JPH0355810Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は圧縮着火性の良い油燃料をパイロツト
燃料とし、ガス燃料又はアルコールなどの低セタ
ン価燃料を主燃料とする二元燃料デイーゼルエン
ジンに関する。

〔従来の技術〕

第１１図に圧縮着火性の良い油燃料噴射弁（パ
イロツト燃料噴射弁）１とガス噴射弁２とをそれ
ぞれ独立にシリンダカバー１０に備えた従来の
油、ガス二元燃料デイーゼルエンジンを示す。３
は油燃料を噴射する燃料噴射ポンプ、４はガス噴
射弁を駆動するアクチユエータとしての油ポン
プ、５は油燃料タンク、６は高圧ガス燃料ボン
ベ、７はアクチユエータポンプ４用の油タンク、
８はパイロツト燃料油の噴射ポンプ３とガス噴射
弁アクチユエータポンプ４のコントロールラツク
を作動するコントローラ、９はピストン、１０は
シリンダカバー、１１はシリンダライナ、１２は
排気弁を示す。第１２図はアクチユエータポンプ
のプランジヤ拡大図であり、４０１はプランジ
ヤ、４０２はプランジヤリードの上端、４０３は
プランジヤリードの下端、４０４は給油孔を示し
ており、この場合アクチユエータポンプ４の圧縮
始めはポンプの作用期間即ちガスの噴射期間
（量）にかかわらず一定である。第１３図はパイ
ロツト燃料油の噴射ポンプのプランジヤ拡大図を
示しており、３０１はプランジヤ、３０２はプラ
ンジヤリードの上端、３０３はプランジヤリード
の下端、３０４は給油孔を示している。パイロツ
ト燃料油の噴射開始はパイロツト燃料油の噴射期
間（量）にかかわらず一定である。第１４図はガ
ス噴射弁とそのアクチユエータの関係を示し、２
はガス噴射弁本体、２０１はガス噴射弁の針弁、
２０２はガス通路、２０３はガス噴射弁の針弁噴
射弁の針弁を開閉するアクチユエータの油圧通
路、４はアクチユエータポンプ、４０１はポンプ
プランジヤを示している。

ガス燃料は通常セタン価が低く自己着火しな
い。従つて圧縮発火性のよい油燃料をパイロツト
燃料としてまず自己着火せしめ、これをトーチと
してパイロツト燃料とほぼ同時に噴射されたガス
燃料を着火燃焼させる。この時従来のパイロツト
燃料弁１の噴射開始時期は固定されており、又ガ
ス燃料噴射弁を駆動するアクチユエータポンプ２
の圧縮始めも固定されていてガスジエツトが噴射
された時期から極く短かい期間遅れてパイロツト
燃料が噴射され、しかもその噴射始めの差はガス
と油の混焼割合により変化しない。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来のガス油二元燃料デイーゼルエンジンで
は、油燃料とガス燃料の混燃割合において油燃料
が少ない場合には、第１５図に示すように実線の
ガス燃料噴射期間に対し破線は油燃料噴射期間を
示しており、第１７図は油燃料の噴射始めよりｔ
＝t₁時間経過したパイロツト燃料着火時のパイロ
ツト燃料噴霧とガスジエツトの発達状態を示して
いる。１はパイロツト燃料噴射弁、２はガス噴射
弁、１３はパイロツト燃料噴霧、１４はガスジエ
ツトを示す。このように油燃料が少ない場合にガ
ス噴射はじめより油燃料噴射始めまでの遅れが少
なくても両燃料は室内で十分に良く発達して着火
燃焼させることができる。

しかるに混焼率が高くなり、油とガスが50％：
50％になつた場合には噴射期間のオーバーラツプ
する期間が長くなり、第１６図に示すように油燃
料とガス燃料の噴射期間のオーバーラツプする期
間が長くなり、ガス噴射弁２から噴射されたガス
ジエツト１４とパイロツト燃料噴射弁１から噴射
された油燃料噴霧１３との重なりが大きくなる。
従つて総合的な燃料とガスの燃焼室への分散状態
が悪くなり、不完全燃焼することになり性能が悪
化する。

本考案の目的は前記従来装置の欠点を解消し、
種種の混焼率においても良好な燃焼効率が得られ
る燃料噴射時期調整手段を具えた油、ガス二元燃
料デイーゼルエンジンを提供するにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案のガス、油二元燃料噴射ポンプはガス弁
を駆動するアクチユエータポンプ１５のプランジ
ヤリードの上端と該リード下端とをそれぞれ傾斜
面として、噴射始めと噴射終りを同時にコントロ
ールして、プランジヤ有効ストロークが小さい時
には噴射始めが早くなり、有効ストロークが大き
くなるにつれて噴射始めが遅れるようにするとと
もに、油燃料噴射ポンプのプランジヤリードは噴
射始め一定とする。従つて油燃料が多くなるに従
い、ガス燃料噴射開始始めと油燃料噴射始めとの
差を大きくして、ガス、油燃料の燃焼室内での分
散状態が悪化するのを防止し、燃焼状態を良好に
保持するようにしたものである。

〔作用〕

第３図で油プランジヤを矢印Ｂ方向に回転し油
燃料が多く噴射されるようになるに従い、ガス弁
アクチユエータポンプのプランジヤリードは第２
図の矢印Ａ方向に回転するようにコントロールさ
れ、ガス燃料の噴射始めは進み、一方油燃料ポン
プの噴射始めは噴射量如何に拘らず一定であるか
ら両者噴射始めの差が大きくなり、ガス燃料の混
合する時間を確保することができる。

〔実施例〕

以下第１〜１０図を参照して本考案の一実施例
について説明する。

第１図は本考案の二元燃料デイーゼルエンジン
の油燃料とガス燃料の供給系及びその制御系を示
したもので、１は圧縮着火性の良い油燃料噴射
弁、２はガス燃料噴射弁、３は油燃料を噴射する
燃料噴射ポンプ、５は油燃料のタンク、６は高圧
燃料ガスボンベ、７はガス噴射弁アクチユエータ
用油タンク、８は油燃料噴射ポンプ及びガス噴射
弁アクチユエータ用ポンプの関連させてコントロ
ールするコントローラ、９はピストン、１０はシ
リンダカバー、１１はシリンダライナ、１２は排
気弁、１５はガス弁の駆動を行なうアクチユエー
タ油圧ポンプを示す。

第２図はガス弁の駆動を行なうアクチユエータ
油圧ポンプのプランジヤ拡大図で１５０１はプラ
ンジヤ、１５０２はプランジヤリード上端、１５
０３はプランジヤリード下端、１５０４は給油孔
を示している。プランジヤリード下端１５０２は
斜めになつておりプランジヤが矢印Ａ方向に回転
してポンプの作用期間即ち噴射期間（量）が減少
するにつれてポンプの圧縮始めが進むようにプラ
ンジヤリード下端１５０３は上端と同じ方向の傾
斜をもつて構成されている。

第３図はパイロツト燃料油の噴射ポンプ用プラ
ンジヤ拡大図を示し、３０１はプランジヤ、３０
２はプランジヤリードの上端、３０３はプランジ
ヤリードの下端、３０４は給油孔を示している。
この場合プランジヤリード上端３０２は第３図に
示すようにポンププランジヤ中心軸に対して直角
に設定されているため、パイロツト燃料油の圧縮
開始期間は噴射量に拘らず一定である。

第４図は油燃料とガス燃料とを加えた全燃料に
対する油燃料量の割合と、油燃料噴射始めに対す
る油燃料噴射始めの進角関係を示している。先述
のとおり油燃料噴射量が多くなりガス燃料噴射量
が少なくなると、ガス弁の噴射開始時期が進み、
例えば油燃料が全燃料（油燃料＋ガス燃料）の50
％を越えても混焼率の悪化を防止するような噴射
時期となつている。

第５〜７図はガス弁噴射期間と油燃料噴射期間
との関係を燃焼室内の噴霧状況と関連づけて示し
たものである。

第５図はガス燃料を主体とし少量の油燃料を着
火用として噴射した状態で、油噴射始めに対する
油噴射始めの進角時間t₀が小さい場合を示してい
る。第６図は油燃料量がやや増加した状態を示し
ており、ガス燃料量の割合が減少するのでガス弁
アクチユエータポンプ１５のプランジヤ１５０１
の有効ストロークが減少して、プランジヤリード
上端の作用でガス弁２の噴射始めがやや進んだ状
態を示している。第７図はさらに油燃料の噴射量
が増大し、ガス燃料噴射量が減少して、油燃料と
ガス燃料の割合が50％，50％となつた場合を示し
ており、ガス弁の噴射始めは、ガス弁アクチユエ
ータポンプ１５のプランジヤリード上端１５０２
の形状によりさらに進んだ状態となつている。し
かしガス弁の噴射終りは油燃料弁の噴射始めより
後になるように油燃料ポンプ３のプランジヤ３の
プランジヤリード上端３０２が設定されている。

第８〜１０図はそれぞれ第５〜７図に対する油
燃料の着火時（ｔ＝t₁）に対応する燃焼室内の油
及びガス燃料噴霧の状況を示しており１は油燃料
弁、２はガス噴射弁、１３は油燃料噴霧、１４は
ガスジエツトを示している。

第８図は第５図に対応するもので十分に発達し
たガスジエツト１４に対し少量の油燃料噴霧１３
が着火源として作用し、燃料分散状況も良好であ
る。第９図は第６図に対応するものであり、ガス
ジエツトと油燃料噴霧が重なることなく分散も良
好な状態となつている。第１０図は第７図に対応
しておりガスジエツトがある程度発達した後に油
燃料が噴射されるので油燃料噴霧とガスジエツト
が重なることなく十分に分散し、油、ガス両燃料
と空気との混合が良好に保持できる。

なお本実施例では単一燃料弁からそれぞれ単一
油燃料噴霧、単一ガスジエツトが形成される場合
について説明したが、単一燃料弁にそれぞれ複数
の噴射孔を持ち、複数の油燃料噴霧を形成し、又
単一ガス噴射弁に複数の噴射孔を持ち複数のガス
ジエツトを形成する場合も全く同様の作用効果を
もつ。

〔考案の効果〕

前述のとおり、本考案の油、ガス二元燃料デイ
ーゼルエンジンはガス弁アクチユエータ油圧ポン
プのプランジヤリード上端及び下端をそれぞれ同
一方向に傾斜させてプランジヤの有効ストローク
が短くなりガスの吐出量が少なくなるに従い噴射
始めが早くなるようにするとともに、油燃料噴射
ポンプの噴射始めは一定になるように構成したの
で、油とガスの混焼割合が変化しても燃焼室内の
油燃料噴霧とガスジエツトが大きく重なり合うこ
となく、いつも良好な状態に保たれ、燃料効率を
高く維持できる。

【図面の簡単な説明】

第１〜１０図は本考案の実施例で第１図は二元
燃料デイーゼルエンジンの油及びガス燃料の供給
系及び制御系を示す図面、第２図はガス燃料弁用
アクチユエータ油ポンプのプランジヤ拡大図、第
３図は油燃料噴射ポンプのプランジヤ拡大図、第
４図は全燃料に対する油燃料の％と油燃料噴射始
めからガス燃料噴射始めまでの進角時間t₀との関
係線図、第５〜７図は油及びガス燃料の噴射始め
及び噴射期間を示す線図で第５図は油燃料が少な
い場合、第６図は油燃料が全燃料（油燃料＋ガス
燃料）に対し約30％の場合、第７図は油燃料とガ
ス燃料とがそれぞれ50％の場合である。第８〜１
０図はそれぞれ第５〜７図に対応するもので油燃
料発火時の燃焼室内の油及びガス燃料の噴霧状況
図、第１１〜１８図は従来例で、第１１図は第１
図相当図、第１２図は第２図相当図、第１３図は
第３図相当図、第１４図はガス噴射弁とそのアク
チユエータとの関係図、第１５図は第５図相当
図、第１６図は第７図相当図、第１７図は第８図
相当図、第１８図は第１０図相当図である。 １……油燃料噴射弁、２……ガス燃料噴射弁、
３……油燃料噴射ポンプ、３０２……油燃料噴射
ポンプのプランジヤリード上端、１０……シリン
ダカバー、１５……ガス燃料噴射弁を駆動するア
クチユエータポンプ、１５０１……アクチユエー
タポンプ１５のプランジヤ、１５０２……アクチ
ユエータポンププランジヤ１５０１のリード上
端、１５０３……アクチユエータポンププランジ
ヤ１５０１のリード下端。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダカバーの周囲から燃料を噴射するサイ
   ドインジエクシヨン燃焼方式を採用し複数組の圧
   縮着火性の良い油燃料を噴出する油燃料噴射弁と
   ガス燃料噴射弁とを具備した二元燃料デイーゼル
   エンジンにおいて、ガス噴射弁を駆動するアクチ
   ユエータポンプのプランジヤリードの上端及び下
   端を夫々噴射始め時期及び噴射終り時期が変化す
   るような形状とし、かつ該リードはプランジヤの
   有効圧縮ストロークの小さなときのほうが噴射始
   めが早く、有効圧縮ストロークが大きくなるにつ
   れて噴射始めが遅れるように形成するとともに、
   油燃料噴射ポンプのプランジヤリード上端は噴射
   始め一定の形状としたことを特徴とする油ガス二
   元燃料デイーゼルエンジン。