以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、シート処理装置の例として、画像形成ユニットに連結され若しくは内蔵され、その画像形成ユニットにより画像が形成された画像形成済みのシートを折るための折り処理ユニットについて説明する。本実施形態に係る折り処理ユニットは、折り処理によって形成された折り目を押圧することでその折り目を強化し折り高さを低減させる増し折り機構を備えている。
このような折り処理ユニットは、毎回同じ位置に折り目を形成するとは限らず、折り方や用紙のサイズによって折り目を形成する位置を変えるようになっている。そのため、折り処理ユニットは、増し折りの際、用紙毎に折り目の位置が異なる場合であっても、用紙に形成された折り目を的確に押圧することができなくなってしまう。
そこで、本実施形態に係る折り処理ユニットは、増し折りの際、シートに形成された折り目の位置に合わせて押圧位置を調整することを要旨の一つとしている。そのため、本実施形態に係る折り処理ユニットは、的確に折り目を押圧することが可能となる。
まず、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を簡略化して示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、画像形成ユニット2、折り処理ユニット3、後処理ユニット4、スキャナユニット5により構成されている。
画像形成ユニット2は、入力された画像データに基づいてCMYK(Cyan Magenta Yellow Key Plate)の描画情報を生成し、生成された描画情報に基づいて、給紙された用紙に対して画像形成出力を実行する。折り処理ユニット3は、画像形成ユニット2から搬送されてきた画像形成済みの用紙に対して折り処理及び増し折り処理を実行する。即ち、本実施形態においては、折り処理ユニット3が、シート処理装置、折り目形成部として機能する。後処理ユニット4は、折り処理ユニット3から搬送されてきた折り処理済みの用紙に対して製本やステープル、パンチ等の後処理を実行する。
スキャナユニット5は、複数のフォトダイオードが一列に並べられ、これに並列にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の受光素子が配置されたリニアイメージセンサにより原稿を読み取ることで原稿を電子化する。尚、本実施形態に係る画像形成装置1はこの他に、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFP(MultiFunction Peripheral:複合機)である。
尚、図1においては、画像形成装置1が、画像形成ユニット2の胴内に折り処理ユニット3を備える構成について示したが、図2に示すように、画像形成装置1が、折り処理ユニット3を単独で備えるように構成されていても良い。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を簡略化して示す図である。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等と同様の構成を含む。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50には表示部60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。表示部60は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースであり、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置によって実現される。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
専用デバイス80は、画像形成ユニット2、折り処理ユニット3、後処理ユニット4及びスキャナユニット5において専用の機能を実現するためのハードウェアであり、画像形成ユニット2においては、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。
また、折り処理ユニット3においては、用紙を搬送する搬送機構や、搬送される用紙を折るための折り処理機構、用紙に形成された折り目を増し折りする増し折り処理機構である。この折り処理ユニット3に含まれる増し折り処理機構の構成が、本実施形態に係る要旨の1つである。
また、また、後処理ユニット4においては、画像形成ユニット2若しくは折り処理ユニット3から搬送される用紙に対して後処理を施す後処理機構である。また、スキャナユニット5においては、原稿を光学的に読み取る原稿読取機構や、用紙を自動で搬送する自動搬送機構である。
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がRAM20にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を模式的に示すブロック図である。尚、図4においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙若しくは文書束の流れを破線の矢印で示している。
図4に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、プリントエンジン200、給紙テーブル201、プリント用排紙トレイ202、折り処理エンジン300、後処理エンジン400、処理後排紙トレイ401、スキャナエンジン500、原稿台501、ADF(Auto Document Feeder:原稿自動搬送装置)502、原稿用排紙トレイ503、ディスプレイパネル600、ネットワークI/F700を有する。また、コントローラ100は、主制御部101、エンジン制御部102、入出力制御部103、画像処理部104及び操作表示制御部105を有する。
プリントエンジン200は、画像形成ユニット2に備えられた画像形成部であり、給紙テーブル201から搬送されてきた用紙に対して画像形成出力を実行することにより画像を描画する。プリントエンジン200の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。
このプリントエンジン200により画像が描画された画像形成済みの用紙は、折り処理ユニット3に搬送され、若しくは、プリント用排紙トレイ202に排紙される。このプリントエンジン200は、図3に示す専用デバイス80によって実現される。給紙テーブル201は、画像形成部であるプリントエンジン200に用紙を給紙する。
折り処理エンジン300は、折り処理ユニット3に備えられ、画像形成ユニット2から搬送されてきた画像形成済みの用紙に対して折り処理及び増し折り処理を施す。この折り処理エンジン300により折り処理が施された折り処理済みの用紙は、後処理ユニット4に搬送される。この折り処理エンジン300は、図3に示す専用デバイス80によって実現される。
後処理エンジン400は、後処理ユニット4に備えられ、折り処理エンジン300から搬送されてきた用紙に対してステープルやパンチ、製本処理等の後処理を施す。この後処理エンジン400により後処理が施された用紙は、処理後排紙トレイ401に排紙される。この後処理エンジン400は、図3に示す専用デバイス80によって実現される。
スキャナエンジン500は、スキャナユニット5に備えられ、光学情報を電気信号に変換する光電変換素子を含む原稿読取部であり、ADF502により原稿台501から自動搬送されてきた原稿、若しくは、原稿台ガラスにセットされた原稿を光学的に走査して読み取って画像情報を生成する。
原稿台501からADF502により自動搬送されてスキャナエンジン500により読み取られた原稿は、原稿用排紙トレイ503に排紙される。このスキャナエンジン500は、図3に示す専用デバイス80によって実現される。ADF502は、スキャナユニット5に備えられ、原稿台501にセットされた原稿をスキャナエンジン500に自動搬送する。このADF502は、図3に示す専用デバイス80によって実現される。
ディスプレイパネル600は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、ディスプレイパネル600は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。ディスプレイパネル600は、図3に示す表示部60及び操作部70によって実現される。
ネットワークI/F700は、画像形成装置1がネットワークを介して管理者用端末やPC(Personal Computer)等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェース、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)、FeliCa(登録商標)等のインタフェースが用いられる。このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、ネットワークI/F900を介して接続された端末から印刷依頼の画像データや、印刷要求等の各種制御コマンドを受信する。ネットワークI/F700は、図3に示すI/F50によって実現される。
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30やHDD40等の不揮発性記憶媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM20にロードされ、それらのプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部101は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。また、主制御部101は、入出力制御部103を制御し、ネットワークI/F700及びネットワークを介して他の装置にアクセスする。
エンジン制御部102は、プリントエンジン200、折り処理エンジン300、後処理エンジン400、スキャナエンジン500等の駆動部を制御し若しくは駆動させる。入出力制御部103は、ネットワークI/F190及びネットワークを介して入力される信号や命令を主制御部101に入力する。
画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、PDL(Page Description Language)等により記述された画像情報、例えば、入力された印刷ジョブに含まれる文書データ若しくは画像データに基づいて描画情報を出力情報として生成する。この描画情報とは、CMYKのビットマップデータ等の情報であり、画像形成部であるプリントエンジン200が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。
また、画像処理部104は、スキャナエンジン500から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置1に格納され若しくはネットワークI/F700及びネットワークを介して他の機器に送信される情報である。尚、本実施形態に係る画像形成装置1は、画像情報の代わりに描画情報が直接入力され、直接入力された描画情報に基づいて画像形成出力を実行することも可能である。
操作表示制御部105は、ディスプレイパネル600に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル600を介して入力された情報を主制御部101に通知する。
次に、本実施形態に係る折り処理ユニット3がZ折りを行う際の動作例について、図5~7を参照して説明する。図5~7は、本実施形態に係る画像形成装置1において、折り処理動作中の折り処理ユニット3を主走査方向から示す断面図である。
本実施形態に係る折り処理ユニット3がZ折りを行う際にはまず、図5(a)に示すように、折り処理ユニット3は、画像形成ユニット2から用紙6が搬送されてくると、第一の用紙検知センサ391によりその用紙6の搬送方向先端を検知して、各ローラの回転を開始させる。そして、折り処理ユニット3は、画像形成ユニット2から用紙6が搬送されてきた用紙6を入口搬送ローラ対310により受け入れ、その用紙6をレジストローラ対320に向けて搬送する。
折り処理ユニット3は、入口搬送ローラ対310により搬送されてきた用紙6を、レジストローラ対320によりレジスト補正した後、図5(b)に示すように、第一の正逆回転ローラ対330により搬送方向下流側にさらに搬送する。
その後、折り処理ユニット3は、第二の用紙検知センサ392により用紙6の搬送方向先端を検知してから用紙6を所定の距離S1だけ搬送すると、図5(c)、に示すように、第一の正逆回転ローラ対330の回転方向を反転させることにより、用紙6の第一の折り位置を第一の折り処理ローラ対340側に撓ませつつ、形成された撓みの位置がずれないようにしてさらに用紙6を搬送することでその撓みを第一の折り処理ローラ対340のニップ部分に誘導する。このとき、折り処理ユニット3は、第一の正逆回転ローラ対330のパルスカウントや回転速度及び駆動時間により距離S1だけ搬送したことを検知する。
そして、折り処理ユニット3は、図6(a)に示すように、第一の折り処理ローラ対340のニップ部分にて用紙6に形成された撓みを両面から挟み込んで上記第一の折り位置に折り目をつけると共に、図6(b)、(c)に示すように、用紙6を第二の正逆回転ローラ対350に向けて搬送し、さらに搬送方向下流側に搬送する。
その後、折り処理ユニット3は、第三の用紙検知センサ393により用紙6の搬送方向先端を検知してから用紙6を所定の距離S2だけ搬送すると、図7(a)に示すように、第二の正逆回転ローラ対350の回転方向を逆転させることにより、用紙6の第二の折り位置を第二の折り処理ローラ対360側に撓ませつつ、形成された撓みの位置がずれないようにしてさらに用紙6を搬送することでその撓みを第二の折り処理ローラ対360のニップ部分に誘導する。このとき、折り処理ユニット3は、第二の正逆回転ローラ対350のパルスカウントや回転速度及び駆動時間により距離S2だけ搬送したことを検知する。
そして、折り処理ユニット3は、図7(b)に示すように、第二の折り処理ローラ対360のニップ部分にて用紙6に形成された撓みを両面から挟み込んで上記第二の折り位置に折り目をつけると共に、その用紙6を増し折りローラ370と用紙支持板380との隙間に向かって搬送する。
そして、折り処理ユニット3は、第四の用紙検知センサ394により用紙搬送方向端部を検知してから所定の距離S3だけ搬送すると、図7(c)に示すように、搬送されてきた用紙6に形成された折り目を、増し折りローラ370により用紙支持板380に押さえ付けて押圧することで増し折りを行った後、後処理ユニット4に搬送する。即ち、本実施形態においては、第四の用紙検知センサ394が端部検知部として機能し、増し折りローラ370が押圧部として機能する。このとき、折り処理ユニット3は、第二の折り処理ローラ対360のパルスカウントや回転速度及び駆動時間により距離S3だけ搬送したことを検知する。即ち、本実施形態においては、第二の折り処理ローラ対360が搬送部として機能する。
図5~図7に示すような動作の結果、用紙6は、図8に示すようなZ折りが施された状態となる。
尚、図5~図7においては、折り処理ユニット3が用紙6をZ折りする例について説明した。この他、折り処理ユニット3は、図9~図11に示すような動作により、用紙6を内三つ折りすることも可能である。その結果、用紙6は、図12に示すような内三つ折りが施された状態となる。
また、この他、折り処理ユニット3は、図13~図15に示すような動作により、用紙6を外三つ折りすることも可能である。その結果、用紙6は、図16に示すような内三つ折りが施された状態となる。
これらの動作は、図5~図7において説明した動作と同様であるが、折り方や用紙6のサイズに応じてそれぞれ距離S1、距離S2、距離S3が異なる。そのため、折り処理ユニット3は、折り方や用紙6のサイズに応じて、第一の正逆回転ローラ対330の回転方向を反転させるタイミング、第二の正逆回転ローラ対350の回転方向を反転させるタイミング、増し折りローラ370による増し折りのタイミングを変更する。
このS1、S2、S3は、折り方や用紙6のサイズに応じて予め定められており、ROM30やHDD40等の不揮発性の記憶媒体に記憶されている。但し、このS1、S2、S3は、ユーザ指定等により設定され若しくは変更されることがある。即ち、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、予め定められた折り方以外に、ユーザ指定等により折り目を形成する位置が設定され若しくは変更されることがある。このとき、主制御部101が折り目を形成する折り位置を設定し若しくは変更するようになっている。即ち、本実施形態においては、主制御部101が設定部として機能する。
次に、本実施形態に係る増し折りローラ370の構造例について、図17~図20、及び、図21~図24を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る増し折りローラ370の1例目の構造について、図17~図20を参照して説明する。図17は、本実施形態に係る増し折りローラ370を主走査方向の斜め上横から示す斜視図である。図18は、本実施形態に係る増し折りローラ370を副走査方向から示す正面図である。図19は、本実施形態に係る増し折りローラ370を主走査方向から示す側面図である。図20は、本実施形態に係る増し折りローラ370の展開図である。
本実施形態に係る増し折りローラ370は、第一の構造例として、図17~図20に示すように、主走査方向に貫く軸を中心に回転する増し折りローラ回転軸371を回転軸とする押圧力伝達ローラ373の周回面上に、凸形状の押圧力伝達部372が増し折りローラ回転軸371と一定の角度差θをもって螺旋状に主走査方向に向かって配置されて構成される。本実施形態に係る増し折りローラ370は、このように構成されることで、押圧力伝達部372の一部のみが用紙6に形成された折り目に接触するようになっている。
そのため、本実施形態に係る増し折りローラ370は、増し折りローラ回転軸371を回転軸として回転することで、用紙6に形成された折り目を主走査方向の一方向に向かって順次押圧することができる。
従って、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、短時間の間に集中的な押圧力を折り目全域にわたってかけることが可能となる。そのため、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りローラ回転軸371への負荷を低減させつつ、生産性を低下させることなく折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。
次に、本実施形態に係る増し折りローラ370の2例目の構造について、図21~図24を参照して説明する。図21は、本実施形態に係る増し折りローラ370を主走査方向の斜め上横から示す斜視図である。図22は、本実施形態に係る増し折りローラ370を副走査方向から示す正面図である。図23は、本実施形態に係る増し折りローラ370を主走査方向から示す側面図である。図24は、本実施形態に係る増し折りローラ370の展開図である。
本実施形態に係る増し折りローラ370は、第二の構造例として、図21~図24に示すように、押圧力伝達ローラ373の周回面上に、凸形状の押圧力伝達部372が増し折りローラ回転軸371と一定の角度差θをもって螺旋状に、且つ、増し折りローラ370の主走査方向における中心を基準として対称となるようにV字型に主走査方向に向かって配置されて構成される。本実施形態に係る増し折りローラ370は、このように構成されることで、押圧力伝達部372の一部が2か所同時に用紙6に形成された折り目に接触するようになっている。
そのため、本実施形態に係る増し折りローラ370は、増し折りローラ回転軸371を回転軸として回転することで、用紙6に形成された折り目を主走査方向の両方向に向かって順次押圧することができる。
従って、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、図17~図20に示すような構造に比べて押圧力は低下するが、より短時間の間に集中的な押圧力を折り目全域にわたってかけることが可能となる。そのため、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、生産性を向上させながら、増し折りローラ回転軸371への負荷を低減させつつ折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。
次に、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折りを行う際の動作例の詳細について、図25~図27を参照して説明する。図25、図26は、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折り処理を実行している際の増し折りローラ370及び用紙支持板380を主走査方向から示す断面図である。図27は、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折りを行う際の、用紙6の搬送速度と増し折りローラ370の回転速度との経時変化を示す図である。尚、図25~図27においては、第一の折り目6a及び第二の折り目6bを有するZ折りが施された用紙6に対して増し折りを行う例について説明する。
本実施形態に係る折り処理ユニット3は、図25(a)、図27に示すように、用紙6の搬送を開始すると、図25(b)、図27に示すように、用紙6の停止を待たずに増し折りローラ370の回転を開始させる。このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3が用紙6の停止を待たずに増し折りローラ370の回転を開始させるのは、増し折りローラ370が回転を開始してから用紙6に当接するまでのタイムラグを短くするためである。これにより、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、生産性を向上させることが可能となる。
そして、折り処理ユニット3は、図25(c)、図27に示すように、折りローラ370が用紙6に形成された第一の折り目6aに当接を開始することで第一の折り目6aに対する押圧を開始する。折り処理ユニット3は、図25(d)、図27に示すように、増し折りローラ回転軸371の直上に上記第一の折り目6aが位置するまで用紙6を搬送すると、用紙6の搬送を完全に停止させた上で増し折りローラ370を回転させ続けることで用紙6に形成された第一の折り目6aへの押圧を続ける。
その後、折り処理ユニット3は、図25(e)、図27に示すように、増し折りローラ370の停止を待たずに用紙6の搬送を開始する。このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折りローラ370の停止を待たずに用紙6の搬送を開始するのは、増し折りローラ370が用紙6を離間してから完全に停止するまでのタイムラグを短くするためである。これにより、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、生産性を向上させることが可能となる。
そして、折り処理ユニット3は、図25(f)、図27に示すように、増し折りローラ370から離間した用紙6を搬送すると、図26(a)、図27に示すように、増し折りローラ370の回転を停止させ、図26(b)、図27に示すように、用紙6の停止を待たずに増し折りローラ370の回転を開始させる。このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3が用紙6の停止を待たずに増し折りローラ370の回転を開始させるのは、増し折りローラ370が回転を開始してから用紙6に当接するまでのタイムラグを短くするためである。これにより、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、生産性を向上させることが可能となる。
そして、折り処理ユニット3は、図26(c)、図27に示すように、増し折りローラ370が用紙6に形成された第二の折り目6bに当接を開始することで第二の折り目6bに対する押圧を開始する。折り処理ユニット3は、図26(d)、図27に示すように、増し折りローラ回転軸371の直上に上記第二の折り目6bが位置するまで用紙6を搬送すると、用紙6の搬送を完全に停止させた上で増し折りローラ370を回転させ続けることで用紙6に形成された第二の折り目6bへの押圧を続ける。
その後、折り処理ユニット3は、図26(e)、図27に示すように、増し折りローラ370の停止を待たずに用紙6の搬送を開始する。このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折りローラ370の停止を待たずに用紙6の搬送を開始するのは、増し折りローラ370が用紙6を離間してから完全に停止するまでのタイムラグを短くするためである。これにより、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、生産性を向上させることが可能となる。
そして、折り処理ユニット3は、図26(f)、図27に示すように、増し折りローラ370と離間した用紙6を搬送することで増し折りを終了する。
このように構成された折り処理ユニット3は、毎回同じ位置に折り目を形成するとは限らず、折り方や用紙6のサイズによって折り目を形成する位置を変えるようになっている。そのため、折り処理ユニットは、増し折りの際、用紙毎に折り目の位置が異なる場合であっても、用紙6に形成された折り目を的確に押圧することができなくなってしまう。
そこで、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りの際、用紙6に形成された折り目の位置に合わせて押圧位置を調整することを要旨の一つとしている。そのため、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、的確に折り目を押圧することが可能となる。
次に、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折り時に押圧位置を調整する際の動作例について、図28(a)、(b)及び図29(a)、(b)を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折り時に押圧位置を調整する際の1例目の動作について、図28(a)、(b)を参照して説明する。図28(a)、(b)は、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折り時に押圧位置を調整する際の動作例を示す図である。
尚、図28(a)、(b)においては、外三つ折り折りが施された用紙であって、用紙6の搬送方向先端に第一の折り目6aが、搬送方向後端に第二の折り目6bが形成されている例について示している。また、図28(a)と(b)とでは、第一の折り目6aと第二の折り目6bとの間の距離が異なる場合を示している。
本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りを行う際にはまず、図28(a)左図に示すように、第四の用紙検知センサ394により用紙6の搬送方向先端を検知すると、用紙6を所定の距離S4だけ搬送して停止させる。
この所定の距離S4は、第四の用紙検知センサ394と増し折りローラ370との間の距離であって、ROM30やHDD40等の不揮発性の記憶媒体に予め記憶されている。従って、この所定の距離S4だけ搬送された用紙6は、その搬送方向先端、即ち、第一の折り目6aが増し折りローラ370の直上に位置することになる。そして、折り処理ユニット3は、この位置において、第一の折り目6aを押圧する。
折り処理ユニット3は、第一の折り目6aを押圧した後、用紙6の搬送を開始し、図28(a)右図に示すように、第四の用紙検知センサ394により用紙6の搬送方向後端を検知すると、用紙6をさらに所定の距離S4だけ搬送する。従って、この所定の距離S4だけ搬送された用紙6は、その搬送方向後端、即ち、第二 の折り目6bが増し折りローラ370の直上に位置することになる。そして、折り処理ユニット3は、この位置において、第二の折り目6bを押圧する。
このとき、折り処理ユニット3は、折り方や用紙6のサイズ、ユーザ指定によって折り目を形成する位置を変えるので、増し折りの際、その折り目の位置に合わせて押圧位置を変化させる必要がある。
そこで、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、図28(b)に示すように、第一の折り目6aを押圧した後、用紙6に形成された折り目の位置が変化した分だけ、用紙6の搬送距離を変更するようになっている。図28(b)に示す例では、第一の折り目6aと第二の折り目6bとの間の距離がLからL’に変わっているため、折り処理ユニット3は、第一の折り目6aを押圧した後、L’ -Lだけ用紙6の搬送距離を変更するようになっている。
このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りの際、用紙6の搬送距離を調整することで、用紙6に形成された折り目の位置に合わせて押圧位置を調整するようになっている。そのため、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙毎に折り目の位置が異なる場合であっても、的確に折り目を押圧することが可能となる。
次に、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折り時に押圧位置を調整する際の2例目の動作について、図29(a)、(b)を参照して説明する。図29(a)、(b)は、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折り時に押圧位置を調整する際の動作例を示す図である。
尚、図29(a)、(b)においては、図28(a)、(b)と同様に、外三つ折り折りが施された用紙であって、用紙6の搬送方向先端に第一の折り目6aが、搬送方向後端に第二の折り目6bが形成されている例について示している。また、図28(a)、(b)と同様に、図29(a)と(b)とでは、第一の折り目6aと第二の折り目6bとの間の距離が異なる場合を示している。
本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りを行う際には、図29(a)に示すように、図28(a)と同様にして、第一の折り目6a及び第二の折り目6bを押圧する。
このとき、折り処理ユニット3は、折り方や用紙6のサイズによって折り目を形成する位置を変えるので、増し折りの際、その折り目の位置に合わせて押圧位置を変化させる必要がある。
そこで、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、図29(b)に示すように、第一の折り目6aを押圧した後、折り目の位置が変化する前の第一の折り目6aと第二の折り目6bとの間の距離だけ用紙6を搬送すると共に、用紙6に形成された折り目の位置が変化した分だけ、増し折りローラ370を移動させるようになっている。図29(b)に示す例では、第一の折り目6aと第二の折り目6bとの間の距離がLからL’に変わっているため、折り処理ユニット3は、第一の折り目6aを押圧した後、用紙6をLだけ搬送すると共に、L’-L だけ増し折りローラ370を移動させるようになっている。
このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りの際、増し折りローラ370を移動させることで、用紙6に形成された折り目の位置に合わせて押圧位置を調整するようになっている。そのため、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙毎に折り目の位置が異なる場合であっても、的確に折り目を押圧することが可能となる。
尚、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、図29(b)に示したように増し折りローラ370を移動させると、増し折りローラ370とそれを駆動させる駆動部との距離が変わるため、タイミングベルト等の駆動伝達部をテンショナー等で規制するようになっている。即ち、本実施形態においては、増し折りローラ370を駆動させる駆動部が移動部として機能する。
次に、本実施形態に係る折り処理ユニット3が、用紙6の搬送方向先端に折り目が位置していない場合、増し折り時に押圧位置を調整する際の動作例について、図30(a)、(b)を参照して説明する。図30(a)、(b)は、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折り時に押圧位置を調整する際の動作例を示す図である。
本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙6の搬送方向先端に折り目が位置していない場合、用紙6に形成された第一の折り目6aを第四の用紙検知センサ394により検知することができない。
そこで、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙6の搬送方向先端に折り目が位置していない場合、増し折り時に押圧位置を調整する際には、図30(a)に示すように、第四の用紙検知センサ394により用紙6の搬送方向先端を検知すると、用紙6の搬送方向先端と第二の折り目6bとの距離L1と、第一の折り目6aと第二の折り目6bとの距離L2との差L1-L2をS4に考慮した距離S4+L1-L2だけ用紙6を搬送することで、押圧位置を調整するようになっている。
若しくは、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙6の搬送方向先端に折り目が位置していない場合、増し折り時に押圧位置を調整する際には、図30(b)に示すように、第四の用紙検知センサ394により用紙6の搬送方向先端を検知すると、用紙6を距離S4だけ搬送すると共に、増し折りローラ370をL1-L2だけ移動させることで、押圧位置を調整するようになっている。
このL1-L2は、折り方に関する折り情報及び用紙6の搬送方向におけるサイズに関する用紙情報に基づいて算出される距離である。従って、L1-L2だけ搬送距離が変更されて搬送された用紙6は、第一の折り目6aが増し折りローラ370の直上に位置することになる。そして、折り処理ユニット3は、この位置において、第一の折り目6aを押圧する。
このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りの際、折り情報及び用紙情報に基づいて、用紙6に形成された折り目の位置に合わせて押圧位置を調整するようになっている。そのため、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙6の搬送方向先端に折り目が位置していない場合であっても、的確に折り目を押圧することが可能となる。
尚、本実施形態において、用紙6の搬送方向後端に折り目が位置しなくなるのは、第一の折り目6aと用紙6の搬送方向終端との距離をL3とすると、図31(a)、(b)にそれぞれ示すように、外三つ折り及びZ折りについては、折る前の用紙6の搬送方向における全長>L3+L2×2となる場合である。また、どのような折り方であっても、L1-L2>0となる場合には、用紙6の搬送方向先端に折り目が位置しない。
次に、本実施形態に係る折り処理ユニット3が、用紙6の搬送方向先端に折り目が位置していない場合に、増し折り時の押圧位置を調整する際の動作例について、図32(a)、(b)を参照して説明する。図32(a)、(b)は、本実施形態に係る折り処理ユニット3が増し折り時に押圧位置を調整する際の動作例を示す図である。
本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙6の搬送方向後端に折り目が位置していない場合、用紙6に形成された第二の折り目6bを第四の用紙検知センサ394により検知することができない。
そこで、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙6の搬送方向後端に折り目が位置していない場合、増し折り時に押圧位置を調整する際には、図32(a)に示すように、第一の折り目6aを押圧した後、距離L2だけ用紙6を搬送することで、押圧位置を調整するようになっている。
若しくは、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙6の搬送方向後端に折り目が位置していない場合、増し折り時に押圧位置を調整する際には、図32(b)に示すように、第一の折り目6aを押圧した後、増し折りローラ370を距離L2だけ移動させることで、押圧位置を調整するようになっている。
この距離L2は、第一の折り目6aと第二の折り目6bとの距離であって、折り方に関する折り情報及び用紙サイズに関する用紙情報に基づいて算出される距離である。従って、この距離L2だけ搬送された用紙6は、第二の折り目6bが増し折りローラ370の直上に位置することになる。そして、折り処理ユニット3は、この位置において、第二の折り目6bを押圧する。
このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りの際、折り情報及び用紙情報に基づいて、用紙6に形成された折り目の位置に合わせて押圧位置を調整するようになっている。そのため、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙6の搬送方向後端に折り目が位置していない場合であっても、的確に折り目を押圧することが可能となる。
尚、本実施形態において、用紙6の搬送方向後端に折り目が位置しなくなるのは、第一の折り目6aと用紙6の搬送方向始端との距離をL4とすると、図33(a)、(b)にそれぞれ示すように、外三つ折り、内三つ折りについては、折る前の用紙6の搬送方向における全長>L4+L2×2となる場合である。また、図33(c)に示すように、Z折りについては、どのような場合であっても、用紙6の搬送方向後端に折り目が位置しない。なぜならば、Z折りにおいては、常に、折る前の用紙6の搬送方向における全長>L4+L2×2となるためである。また、どのような折り方であっても、L3-L2>0となる場合には、用紙6の搬送方向後端に折り目が位置しない。
以上、説明したように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りの際、用紙6の搬送距離を調整し、若しくは、増し折りローラ370を移動させることで、用紙6に形成された折り目の位置に合わせて押圧位置を調整するようになっている。そのため、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙毎に折り目の位置が異なる場合であっても、的確に折り目を押圧することが可能となる。
また、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りの際、折り情報及び用紙情報に基づいて、用紙6に形成された折り目の位置に合わせて押圧位置を調整するようになっている。そのため、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙6の搬送方向先端、若しくは、搬送方向後端に折り目が位置していない場合であっても、的確に折り目を押圧することが可能となる。
尚、本実施形態においては、主制御部101が、折り処理ユニット3による用紙の折り方や折り位置、折る対象となる用紙のサイズ等の設定値に応じて、用紙6の搬送量であるS1、S2、S3を決定する。また、本実施形態においては、主制御部101が、上記設定値に応じて、増し折りローラ370による押圧位置への用紙6の搬送量及び、及び、増し折りローラ370の移動量を決定する。
ここで、搬送量とは、用紙6の搬送距離や搬送時間、用紙6を搬送する搬送部を駆動させる搬送駆動部のパルスカウントや駆動時間、駆動距離等の駆動量である。また、移動量とは、増し折りローラ370の移動距離や移動時間、増し折りローラ370を移動させる移動駆動部のパルスカウントや駆動時間、駆動距離などの駆動量である。
また、本実施形態においては、画像形成ユニット2、折り処理ユニット3、後処理ユニット4、スキャナユニット5が、画像形成装置1に備えられる構成について説明したが、各ユニットそれぞれが異なる独立した装置として構成され、それらの装置が連結されて画像形成システムを構成するようにしても良い。
また、本実施形態においては、用紙6に第一の折り目6aと第二の折り目6bとの2箇所に折り目が形成されている例について説明したが、3箇所以上の複数箇所に折り目が形成されている場合にも同様に適用可能である。
実施の形態2.
実施の形態1に係る増し折りローラ370は、図17~図20及び図21~図24を参照して説明したように、押圧力伝達ローラ373の周回面上に、凸形状の押圧力伝達部372が増し折りローラ回転軸371と一定の角度差θをもって螺旋状に主走査方向に向かって配置されて構成されている例について説明した。
そのため、実施の形態1に係る増し折りローラ370は、増し折りローラ回転軸371を回転軸として回転することで、用紙6に形成された折り目を主走査方向の一方向に向かって順次押圧することができる。
従って、実施の形態1に係る折り処理ユニット3は、短時間の間に集中的な押圧力を折り目全域にわたってかけることが可能となる。そのため、実施の形態1に係る折り処理ユニット3は、増し折りローラ回転軸371への負荷を低減させつつ、生産性を低下させることなく折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。
本実施形態に係る折り処理ユニット3は、このような構成に加え、増し折り時においては増し折りローラ370を低速で回転させることにより折り目に対して十分な押圧力を与え、増し折り時以外においては増し折りローラ370を高速で回転させることで生産性を向上させるように構成されている例について説明する。以下、詳細に説明する。尚、実施の形態1と同様の符号を付す構成については、同一または相当部を示すものとし、詳細な説明を省略する。
まず、本実施形態に係る折り処理ユニット3が折り目に対して十分な押圧力を与え、かつ、生産性を向上させるための一つ目の方法について、図34(a)~(d)を参照して説明する。図34(a)~(d)は、本実施形態に係る折り処理ユニット3が折り目に対して十分な押圧力を与え、かつ、生産性を向上させるための動作例を示す図である。
本実施形態に係る折り処理ユニット3は、折り目に対して十分な押圧力を与え、かつ、生産性を向上させるためには、図34(a)に示すように、増し折りローラ370がホームポジションから用紙6に当接するまでの増し折りローラ370の回転速度をV1とし、図34(b)に示すように、増し折りローラ370が用紙6に当接する瞬間の増し折りローラ370の回転速度をV2とし、図27(c)に示すように、増し折りローラ370が用紙6を押圧しているときの増し折りローラ370の回転速度をV3とし、図27(d)に示すように、増し折りローラ370が用紙6を離間してからホームポジションに戻るまでの増し折りローラ370の回転速度をV4としたとき、V2<V1、V2<V3、V2<V4となるように増し折りローラ370の回転速度を制御する。
このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りローラ370が用紙6を押圧しているときには増し折りローラ370を低速(V3)で回転させることで、折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。また、このとき、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りローラ370が用紙6を押圧しているときには増し折りローラ370を低速(V3)で回転させることで、増し折りローラ370と用紙6との摺動音を抑えることも可能となる。
また、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りローラ370が用紙6に当接していないときには、折りローラ370を高速(V1=V4)で回転させることで、生産性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りローラ370が用紙6に当接する瞬間には増し折りローラ370をさらに低速(V2)で回転させることで、増し折りローラ370と用紙支持板380との衝突音を抑えることが可能となる。
このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、V2<V3<V1=V4のように、増し折りローラ370の回転速度を状況に応じて変化させることで、増し折り効果、摺動音の抑制、生産性の向上、衝突音の抑制の3者を同時に成り立たせることが可能となる。
即ち、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りローラ370と用紙支持板380との衝突音を抑えるために、増し折りローラ370が用紙6に当接する瞬間の増し折りローラ370の回転速度V1を最も小さくなるように制御する。その一方で、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、生産性を向上させるために、増し折りローラ370が用紙6に当接する瞬間でも用紙6の押圧中でもないときの増し折りローラ370の回転速度V3を最も大きくなるように制御する。
尚、図35(a)、(b)に示すように、用紙幅に応じて押圧に要する時間は異なる、即ち、用紙幅が狭いほど押圧に要する時間は短くて済む。そこで、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙幅と増し折りローラ370の回転速度とから押圧に要する時間を算出し、押圧が終わり次第、増し折りローラ370の回転速度をV3からV4へ変更する。
このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、用紙幅に応じて増し折りローラ370の回転速度をV3からV4へ変更するタイミングを変えるように構成されている。従って、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、さらに生産性を向上させることが可能となる。
次に、本実施形態に係る折り処理ユニット3が折り目に対して十分な押圧力を与え、かつ、生産性を向上させるための一つ目の方法について、図36(a)、(b)を参照して説明する。図36(a)、(b)は、本実施形態に係る折り処理ユニット3が折り目に対して十分な押圧力を与え、かつ、生産性を向上させるための動作例を示す図である。
本実施形態に係る折り処理ユニット3は、折り目に対して十分な押圧力を与え、かつ、生産性を向上させるためには、図36(a)に示すように、増し折りローラ370が紙厚の薄い用紙6を押圧しているときの増し折りローラ370の回転速度をV5とし、図36(b)に示すように、増し折りローラ370が紙厚の厚い用紙6を押圧しているときの増し折りローラ370の回転速度をV6としたとき、V6<V5となるように増し折りローラ370の回転速度を制御する。
このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りローラ370が紙厚の薄い用紙6を押圧しているときには増し折りローラ370を高速(V5)で回転させることで、生産性を向上させることが可能となる。これは、紙厚が薄いほど容易に折り目を強化することができるためである。
また、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折りローラ370が紙厚の薄い用紙6を押圧しているときには増し折りローラ370を低速(V6)で回転させることで、折り目に対して十分な押圧力を与えることが可能となる。これは、紙厚が厚いほど折り目を強化し難くなるためである。
このように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、V6<V5のように、増し折りローラ370の回転速度を紙厚に応じて変化させることで、増し折り効果及び生産性の向上を両立させることが可能となる。
尚、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、折の回数が多い用紙ほど用紙の重なりが増してその厚みが増すため、図36(a)、(b)に示した動作と同様にして、増し折りローラ370の回転速度を折りの回数に応じて変化させることで、増し折り効果及び生産性の向上をさらに高度に両立させることが可能となる。
以上、説明したように、本実施形態に係る折り処理ユニット3は、増し折り時においては増し折りローラ370を低速で回転させることにより折り目に対して十分な押圧力を与え、増し折り時以外においては増し折りローラ370を高速で回転させることで生産性を向上させることが可能となる。