JP7225005B2 - 導電性部材及びその製造方法、プロセスカートリッジ並びに電子写真画像形成装置 - Google Patents

導電性部材及びその製造方法、プロセスカートリッジ並びに電子写真画像形成装置 Download PDF

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Description

本開示は、電子写真用の導電性部材及びその製造方法、プロセスカートリッジ並びに電子写真画像形成装置に関する。
電子写真方式を採用した画像形成装置である電子写真画像形成装置においては、導電性部材が様々な用途、例えば、帯電ローラ、転写ローラ、現像ローラ、現像ブレードなどの導電性ローラおよびブレードとして使用されている。これらの導電性部材は、導電性を調整するために、カーボンブラック(CB)の如き導電性粒子が添加された導電層を有している。
特許文献1は、イオン伝導性ゴム材料からなるポリマー連続相と、電子伝導性ゴム材料からなるポリマー粒子相とを含んでなる海島構造を有し、該イオン伝導性ゴム材料が、主に体積固有抵抗率1×1012Ω・cm以下の原料ゴムからなり、該電子伝導性ゴム材料が、原料ゴムBに電子導電剤(導電性粒子)を配合することにより導電化されている半導電性ゴム組成物、及び、該半導電性ゴム組成物から形成された弾性層を有する帯電部材を開示している。そして、特許文献1は、このような半導電性ゴム組成物は、電気抵抗の電圧依存性やバラつきが小さく、また、電気抵抗の環境依存性が小さい、といった効果を奏することを開示している。
特開2002-003651号公報
本発明者らは、特許文献1に係る帯電部材を用いて電子写真画像を形成するにあたり、当該帯電部材と被帯電体である電子写真感光体との間に印加する帯電バイアスを、一般的な帯電バイアス(例えば、-1100V程度)よりも低い電圧(-800~-1000V)とすることを検討した。近年、電子写真画像形成装置に対する、より一層の小型化、低コスト化の要求に対し、帯電電圧を下げても高品位な電子写真画像が得られるのであれば、電源をより小さくすることができるためである。
その結果、電子写真感光体の表面電位が不均一であることに起因するハーフトーン画像における粒状性が電子写真画像に現れる場合があった。
帯電バイアスを低くした場合にも、被帯電体を均一に帯電し得る帯電部材として用いることができる電子写真用の導電性部材の提供が望まれている。
そこで本発明の一態様は、低電圧印加で使用される導電性部材において、導電パスにおける電荷の移動が極めて効率的になり、高速プロセス下においても電気抵抗率が変化しにくく、また、導電パスの均質化により放電ムラの抑制も達成される電子写真用の導電性部材の提供に向けたものである。
また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジの提供に向けたものである。さらに本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、
第1のゴムの架橋物を含むマトリックスと、該マトリックスに分散されている複数個のドメインと、を有する導電層を有する電子写真用の導電性部材であって、該ドメインの各々は、第2のゴムの架橋物と導電性粒子とを含んでおり、該第1のゴムは、該第2のゴムとは異なり、該導電層の厚み方向の断面に現れる該ドメインの各々の断面積に対する該ドメインの各々が含む該導電性粒子の断面積の割合の平均値をμとし、該割合の標準偏差をσとしたとき、σ/μが、0以上、0.4以下であり、該μが、20%以上、40%以下であり、かつ、該導電層の任意の9箇所からサンプリングされる、一辺が9μmの第1の立方体形状のサンプルのうち、少なくとも8個のサンプルは、下記条件(1)を満たす電子写真用の導電性部材が提供される。
なお、条件(1)は、「1個のサンプルを、27個の、一辺が3μmの単位立方体に区分し、該単位立方体の各々に含まれる前記ドメインの体積Vdを求めたとき、Vdが2.7~10.8μmである単位立方体の数が少なくとも20個であること」である。
また、本発明の他の態様によれば、上記の電子写真用の導電性部材の製造方法であって、該電子写真用の導電性部材が、円柱状または円筒状の導電性の基体と、該基体の外周面上の該導電層とを有する帯電ローラ、転写ローラまたは現像ローラであって、
該製造方法は、
該第1のゴムの原料としての第1の未加硫ゴムと、該第2のゴムの原料としての第2の未加硫ゴムと、前記導電性粒子とを含む未加硫ゴム混合物を、伸長せん断スクリュウを備えた混練機を用いて混練し、前記導電層の材料となる未加硫ゴム混練物を得る工程と、
該未加硫ゴム混練物の層を該導電性の基体の外周面上に形成する工程と、
該未加硫ゴム混練物の層中の該第1の未加硫ゴム及び該第2の未加硫ゴムを加硫させて、該導電層を得る工程と、を有する電子写真用の導電性部材の製造方法が提供される。
また本発明の他の態様によれば、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、上記の導電性部材を具備しているプロセスカートリッジが提供される。
更に本発明の他の態様によれば、上記の導電性部材を具備している電子写真画像形成装置が提供される。
本発明の一態様によれば、低電圧印加で使用される導電性部材において、導電パスにおける電荷の移動が極めて効率的になり、高速プロセス下においても電気抵抗率が変化しにくく、また、導電パスの均質化により放電ムラの抑制も達成される電子写真用の導電性部材を得ることができる。
また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジを得ることができる。さらに本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真画像形成装置を得ることができる。
(a)本発明の一態様に係る電子写真用の導電性部材の一例を示す図である。(b)本発明の一態様に係る第1の立方体と単位立方体を説明するための模式図である。 第1のゴムの架橋物を含むマトリックスと、該マトリックスに分散されている複数個のドメインとを有する導電層の構造を説明するための模式図である。 本態様に係る導電性弾性層の作製に使用される伸長せん断スクリュウの一例を説明するための模式図である:(a)スクリュウ内部に伸長せん断付与機構を備えたスクリュウ;(b)スクリュウ外部に伸長せん断付与機構を備えたスクリュウ。 本発明の一態様に係る電子写真画像形成装置を示す構成図である。 本発明の一態様に係るプロセスカートリッジを示す図である。 導電性部材に流れる電流値を測定する電気抵抗測定装置の一例を示す構成図である。
本発明者らは、特許文献1に係る帯電部材が、帯電バイアスを低くした場合において電子写真感光体の表面を均一に帯電させることが困難である理由について検討した。その過程で、特許文献1に係る帯電部材において、電子伝導性ゴム材料からなるポリマー粒子相の役割に着目した。すなわち、弾性層(導電層)内においては、ポリマー粒子相間の電子の授受によって導電層に電子伝導性が付与されていると考えられる。かかる考察に基づき、帯電バイアスを低くした場合における上記の課題は、導電層内におけるポリマー粒子相の分散状態の不均一性に起因していると推測した。すなわち、帯電バイアスを低くしたことにより、ポリマー粒子相間での電子の授受は生じにくくなる。ここで、1個のポリマー粒子相に着目したとき、帯電バイアスが高い場合には、当該ポリマー粒子相からの電子は、当該ポリマー粒子相の周囲に存在する複数個の他のポリマー粒子相までの距離にバラつきがあっても、当該他のポリマー粒子相にほぼ均等に受け渡されると考えられる。しかしながら、帯電バイアスが低い場合、当該ポリマー粒子相からの電子は、当該ポリマー粒子相の周囲に存在するポリマー粒子相のうち、最も近くに存在する他のポリマー粒子相に優先的に受け渡されると考えられる。その結果、導電層内で電子の流れにムラが生じ、当該帯電部材の外表面からの電子写真感光体への放電が不均一となる。このことにより、電子写真感光体の表面電位が不均一になると考えられる。
そこで、本発明者らは、導電層内におけるポリマー粒子相間の距離のバラつきを抑えることが、帯電バイアスを低い場合における前記課題を解決し得るものと考察した。係る考察に基づき、更なる検討を重ねた結果、下記の要件(A)及び要件(B)を満たす導電性部材が、当該課題の解決に有効であることを見出した。
なお、電子写真感光体の表面電位が不均一であることに起因するハーフトーン画像における粒状性の画像は、導電性部材における導電均一性にムラがある(導電点が均一に分散していない)ために、放電均一性のムラが生じ、結果、発生するものと推定される。また、耐久評価におけるハーフトーン画像における粒状性は、帯電ローラの電気抵抗値の上昇により低下する。
要件(A):
第1のゴムの架橋物を含むマトリックスと、該マトリックスに分散されている複数個のドメインと、を有する導電層を有し、
該ドメインの各々が、該第1のゴムとは異なる第2のゴムの架橋物と導電性粒子とを含んでいること。
要件(B)
該導電層の厚み方向の断面に現れる該ドメインの各々の断面積に対する該ドメインの各々が含む該導電性粒子の断面積の割合の平均値をμとし、該割合の標準偏差をσとしたとき、σ/μが、0以上、0.4以下であり、
該μが、20%以上、40%以下であり、かつ、
該導電層の任意の9箇所からサンプリングされる、一辺が9μmの第1の立方体形状のサンプルのうち、少なくとも8個のサンプルは、下記条件(1)を満たすこと:
条件(1)
1個のサンプルを、27個の、一辺が3μmの単位立方体に区分し、該単位立方体の各々に含まれる前記ドメインの体積Vdを求めたとき、Vdが2.7~10.8μmである単位立方体の数が少なくとも20個であること。
つまり、上記μとσの関係が、『σ/μが、0以上、0.4以下』であることで、各ドメイン中に含まれる導電性粒子の数・量にバラつきが少ないために、結果、電気抵抗の揃ったドメインとなる。特に、上記μとσの関係が、『σ/μが、0以上、0.25以下』の場合にはさらに電気抵抗の揃ったドメインとなり、より本発明における効果が高まる傾向があるため特に好ましい。
該σ/μを低い値にするためには、各ドメイン中に含まれる導電性粒子の数・量を増加させることが好ましく、またドメインのサイズを揃えることも好ましい。
なお、ここで該μは、20%以上、40%以下である。μが20%以上であることにより、ドメイン内での導電性粒子の電気的な繋がりが安定化する。また、μが40%以下であることにより、ドメイン内の導電性粒子の量が多くなり過ぎることによる導電性粒子起因のドメインの異形化を抑制できる。該μは、より好ましくは、23%以上、40%以下、特に好ましくは、28%以上、40%以下である。
上記の一辺が3μmの該単位立方体中にドメインが10~40体積%含まれ、かつ該立方体が該導電層全体に均質に存在するため、結果、該導電性のドメインが三次元的に均等かつ密に導電層中に配置された構成となる。なお、後述するように、ドメインの総体積を増加させた場合にも、該導電層全体に均質に存在する割合が高まる傾向がある。また、ドメインの総体積が同じでも、ドメインサイズを小さくし、個数を増加させることで、ドメインが該導電層全体に均質に存在する割合が飛躍的に高まる傾向がある。
つまり、上記条件(1)のVd値を満たす一辺が3μmの単位立方体の個数が増加するにつれて、本態様に係る効果を高められる。そのため、該単位立方体の個数は20個以上であり、22個以上であることが好ましく、25個以上であることがより好ましい。
なお、導電支持体から導電層の表面まで導電パスが繋がって形成されるために、3次元的にドメインを配置する。なお、ここで『導電パスが繋がっている』とは、所望の印加電圧に伴い、ドメイン間で電荷が授受される状態を指す。用いる印加電圧や導電層の厚み、さらにはドメインやマトリックスの電気抵抗によるが、3次元的な評価において、例えば、ドメインの隣接壁面間距離が100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが、電荷の移動には特に好ましい。
即ち、上記の関係を満たした導電層構造を形成することにより、帯電バイアスを低くした場合にも、導電パスにおける電荷の移動を極めて効率的に行うことが可能となった。結果、高速プロセス下においても電気抵抗率が変化しにくく、また、導電パスの均質化により、帯電ムラや放電ムラの抑制も達成されるため、高品位な電子写真画像を安定的に形成することが実現可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、電子写真用の導電性部材を、その代表例である帯電ローラによって記載するが、本発明の導電性部材の用途が限定されるものではない。本発明における実施態様である、帯電ローラ、転写ローラ及び現像ローラ、現像ブレードは、本発明における導電性部材の形状を適宜調整し、従来公知のそれぞれの部材の作製法にて作製可能である。すなわち、帯電バイアスを低くした場合と同様に、低電圧印加で使用される導電性部材において、導電パスにおける電荷の移動が極めて効率的になり、高速プロセス下においても電気抵抗率が変化しにくく、また、導電パスの均質化により放電ムラの抑制も達成される。
<導電性部材>
本態様に係る電子写真用の導電性部材1は、図1(a)に断面を示すように、導電性の基体(導電性軸芯体)11上に、第1のゴムの架橋物を含むマトリックスと、該マトリックスに分散されている複数個のドメインと、を有する導電層12を有する。なお、該導電層の上には、必要に応じて、更に他の層を設けることができる。
導電性部材の電気抵抗は、体積抵抗率を、10~10Ωcmに制御することが好ましい。10Ωcm以上であれば、電流の制動性がよく、画像弊害の発生を抑制できる。一方、10Ωcm以下であれば、導電性部材として機能するために十分な電流を流すことができる。
<導電性の基体>
導電性の基体としては、電子写真用の導電性部材の分野で公知なものから適宜選択して用いることができる。例えば、導電性軸芯体である場合には、炭素鋼合金の表面に5μm程度の厚さのニッケルメッキを施した円柱状である。また、基体は中空の円筒状であってもよい。また、基体には、導電接着剤(粘着剤)が塗布されていてもよい。
<導電層>
導電層は、第1のゴムの架橋物を含むマトリックスと、該マトリックスに分散されている複数個のドメインと、を有する。該導電層の厚み方向の断面に現れる該ドメインの各々の断面積に対する該ドメインの各々が含む該導電性粒子の断面積の割合の平均値をμとし、該割合の標準偏差をσとしたとき、『σ/μが、0以上、0.4以下であり、該μが、20%以上、40%以下』である関係を満たす。同時に、該導電層の任意の9箇所からサンプリングされる、一辺が9μmの第1の立方体形状のサンプル(13)のうち、少なくとも8個のサンプルは、下記条件(1)を満たす。
『条件(1):1個のサンプルを、27個の、一辺が3μmの単位立方体14に区分し、該単位立方体の各々に含まれる前記ドメインの体積Vdを求めたとき、Vdが2.7~10.8μmである単位立方体の数が少なくとも20個であること』。
なお、導電性部材の導電層は、帯電ローラとして使用する場合は被帯電体を均一に帯電させるために、均一な半導電性を有することに加え、被帯電体である感光体への均一な接触を確保するために、低硬度(例えば、該導電層の弾性率が1MPa以上100MPa以下)であることが好ましい。
実質的にドメインのみが導電性粒子により導電化されており、導電性粒子がドメインに偏在していることが好ましい。
〔マトリックス〕
(第1のゴムの材料)
導電層は、第1のゴムの架橋物を含むマトリックスを有する。第1のゴムとしては、後述する第2のゴムと所定の比率でブレンドすることにより、第1のゴムを含むマトリックスを形成し得るものであれば、特に限定されるものではなく、所望の物性により電子写真用の導電性部材の分野において公知のゴム組成物を好適に用いることができる。例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレンゴムなどが挙げられる。またそれらの変性ゴムや共重合体、さらにはそれらの水添物などを用いてもよいし、それらを適宜複合させて用いてももちろんよい。
これらのゴム中には、本発明の効果を損なわない範囲で、ゴムの配合剤として一般的に用いられている充填剤、軟化剤、加工助剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分散剤、発泡剤、導電助剤、粗し粒子等を添加することができる。また言うまでもなく、加硫剤や加硫助剤、加硫促進剤も添加することができる。
マトリックスに配合されるゴムの配合剤は、選択する原料ゴムにもよるが、第1のゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、100質量部以下が好ましい。
なお、主鎖に2重結合を含むジエン系ゴム自身は通電に対して良好、すなわち、通電によるゴムの劣化試験において劣化耐性があることを実験的に確認している。
そのため、使用される合成ゴムとしてはジエン系ゴムであるSBR、NBR、BRやその変性ゴムが好ましい。また、NBRやSBRにおいては、混練時の熱劣化が少ないことを確認済みであるため、使用されるゴムとしてはNBRやSBRも特に好ましい。また、SBRにおいては、加工性や研磨性が良化する傾向があり、所望の物性によっては極めて好ましい場合もある。
(マトリックスの電気抵抗)
マトリックスはカーボンブラック等の導電性粒子をほとんど含まず、ドメインよりも高い電気抵抗を有する。
第1のゴムの架橋物を含むマトリックスが、体積固有抵抗率1×1012Ω・cm以下のイオン伝導性の原料ゴムより主に形成される場合には、導電性粒子を有するドメイン間の導通が良好となる傾向があり、3次元的に良好な導電パスを形成しやすい。一方、体積固有抵抗率1×1012Ω・cmより大きな絶縁性の原料ゴムより主に形成される場合には、導電部材としての所望の電気抵抗を満足させるために、必要となる導電性粒子を有するドメインの量/個数が多くなる傾向があり、結果、3次元的に良好な導電パスが形成し難くなる。
(マトリックスの電気抵抗の測定方法)
マトリックスの電気抵抗は、当該導電性部材の導電層を薄片化し、微小端子によって計測することができる。薄片化の手段としては、例えば、鋭利なカミソリやミクロトーム、FIB(集束イオンビーム)などが挙げられる。薄片の作製に関しては、ドメインの影響を排除し、マトリックスのみの電気抵抗を計測するために、透過電子顕微鏡(TEM)や走査電子顕微鏡(SEM)などであらかじめ計測したドメイン間距離よりも小さい膜厚の薄片を作製する。したがって、薄片化の手段としては、ミクロトームなどの非常に薄サンプルを作製できる手段が好ましい。
電気抵抗値の測定は、まず当該薄片の片面を接地した後に、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)などで、マトリックスとドメインの電気抵抗値を測定できる手段によって、薄片中のマトリックスとドメインの場所を特定する。SPM、AFMでは硬度の分布も計測できる。次いで、当該マトリックスの探針を接触させ、50VのDC電圧を印加した時の接地電流を測定し、電気抵抗として算出すればよい。このとき、SPMやAFMのような薄片の形状測定も可能な手段であれば、当該薄片の膜厚測定ができ、電気抵抗率が測定可能となるために好適である。
上記のような電気抵抗の測定は、導電性部材を周方向に4分割、長手方向に5分割した領域のそれぞれから各1つずつ薄片サンプルを切り出して、上記の測定値を得た後に、合計20サンプルの結果の算術平均により算出する。
(マトリックスとドメインの電気抵抗の比較に関して)
上述したように、マトリックスはカーボンブラック等の導電性粒子をほとんど含まず、ドメインよりも高い電気抵抗を有する。なお、マトリックス部とドメイン部との体積抵抗率の比は、好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上であることがドメインの導電パス形成の観点から有効である。
マトリックス部とドメイン部との体積抵抗率の比は、以下のように計測した。上記マトリックスの電気抵抗測定と同様に、導電層の薄片を用意し、電流測定機能を有するSPMを用いて微小領域での電流測定を行った。ここで、少なくとも一つのドメインを含むSPMの走査エリアを設定した。例えば、ドメインのサイズがサブミクロンである場合、好ましくは複数のドメインが含まれるように、数μm角程度の走査エリアを設定する。一定電圧を印加しながら走査して得られた電流マッピングデータ(各ピクセルに電流値が格納されたデータ)から、マトリックスに該当するサブエリアを一つ以上設定し、該複数のサブエリア内の電流データの平均値を算出して、マトリックス部の平均電流値をJdとする。また、ドメイン部についても、同様の解析を行い、ドメイン部の平均電流値をJmとする。以上のデータから、Jm/Jdをドメイン部とマトリックス部の抵抗比(電流比の逆数)として評価した。
上記の電流測定は、導電性部材を周方向に4分割、長手方向に5分割した領域のそれぞれから各1つずつ導電層の薄片サンプルを切り出して、上記の測定値を得た後に、合計20サンプルの結果の算術平均により算出する。
〔ドメイン〕
(第2のゴムの材料)
導電層を構成するドメインは、第2のゴムを有する。第2のゴムの材料としては、第1のゴムと所定の比率でブレンドすることにより、第2のゴムを含むドメインを形成し得るものであれば、特に限定されるものではない。第2のゴムの材料として、所望の物性により電子写真用の導電性部材の分野において公知のゴム組成物を好適に用いることができる。つまり、第1のゴムの材料と非相溶であれば、例えば、上記「〔マトリックス〕(第1のゴム材料)」の項に示した、ゴム材料などを適宜用いることができる。
なお、主鎖に2重結合を含むジエン系ゴムでは、導電性粒子としてカーボンブラックを用いた場合には、組合せによっては相溶性が高くなるため好ましい。また、スチレン骨格を有するジエン系ゴムも組合せによってはカーボンブラックとの相溶性が高まる傾向があり、好ましい。また、第2のゴムの主鎖、側鎖、あるいは末端部分にカーボンブラックなどの導電性粒子と相互作用が期待できる官能基を有するゴム材料の場合には導電性粒子の固定化の観点から好ましい。なお、第2のゴムの材料として液状ゴムを適宜配合することで材料粘度を容易に調整することもできる。
ドメインを形成する第2のゴムの材料には、第1のゴムの材料の場合と同様に、本発明の効果を損なわない範囲で、上述したゴムの配合剤として一般的に用いられている充填剤、軟化剤、加工助剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分散剤、発泡剤、導電助剤等を添加することもできる。また言うまでもなく、加硫剤や加硫助剤、加硫促進剤も添加することができる。
なお、ドメインに配合されるゴムの配合剤は、選択する原料ゴムにもよるが、第2のゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、50質量部以下が好ましい。
(ドメインの電気抵抗)
ドメインは導電性の相であり、高速プロセスでの導電パスにおける電荷の輸送を効果的に行う。そのため、電気抵抗率は低いほうが好ましく、具体的には、10-1Ωcmから10Ωcmであることが好ましい。ドメインの電気抵抗率は導電性粒子の種類および使用量などを適宜調整することによって、所望の値にすることができる。
(導電性粒子)
導電性のドメインは、第2のゴムの架橋物と導電性粒子とを含む。導電性粒子としては、例えば以下の導電性粒子が挙げられる。アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀の如き金属系の微粒子や繊維;酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛の如き金属酸化物の微粒子;前記の金属系の微粒子、繊維、及び金属酸化物の表面を、電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより表面処理した複合粒子;ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラック;PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン、ピッチ系カーボンの如きカーボン粉。また、必要に応じて、これらの導電性粒子の複数を組み合わせて使用することができる。
ここで、ファーネスブラックとしては以下のものが挙げられる。SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、I-ISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、T-HS、T-NS、MAF、FEF、GPF、SRF-HS-HM、SRF-LM、ECF、及びFEF-HS。サーマルブラックとしては、FT、及びMTが挙げられる。また、これらの導電性粒子(導電性カーボンブラック)を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
使用されるカーボンブラックとしては、DBP吸収量が40ml/100g以上、150ml/100g以下である導電性のカーボンブラックであることも好ましい。DBP(ジブチルフタレート)の吸収量は、カーボンブラックの一次粒子のストラクチャを間接的に定量した値である。つまり、DBP吸収量が上記範囲内のストラクチャが発達したカーボンブラックを使用することで、極性の低い第2のゴム材料を用いた場合も、ゴム材料との相互作用が高まる傾向を見出している。カーボンブラックのDBP吸収量はJISK6217-4(2001年)に記載の方法で測定することができる。なお、導電性カーボンブラックは、ストラクチャが高度に発達している為、顕微鏡観察等により、補強用のカーボンブラック等の他の充填剤と区別することができる。
ドメインに配合される導電性粒子の配合量は、第2のゴムの100質量部に対して、5質量部以上150質量部以下とされる。より好ましくは、20質量部以上120質量部以下である。特に、ドメイン内でのパーコレーションが良好になることで導電性粒子同士が良好に連結し、結果、ドメイン内の導電パスは、「電気的に密に連結」かつ安定に形成されるため、50質量部より大きく120質量部以下がさらに好ましい。加えて、後述する各ドメイン間での含有される導電性粒子のバラつきが極めて小さくなるために、60質量部以上120質量部以下が特に好ましい。
なお、導電性粒子の配合量は、第2のゴムの100質量部に対して、5質量部以上にすることで導電性ドメインとして作用することができるようになる。しかし、導電性粒子の含有される体積量が少ない場合には、ニーダーやロールなどの一般的な混合装置を用いたブレンドプロセス時や、導電性部材としての加工時の条件によっては、ドメインへの熱や力学的付与によって、ドメインが容易にマイグレーションして再凝集してしまう場合がある。そのため、導電性粒子の配合量は、20質量部以上がより好ましい。またさらに50質量部より大きい場合にはその効果が高まる傾向があり、好ましくは60質量部以上、特に好ましくは80質量部以上である。つまり、ドメイン内の導電性粒子の含有量が大きい場合にはドメインが固くなり、マイグレーションを抑制できる。
加えて、導電性粒子の配合量が50質量部より大きい場合には、一般的な電子写真用の導電性部材としては、比較的多量に配合された状態となる。ドメイン自体の導電性はドメイン内の導電性粒子同士が電気的に連結し、良好な導電パスを形成することで発現する。該導電パスの形成は、ドメインに占める導電性粒子の配合量や体積占有率に相関し、この比率が高くなるほどパーコレーション的に安定するため、導電パスにおける電荷の移動効率を高めることができる。従って、該配合量が増すことで、導電特性が高まり、本発明により好適な効果が発現しやすくなる。
導電性粒子はドメインにのみ存在している状態が、最も好ましい。しかしながら、予めドメインに含まれる第2のゴムのみに導電性粒子を添加したマスターバッチを作製し、その後、得られたマスターバッチと、マトリックスを形成させる第1のゴムとをブレンドする手法を採った場合でも、若干の導電性粒子がマトリックスに移行する現象が見られる場合がある。本発明において、導電性粒子は導電性に寄与しない程度であれば、マトリックスに存在しても構わない。マトリックスに導電性に寄与しない程度の導電性粒子の存在量としては、マトリックスの単位体積当りにおける導電性粒子の存在量が、ドメインの単位体積当りにおける導電性粒子の存在量に比べて低いほど好ましく、1/5以下、より好ましくは、1/10以下、さらに好ましくは1/100以下である。
(ドメインの電気抵抗の測定方法)
本発明に係るドメインは導電相であり、ドメインの電気抵抗の測定は上記のマトリックスの電気抵抗の測定と同様の測定方法で測定すればよい。
また、上記のような電気抵抗の測定は、導電性部材を周方向に4分割、長手方向に5分割した領域のそれぞれから各1つずつ薄片サンプルを切り出して、上記の測定値を得た後に、合計20サンプルの結果の算術平均により算出する。
(ドメイン形成(海島構造)に関して)
ポリマーブレンドで知られている知見を、本発明の導電層におけるゴムブレンドでも適応できる。
非相溶系のポリマーブレンドの場合、その海島構造は各々のポリマー粘度やブレンド条件にもよるが、組成比が小さいポリマーがドメインになる傾向がある。
(ドメインをマトリックス中に均一に分散化させる手段)
ドメインをマトリックス中に均一に分散化させる手段の一つとして、ドメインの総体積を増加させることが挙げられる。つまり、マトリックス中のドメイン個数が同じでも、ドメインが占有する体積が増加する。但し、後述するように、ドメインのサイズが必要以上に大きくなりすぎると、上記の条件(1)を満たさなくなる。その場合は、当然のことながらドメインの分散均一性は低下し、本発明の効果は得られない。
また、ドメインをマトリックス全体に均一に分散化させる、より有効な手段の一つとしては、ドメインサイズを小さく微分散化させることが挙げられる。つまり、マトリックス中のドメイン総体積が同じでも、微細化によりドメインの個数が大幅に増加する。単純計算では、例えば、ある半径の真球状のドメインが100個あるとすると、それらの半径がすべて1/2になった場合には、同じ総体積で個数は約800個となる。このため、メインの総体積が同じでも、ドメインサイズを小さくし、個数を増加させることで、ドメインが該導電層全体に均質に存在する割合が高まる。結果、条件(1)を満たす単位立方体の数が増加し、本態様に係る効果を高められる。
ポリマーブレンドにおいてドメインを小さくする理論式として、以下の式が知られている。
D =[Cσ/η0γ・]・f(η0/η)
D:分散粒径(ドメインの粒径) σ:界面張力 η0:マトリックス粘度 η:分散相の粘度(ドメインの粘度) C:定数 γ・:せん断速度
つまり、本発明において、ドメインの粒径(島サイズ)を小さくするには、大きく以下の3つの手法が考えられる:
(手法A)第1のゴムと第2のゴムとの界面張力を低減させる。
(手法B)第1のゴムの粘度と第2のゴムの粘度を近づける。
(手法C)ブレンド時のせん断速度を増加させる。
・手法A:具体的には、第1のゴムと第2のゴムの溶解度定数(Solubility Parameter:SP値)の差が小さくなる組み合わせを選択するのが、導電性ドメインを均一に分散化するためには好ましい。また、界面張力を低減させる手法としては、相溶化剤を添加する手法も好適である。なお、SP値差が小さすぎる場合には、ドメイン内の導電性粒子をドメインのみに偏在させ難くなる場合や、相溶性が強まり過ぎて、海島構造が安定に形成されない場合がある。
・手法B:具体的には、混練り時の温度において、第1のゴムと第2のゴムとをそれらの粘度が近い材料の組み合わせで選択するのが、導電性ドメインを均一に分散化するためには好ましい。ここでは、ドメインの第2のゴムの一部に液状ゴムなどを用いることも効果的である。
・手法C:単純に、ブレンド時のせん断速度の増加や、せん断時間を長くすることが有効である。また詳細は後述するが、発明者らは、せん断速度の増加に加え、付与するせん断機構として「単純せん断」よりも「伸長せん断」を用いることが特に有効である。
(ドメインのサイズ)
本発明におけるドメインのサイズは上述したように、小さい方が好適である。
具体的には、上記の条件(1)を満たすためには、断面におけるドメインのサイズが、好適には0.1~2μm以下であり、より好適には、1μm以下であり、さらに好適には0.5μm以下である。特に、0.4μm以下である場合には本発明における極めて高い効果が期待できる。なお、ドメインのサイズが0.1μm未満の場合には、ドメイン内に導電性粒子を多く配合できない場合がある。なお、ドメインのサイズは円相当径における直径を指す。また、平均ドメインサイズは、面積加重平均のドメインサイズを示す。
(ドメインのサイズの測定方法)
本発明に係るドメインのサイズの測定方法は、まず、下記のような手段でサンプルの測定箇所における破断面をきれいに形成する。ここでは破断面の作製は、当該薄片に対し、凍結破断法、クロスポリッシャー法、収束イオンビーム法(FIB)などを使用して行えばよい。破断面の平滑性と、観察のための前処理を考慮すると、FIB法が好ましい。
次に、ドメイン構造の観察を好適に実施するために、染色処理、蒸着処理など、ドメインとマトリックスとのコントラストが好適に得られる前処理を施してもよい。
破断面の形成、前処理を行った薄片に対して、レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察することができる。これらの中でも、導電相であるドメインの面積の定量化の正確性から、SEMで10,000倍~100,000倍で観察を行うことが好ましい。
以下に導電性ローラの場合について具体的に記載する。
まず、導電性ローラから鋭利なカミソリを用いて、輪切りサンプルを作製する。ここでは、長手方向の長さをlとした時、端部から(1/4)l,(2/4)l、(3/4)lの三か所の位置を測定できるように導電層の輪切りサンプルを作製する。その輪切りサンプルの導電層断面部をローラの周方向に90度毎に、芯金と表面の中心付近に対してクライオイオンミリング処理を行う。クライオイオンミリング処理で表面出しを行う。次いで、該(1/4)l,(2/4)l、(3/4)lにおける各断面における導電層断面をローラの周方向に90度毎、芯金位置から表面の中心部をSEM(製品名:Ultraplus、カールツァイス社製)を用いて倍率5000倍、画素数4096×3072で観察する(合計12画像、例えば、20μm角のSEM画像が所得できる)。
その後、上記の観察によって得られた画像について、それぞれを画像解析装置(製品名:LUZEX-AP、ニレコ社製)で2値化ならびに画像解析を行い、得られたドメイン面積Sを算出した後、√S/√πの計算式に当てはめて、円相当径を求める。本開示においては、該円相当径をドメインのサイズとする。
(ドメインの体積の測定方法)
ドメインの体積はFIB-SEMを用いた3次元での導電層の計測により求めることが出来る。
FIB-SEMとはFIB(Focused Ion Beam:集束イオンビーム)装置で試料の加工、露出した断面のSEM(scanning electron microscope;走査型電子顕微鏡)を観察する手法である。立体的な構造を調べるためには、連続した加工・観察を繰り返して数多くの写真を取得した後、そのSEM画像をコンピュータソフトウェアで3D再構築処理を施して、試料構造を3次元的な立体像として構築することで行うことが可能となる。
ドメイン体積の具体的な測定方法としては、FIB-SEM(エフイー・アイ社製)を使用して(詳細上述)、図2に代表される3次元の立体画像を取得し、その画像から上記構成を確認した。
つまり、当該導電層サンプリングは任意の9箇所からサンプリングされるが、ローラ形状の場合には、長手方向の長さをlとした時、端部から(1/4)l,(2/4)l、(3/4)l付近の三か所ずつローラの周方向に120度毎に、それぞれから各1つずつサンプルを切り出す。
その後、FIB-SEMを用いた3次元測定を行い、60nm間隔で一辺が9μmの立方体形状の画像を測定する。ここでは、該(1/4)l,(2/4)l、(3/4)lの各断面における導電層断面をローラの周方向に120度毎、芯金位置から表面の中心部での測定を行う。
なお、ドメイン構造の観察を好適に実施するために、ドメインとマトリックスとのコントラストが好適に得られる前処理を施すことも好ましい。ここでは、染色処理が好適に用いることができる。
その後得られた画像を、3D可視化・解析ソフトウェア Avizo(登録商標、エフ・イー・アイ社製)を利用して、該一辺が9μmの立方体形状1個のサンプル中に含まれる27個の、一辺が3μmの該単位立方体におけるドメインの体積を算出する。
なお、ドメインの隣接壁面間距離の測定も上記の3D可視化・解析ソフトウェアを利用して同様に行うことができ、上記の測定値を得た後に、該合計27サンプルの算術平均により算出することができる。
(ドメイン内の導電性粒子に関して)
上述したように、『σ/μが、0以上、0.4以下であり、該μが、20%以上、40%以下』である場合には、各ドメイン中に含まれる導電性粒子の数・量にバラつきが小さいために、電気抵抗の揃ったドメインとなる。特に、上記μとσの関係が、『σ/μが、0以上、0.25以下』の場合にはさらに電気抵抗の揃ったドメインとなるため、導電性粒子の該バラつきが極めて小さくなり、本発明における効果が高まる傾向があるためさらに好ましい。
『σ/μが、0以上、0.25以下』を実現する手法の一つとしては、上述したように、ドメイン内に配合される導電性粒子の充填量を高めることが有効である。特に、発明者らは、鋭意検討の結果、該導電層に現れる、該ドメインの各々の断面積に対する、該ドメインの各々が含む導電性粒子の断面積の割合が、23%以上、さらに好ましくは28%以上である場合に、達成できる傾向があることを見出している。また後述するように、伸長せん断装置を用いた混合加工処理も好ましく、特に、連続式の伸長せん断装置を用いた混合加工処理がさらに好ましい。
導電性粒子がカーボンブラックである場合には、平均一次粒子径として、5nm以上60nm以下、特には、10nm以上50nm以下の微粒子であることが好ましい。ここで、導電性粒子の平均一次粒子径は、算術平均粒子径とする。なお、平均一次粒子径の定義は5nm以上60nm以下の大きさの、いずれもミクロ的には単結晶、またはそれに近い結晶子が集まったもののことである。また、測定方法としては、(1)電子線を当てた対象物を透過して観察する透過型電子顕微鏡(TEM)や、(2)電子線を当てた対象物の表面を観察する走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる方法がある。また平均一次粒子径の算出方法としては、上記測定画像から直接的に求める方法が好適である。
(ドメイン内の導電性粒子の面積測定方法及び、導電性粒子のバラつき(σ/μ)の算出方法)
上記「ドメインのサイズの測定方法」で観察した、SEM画像を用いて算出することができる。
上記のSEM画像(合計12画像)から中心3μm角を抽出し、それぞれを画像解析装置(製品名:LUZEX-AP、ニレコ社製)で、ドメインの内部のコントラスト差を利用して各ドメイン内のカーボンブラックに代表される導電性粒子の面積とドメイン面積の解析処理を行い、該導電層の厚み方向の断面に現れる該ドメインの各々の断面積に対する該ドメインの各々が含む該導電性粒子の断面積の割合の平均値をμとし、該割合の標準偏差をσとしたときの「σ/μ」を算出する。なお、上記中心3μm角にドメインが全く無い場合は、ランダムに別な場所をSEM観察する。
(ドメインの形状)
本発明に係る、ドメインの断面形状は、円形に近いほうが好ましい。具体的には、下記に示す真円度の値が1以上2未満であることが好ましい。真円度が1であることは、真円であることを示す。
本発明の効果を得るためには、該導電層の断面に現れる、該ドメインのうちの、真円度が1以上、2未満であるドメインの個数割合が、70%以上であることが好ましい。なお、この割合が高いほうが本発明の効果が高まるため、より好ましくは80%以上である。
一般的に、導電性粒子の形状・異方性によって導電特性が大きく変化してしまうことが知られている(松谷ら、Int. J. Mod. Phys. C 21 (2010) 709)。つまり、真円度の悪い高アスペクト比のドメインなどでは、ドメインの電界分布がアスペクト比を有することになり、即ち、電界異方性が発現する。これにより、電界集中点が形成されるため、均質な導電パスが得られにくい傾向がある。
なお、ドメインの真円度の値が2未満で1.1以上、好ましくは1.5以上である場合には、マトリックスとの界面積が増して、下記の効果が期待できるため好適な場合がある。つまり、導電性部材が感光体に当接されて配置されている場合、感光体と導電性部材との間で形成されるニップ近傍では、導電性部材が機械的に繰り返し圧縮される。その際、真円度が極めて高い真円の場合には、機械的なエネルギー付与に基づくドメインのマイグレーションが誘起され易く、結果、導電パスのネットワーク構造が変化して導電層の電気抵抗値が変動する場合が想定される。一方、ドメインの真円度の値が1.1以上、好ましくは1.5以上である場合には、マトリックスとの界面積が増すためにこの変動が抑制されると推測している。
(ドメインの形状制御方法)
本発明において、ドメインの形状を制御する手法、特に、真円度が良好なドメインを得る手法としては、上述したように、ドメイン内の導電性粒子の充填量を高くすることが有効である。つまり、導電性粒子の量が少ない場合には、ニーダーやロールなどの一般的な混合装置を用いたブレンドプロセス時や、導電性部材としての加工時の条件によってはドメインが熱や力学的付与によって容易にマイグレーションして再凝集する場合がある。しかし、ドメイン内の導電性粒子の充填量が高い場合にはドメインが固くなり、結果、該マイグレーションが抑制でき、再凝集による真円度の悪化が抑えられる。
なお、充填量を高くすることで導電性粒子を配合した第2のゴムの混練り時にシェアが掛かりやすくなり、ドメインの真円度が良化することも期待できる。
また上述した、ドメインのサイズ(島サイズ)を小さくする手法(上記の手法A~C)も効果的である。つまり、ドメインのサイズが小さくなれば、アスペクト比は小さくなる。また詳細は後述するが、発明者らは、せん断速度の増加に加え、付与するせん断機構として「単純せん断」よりも「伸長せん断」を用いることも有効であることを見出した。特に、連続式の伸長せん断装置を用いた混合加工処理がさらに好ましい結果を与える傾向がある。
(ドメインの形状の測定手法~真円度の算出手法)
本発明に係るドメインの形状は、上記の「ドメインのサイズを測定する手法」と同様の手法で、破断面の作製および観察を行って得られたSEM画像を用いて定量化することができる。
つまり、上記で得られたSEM画像における各ドメインについて、画像解析装置(LUZEX-AP、ニレコ社製)で2値化ならびに画像解析を行い、その平均値より真円度を算出する。ここでは、真円度は、「JIS B 0621;円形形体を二つの同心の幾何学的円で挟んだとき,同心二円の間隔が最小となる場合の,二円の半径の差で表す」の定義に基づいて解析される。
なお、ドメインのSEM観察などにおいて無機フィラーや粗し粒子などが画像処理に影響を及ぼす場合には、コントラスト差、EDX測定(SEM/EDX(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)や、別途SPM測定を用いた硬さ測定などを併用することで適宜除外して算出することができる。
なお、ここでは、円相当半径100nm以上のドメインを計算に使用する。
(ドメインのサイズ分布)
本態様に係る導電層においては、電気抵抗の揃った導電性のドメインが三次元的に均等、かつ密に配置されている。よって、ドメインのサイズ分布としては、ドメインサイズが揃っていること、および該ドメインが微細であることが好ましい。具体的には、前記導電層の断面において、ドメインサイズと個数の関係が以下の関係式(1)及び(2)を満たす場合、本発明の効果が発現することを確認した。
関係式(1)
80≦100×L2/L1≦100;
関係式(2)
0≦100×L3/L1≦20以下。
式中、L1は、前記導電層の厚み方向の断面に現れる前記ドメインの総個数、L2は、該ドメインのうち、該断面において測定される面積が3.0×10nm2以上、1.2×10nm2未満であるドメインの個数を、L3は、該面積が、1.2×10nm2以上であるドメインの個数を示す。
なお、さらに該「100×L2/L1」が、95以上、且つ該「100×L3/L1」が5以下である場合には、ドメインのサイズ分布の均一性が極めて高くできる。
(ドメインのサイズ分布の測定方法~「100×L2/L1」ならびに「100×L3/L1」)
上記「ドメインのサイズの測定方法」の項で解析して得られた各ドメインにおけるドメイン面積・個数から算出することができる。
つまり、ここでは該ドメインの総個数をL1、面積が3.0×10nm2以上、1.2×10nm2未満である該ドメインの個数をL2、面積が、1.2×10nm2以上である該ドメインの個数をL3、とし、「100×L2/L1」ならびに「100×L3/L1」を算出する。
(ドメインのサイズ分布の制御方法)
ここでは、ドメインの微細化とドメイン間の再凝集抑制が鍵となる。つまり上記、「ドメインをマトリックス中に均一に分散化させる手段」に記載した手法ならびに、「ドメインの形状制御方法」に記載した、ドメインの再凝集抑制手法が好適に用いられる。
〔電子写真用の導電性部材の製造方法〕
本発明における電子写真用の導電性部材の製造方法は、上述した本発明の構成の導電層が形成できれば特に限定されることはなく、次の各要件を適宜調整することによって形成させることができる。
(1)第1のゴムの原料と、導電性粒子を配合した第2のゴムの原料とを含む、導電性のゴム混合物の混練の際の原材料の選択。
(2)該ゴム混合物の混練時の配合。
(3)該ゴム混合物を混練する際の混練機の種類、せん断速度、せん断力および、混練時間。
例えば、第1のゴムの未加硫物と、別途調製した導電性粒子を配合した第2のゴムの未加硫物とを混合し、適宜加工プロセスを踏まえて加硫・硬化させることで、第1のゴムの架橋物を含むマトリックスと、該マトリックスに分散されている複数個の第2のゴムの架橋物を含むドメインを有する導電層を有した導電性部材が得られる。
<混練のプロセスに関して>
一般的にゴムの混合・混練で用いられる、単純せん断による分散化装置に加えて、伸長せん断による分散化装置も好適に用いられる。
上述したように、せん断力が大きいほど、また、せん断の時間(回数)が多いほど、一般的には非相溶ゴムの分散が進む傾向がある。一方、同時にせん断発熱が大きくなり、ゴム分子鎖の切断が促進されて材料が劣化することや、ドメイン同士が再凝集することも知られている。つまり、せん断力を付与すると同時に加工プロセス時の温度制御も重要となる。
<混練の混合機の検討>
(単純せん断による分散化装置と伸長せん断による分散化装置についての比較)
単純せん断による分散化装置として、加圧型ニーダーやオープンロール等の従来のゴム混合装置や、これらに比べて、より大きなせん断力を印加することができる二軸混練押し出し機が従来から良く知られている。しかしながら、本発明では、上述したようにドメインへの導電性粒子の充填量が高くなる傾向がある。発明者らの検討においては、単純せん断による分散化装置では導電性粒子を配合した第2のゴムを分散させ得るに十分なシェアを均質に付与できず、加工時の局所的な発熱なども生じ、結果、ドメインを良好に、均一分散させることができない場合があった。
発明者らは鋭意検討した結果、伸長せん断スクリュウを備えた混練機が、本発明におけるドメインをマトリックス全体に、良好に均一分散させるのに適していることも見出した。
伸長せん断は、加圧型ニーダーやオープンロールや二軸混練押し出し機での単純せん断機構、つまり材料を徐々に細かく砕いて分散させるのではなく、材料を細く引き伸ばして分裂させるため、微細でかつ、均一なサイズのドメインが得られやすい。なお、ゴムはエントロピー弾性を示すために、引き伸ばすと吸熱を示す性質があることも、本系には適しており、伸長せん断方式で局所的な発熱を抑えることができた一因であったと推測している。
また、ドメインの導電性粒子の充填量が高くなっても、本方式では、単純せん断方式よりも高いシェアが均質に付与されるため、均一微分散化が達成可能となる。ここでは、極めて短い分散時間(数秒)で均一分散処理を完了させることが可能であることも確認している。
本発明者らは、単に、単純せん断加工におけるせん断力を向上させるだけでは、該ドメインをマトリックス中に均一に微分散化できない場合があることも確認している。具体的には、高速回転が可能で、従来使用されているゴム用の加圧型ニーダーやオープンロールや押し出し機などでは達成することのできないせん断速度を実現できる、2軸混練押し出し機(製品名:KZW15TW-4MG-NH(-6000)、テクノベル社製)を用いて検討した。このように単純せん断加工において、単にせん断速度を向上させるだけでは、材料のゲル化や再凝集なども起こり、該ドメインをマトリックス中に均一に微分散化できない場合があった。
上述したように、伸長せん断と、単純せん断のメカニズムは大きく異なる。つまり、単純せん断における、せん断流動は速度勾配によって材料が引きちぎられる流れであり、一方伸長せん断における伸長流動は、主応力方向に材料が引き伸ばされる流れであることを特徴とする。本発明のようなゴム材料(粘弾性体)の分散とは異なるが、梶原らは、ニュートン流体/ニュートン流体の分散系において、単純せん断流動場では粘度比は1程度が好ましいが、伸長流動では粘度比によらず液滴は引き伸ばされて分裂し、粘度比が約5以上も離れた系でも微分散化が達成できることを報告している[成形加工、Vol.23、No.2、pp.72-77(2011)]。おそらく、本発明における粘弾性体であるゴム材料のブレンド材料系においても上記の「材料の粘度比が離れていても伸長せん断では分散しやすい効果」が同様に作用していると推察できる。その結果、マトリックス材料と導電性粒子が多く配合されたドメイン材料との均一微分散化が実現できたものと推測している。
つまり、上記した導電層を備えた電子写真用の導電性部材は、(1)前記第1のゴムの原料としての第1の未加硫ゴムと、前記第2のゴムの原料としての第2の未加硫ゴムと、前記導電性粒子とを含む未加硫ゴム混合物を、伸長せん断スクリュウを備えた混練機を用いて混錬し、未加硫ゴム混練物を得る工程と、(2)該未加硫ゴム混練物の層を前記導電性の基体の外表面上に形成する工程と、(3)該未加硫ゴム混練物の層中の該第1の未加硫ゴム及び該第2の未加硫ゴムを加硫させて、前記導電層を得る工程と、を経て製造するこが好ましい。
伸張せん断の付与には、図3に示すような伸長せん断スクリュウ31を備えた伸長せん断装置を用いることが好ましい。図3(a)に示した、“スクリュウ31内部に伸長せん断付与機構(細管)を有するスクリュウ3aを備えた「バッチ循環方式」”、ならびに図3(b)に示した、“スクリュウ31外部に伸長せん断付与機構(細管)を有するスクリュウ3bを備えた、「連続方式」”がある。
バッチ循環方式のスクリュウ3aを備えた伸長せん断加工装置では、スクリュウ内部に細管の穴32が開いており、ゴム組成物は混練時にスクリュウ31の先端部まで到達した後に、スクリュウ31先端の細管の穴32を通ってスクリュウ31の後端部まで戻される機構を有している。そのため、ゴム組成物は細管の穴を繰り返し通過し、且つ、細管の穴では伸長運動に伴うせん断力が付与される。また、ゴム組成物を継続的に伸長せん断場に滞留させることができるため、短時間で大きなせん断力を付与することが可能となる。しかしながら、滞留時間によっては、一部再凝集が起こってしまう場合などがあるため連続式の伸長せん断加工装置が好ましい場合がある。
ここでは、伸長せん断を付与する、細管の穴径は、0.5mmより大きく、5.0mm以下であることが好ましい。5.0mm以下であれば伸長せん断におけるシェアが十分であり、また、細管の穴径0.5mmより大きい場合は、ゴムが細管の穴を十分に通過せず加工が困難になることがないことを確認している。細管の穴径は、好ましくは、1.0~3.0mmである。なお、処理時間は短時間で混練を行うことが特に好ましい。なお、細管の穴径の大きさによってゴム組成物に印加されるせん断エネルギーが変化する。そのため、せん断加工時の発熱抑制の観点から、材料の送り速度や混合時の材料温度制御などと共に、細管の穴径の選択は加工条件の重要な因子の一つである。なお、細管の穴の数は所望のドメインの均一分散化が実現できれば特に限定されず、また、細管でなくても同様に伸長せん断効果が得られる構成、例えば二重円筒形構成などを用いてもよい。
発明者らは、鋭意検討した結果、連続式のタイプの方が、伸長せん断のみを効率的に付与した構成となるため加工条件として特に好適であることも見出した。
バッチ循環方式の装置としては、例えば、伸長せん断装置(微量せん断装置:井元製作所製や高速せん断装置:ニイガタマシンテクノ社製)も好ましく用いられる。また、連続方式の装置としては、上記バッチ循環方式の装置のスクリュウ部を図3(b)に示すように、スクリュウ内部の伸長せん断付与機構を外部に備えるように改造した装置を好適に用いることができる。また、BANDO TECHNICAL REPORT No.18/20147 P2、に記載の装置なども適宜用いることができる。
鋭意検討の結果、分散処理工程では、分散時の材料温度を直接測定可能な赤外温度計を用いて測定し、170℃以下に設定することが、均一分散化に良い結果を与えることを確認している。なお、材料の混練り時の温度を熱電対で測定した場合には、恐らく赤外温度センサよりも低く計測される傾向があり、同じ170℃以下の加工処理であっても良好な結果が得られない場合がある。つまり、精密な材料温度測定機能(IRセンサー)を備えた伸長せん断機構を有する混合装置を用いて加工プロセス温度を精密に制御することが有効である。
また、ゴム組成物のせん断加工の際には、せん断発熱によるゴム組成物の劣化を防止するために、加えて、室温以下-20℃まで温度制御可能なチラーを備えることも好ましい。つまり、上述したように混合時の材料温度を正確にモニターする、赤外温度センサをスクリュウ部に備えている場合には、精密な混合条件制御が可能であり、特に混合時の温度を170℃以下に設定する際に好適となる。
<電子写真画像形成装置>
本発明の一態様に係る電子写真画像形成装置は、本発明の一態様に係る電子写真用の導電性部材を具備する。該電子写真画像形成装置の一例を図4の概略構成図に示す。被帯電体である感光体41は、アルミニウムなどの導電性を有する導電性支持体41bと、その上に感光層41aが積層されたドラム形状を有し、支軸41cを中心に図上、時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
感光体41に、本発明の一態様に係る電子写真用の導電性部材である帯電ローラ1の導電性軸芯体11の両端が押圧手段(不図示)により押圧され、導電性軸芯体を介して電源42と摺擦電極43aにより直流(DC)バイアスが印加された導電層12が接触配置される。感光体41の回転に伴い帯電ローラ1が従動回転することにより、感光体41は所定の極性・電位に一様に帯電(一次帯電)される。
次いで、露光器44から目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光など)を受けた感光体の周面に、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。感光体上の静電潜像は、現像部材45により供給されるトナーが付着されてトナー画像に形成される。次いで、給紙部(不図示)から転写材47が、感光体41の回転と同期して感光体41と転写部材46との間の転写部に搬送され、転写材の裏面からトナー画像と逆極性に印加された転写部材が押圧され、トナー画像が転写材47上に順次転写される。
トナー画像の転写を受けた転写材47は、感光体41から分離されて不図示の定着手段へ搬送されてトナー画像が定着され、画像形成物として出力される。裏面にも像形成する電子写真画像形成装置においては、再搬送手段により再度の画像形成を行うために、感光体41と転写部材46との間へ転写材47が再搬送される。
像転写後の感光体41の周面は、前露光器48による前露光を受けて感光体上の残留電荷が除去(除電)される。この前露光器48には公知の手段を利用することができ、例えばLEDチップアレイ、ヒューズランプ、ハロゲンランプおよび蛍光ランプなどを好適に例示することができる。除電された感光体41の周面は、クリーニング部材49で転写残りトナーなどの付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて、繰り返して画像形成に供される。
電子写真画像形成装置において、帯電ローラ1は感光体41に従動駆動させてもよく、また非回転としてもよく、感光体41の面移動方向に順方向または逆方向に所定の周速度をもって積極的に回転駆動させるようにしてもよい。露光は、電子写真画像形成装置を複写機として使用する場合には、原稿からの反射光や透過光、また、原稿を読み取り信号化し、この信号に基づいてレーザービームを走査したり、LEDアレイを駆動したり、または液晶シャッターアレイを駆動してもよい。
本発明の電子写真画像形成装置としては、複写機、レーザービームプリンター、LEDプリンター、あるいは、電子写真製版システムなどの電子写真応用装置等が挙げられる。
<プロセスカートリッジ>
本発明の一態様に係るプロセスカートリッジは、前記導電性部材を具備し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。該プロセスカートリッジの一例を、図5の構成図に示す。このプロセスカートリッジは、本発明の一態様に係るローラ形状の導電性部材を、帯電ローラ51として具備している。ドラム形状の電子写真感光体(以下、「電子写真感光ドラム」ともいう)53は、帯電ローラ51によって帯電可能なように配置されている。ここでは、具体的には、帯電ローラ51が、電子写真感光ドラム53に押圧されて接触している。また、電子写真感光ドラム53の表面に形成された静電潜像を現像するための現像剤を供給するための現像ローラ55、電子写真感光体ドラム53の周面に残留している現像剤を除去するクリーニングブレード57が設けられている。現像ローラ55には現像ブレード59が当接されている。現像ブレード59についても本発明の一態様に係るブレード形状の導電性部材を用いることができる。
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味しており、試薬等は特に指定のないものは市販の高純度品を用いた。
実施例におけるA練りゴム組成物(混合物)とは架橋剤や加硫促進剤を添加していない未加硫ゴム組成物(混合物)を指し、B練りゴム組成物(混合物)とは架橋剤や加硫促進剤を添加した未加硫ゴム組成物(混合物)を指す。
<実施例1>
(ゴム混合物の作製)
ドメインの原料として、エチレン-プロピレン-ジエン3元共重合体(商品名:EPT4045、三井化学社製)100部、導電性粒子としてカーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ケッチェンブラックインターナショナル社製)3部ならびにカーボンブラック(商品名:トーカブラック♯7360、東海カーボン社製)40部、軟化剤としてパラフィンオイル(商品名:PW-380、出光興産社製)10部、加工助剤としてステアリン酸1部を加圧ニーダーで混練し、マスターバッチ1を得た。
次に、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル3元共重合体(商品名:エピクロマーCG、大阪ソーダ社製)180部、加工助剤としてステアリン酸1部、マスターバッチ1を45部、加硫剤として2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン(商品名:パーヘキサ25B-40、日本油脂社製)2.5部、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレート(商品名:TAIC-M60、日本化成社製)1.5部をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム混合物(B練りゴム組成物1)を得た。なお、マスターバッチ1は5分割にして段階的に混合させた。
・導電性ローラの作製
快削鋼の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した全長252mm、外径6mmの丸棒を用意した。次に前記丸棒の両端部各11mmを除く長さ230mmの範囲に全周にわたって、接着剤を塗布した。接着剤は、導電性のホットメルトタイプのものを使用した。また、塗布にはロールコーターを用いた。この接着剤を塗布した丸棒を導電性軸芯体(芯金)として使用した。
次に、導電性軸芯体の供給機構、未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド押出機を用意した。クロスヘッドには内径12.5mmのダイスを取付け、押出機とクロスヘッドを80℃に、導電性軸芯体の搬送速度を60mm/secに調整した。この条件で、前記B練りゴム組成物1を混練押出機より供給して、クロスヘッド内にて導電性軸芯体の外周面上にB練りゴム組成物1のゴム層を形成し、未加硫ゴムローラを得た。次に、170℃の熱風加硫炉中に未加硫ゴムローラを投入し、60分間加熱することで加硫ゴムローラを得た。その後、加硫ゴム層の端部を切除し、ゴム層の長さを230mmとした。最後に、弾性層の表面を回転砥石で研磨した。これによって、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が8.4mm、中央部直径が8.5mmのクラウン形状の導電性ローラを得た。
なお、該ローラの電気抵抗値は5.0×10Ω・cmであった。また、測定方法は後述する、「導電性ローラの部分的な抵抗値の測定」を用いた。
・導電性ローラの評価
前記導電性ローラについて以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
・導電層の評価
詳細は上記に示した測定方法で評価した。
なお、各実施例に係る導電性ローラの導電性弾性層が、第1のゴムのマトリックス中に、複数個のドメインを有すること、各ドメインが導電性粒子を含む構成を満たしていること、該ドメインの各々の断面積に対する該ドメインの各々が含む該導電性粒子の断面積の割合の平均値μが、20%以上、40%以下であること等は、上述したドメインの測定方法などに示した手法で確認した。なお、特記しない限りは、ミクロトームとしては、製品名:ライカ社製Leica EM UC7を、イオンミリングとしては製品名ライカ社製 Leica EMTIC3Xを、SEMとしては、製品名:Ultraplus、カールツァイス社製を用いた。また特に図2に代表される3次元の立体画像測定装置(FIB-SEM)としては、製品名:クライオFIB/SEM、Helios G4 UC、エフ・イー・アイ社製を使用して上述した導電層構造を実施例すべてにおいて確認した。
・(導電層におけるドメインの均一分散性の評価)
導電性のドメインが三次元的に均等かつ密に導電層中に配置された構成であることは、(ドメインの体積の測定方法)の項に記載の手法で検証した。ここでは、上述したように、FIB-SEMを用いた3次元測定を行い、一辺が9μmの第1の立方体形状のサンプルのうち、少なくとも8個のサンプルが、条件(1);「該1個のサンプル中に含まれる27個の、一辺が3μmの単位立方体のうちの少なくとも20個は、該ドメインの総体積が、2.7~10.8μm」を満たすかを評価する。
上述したように、条件(1)を満たす単位立方体の個数の増加により、本態様に係る効果を高められる。ドメインの均一分散性のレベルは、上記測定結果を踏まえて下記の基準に基づき評価した。なお、ランクI>II>III>IV>Vの順に、均質で安定な電気特性を示す導電層であることを示している。
ランクI:均一分散性が極めて良好に認められる。
(条件(1)を満たす単位立方体の個数が、少なくとも8個のサンプルにおいて、25個以上)
ランクII:均一分散性がかなり良好に認められる。
(条件(1)を満たす単位立方体の個数が、少なくとも2個のサンプルにおいて25個未満、かつ少なくとも8個のサンプルにおいて、22個以上)
ランクIII:均一分散性が良好に認められる。
(条件(1)を満たす単位立方体の個数が、少なくとも2個のサンプルにおいて22個未満、かつ少なくとも8個のサンプルにおいて、20個以上)
ランクIV:均一分散性が認められない。
(条件(1)を満たす単位立方体の個数が、少なくとも2個のサンプルにおいて20個未満、かつ少なくとも8個のサンプルにおいて12個以上)
ランクV:均一分散性が極めて悪い。
(条件(1)を満たす単位立方体の個数が、少なくとも2個のサンプルにおいて12個未満)
・(導電層における各ドメインにおける導電性粒子のバラつきの評価)
導電性のドメインが電気抵抗の揃ったドメインであることを上述した測定方法を用いて検証した。
「該導電層の厚み方向の断面に現れる該ドメインの各々の断面積の対する該ドメインの各々が含む該導電性粒子の断面積の割合の平均値をμとし、該割合の標準偏差をσとしたとき、『σ/μ』が小さくなればなるほど、本態様に係る効果が高まる。各ドメインにおける導電性粒子のバラつきのレベルは、上記測定結果を踏まえて下記の基準に基づき評価した。なお、ランクi>ii>iiiの順に、電気抵抗の揃ったドメインであることを示している。
ランクi:導電性粒子のバラつきが極めて小さい。(0≦σ/μ≦0.25)
ランクii:導電性粒子のバラつきが小さい。 (0.25<σ/μ≦0.4)
ランクiii:導電性粒子のバラつきが大きい。 (σ/μ<0.4)
・(導電性ローラの導電層におけるドメインの形状の評価~真円度)
ドメイン形状は、円形に近いほうが好ましく、上述した測定手法を基にした真円度で評価した。
真円度のレベルは、下記の基準に基づき評価した。なお、ランクa>b>c>dの順に、円形に近いことを示している。
ランクa:真円度が極めて良好に認められる。(真円度の平均値が1以上1.90未満)
ランクb:真円度が良好に認められる。 (真円度の平均値が1.90以上2.0未満)
ランクc:真円度が悪い。 (真円度の平均値が2.10以上22.60未満)
ランクd:真円度が極めて悪い。 (真円度の平均値が2.60以上)
・(導電層におけるドメインのサイズ分布の評価)
ドメインのサイズ分布としては、ドメインサイズが揃っていること、および該ドメインが微細であることが好ましく、上述した測定手法を基にし、大きなドメインと小さなドメインの割合に基づく粒度分布均一性によって評価した。
ここではSEM像は12枚以上の評価から算出する。
粒度分布均一性のレベルは、下記の基準に基づき評価した。なお、ランク1>2>3>4の順に、粒度分布均一性が高いことを示している。
ランク1:粒度分布均一性が極めて高い。
(95≦100×L2/L1≦100、且つ0≦100×L3/L1≦5)
ランク2:粒度分布均一性が高い。
(80≦100×L2/L1<95、且つ/又は15<100×L3/L1≦20)
ランク3:粒度分布均一性が悪い。
(100×L2/L1<80、且つ/又は20<100×L3/L1)
ランク4:粒度分布均一性が極めて悪い。
(100×L2/L1≦65、且つ/又は35≦100×L3/L1)
・(導電性ローラの抵抗測定)
導電性ローラの抵抗測定は、下記の2つの「導電性ローラの部分的な抵抗値の測定」により、適宜行った。
・導電性ローラの部分的な抵抗値の測定(固定型電極を用いた方法)
以下に詳述する電流抵抗測定装置を用いて、導電性ローラの任意の部分領域に流れる電流値を測定した。まず、導電性ローラの導電性軸芯体の両端部を金属電極に圧接する。金属電極は、導電性ローラに接する面が、導電性ローラの外周とほぼ同じ曲率であり、円弧の長さが導電性ローラの外周の1/4以下になるように切削加工されている。これにより、金属電極を導電性ローラに密着させることができる。金属電極の長さは、導電性ローラとの接触部の面積が約0.5cmとなるように設定した。
当該部分領域の導電性ローラの電気抵抗測定は、導電性ローラに金属電極を圧接し、導電性ローラの導電性軸芯体に外部電源を用いて直流電圧を印加した状態で行った。部分領域を流れる電流値は、金属電極に直列に接続した基準抵抗の両端の電圧を測定し、この電圧と基準抵抗の電気抵抗値をもとに算出した。
或いは、導電性ローラの抵抗値の測定は、微小電流が測定できるエレクトロメータ等を用いて、導電性ローラの導電性軸芯体と上記金属電極との間に、一定の直流電圧を印加した状態で電流値を計測しても良い。なお、導電性ローラの電流値の測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、導電性軸芯体と金属電極との間に直流20Vの固定電圧を印加した状態で10秒経過後に行った。
上記測定電流値、導電性ローラと金属電極が接触する面積、導電性ローラの導電層の厚み、及び、導電層に印加される電圧から、部分領域の体積抵抗率(Ω・cm)を算出した。
・導電性ローラの部分的な抵抗値の測定(回転電極を用いた方法)
以下に詳述する電気抵抗測定装置を用いて、導電性ローラの部分的な領域に流れる電流値を測定した。本装置では、導電性ローラの任意の位置に直径30mm、幅20mmの円柱状の金属性の回転電極を一定圧力で圧接し、導電性ローラを回転させ、導電性ローラの回転運動に伴い該回転電極を従動回転させる。さらに、導電性ローラの導電性軸芯体に外部電源を用いて直流電圧を印加した状態で、回転電極に直列に接続した基準抵抗の両端の電圧を測定する。これにより、導電性ローラの導電層のうち、回転電極と導電性ローラの接触面で規定された領域を流れる電流値が得られる。接触面の面積は、導電層の硬度にもよるが、0.05~0.2cm程度である。
導電性ローラの回転数を30rpm、データのサンプリング周波数は20Hz、基準抵抗の電気抵抗値は1kΩに設定した。また、印加電圧は導電層の電気抵抗率にもよるが、電流値が約0.1mAになるように、10~200Vの間で固定電圧を設定した。以上の条件では、ローラ表面を周方向に約0.6mm毎に、一周につき約12領域の計測が行える。ローラの長手方向に回転電極を順次移動させて、同様に、導電性ローラを回転させながら、計約140の領域で電流計測を行った。
また、上記測定電流値、導電性ローラと回転電極の接触面積、導電性ローラの導電層の厚み、及び、導電層に印加される電圧から、部分領域の体積抵抗率(Ω・cm)を算出した。導電性ローラ内での体積抵抗率のばらつきは、上記測定の部分領域の体積抵抗率の平均をμ、分散をσとし、σ/μで評価した。
電気抵抗のσ/μのレベルは、上記結果を踏まえて下記の基準に基づき評価した。ランクA>B>C>Dの順に、均質で安定な電気特性を示す導電層であることを示している。
ランクA:σが極めて小さい。 (σ<0.3)
ランクB:σが、かなり小さい。 (0.3<σ≦0.4)
ランクC:σが小さい。 (0.4 <σ<0.5)
ランクD:σが大きい。 (0.5 ≦σ
・導電性ローラの通電劣化試験~電流維持率測定
図6に概略を示す電気抵抗測定装置を用いて、導電性ローラに流れる電流値を測定した。本装置では、導電性ローラの導電性軸芯体11の両端部を不図示の押圧手段で直径30mmの円柱状の金属ドラムに圧接し、金属ドラムの回転駆動に伴い、導電性ローラを従動回転させる。さらに、導電性ローラの導電性軸芯体に外部電源を用いて直流電圧を印加した状態で、金属ドラムに直列に接続した基準抵抗の両端の電圧を測定する。導電性ローラを流れる電流値は、基準抵抗63の電気抵抗値および基準抵抗の両端の電圧を基に算出される。
図6の電気抵抗測定装置を使用して、温度23℃、相対湿度50%の環境下において導電性ローラの通電劣化試験を行った。このとき、導電性軸芯体と金属ドラムの間に直流50Vで設定した一定の電圧を10分間印加した。金属ドラムの回転数は30rpm、基準抵抗の電気抵抗値は100Ω~1kΩの間で設定した。データのサンプリング周波数は20Hzに設定し、10秒間の計測値の平均値を導電性ローラに流れる電流値とした。初期電流値I0、及び、通電試験終了時の電流値I1とし、I0に対するI1の割合として電流維持率(%)を算出した。
電流維持率のレベルは、上記結果を踏まえて下記の基準に基づき評価した。
もちろん、ランクA>B>C>Dの順に、均質で安定な電気特性を示す導電層であることを示している。
ランクA:電流維持率が極めて高い。 (維持率が85%以上)
ランクB:電流維持率が、かすかに認められる。 (維持率が70%以上85%未満)
ランクC:電流維持率が認められる。 (維持率が60%以上70%未満)
ランクD:電流維持率が認められない。 (維持率が60%未満)
導電性ローラの画像評価
導電性部材の高速プロセスにおける、画像評価を実施した。
まず、電子写真装置として、電子写真方式のレーザープリンター(商品名:Laserjet M608dn、HP社製)を用意した。次に、導電性部材、電子写真装置、プロセスカートリッジを、測定環境にならす目的で、23℃50%RHの環境に48時間放置した。
なお、高速プロセスにおける評価とするために、当該レーザープリンターを、単位時間当たりの出力枚数が、オリジナルの出力枚数よりも多い、A4サイズの用紙で、75枚/分となるように改造した。その際、記録メディアの出力スピードは370mm/秒、画像解像度は1,200dpiとした。
作製した導電性ローラを帯電ローラとして、電子写真プロセスカートリッジに装着した。上記と同様の環境下で、外部電源(Trek615 トレックジャパン社製)によって、導電性部材に電圧を-900V印加してハーフトーン画像を出力した。つまり、A4サイズの紙上にハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)が形成された電子写真画像を1枚出力した。この画像を「1枚目の画像」と称する。次いで、A4サイズの紙上に、サイズが14ポイントのアルファベット「E」の文字が、印字濃度1%となるように形成された電子写真画像を2500枚出力した。引き続いて、A4サイズの紙上にハーフトーン画像が形成された電子写真画像を1枚出力した。この画像を「2501枚目の画像」と称する。総ての電子写真画像の出力は温度15℃、相対湿度10%の環境下で行った。1枚目の画像と2501枚目の画像とを目視で観察し、ハーフトーン画像における初期(1枚目)の粒状性および帯電ローラの電気抵抗値の上昇により発生することのある、ハーフトーン画像における耐久後(2501枚目)の粒状性の悪化の有無、および、その程度を下記の基準により評価した。
ランクA:初期から粒状性のない一様な画像であり、耐久後にも粒状性の悪化が認められない。
ランクB:初期は粒状性のない一様な画像であり、耐久後には粒状性の悪化が、かすかに認められる。
ランクC:初期から粒状性のある画像(粒状性の悪化)が認められる。
ランクD:初期から粒状性のある画像(粒状性の悪化)が顕著に認められる。
<実施例2>
ドメインの原料として、SBR(商品名:タフデン2003、旭化成社製)100部、導電性粒子としてカーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ケッチェンブラックインターナショナル社製)3部ならびにカーボンブラック(商品名:トーカブラック♯5500、東海カーボン社製)40部、加工助剤としてステアリン酸1部を加圧ニーダーで混練し、マスターバッチ2を得た。
次に、NBR(商品名:N230SV、JSR社製)100質量部に対し、酸化亜鉛(亜鉛華2種、堺化学工業社製)8部、ステアリン酸亜鉛(商品名:SZ-2000、堺化学工業社製)1部、炭酸カルシウム(商品名:ナノックス#30、丸尾カルシウム社製)10部を加えて、50℃に調節した加圧型ニーダー(商品名:TD6-15MDX:トーシン社製)を用い、充填率70%、ブレード回転数30rpm、混合時間16分間の条件で混合することで、マトリックス用のゴム組成物2を得た。
次に、上記で作製したマスターバッチ2を20部と、マトリックス用のゴム組成物2を70部、加圧ニーダーを用いて12分混合し、未加硫のゴム混合物2を得た。
前記未加硫のゴム混合物2の100質量部に、加硫剤/硫黄(商品名:SULFAX PMC、鶴見化学工業社製)を1.8部、加硫促進剤(商品名:Perkacit TBzTD、パフォーマンス・アディディブ社製)を添加し、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、対応するB練りゴム組成物2を得た。それら以外は、実施例1と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗値は6.5×10Ω・cmであった。
<実施例3>
ドメインの原料として、SBR(商品名:タフデン2003、旭化成社製)90部ならびに液状SBR10部(商品名:LIR-310、クラレ社製)10部、導電性粒子としてカーボンブラック(商品名:トーカブラック♯5500、東海カーボン社製)60部、加工助剤としてステアリン酸1部を加圧ニーダーで混練し、マスターバッチ3を得た。次に、上記で作製したマスターバッチ3を20部と、実施例2で作製したマトリックス用のゴム組成物2を72部、加圧ニーダーを用いて13分混合し、未加硫のゴム混合物3を得た。ここでは、該マスターバッチを5等分して段階的に混合した。
それら以外は、実施例2と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は8.5×10Ω・cmであった。
<実施例4>
実施例1と同様に対応するゴム混合物を作製した。
つまり、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル3元共重合体(商品名:エピクロマーCG、大阪ソーダ社製)120部、加工助剤としてステアリン酸1部、実施例1で作製したマスターバッチ1を40部、をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム混合物4を得た。ここでは、該マスターバッチを5等分して段階的に混合した。
次に、図3(a)に示した、伸長せん断成形加工機としてスクリュウ内部に伸長せん断付与機構を備えたスクリュウを有する加工機(製品名:NHSS8-28、ニイガタマシンテクノ製)を用いて、前記未加硫ゴム(A練りゴム組成物)を混練した。まず、加工機に装備されている該スクリュの細管の穴を2.0mm、可塑化部温度100℃、混練部温度150℃、スクリュウ回転数を750rpmに設定してA練りゴム組成物を5秒間混練した。その後、混練部から排出することで伸長せん断加工されたゴム組成物を得た。これを繰り返すことで導電ローラ作製に十分な量を作製した。その際、せん断発熱を低減するために、冷却機構を用いることによって、混練部の温度が170℃を超えないように温度制御した。
前記工程で混練したA練りゴム組成物100質量部に、加硫剤/硫黄(商品名:SULFAX PMC、鶴見化学工業社製)を1.8部、加硫促進剤(商品名:Perkacit TBzTD、パフォーマンス・アディディブ社製)6.8部を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、B練りゴム組成物4を得た。それら以外は、実施例1と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は1.0×106Ω・cmであった。
<実施例5>
ドメインの原料として、SBR(商品名:タフデン2003、旭化成社製)100部、導電性粒子としてカーボンブラック(商品名:トーカブラック♯5500、東海カーボン社製)70部、加工助剤としてステアリン酸1部を加圧ニーダーで混練し、マスターバッチ5を得た。次に、マスターバッチ5を22部、実施例2で作製したマトリックス用のゴム組成物2を68部、加圧ニーダーを用いて、20分混合し、未加硫のゴム組成物5を得た。
それら以外は、実施例2と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は4.0×10Ω・cmであった。
<実施例6>
ドメインの原料として、末端変性SBR(商品名:タフデンE581、旭化成社製)100部、導電性粒子としてカーボンブラック(商品名:トーカブラック♯5500、東海カーボン社製)80部、加工助剤としてステアリン酸1部を加圧ニーダーで混練し、マスターバッチ6を得た。
次に、上記で作製したマスターバッチ6を25部と、実施例2で作製したマトリックス用のゴム組成物2を70部、加圧ニーダーを用いて16分混合し、未加硫のゴム組成物6を得た。なお、ここでは、該マスターバッチを5等分して段階的にマトリックス用のゴム組成物2と混合した。
なお、該ローラの電気抵抗は3.5×10Ω・cmであった。
<実施例7>
ドメインの原料として、SBR(商品名:タフデン2003、旭化成社製)100部、導電性粒子としてカーボンブラック(商品名:トーカブラック♯7360、東海カーボン社製)85部、加工助剤としてステアリン酸1部を加圧ニーダーで混練し、マスターバッチ7を得た。次に、マスターバッチ7を30部、実施例2で作製したマトリックス用のゴム組成物2を65部、オープンロールにて混合し、対応する未加硫ゴム混合物7を得た。次に、実施例4と同様に、スクリュウ内部に伸長せん断付与機構を備えたスクリュウを有する伸長せん断成形加工機を用いて前記未加硫ゴム(A練りゴム組成物)を混練した。なお、ここではスクリュウ回転数を800rpmにした以外は同様の条件で加工処理した。
それら以外は、実施例4と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は8.0×10Ω・cmであった。
<実施例8>
ドメインの原料として、乳化重合スチレン・ブタジエンゴム、E-SBR(商品名:JSR0202、JSR社製)100部ならびに液状SBR(商品名:LIR-310、クラレ社製)10部、導電性粒子としてカーボンブラック(商品名:トーカブラック♯5500、東海カーボン社製)100部、加工助剤としてステアリン酸1部を加圧ニーダーで混練し、マスターバッチ8を得た。次に、マスターバッチ8を34部、実施例2で作製したマトリックス用のゴム組成物2を70部、オープンロールにて混合し、未加硫ゴム混合物8を得た。
伸長せん断成形加工機として、スクリュウ外部に伸長せん断付与機構を備えたスクリュウを有する連続方式の加工機としては、実施例7で使用したスクリュウ内部に伸長せん断付与機構を備えたスクリュウを有する伸長せん断成形加工機(製品名:NHSS8-28、ニイガタマシンテクノ製)を改造して用いた。つまり、スクリュ内部ではなく、細管の穴32を外部に持たせるようにスクリュウ先端部を改造した図3(b)に示した装置構成にすることで、連続式の伸長せん断成形加工が可能となった。
次に、実施例4と同様に、上記伸長せん断付与機構を備えたスクリュウを有する連続式の伸長せん断成形加工機、を用いて前記未加硫ゴム(A練りゴム組成物)を混練した。なお、ここではスクリュウ回転数を600rpmにした以外は同様の条件で加工処理した。
それら以外は、実施例4と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は8.0×10Ωcmであった。
<実施例9>
ドメインの原料として、NBR(商品名:N230SV、JSR社製)100部、導電性粒子としてカーボンブラック(商品名:トーカブラック♯7360、東海カーボン社製)60部、カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ケッチェンブラックインターナショナル社製)10部、加工助剤としてステアリン酸1部を加圧ニーダーで混練し、マスターバッチ9を得た。
次に、SBR(商品名:アサプレンY031、旭化成社製)100質量部に対し、酸化亜鉛(亜鉛華2種、堺化学工業社製)8部、ステアリン酸亜鉛(商品名:SZ-2000、堺化学工業社製)1部、炭酸カルシウム(商品名:ナノックス#30、丸尾カルシウム社製)10部を加えて、50℃に調節した加圧型ニーダー(商品名:TD6-15MDX、トーシン社製)を用い、充填率70%、ブレード回転数30rpm、混合時間16分間の条件で混合することで、マトリックス用のゴム組成物9を得た。
次に、マスターバッチ9を35部と、上記マトリックス用のゴム組成物9を70部、オープンロールにて混合し、対応する未加硫ゴム混合物を得た。
次に実施例8で用いた、スクリュウ外部に伸長せん断付与機構を備えたスクリュウを有する連続方式の伸長せん断成形加工機を用いて、前記未加硫ゴム(A練りゴム組成物)を混練した。なお、ここではスクリュウ回転数を650rpmにした以外は同様の条件で加工処理した。
それら以外は、実施例4と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は8.3×10Ωcmであった。
[比較例1]
特許文献1を基にゴム混合物を作製した。
つまり、ドメイン材料としてエチレン-プロピレン-ジエン3元共重合体(商品名:EPT4045、三井化学社製)100部、導電性粒子としてカーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ケッチェンブラックインターナショナル社製)10部、軟化剤としてパラフィンオイル(商品名:PW-380、出光興産社製)30部、加工助剤としてステアリン酸1部を加圧ニーダーで混練し、マスターバッチを得た。次に、マトリックス材料としてエピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル3元共重合体(商品名:エピクロマーCG、大阪ソーダ社製)75部、加工助剤としてステアリン酸1部、マスターバッチ10を35.25部、加硫剤として2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン(商品名:パーヘキサ25B-40、日本油脂社製)2.5部、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレート(商品名:TAIC-M60、日本化成社製)1.5部をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム混合物1Aを得た。それら以外は、実施例1と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は7.3×10Ωcmであった。
[比較例2]
実施例2における、マスターバッチ2においてケッチェンブラックの量を3.5部ならびにカーボンブラックの量を35部に変更して対応する未加硫のゴム組成物2Aを作製したこと、および未加硫のゴム組成物2Aを作製時の、加圧ニーダーの練り時間を5分にした以外は、実施例1と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は4.1×10Ωcmであった。
[比較例3]
比較例1を基に、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
ここでは、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル3元共重合体(商品名:エピクロマーCG、大阪ソーダ社製)120部、加工助剤としてステアリン酸1部、マスターバッチ1を、40.5部をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム混合物を得た。
次に、A練りゴム組成物のせん断加工を、2軸混練加工装置(製品名「KZW15TW-4MG-NH(-6000)」:テクノベル社製)を用い、回転速度1000rpmにて前記未加硫ゴム混合物(A練りゴム組成物)を混練した。
前記工程で混練した未加硫のゴム組成物100質量部に、加硫剤として2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン(商品名:パーヘキサ25B-40、日本油脂社製)2.5部、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレート(商品名:TAIC-M60、日本化成社製)1.5部をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム混合物(B練りゴム組成物3A)を得たそれら以外は、比較例1と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は1.2×107Ωcmであった。
[比較例4]
実施例2における、マスターバッチ2においてケッチェンブラックの量を3.5部ならびにカーボンブラックの量を35部に変更して対応する未加硫のゴム組成物4Aを作製したこと、および未加硫のゴム組成物4Aを作製時の、加圧ニーダーの練り時間を40分にした以外(ここで練り時の材料温度(赤外温度計を用いて計測)は183度まで上昇していた)は、実施例2と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は2.2×10Ωcmであった。
[比較例5]
実施例3における、上記で作製したマスターバッチ3を25部ならびに実施例2で作製したマトリックス用のゴム組成物2を70部、二本ロールを用いて混合した。その後、比較例3に示した、2軸混練加工装置を用い、回転速度1000rpmにて対応する未加硫ゴム混合物5A(A練りゴム組成物)を混練した以外は、実施例3と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は9.6×10Ωcmであった。
[比較例6]
実施例8における混合を伸長せん断成形加工機ではなく、加圧ニーダーを用いて、10分混合したことに加え、マスターバッチ8を20部、実施例2で作製したマトリックス用のゴム組成物2を70部、用いた以外は、実施例8と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は9.0×10Ωcmであった。
[比較例7]
実施例8における混合を伸長せん断成形加工機ではなく、二本ロールを用いて混合(ここでは、該マスターバッチを10等分して段階的に混合した)したこと加え、マスターバッチ8を14.6部、実施例2で作製したマトリックス用のゴム組成物2を70部、用いた以外は、実施例8と同様にして、導電性ローラを作製し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は4.9×10Ωcmであった。
以下の表1に、実施例1-9ならびに比較例1-7における、ドメインの均一分散性の評価、各ドメインにおける導電性粒子のバラつきの評価、ドメインの形状の評価、ドメインの粒度分布の評価、使用した混合装置、断面における平均ドメインサイズ及び、導電性ローラ評価:電気抵抗σ/μ、ならびに導電性ローラ評価:電流維持率と、画質ランクの評価結果とを示す。
Figure 0007225005000001
以下に、導電性ローラとして転写ローラに適用させた検討結果を示す。
<実施例10>
・導電性ローラの作製
快削鋼の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した全長240mm、外径5mmの丸棒を用意した。次に前記丸棒の両端部各15mmを除く長さ210mmの範囲に全周にわたって、接着剤を塗布した。接着剤は、導電性のホットメルトタイプのものを使用した。また、塗布にはロールコーターを用いた。この接着剤を塗布した丸棒を導電性軸芯体(芯金)として使用した。
次に、導電性軸芯体の供給機構、未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド押出機を用意し、クロスヘッドには内径13.5mmのダイスを取付け、押出機とクロスヘッドを80℃に、導電性軸芯体の搬送速度を60mm/secに調整した。この条件で、実施例2で得た未加硫ゴム混合物2を混練押出機より供給して、クロスヘッド内にて導電性軸芯体の外周面上に未加硫ゴム混合物のゴム層を形成し、未加硫ゴムローラを得た。次に、170℃の熱風加硫炉中に未加硫ゴムローラを投入し、60分間加熱することで加硫ゴムローラを得た。その後、加硫ゴム層の端部を切除し、ゴム層の長さを215mmとした。最後に、弾性層の表面を回転砥石で研磨した。これによって、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が11.3mm、中央部直径が11.5mmの導電性ローラを得た。
なお、該ローラの電気抵抗は2.0×10Ω・cmであった。
得られた導電性ローラに対して、画質評価以外は実施例1と同様評価を行った。ここでは、下記の導電性ローラの画質評価1および導電性ローラの画質評価2を代わりとして追加している。
・導電性ローラの画像評価1
上記の導電性ローラを転写ローラとして、電子写真プロセスカートリッジ(商品名:HP 30A Black Original LaserJet Toner、HP社製)に装着した。このプロセスカートリッジをA4サイズの紙を出力可能な電子写真画像形成装置(商品名:HP LaserJet Pro M203dw、HP社製)に装着し、電子写真画像を形成した。A4サイズの紙上に縦線画像(電子写真感光体の回転方向に幅4ドットの線を間隔4ドットで描く画像)が形成された電子写真画像を1枚出力した。電子写真画像の出力は温度15℃、相対湿度10%の環境下で行った。画像を目視で観察し、転写ローラの異常放電により発生することのある、ポチ状画像や縦線の潰れの有無、および、その程度を下記の基準により評価した。
ランクA:縦線の潰れやポチ状画像の発生が認められない。
ランクB:縦線の潰れやポチ状画像の発生が、かすかに認められる。
ランクC:縦線の潰れやポチ状画像の発生が認められる。
ランクD:縦線の潰れやポチ状画像の発生が顕著に認められる。
・導電性ローラの画像評価2
上記の通電劣化試験を行った後の導電性ローラを転写ローラとして、電子写真プロセスカートリッジ(商品名:HP 30A Black Original LaserJet Toner、HP社製)に装着した。このプロセスカートリッジをA4サイズの紙を出力可能な電子写真画像形成装置(商品名:HP LaserJet Pro M203dw、HP社製)に装着し、電子写真画像を形成した。A4サイズの紙上にハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)が形成された電子写真画像を1枚出力した。電子写真画像の出力は温度15℃、相対湿度10%の環境下で行った。画像を目視で観察し、転写ローラの電気抵抗値の上昇により発生することのある、ポチ状画像の有無、および、その程度を下記の基準により評価した。
ランクA:ポチ状画像の発生が認められない。
ランクB:ポチ状画像の発生が、かすかに認められる。
ランクC:ポチ状画像の発生が認められる。
ランクD:ポチ状画像の発生が顕著に認められる。
<実施例11>
実施例11において、未加硫ゴム混合物として実施例4で得られた未加硫ゴム混合物4を使用した。
それ以外は、実施例10と同様にして、導電性ローラを作成し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は3.2×10Ωcmであった。
<実施例12>
実施例12において、未加硫ゴム混合物として実施例8で得られた未加硫ゴム混合物8を使用した。
それ以外は、実施例10と同様にして、導電性ローラを作成し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は2.4×10Ωcmであった。
[比較例8]
実施例10において、未加硫ゴム混合物として比較例1で得られた未加硫ゴム混合物1Aを使用した。
それ以外は、実施例10と同様にして、導電性ローラを作成し、各評価を行った。
なお、該ローラの電気抵抗は2.1×10Ωcmであった。
以下の表2に、実施例10~12ならびに比較例8における、ドメインの均一分散性の評価、各ドメインにおける導電性粒子のバラつきの評価、ドメインの形状の評価、ドメインの粒度分布の評価、使用した混合装置、断面における平均ドメインサイズ及び、導電性ローラ評価の各評価結果を示す。
Figure 0007225005000002
以下に、導電性ローラとして導電性ブレードに適用させた検討結果を示す。
<実施例13>
・導電性ブレードの作製
実施例2で得たB練りゴム混合物2(未加硫ゴム混合物)を使用した。ここでは、B練りゴム混合物2を幅250mm、長さ150mm、厚さ0.7mmの金型に加圧プレス機で加圧しながら、160℃で10分処理することで、対応する厚さ0.7mmのゴムシート1を得た。
ゴムシート1を幅216mm、長さ12mmに切断し、予め所定のカートリッジに取り付けられるように加工した板金(後述の電子写真用プロセスカートリッジの現像ブレードに用いられている板金とほぼ同形状)に接着剤を用いて接着し、導電性ゴムブレード1を得た。この時、導電ブレードは長さ12mmのうち板金と重なる部分を4.5mmとし、残りの7.5mmを板金からはみ出るように接着した。なお、接着剤は、導電性のホットメルトタイプのものを使用した。
なお、該導電性ブレードの電気抵抗は4.2×105Ωcmであった。
・導電性ブレードの評価
前記導電性ブレードについて以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(導電層の評価)
以下の導電層の評価に関する4項目は実施例1と同様に行った。
なお、測定箇所においては、以下の通り変更した。
・導電層におけるドメインの均一分散性の評価
測定箇所:ゴムシートの幅を9分割した、幅24mm長さ12mm厚さ0.7mmの区分における各々の中央近辺9か所を測定。
・導電層における各ドメインにおける導電性粒子のバラつきの評価
測定箇所:ゴムシートの幅を12分割した、幅18mm長さ12mm厚さ0.7mmの区分における各々の中央近辺12か所を測定。
・導電性ブレードの導電層におけるドメインの形状の評価~真円度
測定箇所:ゴムシートの幅を12分割した、幅18mm長さ12mm厚さ0.7mmの区分における各々の中央近辺12か所を測定。
・導電層におけるドメインの粒度分布の評価
測定箇所:ゴムシートの幅を12分割した、幅18mm長さ12mm厚さ0.7mmの区分における各々の中央近辺12か所を測定。
(導電性ブレードの電流値測定)
・導電性ブレードの部分的な抵抗値の測定
以下に概略を示す電流抵抗測定装置を用いて、導電性ブレードの任意の部分領域に流れる電流値を測定した。本装置では、導電性ブレードのゴム部の任意の位置に金属電極を荷重200gwで圧接させる。金属電極は、導電性ブレードとの接触部がφ10mmの円形状のものを使用した。さらに、導電性ブレードの板金に外部電源を用いて直流電圧を印加した状態で、金属電極に直列に接続した基準抵抗の両端の電圧を測定する。これにより、導電性ブレードの任意の部分領域に流れる電流値が得られる。基準抵抗の電気抵抗値は1kΩに設定した。また、導電性ブレードの長手を20分割し、その間の領域計20点を測定した。
導電性ブレードの体積抵抗率は、導電性ブレードゴム部と金属電極の面積、導電性ブレードのゴム部の厚み、および、印加される電圧から部分領域の体積抵抗率(Ω・cm)を算出した。導電性ブレード内での体積抵抗率のばらつきは、上記測定の部分領域の体積抵抗率の平均をμ、分散をσとし、σ/μで評価した。
電気抵抗のσ/μのレベルは、上記結果を踏まえて下記の基準に基づき評価した。ランクA>B>C>Dの順に、均質で安定な電気特性を示す導電層であることを示している。
ランクA:σが極めて小さい。 (σ<0.25)
ランクB:σが、かなり小さい。 (0.25<σ≦0.32)
ランクC:σが小さい。 (0.32 <σ<0.4)
ランクD:σが大きい。 (0.4 ≦σ
・導電性ブレードの通電劣化試験~電流維持率測定
前述の電気抵抗測定装置を使用して、温度23℃、相対湿度50%の環境下において導電性ブレードの通電劣化試験を行った。このとき、導電性ブレードの板金に直流20~200Vの間で設定した一定の電圧を10分間印加した。データのサンプリング周波数は20Hzに設定し、10秒間の計測値の平均値を導電性ブレードに流れる電流値とした。初期電流値I0、及び、通電試験終了時の電流値I1とし、I0に対するI1の割合として電流維持率(%)を算出した。
電流維持率のレベルは、上記結果を踏まえて下記の基準に基づき評価した。
もちろん、ランクA>B>C>Dの順に、均質で安定な電気特性を示す導電層であることを示している。
ランクA:電流維持率が極めて高い。 (維持率が85%以上)
ランクB:電流維持率が、かすかに認められる。 (維持率が70%以上85%未満)
ランクC:電流維持率が認められる。 (維持率が60%以上70%未満)
ランクD:電流維持率が顕著に認められる。 (維持率が60%未満)
[トナーの摩擦帯電量分布評価]
トナーの摩擦帯電量の広がりを評価するために、摩擦帯電量分布を測定した。
上記の導電性ブレードを現像ブレードとして、電子写真プロセスカートリッジ(商品名:37X黒トナーカートリッジ、HP社製)に取り付けた。このプロセスカートリッジをA4サイズの紙を出力可能な電子写真画像形成装置(商品名:HP LaserJet Enterprise M608dn、HP社製)に装着し、気温32℃、相対湿度85%RHの高温高湿環境中に設置した後、6時間以上放置した。次いで、サイズが14ポイントのアルファベットの「E」の文字が、A4サイズの紙の面積に対し被覆率が1%となるように印字されるような画像(以下、「E文字画像」ともいう)を100枚のコピー用紙に対して連続出力した後に、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力し、白ベタ画像の出力中にプリンターを停止した。
この際、現像スリーブの、現像ブレードと感光体当接位置に挟まれた部分のうち範囲が狭い部分に担持されたトナーについて、摩擦帯電量分布を測定した。
摩擦帯電量分布は、E-spart Analyzer Model EST-III(ホソカワミクロン社製)を用いて測定した。
なお、測定粒子個数は3000個程度とし、測定した値の標準偏差σをトナーの摩擦帯電量分布とした。
トナーの摩擦帯電量分布の評価の評価基準は以下のとおりである。
ランクA:摩擦帯電量分布が極めて良好である。 (σ<3.0)
ランクB:摩擦帯電量分布が、かなり良好である。 (3.0≦σ<4.0)
ランクC:摩擦帯電量分布が良好である。 (4.0≦σ<5.0)
ランクD:摩擦帯電量分布が悪い。 (σ>5.0)
なお、言うまでもないことであるが、トナーの摩擦帯電量分布が良好であることは、導電層における導電パスが良好に形成されていればいるほど良好な結果となる。
・導電性ブレードの画像評価
上記の導電性ブレードを現像ブレードとして、電子写真プロセスカートリッジ(商品名:37X黒トナーカートリッジ、HP社製)に取り付けた。このプロセスカートリッジをA4サイズの紙を出力可能な電子写真画像形成装置(商品名:HP LaserJet Enterprise M608dn、HP社製)に装着し、電子写真画像を形成した。その際、現像スリーブの金属部と現像ブレードの板金を電気的に接続した。A4サイズの紙上にベタ黒画像が形成された電子写真画像を3枚出力後、ハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)が形成された電子写真画像を1枚出力した。電子写真画像の出力は温度15℃、相対湿度10%の環境下で行った。画像中央部を目視で観察し、導電性ブレードの導電点のムラにより発生することのある、濃度ムラの有無、および、その程度を下記の基準により評価した。
ランクA:濃度ムラの発生が認められない。
ランクB:濃度ムラの発生が、かすかに認められる。
ランクC:濃度ムラの発生が認められる。
<実施例14>
実施例13において、未加硫ゴム混合物として実施例4で得られた未加硫ゴム混合物4を使用した。
それ以外は、実施例10と同様にして、導電性ブレードを作成し、各評価を行った。
なお、該導電性ブレードの電気抵抗は6.3×10Ωcmであった。
<実施例15>
実施例13において、未加硫ゴム混合物として実施例8で得られた未加硫ゴム混合物8を使用した。
それ以外は、実施例10と同様にして、導電性ブレードを作成し、各評価を行った。
なお、該導電性ブレードの電気抵抗は5.0×10Ωcmであった。
[比較例9]
実施例13において、未加硫ゴム混合物として比較例1で得られた未加硫ゴム混合物9を使用した。
それ以外は、実施例10と同様にして、導電性ブレードを作成し、各評価を行った。
なお、該導電性ブレードの電気抵抗は4.6×10Ωcmであった。
以下の表3に、実施例13~15ならびに比較例9における、ドメインの均一分散性の評価、各ドメインにおける導電性粒子のバラつきの評価、ドメインの形状の評価、ドメインの粒度分布の評価、使用した混合装置、断面における平均ドメインサイズ及び、導電性ブレード評価の各評価結果を示す。
Figure 0007225005000003
以下に、導電性ローラとして現像ローラに適用させた検討結果を示す。
<現像ローラの作製>
[実施例16]
(1.マスターバッチ16の製造)
[1-1.マスターバッチ16の調製]
表4に示す種類と量の各材料を加圧式ニーダーで混合しマスターバッチ16を得た。
Figure 0007225005000004
[1-2.未加硫ゴム組成物の調製]
表5に示す種類と量の各材料を加圧式ニーダーで混合して未加硫ゴム組成物を得た。
Figure 0007225005000005
表6に示す種類と量の各材料とをオープンロールにて混合し導電性部材成形用ゴム組成物16を調製した。
Figure 0007225005000006
(2.導電性部材の成形)
[2-1.導電性の軸芯体]
快削鋼の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した外径6mmの芯金を用意した。次にロールコーターを用いて、前記芯金の両端部15mmずつを除く範囲の全周にわたって、接着剤としてメタロックU-20(商品名、(株)東洋化学研究所製)を塗布した。本実施例において、前記接着剤を塗布した芯金を導電性の軸芯体として使用した。
次に、導電性の軸芯体の供給機構、及び未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド押出機の先端に内径16.0mmのダイスを取付け、押出機とクロスヘッドの温度を80℃に、導電性の軸芯体の搬送速度を60mm/secに調整した。この条件で、押出機より未加硫ゴム組成物を供給して、クロスヘッド内にて導電性の軸芯体の外周部を未加硫ゴム組成物で被覆し、未加硫ゴムローラを得た。
次に、170℃の熱風加硫炉中に前記未加硫ゴムローラを投入し、60分間加熱することで未加硫ゴム組成物を加硫し、導電性の軸芯体の外周部に導電性樹脂層が形成されたローラを得た。その後、導電性樹脂層の両端部を切除し、導電性樹脂層の表面を回転砥石で研磨した。これによって、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が12.0mm、中央部直径が12.2mmである現像ローラ100を得た。
得られた導電性ローラに対して、画質評価以外は実施例1と同様評価を行った。ここでは、下記のトナーの摩擦帯電量分布評価および現像ローラの画像評価(L/Lゴースト)を代わりとして追加している。
[トナーの摩擦帯電量分布評価]
トナーの摩擦帯電量の広がりを評価するために、摩擦帯電量分布を測定した。
各実施例および比較例に係る現像ローラをレーザープリンター(商品名:HP Color Laserjet Enterprise CP4515dn、HP社製)用のマゼンタトナーカートリッジに装填した。次いで、前記カートリッジを前記レーザープリンターに装填し、(高速系に変更)気温32℃、相対湿度85%RHの高温高湿環境中に設置した後、6時間以上放置した。次いで、サイズが14ポイントのアルファベットの「E」の文字が、A4サイズの紙の面積に対し被覆率が1%となるように印字されるような画像(以下、「E文字画像」ともいう)を所定枚数のコピー用紙に対して連続出力した後に、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力し、白ベタ画像の出力中にプリンターを停止した。
この際、現像ローラの、トナー規制ブレードと感光体当接位置に挟まれた部分のうち範囲が狭い部分に担持されたトナーについて、摩擦帯電量分布を測定した。
摩擦帯電量分布は、E-spart Analyzer Model EST-III(ホソカワミクロン社製)を用いて測定した。
なお、測定粒子個数は3000個程度とした。得られた摩擦帯電量分布から、標準偏差を算出し、100枚出力後に測定した値の標準偏差をトナーの初期摩擦帯電量分布とし、30000枚出力後に測定した値の標準偏差をトナーの耐久後摩擦帯電量分布とした。
トナーの摩擦帯電量分布の評価の評価基準は以下のとおりである。
ランクA:摩擦帯電量分布が極めて良好である。 (σ<3.0)
ランクB:摩擦帯電量分布が、かなり良好である。 (3.0≦σ<4.0)
ランクC:摩擦帯電量分布が良好である。 (4.0≦σ<5.0)
ランクD:摩擦帯電量分布が悪い。 (σ>5.0)
なお、言うまでもないことであるが、トナーの摩擦帯電量分布が良好であることは、導電層における導電パスが良好に形成されていればいるほど良好な結果となる。
・現像ローラの画像評価(L/Lゴースト)
レーザープリンター(商品名:LBP7700C、キヤノン社製)用のプロセスカートリッジに、各実施例および比較例で得られた現像ローラを、現像ローラとして装填した。そして、該プロセスカートリッジを前記レーザープリンターに組み込み、電子写真画像を形成した。A4サイズの紙上に、サイズが4ポイントのアルファベット「E」の文字が、印字濃度1%となるように形成された電子写真画像を7000枚出力した。
次いでゴースト画像の評価を行った。すなわち、ブラックトナーを用い、画像パターンとして1枚内で先端部に15mm角のベタ黒、その後に全面ハーフトーンの画像を印字した。次に、ハーフトーン部分に現れるトナー担持体周期の濃度ムラ(ゴースト)を目視で確認した。
ゴーストの評価の評価基準は以下のとおりである。
ランクA:ゴーストの発生が認められない。
ランクB:ゴーストの発生が、かすかに認められる。
ランクC:ゴーストの発生が認められる。
ランクD:ゴーストの発生が顕著に認められる。
[実施例17]
実施例7における未加硫ゴム混合物7(A練りゴム組成物)の混練時における、伸長せん断加工のスクリュウ回転数を850rpmにした以外は実施例7と同様に対応するB練りゴム組成物17を得た。その後、実施例16と同様にして現像ローラ評価用の導電性ローラを作製し、各評価を行った。
[実施例18]
実施例8における未加硫ゴム混合物8(A練りゴム組成物)の混練時における、伸長せん断加工のスクリュウ回転数を630rpmにした以外は実施例8と同様に対応するB練りゴム組成物18を得た。その後、実施例16と同様にして現像ローラ評価用の導電性ローラを作製し、各評価を行った。
[比較例10]
比較例1と同様に対応するB練りゴム組成物を得た。その後、実施例16と同様にして現像ローラ評価用の導電性ローラを作製し、各評価を行った。
表7に、現像ローラに適用させた検討結果を示す。
Figure 0007225005000007
1 導電性部材
11 導電性軸体
12 導電層
13 第1の立方体形状
14 単位立方体
21 単位立方体
22 マトリックス
23 ドメイン
24 導電性粒子

Claims (8)

  1. 第1のゴムの架橋物を含むマトリックスと、
    該マトリックスに分散されている複数個のドメインと、を有する導電層を有する電子写真用の導電性部材であって、
    該ドメインの各々は、第2のゴムの架橋物と導電性粒子とを含んでおり、
    該第1のゴムは、該第2のゴムとは異なり、
    該導電層の厚み方向の断面に現れる該ドメインの各々の断面積に対する該ドメインの各々が含む該導電性粒子の断面積の割合の平均値をμとし、該割合の標準偏差をσとしたとき、σ/μが、0以上、0.4以下であり、
    該μが、20%以上、40%以下であり、かつ、
    該導電層の任意の9箇所からサンプリングされる、一辺が9μmの第1の立方体形状のサンプルのうち、少なくとも8個のサンプルは、下記条件(1)を満たすことを特徴とする電子写真用の導電性部材:
    条件(1)
    1個のサンプルを、27個の、一辺が3μmの単位立方体に区分し、該単位立方体の各々に含まれる前記ドメインの体積Vdを求めたとき、Vdが2.7~10.8μmである単位立方体の数が少なくとも20個であること。
  2. 前記σ/μが、0以上、0.25以下である請求項1に記載の電子写真用の導電性部材。
  3. 前記導電層の厚み方向の断面に現れる、該ドメインのうちの、真円度が1以上2未満であるドメインの個数割合が70%以上である請求項1または2に記載の電子写真用の導電性部材。
  4. 前記導電層の厚み方向の断面に現れる前記ドメインの総個数をL1とし、
    該ドメインのうち、該断面において測定される面積が3.0×10nm2以上、1.2×10nm2未満であるドメインの個数をL2とし、面積が、1.2×10nm2以上であるドメインの個数をL3、としたとき、
    L1、L2及びL3が下記関係式(1)及び(2)を満たす請求項1~3のいずれか一項に記載の電子写真用の導電性部材:
    関係式(1)
    80≦100×L2/L1≦100;
    関係式(2)
    0≦100×L3/L1≦20以下。
  5. 前記電子写真用の導電性部材が、帯電ローラまたは転写ローラであって、
    円柱状または円筒状の導電性の基体と、該基体の外周面上の前記導電層とを有する請求項1~4のいずれか一項に記載の電子写真用の導電性部材。
  6. 前記電子写真用の導電性部材が、導電性ブレードであって、
    板金と、該板金の少なくとも一部の表面を被覆する前記導電層とを有する請求項1~4のいずれか一項に記載の電子写真用の導電性部材。
  7. 前記電子写真用の導電性部材が、現像ローラであって、
    円柱状または円筒状の導電性の基体と、該基体の外周面上の前記導電層とを有する請求項1~4のいずれか一項に記載の電子写真用の導電性部材。
  8. 請求項5または7に記載の電子写真用の導電性部材の製造方法であって、
    (1)前記第1のゴムの原料としての第1の未加硫ゴムと、前記第2のゴムの原料としての第2の未加硫ゴムと、前記導電性粒子とを含む未加硫ゴム混合物を、伸長せん断スクリュウを備えた混練機を用いて混練し、未加硫ゴム混練物を得る工程と
    (2)該未加硫ゴム混練物の層を前記導電性の基体の外周面上に形成する工程と
    (3)該未加硫ゴム混練物の層中の該第1の未加硫ゴム及び該第2の未加硫ゴムを加硫させて、前記導電層を得る工程と
    を有することを特徴とする導電性部材の製造方法。
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