JPH05252907A - 脂質改良豚肉およびその作出方法 - Google Patents

脂質改良豚肉およびその作出方法

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JPH05252907A
JPH05252907A JP3348207A JP34820791A JPH05252907A JP H05252907 A JPH05252907 A JP H05252907A JP 3348207 A JP3348207 A JP 3348207A JP 34820791 A JP34820791 A JP 34820791A JP H05252907 A JPH05252907 A JP H05252907A
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JP
Japan
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ala
lipid
epa
pork
oil
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JP3348207A
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English (en)
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Yuji Kaji
雄次 梶
Osamu Furuya
修 古谷
Mamoru Saito
守 斎藤
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NORIN SUISANSYO KYUSHU NOGYO SHIKENJO
Original Assignee
NORIN SUISANSYO KYUSHU NOGYO SHIKENJO
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機能性食品、健康食品として利用し得る脂質
改良豚肉および脂質改良豚肉の作出方法を提供する。 【構成】 エイコサペンタエン(EPA)またはα
−リノレン酸(ALA)の一方、もしくは両方を含む脂
質を持つ脂質改良豚肉を得る。 エイコサペンタエン(EPA)またはα−リノレン
酸(ALA)の一方、もしくは両方を含む脂質を添加し
た飼料を豚に与えて脂質改良豚肉を作出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機能性食品、健康食品
として利用し得る脂質改良豚肉および脂質改良豚肉の作
出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】畜肉の脂質を構成する脂肪酸の種類およ
びその特徴は、その分子中に含まれる炭素数と二重結合
の数および二重結合の存在する位置によって決められ
る。飽和脂肪酸は二重結合を含まないもの、二重結合が
一つあるものはモノ不飽和脂肪酸、二重結合が二つ以上
あるものは、多価(あるいは高度)不飽和脂肪酸と呼ば
れている。
【0003】通常の養豚飼料で原料として利用されてい
るトウモロコシ、大豆粕を主体とした飼料を給与した豚
の肉に含有される脂質の主要な脂肪酸組成は、飽和脂肪
酸約43%(%は重量%、以下同じ)、モノ不飽和脂肪
酸約46%、多価不飽和脂肪酸約11%で構成されてい
て、脂肪酸の炭素数nはほとんど16と18である。炭
素数18の脂肪酸については、飽和脂肪酸であるステア
リン酸が16%、二重結合が一つのオレイン酸が43
%、二重結合が二つのリノール酸10.5%、二重結合
が三つのα−リノレン酸(ALA)0.5%の構成とな
っている。これに対して、アマニ油やシソ油はALAを
50〜60%含有しており、精製魚油はエイコサペンタ
エン酸(EPA)を5〜30%含有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、ALAおよびE
PAをはじめとするω−3系列脂肪酸は、健康維持に有
効であるとして注目を浴びている。ω−3系列脂肪酸の
ALAはEPAおよびドコサヘキサエン酸の前駆物質、
EPAはドコサヘキサエン酸の前駆物質として、 アレルギー反応抑制作用、 血小板の凝集抑制作用(抗血栓作用)、 血漿中のコレステロールレベルの低下作用、 がん発生の抑制・がん転移の抑制、 など、各種の生理活性作用が明らかにされつつあり、健
康保持のうえでのω−3系列脂肪酸の重要性が認識され
つつある。
【0005】本発明の目的とするところは、元来EP
A、ALAをほとんど含まない畜肉の脂肪酸組成を、E
PA、ALA含有油を給与することによって改良し,豚
肉の健康食品、機能性食品としての価値を付与しようと
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、(1) エイコサペンタエン酸(EP
A)またはα−リノレン酸(ALA)の一方、 もしく
は両方を含む脂質を持つ脂質改良豚肉、(2) エイコ
サペンタエン酸(EPA)またはα−リノレン酸(AL
A)の一方、 もしくは両方を含む脂質を添加した飼料
を豚に与える脂質改良豚肉の作出方法、をそれぞれ特徴
とするものである。
【0007】
【作用】上記の手段によって本発明の脂質改良豚肉およ
びその作出方法は、EPAまたはALAの一方、もしく
は両方を含む油脂を添加した飼料を豚に与えることによ
り、脂質改良肉豚が作出される。また、上記のようにし
て得られる脂質改良豚肉には、EPAまたはALAの一
方、もしくは両方が含まれ、健康食品、機能性食品とし
ての価値が付与される。
【0008】
【実施例】本発明によるEPAは、炭素数20、二重結
合5個からなる,魚油特有の脂肪酸で、イワシ、カツ
オ、マグロ油などに5〜30%含まれている脂肪酸であ
る。また、本発明によるALAは、炭素数18、二重結
合3個からなる,アマニ油、シソ油などに、50〜60
%含まれる脂肪酸である。本発明においては、上記EP
A、ALAをどちらか一方、もしくは両方含む油脂を、
飼料に添加する。EPA、ALAは基礎飼料に対して
0.1〜4.0%添加するのが好ましいが、この場合、
液状油脂のまま他の飼料と混合して給餌しても、あるい
は取り扱いを簡便にするために糖質、蛋白質を膜材とし
た粉末油脂として使用しても良い。また、高度不飽和脂
肪酸は酸化安定性が低いため、トコフェロールなどの油
溶性酸化防止剤を添加してから使用しても良い。
【0009】[実験例1]アマニ油および精製魚油を飼
料に添加して、豚体へのALAおよびEPAの蓄積量の
変化を経時的に追跡した。タピオカ(イモの一種で、脂
肪をほとんど含まない)61%、大豆粕36%、ビタミ
ン・ミネラル3%を配合した基礎飼料に、アマニ油を
0、2および4%の3水準で添加し、さらに、これらの
各添加水準について、精製魚油を同じく0、2および4
%加えた合計9種類の飼料を調製して、体重約60kg
の去勢雄豚9頭に7週間にわたって給与し、背脂肪の脂
肪酸組成の変化、特にα−リノレン酸(ALA)および
エイコサペンタエン酸(EPA)の取り込みを調査し
た。背脂肪は、バイオプシーにより1週間毎に採取し
て、常法に従いガスクロマトグラフィーによる分析に供
した。
【0010】試験期間を通じて、全ての供試豚は増体重
に大きな差はなく、アマニ油および精製魚油の添加によ
る試料の嗜好性低下は認められなかった。粉末状油脂
は、次の配合で常法に従ってスプレードライ法で製造し
た。 アマニ油または精製魚油 60.0重量% 大豆レシチン 3.0 トコフェロール 1.5 カゼインナトリウム 10.0 デキストリン 15.5 乳糖 10.0
【0011】試験期間中の背脂肪内層におけるALAお
よびEPAの含有率の経時変化を、それぞれ表1および
表2に示した。また、試験開始(0週)から7週までの
週毎の変化を図1に示した。表1、表2および図1から
明らかなように、アマニ油が無添加の場合には、ALA
は約0.6%で推移しており、ほとんど変動は認められ
なかった。これに対して、アマニ油を2%あるいは4%
添加した場合には、7週目のALA含有率はそれぞれ
4.3%あるいは6.9%となり、ALAの豚体背脂肪
への急速な蓄積が認められた。同様に精製魚油が無添加
の場合には、EPAは豚体背脂肪中にほとんど認められ
ないが、精製魚油を2%あるいは4%添加した場合に
は、7週目のEPA含有率はそれぞれ0.6%あるいは
1.3%となり、EPAの蓄積が認められた。また、A
LAおよびEPAは、試験開始後4〜5週までは急速に
豚体背脂肪中に蓄積されたが、その後の蓄積は緩やかで
あった。
【0012】[実験例2]実験例1と同様の基礎飼料
に、アマニ油あるいは精製魚油およびそれぞれの油脂を
コーティングした粉末状油脂のいずれかを単独で添加し
て、豚肉(赤肉中の脂質)へのALAおよびEPAの蓄
積量を測定した。基礎飼料を給与した対照区、基礎飼料
へのアマニ油あるいは精製魚油を2%添加した区、アマ
ニ油をコーティングした粉末状油脂(以下、アマニ粉末
と略記する)あるいは精製魚油をコーティングした粉末
状油脂(以下、魚油粉末と略記する)を3.33%添加
(ただし、粉末状油脂中40%はコーティング剤である
ため、油脂としての添加割合は2%)した区の計5区を
設けた。
【0013】平均体重が約78kgの去勢雄豚10頭を
各区へ2頭ずつ割り当てて、5種類の飼料のいずれかを
4週間自由摂取させた。試験終了時にロース(第5〜8
胸椎部の胸最長筋)、広背筋(第5〜8胸椎部の広背
筋)、モモ(半膜様筋)および第1〜2胸椎部の背脂肪
内層・外層、腎周囲脂肪を採取し、それぞれの脂肪酸組
成の分析を行った。屠殺時(4週目)のALA含有率
(重量%)を表3に、屠殺時(4週目)のEPA含有率
(重量%)を表4にそれぞれ示した。
【0014】表3および表4から明らかなように、対照
区および精製魚油のみを添加した区では、いずれの赤肉
・脂肪組織ともALA含有率は0.3〜0.7%と低い
のに対し、アマニ油を添加した区では2.6〜3.9%
と高く、豚肉へのALAの蓄積が明らかに認められた。
また、アマニ油区とアマニ粉末区では、ALAの含有率
に大きな相違は認められなかった。EPAは、対照区お
よびアマニ油添加区の豚体組織にはほとんど認められな
かった。これに対して、精製魚油を添加給与した場合に
は、赤肉中で0.4〜0.7%、脂肪組織中に0.4〜
0.9%認められた。また、枝肉格付け時に軟脂と判定
された豚はなかった。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように本発明の脂質改良豚
肉および脂質改良豚肉の作出方法によれば、その実験結
果からも明らかなように、飼料に添加したアマニ油のA
LAおよび精製魚油のEPAを豚肉赤身および脂肪組織
に取り込ませ、蓄積させ得たことは明かであり、粉末状
油脂とした場合もその蓄積効果に差はなかった。このよ
うにして得られた脂質改良豚肉は生肉として利用する
他、ハム、ソーセージ、ハンバーグなどの加工品として
も利用することができる。また、このようにして得られ
た豚肉抽出脂肪は健康的意義が高く、飲料用、調製粉乳
用油脂としても利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】背脂肪内層におけるALAおよびEPA含有率
の経時変化を示すグラフである。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エイコサペンタエン酸(EPA)または
    α−リノレン酸(ALA)の一方、もしくは両方を含む
    脂質を持つことを特徴とする脂質改良豚肉。
  2. 【請求項2】 エイコサペンタエン酸(EPA)または
    α−リノレン酸(ALA)の一方、もしくは両方を含む
    脂質を添加した飼料を豚に与えることを特徴とする脂質
    改良豚肉の作出方法。
JP3348207A 1991-12-04 1991-12-04 脂質改良豚肉およびその作出方法 Pending JPH05252907A (ja)

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