JP7428486B2 - 装飾被膜面の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な装飾被膜面の形成方法に関するものである。
従来、建築物、土木構造物等の壁面に対し、種々の模様を有する装飾被膜を形成することが行われている。特に近年は、デザイン性の高い建築物が多く設計される中で、例えば、自然石調、木目調、金属調、レザー調、陶磁器(釉薬)調、アンティーク調など、様々な装飾被膜が要望される。このような装飾被膜の一例として、複数の被覆材を部分的に塗り重ねて模様を形成した装飾被膜が挙げられる。
例えば、特許文献1には、着色ベース塗料を全面に塗付し、次いでその面に色が異なる複数の着色塗料をそれぞれ斑点状に塗装して多彩模様に仕上げる方法が記載されている。しかしながら、上記特許文献1では、斑点模様が単調で人工的な仕上がりとなるおそれがある。
特開2000-140750号公報
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、複雑で自然な模様を有する美観性の高い装飾被膜面の形成方法を提供することを目的とする。
このような課題を解決するため、本発明者は鋭意検討の結果、被塗面に、第1被覆材を全面に塗付し、特定の第1被膜を形成した後、第2被覆材を不連続に塗付する装飾被膜面の形成方法に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
1.被塗面に対し、第1被覆材をランダム方向に塗り広げて全面に塗付し第1被膜を形成する工程、
上記第1被膜の上に、第2被覆材を不連続に塗付し第2被膜を形成する工程、
を含み、
上記第1被覆材は、鱗片状顔料を含む金属調被覆材であり、
上記第1被膜は、色調及び/または光沢が不均一な被膜であり、
上記第2被覆材が、鱗片状顔料を含む金属調被覆材である
ことを特徴とする装飾被膜面の形成方法。
2.上記第1被覆材を塗付する際の塗付器具として、ローラー、ブラシ、または押圧具を使用することを特徴とする請求項1に記載の装飾被膜面の形成方法。
本発明は、被塗面に対し、第1被覆材を全面に塗付し第1被膜を形成する工程、上記第1被膜の上に、第2被覆材を不連続に塗付し第2被膜を形成する工程を含み、上記第1被膜が、色調及び/または光沢が不均一な被膜であることにより、複雑で自然な模様を有する美観性の高い装飾被膜面を得ることができる。
図1は、本発明により形成される装飾被膜面の一例を示す(I)正面図、(II)断面図である。 図2は、本発明で使用可能な押圧具の一例を示す断面図である。 図3は、本発明で使用可能なローラーの一例を示す断面図である。 図4は、本発明により形成される装飾被膜面の一例を示す正面図である。
1.装飾被膜面
1a.着色領域A
1b.着色領域B
1c.着色領域C
11.第1被膜
12.第2被膜
2.押圧具
2a~2e.スポンジ質材
2f.高さ方向
3.ローラー
3a~3e.スポンジ質材
3f.円筒外周面
3g.円筒外径方向
4.被塗面
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明は、被塗面に対し、第1被覆材を全面に塗付し第1被膜を形成する工程、上記第1被膜の上に、第2被覆材を不連続に塗付し第2被膜を形成する工程を含み、上記第1被膜が、色調及び/または光沢が不均一な被膜であることを特徴とするものである。本発明で形成される装飾被膜面は、正面から視認した場合に、第1被膜と第2被膜が混在して入り組んだ模様を形成するものである。
図1に、本発明によって形成される装飾被膜面の一例[図1(I):正面図、(II):X-X’部の断面図]を示す。本発明の装飾被膜面の形成方法によれば、図1(I)のように正面から視認した場合に、着色領域A[図1(I):1a]と着色領域B[図1(I):1b]が混在した被膜が得られる。この被膜は、図1(II)のように、被塗面[図1(II):4]に対して、第1被膜[図1(II):11]が全面に形成され、その上に第2被膜[図1(II):12]が不連続に積層されたものであり、正面から視認した場合には、第1被膜部が着色領域A、第1被膜と第2被膜の積層部が着色領域Bとして視認される。また、第1被膜による着色領域Aの色調及び/または光沢が不均一であることにより複雑で自然な模様を有する美観性の高い装飾被膜面を形成することができる。
以下、図1の装飾被膜面の形成方法を例に説明する。
図1に示す装飾被膜面の形成方法としては、
(第1工程)被塗面に対し、第1被覆材を全面に塗付し、第1被膜を形成する工程
(第2工程)上記第1被膜の上に、第2被覆材を不連続に塗付し、第2被膜を形成する工程
を含む。この場合、例えば、上記第1被膜が着色領域A[図1(I):1a]、上記第2被膜が着色領域B[図1(I):1b]を形成する。
上記第1工程において、第1被覆材により形成される第1被膜は、色調及び/または光沢が不均一な被膜であり、1種の被覆材により形成されることを特徴とする。本発明において、「色調が不均一」とは、被塗面上に形成した第1被膜において、少なくとも2つ以上の色調が異なる領域が視認できるものをいう。より具体的には、色差(△E)が、好ましくは0.5以上(より好ましくは1以上)である領域が混在するものである。色差の上限は、特に限定されないが、好ましくは90以下であり、所望の意匠に応じて設定することができる。例えば、コントラストを付与しつつ、統一感のある落ち着いた意匠を形成する場合には、色差(△E)の上限は20以下とすることが好ましい。一方、着色領域同士のコントラストが明瞭なアクセント意匠を形成する場合には、色差(△E)を20超90以下とすることが好ましい。
また、「光沢が不均一」とは、被塗面上に形成した第1被膜において、少なくとも2つ以上の光沢度が異なる領域が視認できるものをいう。より具体的には、光沢度の差が、好ましくは1以上(より好ましくは2以上)である。光沢度の差の上限は、好ましくは90以下(より好ましくは60以下)である。光沢度の差を有することにより、コントラストを有し、立体的な陰影を有する美観性の高い被膜を形成することができる。
なお、本発明における色差(△E)は、色彩色差計を用いて測定される値である。具体的には、形成被膜の色調が異なる部分のL値、a値、b値をそれぞれ測定し、下記式にて算出することができる。
<式>△E={(L*1-L*2+(a*1-a*2+(b*1-b*20.5
(式中、L*1、a*1、b*1はそれぞれ第1測定点のL、a、b。L*2、a*2、b*2はそれぞれ第2測定点のL、a、b
また、「光沢度」とは、JIS K5600-4-7「鏡面光沢度」に準じて測定される値である。具体的には、形成被膜の光沢が異なる部分の鏡面光沢度(測定角度60度)をそれぞれ測定することによって得られる値である。
上記のような色調及び/または光沢が不均一な第1被膜は、例えば、
(I)第1被覆材の種類(例えば、多彩模様塗料、特殊顔料含有被覆材等)、
(II)第1被覆材の塗付手法(例えば、塗付具、塗付厚み等)、
(III)被塗面の種類(例えば、凹凸模様、材質、表面性状、吸い込み性、ハジキ性等)、
及びこれらの組み合わせ等に由来して形成できるものである。本発明では、特に、上記(I)、(II)を組み合わせた方法が好適であり、例えば、ムラ模様、ぼかし模様、波状模様、揺らぎ模様等、模様の境界が不明瞭な模様であることが好適である。
第1被覆材の塗付け量は、被塗面の種類・状態、仕上がり等を勘案して適宜設定すればよいが、好ましくは30~500g/m(より好ましくは80~400g/m、さらに好ましくは90~300g/m)である。第1被覆材の塗付け量が上記範囲を満たす場合、被塗面の全体を覆う連続的な被膜が形成されやすい。さらに、被塗面に対して全面に塗付された第1被覆材の塗着量は、固形分換算で、好ましくは10~500g/m、より好ましくは20~400g/mである。なお、本発明において「a~b」は「a以上b以下」と同義である。
第1被覆材は、塗付時に各種溶媒で希釈することができる。第1被覆材の希釈割合は、被覆材に対して、好ましくは0~50重量%(より好ましくは1~50重量%、より好ましくは2~40重量%)である。この場合、色調及び/または光沢が不均一な被膜をより効率的に形成することができる。また、第1被覆材の塗付時の粘度は、好ましくは0.1~8Pa・s(より好ましくは0.5~6Pa・s)である。このような場合、被塗面の全面を覆う連続的な被膜が形成されやすく、色調及び/または光沢が不均一な被膜が形成されやすい。なお、粘度は、標準状態(温度23℃・相対湿度50%)でBH型粘度計(回転数20rpm)を用いて測定される値(4回転目の指針値)である。
第1被覆材を塗付する際には、被塗面全面に対し第1被覆材が塗着するように塗付すればよく、その塗付器具としては、例えば、スプレー、ローラー、ブラシ(刷毛等を含む)、押圧具(叩き具等を含む)等を使用することができる。このうち、ローラーとしては、例えば、繊維質ローラー、多孔質(スポンジ質)ローラー等が挙げられ、押圧具としては、例えば、スポンジ、フェルト、織布、不織布等を有するものが使用できる。本発明では、特に、ローラー、及び/またはブラシを使用することが好ましく、さらにはランダム方向に塗り広げて被塗面全面に塗付することが望ましい。これにより色調及び/または光沢が不均一な被膜が形成されやすい。
上記第2工程において、上記第1被膜の上に塗付される第2被覆材は、特に限定されず、種々の被覆材を使用することができる。本発明では、第2被覆材として、上記第1被覆材とは異色の被覆材を使用することが好ましい。なお、異色とは、第1被覆材と第2被覆材の色差(△E)が、好ましくは3以上(より好ましくは5以上)である。色差の上限は、特に限定されないが、好ましくは90以下であり、所望の意匠に応じて設定することができる。例えば、コントラストを付与しつつ、統一感のある落ち着いた意匠を形成する場合には、色差(△E)の上限は20以下とすることが好ましい。一方、着色領域同士のコントラストが明瞭なアクセント意匠を形成する場合には、色差(△E)を20超90以下とすることが好ましい。
また、第2被覆材は、第1被覆材とは光沢度が異なるものも使用できる。光沢度の差は、好ましくは2以上(より好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上)である。光沢度の差の上限は、好ましくは90以下(より好ましくは60以下)である。光沢度の差を有することにより、コントラストを有し、立体的な陰影を有する美観性の高い被膜を形成することができる。
なお、第1被覆材と第2被覆材の色差(△E)は、色彩色差計を用いて測定される値である。具体的には、標準白紙に、すきま250μmのフィルムアプリケータを用いてそれぞれの被覆材を塗り、塗面を水平に置いて標準状態(気温23℃、相対湿度50%。以下同様。)で48時間乾燥したときの被膜のL値、a値、b値(測定点10箇所以上の平均値)より下記式にて算出することができる。
<式>△E={(L*1-L*2+(a*1-a*2+(b*1-b*20.5
(式中、L*1、a*1、b*1はそれぞれ第1被覆材のL、a、b。L*2、a*2、b*2はそれぞれ第2被覆材のL、a、b
また、「光沢度」とは、JIS K5600-4-7「鏡面光沢度」に準じて測定される値である。具体的には、ガラス板の片面に、すきま150μmのフィルムアプリケータを用いて被覆材を塗り、塗面を水平に置いて標準状態で48時間乾燥したときの鏡面光沢度(測定角度60度、測定点10箇所以上の平均値)を測定することによって得られる値である。
第2被覆材の塗付け量は、所望の仕上り(模様等)に応じて、適宜設定すればよいが、第1被覆材よりも第2被覆材の塗付け量が少ないことが好ましく、好ましくは100g/m以下(より好ましくは5~90g/m、さらに好ましくは10~80g/m)である。第2被覆材の塗付け量が上記範囲を満たす場合、不連続な被膜が形成されやすく、第1被膜と第2被膜が混在して入り組んだ模様を有する装飾被膜面を安定して形成することができる。また、不連続に塗付された第2被覆材の塗着量は、固形分換算で、好ましくは100g/m以下、より好ましくは1~80g/m、さらに好ましくは5~40g/mである。なお、本発明では、第2被覆材の塗着量が、第1被覆材の塗着量よりも少ない態様が好適である。
第2被覆材は、塗付時に各種溶媒で希釈することができる。第2被覆材の希釈割合は、好ましくは1~50重量%(より好ましくは2~40重量%)である。これにより不連続な被膜が形成されやすい。また、本発明では、第1被覆材の希釈割合よりも、第2被覆材の希釈割合が小さくすることもできる。
第2被覆材の塗付時の粘度は、好ましくは0.5~10Pa・s(より好ましくは1~9.5Pa・s)である。このような場合、塗付具に被覆材が適量含まれ、不連続な被膜が形成されやすく、意匠性を高めることができる。また、第1被覆材の粘度よりも、第2被覆材の粘度を高くすることもできる。
上記第2工程において、第2被覆材を塗付するタイミングは、特に限定されないが、第1被覆材(先に塗付した被覆材)が非流動状態となった後であることが好ましい。これにより、各被覆材が混ざりにくく、安定した仕上がりを付与することができ、美観性の高い装飾被膜を得ることができる。特に、被塗面が大面積である場合に顕著な効果を得ることができる。本発明において、「非流動状態」とは、第1被覆材を塗付した後、被膜の流動性が失われた状態のことをいい、具体的には、第2被覆材を塗付しても滲みを生じない程度、あるいは各被覆材が互いに混ざらない程度に乾燥・硬化した状態のことをいう。この「非流動状態」には、JIS K5400に規定される指触乾燥、半硬化乾燥、硬化乾燥等の状態も含まれる。本発明では、第1被覆材の指触乾燥後(より好ましくは半硬化乾燥後、さらに好ましくは硬化乾燥後)に、第2被覆材を塗付することが好ましい。なお、本発明において、乾燥・硬化は、好ましくは常温(5~40℃)で行えばよい。
第2被覆材を塗付する際の塗付器具としては、例えば、スプレー、ローラー、ブラシ(刷毛等を含む)、押圧具(叩き具等を含む)等を使用することができる。このうち、ローラーとしては、例えば、繊維質ローラー、多孔質(スポンジ質)ローラー等が挙げられ、押圧具としては、例えば、スポンジ、フェルト、織布、不織布等を有するものが使用できる。
上記第2工程において、第2被覆材を不連続に塗付する工程では、例えば、ローラー、ブラシ、押圧具等を用いて、被塗面に対し部分的に被覆材が塗着するように塗付すればよい。第2被覆材を不連続に塗付するには、被塗面に塗付器具を断続的(部分的)に接触させればよく、例えば、押すように塗付する方法、叩くように塗付する方法、擦りながら塗付する方法等を採用することができる。被覆材を不連続に塗付する際には、特にスポンジ質材を有する塗付器具が好適であり、スポンジ質材を有するローラーまたは押圧具がより好適である。なお、スポンジ質材を有するローラーを使用する場合は、不連続に転動させて塗付する、すなわち、被塗面に断続的(部分的)に接触・転動させることが好ましい。この際、ローラーは、ランダム方向に接触・転動させることが好ましい。このような塗付器具を用いることにより、着色領域同士の境界を非直線状態(入り組んだ状態)にする効果がいっそう高まり、美観性をいっそう高めることができる。
スポンジ質材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エステル樹脂、エチレン樹脂等の樹脂をスポンジ状に多孔化したものが使用できる。スポンジ質材の硬度は、好ましくは10~3000N、より好ましくは20~2000N、さらに好ましくは30~1500Nである。スポンジ質材の密度は、好ましくは1~300kg/m、より好ましくは3~200kg/m、より好ましくは5~150kg/mである。ここで言う、「硬度」とは、JIS K6400-2に準じ、試験片の厚さ40%まで圧縮したときの力から測定される硬さ(C法)の値である。また、「密度」とは、JIS K7222に準じ、試験片の重量及び寸法から算出される見掛け密度の値である。
スポンジ質材の形状としては、その断面が、例えば、三角形、四角形、ひし型、五角形、六角形等の多角形、円形、楕円形、ドロップ(水滴)型等の曲面を有する形状、あるいは不定形等、さらには、これらを組み合わせた形状のものが使用できる。その大きさは、所望の模様により適宜設定すればよい。
スポンジ質材としては、上記条件を満たす1種のスポンジ材を使用することができるが、例えば、図2に示すような硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材(図2:2a~2e)がランダムに混在する押圧具や、図3に示すような硬度及び/または密度が異なる少なくとも2種以上のスポンジ質材(図3:3a~3e)が円筒外周面(図3:3f)に混在するローラーよって塗付することが好ましい。このような塗付器具では、少なくとも1種(好ましくは2種以上)のスポンジ質材が上記条件を満たせばよい。このような特定の塗付器具を使用することにより、仕上がり性、美観性等をいっそう高めることができる。
図2、図3において、上記スポンジ質材は、積み重なるように固定されている形態がより好ましい。さらには、多数のスポンジ質材がランダムに混在するように圧縮成形された形態であることがいっそう好ましい。
図2、図3のスポンジ質材は、外形が不定形の立体形のものであり、その個々の大きさは、好ましくは1~30mm(より好ましくは2~20mm)である。本発明では、大きさの異なる多数のスポンジ質材が混在することが好ましい。このような場合、スポンジ質材どうしの間で不定形の凹凸形状が形成されやすいため、本発明の効果をいっそう高めることができる。なお、ここで言う「大きさ」は、外形の最長軸であり、例えば、一辺が所定寸法の升目を有する篩いにより篩い分けされて測定されるものである。また、スポンジ質材の厚み(図2:2f方向の厚み、図3:3g方向の厚み)は、個々のスポンジ質材の大きさにもよるが、好ましくは2~50mm(より好ましくは3~30mm)である。
図4に、本発明の装飾被膜面の形成方法によって形成される装飾被膜面の別の一例(正面図)を示す。図4は、被覆材として、第1被覆材と、第2被覆材と、第3被覆材の3種の被覆材を順に塗付し、第1被覆材による着色領域A、第2被覆材による着色領域B、第3被覆材による着色領域C(図4:1a~1c)を有する装飾被膜面を形成したものである。図4に示す装飾被膜面の形成方法としては、上記図1の場合と同様の方法で行えばよく、例えば、
(第1工程)被塗面に対し、第1被覆材を全面に塗付し、第1被膜を形成する工程
(第2工程)上記第1被膜の上に、第2被覆材を不連続に塗付し、第2被膜を形成する工程
(第3工程)さらに、第3被覆材を不連続に塗付する工程
を含む方法等により形成できる。
上記第3被覆材の塗付け量は、好ましくは100g/m以下(より好ましくは2~80g/m、さらに好ましくは5~60g/m)である。さらに、第3被覆材の塗付け量は、第1被覆材、第2被覆材の塗付け量よりも少ない態様が好適である。また、不連続に塗付された第3被覆材の塗着量は、固形分換算で、好ましくは100g/m以下、より好ましくは1~60g/m、さらに好ましくは2~30g/mであり、第1被覆材、第2被覆材の塗着量よりも少ない態様が好適である。また、異なる4種以上の被覆材を使用する場合も、上記同様に被覆材(第1被覆材、第2被覆材、第3被覆材、第4被覆材、・・・等)を塗付し(第1工程、第2工程、第3工程、第4工程、・・・等)、着色領域A、着色領域B、着色領域C、着色領域D、・・・等を有する装飾被膜面を形成すればよい。
また、本発明の装飾被膜面の形成方法では、上記工程により装飾被膜面を形成した後、各工程で使用した被覆材から少なくとも1種を選択して、例えば、ローラー、ブラシ、押圧具等を用いて不連続に塗付し、模様を調整することができる。これにより模様のバランス(配置)が良好な美観性の高い装飾被膜面を得ることができる。
本発明の装飾被膜面の形成方法では、本発明の効果を阻害しない限り、表面保護、耐候性向上、耐汚染性等の目的で、最表面にクリヤー被覆材を塗付して、クリヤー層を設けることもできる。
<被塗面>
本発明における被塗面は、好ましくは、建築物、土木構造物等の基材表面、特に、内外壁、天井、建具等の表面を構成する基材である。このような基材としては、例えば、石膏ボード、コンクリート、モルタル、磁器タイル、煉瓦、セメント板、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、パーライト板、ALC板、サイディング板、押出成形板、合板、木質板、鋼板、プラスチック板、ガラス板、等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたものであってもよい。
<被覆材>
本発明の被覆材(第1被覆材、第2被覆材、第3被覆材等)の共通事項について、まず説明する。
本発明における被覆材としては、樹脂、及び顔料を含むものが使用できる。本発明では、顔料の種類、混合比率等を調整することにより、色、光沢等を設定することができる。樹脂と顔料の混合比率は、樹脂固形分100重量部に対して、顔料が好ましくは5~500重量部(より好ましくは10~400重量部)である。
樹脂としては、例えば、水溶性樹脂、水分散性樹脂、溶剤可溶形樹脂、無溶剤形樹脂、非水分散形樹脂等、あるいはこれらを複合したもの等が挙げられる。これらは架橋反応性を有するものであってもよく、またその形態は特に限定されず、1液型、2液型のいずれであってもよい。本発明では特に、水分散性樹脂及び/または水溶性樹脂が好適に用いられる。使用可能な樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。なお、本発明では、セメント等の水硬性結合材は、本発明の効果を阻害しない限り使用できるが、被膜の色を制限するおそれがあるため使用しないことが望ましい。
顔料としては、公知の着色顔料、体質顔料等が使用できる。このうち、着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、着色マイカ、金属フレーク顔料、パール顔料、光輝性顔料等が挙げられる。これら着色顔料の1種または2種以上を用いることにより任意の色相に着色することができる。
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、軽微性炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、マイカ、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、中空バルーン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。体質顔料の種類、混合比率等を適宜設定することにより、被覆材を所望の光沢度に調整することができる。
本発明の被覆材は、上記成分以外に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、公知の添加剤、例えば、骨材、染料、増粘剤、湿潤剤、凍結防止剤、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒、希釈溶媒等を含むものであってもよい。被覆材は、上述の各成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
本発明の第1被覆材としては、上述の構成成分を含むものであれば使用できるが、第1被覆材の塗付により、色調及び/または光沢が不均一な被膜が形成可能なものが好ましい。このような第1被覆材としては、例えば、多彩模様塗料、特殊顔料含有被覆材等が好適であり、特に特殊顔料として、鱗片状顔料を含む被覆材が好ましい。鱗片状顔料としては、例えば、着色マイカ、金属フレーク顔料、パール顔料、光輝性顔料、マイカ等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。本発明では、特に、金属フレーク顔料(より好ましくはアルミニウムフレーク顔料)を含むことが好適である。このような鱗片状顔料を含む場合、鱗片状顔料の配向をランダムにしたり、鱗片状顔料を凝集、偏在させることにより、色調及び/または光沢が不均一な被膜が形成されやすく、複雑で自然な模様を形成することができる。また、このように形成された被膜は、落ち着いた金属調の外観を呈することができるため、建築物、土木構造物等用としては好適である。
樹脂と鱗片状顔料の混合比率は、樹脂固形分100重量部に対して、鱗片状顔料が好ましくは5~200重量部(より好ましくは10~100重量部)である。このような場合、色調及び/または光沢が不均一な被膜が形成されやすく、本発明の効果をよりいっそう高めることができる。
本発明の第2被覆材としては、上述の構成成分を含むものが使用でき、第1被覆材と同種のものであってもよいし、異なるものであってもよい。本発明では、第2被覆材として、上述の鱗片状顔料を含むことが好ましい。これにより、形成される第2被膜も色調及び/または光沢が不均一な被膜となり、よりいっそう複雑で自然な模様を形成することができ、美観性を高めることができる。
被覆材の加熱残分は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15~80重量%である。なお、加熱残分は、JIS K5601-1-2の方法にて測定される値であり、加熱温度は105℃、加熱時間は60分である。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
被覆材として、以下のものを用意した。
・被覆材1-1
アクリル樹脂エマルション、顔料(アルミニウムフレーク顔料、赤色酸化鉄)を主成分とする赤系金属調被覆材(加熱残分:20重量%、粘度:2.0Pa・s、顔料比率:樹脂固形分100重量部に対し35重量部)
・被覆材1-2
アクリル樹脂エマルション顔料(アルミニウムフレーク顔料)を主成分とするシルバー系金属調被覆材(加熱残分:24重量%、粘度:3.6Pa・s、顔料比率:樹脂固形分100重量部に対し38重量部)
・被覆材2-1
アクリル樹脂エマルション、顔料(アルミニウムフレーク顔料、黄色酸化鉄、酸化チタン)を主成分とするベージュ系金属(メタリック)調被覆材(加熱残分:20重量%、粘度:2.3Pa・s、顔料比率:樹脂固形分100重量部に対し38重量部)
・被覆材2-2
アクリル樹脂エマルション顔料(アルミニウムフレーク顔料、黄色酸化鉄)を主成分とする金色系金属(メタリック)調被覆材(加熱残分:24重量%、粘度:3.8Pa・s、顔料比率:樹脂固形分100重量部に対し36重量部)
(実施例1)
基材(スレート板)に対し、第1工程として被覆材1-1を塗付け量120g/mで全面にランダム方向にローラーで塗りし(繊維質ローラーを使用)、指触乾燥以上の状態となるように2時間乾燥させ、色調が不均一なムラ模様を有する赤系金属調塗膜を形成した。次いで、第2工程として被覆材1-2を塗付け量40g/mで不連続に叩き塗りし[スポンジ質材(硬度110~140N、密度15~50kg/m)からなる押圧具を使用]、24時間乾燥させた。塗装及び乾燥は、全て標準状態にて行った。以上の方法より、ムラ模様を有する赤系金属調領域と、シルバー系金属調領域が複雑に混在した美観性の高い装飾被膜面が得られた。
(実施例2)
基材(スレート板)に対し、第1工程として被覆材2-1を塗付け量120g/mで全面ランダム方向にローラー塗りし(繊維質ローラーを使用)、指触乾燥以上の状態となるように2時間乾燥させ、色調が不均一なムラ模様を有するベージュ系金属調塗膜を形成した。次いで、第2工程として被覆材2-2を塗付け量50g/mで不連続にローラー塗りし(図3に示すような5種のスポンジ質材を有するローラーを使用。スポンジ質材3a:硬度45~60N、密度50~100kg/m、スポンジ質材3b:硬度75~110N、密度15~30kg/m、スポンジ質材3c:硬度110~140N、密度15~50kg/m、スポンジ質材3d:硬度110~300N、密度30~85kg/m、スポンジ質材3e:硬度1000~1500N、密度10~20kg/m)、24時間乾燥させた。塗装及び乾燥は、全て標準状態にて行った。以上の方法より、ムラ模様を有するベージュ系金属調領域と金色系金属調領域が複雑に混在した美観性の高い装飾被膜面が得られた。


Claims (2)

  1. 被塗面に対し、第1被覆材をランダム方向に塗り広げて全面に塗付し第1被膜を形成する工程、
    上記第1被膜の上に、第2被覆材を不連続に塗付し第2被膜を形成する工程、
    を含み、
    上記第1被覆材は、鱗片状顔料を含む金属調被覆材であり、
    上記第1被膜は、色調及び/または光沢が不均一な被膜であり、
    上記第2被覆材が、鱗片状顔料を含む金属調被覆材である
    ことを特徴とする装飾被膜面の形成方法。
  2. 上記第1被覆材を塗付する際の塗付器具として、ローラー、ブラシ、または押圧具を使用することを特徴とする請求項1に記載の装飾被膜面の形成方法。
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