JP7114361B2 - ポリプロピレン組成物および成形品 - Google Patents
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Description
[1]成分(1)として、0~0.5重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマー、
成分(2)として、15~30重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-プロピレンコポリマー、および
成分(1)と成分(2)の合計100重量部に対して、0.01~1.0重量部の結晶核剤を含むポリプロピレン組成物であって、
以下の要件:
1)当該組成物のキシレン不溶分(XI)のGPCにより測定したMw/Mnが6~20である
2)成分(1)と成分(2)の重量比が82~90:18~10である
3)当該組成物のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が2.5~3.4dl/gである
4)当該組成物のMFR(温度230℃、荷重2.16kg)が3~10g/10分である
を満たす、ポリプロピレン組成物。
[2]上記の成分(1)および(2)が、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに(b)有機アルミニウム化合物、必要に応じて(c)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて、プロピレンとエチレンとを重合させて得たポリマーである[1]に記載のポリプロピレン組成物。
[3]前記結晶核剤が、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体系核剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、[1]または[2]に記載のポリプロピレン組成物。
[4]成分(1)と成分(2)の合計100重量部に対して、2重量部以下の板状無機充填材を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[5]前記[1]~[4]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物の射出成形品。
1.ポリプロピレン組成物
本発明のポリプロピレン組成物は、以下の成分(1)、成分(2)、および結晶核剤を含む。
成分(1):0~0.5重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマー
成分(2):15~30重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-プロピレンコポリマー
成分(1)はプロピレン(コ)ポリマーであり、0~0.5重量%のエチレン由来単位を含む。0重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマーとは、ホモポリプロピレンであることを意味する。また、0.5重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン-エチレンコポリマーとは、エチレン由来単位とプロピレン由来単位との重量比が0.5:99.5であるコポリマーである。他のコポリマーについても同様である。当該量の上限値は0.4重量%以下が好ましい。当該量が上限値を超えると剛性が低下する。エチレン由来単位を含む場合の下限値は0重量%超であればよいが、0.1重量%以上が好ましい。エチレン由来単位を含む場合、成分(1)はランダムコポリマーであることが好ましい。
成分(2)はエチレン-プロピレンコポリマーであり、15~30重量%のエチレン由来単位を含む。エチレン由来単位の含有量の上限値は30重量%以下であるが、27重量%以下が好ましい。当該量が上限値を超えると光沢度が低下する。エチレン由来単位の下限値は15重量%以上であるが、17重量%以上が好ましい。当該量が下限値未満であると耐衝撃性が低下する。
当該組成比(重量比)は82~90:18~10であるが、85~90:15~10が好ましい。成分(1)の量が上限値を超えると耐衝撃性が低下する。成分(1)の量が下限値未満であると剛性が低下する。
本発明のポリプロピレン組成物は結晶核剤を含む。本発明において結晶核剤とは樹脂中の結晶成分の量や配向を制御して特に剛性を高めるために用いられる添加剤である。結晶核剤は溶融樹脂の冷却固化を促進することから、剛性付与とは別に、射出成形工程でのサイクル時間短縮を目的として用いることも可能である。結晶核剤は特に限定されず、当該分野で通常使用されるものを使用してよいが、リン酸エステル系核剤、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、トリアミノベンゼン誘導体系核剤、カルボン酸金属塩系核剤、キシリトール系核剤、およびロジン系核剤等の有機系核剤から選択されることが好ましい。本発明においては、高い剛性を達成するとともに臭気の原因となる揮発成分の発生が少ないとの観点からリン酸エステル系核剤およびトリアミノベンゼン誘導体系核剤がより好ましい。リン酸エステル系核剤として、例えば、リン酸2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ナトリウム塩、リン酸-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)アルミニウム塩、リン酸-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)リチウム塩等の芳香族リン酸エステル系核剤が挙げられる。ノニトール系核剤として、例えば、1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトールが挙げられる。ソルビトール系核剤として、例えば、1,3:2,4-ビス-o-(3,4-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトールが挙げられる。トリアミノベンゼン誘導体系核剤として、例えば、1,3,5-トリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等が挙げられる。カルボン酸金属塩系核剤としては、例えば、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウム、セバシン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ジ-パラ-t-ブチル安息香酸アルミニウム、ジ-パラ-t-ブチル安息香酸チタン、ジ-パラ-t-ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ-ジ-t-ブチル安息香酸アルミニウムなどが挙げられる。キシリトール系核剤として、例えば、ビス-1,3:2,4-(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフトアルデヒドベンジリデン)1-アリルキシリトール、ビス-1,3:2,4-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)1-プロピルキシリトールが挙げられる。ロジン系核剤は、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸等のロジン酸と、カルシウム、マグネシウム等の金属との反応で得られるロジン酸金属塩化合物またはロジン酸部分金属塩化合物であり、例えばロジン酸部分カルシウム塩が挙げられる。上記結晶核剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリプロピレン組成物は、樹脂成分100重量部に対して2重量部以下、好ましくは1.5重量部以下、さらに好ましくは1.2重量部以下の板状無機充填材を含んでもよい。板状無機充填材は組成物の剛性を向上させる。しかし当該量が上限値以上であると外観不良が起こりうる。板状無機充填材を含む場合、その下限値は限定されないが0.1重量部以上であることが好ましい。
1)XSIV
本発明のポリプロピレン組成物のキシレン可溶分(XS)の極限粘度(XSIV)は、当該組成物における結晶性を持たない成分の分子量の指標である。XSIVは25℃のキシレンに可溶な成分を得て、当該成分の極限粘度を定法にて測定することで求められる。本発明においてXSIVは2.5~3.4dl/gである。XSIVが上限値を超えると光沢度が低下し、下限値未満であるとポリプロピレン組成物の耐寒衝撃性が低下する。
本発明のポリプロピレン組成物のMFR(メルトマスフローレート)は、温度230℃、荷重2.16kgで測定され、その値は3~10g/10である。MFRが上限値を超えると耐衝撃性が低下し、下限値未満であると成形が困難となる。この観点から、MFRの下限値は4g/10分以上が好ましく、6g/10分以上がより好ましい。
本発明のポリプロピレン組成物のキシレン不溶分(XI)のGPCにより測定したMw/Mnは6~20である。キシレン不溶分は当該組成物における結晶性成分である。本発明の組成物においては分子量分布の指標であるXIのMw/Mnが6~20と広い。したがって、高分子量成分に起因する効果と低分子量成分に起因する双方の効果が得られる。具体的には、前者によってダイスウェルが向上し成形時に溶融ポリマーが金型に速やかに接触するので光沢度が良好となり、後者によって本発明の組成物のMFRの範囲において優れた流動性を達成できる。すなわち、分子量分布がこの範囲にあることで高い流動性および高い光沢度を達成できる。この観点から前記Mw/Mnは7~20が好ましく、8~20がより好ましく、9~20がさらに好ましい。XIのMw/Mnは25℃のキシレンに不溶な成分を得て、当該成分をGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて測定することで求められる。
本発明のポリプロピレン組成物における、XSの極限粘度(XSIV)とXIの極限粘度(XIIV)の比(XSIV/XIIV)は1.5~2.5であることが好ましく、1.5~2.3であることがより好ましい。当該比が上限を超えると場合、および下限未満である場合には、耐衝撃性と剛性のバランスが低下する。XIIVは上述したキシレン不溶分(XI)を得て、当該成分の極限粘度を定法にて測定することで求められる。
本発明のポリプロピレン組成物は、成分(1)の中に成分(2)が分散した相構造を有することが好ましい。
本発明のポリプロピレン組成物には、酸化防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展および他の有機および前記板状無機充填材以外の無機顔料などの当該分野で通常用いられる慣用の添加剤を添加してもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。また本発明のポリプロピレン組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記樹脂成分以外の樹脂またはゴムを1種以上含有してもよい。さらに前述のとおり、本発明においてはオレフィン系ポリマーと結晶核剤からなるマスターバッチを使用して、結晶核剤を配合することができる。マスターバッチのマトリックスポリマーが(1)成分および(2)成分とは異なる場合、本発明のポリプロピレン組成物は当該マトリックスポリマーを含んでいてもよい。
前記樹脂成分は原料モノマーを、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および内部電子供与体としてのスクシネート系化合物を含有する固体触媒、(b)有機アルミニウム化合物、必要に応じて(c)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて重合する工程を含む方法で得ることが好ましい。
成分(a)は、公知の方法、例えばマグネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体化合物を相互接触させることにより調製できる。
成分(b)の有機アルミニウム化合物としては以下が挙げられる。
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム:
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム。
成分(c)の電子供与体化合物は、一般に「外部電子供与体化合物」と称される。当該触媒は一態様において成分(c)を含み、別態様において成分(c)を含まない。このような化合物としては有機ケイ素化合物が好ましい。好ましい有機ケイ素化合物として以下が挙げられる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル-t-ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシラン、t-ブチルプロピルジメトキシシラン、t-ブチル-t-ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ-sec-ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン-2-イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル-ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン。
上記のとおりに調製した触媒に原料モノマーを接触させて重合する。この際、まず前記触媒を用いて予重合を行うことが好ましい。予重合とは、その後の原料モノマーの本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させる工程である。予重合は公知の方法で行うことができる。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。次いで、予重合した触媒(予重合触媒)を重合反応系内に導入して、原料モノマーの本重合を行う。本重合は、成分(1)の原料モノマーおよび成分(2)の原料モノマーを、2つ以上の反応器を用いて重合することが好ましい。重合は、液相中、気相中または液-気相中で実施してよい。重合温度は常温~150℃が好ましく、40℃~100℃がより好ましい。重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは3.3~6.0MPaの範囲であり、気相中で行われる場合には好ましくは0.5~3.0MPaの範囲である。連鎖移動剤(たとえば、水素またはZnEt2)などの当該分野で公知の慣用の分子量調節剤を用いてもよい。
本発明のポリプロピレン組成物は射出成形用樹脂組成物として最適である。本発明のポリプロピレン組成物は流動性に優れるので、射出成形によって厚さ0.5~3mmの成形品とすることができる。ポリプロピレン組成物は以下の物性を備えることが好ましい。
JIS Z8741に従い、射出成形品の表面について入射角60°で測定した鏡面光沢度を光沢度とする。光沢度は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。上限値は限定されないが、通常は99%以下程度である。光沢度の値が大きい程、艶があり外観性に優れる。
本発明のポリプロピレン組成物は、JIS K6921-2に従い試験片作製されJIS K7171に基づき測定される曲げ弾性率が1700MPa以上であることが好ましく、1800MPa以上であることがさらに好ましい。
本発明のポリプロピレン組成物は、3J以上の面衝撃強度(-10℃)を有することが好ましい。
チーグラー・ナッタ触媒を国際公開第2009/050045号の実施例1に従って製造した。ただし最初の温度上昇時に、温度を100℃ではなく110℃に上昇させた。このようにして製造した触媒成分と、アルミニウムトリエチル(TEAL)および外部電子供与体化合物としてのジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)とを、12℃で24分間接触させた。TEALと固体触媒成分との重量比は20であり、TEALとDCPMSとの重量比は10であった。第1の重合反応器に取り入れる前に、このようにして得られた触媒システムを液体プロピレン中に懸濁させたまま20℃で約5分間維持することによって予重合に供した。
表1に記載された重合条件に変更するとともに、得られた樹脂成分の溶融混練時に、さらに充填材としてイミファビ社製HTP05L(タルク)を、樹脂成分100重量部に対して1.0重量部配合した以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン組成物を製造し評価した。
チーグラー・ナッタ触媒成分をヨーロッパ特許第728769号の実施例5の48~55行に記載の方法に従って製造した。当該触媒を用いて、一段目の反応器の水素濃度、二段目の反応器の水素濃度とC2/(C2+C3)を表1に示した値とし、結晶核剤として株式会社ADEKA製アデカスタブNA11(リン酸エステル系核剤)を樹脂成分100重量部に対して0.07重量部、充填材としてイミファビ社製HTP05L(タルク)を、樹脂成分100重量部に対して1.0重量部配合した以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン組成物を製造し評価した。
一段目の反応器の水素濃度、二段目の反応器の水素濃度とC2/(C2+C3)を表1に示した値とし、結晶核剤を添加せず、充填材としてイミファビ社製HTP05L(タルク)を、樹脂成分100重量部に対して0.3重量部配合した以外は、比較例3と同様にしてポリプロピレン組成物を製造し評価した。
一段目の反応器の水素濃度、二段目の反応器においてプロピレンの代わりに1-ブテンをフィードしてH2/C2とC2/(C2+C4)を表1に示した値とし、結晶核剤として新日本理化株式会社製ゲルオールE-200(ソルビトール系核剤)を樹脂成分100重量部に対して0.13重量部配合し、充填材を添加しなかった以外は、比較例3と同様にしてポリプロピレン組成物を製造し評価した。
得られた樹脂成分の溶融混練時に、さらに充填材としてイミファビ社製HTP05L(タルク)を、樹脂成分100重量部に対して10重量部(比較例6)、または20重量部(比較例7)配合した以外は、比較例5と同様にしてポリプロピレン組成物を製造し評価した。
一段目の反応器の水素濃度を0.04モル%、二段目の反応器のC2/(C2+C4)を0.48モル比にし、成分(1)と成分(2)が所定の比率になるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した以外は、比較例5と同様にしてホモポリプロピレンとエチレン-1-ブテン共重合体からなる重合体を製造した。得られたMFR=3.0の重合体30重量部、サンアロマー株式会社性PX600N(MFR=7.5のホモポリプロピレン)40重量部、比較例3で製造した重合体30重量部の合計100重量部に対し、酸化防止剤としてBASF社製B225を0.20重量部、中和剤として淡南化学株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量部、結晶核剤として株式会社ADEKA製アデカスタブNA18(リン酸エステル系核剤)を0.10重量部配合し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合した後、実施例1と同様に溶融混練とペレタイズを行って得られた組成物を評価した。
1)MFR
JIS K7210-1に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
ポリプリピレン組成物を1,2,4-トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、Bruker社製AVANCE III HD400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、測定温度120℃、フリップ角45度、パルス間隔7秒、試料回転数20Hz、積算回数5000回の条件で13C-NMRのスペクトルを得た。
2-1)成分(2)がエチレン-プロピレンコポリマーの場合
上記で得られたスペクトルを用いて、M. Kakugo, Y. Naito, K. Mizunuma and T. Miytake, Macromolecules, 15, 1150-1152 (1982)の文献に記載された方法により、組成物の総エチレン由来単位量(重量%)を求めた。
上記で得られた積分強度Tββの替わりに下記式で求めた積分強度T’ββを使用した以外は、総エチレン由来単位量と同様の方法で計算を行い、成分(2)中のエチレン由来単位量(重量%)を求めた。
T’ββ=0.98×Sαγ×A/(1-0.98×A)
ここで、A=Sαγ/(Sαγ+Sαδ)
組成物中の成分(2)の量は以下の式で求めた。
成分(2)の量(重量%)=総エチレン由来単位量/(成分(2)中のエチレン由来単位量/100)
2-2)成分(2)がエチレン-1-ブテンコポリマーの場合
国際公開第2011/134897号の15~16頁に記載された方法と同じ方法により、成分(2)中のエチレン由来単位量(重量%)を求めた。
ダイアッド分布は、上記の様にして得られた13C-NMRスペクトルから、以下の関係を用いて計算された。
PP = 100 Ι1 /Σ
PB = 100 I2 /Σ
BB = 100 (I3 - I19) /Σ
PE = 100 (I5 + I6) /Σ
BE = 100 (I9 + I10) /Σ
EE = 100 (0.5(I15 + I6+ I10) + 0.25 (I14))/Σ
ここで、Σ = I1 + I2 + I3- I19 + I5 + I6 + I9 + I10+ 0.5 (I15 + I6 + I10) + 0.25 (I14)
モル含有量は、以下の関係式を使用してダイアッドから得た:
P (mol%) = PP + 0.5 (PE+PB)
B (mol%) = BB + 0.5 (BE+PB)
E (mol%) = EE + 0.5 (PE+BE)
I1, I2, I3, I5, I6, I9, I10, I14, l15, I19は、13 C-NMRスペクトルにおけるピークの積分値(29.9ppmにおけるEEEシーケンスのピークを基準として)である。これらのピークの帰属は、J.C. Randal, Macromol. Chem Phys., C29, 201 (1989)、M. Kakugo, Y. Naito, K. Mizunuma and T. Miyatake, Macromolecules, 15, 1150 (1982)、およびH.N. Cheng, Journal of Polymer Science, Polymer Physics Edition, 21, 57 (1983)に従って得られる。 それらは、表A(C.J. Carman, R.A. Harrington and C.E. Wilkes, Macromolecules, 10, 536 (1977)に従う命名法)にまとめられている。
成分(2)中のエチレン由来単位量(重量%)は以下の式によって求めた。
成分(2)中のエチレン由来単位量 = 100× E (wt%) /( E (wt%) + B (wt%) )
ここでE (wt%)とB (wt%)は、前記モル含有率をそれぞれ重量%に換算したエチレンと1-ブテン由来単位量である。
以上から、組成物中の成分(2)の量を以下の式で求めた。
成分(2)の量(重量%)= E (wt%) + B (wt%)
以下の方法によってポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
ポリプロピレンのサンプル2.5gを、o-キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、組成物を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS-780-H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
上述したようにキシレン可溶分を濾過した際、濾紙上に残った残留物(キシレン不溶成分と溶媒の混合物)にアセトンを加えて濾過した後、濾過されなかった成分を、80℃設定の真空乾燥オーブンにて、蒸発乾固させ、キシレン不溶分(XI)を得た。
上記のキシレン不溶分を試料とし、以下のように、分子量分布(Mw/Mn)の測定を行った。Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定して得られる値である。装置としてポリマーラボラトリーズ社製PL GPC220を使用し、酸化防止剤を含む1,2,4-トリクロロベンゼンを移動相とし、カラムとして昭和電工株式会社製UT-G(1本)、UT-807(1本)、UT-806M(2本)を直列に接続したものを使用し、検出器として示差屈折率計を使用した。また、キシレン不溶分の試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して測定試料を調製した。これにより得た試料溶液500μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度145℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。カラムの較正には、分子量580~745万のポリスチレン標準試料(shodex STANDARD、昭和電工株式会社製)を使用し、三次式近似で行った。Mark-Houwink-Sakuradaの係数は、ポリスチレン標準試料に関しては、K=1.21×10-4、α=0.707、ポリプロピレン系重合体に関しては、K=1.37×10-4、α=0.75を使用した。
キシレン不溶分の極限粘度(XIIV)は、上記のキシレン不溶分(XI)を試料とし、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS-780-H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S-2000i)を用い、JIS K7152-3に規定される厚さ2mmの小形角板試験片(タイプD2)を作製した。JIS Z8741に従い、株式会社村上色彩研究所社製光沢計(GM-26PRO)を用いて、試験片の反ゲート側表面の入射角60°の鏡面光沢度を測定した。成形条件は次のとおりとした。
溶融樹脂温度:MFR<7g/10分の組成物は230℃、MFR≧7g/10分組成物は200℃
金型温度:40℃
平均射出速度:200mm/秒
保圧時間:40秒
全サイクル時間:60秒
JIS K6921-2に従い、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S-2000i)を用い、ポリプロピレン組成物からJIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を射出成形し、幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmに加工して測定用試験片(タイプB2)を得た。株式会社島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAG-X 10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、支点間距離64mm、試験速度2mm/分の条件で、タイプB2測定用試験片の曲げ弾性率を測定した。
スパイラルフローにより成形流動性を評価した。
スパイラルフローは、アルキメデススパイラルが形成されたスパイラルフロー金型(流路断面:上辺8mm、下辺10mm×高さ2mmの台形)を取り付けた射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT α―100C)を用いて得られた成形品のフロー長を測定して求めた。成形条件は以下のとおりである。
シリンダ温度:230℃
金型温度:40℃
射出圧力:73.5MPa
射出速度:10mm/秒
保圧:73.5MPa(3秒保持)
冷却時間:8秒
曲げ弾性率測定で用いた試験片と同一の操作で得たタイプA1試験片を用いて、JIS K7111-1に従い、株式会社東洋精機製作所製ノッチングツールA-3を用いて幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmに加工してから幅方向に2mmのノッチを入れ、形状Aの測定用試験片を得た。その測定用試験片について、JIS K6921-2に準拠し、株式会社東洋精機製作所製試験機デジタル衝撃試験機DG-UB型を用いて、温度23℃、エッジワイズ打撃、1eA法の条件で測定した。
射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT α-100C)を用い、130mm×130mm×2.0mmの平板を作製した。株式会社島津製作所製ハイドロショットHITS-P10を用い、-10℃に調整した槽内で、内径40mmφの穴の開いた支持台に測定用試験片を置き、内径76mmφの試料押えを用いて固定した後、半球状の打撃面を持つ直径12.7mmφのストライカーで、1m/秒の衝撃速度で試験片を打撃し、JIS K7211-2に従いパンクチャーエネルギー(J)を求めた。4個の測定用試験片各々のパンクチャーエネルギーの平均値を面衝撃強度とし、耐寒衝撃性の指標とした。
成形条件は次のとおりとした。
溶融樹脂温度:230℃
金型温度:40℃
平均射出速度:35mm/秒
保圧時間:10秒
全サイクル時間:45秒
Claims (5)
- 成分(1)として、0~0.5重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマー、
成分(2)として、15~30重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-プロピレンコポリマー、および
成分(1)と成分(2)の合計100重量部に対して、0.01~1.0重量部の結晶核剤を含むポリプロピレン組成物であって、
以下の要件:
1)当該組成物のキシレン不溶分(XI)のGPCにより測定したMw/Mnが6~20である
2)成分(1)と成分(2)の重量比が88~90:12~10である
3)当該組成物のキシレン可溶分のテトラヒドロナフタレン中、135℃において測定した極限粘度(XSIV)が2.5~3.4dl/gである
4)当該組成物のMFR(温度230℃、荷重2.16kg)が3~10g/10分である
を満たす、ポリプロピレン組成物。 - 上記の成分(1)および(2)が、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに(b)有機アルミニウム化合物、必要に応じて(c)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて、プロピレンとエチレンとを重合させて得たポリマーである請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記結晶核剤が、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体系核剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1または2に記載のポリプロピレン組成物。
- 成分(1)と成分(2)の合計100重量部に対して、2重量部以下の板状無機充填材を含む、請求項1~3のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
- 請求項1~4のいずれかに記載のポリプロピレン組成物の射出成形品。
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