JP7403923B2 - 加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転軸を備え、被加工物を加工する加工装置に関する。
電子機器等に組み込まれるデバイスチップの製造工程では、半導体ウエーハや樹脂パッケージ基板に代表される板状の被加工物が様々な加工装置によって加工される。例えば、被加工物の表面に互いに交差する複数の分割予定ラインが設定され、該分割予定ラインで区画された領域にIC(Integrated Circuit)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイスが形成される。その後、被加工物は、裏面から研削されて薄化され、分割予定ラインに沿って分割される。すると、個々のデバイスチップが製造される。
被加工物を研削する研削装置は、ウエーハを保持する保持ユニットと、保持ユニットで保持された被加工物を研削する研削ユニットと、研削ユニットを昇降する昇降ユニットと、該保持ユニット及び該研削ユニット等を収容する筐体と、を備える。研削ユニットは、環状に配された研削砥石を有する研削ホイールと、該研削ホイールが先端に装着される回転軸(スピンドル)と、該回転軸を回転させるモータと、を備える。
また、被加工物を分割する切削装置は、保持ユニットと、該保持ユニットで保持された被加工物を切削する切削ユニットと、該保持ユニット及び該切削ユニットを収容する筐体と、を備える。切削ユニットは、円環状の切削ブレードと、該切削ブレードが先端に装着される回転軸(スピンドル)と、該回転軸を回転させるモータと、を備える(特許文献1参照)。
研削砥石を備える研削ホイールや切削ブレード等の加工具は、被加工物の加工を繰り返すうちに消耗する。そのため、定期的に加工具を交換する必要がある。研削装置や切削装置等の加工装置は、加工具を交換する際やメンテナンス時等に作業者が内部に手を差し入れるための扉を筐体に備える(特許文献2参照)。
特開2000-108119号公報 特開2003-86545号公報
作業者が筐体の内部に手を入れる際に加工具が回転していると、作業者が加工具に接触して怪我をする恐れがあり危険である。そのため、加工装置の筐体に設けられた扉には、安全装置として、加工具の回転が停止するまで扉をロックしておくロック機構が設けられる。従来、ロック機構として、加工装置の各構成を制御する制御ユニット等で実行されるソフトウェア等の機能により制御される電磁ロック機構が使用されていた。
ここで、加工装置が設置される工場等において停電が生じると、加工装置への電力の供給が停止する。また、メンテナンス等の作業のために、加工装置のメインブレーカーを落とすことがある。加工装置の各構成要素に電力が供給されていないときに電磁ロック機構が扉をロックしたままであると、作業者が扉を開きたい場合においても扉を開けられない。そこで、ソフトウェアにより制御される該電磁ロック機構は、停電時に自動的に扉のロックを解除するように構成される。
しかしながら、停電が生じると加工具の通常の停止動作も実施されないため、加工具の回転が長時間続く。そのため、停電が生じたときに扉のロックが解除されると、作業者が扉を開き、手が回転している加工具に当たり、作業者が負傷する危険がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、筐体の扉をロックするロック機構を備え、停電時にも作業者の安全を確保できる加工装置を提供することである。
本発明の一態様によれば、被加工物を保持する保持ユニットと、該保持ユニットで保持された該被加工物に加工を施す加工具が装着された回転軸を備える加工ユニットと、該保持ユニットと、該加工ユニットと、を取り囲む筐体と、該筐体に形成された開口部を開閉する扉と、該扉をロックするロック機構と、該ロック機構を制御する制御機構と、を備える加工装置であって、該ロック機構は、ユーティリティ設備であるエアー源からエアーの供給を受ける第一のポート及び第二のポートと、該第一のポート及び該第二のポートに連通するシリンダ室と、該シリンダ室の内部で移動可能なピストンと、該ピストンに接続され進退可能なピストンロッドと、を備え、該筐体または該扉の一方に取り付けられたシリンダ部と、該筐体または該扉の他方に設けられた係合部と、を備え、該第一のポートにエアーの供給を受けると該シリンダ部の該ピストンロッドが該係合部に進出して該扉をロックする機能と、該第二のポートにエアーの供給を受けると該シリンダ部の該ピストンロッドが該係合部から退避して該扉のロックを解除する機能と、を有し、該制御機構は、該加工ユニットの該回転軸の回転を検知するセンサーと、該センサーが該回転軸の回転を検出している時は該ロック機構の該第一のポートに該エアー源を接続して該第一のポートにエアーを供給して該ロック機構で該扉をロックし、該センサーが該回転軸の回転を検出しない時は該ロック機構の該第二のポートに該エアー源を接続して該第二のポートにエアーを供給して該ロック機構による該扉のロックを解除する電磁弁と、を備え、該電磁弁は、ダブルソレノイドバルブであり、該ロック機構が該扉をロックしているときに該加工装置の電力の供給が停止した場合該ロック機構による該扉のロックが維持され、該ロック機構が該扉をロックしていないときに該加工装置の電力の供給が停止した場合、該ロック機構が該扉をロックしていない状態が維持されることを特徴とする加工装置が提供される。
本発明の一態様にかかる加工装置では、従来のソフトウェア制御の電磁ロック機構に代えて、エアーの供給を受けて駆動するロック機構と、該ロック機構の各ポートに選択的にエアーを供給することで該ロック機構を制御する制御機構と、を備える。該制御機構は、停電が生じる前は、加工具を回転させる回転軸の回転が検出されたとき、ロック機構に扉をロックさせる。
そして、ロック機構及び制御機構は、扉をロックしているときに停電が生じた場合に該扉のロックが維持されるように構成されている。そのため、作業者が加工装置の筐体の内部に手を差し入れることはなく、惰性で回転を続ける加工具に作業者の手が接触することはない。すなわち、作業者の安全が確保される。
したがって、本発明の一態様によると、筐体の扉をロックするロック機構を備え、停電時にも作業者の安全を確保できる加工装置が提供される。
加工装置を模式的に示す斜視図である。 加工装置を模式的に示す斜視図である。 図3(A)は、ロック時のロック機構を模式的に示す断面図であり、図3(B)は、ロックの解除時のロック機構を模式的に示す断面図である。 図4(A)は、ロック時のロック機構を模式的に示す断面図であり、図4(B)は、ロックの解除時のロック機構を模式的に示す断面図である。 ロック機構の動作フローを示すフローチャートである。
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る加工装置は、半導体ウエーハや樹脂パッケージ基板に代表される板状の被加工物を加工具で加工する。本実施形態に係る加工装置は、例えば、被加工物を研削して薄化する研削装置である。研削装置は、円環状に配された研削砥石を備える研削ホイールを加工具として備え、さらに、該研削ホイールに接続された回転軸(スピンドル)と、該回転軸を回転させて該研削ホイールを回転させるモータと、を備える。
なお、本実施形態に係る加工装置は、円環状の切削ブレードを加工具として備え該切削ブレードを回転させる回転軸を備える切削装置や、円盤状の研磨パッドを加工具として備え該研磨パッドを回転させる回転軸を備える研磨装置でもよい。さらに、該加工装置は、ダイヤモンドで形成されたバイトを加工具として備え該バイトが装着されたバイトホイールに接続された回転軸を回転させることで該バイトを回転させるサーフェイスプレーナー(バイト切削装置)でもよい。
すなわち、本実施形態に係る加工装置は、被加工物に加工を施す加工具と、該加工具が装着された回転軸と、を備える。以下、加工装置が研削装置である場合について説明するが、本実施形態に係る加工装置は研削装置に限定されない。
被加工物(不図示)は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウエーハである。この被加工物の表面側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)によって複数の小領域に区画されており、各小領域には、IC、MEMS等のデバイスが形成されている。
被加工物は、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウエーハであるが、被加工物の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板や、樹脂パッケージ基板等を被加工物として用いることもできる。
同様に、被加工物に設けられるデバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。また、被加工物には、デバイスが形成されていなくてもよい。更に、本実施形態にかかる加工装置では、被加工物がテープを介してフレームに支持された被加工物ユニットに含まれる該被加工物を加工具で加工してもよい。
図1は、本実施形態に係る加工装置である研削装置2を模式的に示す斜視図である。研削装置2の各構成要素を支持する基台4の上面には、開口4aが形成されている。開口4a内には、被加工物を保持する保持ユニット10として機能するチャックテーブルが上面に載る移動テーブル6が設けられている。移動テーブル6は、保持ユニット10上で被加工物が着脱される搬出入領域24と、被加工物の研削(加工)が実施される加工領域26と、の間を移動する。
搬出入領域24と、加工領域26と、の間を移動する移動テーブル6の移動方向における該移動テーブル6の両端部には、開口4aを覆うように移動テーブル6の移動に伴って伸縮する蛇腹状の防塵防滴カバー8が接続されている。防塵防滴カバー8の下方には、移動テーブル6を該移動方向に沿って移動させる図示しない移動機構が配設されている。
移動テーブル6に載る保持ユニット10は、被加工物の径に対応する径のポーラス部14と、該ポーラス部14を収容する凹部が上面に形成された枠体12と、を有する。保持ユニット10の上面は、被加工物を保持する保持面となる。保持ユニット10は、一端がポーラス部14に通じ、他端が図示しない吸引源に接続された吸引路を内部に備える。
被加工物を保持ユニット10で保持する際には、被加工物を保持面の上に載せる。その後、該吸引源を作動させると、保持面上に載せられた被加工物に負圧が作用して、該被加工物が保持ユニット10に吸引保持される。
保持ユニット10の底部の中央には、保持面に垂直な方向に沿った回転軸(不図示)の上端が組付けられている。回転軸の下端には図示しない回転駆動源が接続されており、該回転駆動源を作動させると、保持ユニット10は保持面に垂直な回転軸の周りに回転する。
加工領域26の上方には、被加工物を研削(加工)する研削ユニット42(加工ユニット)が配設される。研削装置2の基台4の後方端部には支持部28が立設されており、この支持部28により研削ユニット42が支持されている。支持部28の前面には、研削ユニット42を昇降させる昇降ユニット30が配設されている。昇降ユニット30は、支持部28の前面に設けられた鉛直方向に伸長する一対のガイドレール32と、ガイドレール32にスライド可能に取り付けられた移動プレート34と、を有する。
移動プレート34の裏面側(後面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、ガイドレール32に平行なボールねじ36が螺合されている。ボールねじ36の一端部には、パルスモータ38が連結されている。パルスモータ38でボールねじ36を回転させれば、移動プレート34は、ガイドレール32に沿って鉛直方向に移動する。
昇降ユニット30は、ガイドレール32と、移動プレート34と、ボールねじ36と、パルスモータ38と、を含む。移動プレート34の前面には、研削ユニット42が固定されている。昇降ユニット30を作動させると、移動プレート34に固定された研削ユニット42を昇降できる。
研削ユニット42は、移動プレート34の前面に固定された支持部40を備える。そして、研削ユニット42は、鉛直方向に沿って伸長する回転軸(スピンドル)48と、回転軸48の上部を覆うスピンドルハウジング46と、回転軸48の基端側(上端側)に連結されたモータ44と、を備える。さらに、回転軸48の先端側(下端側)にはホイールマウント50が配設されており、ホイールマウント50の下面にはボルト等の固定具54により研削ホイール(加工具)52が固定される。
研削ホイール52の下面には、円環状に並ぶ複数の研削砥石56が装着されている。研削砥石56は、例えば、樹脂等でなるボンド材と、該ボンド材に分散固定されたダイヤモンド等の砥粒と、を備える。モータ44を作動させて回転軸48を回転させると、研削砥石56が円環軌道上を移動する。回転軸48を回転させている状態で研削ユニット42を下降させ、研削砥石56を保持ユニット10で保持された被加工物の上面に接触させると、被加工物が研削されて薄化される。
研削ユニット42が備える研削ホイール52に装着された研削砥石56は、被加工物を加工する度に消耗する。そのため、研削装置2では、定期的に研削ホイール52を交換する必要がある。また、被加工物を加工する際には、加工条件に応じて適切な種別の研削ホイール52が選択されて使用される。そして、研削装置2で実施する加工条件を変更する際には、古い加工条件に対応した研削ホイール52を取り外し、新しい加工条件に適した種別の研削ホイール52を研削ユニット42に取り付ける必要がある。
研削装置2は、作業者が各種の指令を入力する際に使用するインターフェースとなる操作ボタン58を外表面に有する。また、研削装置2は、各種の情報を表示するディスプレイパネル等の表示部(不図示)を外表面に有する。もしくは、研削装置2は、インターフェース及び表示部の機能を併せ持つタッチパネル付きディスプレイを外表面に備えてもよい。
さらに、研削装置2は、各構成要素を制御する制御ユニット60を備える。制御ユニット60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニット60の機能が実現される。
研削装置2は、保持ユニット10と、研削ユニット42と、加工領域26と、を取り囲む筐体16を備える。図1では、説明の便宜のために筐体16の輪郭を破線で示しており、筐体16の内部の構造物を実線で示している。筐体16は、内部の空間を外部から遮断することで外部からの粉塵等の侵入を防止するとともに、内部の空間から外部へ被加工物から生じる加工屑の飛散等を防止する。また、研削ユニット42で被加工物を加工する間、作業員等が研削装置2の内部に手を差し入れる危険を防止する。
図2は、研削装置2を模式的に示す斜視図である。図2では、筐体16が非透明に示されている。筐体16には、被加工物の保持ユニット10への搬出入の際の通路となる開口部18が形成されている。開口部18は、メンテナンス時等の所定のタイミングで作業員が手を研削装置2の内部に差し入れる際の通路にもなる。さらに、開口部18は、研削ホイール(加工具)52を交換する際に、該研削ホイール52の通路となる。
筐体16には、該開口部18を開閉する扉20bが蝶番等の回転連結部材20aにより取り付けられている。扉20bは、開口部18を閉塞できるように、開口部18に対応する大きさ及び形状に形成されている。そして、扉20bは、回転連結部材20aの回転軸を中心に回転することによって開閉される。扉20bの回転連結部材20aの配設位置とは反対側には、例えば、作業者が扉20bの開閉時に把持する持ち手20cが設けられてもよい。
なお、筐体16の開口部18に隣接する位置及び扉20bには、閉じられた状態の扉20bを開かないように固定する(ロックする)エアー駆動型のロック機構22が設けられている。ロック機構22は、例えば、筐体16の内面側及び扉20bの裏面側に設けられる。ロック機構22は、研削装置2の内部に作業員等が手を差し入れて所定の作業を実施するのが危険であるときに扉20bをロックする機能を有する。
例えば、ロック機構22は、保持ユニット10で保持された被加工物を研削ホイール52に装着された研削砥石56で加工する際に扉20bをロックする。また、被加工物の加工が完了した後においても、回転軸48に装着されている研削ホイール52の回転が停止する前に作業者が研削ホイール52に接触しないように、ロック機構22は、扉20bのロック状態を維持する。
次に、ロック機構22について説明する。図3(A)及び図3(B)は、ロック機構22の構造を模式的に説明する断面図である。ロック機構22は、筐体16の開口部18の端部で筐体16または扉20bの一方に取り付けられたシリンダ部62と、開口部18の端部で筐体16または扉20bの他方にシリンダ部62に対面するように設けられたロック穴64と、を備える。
以下、シリンダ部62が筐体16に固定される場合を例に説明する。ただし、本実施形態はこれに限定されない。この場合、例えば、扉20bが開口部18の端部で研削装置2の内側に向けて折り曲げられており、シリンダ部62に対面する折れ部20dにロック穴64が設けられる。
シリンダ部62は、エアーの供給を受ける第一のポート66及び第二のポート68と、一端70aが第一のポート66に連通し他端70bが第二のポート68に連通するシリンダ室(シリンダチューブ)70と、を備える。シリンダ室70の内部には、該シリンダ室70の一端70aと、他端70bと、の間を移動可能なピストン72が設けられる。ピストン72は、シリンダ室70の内径に対応した外径を有し、シリンダ室70を2つの領域に隔てる。
ピストン72には、他端70bからシリンダ室70の外部に突き出たピストンロッド74が接続されている。シリンダ室70の他端70bには、ピストンロッド74がスライド可能に収容されたピストンロッド挿通孔76が形成されている。
第一のポート66にエアーの供給を受けると、ピストン72がシリンダ室70の他端70b側に移動しピストンロッド74がロック穴64に進出する。図3(A)には、ピストンロッド74がロック穴64に進出している状態が示されている。この状態で扉20bを開こうとしても、ピストンロッド74がロック穴64に引っかかる。すなわち、ピストンロッド74がロック穴64に進出していると、扉20bがロックされた状態となる。
その一方で、第二のポート68にエアーの供給を受けるとピストン72がシリンダ室70の一端70a側に移動しピストンロッド74がロック穴64から退避する。図3(B)には、ピストンロッド74がロック穴64から抜けている状態が示されている。この状態では、扉20bを開こうとしたときにピストンロッド74がロック穴64に引っかからない。すなわち、ピストンロッド74がロック穴64から退避されていると、扉20bのロックが解除された状態となる。
次に、ロック機構22を制御する制御機構78について説明する。制御機構78は、ロック機構22の第一のポート66と、第二のポート68と、のいずれかに選択的にエアーを供給することでロック機構22を制御する。
制御機構78は、研削ユニット(加工ユニット)42の回転軸48の回転を検知するセンサー(不図示)を備える。該センサーには、例えば、光学式、磁気式、レゾルバ方式等の各種のロータリーエンコーダを使用できる。該センサーは、後述の電磁弁82に電気的に接続されており、回転軸48の回転を検知しているときと、検知していないときと、で異なる電気信号を電磁弁82に送る。すなわち、該センサーは、回転軸48の回転の有無に関する情報を伝達する電気信号を電磁弁82に送る機能を有する。
また、制御機構78は、エアーを供給できるエアー源80と、エアー源80及びロック機構22のシリンダ部62の間に設けられた電磁弁82と、を備える。エアー源80と、電磁弁82と、シリンダ部62と、はチューブを介して接続されている。エアー源80は、例えば、研削装置2が設置される工場等のユーティリティ設備であり、高圧の空気や窒素ガス等を供給する機能を有する。
電磁弁82は、第一のポート66にエアー源80を接続してエアーを供給しつつ第二のポート68を開放する第一の状態と、第二のポート68にエアー源80を接続してエアーを供給しつつ第一のポート66を開放する第二の状態と、に切り替えられる。図3(A)には、第一のポート66にエアーを供給する第一の状態の電磁弁82が模式的に示されており、図3(B)には、第二のポート68にエアーを供給する第二の状態の電磁弁82が模式的に示されている。
電磁弁82は、該センサーが回転軸48の回転を検知している時、該センサーから受ける電気信号に基づいて駆動して該第一の状態となる。このとき、電磁弁82は、ロック機構22の第一のポート66にエアー源80を接続してエアーを供給することでピストン72をシリンダ室70の他端70b側に移動させ、ロック機構22に扉20bをロックさせる。
また、電磁弁82は、該センサーが回転軸48の回転を検知していない時、該センサーから受ける電気信号に基づいて駆動して該第二の状態となる。このとき、電磁弁82は、ロック機構22の第二のポート68にエアー源80を接続してエアーを供給することでピストン72をシリンダ室70の一端70a側に移動させ、ロック機構22に扉20bのロックを解除させる。
このように、制御機構78は回転軸48の回転の有無に対応して第一のポート66または第二のポート68に選択的にエアーを供給することでロック機構22を制御し、扉20bのロック状態と、ロックの解除状態と、を切り替える。そのため、研削装置(加工装置)2を操作する作業者が回転する研削ホイール(加工具)52に触れることはなく、作業者の安全が確保される。
従来の研削装置(加工装置)2では、扉20bをロックするロック機構には、制御ユニット60等において実行されるソフトウェアで制御される電磁ロック機構が使用されていた。ここで、研削装置2が設置された工場等で停電が発生し、研削装置2への電力の供給が突如停止してしまう場合がある。また、メンテナンス等の作業のために、研削装置2のメインブレーカーを落とすことがある。
研削装置2の各構成要素に電力が供給されていないときにロック機構が扉20bをロックしたままであると、作業者が扉20bを開きたい場合においても扉20bを開けられない。そこで、従来のソフトウェア制御の電磁ロック機構では、電力の供給が停止した際に扉20bのロックが解除されるように構成されていた。
しかしながら、停電が生じたときに回転軸48が回転していた場合、通常の停止動作を実行できないため、該回転軸48は惰性で回転し続ける。すなわち、研削ホイール(加工具)52が回転し続けることとなる。この状態で扉20bのロックが解除されると、開口部18から作業者が手を筐体16の内側に差し入れたとき、回転する研削ホイール52に手があたり手に損傷を受ける危険がある。
そこで、本実施形態に係る加工装置では、ロック機構22により扉20bがロックされているときに電力の供給が停止した場合にロック機構22による扉20bのロック状態がそのまま維持されるように制御機構78及びロック機構22が構成される。この場合、扉20bのロックが停電で解除されることはなく、作業者は開口部18から手を筐体16の内側に差し入れられないため作業者に危険はない。
例えば、図3(A)及び図3(B)に示す通り、本実施形態に係る加工装置では、電磁弁82に付勢具84が取り付けられている。付勢具84は、例えば、ばね、ゴム等の弾性部材である。
付勢具84は、図3(A)に示す通り、電磁弁82がシリンダ部62の第一のポート66にエアーを供給する上述の第一の状態となるように電磁弁82を付勢して、ロック機構22に扉20bをロックさせる。そして、回転軸48の回転が検出されていないとき、電磁弁82は、上述の第二の状態となるように付勢具84による付勢に逆らうように作動する。この場合、ロック機構22による扉20bのロックが解除される。
そして、回転軸48の回転が検出され電磁弁82がロック機構22に扉20bをロックさせている間に制御機構78への電力の供給が停止した際には、ロック機構22による扉20bのロックが維持され続ける。そのため、回転する研削ホイール(加工具)52に作業者が手を接触させて負傷することはなく、安全が確保される。
なお、図3(A)及び図3(B)に示すロック機構22が扉20bのロックを解除するのは、研削装置2(加工装置)が電力の供給を受けている通電時であり、かつ、回転軸48の回転を検知するセンサーが該回転軸48の回転を検知していない時である。このとき、付勢具84による付勢に抗しロック機構22が扉20bのロックを解除するように電磁弁82を作動させる。
また、本実施形態に係る加工装置では、付勢具84を備える電磁弁82に代えて、図4(A)及び図4(B)に示す通り、ダブルソレノイドバルブが電磁弁86として使用されてもよい。電磁弁86は、シリンダ部62の第一のポート66にエアーを供給する第一の状態であるときに該センサーから所定の電気信号を受けると、シリンダ部62の第二のポート68にエアーを供給する第二の状態に切り替わる。また、該第二の状態であるときに該センサーから別の所定の電気信号を受けると、第一の状態に切り替わる。
電磁弁86が該第二の状態であるときに研削装置2への電力の供給が停止した際には、電磁弁86が該第二の状態のまま維持される。すなわち、扉20bのロックの解除状態が維持される。また、電磁弁86が該第一の状態であるときに研削装置2への電力の供給が停止した際には、電磁弁86が該第一の状態のまま維持される。すなわち、扉20bのロック状態が維持される。
したがって、電磁弁86としてダブルソレノイドバルブを備える本実施形態に係る加工装置(研削装置2)では、回転軸48が回転しており筐体16の内部が危険であるとき扉20bがロックされ、停電時にもロックが維持される。その一方で、回転軸48が回転しておらず筐体16の内部が安全であるとき扉20bのロックが解除され、停電時にもロックの解除が維持される。そのため、回転する研削ホイール(加工具)52に作業者が手を接触させて負傷することはなく安全が確保されるとともに、筐体16の内部に危険がないときは扉20bを開いてメンテナンス等の作業を実施できる。
次に、本実施形態に係る加工装置(研削装置2)における扉20bのロック機構22の作動フローについて説明する。ロック機構22は、電気的に制御されるものではなく、停電時においても扉20bのロック状態等を維持するように作動できる。図5は、回転軸48が回転している際に停電が発生し、研削装置2への給電が停止した際のロック機構22の作動フローを模式的に示すフローチャートである。
停電が生じる前では、回転軸48の回転が検出されているとき、ロック機構22が扉20bをロックする。そして、扉20bがロックされている間に停電が発生し、加工装置(研削装置2)への給電が停止されたとき(S10)、ロック機構22による扉20bのロック状態が維持される(S20)。
以上に説明する通り、本実施形態に係る加工装置(研削装置2)では、筐体16の開口部18に設けられた扉20bがロック機構22によりロックされる。従来使用されていたソフトウェア制御の電磁ロック機構では、回転軸48の回転が検出され扉20bをロックしていても、加工装置への給電が停止したときに扉20bのロックが解除されるように構成されていた。そのため、回転が続いている加工具に作業者が触れる危険があった。
これに対して、本実施形態に係る加工装置では、制御機構78が備えるロック機構22は、加工具を回転させる回転軸48の回転が検出され扉20bをロックしている間に停電が生じても、扉20bのロックを維持するように構成されている。そのため、停電時に惰性で回転を続ける加工具に作業者の手が接触することはなく、作業者の安全が確保される。
なお、上記実施形態では、ロック機構22に含まれるシリンダ部62が筐体16に設けられ、ロック穴64が扉20bに形成される場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、シリンダ部62が扉20bに設けられ、ロック穴64が筐体16に形成されてもよい。
また、上記実施形態では、ロック機構22が研削装置2の筐体16で囲まれた内部に設けられる場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、シリンダ部62が筐体16の開口部18に隣接する外面に設けられてもよい。そして、扉20bは開口部18の端部でシリンダ部62に対面するように研削装置2の外側に折れており、扉20bの折れ部のシリンダ部62に対面する位置にロック穴64が設けられてもよい。
さらに、上記実施形態では、係合部として機能するロック穴64にピストンロッド74を挿入させることでロック機構22が扉20bをロックする場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、ロック機構22は、ピストンロッド74が移動することで扉20bが開かなくなる機構を有していれば十分である。例えば、ロック機構22では、移動するピストンロッド74を穴型以外の形状の係合部で受けてもよい。
いずれの場合においても、研削装置2への電力の供給が停止してもロック機構22が扉20bのロックを維持するため、作業者が回転する研削ホイール(加工具)52に接触する危険はない。なお、その後に電力の供給が開始されると、回転軸48の回転が継続している場合にはロック機構22による扉20bのロックが維持される。その一方で、電力の供給が開始された時に回転軸48が停止していた場合、ロック機構22による扉20bのロックが解除される。
その他、上述した実施形態や変形例等にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
2 研削装置(加工装置)
4 基台
4a 開口
6 移動テーブル
8 防塵防滴カバー
10 保持ユニット
12 枠体
14 ポーラス部
16 筐体
18 開口部
20a 回転連結部材
20b 扉
20c 持ち手
20d 折れ部
22 ロック機構
24 搬出入領域
26 加工領域
28 支持部
30 昇降ユニット
32 ガイドレール
34 移動プレート
36 ボールねじ
38 パルスモータ
40 支持部
42 研削ユニット(加工ユニット)
44 モータ
46 スピンドルハウジング
48 回転軸
50 ホイールマウント
52 研削ホイール(加工具)
54 固定具
56 研削砥石
58 操作ボタン
60 制御ユニット
62 シリンダ部
64 ロック穴
66 第一のポート
68 第二のポート
70 シリンダ室
70a,70b 端
72 ピストン
74 ピストンロッド
76 ピストンロッド挿通孔
78 制御機構
80 エアー源
82,86 電磁弁
84 付勢具

Claims (1)

  1. 被加工物を保持する保持ユニットと、
    該保持ユニットで保持された該被加工物に加工を施す加工具が装着された回転軸を備える加工ユニットと、
    該保持ユニットと、該加工ユニットと、を取り囲む筐体と、
    該筐体に形成された開口部を開閉する扉と、
    該扉をロックするロック機構と、
    該ロック機構を制御する制御機構と、を備える加工装置であって、
    該ロック機構は、
    ユーティリティ設備であるエアー源からエアーの供給を受ける第一のポート及び第二のポートと、
    該第一のポート及び該第二のポートに連通するシリンダ室と、該シリンダ室の内部で移動可能なピストンと、該ピストンに接続され進退可能なピストンロッドと、を備え、該筐体または該扉の一方に取り付けられたシリンダ部と、
    該筐体または該扉の他方に設けられた係合部と、を備え、
    該第一のポートにエアーの供給を受けると該シリンダ部の該ピストンロッドが該係合部に進出して該扉をロックする機能と、
    該第二のポートにエアーの供給を受けると該シリンダ部の該ピストンロッドが該係合部から退避して該扉のロックを解除する機能と、を有し、
    該制御機構は、
    該加工ユニットの該回転軸の回転を検知するセンサーと、
    該センサーが該回転軸の回転を検出している時は該ロック機構の該第一のポートに該エアー源を接続して該第一のポートにエアーを供給して該ロック機構で該扉をロックし、該センサーが該回転軸の回転を検出しない時は該ロック機構の該第二のポートに該エアー源を接続して該第二のポートにエアーを供給して該ロック機構による該扉のロックを解除する電磁弁と、を備え、
    該電磁弁は、ダブルソレノイドバルブであり、
    該ロック機構が該扉をロックしているときに該加工装置の電力の供給が停止した場合該ロック機構による該扉のロックが維持され
    該ロック機構が該扉をロックしていないときに該加工装置の電力の供給が停止した場合、該ロック機構が該扉をロックしていない状態が維持されることを特徴とする加工装置。
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