JP7557645B1 - 熱処理容器 - Google Patents

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【課題】熱衝撃を緩和できるとともに耐荷重性が確保され、容器割れなどを抑制できる熱処理容器を提供する。【解決手段】熱処理容器1は、板状の底壁部2と、底壁部2から立設した側壁部3とを備えてなり、底壁部2と側壁部3とで囲まれる空間に熱処理対象物を収容する、箱状の熱処理容器であって、底壁部2の外周部の少なくとも一部に、平面視で側壁部3の最外周縁から外側に突出する突起部4を有し、底壁部2と側壁部3と突起部4とが一体に成形された一体成形物である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱処理容器に関し、特に、熱処理対象物を収容して、連続加熱炉内で一方向に搬送され、熱処理対象物を熱処理するために用いられる熱処理容器に関するものである。
連続加熱炉は、熱処理対象物を搬送しながら連続的に熱処理する加熱炉である。連続加熱炉には、複数本の搬送ローラを回転駆動することにより、熱処理対象物を搬送しつつ熱処理を施す加熱炉がある。このような連続加熱炉は、ローラハースキルンとも称される。
例えば、ローラハースキルンでは、部品や粉末などの熱処理対象物を収容して高温で熱処理するための熱処理容器が用いられている。ローラハースキルンは、例えば、全長が予熱部、焼成部、冷却部で構成されており、複数の熱処理容器が一方向に連続的に搬送される。搬送時には、生産性向上のために多くの製品を焼成部に収容すべく、熱処理容器が搬送方向および搬送方向に直交する方向に整列され、容器同士は相互に密着した状態で搬送される。
従来、搬送時における熱処理容器同士の接触による破損などを抑制するため、特許文献1の技術が提案されている。特許文献1記載の熱処理容器(匣鉢)は、リチウム正極材の粉体を収容した状態で熱処理炉内に配置されて粉体を熱処理するための匣鉢であり、この匣鉢はニッケル基合金により形成され、熱処理容器を上面視したときに、匣鉢の上端部の大きさは、底部の大きさ以下になっている。これにより、搬送時において、匣鉢の強度の弱い上端部同士が接触することを防止している。
特許第7277662号 韓国公開特許第10-2013-0117272号 特開2023-82822号公報
ところで、ローラハースキルンでの熱処理では、上述したように、熱処理容器同士が密着した状態のまま、加熱され、その後冷却される。そのため、密着した箇所に熱がこもってしまい、冷却部においてワークとともに熱処理容器が冷めにくく、熱衝撃によるクラックなどが生じる場合がある。その結果、熱処理容器から漏出した熱処理対象物が搬送ローラに付着したり、容器の割れ破片が搬送ローラの間に挟まれるなどの搬送トラブルの原因になり得る。一方で、熱処理容器には、搬送時に搬送方向に大きな荷重(ラインプレッシャーともいう)が掛かり、それに耐え得る強度も求められる。
上記特許文献1では、搬送時の熱処理容器同士の接触による破損などについては検討されているが、熱処理容器自体の熱衝撃や耐荷重などについては検討されていない。
また、特許文献2には、容器の外周面に突部を設け、容器同士を離隔させることで、連続加熱炉内でのガスの移動を円滑にすることは記載されているが、耐荷重などについては検討されていない。また、特許文献3には、1枚の底板と複数枚の側板を箱型に組み立てた組み立て式匣鉢について記載されているが、耐荷重性の点では改善の余地があると考えられる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、熱衝撃を緩和できるとともに耐荷重性が確保され、容器割れなどを抑制できる熱処理容器を提供することを目的とする。
本発明の熱処理容器は、板状の底壁部と、上記底壁部から立設した側壁部とを備えてなり、上記底壁部と上記側壁部とで囲まれる空間に熱処理対象物を収容する、箱状の熱処理容器であって、上記底壁部の外周部の少なくとも一部に、平面視で上記側壁部の最外周縁から外側に突出する突起部を有し、上記底壁部と上記側壁部と上記突起部とが一体に成形された一体成形物であることを特徴とする。
上記突起部がある外周部位置において、上記突起部の上端面と上記側壁部の外周面との連結部、および、上記側壁部の内周面と上記底壁部の上面との連結部から選ばれる少なくとも1つに、肉厚部を有することを特徴とする。
上記突起部は、その上端および下端が上記底壁部の厚み範囲内に位置する形状であることを特徴とする。
上記熱処理容器は、耐熱性無機材料の成形物であることを特徴とする。
上記底壁部は矩形状であり、上記側壁部は上記底壁部の4辺から立設した矩形状の側壁部であり、上記突起部の長さが、該突起部がある上記底壁部の辺の長さの1/4以上であることを特徴とする。
上記突起部は、該突起部の上端面に設けられた凸部を有することを特徴とする。
上記熱処理対象物が、リチウムイオン電池材料であることを特徴とする。
上記熱処理容器は、ローラハースキルンで使用されることを特徴とする。
本発明の熱処理容器は、板状の底壁部と側壁部とを備えてなる箱状であって、底壁部の外周部の少なくとも一部に、平面視で側壁部の最外周縁から外側に突出する突起部があるので、例えば連続加熱炉における搬送時において、隣り合う容器同士の側壁部の間に隙間が形成され、蓄熱を軽減して熱衝撃を緩和でき、容器割れなどを抑制できる。かつ、突起部が、底壁部の外周部にあるので、荷重の最も強くかかる底壁部で荷重を受けることができ、容器の割れなどを抑制できる。また、熱処理対象物のオーバーフローによる粉や容器の割れ破片が、突起部に遮断され、容器下方の装置(搬送ローラなど)に侵入することや付着することを抑制できる。さらに、熱処理容器は、各部位からなる全体が一体に成形された一体成形物であるので、例えば、上記特許文献3のように、個別に各側壁部などを成形して接合する場合のような接合箇所などでの割れなどの懸念がなく、また、製造コストの低減も図れる。
突起部で荷重を受けて、突起部と底壁部を含めた容器下部に荷重が加わる際に、側壁部の立ち上がり箇所となる各連結部に肉厚部を有することで、この箇所を起点とするような割れなどを抑制できる。また、熱処理容器を搬送する際、特にローラハースキルンの場合には熱処理容器が直立せずに傾く場合があり、その傾きなどによって、隣り合う容器同士の側壁部が接触したとしても、側壁部の割れ(特に側壁部の立ち上がり箇所)を抑制できる。
突起部の上下端が底壁部の厚み範囲内に位置するので、突起部で荷重を受ける際に、突起部からの荷重は底壁部に加わり、突起部から側壁部に対しては直接的な荷重が加わらないので、側壁部の割れなどを抑制できる。
矩形状の熱処理容器において、突起部の長さが一定以上あることで、隣り合う容器同士の側壁部の間に隙間を安定して維持できる。
突起部の上端面に凸部があることで、熱処理対象物のオーバーフローによる粉や容器の割れ破片が、凸部と側壁部との間に保持されて、容器下方に漏出や落下することを抑制できる。
熱処理対象物として、熱処理容器の劣化を促進しやすい材料を用いる場合や、リチウム正極材料を用い、当該材料の浸透により容器が劣化(脆化)する場合においても、所定の突起部により熱衝撃耐性や割れの強度を維持しやすくなる。また、リチウム正極材料が、ローラハースキルンなどの搬送ローラに付着することを抑制でき、ローラハースキルンのローラの劣化を抑制できる。
本発明の熱処理容器の一例が適用された連続加熱炉の概略構成を示す平面図である。 図1の熱処理容器の一例を示す斜視図である。 図1の熱処理容器の平面図および断面図である。 熱処理容器の他の例を示す拡大断面図である。 図1の熱処理容器を製造する加圧成形の一例を示す概略図である。 本発明の熱処理容器の作用効果を説明するための概略図である。 本発明の熱処理容器の他の例について、隣り合う他の熱処理容器との位置関係を示す平面図である。 本発明の熱処理容器の他の例について、隣り合う他の熱処理容器との位置関係を示す平面図である。 本発明の熱処理容器の他の例の断面図である。
図1は、本発明の熱処理容器の一例が適用された連続加熱炉の概略構成を示す平面図である。熱処理炉51は、複数本の搬送ローラ52を有するローラハースキルンである。搬送ローラ52は、熱処理炉51内で並列に且つ同間隔で配置された円柱状ローラであり、例えば、Al、SiCなどの耐熱性無機材料の焼結体で構成される。熱処理炉51において、搬送ローラ52は、駆動装置(図示省略)によって、それぞれ同期して回転駆動される。
図1に示すように、搬送ローラ52の上には、熱処理対象物Tが収容された熱処理容器1が複数載置され、搬送ローラ52の回転によって搬送方向Fに連続的に搬送される。そして、熱処理炉51の焼成部では、例えば不活性ガス雰囲気下で熱処理容器1内の熱処理対象物Tが所定温度で熱処理される。
熱処理対象物Tは、例えば、リチウムイオン電池、太陽電池、燃料電池などの電池材料であり、より具体的にはリチウムイオン電池のリチウム正極材料(コバルト酸リチウムなど)である。またその他に、リチウムイオン電池の負極材料(カーボン)や、アルミナ基板、サーミスタなども熱処理対象物Tとして熱処理される。熱処理対象物Tの性状は、例えば、粉体状やペレット状である。なお、リチウムイオン電池のリチウム正極材料と負極材料をあわせてリチウムイオン電池材料と呼ぶこともある。
熱処理炉51内では、図1に示すように、複数の熱処理容器1が搬送方向Fおよび搬送方向に直交する方向に整列され、容器同士が前後左右に密着した状態で搬送される。図1では、熱処理容器1が搬送方向Fに4列、搬送方向に直交する方向に3列並んでいる。このように整列させることで、複数の熱処理容器1に対して均一に加熱し、容器間で熱処理時の温度ムラを低減させている。
一方で、容器同士が密着することで、熱処理炉51の冷却部において熱処理容器1が冷めにくく、熱衝撃によるクラックなどが生じる場合がある。本発明に係る熱処理容器1では、このような対策として所定の突起部4を設けている。熱処理容器1について、図2および図3を用いて説明する。
図2は熱処理容器の斜視図であり、図3は熱処理容器の平面図および断面図である。図2に示すように、熱処理容器1は、板状の底壁部2と、底壁部2から立設した側壁部3とを備えてなる。底壁部2と側壁部3とで囲まれる空間に、図1に示したように、熱処理対象物が収容される。熱処理容器1は、上面が開口された箱状の形状をなしている。
熱処理容器1は、底壁部2の外周部の少なくとも一部に、平面視で側壁部3の最外周縁から外側に突出する突起部4を有している。熱処理容器1では、底壁部2の外周部の全周に突起部4が形成されており、突起部4によって底壁部2の外周部が一回り大きくなっている。この場合、突起部4の長さLは、突起部4がある底壁部2の辺の長さL(図3参照)よりも長くなっている(L>L)。なお、ここでいう突起部4の長さLは、底壁部2の辺の長さと平行方向の長さであり、突起部がその長さ方向において分割されている場合は、分割されている各部の合計の長さをいう(例えば図8参照)。熱処理容器1は、この突起部4を有することによって、隣り合う容器同士の側壁部3の間に隙間を形成することができる。
図3(a)には平面図を示す。図3(a)に示すように、熱処理容器1において、底壁部2は矩形状であり、側壁部3は底壁部2の4辺から立設した矩形状の側壁部である。側壁部3を構成する各辺部3A、3B、3C、3Dは、相互に厚みwおよび高さが同じであり、矩形状の各角部に相当する箇所で互いに接続されている。図3(a)において、各辺部同士(例えば3A、3B)の内周面は、所定の曲率半径rを有する曲面で接続されている。曲率半径rは特に限定されないが、例えば各辺部の上端部における厚みwよりも大きく設定される。なお、図3(a)では、各辺部(例えば3A、3B)同士の外周面は、各辺部の延在方向に対して傾斜した傾斜平面で接続されているが、曲面で接続されてもよい。
図3(b)にはX-X線断面図を示す。図3(b)に示すように、側壁部3の内周面3bは、開口端が開くように緩やかに傾斜している。すなわち、内周面3bと底壁部2の上面2aとの間の開き角度は、直角よりも大きく、直角に対して1°~3°程度の僅かな開き角が付与されている。ただし、内周面3bと底壁部2の上面2aとの間の開き角度は、上記角度に限らず、直角でもよい。
一方、側壁部3の外周面3aは、突起部4の上端面4aに対して直角に延びている。この外周面3aと突起部4の上端面4aとがなす角度は、直角よりも小さくして、側壁部3が上端部にいくにしたがって厚みが小さくなるようにしてもよい。なお、側壁部3の外周面3aの開き角度を90°よりも大きくすると、後述の図5に示すように、熱処理容器1の加圧成形後の型抜きの際に、側壁部3がアンダーカット部になるおそれがある。
図3(b)に示すように、熱処理容器1において、突起部4は、底壁部2を外周側に延長したように突出している。この場合、突起部4は、底壁部2の外周部の少なくとも一部を均一な厚みで拡張させるように突出している。突起部4の側壁部3の最外周縁から外側に突出する長さ(図3(b)ではL)は、側壁部3の厚みに対して、例えば、10%~120%、10%~80%、10%~50%、または20%~50%とし、具体的な数値で言えば、例えば1mm~20mm程度である。また、突起部4は、その上端面4aおよび下端面4bが、底壁部2の厚みt範囲内に位置する形状になっている。図3(b)では、底壁部2の上面2aと突起部4の上端面4aは同一平面の関係にあり、底壁部2の下面2bと突起部4の下端面4bは同一平面(この場合は面一)の関係にある。また、突起部4の厚みtは、底壁部2の厚みtと等しくなっている。
また、突起部4と底壁部2との関係は図4に示すような構成になっていてもよい。図4には、熱処理容器の他の例として、図3(b)の断面図に相当する一部拡大図を示す。この例においても、突起部4は、その上端および下端が、底壁部2の厚みt範囲内に位置する形状になっている。この場合、突起部4の厚みtは、底壁部2の厚みtよりも小さくなっている。
ここで、図3において、熱処理容器1には、連続加熱炉の搬送時に搬送方向に向かって大きな荷重が掛かる。この荷重は、ラインプレッシャーとも呼ばれる。本発明者らは、突起部を有さない一般的な熱処理容器を用いて、搬送時に熱処理容器にかかる荷重について解析したところ、特に容器の側面下部である底壁部で容器同士が強く当接し、この箇所に大きな荷重がかかることが判明した。そのため、容器同士の間に隙間を形成する役割を担う突起部4を、底壁部2の外周部に設けることで、荷重が最も強くかかる底壁部2でラインプレッシャーを受けるようにし、隙間を形成しながらも荷重による容器の割れなどを抑制することができる。
図3に示すように、熱処理容器1は、突起部4の上下端面4a、4bが底壁部2の厚みt範囲内に位置しており、突起部4でラインプレッシャーを受ける際に、突起部4からの荷重は底壁部2に加わり、突起部4から側壁部3に対しては直接的な荷重が加わらないので、側壁部3の割れなどを抑制できる。
また、熱処理容器1は、突起部4がある外周部位置において、側壁部3の内周面3bと底壁部2の上面2aとの連結部に、肉厚部Pを有することが好ましい。この肉厚部Pは、所定の曲率半径を有する曲面で形成されており、底壁部2の厚みtよりも厚く、また側壁部3の厚みwよりも厚くなっている。突起部4でラインプレッシャーを受けて、突起部4と底壁部2を含めた容器下部に荷重が加わる際に、側壁部3の立ち上がり箇所となるこの連結部に肉厚部Pを設けることで、この箇所を起点とするような破損などを抑制できる。また、熱処理容器1を搬送する際、特にローラハースキルンの場合には熱処理容器1が直立せずに傾く場合があり、その傾きなどにより、隣り合う容器同士の側壁部3が接触したとしても、側壁部3の破損(特に側壁部3の立ち上がり箇所)を抑制できる。肉厚部の厚みは、底壁部2または側壁部3の元の厚みに対して、例えば、最大の厚み箇所で1%~50%、3%~50%、5%~50%、1%~30%、3%~30%、または5%~30%分肉厚とする。また、肉厚部の形状は、連結部(角部)に対して、上述の所定の曲率半径を有する曲面である円弧状のほか、後述の傾斜平面状や、段差状の肉厚部とできる。
なお、肉厚部を、突起部4の上端と側壁部3の外周面3aとの連結部に設けてもよい。例えば、図4では、側壁部3の立ち上がり箇所となる内外周側の両連結部に肉厚部を有している。また、外周側の肉厚部は、突起部4の上端と側壁部3の外周面3aとを連結する傾斜平面で形成されている。この傾斜平面は、水平面に対して傾斜しており、その傾斜角度αは、例えば30°~60°であり、45°超えであってもよい。
上述した熱処理容器1は、底壁部2と側壁部3と突起部4とが一体に成形された一体成形物である。熱処理容器1の材料は特に限定されず、耐熱性無機材料で形成されることが好ましい。耐熱性無機材料としては、ムライト・コーディエライト、ムライト、コーディエライト、アルミナ、スピネル、SiC、チタン酸アルミニウムなどが挙げられる。また、熱処理容器1は、耐熱性無機材料を用いた鋳込み成形や加圧成形などによる成形物であることが好ましい。
例えば図5には、図1の熱処理容器を製造する加圧成形の一例を示す。図5は、一軸加圧を行う場合を示しており、この成形型は、ダイ5と、その上下の開口部に嵌め込まれる一対のパンチ(下パンチ6と上パンチ7)とを備える。ダイ5および下パンチ6で形成されたキャビティ内に上述した耐熱性無機材料を含む原料粉末8を充填し、その後、上パンチ7を降下させて原料粉末8を圧縮することにより、圧縮成形体が成形される。その後、上パンチ7を上昇移動させるとともに下パンチ6を上昇移動させ、圧縮成形体をキャビティ外に排出する。
なお、加圧成形方法は特に限定されず、冷間等方圧加圧法、熱間等方圧加圧法などを採用してもよい。
その後、得られた圧縮成形体に焼結炉に供給して焼結を行うことで、本発明の熱処理容器が得られる。なお、焼結条件は適宜設定される。
次に、図6には、上述した熱処理容器の作用効果を説明する概略図を示す。ここでは、連続加熱炉にて多列搬送される熱処理容器の状態を示しており、容器間に形成される隙間をグレーで表記している。図6に示すように、左右前後で隣り合う熱処理容器同士は、底壁部の外周部で突出した各突起部によって相互に当接することから、各側壁部の間に隙間が形成される。隙間としては、搬送方向Fに沿った隙間と搬送方向Fに直交した方向に沿った隙間がそれぞれ形成され、これらが交差している。このように隙間が形成されることで、容器周りに気流ができ、その気流による放熱効果によって、熱処理容器における熱衝撃が緩和される。その結果、容器の割れなどを抑制できる。
また、図6に示す熱処理容器1は、底壁部の外周部の全周に突起部4が設けられているため、熱処理対象物のオーバーフローによる粉や容器の割れ破片などが突起部4に遮断され、熱処理容器1の下方に設置される搬送ローラなどへの侵入や付着することを抑制できる。例えば連続加熱炉では、搬送ローラが汚染されると清掃作業が必要になる。清掃作業時には連続加熱炉の運転を停止することにより生産性の低下を招き、また作業負担の増大にも繋がるが、突起部4によってこれらを好適に防ぐこともできる。
以下には、本発明の熱処理容器の他の例について、図7~図9を用いて説明する。
図7は、隣り合う他の熱処理容器との位置関係を示す平面図である。熱処理容器11A、11Bは互いに同じ構成である。熱処理容器11Aは、板状の底壁部12と、底壁部12から立設した側壁部13とを備えてなる。この熱処理容器11Aでは、突起部は底壁部12の外周部の全周には形成されておらず、底壁部12の外周部の一部に形成されている。具体的には、突起部14A、14Bは、矩形状の底壁部12において対角に位置する一対の角部の周囲に2箇所設けられている。突起部14Aは、底壁部12の外周部において、辺部13Aの辺長さの中央位置から角部を経由して辺部13Dの辺長さの中央位置にかけて形成されている。また、突起部14Bは、底壁部12の外周部において、辺部13Bの辺長さの中央位置から角部を経由して辺部13Cの辺長さの中央位置にかけて形成されている。平面視において、突起部14A、14BはそれぞれL字状に形成されている。
また、熱処理容器11Aでは、突起部14A、14Bの長さLは、突起部14A、14Bがある底壁部12の辺の長さの1/2以上になっている。
図7に示すように、搬送時には、熱処理容器11A、11Bは突起部が互いに係合して搬送される。具体的には、熱処理容器11Aの突起部14Bは、搬送時において熱処理容器11Aに対して搬送方向Fに交差する方向の一方側に隣り合う他の熱処理容器11Bから突き出す突起部14Aと搬送方向Fにおいて係合される。また、熱処理容器11Aの突起部14Aは、他方側に隣り合う他の熱処理容器(図示省略)から突き出す突起部と搬送方向Fにおいて係合される。
熱処理容器11Aにおいても、突起部14A、14Bによって隣り合う容器同士の側壁部の間に隙間が形成され、その結果、熱衝撃を緩和させることができる。さらに、熱処理容器11Aでは、搬送方向Fにおいて熱処理容器11Aと他の熱処理容器11Bとが相互に移動しようとすると、図7に示すように、両者の突起部14A、14Bが係合して搬送方向Fにおける熱処理容器11Aと他の熱処理容器11Bとの相互の移動が規制されるので、熱処理容器11A、11B同士の進行のばらつきを抑制することができる。
図8には、さらに他の例について、隣り合う他の熱処理容器との位置関係を示す。熱処理容器21A、21Bは互いに同じ構成である。熱処理容器21Aは、板状の底壁部22と、底壁部22から立設した側壁部23とを備えてなる。この熱処理容器21においても、突起部は底壁部22の外周部の一部に形成されている。具体的には、突起部24A~24Dは、矩形状の底壁部22において各角部の周囲に4箇所設けられている。例えば、突起部24Aは、底壁部22の外周部において、辺部23Aの辺長さの途中位置(1/4程度の位置)から角部を経由して辺部23Dの辺長さの途中位置(1/4程度の位置)にかけて形成されている。
また、熱処理容器21Aでは、突起部の長さ(Lb1とLb2の合計長さ)は、突起部がある底壁部22の辺の長さの1/2以上になっている。
熱処理容器21Aにおいても、突起部24A~24Dによって隣り合う容器同士の側壁部の間に隙間が形成され、その結果、熱衝撃を緩和させることができる。さらに、熱処理容器21Aは、他の熱処理容器22Aと隣り合わせた場合に、底壁部22に垂直な方向、つまり上下方向に貫通する貫通隙間25が形成される構成になっている。この場合、熱処理容器21Aにおいて、側壁部23の間に形成される前後左右の隙間に加え、上下方向にも貫通隙間25が形成されることで、この貫通隙間25にも気流が生じ、熱衝撃をより緩和させやすくなる。
例えば、図8において、突起部の長さを変更することで貫通隙間25の長さを調整することができる。なお、突起部の長さは、突起部がある底壁部の辺の長さの1/4以上であることが好ましい。突起部の長さを一定以上確保することで、隣り合う容器同士の側壁部の間に隙間を安定して形成しやすくなる。
図9には、本発明の熱処理容器のさらに他の例の断面図を示す。図9には、熱処理容器31の断面図を示す。熱処理容器31は、板状の底壁部32と、底壁部32から立設した側壁部33とを備えてなる。熱処理容器31は、底壁部32の外周部の全周に、平面視で側壁部33の最外周縁から外側に突出する突起部34を有している。この突起部34は、上記図3の突起部4に比較して、外周側に一層延出するように形成されており、突起部34の上端面34aに立設した凸部35を有する。凸部35は、突起部34に対して直角に延びている。熱処理容器31は、この凸部35も含めて各部が一体に成形された一体成形物である。
凸部35の高さ(突起部34の上端面34aを基準)は、側壁部33の高さよりも小さく設定され、例えば1/2以下の高さに設定される。
図9に示すように、凸部35は、側壁部33から離間して、突起部34の外周縁付近に設けられている。図9では、突起部34の一部34c(点線丸部分)は、平面視で凸部35の最外周縁から外側にさらに突出している。なお、突起部34の一部をこのように突出させずに、突起部34を凸部35の外周面と面一になるように形成してもよい。その場合であっても、隣り合う容器同士の側壁部33の間には十分な隙間が形成され、熱衝撃の緩和に繋がる。
このように、突起部34の上端面34aに凸部35を設けることで、例えば、熱処理対象物が突沸して側壁部33からこぼれた場合であっても、凸部35が、その熱処理対象物の外部への流出を防ぐための防護壁となる。すなわち、熱処理対象物が凸部35と側壁部33との間に保持されて、熱処理容器31の下方に漏出することや落下することを防止できる。
上記形態において、凸部の形状は、側壁部からこぼれる熱処理対象物を側壁部との間で保持できるような形状であればよく、図9に示す形状に限定されない。例えば、突起部34の外周縁に近づくにしたがい高さが高くなるように傾斜したような凸部であってもよい。
以上、本発明の熱処理容器は、各図で説明した構成に限定されるものではない。
上記では、矩形状の底壁部の外周部において、突起部を、側壁部を構成する辺部の各方向(具体的には4方向)に突出するように設けたが、突起部は底壁部の外周部の少なくとも一部に設けられていればよく、側壁部を構成する辺部の一方向にのみ突出するように設けられてもよい。
また、上記の熱処理容器では、底壁部を矩形状としそれに合わせて側壁部を矩形状としたが、これに限定されるものではなく、底壁部および側壁部の形状を適宜選択して、平面視が円形状や楕円形状、その他の多角形状などの熱処理容器としてもよい。このような形状であっても、所定の突起部を有することで、上述した本発明の効果を得ることができる。
本発明の熱処理容器は、熱衝撃を緩和できるとともに耐荷重性が確保され、容器割れなどを抑制できるので、例えばローラハースキルンにおける熱処理容器として好適に用いることができる。
1 熱処理容器
2 底壁部
3 側壁部
4 突起部
5 ダイ
6 上パンチ
7 下パンチ
8 原料粉末
11A、11B 熱処理容器
12 底壁部
13 側壁部
14A、14B 突起部
21A、21B 熱処理容器
22 底壁部
23 側壁部
24A、24B、24C、24D 突起部
25 貫通隙間
31 熱処理容器
32 底壁部
33 側壁部
34 突起部
35 凸部
51 連続加熱炉
52 搬送ローラ

Claims (6)

  1. 板状の底壁部と、前記底壁部から立設した側壁部とを備えてなり、前記底壁部と前記側壁部とで囲まれる空間に熱処理対象物を収容する、箱状の熱処理容器であって、
    前記底壁部の外周部の少なくとも一部に、平面視で前記側壁部の最外周縁から外側に突出する突起部を有し、
    前記底壁部と前記側壁部と前記突起部とが一体に成形された一体成形物であり、
    前記突起部は、その上端面および下端面が前記底壁部の厚み範囲内に位置する形状であり、他の熱処理容器と当接した場合に荷重を受けることが可能な部位であることを特徴とする熱処理容器。
  2. 前記突起部がある外周部位置において、前記突起部の上端面と前記側壁部の外周面との連結部、および、前記側壁部の内周面と前記底壁部の上面との連結部から選ばれる少なくとも1つに、肉厚部を有することを特徴とする請求項1記載の熱処理容器。
  3. 前記熱処理容器は、耐熱性無機材料の成形物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱処理容器。
  4. 前記突起部は、該突起部の上端面に設けられた凸部を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱処理容器。
  5. 前記熱処理対象物が、リチウムイオン電池材料であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱処理容器。
  6. 前記熱処理容器は、ローラハースキルンで使用されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱処理容器。
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