JP7347578B2 - 露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法 - Google Patents

露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、露光装置に係り、更に詳しくは、物体上に投影光学系を介して所定パターンを形成する露光装置に関する。
従来、液晶表示素子(液晶パネル)、半導体素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「マスク」と総称する)と、ガラスプレート又はウエハ等(以下、「基板」と総称する)とを所定の走査方向に沿って同期移動させつつ、マスクに形成されたパターンを、エネルギビームを用いて基板上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
この種の露光装置を用いて基板上にパターンを形成する方法としては、マスクに形成されたパターン(マスクパターン)の周期性を利用して、マスクパターンを基板上で継ぎ合わせる、いわゆる繋ぎ露光が知られている(特許文献1参照)。
従来の露光装置で上記繋ぎ露光を行う場合、上記繋ぎ合わせの自由度が十分ではなかった。
特開2004-335864号公報
第1の実施形態では、所定パターンを物体に投影する投影光学系に対して、前記物体を第1方向に相対移動させて露光する露光装置であって、前記投影光学系を介して前記物体上に投影される投影領域のうち、前記第1方向の位置に応じて、前記物体上の照明量が前記第1方向に交差する前記第2方向に沿って変化する所定領域を遮光する遮光部と、前記遮光部を、前記照明量を変化させるように駆動する駆動部と、を備える露光装置が、提供される。
第2の実施形態では、第1の実施形態に係る露光装置を用いて、前記基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。が、提供される。
第3の実施形態では、第1の実施形態に係る露光装置を用いて、前記基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が、提供される。
第4の実施形態では、所定パターンを物体に投影する投影光学系に対して前記物体を第1方向に相対移動させて走査露光する露光装置に用いられる遮光装置であって、前記投影光学系を介して前記物体上に投影される投影領域のうち、前記第1方向の位置に応じて、前記物体上の照明量が前記第1方向に交差する前記第2方向に沿って変化する所定領域を遮光する遮光部と、前記遮光部を、前記照明量を変化させるように駆動する駆動部と、を備える遮光装置が、提供される。
第5の実施形態では、所定パターンを物体に投影する投影光学系に対して前記物体を第1方向に相対移動させて走査露光する露光方法であって、前記投影光学系を介して前記物体上に投影される投影領域のうち、前記第1方向の位置に応じて、前記物体上の照明量が前記第1方向に交差する前記第2方向に沿って変化する所定領域を、遮光部によって遮光することと、前記遮光部を、前記照明量を変化させるように駆動することと、を含む露光方法が、提供される。
第6の実施形態では、所定パターンを物体に投影する投影光学系に対して前記物体を第1方向に相対移動させて走査露光する露光方法であって、前記投影光学系を介して前記物体上に投影される投影領域のうち、前記第1方向の位置に応じて、前記物体上の照明量が前記第1方向に交差する前記第2方向に沿って変化する所定領域を、遮光部によって遮光することと、前記遮光部を、前記照明量を変化させるように駆動することと、を含む露光方法が、提供される。
第7の実施形態では、第6の実施形態に係る露光方法を用いて前記基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法が、提供される。
第8の実施形態では、第6の実施形態に係る露光方法を用いて前記基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が、提供される。
一実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。 図1の露光装置が有する照明光学系、及び投影光学系の構造を説明するための図である。 図3(a)は、投影光学系が有する視野絞りと遮光板の配置を示す平面図、図3(b)は、視野絞りと遮光板との光軸方向の位置関係を示す図である。 図4(a)は、遮光板の第1の傾斜配置を示す図であり、図4(b)は、遮光板の第2の傾斜配置を示す図である。 図5(a)は、遮光板を用いて投影領域の中央に継ぎ部を形成する場合を示す図であり、図5(b)は、遮光板を用いて投影領域の端部近傍に継ぎ部を形成する場合を示す図である。 図6(a)は、2枚の遮光板を用いて継ぎ部を形成する場合を示す図であり、図6(b)は、1枚の遮光板で図6(a)と同様の継ぎ部を形成する場合を示す図である。 図7(a)は、従来の遮光板を示す図であり、図7(b)は実施形態の遮光板を示す図であり、図7(c)は、実施形態の遮光板を複数備えた場合を示す図である。 図8(a)~図8(d)は、視野絞りと遮光板とによって形成される開口の態様(第1のモード~第4のモード)を説明するための図である。 基板上に生成される投影領域を示す平面図である。 繋ぎ露光の概念図である。 図11(a)は、第1の露光方法に係る基板とマスクとの関係を示す図であり、図11(b)は、第1の露光方法でA領域を走査露光する際の図であり、図11(c)は、第1の露光方法でB領域を走査露光する際の図である。 図12(a)は、第2の露光方法に係る基板とマスクとの関係を示す図であり、図12(b)は、第2の露光方法でA領域を走査露光する際の図であり、図12(c)は、第2の露光方法でB領域を走査露光する際の図である。 図13(a)は、第3の露光方法に係る基板とマスクとの関係を示す図であり、図13(b)は、第3の露光方法でA領域を走査露光する際の図である。 図14(a)は、第3の露光方法でB領域を走査露光する際の図であり、図14(b)は、第3の露光方法でC領域を走査露光する際の図である。 図15(a)は、第4の露光方法に係る基板とマスクとの関係を示す図であり、図15(b)は、第4の露光方法でA領域を走査露光する際の図である。 第4の露光方法でB領域を走査露光する際の図である。 図17(a)は、第5の露光方法に係る基板とマスクとの関係を示す図であり、図17(b)は、第5の露光方法でA1領域を走査露光する際の図である。 図18(a)は、第5の露光方法でB1領域を走査露光する際の図であり、図18(b)は、第5の露光方法でA2領域を走査露光する際の図である。 第5の露光方法でB2領域を走査露光する際の図である。 繋ぎ露光を行う際のフローチャートである。 遮光板の駆動機構の変形例(その1)を示す図である。 遮光板の駆動機構の変形例(その2)を示す図である。 図23(a)及び図23(b)は、遮光板の駆動機構の変形例(その3)を示す図(その1及びその2)である。 図24(a)は、遮光板の変形例を示す図であり、図24(b)~図24(e)は、図24(a)の遮光板の動作を示す図(その1~その4)である。 遮光板の駆動機構の詳細を示す図である。 光学フィルタを用いた繋ぎ露光を説明するための図である。
以下、一実施形態について、図1~図20を用いて説明する。図1は、一実施形態に係る露光装置EXの構成を示す斜視図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、感光基板P(以下、単に「基板P」と称する)を支持する基板ステージPSTと、マスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、マスクMに形成されたパターンの投影像(以下、パターン像と呼ぶ)を基板Pに転写し、このパターン像に対応する潜像としての転写パターンを基板P上に形成する投影光学系PLと、露光装置EXの動作を統括制御する制御装置CONT(図1では不図示。図2参照)とを備えている。基板Pは、ガラス基板に感光剤(フォトレジスト)を塗布したものであり、転写パターンは、この感光剤中に形成される。投影光学系PLは並設された複数(図1では7つ)の投影光学モジュールPLa~PLgにより構成され、本実施形態における露光装置EXは、この投影光学系PLに対してマスクMと基板Pとを同期移動(同期走査)しつつマスクMを露光光ELで照明し、マスクMのパターン像を基板Pに転写する。
ここで、以下の説明において、マスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、水平面内において走査方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸の軸線まわり方向を、それぞれθX、θY、及びθZ方向とする。
本実施形態のマスクステージ装置は、マスクMを支持するマスクステージMSTと、X軸方向に長いストロークを有するリニアガイド(不図示)と、リニアモータ、ボイスコイルモータ(VCM)等により構成されるマスクステージ駆動部MSTDとを備える。マスクステージ駆動部MSTDは、制御装置CONT(図2参照)の制御の下、マスクMと基板Pとを同期移動させる際に、マスクMを有するマスクステージMSTをX軸方向に長いストロークで駆動可能であるとともに、X軸方向及びY軸方向を含む水平面内におけるマスクMの位置を微調整するために、マスクステージMSTをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθZ方向に駆動可能である。また、マスクステージMSTの水平面内の位置は、レーザ干渉計を用いて測定され、例えば0.5~1nm程度の分解能で常時検出される。このレーザ干渉計の計測値は、制御装置CONTに送られ、マスクステージMSTのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθZ方向の位置を制御する。
マスクMを透過した露光光ELは、投影光学モジュールPLa~PLgにそれぞれ入射する。投影光学モジュールPLa~PLgは定盤150に支持され、露光光ELによるマスクM上の照射領域に対応するパターン像を基板Pに結像させる。投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgと、投影光学モジュールPLb、PLd、PLfとは、それぞれY軸方向に所定間隔で配置されている。また、投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgの列と、投影光学モジュールPLb、PLd、PLfの列とは、X軸方向に離れて配置されており、全体でY軸方向に沿って千鳥状に配置されている。投影光学モジュールPLa~PLgのそれぞれは、複数の光学素子(レンズ等)を有している。各投影光学モジュールPLa~PLgを透過した露光光ELは、基板P上の異なる投影領域50a~50gごとにマスクM上の照射領域に対応したパターン像を結像する。
基板ステージPSTは基板ホルダPHを有しており、この基板ホルダPHを介して基板Pを保持する。基板ステージPSTは、マスクステージMSTと同様に、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能であり、更に、θX、θY、及びθZ方向にも移動可能である。基板ステージPSTは、制御装置CONT(図2参照)の制御の下、リニアモータ等により構成される基板ステージ駆動部PSTDにより駆動される。
また、-X側の投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgの列と、+X側の投影光学モジュールPLb、PLd、PLfの列との間には、マスクMのパターン面及び基板Pの露光面のZ軸方向における位置を検出するフォーカス検出系110が配置されている。フォーカス検出系110は、斜入射方式の焦点検出系を複数配置して構成される。フォーカス検出系110の検出結果は、制御装置CONT(図2参照)に出力され、制御装置CONTは、フォーカス検出系110の検出結果に基づいて、マスクMのパターン面と基板Pの露光面とが所定の間隔および平行度をなすように制御する。
制御装置CONTは、記憶部120(それぞれ図2参照)と接続されており、記憶部120に記憶されているレシピ情報等に基づいて、マスクステージMST及び基板ステージPSTの位置をモニタしながら、基板ステージ駆動部PSTD及びマスクステージ駆動部MSTDを制御することにより、マスクMと基板PとをX軸方向に同期移動させる。
図2は、照明光学系IL及び投影光学系PLの構成を示す図である。図2に示されるように、照明光学系ILは、超高圧水銀ランプ等からなる光源1と、光源1から射出された光を集光する楕円鏡1aと、この楕円鏡1aによって集光された光のうち露光に必要な波長の光を反射し、その他の波長の光を透過させるダイクロイックミラー2と、ダイクロイックミラー2で反射した光のうち更に露光に必要な波長(通常は、g、h、i線のうち少なくとも1つの帯域)のみ含んだ光を露光光として通過させる波長選択フィルタ3と、波長選択フィルタ3からの露光光を複数本(本実施形態では7本)に分岐して、反射ミラー5を介して各照明系モジュールIMa~IMgに入射させるライトガイド4とを備えている。ここで、照明光学系ILを構成する照明系モジュールIMとして、本実施形態では、7つの投影光学モジュールPLa~PLgに対応して7つの照明系モジュールIMa~IMgが設けられている。ただし、図2においては、便宜上、投影光学モジュールPLfに対応する照明系モジュールIMfのみが示されている。照明系モジュールIMa~IMgのそれぞれは、X軸方向とY軸方向とに所定の間隔を持って、投影光学モジュールPLa~PLgのそれぞれに対応して配置されている。そして、照明系モジュールIMa~IMgのそれぞれから射出した露光光ELは、投影光学モジュールPLa~PLgに対応させてマスクM上の異なる照射領域をそれぞれ照明する。
照明系モジュールIMa~IMgのそれぞれは、照明シャッタ6と、リレーレンズ7と、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ8と、コンデンサレンズ9とを備えている。照明シャッタ6は、ライトガイド4の光路下流側に、光路に対して挿脱自在に配置されている。照明シャッタ6は、光路内に配置されたときに露光光を遮光し、光路から退避したときにその遮光を解除する。照明シャッタ6には、シャッタ駆動部6aが接続されている。シャッタ駆動部6aは制御装置CONTによって制御される。
また、照明系モジュールIMa~IMgのそれぞれは、光量調整機構10を有している。光量調整機構10は、光路毎に露光光の照度を設定することによって露光量を調整するものであって、ハーフミラー11と、ディテクタ12と、フィルタ13と、フィルタ駆動部14とを備えている。ハーフミラー11は、フィルタ13とリレーレンズ7との間の光路中に配置され、フィルタ13を透過した露光光の一部をディテクタ12へ入射させる。ディテクタ12は、入射した露光光の照度を独立して検出し、検出した照度信号を制御装置CONTへ出力する。フィルタ13は、透過率がX軸方向に沿って所定範囲で線形に漸次変化するように形成されており、各光路中の照明シャッタ6とハーフミラー11との間に配置されている。フィルタ駆動部14は、制御装置CONTの指示に基づいてフィルタ13をX軸方向に沿って移動することにより、光路ごとに露光量を調整する。
光量調整機構10を透過した光束はリレーレンズ7を介してフライアイレンズ8に達する。フライアイレンズ8は射出面側に二次光源を形成し、この二次光源からの露光光ELは、コンデンサレンズ9を通過し、直角プリズム16と、レンズ系17と、凹面鏡18とを備えた反射屈折型光学系15を通過した後、マスクM上の照射領域を均一に照明する。なお、反射屈折型光学系15を省略しても良い。すなわち、コンデンサレンズ9を通過した光束をマスクMに直接照射しても良い。これによって、照明光学系IL、ひいては露光装置EXを小型化できる。
投影光学モジュールPLa~PLgのそれぞれは、像シフト機構19と、フォーカス位置調整機構31と、2組の反射屈折型光学系21、22と、視野絞り20と、倍率調整機構23とを備えている。像シフト機構19は、2枚の平行平面板ガラスをそれぞれθY方向もしくはθX方向に回転させることで、マスクMのパターン像をX軸方向もしくはY軸方向にシフトさせる。また、フォーカス位置調整機構31は、1対の楔プリズムを備え、光路中の楔プリズムの厚さの総和を変化させることによりパターン像の像面位置を変化させ、少なくとも一方の楔プリズムを光軸回りに回転させることによりパターン像の像面の傾斜角度を変化させる。マスクMを透過した露光光ELは像シフト機構19、フォーカス位置調整機構31を透過した後、1組目の反射屈折型光学系21に入射する。反射屈折型光学系21は、マスクMのパターンの中間像を形成するものであって、直角プリズム24とレンズ系25と凹面鏡26とを備えている。直角プリズム24はθZ方向に回転自在となっており、マスクMのパターン像を回転可能となっている。
視野絞り20は、反射屈折型光学系21が形成する中間像の像面もしくはその近傍に配置されている。視野絞り20は、基板P上での投影領域を設定する。視野絞り20を透過した露光光ELは、2組目の反射屈折型光学系22に入射する。反射屈折型光学系22は、反射屈折型光学系21と同様に、直角プリズム27とレンズ系28と凹面鏡29とを備えている。直角プリズム27もθZ方向に回転自在となっており、マスクMのパターン像を回転可能となっている。
反射屈折型光学系22から射出した露光光ELは、倍率調整機構23を通過し、基板P上にマスクMのパターン像を正立等倍で結像する。倍率調整機構23は、第1平凸レンズ、両凸レンズおよび第2平凸レンズをZ軸に沿ってこの順に有しており、両凸レンズをZ軸方向に移動させることにより、マスクMのパターン像の倍率を変化させる。
図3(a)は、各投影光学モジュールPLa~PLgが備える視野絞り20を示す図である。視野絞り20は、マスクM及び基板Pに対して略共役な位置に配置されている。各投影光学モジュールPLa~PLgは、それぞれ視野絞り20を有しており、各投影光学モジュールPLa~PLgの基板P上における投影領域50a~50gは、それぞれ対応する視野絞り20に形成された開口Kによって設定される。本実施形態において、各開口Kは、Y軸方向に平行な2辺を有する等脚台形状、もしくはY軸方向に平行な2辺とX軸方向に平行な1辺とを有する台形状に形成されており、投影領域50a~50gは、それぞれ対応する開口Kと共役関係となる台形形状に設定される。
なお、図3(a)では、視野絞り20は、台形状の開口が形成された平面視矩形の板状部材として図示されているが、実際には、図3(b)に示されるように、開口KのY軸方向の幅を設定するエッジ(端部)を含む絞り部材20yと、開口KのX軸方向の幅を設定するエッジ(端部)を含む絞り部材20xとが別部材とされている。そして、上記絞り部材20y、20xのうち、絞り部材20yが、マスクM及び基板Pに対する共役面CP上に配置されており、絞り部材20xは、共役面CPよりも幾分露光光ELの入射側(+Z側)に配置されている。
図3(a)に戻り、投影光学モジュールPLa~PLgのうち、投影光学モジュールPLfは、遮光板30を有している。遮光板30は、平面視(Z軸方向から見て)で略長方形の板部材であって、図3(b)に示されるように、投影光学モジュールPLfが備える視野絞り20に対して露光光ELの出射側(-Z側)に配置されている。
図3(a)に戻り、遮光板30は、後述する駆動機構80(図8(a)など参照)によって、+Y側の長辺が、視野絞り20の開口Kを形成する+Y側の端部(斜辺)と略平行になる第1の傾斜配置(図4(a)参照)と、-Y側の長辺が、視野絞り20の開口Kを形成する-Y側の端部(斜辺)と略平行となる第2の傾斜配置(図4(b)参照)との間で駆動可能となっている。このように、遮光部材30は、第1の傾斜配置(第1の傾斜角度)と第2の傾斜配置(第2の傾斜角度)との間を移動することにより、投影光学モジュールPLfによって生成される投影領域50fの形状を変更することが可能となっている。なお、第1の傾斜角度及び第2の傾斜角度は、台形状の投影領域の傾斜角度によって定められる。例えば、図4(a)に示される第1の傾斜角度は、遮光板30のY軸方向に対する傾斜角度が、台形状の投影領域50fの+Y軸方向の端辺の傾斜角度と平行である。また、図4(b)に示される第2の傾斜角度は、遮光板30のY軸方向に対する傾斜角度が、台形状の投影領域50fの-Y軸方向の端辺の傾斜角度と平行である。すなわち、投影領域の形状を踏まえて、遮光板30の傾斜角度(第1の傾斜角度及び第2の傾斜角度)は任意に定めることができる。
また、遮光板30は、駆動機構80(図8(a)など参照)によってY軸方向に直進移動可能とされており、投影光学モジュールPLfによって生成される投影領域50fのY軸方向の幅を設定変更することができる。また、遮光板30は、Y軸方向に直進移動することによって、開口Kと重ならない位置、すなわち開口Kが視野絞り20のみによって設定される位置に移動することも可能である。
ここで、従来の遮光板を用いた実施例と遮光板30を用いた本実施形態との相違について説明する。
図5(a)~図6(b)には、繋ぎ露光を行う際の投影領域と遮光部との位置関係を示した図が記載されている。図5(a)~図6(b)における紙面右側には、上記実施形態で用いられる複数の投影光学モジュールによって基板上に投影される投影領域の一部(投影領域50e~50g)と、露光光を遮光することによって投影領域を規定する遮光板30とが示されている。また、図5(a)~図6(b)における紙面左側には、投影領域を一列に配置した形態が示されている。
図5(a)に示されるように、投影領域50eのX軸方向の投影幅がY軸方向においてほぼ一定である領域、すなわち台形状の投影領域50eの中心部においてパターン継ぎを行う場合、遮光板30を投影領域50eの中心部に配置することによって、Y軸方向に沿って投影幅が変化する露光量の傾斜部G(継ぎ部)を形成することができる。
しかしながら、図5(b)に示されるように、投影領域50eのX軸方向の投影幅がY軸方向に沿って変化する領域、すなわち台形状の投影領域のうちの端部領域においてパターン継ぎを行う場合、投影領域50eを規定する遮光部30だけで露光量の傾斜部Gを形成しようとすると、傾斜部Gで露光量が多くなり過ぎて、パターン継ぎを行うことができない。
そこで、図6(a)に示されるように、投影領域50eの遮光板30に加えて、投影領域50fに同様の遮光板30Aを配置すれば、露光量の傾斜部Gを形成することができ、パターン継ぎを行うことができる。遮光板30Aは、遮光板30と傾斜角度が等しくなるように配置される。なお、遮光板30と遮光板30Aとは、別部材であっても良いし、共通の部材により形成されていても良い。
さらに、図6(a)に示されるように、遮光板30Aを配置しなくても、図6(b)に示されるように、遮光板30の傾斜角度を変更することによって、投影領域50eを規定する1つの遮光板30のみで傾斜部Gを形成することができる。遮光板30の傾斜角度を、投影領域50eの端部領域の角度と平行となるように変更する。つまり、遮光板30の傾斜角度を、投影領域50fの端部領域の角度と平行となるように変更する。これにより、投影領域50eの端部領域と投影領域50fの端部領域とのパターン継ぎを行うことができる。投影領域50fの端部領域が、あたかも+Y方向に移動されたように、パターン継ぎが行われる。これによって、遮光板を増やす必要がないとともに、図6(a)の場合と比較して、投影領域50eの遮光板と投影領域50fの遮光板とを同期させる必要がないので、露光装置を簡素化できる。
また、従来の遮光板を用いた実施例と遮光板30を用いた本実施形態との相違については、次のように説明することもできる。
図7(a)に示されるように、従来の実施例では、投影領域50fに対する傾斜配置が一方向にのみ傾斜した遮光板を用いていたため、Y軸方向に関するT領域及びα領域、β領域でのみ1回の走査移動で露光できるY軸方向の走査幅を設定することが可能であった。例えば、T領域及びβ領域内で繋ぎ露光を行う際には、遮光板をY軸方向に移動させることで走査幅を設定することができ、α領域又はγ領域で繋ぎ露光を行う際には、照明系モジュールIMfまたは照明系モジュールIMgの照明シャッタ6(図2参照)で露光光を遮光することによって走査幅を設定することができた。しかしながら、領域U内に遮光板を配置した場合、露光量が均一にならず、繋ぎ露光を行える領域に制限があった。
これに対して、遮光板30を用いた本実施形態では、図7(b)に示されるように遮光板30を第1の傾斜配置及び第2の傾斜配置の間で移動させることができるため、U領域内に遮光板30を配置した場合であっても、露光量を均一にして、繋ぎ露光を行うことができる。例えば、T領域内で繋ぎ露光を行う際には、遮光板30を第1の傾斜配置で用い、U領域内で繋ぎ露光を行う際には、遮光板30を第2の傾斜配置に移動させて用いることができる。
また、図7(c)に示されるように、遮光板30を投影領域50fに加えて、投影領域50e及び投影領域50gを遮光できるように配置すれば、S領域においても繋ぎ露光を行うことができる。すなわち、本実施形態の遮光板30を用いれば、Y軸方向のあらゆる領域で繋ぎ露光を行うことができる。
次に、駆動機構80を用いて、本実施形態の遮光板30を第1の傾斜配置又は第2の傾斜配置に移動させることによって、開口Kを設定変更する手法について説明する。
図8(a)に示されるように、駆動機構80は、一対のアクチュエータ82、84を、開口Kを挟んで(開口Kの-X側、+X側に)備えている。アクチュエータ82は、モータ(サーボモータ)82aと、該モータ82aによって駆動されるネジ82bと、該ネジ82bに螺合する円筒状のナット82cとを備えた、いわゆる送りネジ装置であり、ナット82cをY軸方向に関して開口Kよりも長いストロークで往復駆動することができる。遮光板30の-X側の端部近傍には、平面視U字状の切り欠き30aが形成されており、該切り欠き30a内にナット82cが挿入されている。アクチュエータ84も、アクチュエータ82と同様な構成(モータ84a、ネジ84b、ナット84c)の送りネジ装置であるが、ナット84cが遮光板30の+X側の端部近傍に、遮光板30に対してθZ方向に回転自在に取り付けられている点が異なる。駆動機構80が有する一対のアクチュエータ82、84は、それぞれ独立に制御装置CONT(図2参照)により制御される。
駆動機構80は、図8(a)に示されるように、遮光板30の+Y側のエッジ(端部)が、視野絞り20(図8(a)では不図示。図3(a)参照)の開口Kを形成するエッジ(端部)のうち、+Y側のエッジと平行となる位置に遮光板30を位置決めし、遮光板30の-Y側に露光光の光路を形成することによって、基板P(図1参照)上に生成される投影領域50fを、平面視で台形(等脚台形)とすることができる。遮光板30の位置、及び角度は、不図示の計測装置(位置計測装置、光量計測装置など)の出力、あるいはアクチュエータ82、84に対する入力信号に基づいて計測される。この際、開口Kのうち、遮光板30よりも+Y側の領域は、露光光が通過しないように、可動式のブラインド装置60によって遮光される。以下、図8(a)に示されるように、遮光板30の-Y側に露光光の光路が形成され、且つ該光路を通過した露光光によって基板P上に平面視台形の投影領域50fが生成される状態を、遮光板30の第1のモードと称して説明する。
また、駆動機構80は、図8(a)に示される状態から、一対のアクチュエータ82、84それぞれのナット82c、84cを同じストローク(移動量)でY軸方向に駆動することによって、開口Kの面積、すなわち基板P(図1参照)上に生成される投影領域50f(平面視で台形)の幅(面積)を設定変更することができる。この際、遮光板30の位置に応じてブラインド装置60もY軸方向に駆動される。
なお、上述したブラインド装置60は、遮光板30を備えていない投影光学モジュールPLa~PLe、PLg(図1参照)それぞれにも対応して備えられており、該投影光学モジュールPLa~PLe、PLgそれぞれが備える視野絞り20に形成された開口K(図3(a)参照)を開放すること、及び遮蔽することが任意に選択可能となっている。なお、本実施形態において、ブラインド装置60は、照明光学系IL(図1参照)が有しているが、これに限定されず、露光光ELの光路上であれば、他の位置に配置されていても良い。
また、駆動機構80は、上記第1のモード(一例として図8(a)参照)から、図8(b)に示されるように、アクチュエータ82のナット82cがアクチュエータ84のナット84cよりも+Y側に位置するようにナット82c、84cそれぞれのY位置を制御することによって、遮光板30の-Y側のエッジ(端部)が、視野絞り20(図8(b)では不図示。図3(a)参照)の開口Kを形成するエッジ(端部)のうち、-Y側のエッジと平行となる位置に遮光板30を位置決めすることができる。これによって、基板P(図1参照)上に生成される投影領域50fを平面視で平行四辺形とすることができる。以下、図8(b)に示されるように、遮光板30の-Y側に露光光の光路が形成され、且つ該光路を通過した露光光によって基板P上に平面視平行四辺形の投影領域50fが生成される状態を、遮光板30の第2のモードと称して説明する。本第2のモードにおいても、一対のナット82c、84cをY軸方向に同期駆動することによって、開口Kの面積、すなわち基板P(図1参照)上に生成される投影領域50f(平面視で平行四辺形)の幅(面積)を設定変更することができる。また、開口Kにおける遮光板30よりも+Y側の領域は、遮光板30の位置に応じてブラインド装置60によって適宜遮光される。
また、駆動機構80は、上記第2のモード(一例として図8(b)参照)から、図8(c)に示されるように、ブラインド装置60の位置を遮光板30の-Y側に移動させることによって、遮光板30の+Y側に露光光の光路を形成することができる。遮光板30の+Y側のエッジ(端部)は、視野絞り20(図8(c)では不図示。図3(a)参照)の開口Kを形成するエッジ(端部)のうち、-Y側のエッジと平行であるため、上記光路を通過した露光光によって基板P上に生成される投影領域50fは、平面視で台形(等脚台形)となる。以下、図8(c)に示されるように、遮光板30の+Y側に露光光の光路が形成され、且つ該光路を通過した露光光によって基板P上に平面視台形の投影領域50fが生成される状態を、遮光板30の第3のモードと称して説明する。本第3のモードにおいても、一対のナット82c、84cをY軸方向に同期駆動することによって、開口Kの面積、すなわち基板P(図1参照)上に生成される投影領域50f(平面視で台形)の幅(面積)を設定変更することができる。また、開口Kにおける遮光板30よりも-Y側の領域は、遮光板30の位置に応じてブラインド装置60によって適宜遮光される。
また、駆動機構80は、上記第3のモード(一例として図8(c)参照)から、図8(d)に示されるように、ナット84cがナット82cよりも+Y側に位置するようにナット82c、84cのY位置を制御することによって、遮光板30の+Y側のエッジ(端部)が、視野絞り20(図8(b)では不図示。図3(a)参照)の開口Kを形成するエッジ(端部)のうち、+Y側のエッジと平行となる位置に遮光板30を位置決めすることができる。これによって、基板P(図1参照)上に生成される投影領域50fを平面視で平行四辺形とすることができる。以下、図8(d)に示されるように、遮光板30の+Y側に露光光の光路が形成され、且つ該光路を通過した露光光によって基板P上に平面視平行四辺形の投影領域50fが生成される状態を遮光板30の第4のモードと称して説明する。本第4のモードにおいても、一対のナット82c、84cをY軸方向に同期駆動することによって、開口Kの面積、すなわち基板P(図1参照)上に生成される投影領域50f(平面視で平行四辺形)の幅(面積)を設定変更することができる。また、開口Kにおける遮光板30よりも-Y側の領域は、遮光板30の位置に応じてブラインド装置60によって適宜遮光される。
このように、本実施形態では、遮光板30に対して開口Kの-Y方向(第1及び第2のモード)、及び+Y方向(第3及び第4のモード)の双方向に露光光の光路を形成することができ、且つ第1~第4のモードそれぞれにおいて、開口Kの幅を任意に調節することができる。すなわち、視野絞り20、遮光板30、駆動機構80、及びブラインド装置60は、投影光学モジュールPLfが基板P上に生成する投影領域50fの形状、及び位置を任意に変化させる可変視野絞り装置を構成している。
図9は、基板P上に生成される投影領域50a~50gを示す平面図である。投影領域50a~50gは、Y軸方向に隣り合う投影領域の端部同士、すなわち端部51aと51b、端部51cと51d、端部51eと51f、端部51gと51h、端部51iと51j、端部51kと51lが、Y軸方向に重なり合うように(Y軸方向の位置が重複するように)設定されている。このため、投影領域50a~50gに対して基板PをX軸方向へ走査しながら露光(走査露光)を行うことで、重複して露光(二重露光)される重複領域52a~52f(図9において二点差線で挟まれた領域)が形成される。
また、図9において破線で示されるように、遮光板30は、上記第1及び第2の位置、並びにY軸方向への移動によって、投影領域50fの実効的な大きさを適宜設定する。これによって、遮光板30は、基板PをX軸方向へ走査して走査露光を行う場合、投影領域50fを介して転写されるマスクMのパターン像のY軸方向の幅、及び形状を適宜設定することができ、そのパターン像に対応する潜像として基板P上に形成される転写パターンのY軸方向のパターン幅、及びパターン形状を適宜設定することができる。
次に、露光装置EX(図1参照)を用いて複数回の走査露光を行い、マスクMのパターン像に対応する複数の転写パターンを基板P上で継ぎ合わせる繋ぎ露光方法について説明する。以下の説明では、図10に示されるように、マスクM上に形成されているパターンPPAのうち、Y軸方向に長さLAを有する部分パターンPAと、Y軸方向に長さLBを有する部分パターンPBとの2つの領域のパターン像を、2回の走査露光(第1及び第2走査露光)に分けて基板P上に順次転写し、これらのパターン像に対応する転写パターンMA、MBを基板P上で継ぎ合わせてパターン合成を行うものとする。その際、部分パターンPA、PBのそれぞれの境界部45、46に対応する転写パターンMA、MBの境界部を、重複して露光することで継ぎ部MCを形成する。これによって、基板P上の全体の転写パターンMPAは、部分パターンPAの転写パターンMAと、部分パターンPBの転写パターンMBとが継ぎ合わされたものとなる。
ここで、本実施形態では、投影光学モジュールPLfによって基板P上に生成される投影領域50fのY軸方向に関する位置、及び幅を、上記第1~第4の4つのモードを用いて適宜設定変更することができる。これによって、第1走査露光で転写パターンMAにおける継ぎ部を、投影光学モジュールPLfを用いて形成する場合に、部分パターンPAのY軸方向に長さLA、及びその端部形状を任意に設定すること、又は第2走査露光で転写パターンMBおける継ぎ部を、投影光学モジュールPLfを用いて形成する場合に、部分パターンPBのY軸方向の長さLB、及びその端部形状を任意に設定することができる。
ここで、実際には、露光装置EXを用いて1枚のマザーガラス基板から製品としての液晶パネルを複数枚製造する場合、液晶パネルのサイズ、枚数などは、様々な種類のものが要求される。例えば一枚のガラス基板上に、互いに異なるサイズの製品(液晶パネル等の回路パターン)を作成することが要求される。従って、実際には、繋ぎ露光の回数(継ぎ部MCの数)、転写パターンMA、MBの長さなどには、設計に応じて様々な態様が要求される。以下、本実施形態の遮光板30を用いて繋ぎ露光を行う際の露光方法について具体的に説明する。なお、以下の第1の露光方法及び第2の露光方法では、投影光学系モジュールが7本の場合について説明し、第3~第5の露光方法では、投影光学系モジュールが11本の場合について説明するが、投影光学系モジュールの本数は、適宜変更可能なものであり、繋ぎ露光の概念、方法などに関しては、投影光学系モジュールの本数にかかわらず、図6に説明した例と同一である。
図11(a)には、第1の露光方法に係る基板PとマスクMとが図示されている。第1の露光方法では、1枚の基板Pから2枚のパネルPN1、PN2を製造する。パネルPN1、PN2のサイズは同一であり、使用されるマスクパターンも同一である。第1の露光方法では、図10に説明した場合と同様であり、2回の露光動作(1回の繋ぎ露光動作)で、各パネルPN1、PN2への露光動作を完了することができる。
第1の露光方法では、図11(b)に示されるように、遮光板30を第2の傾斜配置に移動させるとともに、+Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この状態で、マスクMと基板PとをX軸方向(第1方向)に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのA領域のパターンを基板Pに形成する第1の走査露光が行われる。次に、基板Pを基板ステージ駆動部PSTDによってY軸方向(第2方向)に移動させるステップ移動が行われる。そして、図11(c)に示されるように、遮光板30を第1の傾斜配置に移動させるとともに、-Y軸方向側に露光光の光路が形成されるように遮光板30をY軸方向に沿って移動させる。この際、基板P上の各パネル領域において、A領域に対応する転写パターンとB領域に対応する転写パターンとの間には、継ぎ部が形成されることになる。この継ぎ部において、露光量が均一になるように遮光板30及びブラインド装置60の位置決めが行われる。その後、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのB領域のパターンを基板Pに形成する第2の走査露光が行われる。これによって、マスクMのパターン領域PPA(図10参照)よりも大きなサイズのパネルを基板Pに形成することができる。
図12(a)には、第2の露光方法に係る基板PとマスクMとが図示されている。第2の露光方法では、1枚の基板Pから2枚のパネルPN1、PN2を製造する。パネルPN1、PN2のサイズは同一であり、使用されるマスクパターンも同一である。第2の露光方法では、第1の露光方法よりも大きなパネルを製造することができる。また、第1の露光方法と同様に、2回の露光動作(1回の繋ぎ露光動作)で、各パネルPN1、PN2への露光動作を完了することができる。
第2の露光方法では、図12(b)に示されるように、投影光学モジュールPLf(図1参照)によって生成される投影領域50fを規定する遮光板30を第2の傾斜配置に移動させるとともに、+Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この状態で、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのA領域のパターンを基板Pに形成する第1の走査露光が行われる。次に、基板Pを基板ステージ駆動部PSTDによってY軸方向に移動させるステップ移動が行われる。そして、図12(c)に示されるように、投影光学モジュールPLb(図1参照)によって生成される投影領域50bを規定する遮光板30を第1の傾斜配置に移動させるとともに、-Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この際、基板P上の各パネル領域において、A領域に対応する転写パターンとB領域に対応する転写パターンとの間には、継ぎ部が形成されることになる。この継ぎ部において、露光量が均一になるように遮光板30及びブラインド装置60の位置決めが行われる。その後、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのB領域のパターンを基板Pに形成する第2の走査露光が行われる。これによって、マスクMのパターン領域PPAよりも大きなサイズのパネルを基板Pに形成することができる。
図13(a)には、第3の露光方法に係る基板PとマスクMとが図示されている。第3の露光方法では、1枚の基板Pから2枚のパネルPN1、PN2を製造する。パネルPN1、PN2のサイズは同一であり、使用されるマスクパターンも同一である。第3の露光方法では、パネルPN1、PN2のY軸方向の長さが、マスクMのY軸方向の長さのほぼ2倍であり、図10に説明した場合と異なり、2回の露光動作(1回の繋ぎ露光動作)では、各パネルPN1、PN2への露光動作が完了しない。そこで、マスクM上に、A領域、B領域、及びC領域を設定し、1枚のパネル(製品)につき、合計で3回の露光動作(2回の繋ぎ露光動作)を行う。
第3の露光方法では、図13(b)に示されるように、投影光学モジュールPL10によって生成される投影領域5010を規定する遮光板30を第1の傾斜配置に移動させるとともに、+Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この状態で、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのA領域のパターンを基板Pに形成する第1の走査露光が行われる。次に、基板Pを基板ステージ駆動部PSTDによってY軸方向に移動させる第1のステップ移動が行われる。そして、図14(a)に示されるように、投影光学モジュールPL10によって生成される投影領域5010を規定する遮光板30を第2の傾斜配置に移動させるとともに、+Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この際、基板P上の各パネル領域において、A領域に対応する転写パターンとB領域に対応する転写パターンとの間には、継ぎ部が形成されることになる。この継ぎ部において、露光量が均一になるように遮光板30及びブラインド装置60の位置決めが行われる。その後、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのB領域のパターンを基板Pに形成する第2の走査露光が行われる。さらに、基板Pを基板ステージ駆動部PSTDによってY軸方向に移動させる第2のステップ移動が行われる。そして、図14(b)に示されるように、投影光学モジュールPLによって生成される投影領域50を規定する遮光板30を第1の傾斜配置に移動させるとともに、-Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この際、基板P上の各パネル領域において、B領域に対応する転写パターンとC領域に対応する転写パターンとの間には、継ぎ部が形成されることになる。この継ぎ部において、露光量が均一になるように遮光板30及びブラインド装置60の位置決めが行われる。その後、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのC領域のパターンを基板Pに形成する第3の走査露光が行われる。これによって、マスクMのパターン領域PPAよりも大きなサイズのパネルを基板Pに形成することができる。
また、図15(a)には、第4の露光方法に係る基板PとマスクMとが図示されている。第4の露光方法では、1枚の基板Pから3枚のパネルPN1~PN3を製造する。パネルPN1~PN3のサイズは同一であり、使用されるマスクパターンも同一である。第4の露光方法では、パネルPN1~PN3のY軸方向の長さが、マスクMのY軸方向の長さの1.3倍程度であり、上記第3の露光方法とは異なり、2回の露光動作(1回の繋ぎ露光動作)で各パネルPN1~3への露光動作が完了する。第4の露光方法では、マスクM上に、A領域、及びB領域の2つの領域を設定し、1枚のパネル(製品)につき、合計で2回の露光動作(1回の繋ぎ露光動作)を行う。
第4の露光方法では、図15(b)に示されるように、投影光学モジュールPL10によって生成される投影領域5010を規定する遮光板30を第1の傾斜配置に移動させるとともに、+Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この状態で、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのA領域のパターンを基板Pに形成する第1の走査露光が行われる。次に、基板Pを基板ステージ駆動部PSTDによってY軸方向に移動させるステップ移動が行われる。そして、図16に示されるように、投影光学モジュールPLによって生成される投影領域50を規定する遮光板30を第2の傾斜配置に移動させるとともに、-Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この際、基板P上の各パネル領域において、A領域に対応する転写パターンとB領域に対応する転写パターンとの間には、継ぎ部が形成されることになる。この継ぎ部において、露光量が均一になるように遮光板30及びブラインド装置60の位置決めが行われる。その後、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのB領域のパターンを基板Pに形成する第2の走査露光が行われる。これによって、マスクMのパターン領域PPA(図10参照)よりも大きなサイズのパネルを基板Pに形成することができる。
また、図17(a)には、第5の露光方法に係る基板PとマスクMとが図示されている。第5の露光方法では、1枚の基板Pから3枚のパネルPN1~PN3を製造する。パネルPN1は、パネルPN2、PN3に比べてサイズが小さく、Y軸方向の長さも短い。また、パネルPN1の露光には、マスクM上に形成されたマスクパターンMP1を用い、パネルPN2、PN3の露光には、上記マスクパターンMP1とは異なるマスクパターンMP2を用いる。
第5の露光方法では、図17(b)に示されるように、投影光学モジュールPL10によって生成される投影領域5010を規定する遮光板30を第2の傾斜配置に移動させるとともに、+Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この状態で、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのA1領域のパターンを基板Pに形成する第1の走査露光が行われる。次に、基板Pを基板ステージ駆動部PSTDによってY軸方向に移動させる第1のステップ移動が行われる。そして、図18(a)に示されるように、投影光学モジュールPLによって生成される投影領域50を規定する遮光板30を第2の傾斜配置に移動させるとともに、-Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この際、基板P上の各パネル領域において、A1領域に対応する転写パターンとB1領域に対応する転写パターンとの間には、継ぎ部が形成されることになる。この継ぎ部において、露光量が均一になるように遮光板30及びブラインド装置60の位置決めが行われる。その後、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのB1領域のパターンを基板Pに形成する第2の走査露光が行われる。これによって、マスクパターンMP1を基板Pに転写することができ、基板PにパネルPN1を形成することができる。
さらに、基板P上にパネルPN2を形成するために、基板Pを基板ステージ駆動部PSTDによってX軸方向及びY軸方向に移動させる第2のステップ移動が行われる。また、第2のステップ移動では、マスクパターンMP2を基板Pに転写するために、マスクMをマスクステージ駆動部MSTDによって移動させる。そして、図18(b)に示されるように、投影光学モジュールPL10によって生成される投影領域5010を規定する遮光板30を第1の傾斜配置に移動させるとともに、+Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この状態で、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのA2領域のパターンを基板Pに形成する第3の走査露光が行われる。次に、基板Pを基板ステージ駆動部PSTDによってY軸方向に移動させる第3のステップ移動が行われる。そして、図19に示されるように、投影光学モジュールPLによって生成される投影領域50を規定する遮光板30を第2の傾斜配置に移動させるとともに、-Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この際、基板P上の各パネル領域において、A2領域に対応する転写パターンとB2領域に対応する転写パターンとの間には、継ぎ部が形成されることになる。この継ぎ部において、露光量が均一になるように遮光板30及びブラインド装置60の位置決めが行われる。その後、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのB2領域のパターンを基板Pに形成する第4の走査露光が行われる。これによって、マスクパターンMP2を基板Pに転写することができ、基板PにパネルPN2を形成することができる。
以下、不図示であるが同様にして、基板P上にパネルPN3を形成するために、基板Pを基板ステージ駆動部PSTDによってX軸方向及びY軸方向に移動させる第4のステップ移動が行われる。そして、投影光学モジュールPL10によって生成される投影領域5010を規定する遮光板30を第1の傾斜配置に移動させるとともに、+Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この状態で、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのA2領域のパターンを基板Pに形成する第5の走査露光が行われる。次に、基板Pを基板ステージ駆動部PSTDによってY軸方向に移動させる第5のステップ移動が行われる。そして、投影光学モジュールPLによって生成される投影領域50を規定する遮光板30を第2の傾斜配置に移動させるとともに、-Y軸側に露光光の光路が形成されるように遮光板30を移動させる。この際、基板P上の各パネル領域において、A2領域に対応する転写パターンとB2領域に対応する転写パターンとの間には、継ぎ部が形成されることになる。この継ぎ部において、露光量が均一になるように遮光板30及びブラインド装置60の位置決めが行われる。その後、マスクMと基板PとをX軸方向に沿って相対移動させることにより、マスクパターンのうちのB2領域のパターンを基板Pに形成する第6の走査露光が行われる。これによって、マスクパターンMP3を基板Pに転写することができ、基板PにパネルPN3を形成することができる。以上により、基板P上に、パネルPN1、パネルPN2、パネルPN3を形成することができる。
なお、上記第1~第5の露光方法は、一例であって、これら以外にも、露光装置EXにおいて行われる繋ぎ露光には、様々な態様が考えられる。従って、要求されるパネルのサイズに応じて、その都度、マスクパターンをどのように複数の領域に分割して繋ぎ露光を行うかその都度設計しなければならない。
ただし、マスクパターンの分割箇所の設計には、各種の制約がある。すなわち、露光装置EXでは、マスクステージMST(マスクM)と各投影光学系モジュールとのステップ(Y軸)方向の相対位置が不変であることから、各転写パターンのY軸方向の長さは、各投影光学系モジュールによって形成される投影領域の長さの整数倍がベースとなり、その合計長さを遮光板30で調整するようになっている。これに対し、遮光板30を有する投影光学モジュールは、一部のみ(本実施形態では、投影光学系モジュールPLf)であり、投影領域のY軸方向の合計長さを設計する上で制約となる。また、パネルの製造工程において、各パネルには、繰り返しパターンが形成される液晶表示面とは別に、周辺部に各パネルと駆動回路とを接続するための引き出し線(タブ領域と称される)が形成される。このタブ領域に形成される引き出し線は、繰り返しのパターンではないので、繋ぎ露光を行う際の制約となる。また、スループットの観点から、繋ぎ露光の回数は、少ないことが好ましく、この点もマスクパターンを複数の領域に分割する際の制約となる。また、マスクサイズにも、マスクステージMSTの大きさにより物理的な制限があるので、この点もマスクパターンを複数の領域に分割する際の制約となる。
これに対し、本実施形態の露光装置EXでは、上記視野絞り20、遮光板30、駆動機構80、及びブラインド装置60により構成される可変絞り装置によって、繋ぎ露光を行う際に継ぎ部を形成する一対の投影領域のうち、一方の投影領域(本実施形態では、投影領域50f)の長さ、及び端部形状を、遮光板30を上記第1~第4のモードの何れかを用いることによって、任意に調整することができる。従って、繋ぎ露光で製品を製造する際の設計(マスク上に形成された回路パターンのどの部分を繋ぎ露光を用いてガラス基板上に形成するのか、その繋ぎ露光処理が施される回路パターン上の位置や、更には互いに大きさの異なる複数種類の回路パターンをガラス基板上に露光する際に用いられるマスク上における当該複数種類の回路パターンの配置等)の自由度が向上し、上記各種の制約を緩和することが可能となる。一例をあげると、仮に遮光板30の傾斜方向が固定であるとした場合、図4(a)あるいは図4(c)に示されるような台形状の開口Kを形成可能なように遮光板30を配置すると、図4(b)あるいは図4(d)に示されるように、平行四辺形状、且つスリット状の開口Kを形成することができない(遮光板30の斜辺と開口Kを形成する端部(斜辺)とが交差する)ので、設計上の制約となるが、本実施形態では、上述の設計の自由度が向上する。
本実施形態の露光装置EXを用いて繋ぎ露光を行う際には、要求される製品の設計(上記第1の露光方法~第5の露光方法参照)に応じて、遮光板30の位置、及び傾き(上記第1~第4のモードの何れか)を決定する。例えば、図20に示されるように、ステップS10では、パネル(製品)サイズ、マスクサイズ、タブ領域の幅(位置)、遮光板30の位置(本実施形態では、投影領域50fに対応する位置)、最善の走査露光の回数などの諸条件に応じて、マスクM上に複数の領域(上記第1の露光方法のA及びB領域、第3の露光方法のA~C領域など)を設定する。また、ステップS12において、上記ステップS10で決定されたマスクM上の領域のY軸方向の長さに応じた遮光板30のY軸方向の位置を決定する。
そして、ステップS14で、ステップS12で決定された遮光板30の位置が、所望の繋ぎ露光の条件を満たすか否かを判定する。例えば、現状の遮光板30の傾斜方向で繋ぎ露光を行った場合に、基板P上に形成される継ぎ部MC(図10参照)の総露光量が所望の露光条件を満たすか否かを判定する。ステップS14の判定でYes判定である場合には、ステップS16に進み、繋ぎ露光を行う。また、ステップS14でNo判定の場合には、ステップS18に進み、遮光板30のモード切り替え(第1モードと第2モードとの切り替え、又は第3モードと第4モードとの切り替え)を繋ぎ露光の工程に追加した後(実際に遮光板30のモード切り替えを行うのは、基板PのYステップ動作中)、ステップS16に進み、繋ぎ露光を行う。
なお、あらかじめ、パネル(製品)サイズ、マスクサイズ、タブ領域の幅(位置)、走査露光の回数等を踏まえて、繋ぎ露光を行う際の露光条件がわかっていれば、遮光板30の位置を第1の走査露光と第2の走査露光とで切り替え可能に構成しても良い。これによって、上述したステップ(ステップS14、S18)を省略することができるので、露光処理を簡素化できる。
以上説明したように、本実施形態では、開口Kを形成するY軸方向に離間した一対のエッジのうちの一方(+Y側又は-Y側)と、遮光板30のY軸方向に関する一対のエッジのうちの一方(+Y側又は-Y側)とによって、遮光板30の一側又は他側(+Y側又は-Y側)に露光光の光路が形成され、且つ該光路を通過した露光光によって、基板P上には、平面視台形又は平行四辺形の投影領域50fが生成される。そして、上記平面視台形又は平行四辺形の投影領域50fのY軸方向に関する幅は、遮光板30のY位置によって、適宜設定変更することができる。
このように、遮光板30のモードを切り替えることによって、投影領域50fの位置及び形状を変化させることができるので、投影領域50fを含む複数の投影光学モジュールによって基板P上に形成される投影領域のY軸方向の長さ、及びその端部形状(傾斜方向)を任意に設定することができる。したがって、繋ぎ露光によって基板P上に形成される転写パターンMPA、又はMPB(図10参照)の幅の設計の自由度が向上し、1枚のマザーガラス基板上に任意の幅の液晶パネルを形成することが可能となる。
なお、以上説明した一実施形態の構成は、一例であって、適宜変更が可能である。すなわち、上記実施形態において、遮光板30(可変視野絞り装置)は、1つのみ設けられたが、これに限られず、複数設けられても良い。また、遮光板30(可変視野絞り装置)が設けられる投影光学モジュールの数、及び位置は、特に限定されない。この場合、繋ぎ露光によって基板P上に形成される転写パターンMPA、又はMPB(図10参照)の幅の設計の自由度が更に向上する。
また、遮光板30を駆動するための機構も、適宜変更が可能である。すなわち、図21に示される変形例のように、1つの開口K(視野絞り20(図3参照))に対して、2枚の遮光板30を設けても良い。2枚の遮光板30を独立に駆動するための駆動機構80Aは、上記実施形態と同様に一対のアクチュエータ82A、84Bを有しており、該一対のアクチュエータ82A、84Aそれぞれのナット82c、84cに遮光板30が固定されている。上記実施形態では、1枚の遮光板30を回転駆動することによって、その角度が変更したが、本変形例では、2枚の遮光板30それぞれの端部が開口Kを形成するY軸方向に離間した一対のエッジと平行となるように取り付け角度が予め設定されており、視野絞り20の一対の端部のいずれかと、2枚の遮光板30の、合計で4つの端部のいずれかを組み合わせることによって、上記実施形態と同様に第1~第4のモードを実現することができる。なお、図21は、模式図であり、図25には、本変形例の詳細が示されている。図25に示される駆動機構では、Y軸方向に延びる一対のアーム88に沿って、各遮光板30が所定の可動範囲(図25の破線矢印参照)内で独立に往復駆動される。このようなアーム88を往復駆動するタイプの駆動機構は、上記実施形態の遮光板30の駆動機構として用いることも可能である。
また、図22に示される変形例の駆動機構80Bのように、アクチュエータ84Bのナット84cが遮光板30を回転駆動するための回転モータ84dを有していても良い。回転モータ84dは、遮光板30を回転駆動し、ナット84cに固定された一対のストッパ84eに当接させることによって、遮光板30の位置決めを行う。本変形例では、上記実施形態の駆動機構80(図4(a)など参照)がリニアアクチュエータを一対有していたのに対し、リニアアクチュエータが1つのみで良く、構成が簡単である。
また、図23(a)に示される変形例の駆動機構80Cのように、遮光板30がアクチュエータ84Cのナット84cに対して軸84fを介して回転自在に支持されていても良い。駆動機構80Cは、開口Kに対する位置が固定の一対のピン84hを有しており、該一対のピン84hの一方に遮光板30を当接させた状態でナット84cをY軸方向に移動させることによって、遮光板30を回転させる(図23(b)参照)。また、ナット84cは、遮光板30を一対のストッパ84eのいずれかに押圧する板ばね84gを有しており、遮光板30は、常に一対のストッパ84eのいずれかに当接した状態が保たれる。本変形例では、遮光板30を回転駆動するアクチュエータが不要であり、駆動機構80Cの構成が簡単である。
また、上記実施形態の遮光板30は、平面視矩形(長方形)に形成され、回転によって角度が変更されたが、遮光板の形状は、これに限定されない。すなわち、図24(a)に示される変形例の遮光板130のように、+X側に開口する平面視U字状(逆C字状)に形成されていても良い。遮光板130は、Y軸方向に延びる板状部材から成り、+Y側の端部が視野絞り20(図3参照)の開口Kを形成する端部のうち、+Y側の端部と平行に形成されている。また、遮光板130は、-Y側の端部が視野絞り20の開口Kを形成する端部のうち、-Y側の端部と平行に形成されている。また、遮光板130の+X側に開口した切り欠き132を形成するY軸方向に離間した一対の端部のうち、+Y側の端部は、視野絞り20の開口Kを形成する端部のうち、+Y側の端部と平行(すなわち遮光板130の+Y側の端部と平行)に形成されている。また、切り欠き132を形成するY軸方向に離間した一対の端部のうち、-Y側の端部は、視野絞り20の開口Kを形成する端部のうち、-Y側の端部と平行(すなわち遮光板130の-Y側の端部と平行)に形成されている。
図24(a)に示される変形例に係る遮光板130は、アクチュエータ86によってY軸方向に駆動される。これによって、図24(b)~図24(e)に示されるように、上記実施形態と同様に、第1~第4のモードを実現できる。なお、上記実施形態と同様に、開口Kのうち、露光光の光路を形成しない部分は、可動のブラインド装置60によって遮光される。本変形例によれば、1つのアクチュエータ86によって遮光板130を直進駆動するだけで第1~第4モードを実現できるので、構成が簡単である。
また、上記実施形態では、視野絞り20と、板状部材から成る遮光板30との協働によって露光光の光路(開口K)が形成されたが、視野絞り20と協働して露光光の光路を形成する部材は、これに限られない。すなわち、図26に示されるように、光学フィルタ230a、230bを用いて開口Kの一部を遮光しても良い。光学フィルタ230aは、光の透過率が+Y側の端部から-Y側に向けて低くなるように設定されている。光学フィルタ230bは、光学フィルタ230aに対して紙面左右対称に構成されている。光学フィルタ230a、230bは、それぞれ独立にY軸方向の駆動可能になっており、露光光の遮光範囲、及び露光光の光路の位置を任意に設定できるようになっている。本変形例によっても、上記実施形態と同様の繋ぎ露光を行うことができる。なお、光学フィルタ230a、230bにおける遮光部(フィルタ部)を形成する微小なドットが基板P上に転写されないように、光学フィルタ230a、230bは、マスクM及び基板Pに対する共役面から光軸方向に幾分ずれた位置に配置すると良い。
また、上記実施形態(及びその変形例)では、遮光板30を駆動する駆動機構として送りネジ装置を用いる場合を説明したが、駆動機構の構成は、これに限定されない。すなわち、遮光板30を駆動するためのアクチュエータとして、公知のシャフトモータなどを用いても良い。シャフトモータは、ひとつの固定子に対して複数の可動子を独立に駆動することができるので、図21に示される変形例のように、一対の遮光板30を独立に位置制御するタイプに好適である。また、アクチュエータとしては、リニアモータのような電磁モータ、あるいは超音波モータ、エアシリンダのような機械アクチュエータを用いても良い。
また、図21に示される変形例では、一対の遮光板30それぞれが独立したアクチュエータによって駆動されたが、アクチュエータの一部は共通であっても良い。すなわち、一対の遮光板30が共通の第1ステージ(粗動ステージ)上に載置され、且つ該第1ステージ上に一対の遮光板30それぞれの位置を独立に制御可能な第2ステージ(微動ステージ)が載置されるような構成であっても良い。
また、遮光板30を駆動するためのアクチュエータは、上記実施形態では、Y軸方向に沿って配置されたが、これに限られず、その他の方向(X軸方向、Z軸方向など)に沿って配置されても良い。
また、遮光板30、及びその駆動機構80は、基板P上に生成される投影領域(露光領域)を規定するために設けられたが、これに限られず、照明光学系ILのブラインド装置に上記実施形態と同様の構成の遮光板、及びその駆動機構を設けても良い。
また、遮光板30は、投影光学系PLを構成する投影光学モジュールに設けられたが、露光光ELの光路上であれば配置位置は特に限定されず、照明光学系ILなどに設けても良い。
また、上記実施形態において、遮光板30、及びその駆動機構80は、露光装置EXの一部を構成する装置であったが、これに限られず、遮光板30、及び駆動機構80(ドライバなどのソフトウェアを含む)を、遮光装置(可変視野絞り装置)として既存の露光装置に追加的に設けることも可能である。
また、上記実施形態では、遮光板30を含む可変視野絞り装置によって、基板P上に形成される投影領域の位置及び形状を変更したが、これに限られず、マスクMと投影光学系PLとをY軸方向に相対移動可能に構成し、該マスクMと投影光学系PLとのY軸方向への相対移動によって、投影領域の位置及び形状を変更しても良い。
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、Fレーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
また、投影光学系PLが複数本の投影光学モジュールを備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学モジュールの本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、投影光学系PLとしては、拡大系、又は縮小系であっても良い。
また、露光装置の用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば有機EL(Electro-Luminescence)パネル製造用の露光装置、半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも適用できる。
また、露光対象となる物体はガラスプレートに限られず、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。なお、本実施形態の露光装置は、一辺の長さ、又は対角長が500mm以上の基板が露光対象物である場合に特に有効である。
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
なお、これまでの記載で引用した露光装置などに関する全ての公報(国際公開を含む)の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
以上説明したように、本発明の露光装置は、マスクのパターンを基板に露光するのに適している。
20…視野絞り、30…遮光板、50…投影領域、80…駆動機構、CONT…制御装置、EX…露光装置、K…開口、P…基板、PLa~PLg…投影光学モジュール。

Claims (17)

  1. 所定パターンを物体に投影する投影光学系に対して、前記物体を第1方向に相対移動させて露光する露光装置であって、
    前記投影光学系に設けられ、前記物体上の投影領域の形状を設定する開口を備える視野絞りと、
    前記視野絞りとは独立して前記投影光学系に設けられ、前記開口に重なることで前記投影領域の形状を変更する遮光部と、
    前記遮光部を前記第1方向と交差する第2方向に駆動する駆動部と、を備え、
    前記開口は、平面視で前記第2方向に平行な2辺を有する台形状であり、
    前記駆動部は、前記第1方向及び前記第2方向と交差す第3方向を回転軸として前記遮光部を回転させ、前記開口の台形状の脚の一方と前記遮光部の一辺とを平行、または前記開口の台形状の脚の他方と前記遮光部の一辺とを平行にする、露光装置。
  2. 請求項1に記載の露光装置において、
    前記駆動部が、前記開口の台形状の脚の一方と前記遮光部の一辺とを平行にするときは、前記開口の脚の一方と前記遮光部の前記一辺は交差せず、
    前記駆動部が、前記開口の台形状の脚の他方と前記遮光部の一辺とを平行にするときは、前記開口の脚の他方と前記遮光部の前記一辺は交差しない、露光装置。
  3. 請求項1に記載の露光装置において、
    光源と、マスクステージと、前記投影光学系と、前記物体を載せるステージとを、前記光源から射出された光の光軸に沿って順に備える、露光装置。
  4. 請求項1に記載の露光装置において、
    前記投影光学系は、前記視野絞りを複数備え、
    前記駆動部は、前記遮光部が前記第2方向に所定の間隔で配置されている前記視野絞りの前記開口のいずれとも重なるように、前記遮光部を移動する、露光装置。
  5. 請求項1に記載の露光装置において、
    前記駆動部は、平面視において前記開口の前記平行な2辺を挟んで前記第2方向に延びる第1のアクチュエータ第2のアクチュエータとを備え、
    前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとは前記遮光部に接続し、
    前記駆動部は、前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータを用いて前記遮光部を駆動する、露光装置。
  6. 請求項に記載の露光装置において、
    前記駆動部は、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとを同じ移動量で前記第2方向に駆動することによって前記遮光部を前記第2方向に移動させる、露光装置。
  7. 請求項またはに記載の露光装置において、
    前記駆動部は、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとを異なる移動量で前記第2方向に駆動することによって前記遮光部を回転させる、露光装置。
  8. 請求項のいずれかに記載の露光装置において、
    前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータは、モータと、前記モータによって駆動されるネジと、前記ネジに螺合するナットとを備えた送りネジ装置である、露光装置。
  9. 請求項1~のいずれかに記載の露光装置において、
    前記駆動部は、前記投影領域の前記第2方向の端部が遮光されるように、前記遮光部を駆動する、露光装置。
  10. 請求項1~のいずれかに記載の露光装置において、
    前記視野絞りは、前記物体上に投影される所定パターンを有するマスクと前記物体とに対する共役面の近傍に配置される、露光装置。
  11. 請求項10に記載の露光装置において、
    前記遮光部は、前記第3方向に関して、前記共役面に設けられた前記視野絞りよりも前記物体側に設けられる、露光装置。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の露光装置において、
    前記投影光学系は、前記第1方向に複数設けられ、
    前記遮光部は、前記第1方向に離れて設けられた前記投影光学系にそれぞれ設けられる、露光装置。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載の露光装置において、
    前記第1方向の異なる位置に設けられた前記投影光学系は、前記第2方向に関して、前記投影領域が一部異なる、露光装置。
  14. 請求項1~13のいずれかに記載の露光装置において、
    前記物体は、フラットパネルディスプレイの製造に用いられる基板である、露光装置。
  15. 請求項1~14のいずれかに記載の露光装置において、
    前記物体は、少なくとも一辺の長さ又は対角長が500mm以上の基板である、露光装置。
  16. 請求項14または15に記載の露光装置を用いて、前記基板を露光することと、
    露光された前記基板を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。
  17. 請求項1~15の何れかに記載の露光装置を用いて、前記物体を露光することと、
    露光された前記物体を現像することと、を含むデバイス製造方法。
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