以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり、実際の発光装置における、寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±3°程度の範囲にある場合を含む。また、上面視等の用語は、対象となる部材以外の部材を透過したときの上から見た面、状態または構造を指す場合がある。
(実施形態1)
図1Aは発光装置100の模式的上面図であり、図1Bは発光装置100の模式的下面図であり、図1C~図1Fは発光装置100の模式的側面図である。また、図2において、図中の上側にある図は図1A中のII-II線における発光装置100の模式的端面図であり、下側にある図は基板10のみを示す模式的上面図である。図2中の下側にある図において、IIA-IIA線は、図1A中のII-II線に対応する。
発光装置100は、基材11、一対の第1配線111、一対の第2配線112および一対の第3配線113を備える基板10と、基板10の上面上に配置された発光素子20とを備える。実施形態1に係る発光装置100は、さらに発光素子20の上面上に配置された透光性部材50と、発光素子20の側面に配置された導光部材40と、導光部材40の外面を覆う光反射性部材30とを備える。
発光装置100は、基板10を有する。基板10は、発光素子20を配置するための部材である。基板10は、上面10aと、上面10aの反対側に位置する下面10bと、上面10aと隣接し、上面10aと直交する第1側面101とを有する。本明細書において、基板10の上面10aは基板10を上から見たときの面全体を指し、基板10の下面10bは基板10を下から見たときの面全体を指す。実施形態1に係る発光装置100は、さらに、第1側面101の反対側に位置する第2側面102と、第3側面103と、第3側面103の反対側に位置する第4側面104を有する。
発光装置100は、基板10の下面10bと実装基板とが対向して配置される上面発光型(トップビュータイプ)の発光装置と、基板10の第1側面101と実装基板とが対向して配置される側面発光型(サイドビュータイプ)の発光装置の何れであってもよい。実施形態1に係る発光装置100では、発光装置100が側面発光型の発光装置である場合を例にとって説明する。
基板10は、基材11と、基材11の上面に配置された一対の第1配線111と、基材11の下面に配置された一対の第2配線112と、一対の第1配線111および一対の第2配線112と接する一対の第3配線113を備える。基材11は、発光素子20からの熱を効率的に放熱するために、例えば、放熱性の高い絶縁性の部材が用いられる。基材11として、例えば、繊維強化樹脂等の樹脂部材を用いることができる。第1配線111および第2配線112は、導電性を有し、発光素子20に給電するための電極として機能する。また、第3配線113は、第1配線111と第2配線112とを電気的に接続し、さらに発光素子20からの熱を第1配線111から第2配線112に伝搬させる役割を有する。第1配線111、第2配線112および第3配線113は、例えば放熱性の高い銅や銅合金等を母材として用いることができる。
図2で示すように、一対の第1配線111は、上面に一対の凸部111aを有する。一対の凸部111aは、その上に発光素子20が配置される。実施形態1に係る発光装置100では、一の面に第1電極20aおよび第2電極20bを有する発光素子20を一対の凸部111a上にフリップチップ実装している。換言すると、発光素子20は、発光素子20の第1電極20aの下面および第2電極20bの下面が一対の凸部111aの上面と対向するように配置されている。一対の凸部111aの上面の平面形状は、第1電極20aおよび第2電極20bの下面の平面形状と略同じ形状であることが好ましい。例えば、凸部111a、第1電極20aおよび第2電極20bの平面形状は、それぞれの対応する辺が略同じ長さ(誤差は±20%以下であり、好ましくは±10%以下である)を有する矩形状とすることができる。これにより、導電性の接合部材(図示せず)を介して一対の凸部111a上に発光素子20を配置する際に、発光素子20にセルフアライメントが効果的に働き、発光素子20の実装精度を向上させることができる。また、凸部111aは、銅や銅合金等の放熱性の高い母材と、母材上に形成された金等の金属層を備えることができる。これにより、発光素子20からの熱を放熱しつつ、母材の劣化等を効果的に抑制することができる。
基板10は、第1側面101と下面10bとに開口する窪み16を有する。窪み16は、後述する実装基板上に発光装置100を実装する際に、内側に接合部材が配置される。基板10が窪み16を有することで、特に発光装置100の第1側面101および下面10bにおいて、発光装置100と実装基板との接合強度を向上させることができる。また、第3配線113は、窪み16の内壁に位置する。つまり、実装基板上に発光装置100を実装する際に、窪み16内の接合部材と第3配線113とは直接接することになる。これにより、実装基板から供給される電流は、導電性の接合部材を介して第3配線113から発光素子20に伝搬される。また、第3配線113は、接合部材を介して発光素子20が発する熱を実装基板側へ放熱することができる。なお、発光装置100および実装基板は、半田等の接合部材に加えて後述するエポキシ樹脂等の接着部材を用いて接合することができる。
第3配線113は、第1配線111および第2配線112の双方に接し、第1配線111と第2配線112とを電気的に接続する。第3配線113は、窪み16の内壁の一部のみに位置していてもよく、また、窪み16の内壁の全てに位置していてもよい。実施形態1に係る発光装置100では、第3配線113は、窪み16の内壁の全てに位置している。第3配線113が窪み16の内壁の全てに位置することで、第3配線113から発光素子20等が発する熱を効果的に放熱することができる。窪み16は、例えば、基材11にドリルやレーザ等の公知の方法で孔を形成し、孔の内表面に第3配線113となる金属層をめっき法等により設けることによって形成される。
図3は、基板10のみの状態を示す模式的上面図であり、凸部111aと窪み16との位置関係を示す。図3において、破線を施した部分は窪み16を示し、ハッチングを施した部分は凸部111aと窪み16とが重なる領域を示す。凸部111aは、上面視において、窪み16と重なる第1領域Xと、窪み16と重ならない第2領域Yとを有する。換言すると、上面視において、凸部111aと窪み16とは部分的に重なる。
凸部111aが窪み16と重ならない第2領域Yを有し、凸部111aと窪み16とが完全に重ならないことで、凸部111aの直下近傍における発光装置の強度の低下を抑制することができる。これにより、発光装置に外部からの応力がかかった場合に、凸部111a上に配置された発光素子20に応力が集中し、発光素子20が破損してしまう等の不具合を容易に抑制することができる。また、凸部111aが窪み16と重なる第1領域Xを有することで、凸部111a上に配置される発光素子20と、放熱の主な放出口となる窪み16との距離を小さくすることができ、発光素子20が発する熱の放熱経路を短くすることができる。これにより、発光装置の放熱性を向上させることができる。
第1領域Xの面積は、例えば、上面視における凸部111aの面積の1%以上であり、3%以上であることが好ましい。これにより、発光素子20が発する熱を効果的に放熱することができる。また、第1領域Xの面積は、例えば、上面視における凸部111aの面積の50%以下であり、30%以下であることが好ましい。これにより、凸部111aの直下近傍における発光装置の強度の低下を効果的に抑制することができる。
なお、窪み16が後述する天面16bを有する場合、凸部111aは、上面視において、窪み16の天面16bと重ならないことが好ましい。これにより、発光素子20の直下に位置する基板10の強度が低下することを抑制でき、例えば、発光素子20に応力が加わったとしても発光素子20等が破損してしまう可能性を低減することができる。
窪み16は、第3側面103および第4側面104から離隔していることが好ましい。換言すると、窪み16は、第3側面103および第4側面104において開口しないことが好ましい。窪み16が第3側面103および第4側面104に開口していると、窪み16内に配置される接合部材が第3側面103および第4側面104の外側にも配置され、接合部材を含んだ発光装置の実装面積が大きくなる傾向がある。一方、窪み16が第3側面103等において開口していない場合は、第3側面103等の外側に接合部材が配置されないため、接合部材を含んだ発光装置の実装面積を小さくすることができる。特に、一の発光装置の第3側面103と隣接する他の発光装置の第4側面104とが対向するように複数の発光装置を配置する場合、発光装置間の距離を短くすることができるため、発光装置間の暗部となる領域を減らすことができる等の効果を有する。なお、例えば、実装基板上における発光装置の実装面積を十分に確保することができる場合は、窪み16は第3側面103および第4側面104において開口していてもよい。これにより、第3側面103側および第4側面104側の双方において接合部材から第1方向に引っ張られる応力が働くため、発光装置100の位置精度を向上させることができる。
実施形態1に係る発光装置100では、窪み16は、側面16aと天面16bを有している。図2で示すように、側面16aは、窪み16の天面16bから窪み16の開口に向かって広がるように傾斜している。基板10の上面10aと垂直な方向の発光装置100の断面において、窪み16は台形形状になっている。これにより、発光装置100に発光面側からの応力がかかった場合に、窪み16内の接合部材が側面16aで引っかかるため、発光装置100と実装基板との固定が保たれる。その結果、例えば、窪み16の近傍に位置する凸部111a等が位置ずれを起こし、凸部111a上に配置される発光素子20が破損する等の不良を低減することができる。なお、側面発光型の発光装置100における発光面側からの応力としては、例えば、発光装置100をエッジ型のバックライト用の光源として用いる場合に、導光板の端面の一部と発光装置100の上面とが接することにより発生する応力が挙げられる。窪み16の側面16aと天面16bとで形成される角度θは、例えば、92°~120°であり、94°~104°であることが好ましい。
次に、図1Bに戻って、下面視における窪み16の開口形状について説明する。窪み16の開口径は、下面視において、第3側面103から第4側面104に向かう方向(以下、第1方向Pという)の幅が第1側面101から第2側面102に向かう方向(以下、第2方向Qという)の奥行きよりも長いことが好ましい。図1Bで示す窪み16の開口形状は、第1方向Pに長い長方形状となっている。これにより、窪み16内に配置される接合部材が窪み16の第2方向Qに延びる内壁に比べて第1方向Pに延びる内壁と接合する面積が大きくなるため、半田等の接合部材を用いて発光装置100を実装基板上に実装する際に、発光装置100にツームストーン現象が起きたり、発光装置100の発光面となる上面100aが傾斜した状態で発光装置100が配置されたりする可能性を低減することができる。第1方向Pにおける開口径は、例えば、第2方向Qにおける開口径の1.1倍以上であり、好ましくは1.5倍以上である。
また、第1方向Pにおいて、窪み16の開口の最大幅は、例えば、基板10の幅の0.1倍以上0.4倍以下であり、0.15倍以上0.25倍であることが好ましい。第1方向Pにおいて、開口の最大幅が基板10の幅の0.1倍以上であることで、窪み16内に配置される接合部材の量を大きくすることができ、発光装置100と実装基板との接合強度を向上させることができる。また、第1方向Pにおいて、開口の最大幅が基板10の幅の0.4倍以下であることで、基板10の強度低下を抑制することができる。また、一対の窪み16間の離隔距離は、例えば、0.3mm以上であり、0.5mm以上であることが好ましい。これにより、一対の窪み16の間に後述する接着部材を容易に配置することができる。
また、第2方向Qにおいて、窪み16の開口の奥行きは、例えば、基板10の奥行きの0.2倍以上0.5倍以下であり、0.3倍以上0.4倍以下であることで好ましい。第2方向Qにおいて、開口の奥行きが基板10の奥行きの0.2倍以上であることで、窪み16内に配置される接合部材の量を大きくすることができ、発光装置100と実装基板との接合強度を向上させることができる。また、第2方向Qにおいて、開口の奥行きが基板10の奥行きの0.5倍以下であることで、基板10の強度低下を抑制することができる。
また、図1Cで示すように、第1方向Pおよび第2方向Qと垂直な方向である第3方向Rにおいて、窪み16の最大深さは、基板10の高さの0.5倍以上0.98倍以下であることが好ましい。第3方向Rにおける基板10の高さとは、凸部111aの上面から、第2配線112の下面までの距離をいう。第3方向Rにおいて、窪み16の最大深さが基板10の高さの0.5倍以上であることで、窪み16内に配置される接合部材の量を大きくすることができ、発光装置100と実装基板との接合強度を向上させることができる。また、第3方向Rにおいて、窪み16の最大深さが基板10の高さの0.98倍以下であることで、基板10の強度低下を抑制することができる。なお、窪み16は、第3方向Rにおいて、基板10の基材11を貫通している。
また、基板10の窪み16に対応する基材11の窪み部は、表面に微小な凹凸を有することが好ましい。これにより、基材11の窪み部の表面と、窪み部の表面上に形成される第3配線113との密着面積が増え、基材11と第3配線113との密着性が向上する。このような微小な凹凸は、例えば、基材11に窪み部を形成した後に、溶剤等を用いて内壁の表面に表面加工を施すことにより形成することができる。このような表面加工として、デスミア処理、エッチング処理等を挙げることができる。
また、図2で示すように、実施形態1に係る発光装置100は、さらに発光素子20の上面上に配置された透光性部材50と、発光素子20の側面に配置された導光部材40と、導光部材40の外面を覆う光反射性部材30とを備える。透光性部材50内には、波長変換粒子を含有させることができる。
導光部材40は、発光素子20の側面を被覆し、発光素子20の側面から出射される光を発光装置100の上面方向に導光する。発光素子20の側面に導光部材40を配置することで、発光素子20の側面に到達した光の一部が該側面で反射され発光素子20内で減衰することを抑制することができる。図2で示す発光装置100では、導光部材40は、発光素子20の側面に加えて上面も被覆している。導光部材40は、例えば、樹脂材料を母材として含む部材である。樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの透光性の樹脂を好適に用いることができる。なお、導光部材40は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、導光部材40は、光を反射、吸収又は散乱する物質は有していないことが好ましい。導光部材40は、光反射性部材30よりも発光素子20からの光の透過率が高い部材が選択される。
光反射性部材30は、発光装置100の外表面の一部を構成する。実施形態1に係る発光装置100では、光反射性部材30は、上面10a、第1側面101、第2側面102、第3側面103および第4側面104に位置している。また、光反射性部材30は、発光素子20の側面に設けられた導光部材40の外面と、発光素子20の側面の一部と、基板10の上面とを被覆している。光反射性部材30が発光素子20の側方に位置することで、発光素子20から発光素子20の側方に進む光を光反射性部材30で反射することができ、上方向に効率的に光を取り出すことができる。光反射性部材30は、発光素子20の下面も被覆することが好ましい。これにより、例えば、発光素子20から下方に出射される光を上方に反射させることができる。また、発光素子20の下面を光反射性部材30が被覆することで、発光素子20と光反射性部材30との密着強度を向上させることができる。
光反射性部材30は、例えば、導光部材40と発光素子20との熱膨張率差(これを「第1の熱膨張率差ΔT30」と称する)と、光反射性部材30と発光素子20との熱膨張率差(これを「第2の熱膨張率差ΔT40」と称する)とを比較したときに、ΔT40<ΔT30となるように、光反射性部材30の材料を選択することが好ましい。これにより、導光部材40が発光素子20から剥離することを抑制することができる。
実施形態1に係る発光装置100は、発光装置100の外側面において、光反射性部材30と、基板10の第1側面101、第2側面102、第3側面103および第4側面104とが略同一面になっている。これにより、発光装置100を実装基板に実装する際に、発光装置100の占有面積を小さくすることができる。
また、図3に示すように、第1側面101側に位置する光反射性部材30の側面30aは、第1側面101から第2側面102に向かう方向において発光装置100の内側に傾斜していることが好ましい。これにより、発光装置100を実装基板に実装する際に、光反射性部材30の側面30aと実装基板との接触が抑えられ、その結果、発光装置100の実装姿勢を安定させることができる。また、第2側面102側に位置する光反射性部材30の側面30bは、第2側面102から第1側面101に向かう方向において発光装置100の内側に傾斜していることが好ましい。これにより、吸着ノズル(コレット)との接触が主に基材11となり、吸着ノズルと光反射性部材30の側面30bとの接触が抑制されるため、発光装置100を吸着した時の光反射性部材30の損傷を抑制することができる。光反射性部材30の側面30aまたは側面30bと、基板10の側面とで形成される角度θは、適宜選択できるが、0.3°以上3°以下であることが好ましく、0.5°以上2°以下であることがより好ましく、0.7°以上1.5°以下であることがさらに好ましい。これにより、発光装置の実装安定性や光反射性部材の損傷を抑制しつつ、発光装置の強度の低下を抑制することができる。
発光装置100は、発光素子20の上面上に透光性部材50を備えることができる。発光素子20の上面上に透光性部材50を配置することで、外部応力から発光素子20を保護することができる。発光装置100が透光性部材50を備える場合は、透光性部材50の側面は、光反射性部材30に被覆されることが好ましい。これにより、発光領域と非発光領域とのコントラストが高くなり、見切り性の良好な発光装置とすることができる。
透光性部材50は波長変換粒子51を含むことができる。波長変換粒子51は、発光素子20が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。透光性部材50に波長変換粒子51を含有させることにより、発光素子20が発する一次光と、波長変換粒子51が発する二次光とが混色された混色光を出力することができる。
波長変換粒子51は透光性部材50中に均一に分散させてもよく、また、透光性部材50の上面よりも発光素子20の近傍に波長変換粒子51を偏在させてもよい。透光性部材50の上面よりも発光素子20の近傍に波長変換粒子51を偏在させることで、水分に弱い波長変換粒子51の水分による劣化を容易に抑制することができる。水分に弱い波長変換粒子51としては、例えばマンガン賦活フッ化物系蛍光体を挙げることができる。マンガン賦活フッ化物系蛍光体は、スペクトル線幅の比較的狭い発光が得られるため、色再現性の観点において好ましい蛍光体である。波長変換粒子51は、1種の波長変換粒子であってもよく、また複数種の波長変換粒子であってもよい。
図4Aは実装基板500のみを示す模式的上面図であり、図4Bは実装基板500上に発光装置100が配置された光源装置800を上面側(発光装置100の第2側面102側)から見たときの模式的上面図であり、図4Cは光源装置800を正面側(発光装置100の上面100a側)から見たときの模式的正面図である。図4Bおよび図4Cにおいて、接合部材6および接着部材7のうち外観に現れる部分にはハッチングを施している。光源装置800においても、発光装置100が側面発光型の発光装置である場合を例にとって説明する。発光装置100は、基板10の第1側面101側が実装面となるように実装基板500上に実装されている。図4Bおよび図4Cで示す発光装置100では、基板10の上面側が正面となり、基板10の下面10b側が背面となり、基板10の第1側面101側が底面となっている。そのため、図4Bおよび図4Cで示す発光装置100において、例えば、基板10の下面10bを背面10bに、第1側面101を底面101と言い換えて説明する場合がある。
実装基板500は、図4Aで示すように、基材と基材上に形成される配線パターン500aとを有する。実装基板500は、例えば、長手方向および短手方向を有する長尺状の部材である。実装基板500上には、複数の発光装置100を配置することができ、複数の発光装置100は、好適には実装基板500の長手方向に沿って実装基板500上に配置される。
発光装置100と実装基板500とは、発光装置100の窪み16内に配置される接合部材6により主に接合される。図4Bおよび図4Cにおいて、窪み16内には接合部材6が配置されている。接合部材6は、導電性を有し、例えば、半田等の部材が用いられる。また、発光装置100と実装基板500とは、窪み16内に配置される接合部材6とは別に、さらに接着部材7を用いて接合することができる。図4Bおよび図4Cで示す光源装置800では、接着部材7は、基板10の第1側面101(底面101)と実装基板500の上面とを接合している。接合部材6に加えて接着部材7を用いることで、発光装置100と実装基板500との接合強度をより強固にすることができる。
基板10の第1側面101(底面101)において、接着部材7が接する領域は、2つの窪み16の間に位置することが好ましい。これにより、接合部材6として導電性の接合材料を用い、かつ、接着部材7として絶縁性の接着材料を用いた場合に、例えば、一の窪み16内に位置する接合部材6と他の窪み16内に位置する接合部材6とが意図せず接することを抑制することができる。つまり、基板10の第1側面101(底面101)において、2つの窪み16の間に絶縁性の接着部材7を配置することで、各端子の電気的な短絡を容易に抑制することができる。また、接着部材7が接合部材6よりも外側に位置しないことで、接着部材7が第3側面103および第4側面104の外側に流れ込むことを抑制することができる。特に、接着部材7となる材料の粘度が接合部材6となる材料の粘度よりも低い場合に特に有用である。これにより、接着部材7等を含んだ発光装置100の実装面積を小さくすることができる。
接着部材7は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂材料を用いることができる。接着部材7として樹脂材料を用いることで、例えば、基板10の基材11が樹脂材料に対する濡れ性が高い部材である場合、接着部材7と基板10との接合強度を高くすることができる。また、基板10の第1側面101(底面101)において、接着部材7は基材11のみと接していてよい。
接合部材6および接着部材7を用いた接合方法の例としては、まず実装基板500上の所定の位置に2つの接合部材6となる材料(以下、単に接合材料という)を印刷法等により配置する。2つの接合材料の離隔距離は、発光装置100の2つの窪み16の離隔距離と略等しくなるように設定される。次に、実装基板500を上から見たときに、2つの接合材料の間にディスペンサ等により接着部材7となる樹脂材料を配置する。配置される樹脂材料は1つでもよく、また2つ以上であってもよい。次に、発光装置100を実装基板500上に配置する。発光装置100は、窪み16内に上記の接合材料が位置するように配置される。この時、実装基板500を上から見た時に、接合部材6の少なくとも一部が窪み16の外側に位置することが好ましい。これにより、発光装置100と実装基板500との接合強度を向上させることができる。なお、接合部材6は窪み16の内側にのみ位置していてもよい。これにより、発光装置100の背面10bの外側に接合部材6が配置しないため、接合部材6を含めた発光装置100の実装領域を小さくすることができる。次に、リフロー等により接合材料および樹脂材料に熱を加える。これにより、発光装置100と実装基板500とが接合部材6および接着部材7により強固に接合される。
以下、本発明の一実施形態に係る発光装置100および光源装置800の各構成要素について説明する。
(基板10)
基板10は、発光素子を載置するための部材である。基板10は、基材11と、一対の第1配線111と、一対の第2配線112と、一対の第3配線113と、窪み16とを有する。
(基材11)
基材11は、母材として、樹脂若しくは繊維強化樹脂、セラミックス、ガラスなどの絶縁性部材を用いることができる。樹脂若しくは繊維強化樹脂としては、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ、ビスマレイミドトリアジン(BT)、ポリイミドなどが挙げられる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、若しくはこれらの混合物などが挙げられる。基材11は、これらの材料のうち、発光素子20の線膨張係数に近い線膨張係数を有する材料から選択することが好ましい。基材11の厚みは、適宜選択できるが、基材11の強度を確保するという観点から、0.05mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。また、基材11の厚みは、発光装置の総厚を小さくするという観点から、0.5mm以下であることが好ましく、0.4mm以下であることがより好ましい。
(第1配線111、第2配線112、第3配線113)
第1配線111は、基材11の上面に配置され、発光素子20と電気的に接続される。第2配線112は、基材11の下面に配置される。第3配線113は、第1配線111と第2配線112とに接し、それぞれの配線を電気的に接続する。また、第3配線113は、窪み16の内壁に位置する。第1配線111、第2配線112および第3配線113は、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウム、ロジウム、又はこれらの合金で形成することができる。また、各配線は、これらの金属又は合金が単層として形成されていてもよく、また、これらの金属又は合金が多層として形成されていてもよい。特に、各配線は、放熱性が良好な銅又は銅合金を含むことが好ましい。また、第1配線111及び/又は第2配線112は、導電性の接合部材の濡れ性、光反射性または硫化耐性等を向上させるために、銀、白金、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ロジウム、金若しくはこれらの合金などの金属層を表面に有していてもよい。
第1配線111は、上面に凸部111aを有する。凸部111a上には、発光素子20が配置される。第1配線111は、配線本体と凸部111aを有することができる。配線本体および凸部111aは、一体であってもよく、別体であってもよい。配線本体および凸部111aが別体である場合は、例えば、配線本体を形成した後に、別の工程で配線本体の上に凸部111aを形成することができる。凸部111aは、放熱性が良好な銅又は銅合金を含むことが好ましい。また、凸部111aは、光反射性または硫化耐性等を向上させるために、銀、白金、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ロジウム、金若しくはこれらの合金などの金属層を表面に有していてもよい。
特に、凸部111aを含む第1配線111および第2配線112は、銅又は銅合金を含む母材と、母材上に形成されたリンを含むニッケルめっきと、ニッケルめっき上に形成されたパラジウムめっきと、パラジウムめっき上に形成された第1金めっきと、第1金めっき上に形成された第2金めっき120と、を備えることが好ましい。ニッケルはリンを含むことで硬度が向上するため、第1配線111および第2配線112がリンを含むニッケルめっきを備えることで、第1配線111および第2配線112の硬度が向上する。これにより、複数の発光装置100を備える集合基板から各発光装置に個片化する場合に、第1配線111等において切断バリが発生しにくいという効果を有する。また、銅又は銅合金を含む母材上に上記のめっきを積層することで、銅または銅合金に含まれる銅成分が拡散することを抑制することができる。これにより、めっき層それぞれの密着性の低下を抑制することができる。また、めっきの最表面に金めっきが位置することで、第1配線111等の表面における酸化や硫化等の腐食を抑制することができる。また、第1金めっきは無電解めっき法で形成し、第2金めっきは電解めっき法で形成することができる。最表面に位置する第2金めっきを電解めっき法により形成することで、第2金めっき内の硫黄等の触媒毒の含有を少なくすることができる。これにより、光反射性部材30として白金系触媒を用いた付加反応型シリコーン樹脂を用いた場合に、触媒内の白金と第2金めっき内の硫黄等が反応することを抑制できるため、白金系触媒を用いた付加反応型シリコーン樹脂が硬化不良を起こすことを抑制することができる。
(発光素子20)
発光素子20は、例えばLEDチップである。発光素子20は、例えば、紫外~可視域の発光が可能な窒化物半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含む半導体積層構造を有し得る。発光素子20の発光ピーク波長は、発光装置の発光効率、波長変換粒子の励起スペクトル及び混色性等を考慮して、400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましく、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。
発光素子は1つでもよく、2つ以上でもよい。発光素子が複数ある場合は、複数の発光素子は、例えば、青色光を出射する複数の青色発光素子、青色光、緑色光および赤色光をそれぞれ出射する3つの発光素子、または、青色光を出射する発光素子と緑色光を出射する発光素子とを組み合わせたものを用いることができる。発光装置100を液晶表示装置等の光源として用いる場合、発光素子として、青色光を出射する1つの発光素子、青色光を出射する2つの発光素子、青色光を出射する3つ以上の発光素子、または、青色光を出射する発光素子と緑色光を出射する発光素子とを組み合わせたものを用いることが好ましい。青色光を出射する発光素子と緑色光を出射する発光素子は、いずれも半値幅が40nm以下の発光素子を用いることが好ましく、半値幅が30nm以下の発光素子を用いることがより好ましい。これにより、青色光および緑色光が容易に鋭いピークを持つことができる。その結果、例えば、発光装置を液晶表示装置等の光源として用いる場合、液晶表示装置は高い色再現性を達成することができる。また、複数の発光素子は、直列、並列、または直列と並列を組み合わせた接続方法で電気的に接続することができる。
発光素子20の平面形状は、特に限定されないが、正方形状や一方向に長い長方形状とすることができる。また、発光素子20の平面形状として、六角形状やその他の多角形状としてもよい。発光素子20は、第1電極20aおよび第2電極20bの正負電極を有する。正負電極は、金、銀、銅、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金で構成することができる。発光素子20の側面は、発光素子20の上面に対して垂直であってもよいし、内側又は外側に傾斜していてもよい。
(透光性部材50)
透光性部材50は発光素子20上に設けられ、発光素子20を保護する部材である。透光性部材50は、単層であってもよく多層であってもよい。透光性部材50が複数の層を有する場合、各層の母材は同じであってもよく、異なっていてもよい。
透光性部材50の母材としては、発光素子20の光に対して透光性を有するものが用いられる。本明細書において透光性を有するとは、発光素子20の発光ピーク波長における光透過率が、60%以上であることを指し、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。透光性部材50の母材は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂を用いることができる。また、透光性部材50の母材はガラスであってもよい。特に、シリコーン樹脂及びエポキシ樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れるため好適に用いられる。シリコーン樹脂としては、ジメチルシリコーン樹脂、フェニル-メチルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂などが挙げられる。なお、本明細書における変性樹脂とは、ハイブリッド樹脂を含む。
透光性部材50は、光拡散粒子を含有していてもよい。光拡散粒子としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。光拡散粒子は、これらのうちの1種を単独で、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、光拡散粒子として、線膨張係数の小さい酸化珪素を用いることが好ましい。また、光拡散粒子として、ナノ粒子を用いることが好ましい。これにより、発光素子が発する光の散乱が増大し、波長変換粒子の使用量を低減することができる。なお、ナノ粒子とは粒径が1nm以上100nm以下の粒子のことをいう。また、本明細書における粒径とは、主にD50で定義される。
透光性部材50は、波長変換粒子51を含むことができる。波長変換粒子51は、発光素子が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。波長変換粒子51は、以下に示す蛍光体のうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
波長変換粒子51としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばY3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばLu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばTb3(Al,Ga)5O12:Ce)、シリケート系蛍光体(例えば(Ba,Sr)2SiO4:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えばCa8Mg(SiO4)4Cl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えばSi6-zAlzOzN8-z:Eu(0<z<4.2))、SGS系蛍光体(例えばSrGa2S4:Eu)、アルカリ土類アルミネート系蛍光体(例えば(Ba,Sr,Ca)MgxAl10O17-x:Eu,Mn)、αサイアロン系蛍光体(例えばMz(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素)、窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)、マンガン賦活フッ化物系蛍光体(一般式(I)A2[M1-aMnaF6]で表される蛍光体(但し、上記一般式(I)中、Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNH4からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、aは0<a<0.2を満たす))が挙げられる。イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体は、Yの一部をGdで置換することで発光ピーク波長を長波長側にシフトさせることができる。また、マンガン賦活フッ化物系蛍光体の代表例としては、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体(例えばK2SiF6:Mn)が挙げられる。
また、透光性部材50は、波長変換粒子51と例えばアルミナなどの無機物との焼結体、又は波長変換粒子51の板状結晶であってもよい。
(光反射性部材30)
光反射性部材30は、発光装置100の上面方向への光取り出し効率の観点から、発光素子20の発光ピーク波長における光反射率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。さらに、光反射性部材30は、白色であることが好ましい。光反射性部材30は、母材となる樹脂材料に光反射性物質を含有することができる。光反射性部材30は、液体状の樹脂材料を固体化することにより得ることができる。光反射性部材30は、トランスファ成形、射出成形、圧縮成形またはポッティング法などにより形成することができる。
光反射性部材30は、母材として樹脂材料を含むことができる。母材となる樹脂材料は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂等の硬化体、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等の樹脂を用いることができる。特に、光反射性部材30の樹脂材料として、耐熱性および耐光性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
光反射性部材30は、上記の母材となる樹脂材料に、光反射性物質を含有することが好ましい。光反射性物質としては、発光素子からの光を吸収しにくく、且つ、母材となる樹脂材料に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。このような光反射性物質は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等である。
(導光部材40)
導光部材40は、発光素子20の側面を被覆し、発光素子20の側面から出射される光を発光装置の上面方向に導光する。つまり、発光素子20の側面に到達した光の一部は側面で反射され発光素子20内で減衰するが、導光部材40はその光を導光部材40を通して発光素子20の外側に取り出すことができる。導光部材40は、光反射性部材30で例示した樹脂材料を用いることができる。特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であることが好ましい。導光部材40は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、導光部材40に、光を反射、吸収又は散乱する添加物は実質的に含有しないことが好ましい。添加物を実質的に含有しないとは、添加物が不可避的に混入することを排除しないことを意味する。なお、導光部材40は、上述の透光性部材50と同様の光拡散粒子及び/又は波長変換粒子を含有してもよい。
光反射性部材30、導光部材40および透光性部材50は、母材となる樹脂材料としてエポキシ樹脂を選択することができる。固体化した際にシリコーン樹脂よりも強度の高いエポキシ樹脂を選択することで、発光装置100の強度を向上させることができる。また、各部材の母材を同一種の樹脂材料で形成することで、各部材の密着強度を向上させることができる。また、接着部材7としてエポキシ樹脂を選択した場合、接着部材7と光反射性部材30等との接合強度を向上させることができる。
(実装基板500)
実装基板500は、ガラスエポキシ樹脂、セラミック又はポリイミドなどからなる板状の母材を備えている。また、実装基板500は、母材上に、銅、金、銀、ニッケル、パラジウム、タングステン、クロム、チタン、又はこれらの合金などからなるランド部や配線パターンを備えている。ランド部や配線パターンは例えばメッキ、積層圧着、貼り付け、スパッタ、蒸着、エッチングなどの方法を用いて形成される。
(接合部材6)
接合部材6は、当該分野で公知の材料のいずれをも用いることができる。具体的には、接合部材6は、例えば、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系等の半田(具体的には、AgとCuとSnとを主成分とする合金、CuとSnとを主成分とする合金、BiとSnとを主成分とする合金等)、共晶合金(AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等)、銀、金、パラジウム等の導電性ペースト、バンプ、異方性導電材、低融点金属等のろう材等が挙げられる。
(接着部材7)
接着部材7は、例えば、透光性部材50で列挙したエポキシ樹脂等の樹脂材料や接合部材6で列挙した部材を用いることができる。接合部材6および接着部材7は、同一の部材であってもよく、別の部材であってもよい。接合部材6および接着部材7が異なる部材である場合、接合部材6は導電性の材料である半田を選択し、接着部材7はエポキシ樹脂等の樹脂材料を選択することができる。
(実施形態2)
図5Aは実施形態2に係る発光装置200の模式的端面図であり、図5Bは図5Aの破線で囲まれた部分を拡大した部分拡大図である。発光装置200は、第1配線111の配線本体が複数の配線層を含む点と、第3配線113の天面が第1配線111の上面と下面との間の高さに位置する点と、透光性部材50が透明層50bを備える点で実施形態1の発光装置100と主に異なる。そのため、第1配線111、第3配線113および透光性部材50について主に説明する。
発光装置200において、第1配線111は、基材11の上面上に配置される第1上面配線111bと、第1上面配線111bの上面上に配置される第2上面配線111cと、第2上面配線111cの上面上に配置される凸部111aとを備える。第1配線111の配線本体が、複数の配線層を含むことで、発光装置100の強度が向上する。凸部111a、第1上面配線111bおよび第2上面配線111cは、放熱性の高い銅や銅合金の部材を同一部材として含むことができる。
凸部111aの厚みは、第1上面配線111bおよび第2上面配線111cのそれぞれの厚みよりも厚いことが好ましい。凸部111aの厚みを大きくすることで、例えば、発光素子20近傍の基板10の強度を高くすることができ、また発光素子20が発する熱を効果的に放熱することができる。第1上面配線111bおよび第2上面配線111cの厚みは、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、第1上面配線111bの厚みは、第2上面配線111cの厚みよりも厚くすることができる。
基材11の上面と垂直な方向において、第3配線113の天面は、第1配線111の上面と下面の間の高さに位置する。図5Aおよび図5Bで示す発光装置200では、第3配線113の天面は、第1上面配線111bの上面と下面との間の高さに位置している。これにより、第1配線111と第3配線113の接する面積が増えるため、第1配線111および第3配線113の接合強度を向上させることができる。その結果、配線同士が離隔し、電気的な不良が起こる可能性を低減することができる。
一対の第1配線111は基材11の上面に配置され、一対の第2配線112は基材11の下面に配置される。また、第3配線113は、第1配線111および第2配線112の双方に接し、第1配線111と第2配線112とを電気的に接続する。実施形態1に係る発光装置100では、第3配線113は窪み16内のみに位置していたが、実施形態2に係る発光装置200では、第3配線113の一部は窪み16の外側に位置し第2配線112の側面と下面をさらに被覆している。第3配線113が第2配線112の側面と下面の双方を被覆していることで、第2配線112と第3配線113との接合強度が向上する。その結果、配線同士が離隔し、電気的な不良が起こる可能性を低減することができる。実施形態2に係る発光装置200では、第3配線113が基板10の最下面に位置している。
第2上面配線111cおよび第3配線113は、同じ部材とすることができる。例えば、第2上面配線111cおよび第3配線113は、同じ工程で形成することができる。基板10は、例えば、コンフォーマルビア法で作成した基板を用いることができる。基板10は、例えば、図6A~図6Eで示す形成方法により形成することができる。
まず、図6Aで示すように、基材11と、基材11の上面に配置される第1上面配線111bと、基材11の下面に配置される第2配線112とを備えた第1中間体10Aを準備する。第1上面配線111bおよび第2配線112は同じ部材で形成することができる。また、第1上面配線111bおよび第2配線112は同じ工程で形成することができる。これにより、第1上面配線111bおよび第2配線112を簡易に形成することができる。
次に、図6Bで示すように、第2配線112の一部を除去し、第1凹み部3を形成する。第1凹み部3の形成方法として、サブトラクティブ法またはセミアディティブ法等で形成することができる。
次に、図6Cで示すように、第1凹み部3が形成された領域に、第2凹み部4を形成する。第2凹み部4は、第1上面配線111bまで達し、好ましくは第1上面配線111bの下面の一部を除去して形成される。これにより、第3配線113を形成した際に、第1上面配線111bと第3配線113との接する面積が増え、第1配線111および第3配線113の接合強度を向上させることができる。第1凹み部3および第2凹み部4を異なる工程で形成することで、基板10となる中間体にかかる負荷を低減することができる。なお、第1凹み部3および第2凹み部4は、一の工程で同時に形成してもよい。第2凹み部4の形成方法として、UVレーザ、CO2レーザまたはドリル等を用いることができる。以上の工程により、図6Cで示す第2中間体10Bを準備することができる。
次に、図6Dで示すように、第2中間体10Bの表面に金属層を形成する。具体的には、第1上面配線111bの上面上に第2上面配線111cを形成し、第2配線112の下面および第2凹み部4の表面に第3配線113を形成する。つまり、第2上面配線111cおよび第3配線113は同じ部材で形成される。また、第2上面配線111cおよび第3配線113は同じ工程で形成される。これにより、第2上面配線111cおよび第3配線113を簡易に形成することができる。また、第3配線113を形成する工程により、窪み16が形成される。
次に、図6Eで示すように、第1上面配線111b、第2上面配線111c、第2配線112および第3配線113の一部を除去し配線パターンを形成し、第2上面配線111cの上面上に凸部111aを形成する。なお、凸部111aを形成する工程は、配線パターンを形成する工程の前であってもよく、後であってもよい。その後、例えば、凸部111aの表面にめっき層を形成することにより、基板10を準備することができる。
本明細書における準備するとは、製造することにより準備する以外に、予め製造されたものを購入等することにより準備してもよい。
透光性部材50は、波長変換粒子51を含む波長変換層50aと、波長変換粒子を実質的に含有しない透明層50bを備えている。波長変換層50aの上面上に透明層50bを備えることで、透明層50bが保護層として機能を果たし波長変換層50a内の波長変換粒子51の劣化を抑制することができる。なお、波長変換粒子を実質的に含有しないとは、波長変換粒子が不可避的に混入することを排除しないことを意味し、波長変換粒子の含有率は例えば0.05重量%以下である。