以下、本発明の各実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る電子時計の構成の概要を示すブロック図である。電子時計1は、指針11により時刻を表示するアナログ式の時計である。
電子時計1は、不図示の水晶振動子によって所定の基準信号を出力する発振回路2と、基準信号を入力して各回路の制御と時刻の歩進を行う制御回路3と、駆動パルス発生回路4と、針位置判定回路6と、ドライバ回路20と、針ズレ防止回路30と、ステップモータ40とを有している。
ステップモータ40は、コイルCと、ロータ41とを含む。ロータ41は、2極磁化された円盤状の回転体であり、その回転に伴い指針11を駆動させる。コイルCは端子O1、O2を有している。端子O1、O2に、ドライバ回路20から出力される駆動波形が入力される。
駆動パルス発生回路4は、制御回路3に制御され、ステップモータ40を駆動する駆動パルスをパルス選択回路33へ出力する。なお、図示は省略するが、電子時計1は、駆動パルスよりも駆動力の大きい補正パルスを出力する補正パルス発生回路をさらに有していてもよい。
針ズレ防止回路30は、検出回路31と、ロックパルス発生回路32と、パルス選択回路33とを含む。
検出回路31は、ステップモータ40のコイルCに発生する逆起電流に基づいて、ロータ41の動きを検出する。また、検出回路31は、衝撃検出回路311を含んでいる。衝撃検出回路311は、ステップモータ40のコイルCに発生する逆起電流に基づいて、電子時計1に発生した衝撃を検出し、衝撃を検出した場合、衝撃信号を制御回路3へ出力する。なお、衝撃検出回路311は、コンパレータを含んでおり、逆起電流の電流値と所定の閾値thとを比較し、逆起電流の電流値の最大値が所定の閾値th以上である場合、衝撃信号を出力するとよい。また、電子時計1は、衝撃検出回路311により衝撃信号が出力された回数をカウントする衝撃検出カウンタ7を有している。
ロックパルス発生回路32は、衝撃検出回路311により衝撃が検出された際に、ロータ41を制動するロックパルスをパルス選択回路33へ出力する。
パルス選択回路33は、駆動パルス発生回路4が出力した駆動パルスを入力し、複数種類の駆動パルスのうちドライバ回路20へ出力する駆動パルスの波形を選択する。選択された駆動パルスは、ドライバ回路20へ出力される。ステップモータ40は、パルス選択回路33から出力された駆動パルスに基づいて、指針11を駆動させる。電子時計1は、指針11として、時刻を表示する秒針11a、分針、時針を少なくとも有しているとよい。
また、パルス選択回路33は、ロックパルス発生回路32が発生したロックパルスを入力し、複数種類のロックパルスのうちドライバ回路20へ出力するロックパルスを選択する。選択されたロックパルスは、ドライバ回路20へ出力される。パルス選択回路33から出力されたロックパルスに基づいて、ロータ41が制動される。
駆動パルスが1秒毎に出力されることにより、ロータ41の動きに伴い秒針11aが運針する。駆動パルスが出力されていない期間において、電子時計1に衝撃が発生すると、ロータ41が静止状態を維持できず、秒針11aに位置ズレが生じてしまう。ロックパルスは、秒針11aの位置ズレを抑制するために出力されるものである。
図2は、ステップモータのコイルに発生する逆起電流の波形の一例を示す図である。図2の横軸は時間[t]を示しており、縦軸は逆起電流の電流値[A]を示している。なお、図2に示す波形は、秒針11aの運針が停止している際に衝撃が発生した場合に、検出回路31により検出される逆起電流の一例である。
図2において、衝撃波形W1は、比較的大きい衝撃が発生した場合の逆起電流を示しており、衝撃波形W2は、比較的小さい衝撃が発生した場合の逆起電流を示している。また、図2に示す閾値thは、衝撃検出回路311が、衝撃信号を制御回路3へ出力する基準となる電流値である。図2に示す衝撃波形W1の逆起電流を検出回路31が検出した場合、衝撃検出回路311は、制御回路3へ衝撃信号を出力する。一方、図2に示す衝撃波形W2の逆起電流を検出回路31が検出した場合、衝撃検出回路311は、制御回路3へ衝撃信号を出力しない。
次に、図3を参照して、秒針11aの位置ズレの判定について説明する。図3(a)は、第1の実施形態における秒針の位置ズレの判定を行うための構造を模式的に示す断面図である。図3(b)は、第1の実施形態における秒針の位置ズレの判定を行うための構造を模式的に示す平面図である。
針位置判定回路6は、電子時計1が備える時刻を示す指針が基準位置からずれているか否かを判定する。第1の実施形態においては、秒針11aが、0秒を示す基準位置からずれているか否かを、1分毎、すなわち秒針11aが1回転する毎に判定する。
秒針11aは、ロータ41の回転が輪列を介して伝達されることにより駆動する。当該輪列は、図3(a)、図3(b)に示す歯車61を含むとよい。歯車61は、中心軸61aを中心に回転し、貫通孔61bを有している。歯車61は、秒針11aが60回動作(60秒分)するのに伴って1回転する。
また、電子時計1は、発光部62と、貫通孔61bを介して反対側に設けられる受光部63とを有するとよい。秒針11aが0秒を示す基準位置に存在する場合、針位置判定回路6は、受光部63が貫通孔61bを介して発光部62から出射された光Lを受光し、制御回路3へ光検出信号を出力する。一方、秒針11aが0秒を示す基準位置に存在しない場合、針位置判定回路6は、受光部63は発光部62から出射された光Lを受光せず(検出した光量が所定の閾値よりも小さく)、光検出信号を出力しない。
秒針11aに位置ズレが生じていない場合、制御回路3で歩進する時刻の秒桁が0秒の時、すなわち、基準位置で受光部63は1分間に1回、発光部62から出射された光Lを受光することとなる。一方、秒針11aに位置ズレが生じている場合、発光部62から出射される光Lは、歯車61の貫通孔61bを通過しない。そのため、受光部63は、発光部62から出射される光Lを受光しない。基準位置で光Lを受光しない場合、光Lを受光するまで毎秒、発光部62から光Lが出射されることとなる。受光部63が貫通孔61bを通過した光Lを受光した経過秒より、時刻のズレ量が判明する。そして、当該ずれ量に基づいて針を移動する。
制御回路3は、基準位置で針位置判定回路6からの光検出信号を入力しなかった場合、秒針11aに位置ズレが生じていると判定する。そして、制御回路3は、秒針11aに位置ズレが生じていると判定した場合、針位置修正処理を行う。具体的には、制御回路3は、秒針11aの位置ズレを修正するように、ドライバ回路20に入力される駆動パルスを制御する。
なお、図3は秒針の位置ズレの判定方法の一例であり、これに限られるものではなく、秒針11aが基準位置からズレているか否かを判定できるものであれば、他の構造を採用しても構わない。
ここで、時計においては指針11により時刻を正確に表示することが最も重要な基本機能であり、指針11に位置ズレが生じないことが好ましい。しかしながら、電子時計1が落下してしまった場合や、電子時計1を装着するユーザが凹凸のある道を走行する場合等において、外部衝撃が電子時計1に発生し、指針11の位置がずれてしまうことがある。そこで、上述のように、ロータ41を制動するロックパルスを出力する構成を採用するが、ロックパルスの強度が足りない場合、指針11に位置ズレが生じてしまう。また、ロックパルスの強度が必要以上に大きい場合、消費電力が不要に大きくなってしまう。
そこで、第1の実施形態においては、針位置修正処理の発生と、検出された衝撃とに基づいて、出力されるロックパルスのデューティ比を変更し、最適な強度のロックパルスを出力する構成を採用した。
具体的には、任意のある期間(第1の期間)、例えば秒針11aが1周回転する間に、衝撃が検出されて、ロックパルスが出力されたにも関わらず、針位置修正処理が発生した場合、ロックパルスの強度を上げるために出力されるロックパルスのデューティ比を上げることとした。これは、現在のロックパルスの強度が十分ではなく、ロータ41の静止状態を保持できず、衝撃によりロータ41の位置がズレてしまったと考えられるためである。
また、任意のある期間(第2の期間)、例えば秒針11aが1周回転する間に、所定の閾値(第2の閾値)より多い回数(衝撃検出カウンタのカウント値)の衝撃が検出されたにも関わらず、針位置修正処理が発生しなかった場合、ロックパルスの強度を下げるために出力されるロックパルスのデューティ比を下げることとした。これは、現在のロックパルスの強度が必要以上に大きく、消費電力が不要に大きい状態であると考えられるためである。
図4~図6を参照して、第1の実施形態の制御回路の処理について説明する。図4は、第1の実施形態の制御回路が行う処理を示すフローチャートである。図5は、第1の実施形態の制御回路が行う各秒処理を示すフローチャートである。図6は、第1の実施形態の制御回路が行う各分処理を示すフローチャートである。
制御回路3は、指針11の運針、衝撃検出、針位置修正等の処理以外の種々の処理を行う(図4に示すその他の処理、ステップS1)。その他の処理は、例えば、受信回路による電波の受信処理や、ソーラパネルにおける発電量の検出処理など、種々の処理を含むものであるが、ここではその詳細の説明については省略する。
制御回路3は、正秒になったタイミングにおいて(ステップS2のYES)、図5に示す各秒処理を行う(ステップS3)。なお、正秒とは、N.00秒(Nは0~59の整数)を示す時刻であり、1秒毎に訪れる時刻である。すなわち、制御回路3は、1秒毎に、各秒処理を行う。
また、制御回路3は、M分00秒(Mは0~59の整数)になったタイミングにおいて(ステップS4のYES)、図6に示す各分処理を行う(ステップS5)。すなわち、制御回路3は、1分毎に、各分処理を行う。
次に、図5を参照して、図4に示すステップS3における各秒処理について説明する。制御回路3は、衝撃検出処理を禁止した上で(ステップS51)、駆動パルス発生回路4及びパルス選択回路33を制御することにより、駆動パルスを出力させる(ステップS52)。これにより、ロータ41が回転し、秒針11aが1秒分運針する。
その後、制御回路3は、衝撃検出処理を開始する(ステップS53)。制御回路3は、衝撃検出回路311が検出した衝撃信号を入力した場合(ステップS54のYES)、ロックパルス発生回路32及びパルス選択回路33を制御することにより、ロックパルスを出力させる(ステップS55)。また、制御回路3は、ロックパルスが出力された後、衝撃検出カウンタ7におけるカウント値Aを+1アップさせる(ステップS56)。
次に、図6を参照して、図4に示すステップS5における各分処理について説明する。制御回路3は、秒針11aが基準位置からズレていないか否かを判定する針位置判定処理を開始する(ステップS61)。制御回路3は、針位置判定回路6からの光検出信号を入力しなかった場合、すなわち、秒針11aが基準位置から針ズレありと判定した場合(ステップS62のYES)、駆動パルス発生回路4及びパルス選択回路33を制御することにより、針位置修正処理を行う(ステップS63)。また、制御回路3は、針位置修正処理が発生したことを示す針位置修正フラグFBを立てる(FB=1)(ステップS64)。
制御回路3は、ある任意の第1の期間において、針位置修正フラグFBが立っており(FB=1)(ステップS65のYES)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが0(第1の閾値)よりも大きい場合(ステップS66のYES)、ロックパルス発生回路32及びパルス選択回路33を制御することにより、次回衝撃が発生した場合に出力されるロックパルスのデューティ比をアップ(DUTY_UP!)させる(ステップS67)。すなわち、現在のロックパルスの強度が十分ではないと判断し、ロックパルスの強度を上げる。なお、上記第1の閾値は0よりも大きい整数であっても構わない。
制御回路3は、ある任意の第2の期間において、針位置修正フラグFBが立っておらず(FB=0)(ステップS65のNO)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが所定の閾値Ath1(第2の閾値)よりも大きい(A>Ath1)場合(ステップS68のYES)、ロックパルス発生回路32及びパルス選択回路33を制御することにより、次回衝撃が発生した場合に出力されるロックパルスのデューティ比をダウン(DUTY_DOWN!)させる(ステップS69)。すなわち、現在のロックパルスの強度が必要以上に大きいと判断し、ロックパルスの強度を下げる。
また、制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っておらず(FB=0)(ステップS65のNO)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが所定の閾値Ath1(第2の閾値)以下(A>Ath1ではない)の場合(ステップS68のNO)、現在のロックパルスの強度が妥当であると判断し、S610の処理へ移行する。また、制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っており(FB=1)(ステップS65のYES)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが0(第1の閾値)以下(A>0ではない)である場合(ステップS66のNO)、現在のロックパルスの強度が妥当であると判断し、S610の処理へ移行する。
また、各分処理の最後に、針位置修正フラグFB、及び衝撃検出カウンタ7のカウント値Aをクリア(FB=0、A=0)する(ステップS610)。このように、各分処理毎に、針位置修正フラグFB、及び衝撃検出カウンタ7のカウント値Aをクリアすることにより、直近の1分間(秒針1aが1周する間)におけるロックパルスが適切な強度であるか否かを判定することができる。
図7は、第1の実施形態において出力されるロックパルスの波形の例を示す図である。図7(a)~図7(e)においては、出力期間が同じであり、デューティ比が互いに異なるロックパルスを示している。
図7(a)はデューティ比が8/32のロックパルスを示している。図7(b)はデューティ比24/32のロックパルスを示している。図7(c)はデューティ比が28/32のロックパルスを示している。また、図7(d)は、前半がフルパルス(デューティ比が32/32)であり、後半のデューティ比が28/32のロックパルスを示している。図7(e)は、フルパルスのロックパルスを示している。
第1の実施形態に係る電子時計1においては、図7に示すように、波形の異なる複数種類のロックパルスをドライバ回路20へ出力可能である。いずれの波形のロックパルスを出力するかは、パルス選択回路33において選択されるとよい。
デューティ比が大きい程、ロックパルスの強度は大きくなり、また、消費電力も大きくなる。すなわち、図7(e)に示す波形のロックパルスの強度が最も大きく、また、消費電力が最も大きい。図7(a)に示す波形のロックパルスの強度が最も小さく、また、消費電力が最も小さい。
例えば、制御回路3は、現在のロックパルスが図7(b)に示す波形のものである場合、図6のステップS67においてデューティ比を上げる場合、次回出力されるロックパルスを図7(c)に示す波形のものに切り替えるとよい。また、例えば、制御回路3は、現在のロックパルスが図7(b)に示す波形のものである場合、図6のステップS69においてデューティ比を下げる場合、次回出力されるロックパルスを図7(a)に示す波形のものに切り替えるとよい。
なお、図7に示すロックパルスの波形は一例であり、これに限られるものではない。また、図7においては5つの波形パターンを示したが、これに限られるものではなく、波形のパターン数はこれより多くてもよい。
次に、図8~図10を参照して、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。図8は、第1の変形例の制御回路が行う処理を示すフローチャートである。図9は、第1の変形例の制御回路が行う各分処理を示すフローチャートである。図10は、第1の変形例の制御回路が行う各時処理を示すフローチャートである。なお、第1の変形例における各秒処理は、図5で示したものと同じであるため、ここでの説明及び図示は省略する。また、図4、図6で示した処理と同様の処理については、同じ符号を用いて適宜説明を省略する。
なお、第1の変形例の電子時計1は、図1で示した構成に加えて、不図示のデューティ比ダウンカウンタを有しているとよい。
制御回路3は、M分00秒(Mは0~59の整数)になったタイミングにおいて(ステップS4のYES)、図9に示す各分処理を行う(ステップS85)。すなわち、制御回路3は、1分毎に、各分処理を行う。
また、制御回路3は、P時00分00秒(Pは0~23の整数)になったタイミングにおいて(ステップS86)、図10に示す各時処理を行う(ステップS87)。すなわち、制御回路3は、1時間毎に、各時処理を行う。
次に、図9を参照して、図8に示すステップS85における各分処理について説明する。制御回路3は、秒針11aが基準位置からずれていないか否かを判定する針位置判定処理を開始する(ステップS61)。制御回路3は、針位置判定回路6からの光検出信号を入力しなかった場合、すなわち、秒針11aが基準位置からずれている(針ズレあり)と判定した場合(ステップS62のYES)、駆動パルス発生回路4及びパルス選択回路33を制御することにより、針位置修正処理を行う(ステップS63)。また、制御回路3は、針位置修正処理が発生したことを示す針位置修正フラグFBを立てる(FB=1)(ステップS64)。
制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っており(FB=1)(ステップS65のYES)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが0よりも大きい(A>0)場合(ステップS66のYES)、ロックパルス発生回路32及びパルス選択回路33を制御することにより、次回衝撃が発生した場合に出力されるロックパルスのデューティ比をアップ(DUTY_UP!)させる(ステップS67)。すなわち、現在のロックパルスの強度が十分ではないと判断し、ロックパルスの強度を上げる。
制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っておらず(FB=0)(ステップS65のNO)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが所定の閾値Ath2よりも大きい(A>Ath2)場合(ステップS98のYES)、デューティ比ダウンカウンタのカウント値nをアップする(n=n+1)(ステップS99)。一方、制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っておらず(FB=0)(ステップS65のNO)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが所定の閾値Ath2以下(A>Ath2ではない)の場合(ステップS98のNO)、デューティ比ダウンカウンタのカウント値nをアップしない。また、制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っている場合(FB=1)(ステップS65のYES)デューティ比ダウンカウンタのカウント値nをアップしない。
また、各分処理の最後に、針位置修正フラグFB、及び衝撃検出カウンタ7のカウント値Aをクリア(FB=0、A=0)する(ステップS610)。
さらに、図10を参照して、図8に示すステップS87における各時処理について説明する。
制御回路3は、デューティ比ダウンカウンタのカウント値nが、所定の閾値nthよりも大きい(n>nth)場合(ステップS101のYES)、ロックパルス発生回路32及びパルス選択回路33を制御することにより、次回衝撃が発生した場合に出力されるロックパルスのデューティ比をダウン(DUTY_DOWN!)させる(ステップS102)。一方、制御回路3は、デューティ比ダウンカウンタのカウント値nが、所定の閾値nth以下(n>nthではない)の場合(ステップS101のNO)、現在のロックパルスのデューティ比を維持する。
また、各時処理の最後に、デューティ比ダウンカウンタのカウント値nをクリア(n=0)する(ステップS103)。
第1の変形例においては、ロックパルスのデューティ比が必要以上に大きいと思われる場合において、各分処理において即座にダウンさせるのではなく、直近の1時間の各分処理における60回分の結果に応じて、ダウンさせることとした。これにより、衝撃の誤検出などによって、本来ロックパルスのデューティ比を下げるべきではない状態において、ロックパルスのデューティ比を下げてしまうことによりロータ41の静止状態を保持できなくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、秒針11aに位置ズレが生じてしまう可能性を低減することができる。
次に、図11~図14を参照して、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。図11は、第2の変形例の制御回路が行う処理を示すフローチャートである。図12は、第2の変形例の制御回路が行う各秒処理を示すフローチャートである。図13は、第2の変形例の制御回路が行う各分処理を示すフローチャートである。図14は、第2の変形例の制御回路が衝撃検出から所定時間経過した際に行う処理を示すフローチャートである。なお、図4~図6で示した処理と同様の処理については、同じ符号を用いて適宜説明を省略する。
第2の変形例の電子時計1は、図1で示した構成に加えて、不図示の衝撃を検知してからの経過時間を計測する時間カウンタを有しているとよい。
制御回路3は、正秒になった(正秒(00msec))タイミングにおいて(ステップS2のYES)、図12に示す各秒処理を行う(ステップS113)。すなわち、制御回路3は、1秒毎に、各秒処理を行う。
また、制御回路3は、M分00秒(Mは0~59の整数)になった(00秒)タイミングにおいて(ステップS4のYES)、図13に示す各分処理を行う(ステップS115)。すなわち、制御回路3は、1分毎に、各分処理を行う。
また、制御回路3は、時間カウンタのカウント値Tが、所定の閾値Tth以上(T≧Tth)となったタイミングにおいて(ステップS116)、図14に示す処理を行う(ステップS117)。なお、時間カウンタは、1秒毎に時刻をカウントするものであり、閾値Tthは、例えば、30分00秒、2時間00分00秒等であるとよい。
次に、図12を参照して、図11に示すステップS113における各秒処理について説明する。
制御回路3は、衝撃検出回路311が検出した衝撃信号を入力した(衝撃検出あり)場合(ステップS54のYES)、ロックパルス発生回路32及びパルス選択回路33を制御することにより、ロックパルスを出力させる(ステップS55)。また、制御回路3は、ロックパルスが出力された後、衝撃検出カウンタ7におけるカウンタをアップ(A=A+1)させる(ステップS56)。
さらに、制御回路3は、時間カウンタのカウント値Tが0である(T>0ではない)場合(ステップS127のNO)、時間カウンタによる時間カウントを開始する(ステップS128)。また、制御回路3は、衝撃検出回路311が検出した衝撃信号の入力がない(衝撃検出なし)場合(ステップS54のNO)、本処理を終了する。
次に、図13を参照して、図11に示すステップS115における各分処理について説明する。
制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っており(FB=1)(ステップS135のYES)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが0よりも大きい(A>0)場合(ステップS136のYES)、ロックパルス発生回路32及びパルス選択回路33を制御することにより、次回衝撃が発生した場合に出力されるロックパルスのデューティ比をアップ(DUTY_UP!)させる(ステップS137)。すなわち、現在のロックパルスの強度が十分ではないと判断し、ロックパルスの強度を上げる。また、制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っていない(FB=1ではない)場合(ステップS135のNO)、ステップS138の処理へ移行し、針位置修正フラグFB、及び衝撃検出カウンタ7のカウント値Aをクリア(FB=0、A=0)する。また、制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っており(FB=1)(ステップS135のYES)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが0である場合(ステップS136のNO)、ステップS138の処理へ移行する。
各分処理の最後に、針位置修正フラグFB、及び衝撃検出カウンタ7のカウント値Aをクリアする(ステップS138)。
次に、図14に示す処理について説明する。図14に示す処理は、衝撃の発生から所定の時間(閾値Tth)が経過した(T≧Tth)際(図11のS116のYES)に行われる図11のステップS117の処理である。
制御回路3は、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが所定の閾値Ath3よりも大きく、かつ、針位置修正フラグFBが立っていない場合(A>Ath3かつFB=0)(ステップS141のYES)、次回衝撃が発生した場合に出力されるロックパルスのデューティ比をダウン(DUTY_DOWN!)させる(ステップS142)。すなわち、ロックパルスの強度を下げる。その後、経過時間カウンタのカウント値T、針位置修正フラグFB、及び衝撃検出カウンタ7のカウント値Aをクリア(T=0、FB=0、A=0)する(ステップS143)。
第2の変形例においては、最新の衝撃が発生してから所定の時間が経過した後において、秒針11aが1回転する間に、所定の閾値Ath3よりも多い回数の衝撃が検出されたにも関わらず、針位置修正処理が発生しなかった場合、出力されるロックパルスのデューティ比を下げることとした。これは、電子時計1を装着するユーザが衝撃を発生しやすい環境にいるにも関わらず、針位置がズレていないことより、現在のロックパルスの強度が必要以上に大きく、消費電力が不要に大きい状態であると考えられるためである。
なお、第1の実施形態及びその変形例においては、ロックパルスのデューティ比を変更する例について説明したが、これに限られるものではなく、ロータ41に対する保持力、すなわち、ロックパルスの強度を変更するものであればよい。例えば、ロックパルスのデューティ比を上げる代わり、ロックパルスの出力期間を長くしたり、ロックパルスの各チョッパーの電圧の絶対値を大きくしたりすることにより、ロータ41に対する保持力を強くするとよい。
次に、図15、図16を参照して、第2の実施形態について説明する。図15は、第2の実施形態の制御回路が行う各分処理を示すフローチャートである。なお、第2の実施形態における各分処理以外の処理は、第1の実施形態の図4、図5で示したものと同じであるため、ここでの説明及び図示は省略する。また、第1の実施形態の図6で示した処理と同様の処理については、同じ符号を用いて適宜説明を省略する。
制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っており(FB=1)(ステップS65のYES)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが所定の閾値Ath4(第3の閾値)よりも小さい場合(ステップS156のYES)、衝撃検出の感度を上げる(S157)。すなわち、衝撃検出回路311により衝撃信号が出力される条件を緩くする。直近の1分間において、針位置修正処理が行われており、かつ、衝撃の発生が比較的少ない場合、ロックパルスが出力される条件が厳しい可能性があるためである。
制御回路3は、任意の期間の第2の期間において、針位置修正フラグFBが立っておらず(FB=1ではない)(ステップS65のNO)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが所定の閾値Ath5(第4の閾値)よりも大きい場合(A>Ath5)(ステップS158のYES)、衝撃検出の感度を下げる(感度_DOWN!)(ステップS159)。すなわち、衝撃検出回路311により衝撃信号が出力される条件を厳しくする。直近の1分間において、針位置修正処理が行われておらず、かつ、衝撃の発生が比較的多い場合、ロックパルスが出力される条件が緩い可能性があるためである。また、制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っており(FB=1)(ステップS65のYES)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが所定の閾値Ath4(第3の閾値)よりも大きい場合(A<Ath4ではない)(ステップS156のNO)、ステップS610の針位置修正フラグFB、及び衝撃検出カウンタ7のカウント値Aをクリア(FB=0、A=0)する処理に移行する。また、制御回路3は、針位置修正フラグFBが立っておらず(FB=1ではない)(ステップS65のNO)、かつ、衝撃検出カウンタ7のカウント値Aが所定の閾値Ath5(第4の閾値)以下(A>Ath5ではない)の場合(ステップS158のNO)、ステップS610の針位置修正フラグFB、及び衝撃検出カウンタ7のカウント値Aをクリア(FB=0、A=0)する処理に移行する。
第2の実施形態においては、ロックパルスが出力される条件を適切に設定することにより、消費電力を抑制すると共に、指針の位置ズレを防止することができる。
図16は、第2の実施形態における検出回路の概要を示す回路図である。第2の実施形態においては、検出回路31における検出抵抗の抵抗値を可変とする構成を採用することにより、検出感度を変更する構成を採用した。第2の実施形態において、検出回路31は、衝撃検出のON、OFFを切り替えるトランジスタTR1、TR2を含んでいる。また、検出回路31は、抵抗R1~R3を含む検出抵抗と、衝撃により発生する逆起電流を検出する際の検出抵抗の抵抗値を切り替えるトランジスタTR3~TR6を含んでいる。
検出回路31は、検出抵抗の抵抗値に応じた逆起電流の波形を取得する。検出抵抗の抵抗値を大きくすることにより、取得される逆起電流によって発生する逆起電圧が大きくなるため、検出感度は上がる。すなわち、ロックパルスが出力されやすくなる。一方、検出抵抗の抵抗値を小さくすることにより、取得される逆起電流によって発生する逆起電圧が小さくなるため、検出感度が下がる。すなわち、ロックパルスが出力されにくくなる。
なお、図16で示した回路図は一例であり、抵抗の数や配置などはこれに限られるものではなく、検出抵抗の抵抗値を変更可能な回路構成であればよい。
なお、検出感度の変更は、検出抵抗の抵抗値を変更することにより行われるものに限られず、図2に示す閾値thを変更することにより行ってもよい。閾値thを高くすると、検出感度は下がる。すなわち、ロックパルスが出力されやすくなる。閾値thを低くすると、検出感度は上がる。すなわち、ロックパルスが出力されにくくなる。
なお、第1の実施形態及びその変形例においては、針位置修正処理が発生した回数をカウントするカウンタをさらに設けて、制御回路3が、当該カウンタのカウント値と、衝撃検出カウンタ7のカウント値とに基づいて、針ズレ防止回路を制御しても、検出感度を制御してもよい。
また、第2の実施形態は第1の実施形態及びその変形例において併用しても良い。
また、衝撃検出回路311は、発生した衝撃の大きさ(逆起電流の電流値)によって、出力する衝撃信号を変えてもよい。この場合、衝撃検出カウンタ7が、大きな衝撃が発生した場合に出力される衝撃信号に基づいてカウント値を上げるカウンタと、小さな衝撃が発生した場合に出力される衝撃信号に基づいてカウント値を上げるカウンタとを含むとよい。そして、制御回路3が、それぞれのカウント値に基づいて、針ズレ防止回路30を制御するとよい。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。