富んだ圧縮層となる
ものである。次に、0.4mm程度の厚さの第1綿布1
aに前記ゴム糊を0.35mmの厚さにコーティングす
る。そして、第2綿布1bを貼り合わせる。しかる後、
第3綿布1c及び第4綿布1dをそれぞれ接着用ゴム3
a,3bを介して貼り合わせる。最後に圧縮層となるべ
きゴム層に接した第2綿布1b上に接着用ゴム3cを塗
布した後、表面ゴム層4としてニトリルゴム配合物をシ
ート状として積層する。全体の厚さは、およそ2.1m
m位にする。
【0032】このようにして作った未加硫の圧縮性ゴム
ブランケットを金属性のドラムに巻き付けて、外側に1
50℃の蒸気を導入した2重缶の内側に入れ、6時間加
熱して加硫を完了させる。冷却した後、240メッシュ
のサンドペーパーで表面ゴム層を研磨し、1.9mmの
厚さとする。
【0033】上記実施例1によれば、メタアクリロニト
リルとアクリロニトリルとの共重合体からなるマイクロ
バルーン11は通常の加硫温度120〜150℃で溶融,
破壊されないため、圧縮層2となるゴム配合物に前記マ
イクロバルーン11を混入し,一体にブランケットを形成
した後、通常の加硫温度(即ち120〜150℃)で1
回の加硫工程で圧縮層2の形成と表面ゴム層4などの加
硫を行なうことができる。従って、熱による綿布の劣化
を防止することができる。
【0034】事実、このようにして作ったブランケット
の断面を顕微鏡で観察すると、前記圧縮層2は図2のよ
うにマイクロバルーン11の壁12にとりかこまれた空
隙13が形成されているのが確認された。なお、図中の
13はゴム層である。 (実施例2)
【0035】実施例1においては、耐油性合成ゴムとし
て中高ニトリルゴム(N.B.R,アクリルニトリル量
33%)を用いたが、実施例2においてはその代りに高ニ
トリルゴム(N.B.R,商品名ニポール1031,日本ゼ
オン社製,アクリルニトリル量41%)を用いて実施例1
と同様にして圧縮性ゴムブランケットを作成した。前記
高ニトリルゴムは耐油,耐溶剤性が強いため、ゴム糊を
作成する場合にトルエンには溶解せず、メチルエチルケ
トン(M.E.K)などの強溶剤でないとゴム糊となら
ない。前記高ニトリルゴムを採用する利点は、印刷機に
取り付けて印刷に供する場合にインキを洗い出す場合に
使われる洗浄剤に強い耐性を示すことである。
【0036】実施例2に係る圧縮性ゴムブランケットを
オフセット輪転機で使用したところ、圧縮層への洗浄剤
の侵入は全く見られず、6ケ月の長期間にわたり使用で
きた。これに対し、従来のブランケットの寿命は1ケ月
程度であった。
【0037】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明によれば、特別
な工程や複雑な設備を必要とすることなく、最終製品で
もセルをマイクロバルーンによって構成しえる圧縮性ゴ
ムブランケット及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る圧縮性ゴムブランケッ
トの概略断面図。
【図2】図1の圧縮性ゴムブランケットを構成する圧縮
層の部分拡大図。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d…綿布、2…圧縮層、3a,3
b……接着用ゴム、4…表面ゴム層。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一層の補強層を含む圧縮性ゴ
    ムブランケットにおいて、耐油性ゴム配合物に熱変形温
    度が120℃以上でかつ40Kg/cm2 の耐圧性を有
    するマイクロバルーンを内包させてなる圧縮層と、この
    圧縮層上に設けられた表面ゴム層とを具備し、前記マイ
    クロバルーンの材質がメタアクリロニトリルとアクリロ
    ニトリルの共重合体であることを特徴とする圧縮性ゴム
    ブランケット。
  2. 【請求項2】 少なくとも一層の補強層を含む圧縮性ゴ
    ムブランケットの製造方法において、耐油性ゴム配合物
    に熱変形温度が120℃以上でかつ40Kg/cm2
    耐圧性を有し,メタアクリロニトリルとアクリロニトリ
    ルの共重合体からなるマイクロバルーンを内包させた圧
    縮層と表面ゴム層と一体化した後、120℃以上の温度
    で前記圧縮層と表面ゴム層を一度に加硫することを特徴
    とする圧縮性ゴムブランケットの製造方法。
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Cited By (3)

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