JP7036488B2 - 基材レス両面粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、基材レス両面粘着シートに関する。
物体間を面接着する粘着シートは従来から種々知られており、粘着シートの1つとして基材レス両面粘着シートが知られている。
基材レス両面粘着シートは、芯材となる基材を有しない粘着剤層の両面に、当該粘着剤層に対する剥離力が相対的に低い軽剥離フィルムと、当該粘着剤層に対する剥離力が相対的に高い重剥離フィルムとがそれぞれ積層されて構成される。
基材レス両面粘着シートは、まず軽剥離フィルムが剥がされ、露出した粘着剤層の一方の面が物体面に接着される。次いで、重剥離フィルムが剥がされ、露出した粘着剤層の他方の面が、異なる物体面に接着され、これにより物体間が面接着される。
ところで、基材レス両面粘着シートの問題点として、軽剥離フィルムを剥離する際に、粘着剤層が軽剥離フィルムに追従して重剥離フィルムと軽剥離フィルムとの間で引き延ばされ、引き延ばされた粘着剤が破断を起こして、本来重剥離フィルム側に残るべき粘着剤層が軽剥離フィルム側に面状に転着する剥離不良が生じることが挙げられる。
このような面状の転着による剥離不良は、重剥離フィルムの粘着剤層に対する剥離力(以下、「重剥離フィルムの剥離力」ともいう)と軽剥離フィルムの粘着剤層に対する剥離力(以下、「軽剥離フィルムの剥離力」ともいう)との差が小さい場合に生じやすい。
そこで、重剥離フィルムの剥離力と軽剥離フィルムの剥離力の差を大きくすることが従来から行われている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平07-041736号公報
しかしながら、基材レス両面粘着シートにおいては、面状の転着による剥離不良とは異なる剥離不良も起こり得る。
本発明者らは、二軸延伸ポリエステルフィルムの粘着剤層との貼合面に離型層としてシリコーン樹脂層を形成した軽剥離フィルムを有する基材レス両面粘着シートについて種々検討した結果、軽剥離フィルムを剥離する際に、上記の転着とは異なる剥離不良である微小なスポット状の転着(以下、「スポット転着」ともいう)が生じ得ることを突き止めるに至った。
スポット転着は、粘着剤層に微小な欠陥を生じさせる要因となる。基材レス両面粘着シートは、光学フィルムの貼り合せ等の用途で利用されることから、粘着剤層における微小な欠陥の発生は、極力抑えることが望まれる。
本発明は、軽剥離フィルムを剥離する際にスポット転着を抑制することのできる基材レス両面粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、基材レス両面粘着シートの軽剥離フィルムを構成する高分子フィルムとして、微小融解熱量ピーク温度が特定の温度以下である二軸延伸ポリエステルフィルムを用いることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[5]に関する。
[1]軽剥離フィルムと、前記軽剥離フィルム上に設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層上に設けられた重剥離フィルムとを有する、基材レス両面粘着シートであって、
前記軽剥離フィルムが、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムと、前記第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの前記粘着剤層との貼合面に設けられた第一のシリコーン樹脂層とを有し、
前記重剥離フィルムが、第二の二軸延伸ポリエステルフィルムと、前記第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの前記粘着剤層との貼合面に設けられた第二のシリコーン樹脂層とを有し、
前記第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの微小融解熱量ピーク温度が、[Tmp-40]℃未満(Tmp:ポリエステルの融点)である、基材レス両面粘着シート。
[2]前記第一の二軸延伸ポリエステルフィルム及び前記第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの双方が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、
前記第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの微小融解熱量ピーク温度が、220℃未満である、上記[1]に記載の基材レス両面粘着シート。
[3]前記軽剥離フィルムの前記粘着剤層に対する剥離力と前記重剥離フィルムの前記粘着剤層に対する剥離力の差の絶対値が、5mN/25mm以上である、上記[1]又は[2]に記載の基材レス両面粘着シート。
[4]前記粘着剤層の厚みが、1~250μmである、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の基材レス両面粘着シート。
[5]前記第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚み及び前記第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みが、いずれも19~188μmである、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の基材レス両面粘着シート。
本発明によれば、軽剥離フィルムを剥離する際にスポット転着を抑制することのできる基材レス両面粘着シートを提供することができる。
本発明の基材レス両面粘着シートの一実施形態を示す断面図である。 基材レス両面粘着シートにおいて生じ得るスポット転着の概念図である。 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの微小融解熱量ピークの測定結果の一例を示す図である。 図3における微小融解熱量ピークを拡大した図である。
本明細書において、質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
また、本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
[基材レス両面粘着シートの構成]
本発明の基材レス両面粘着シートは、軽剥離フィルムと、軽剥離フィルム上に設けられた粘着剤層と、粘着剤層上に設けられた重剥離フィルムとを有する。
軽剥離フィルムは、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムと、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの粘着剤層との貼合面に設けられた第一のシリコーン樹脂層とを有する。
重剥離フィルムは、第二の二軸延伸ポリエステルフィルムと、第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの粘着剤層との貼合面に設けられた第二のシリコーン樹脂層とを有する。
なお、粘着剤層は、芯材となる基材を有しない。
本発明の一態様の基材レス両面粘着シートとしては、例えば図1に示す基材レス両面粘着シート10が挙げられる。
図1に示す基材レス両面粘着シート10は、軽剥離フィルム11と、軽剥離フィルム11上に設けられた粘着剤層1と、粘着剤層1上に設けられた重剥離フィルム12とを有する。
軽剥離フィルム11は、第一の二軸延伸ポリエステルフィルム2と、第一の二軸延伸ポリエステルフィルム2の粘着剤層1との貼合面に設けられた第一のシリコーン樹脂層3とを有する。第一の二軸延伸ポリエステルフィルム2と粘着剤層1は、他の層を介することなく貼合されている。
重剥離フィルム12は、第二の二軸延伸ポリエステルフィルム4と、第二の二軸延伸ポリエステルフィルム4の粘着剤層1との貼合面に設けられた第二のシリコーン樹脂層5とを有する。第二の二軸延伸ポリエステルフィルム4と粘着剤層1は、他の層を介することなく貼合されている。
なお、本発明の一態様の基材レス両面粘着シートにおいて、第一の二軸延伸ポリエステルフィルム2と第一のシリコーン樹脂層3との間、及び、第二の二軸延伸ポリエステルフィルム4と第二のシリコーン樹脂層5との間には、他の層が設けられていてもよい。他の層としては、例えば、帯電防止層及びアンカー層等が挙げられる。
本発明の一態様において、粘着剤層の厚みは、生産性及びコストの観点から、1~250μmであることが好ましく、5~200μmであることがより好ましく、10~175μmであることが更に好ましい。
また、本発明の一態様において、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚み及び第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みは、粘着剤層の表面に変形、凹凸、及び歪み等の打痕が生じるのを抑制し易くする観点、並びに、二軸延伸ポリエステルフィルムの幅方向にわたって配向角を均一に低くして、クロスニコル法による検査の際に光漏れが生じるのを抑え、クロスニコル法よる検品性をより良好なものとする観点から、いずれも19μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましい。また、いずれも188μm以下であることが好ましく、125μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが更に好ましく、50μm以下であることがより更に好ましく、48μm以下であることが更になお好ましい。
なお、本発明の一態様において、基材レス両面粘着シートを偏光板用途で用いる場合、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚み及び第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みは、いずれも19~50μmであることが好ましく、25~48μmであることがより好ましい。
また、本発明の一態様において、基材レス両面粘着シートをタッチパネル用途で用いる場合、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚み及び第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みは、いずれも38~188μmであることが好ましく、38~125μmであることがより好ましい。
また、本発明の一態様において、第一のシリコーン樹脂層の乾燥時の厚み及び第二のシリコーン樹脂層の乾燥時の厚みは、シリコーン樹脂層形成用組成物の塗布量振れによる剥離力バラつきを抑制する観点、及び、ブロッキングを抑制する観点から、いずれも40nm~1μmであることが好ましく、50nm~0.5μmであることがより好ましく、60nm~0.3μmであることが更に好ましい。
粘着剤層の厚み、二軸延伸ポリエステルフィルムの厚み、及びシリコーン樹脂層の厚みは、例えば、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
なお、本発明の一態様の基材レス両面粘着シートの形状は、例えば、正方形、長方形、多角形、円形、及び円環形等が挙げられるが、これらの形状には限定されず、基材レス両面粘着シートの用途に応じて適宜選択される。
また、本発明の一態様の基材レス両面粘着シートは、例えば、長尺の基材レス両面粘着シートをロール状に巻き回した巻回体や芯材に巻き付けた巻付体としてもよい。
以下、本発明の基材レス両面粘着シートを構成する、軽剥離フィルム及び重剥離フィルム、並びに粘着剤層について、詳細に説明する。
[軽剥離フィルム及び重剥離フィルム]
軽剥離フィルムは、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムと、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの粘着剤層との貼合面に設けられた第一のシリコーン樹脂層とを有する。
また、重剥離フィルムは、第二の二軸延伸ポリエステルフィルムと、第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの粘着剤層との貼合面に設けられた第二のシリコーン樹脂層とを有する。
<第一の二軸延伸ポリエステルフィルム>
第一の二軸延伸ポリエステルフィルムは、微小融解熱量ピーク温度が、[Tmp-40]℃未満(Tmp:ポリエステルの融点)である二軸延伸ポリエステルフィルムである。
二軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムに対して二軸延伸処理を施した後、熱固定処理を施すことにより作製される。
ポリエステルフィルムを二軸延伸する方法としては、例えば、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する方法、幅方向に延伸した後に長手方向に延伸する方法、長手方向の延伸と幅方向の延伸とを複数回組み合わせて行う方法、及び長手方向の延伸と幅方向の延伸とを同時に行う同時二軸延伸とよばれる方法等が挙げられる。
熱固定処理は、オーブン等を用いて、ポリエステルの融点未満の温度で加熱することにより行われる。熱固定処理を行うことで、二軸延伸されたポリエステルフィルムの収縮を抑制することができ、寸法安定性を良好なものとできる。
なお、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、及び二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム等が挙げられる。これらの中でも、透明性及び平滑性の観点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
なお、以降の説明では、「ポリエチレンテレフタレート」を「PET」と略称することもある。
本発明者らは、二軸延伸ポリエステルフィルムの粘着剤層との貼合面にシリコーン樹脂層を形成した軽剥離フィルムを有する基材レス両面粘着シートについて種々検討した結果、軽剥離フィルムを剥離する際に、重剥離フィルムの剥離力と軽剥離フィルムの剥離力との差が小さい場合に生じる面状の転着とは異なる剥離不良であるスポット転着が生じ得ることを突き止めるに至った。
スポット転着が生じている基材レス両面粘着シートの概念図を図2に示す。基材レス両面粘着シート20の軽剥離フィルム21を粘着剤層23から剥がすと、粘着剤層1の一部の微小部位が、軽剥離フィルム21に追従し、軽剥離フィルム21と重剥離フィルム22との間で引き延ばされる。引き延ばされた粘着剤23aの一部は、軽剥離フィルム21と粘着剤層23との界面では剥離せず、引き延ばされた粘着剤23aの破断が起こり、引き延ばされた粘着剤23aのうち破断部よりも軽剥離フィルム21側に位置する粘着剤は、軽剥離フィルム21上に残留し、スポット状の残留粘着剤23bとなる。また、引き延ばされた粘着剤23aのうち破断部よりも粘着剤層23側に位置する粘着剤によって、粘着剤層23上に微小な欠陥も生じ得る。
なお、このようなスポット転着は、芯材となる基材が粘着剤層に存在している両面粘着テープにおいては生じない。また、基材レス両面粘着シートの重剥離フィルムを剥離する際には、軽剥離フィルムを剥離した後の粘着剤層の露出面に被着体が貼り付けられており、被着体が支持体として機能するため、スポット転着の問題は起こらない。つまり、スポット転着の問題は、基材レス両面粘着シートに芯材がないが故に生じる、軽剥離フィルムを剥離する際に特有の問題である。
本発明者らは、上記スポット転着の原因について検討した結果、シリコーン系離型剤を含むシリコーン樹脂層形成用組成物を二軸延伸ポリエステルフィルムに塗布した際に稀にハジキが生じ、当該ハジキが生じた微小部位で粘着剤層と二軸延伸ポリエステルフィルムとがシリコーン樹脂層を介することなく接することがわかった。そして、粘着剤層と二軸延伸ポリエステルフィルムが接している微小部位では、軽剥離フィルムを剥離する際に、当該微小部位において粘着剤層が軽剥離フィルムから剥がれることなく軽剥離フィルムに追従して引き伸ばされた結果として、スポット転着が起こり得ることを突き止めるに至った。
つまり、軽剥離フィルムの剥離力や重剥離フィルムの剥離力の大小とは関係なく、稀に発生するシリコーン樹脂層形成用組成物のハジキ等の塗布異常により、スポット転着が起こり得ることを突き止めるに至った。
また、本発明者らは、種々検討した結果、二軸延伸ポリエステルフィルムの熱固定処理温度が高温であると、ポリエステルフィルムを構成するモノマー成分やオリゴマー成分等が熱固定処理中に昇華してオーブン内に付着し、これらが熱固定処理中又は熱固定処理後に二軸延伸ポリエステルフィルム上に落下して付着異物になり得ることがわかった。
例えば、ポリエステルフィルムがPETフィルムである場合、二軸延伸ポリエステルフィルムの熱固定処理温度が高温であると、PETフィルム表面に、テレフタル酸やオリゴマー成分が付着異物として存在し得る。
本発明者らは、これらの付着異物が、シリコーン樹脂層形成用組成物を二軸延伸ポリエステルフィルムに塗布する際のハジキの原因であると考えた。そこで、熱固定処理温度を低温とすることによって、ポリエステルフィルムを構成するモノマー成分やオリゴマー成分等が昇華してオーブン内に付着するのを抑え、二軸延伸ポリエステルフィルム上の付着異物を低減して、上記ハジキを抑制することを考えた。
ここで、熱固定処理温度は、微小融解熱量ピーク温度と相関があり、熱固定処理を施す際の温度が高い程、微小融解熱量ピーク温度も高くなり、熱固定処理を施す際の温度が低い程、微小融解熱量ピーク温度も低くなる。そこで、本発明者らは、微小融解熱量ピーク温度に着目して種々検討を行った結果、微小融解熱量ピーク温度が[Tmp-40]℃未満(Tmp:ポリエステルの融点)である二軸延伸ポリエステルフィルムを用いることで、二軸延伸ポリエステルフィルム上の付着異物を大幅に低減して、シリコーン樹脂層形成用組成物を二軸延伸ポリエステルフィルムに塗布する際のハジキを抑制することができ、軽剥離フィルムを剥離する際のスポット転着を抑制できることを見出した。
本明細書において、微小融解熱量ピーク温度は、JIS K7121(1999)に準拠し、示差走査熱量測定装置を用いて測定される二軸延伸ポリエステルフィルムの微小融解熱量ピークの頂点の温度である。具体的には、後述する実施例に記載の方法を用いて測定し、決定することができる。
ここで、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの微小融解熱量ピーク温度は、軽剥離フィルムを剥離する際のスポット転着をより良好に抑制する観点から、好ましくは[Tmp-45]℃以下、より好ましくは[Tmp-50]℃以下、更に好ましくは[Tmp-60]℃以下、より更に好ましくは[Tmp-70]℃以下、更になお好ましくは[Tmp-80]℃以下、特に好ましくは[Tmp-90]℃以下である。
第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの微小融解熱量ピーク温度の下限値は、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの収縮を抑制することが可能な熱固定処理温度の下限値に対応する微小融解熱量ピーク温度であればよく、通常、[Tmp-100]℃である。
第一の二軸延伸ポリエステルフィルムが、二軸延伸PETフィルムである場合、微小融解熱量ピーク温度は、220℃未満であるが、好ましくは215℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下、より更に好ましくは190℃以下、更になお好ましくは180℃以下、特に好ましくは170℃以下である。
二軸延伸PETフィルムの微小融解熱量ピーク温度の下限値は、通常、160℃である。
<第二の二軸延伸ポリエステルフィルム>
第二の二軸延伸ポリエステルフィルムは、特に限定されず、基材レス両面粘着シートに用いられる二軸延伸ポリエステルフィルムを適宜選択して使用することができるが、透明性及び平滑性の観点から、二軸延伸PETフィルムを使用することが好ましい。
したがって、第一の二軸延伸ポリエステルフィルム及び第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの双方が、二軸延伸PETフィルムであることがより好ましい。
また、第二の二軸延伸ポリエステルフィルムとして、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムとして挙げた上述の二軸延伸ポリエステルフィルムと同様のものを、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムとは独立して選択してもよい。
なお、光学フィルム等の光学材料の貼り合せに用いる場合や、寸法安定性をより良好なものとする観点からは、第二の二軸延伸ポリエステルフィルムは、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムと同様のものを用いることが好ましい。
<第一のシリコーン樹脂層>
第一のシリコーン樹脂層は、軽剥離フィルムに粘着剤層からの剥離性を付与する機能を有する。
第一のシリコーン樹脂層は、シリコーン樹脂を含む離型層であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、離型層用添加剤を含有してもよい。
第一のシリコーン樹脂層は、シリコーン系離型剤を含むシリコーン樹脂層形成用組成物(A)を硬化して形成することができる。
以下、第一のシリコーン樹脂層の形成材料であるシリコーン樹脂層形成用組成物(A)に含まれる各成分について説明する。
(シリコーン系離型剤)
シリコーン系離型剤としては、ジメチルポリシロキサンを基本骨格として有するシリコーン樹脂を配合したシリコーン離型剤を用いることができる。
当該シリコーン樹脂は、付加反応型、縮合反応型、並びに、紫外線硬化型及び電子線硬化型等のエネルギー線硬化型のいずれであってもよいが、付加反応型シリコーン樹脂であることが好ましい。
付加反応型シリコーン樹脂は、反応性が高く生産性に優れるとともに、縮合反応型と比較すると、製造後の剥離力の変化が小さい、硬化収縮がない等のメリットがある。
付加反応型シリコーン樹脂の具体例としては、分子の末端および/または側鎖に、ビニル基、アリル基、プロペニル基、及びヘキセニル基等の炭素数2~10のアルケニル基を2個以上備えたオルガノポリシロキサンが挙げられる。
このような付加反応型シリコーン樹脂を用いる際には、架橋剤および触媒を併用することが好ましい。
(架橋剤)
架橋剤としては、例えば1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。
架橋剤の具体例としては、ジメチルハイドロジェンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)等が挙げられる。
(触媒)
触媒としては、微粒子状白金、炭素粉末担体上に吸着された微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、パラジウム、及びロジウム等の白金族金属系化合物等が挙げられる。
このような触媒を用いることにより、シリコーン樹脂層形成用組成物(A)の硬化反応をより効率よく進行させることができる。
(その他の添加剤)
シリコーン樹脂層形成用組成物(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、離型層において一般的に使用される添加剤を含有してもよい。
このような添加剤としては、染料及び分散剤等が挙げられる。
(希釈溶媒)
シリコーン樹脂層形成用組成物(A)は、粘度を調整して第一の二軸延伸ポリエステルフィルムへの塗布性を向上させる観点から、上述の各種有効成分とともに、希釈溶媒を含んでいてもよい。
本明細書において、「有効成分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、希釈溶媒を除いた成分を指す。
なお、当該希釈溶媒には、シリコーン系離型剤に含まれる溶媒も含まれる。
希釈溶媒としては、トルエンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどの脂肪酸エステル、メチルエチルケトンなどのケトン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素等の有機溶剤等が挙げられる。
これらの希釈溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリコーン樹脂層形成用組成物(A)の溶液の有効成分(固形分)濃度としては、好ましくは0.3~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%、更に好ましくは0.5~3質量%である。
<第二のシリコーン樹脂層>
第二のシリコーン樹脂層は、軽剥離フィルムに粘着剤層からの剥離性を付与する機能を有する。
第二のシリコーン樹脂層は、シリコーン樹脂を含む離型層であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、離型層用添加剤を含有してもよい。
第二のシリコーン樹脂層は、シリコーン系離型剤を含むシリコーン樹脂層形成用組成物(B)を硬化して形成することができる。
シリコーン樹脂層形成用組成物(B)は、第二のシリコーン樹脂層を有する重剥離フィルムの剥離力が、第一のシリコーン樹脂層を有する軽剥離フィルムの剥離力よりも大きくなるように調製される。具体的には、例えば、上述したシリコーン樹脂層形成用組成物(A)のシリコーン系離型剤、架橋剤、触媒、及びその他の添加剤を適宜選択して調製される。
また、シリコーン樹脂層形成用組成物(B)は、重剥離添加剤を含むことが好ましい。
重剥離添加剤としては、例えば、シリコーンレジン及びシランカップリング剤等のオルガノシランが挙げられるが、これらの中でも、シリコーンレジンを用いることが好ましい。
シリコーンレジンとしては、例えば、一官能シロキサン単位[RSiO1/2]であるM単位と、四官能シロキサン単位[SiO4/2]であるQ単位とを含むMQレジンを用いることが好ましい。なお、M単位中の3つのRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基を表す。シリコーン移行を抑制し易くする観点からM単位中の3つのRの1つ以上は、水酸基又はビニル基であることが好ましく、ビニル基であることがより好ましい。
[粘着剤層]
本発明の基材レス両面粘着シートが有する粘着剤層は、粘着性樹脂を含む層であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、粘着剤用添加剤を含有してもよい。
粘着剤層は、粘着性樹脂を含む粘着剤組成物を用いて形成される。
粘着剤組成物の形態は、溶剤型、エマルション型、及び無溶剤型のいずれであってもよい。
<粘着性樹脂>
粘着性樹脂は、当該樹脂単独で粘着性を有し、質量平均分子量(Mw)が1万以上の重合体、好ましくは質量平均分子量(Mw)が1万~200万の重合体である。
具体的な粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂等のゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びシリコーン系樹脂等が挙げられる。
これらの粘着性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
本発明の一態様において、粘着剤組成物は、アクリル系樹脂を含むことが好ましく、接着耐久性の観点から、アクリル系樹脂の中でも(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含むことがより好ましい。
以下、溶剤型又はエマルション型粘着剤組成物が粘着性樹脂としてアクリル系樹脂を含む場合と、無溶剤型粘着剤組成物が粘着性樹脂としてアクリル系樹脂を含む場合とを例に挙げて説明する。
<溶剤型又はエマルション型粘着剤組成物>
粘着剤組成物が溶剤型またはエマルション型である場合、粘着剤組成物に含まれるアクリル系樹脂は、粘着性を与える主モノマー成分を主体とする重合体又は共重合体、又は、当該主モノマー成分に加えて架橋点や接着性改良のための官能基含有モノマー成分をさらに含む共重合体から構成することができる。
また、凝集力や接着力をより向上させる観点から、上記重合体又は共重合体は、コモノマー成分をさらに含んでもよい。
本発明の一態様において、アクリル系樹脂は、主モノマー成分と官能基含有モノマー成分の共重合体である(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることが好ましく、粘着性組成物は、当該(メタ)アクリル酸エステル共重合体とともに、架橋剤を含むことが好ましい。
(アクリル系樹脂)
主モノマー成分は、例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸メトキシエチル等のアルキル基の炭素数が1~20のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のアルキル基の炭素数が1~20のメタクリル酸アルキルエステル等である。
主モノマー成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、主モノマー成分は、炭素数4~8のアルキル基を有するモノマーであるアクリル酸ブチル及びアクリル酸2-エチルヘキシルが好ましく、アクリル酸ブチルがより好ましい。
アクリル系重合体又はアクリル系共重合体の全構成単位(100質量%)に対する主モノマー成分由来の構成単位の含有量は、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~99.9質量%、更に好ましくは90~99.5質量%である。
官能基含有モノマー成分としては、官能基として水酸基、カルボキシル基、及びアミノ基の少なくとも1種を含むことが好ましく、水酸基を含むことがより好ましい。
具体例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、などの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。
官能基含有モノマー成分は、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが好ましい。
アクリル系共重合体の全構成単位(100質量%)に対する官能基含有モノマー成分由来の構成単位の含有量は、架橋剤との反応性の観点、並びに、粘着剤層の柔軟性及び接着耐久性向上の観点から、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~7.0質量%、更に好ましくは0.2~6.0質量%である。
コモノマー成分は、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、及びアクリロニトリルである。
コモノマー成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明の一態様において、アクリル系樹脂として好ましい(メタ)アクリル酸エステル共重合体の全構成単位(100質量%)に対する主モノマー成分由来の構成単位及び官能基含有モノマー成分由来の構成単位の合計含有量は、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%である。
粘着剤組成物に含まれるアクリル酸エステル共重合体等のアクリル系共重合体の共重合形態については特に制限はなく、ランダム共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
粘着剤組成物に含まれるアクリル系重合体及びアクリル酸エステル共重合体等のアクリル系共重合体の質量平均分子量(Mw)は、被着体に対する密着性や接着耐久性がを十分なものとする観点、並びに、浮きや剥がれ等の発生をより効果的に防止する観点から、30万以上であることが好ましく、40万~200万であることがより好ましく、50万~180万であることがさらに好ましい。
なお、アクリル系重合体は2種以上組み合わせて用いてもよいし、アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系共重合体を2種以上組み合わせて用いてもよい。また、アクリル系重合体及びアクリル酸エステル共重合体等のアクリル系共重合体を2種以上組み合わせて用いてもよい。
(架橋剤)
本発明の一態様において、粘着剤組成物は、上記アクリル酸エステル共重合体のように、官能基含有モノマー成分を構成単位として有する場合、架橋剤を含むことが好ましい。
架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。
これらの架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、架橋剤としては、イソシアネート化合物が好ましい。
架橋剤の含有量は、上記アクリル酸エステル共重合体が有する官能基の数により適宜調整される。例えば、上記官能基含有モノマー成分を有するアクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部、より好ましくは0.1~8質量部、更に好ましくは1~6質量部である。
(その他の添加剤)
本発明の一態様において、粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、架橋剤の他にも、一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤を含有してもよい。
このような粘着剤用添加剤としては、使用する粘着性樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、シランカップリング剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤、及び着色剤などを含有してもよい。
(希釈溶媒)
溶剤型の粘着剤組成物を調製するために用いられる希釈溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、t-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、及びテトラヒドロフラン、酢酸エチルなどが挙げられる。
これらの希釈溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
希釈溶媒として使用する有機溶媒は、粘着性樹脂の合成時に使用された有機溶媒をそのまま用いてもよいし、粘着剤組成物を均一に塗布できるように、粘着性樹脂の合成時に使用された有機溶媒及び/又はそれ以外の1種以上の有機溶媒を加えてもよい。
なお、アクリル系重合体及びアクリル系共重合体を重合する際に使用する重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤として用いることができるアゾ系化合物としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2'-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
これらの中でも、2,2'-アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。
<無溶剤型粘着剤組成物>
粘着剤組成物が無溶剤型である場合、粘着剤組成物は、側鎖にラジカル重合性不飽和二重結合性基を有する(メタ)アクリル酸エステルのポリマー(X1)、(メタ)アクリレートオリゴマー(X2)、及び(メタ)アクリル酸エステルモノマー(X3)から選択される少なくとも1種と、光重合開始剤(Y)とを含有することが好ましい。
(アクリル系樹脂)
(メタ)アクリル酸エステルのポリマー(X1)としては、(メタ)アクリル酸エステルのポリマー構造を有し、該ポリマー構造の側鎖にラジカル重合性不飽和二重結合を有するものが挙げられる。
具体的には、上記溶剤型粘着剤組成物の項において挙げた主モノマー成分及びコモノマー成分と、活性水素をもつ官能基を有するモノマーとの共重合体(X1a)において、上記活性水素をもつ官能基に対して、ラジカル重合性不飽和二重結合が導入されたものが好ましい。
当該ラジカル重合性不飽和二重結合性基の数は、粘着剤層の強度や凝集力を高める観点から、2個以上であることが好ましい。
活性水素をもつ官能基を有するモノマーとしては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの官能基を有するモノマーが挙げられる。具体的には、上記溶剤型粘着剤組成物の項において挙げた官能基含有モノマー成分と同様の化合物を用いることができる。
上記各モノマー成分を常法により重合することによって、共重合体とする。共重合体(X1a)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
共重合体(X1a)に対する、活性水素をもつ官能基へのラジカル重合性不飽和二重結合性基の導入は、例えば、ラジカル重合性不飽和二重結合及び活性水素反応性基の両方を有する化合物を付加反応させることにより行うことができる。上記活性水素反応性基としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基などが挙げられる。
ラジカル重合性不飽和二重結合及び活性水素反応性基の両方を有する化合物としては、具体的には、アクリロイルオキシエチルイソシアネート、アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルオキシプロピルイソシアネート、アリルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。
上記の付加反応は、例えば、温度25~60℃で6~48時間程度行うことが好ましい。また、上記の付加反応においては、必要に応じて、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物や置換アミン化合物等を触媒として用いることも好ましい。
(メタ)アクリレートオリゴマー(X2)としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー等の各種(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを好ましく用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸との反応でエステル化することにより得ることができる。
(メタ)アクリレートオリゴマー(X2)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、(メタ)アクリル酸エステルのポリマー(X1)および(メタ)アクリレートオリゴマー(X2)を併用することもできる。
(メタ)アクリル酸エステルのポリマー(X1)および上記(メタ)アクリレートオリゴマー(X2)の質量平均分子量(Mw)は、それぞれ20,000以上であり、好ましくは25,000~80,000であり、より好ましくは30,000~60,000である。
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(X3)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルのポリマー(X1)を構成するモノマーや、炭素-炭素二重結合のような反応性部位を2個以上有する多官能アクリレートなどが挙げられる。
上記多官能アクリレートとしては、具体的には、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート等の2官能型;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能型;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能型;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能型;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能型が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸エステルのポリマー(X1)や(メタ)アクリレートオリゴマー(X2)が主原料として用いられ、無溶剤型粘着剤組成物が高粘度となる場合には、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(X3)は、無溶剤型粘着剤組成物の粘度を低下させて、塗工性を向上させるために添加されてもよい。
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(X3)は、紫外線照射により(メタ)アクリル酸エステルモノマー(X3)同士、あるいは上記(メタ)アクリル酸エステルのポリマー(X1)および/または上記(メタ)アクリレートオリゴマー(X2)とで架橋構造を形成するため、得られる粘着剤層の凝集力を高め、染み出し等の問題が発生することを効果的に防止することができる。
(光重合開始剤)
無溶剤型粘着剤組成物は、光重合開始剤(Y)を含有することにより、無溶剤型粘着剤組成物中における紫外線硬化性成分を効率良く硬化させることができ、また重合硬化時間および紫外線の照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤(Y)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無溶剤型粘着剤組成物中に含まれる光重合開始剤(Y)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステルのポリマー(X1)、(メタ)アクリレートオリゴマー(X2)及び(メタ)アクリル酸エステルモノマー(X3)の合計100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましく、0.2~2質量部であることが更に好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の一態様において、無溶剤型粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、架橋剤の他にも、一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤を含有してもよい。
このような粘着剤用添加剤としては、溶剤型又はエマルジョン型粘着剤組成物の項で例示した添加剤が挙げられる。
[基材レス両面粘着シートの物性]
<軽剥離フィルムと重剥離フィルムの剥離力>
本発明の基材レス両面粘着シートにおいて、軽剥離フィルムの剥離力は、重剥離フィルムの剥離力よりも小さい。
ここで、本発明の一態様において、重剥離フィルムの剥離力と軽剥離フィルムの剥離力との差が小さい場合に生じる転着をより良好に抑制する観点から、軽剥離フィルムの剥離力と重剥離フィルムの剥離力の差の絶対値は、好ましくは5m/25mm以上、より好ましくは10mN/25mm以上、更に好ましくは20mN/25mm以上である。
また、本発明の一態様において、重剥離フィルムの剥離力と軽剥離フィルムの剥離力との差が小さい場合に生じる転着をより良好に抑制する観点から、重剥離フィルムの剥離力は、好ましくは30~300mN/25mm、より好ましくは50~200mN/25mm、更に好ましくは50~100mN/25mmである。
重剥離フィルムの剥離力は、シリコーン樹脂層形成用組成物(B)の形成材料の選択及び重剥離添加剤の配合量により調整し得る。
また、本発明の一態様において、重剥離フィルムの粘着剤層に対する剥離力を抑えた場合にも、軽剥離フィルムの剥離力と重剥離フィルムの剥離力との差の絶対値を大きくする観点から、軽剥離フィルムの剥離力は、好ましくは10~200mN/25mm、より好ましくは15~100mN/25mm、更に好ましくは20~80mN/25mmである。
軽剥離フィルムの剥離力は、シリコーン樹脂層形成用組成物(A)の形成材料の選択により調整し得る。
なお、上記の剥離力は、いずれもスポット転着の生じない通常領域で測定される値である。
[基材レス両面粘着シートの製造方法]
本発明の基材レス両面粘着シートの製造方法は、特に制限されないが、例えば、まず、第一の二軸延伸ポリエステルフィルム上に第一のシリコーン樹脂層を形成した軽剥離フィルムと、第二の二軸延伸ポリエステルフィルム上に第二のシリコーン樹脂層を形成した重剥離フィルムとを準備する。次いで、上述の溶剤型粘着剤組成物を用いる場合には、軽剥離フィルムの第一のシリコーン樹脂層上に、該溶剤型粘着剤組成物を公知の方法で塗布した後、加熱、乾燥して塗膜を形成する。次いで、該塗膜上に第二剥離フィルムの第二のシリコーン樹脂層側の面を貼合し、エージング処理することで、基材レス両面粘着シートを得ることができる。
粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法、及びグラビアコート法等が挙げられる。
なお、軽剥離フィルムは、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの粘着剤層との貼合面に、シリコーン樹脂層形成用組成物(A)を塗布し、加熱及び乾燥して形成される。
同様に、重剥離フィルムは、第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの粘着剤層との貼合面に、シリコーン樹脂層形成用組成物(B)を塗布し、加熱及び乾燥して形成される。
第一または第二の二軸延伸ポリエステルフィルムに対するシリコーン樹脂層形成用組成物(A)または(B)の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ゲートロールコート法、及びダイコート法などが挙げられる。これらの中でも、グラビアコート法及びバーコート法が好ましく、バーコート法がより好ましい。
また、シリコーン樹脂層形成用組成物(A)または(B)の加熱方法及び乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥炉などで熱乾燥する方法などが挙げられる。
乾燥温度は、例えば、50℃以上150℃以下である。
乾燥時間は、例えば、10秒間~5分間である。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
[微小融解熱量ピーク]
JIS K7121(1999)に準拠し、示差走査熱量測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、型式DSC Q2000)を用いて、以下の方法で微小融解熱量ピークを測定した。
サンプルパンに試料を5mg秤量し、試料を25℃~300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱した。このときに観測される、試料の融解に帰属される吸熱ピークの頂点の温度よりも低温側で、且つ当該吸熱ピークの近傍に存在する微小ピークの頂点、あるいは、当該吸熱ピーク中に観測される微小ショルダーの頂点を、微小融解熱量ピーク(℃)とした。
二軸延伸PETフィルムの微小融解熱量ピークの測定結果(ピーク温度:210℃)の一例を図3に示す。また、図3における微小融解熱量ピーク箇所を拡大したものを図4に示す。
なお、図3中、Tmpは二軸延伸PETフィルムの融点(260℃)であり、Tmetaは微小融解熱量ピークである。
[各層の厚さの測定]
シリコーン樹脂層の厚さは、分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社製、製品名「分光エリプソメトリー 2000U」)を用いて測定した。
その他の層の厚さは、株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」、標準規格:JIS K6783、Z1702、Z1709に準拠)を用いて測定した。
[質量平均分子量]
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL-L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
以下の実施例及び比較例で使用した、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物、第一のシリコーン樹脂層を形成するためのシリコーン樹脂層形成用組成物(A)、及び第二のシリコーン樹脂層を形成するためのシリコーン樹脂層形成用組成物(B)は、以下の方法により調製した。
[粘着剤組成物]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸n-ブチル95.0質量部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル5.0質量部、酢酸エチル200質量部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.08質量部を仕込み、上記反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。この窒素雰囲気下中で攪拌しながら、反応溶液を60℃に昇温し、16時間反応させた後、室温まで冷却した。ここで、得られた溶液の一部をGPC測定し、質量平均分子量160万の重合体(A)の生成を確認した。上記重合体(A)100質量部(固形分)にポリイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL)4質量部、及びシランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBM-403)0.1質量部を添加混合したものに、さらに溶剤としてトルエンを加えて固形分を15質量%に調整し、粘着剤組成物を調製した。
[シリコーン樹脂層形成用組成物(A)]
ビニル基を備えたオルガノポリシロキサン及びヒドロシリル基を備えたオルガノポリシロキサンを含有するシリコーン系離型剤(信越化学工業株式会社製、KS847H、固形分30質量%)100質量部と白金(Pt)触媒(信越化学株式会社製、PL-50T、固形分2質量%)2質量部に、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比))を加えて固形分を1質量%に調整し、シリコーン樹脂層形成用組成物(A)を調製した。
[シリコーン樹脂層形成用組成物(B)]
ビニル基を備えたオルガノポリシロキサン及びヒドロシリル基を備えたオルガノポリシロキサンを含有するシリコーン系離型剤(東レダウコーニング株式会社製、BY24-561、固形分30質量%)を100質量部、重剥離添加剤としてビニル基を備えたMQレジン(東レダウコーニング株式会社製、SD-7292、固形分71質量%)を10質量部、及び白金(Pt)触媒(東レダウコーニング株式会社製、SRX-212、固形分100質量%)2質量部に、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(トルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比))を加えて固形分を1質量%に調整し、シリコーン樹脂層形成用組成物(B)を調製した。
[実施例1~3及び比較例1~3]
実施例1~3及び比較例1~3の基材レス両面粘着シートは以下の手順で作製した。
<実施例1>
(軽剥離フィルムの作製)
PETフィルムA1(微小融解熱量ピーク:170℃)に、シリコーン樹脂層形成用組成物(A)を、乾燥後の膜厚が0.1μmになるように塗布して、PETフィルムA1上に第一のシリコーン樹脂層を形成し、軽剥離フィルムを作製した。
(重剥離フィルムの作製)
PETフィルムB(東レ株式会社製、PET38R-64)に、シリコーン樹脂層形成用組成物(B)を、乾燥後の膜厚が0.1μmになるように塗布して、PETフィルムB上に第二のシリコーン樹脂層を形成し、重剥離フィルムを作製した。
(基材レス両面粘着シートの作製)
重剥離フィルムの第二のシリコーン樹脂層上に、粘着剤組成物を、乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、乾燥させて、粘着剤層を形成した。次いで、形成した粘着剤層上に、軽剥離フィルムを、第一のシリコーン樹脂層が粘着剤層に接するように貼合した。その後、温度23℃、相対湿度50%の条件で7日間養生して、基材レス両面粘着シートを作製した。
<実施例2>
軽剥離フィルムのPETフィルムA1を、PETフィルムA2(微小融解熱量ピーク:180℃)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、基材レス両面粘着シートを作製した。
<実施例3>
軽剥離フィルムのPETフィルムA1を、PETフィルムA3(微小融解熱量ピーク:210℃の)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、基材レス両面粘着シートを作製した。
<比較例1>
軽剥離フィルムのPETフィルムA1を、PETフィルムA4(微小融解熱量ピーク:220℃)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、基材レス両面粘着シートを作製した。
<比較例2>
軽剥離フィルムのPETフィルムA1を、PETフィルムA5(微小融解熱量ピーク:230℃)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、基材レス両面粘着シートを作製した。
<比較例3>
重剥離フィルムのPETフィルムBを、軽剥離フィルムのPETフィルムA1に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、基材レス両面粘着シートを作製した。
実施例1~3及び比較例1~3の基材レス両面粘着シートを構成する軽剥離フィルム及び基材レス両面粘着シートについて、以下の試験を実施した。
[剥離力差]
軽剥離フィルムの剥離力X及び重剥離フィルムの剥離力Yは、JIS-Z0237に準拠し、以下の方法で測定した。
そして、剥離力Xと剥離力Yの差の絶対値を算出し、剥離力差(N/25mm)とした。
<軽剥離フィルムの剥離力X>
基材レス両面粘着シートを幅25mm、長さ200mmに裁断し、試験片を作製した。
試験片の重剥離フィルム側をステンレス鋼(SUS)板に両面粘着テープで固定し、引張試験機を用いて、軽剥離フィルムを剥離速度300mm/分で180°方向に引っ張ることにより、軽剥離フィルムの剥離力Xを測定した。
<重剥離フィルムの剥離力Y>
基材レス両面粘着シートから軽剥離フィルムを剥離して露出した粘着剤層に、厚さ50μmのPETフィルム(東レ社製、「ルミラーT60」)をラミネートした後、幅25mm、長さ200mmに裁断し、試験片を作製した。
試験片の重剥離フィルム側をステンレス鋼(SUS)板に両面粘着テープで固定し、引張試験機を用いて、上記PETフィルム及び粘着剤層を剥離速度300mm/分で180°方向に引っ張ることにより、重剥離フィルムの剥離力Yを測定した。
[ハジキ欠点数の評価]
実施例1~3及び比較例1~3の基材レス両面粘着シートを構成する軽剥離フィルムのハジキ欠点数(ハジキの数)を算出した。
具体的には、軽剥離フィルムを構成するPETフィルムA1~A5及びBに、第一のシリコーン樹脂層形成用組成物(A)を塗布した際のハジキにより生じた第一のシリコーン樹脂層形成用組成物の欠点を目視検査でカウントし、1m当たりのハジキ欠点数を算出した。
[スポット転着の評価]
実施例1~3及び比較例1~3の基材レス両面粘着シートの軽剥離フィルムを剥離することにより生じたスポット転着を目視検査でカウントし、1m当たりのスポット転着数を算出した。そして、以下の基準により3段階評価を行った。
◎:スポット転着数が0.010個/m未満
○:スポット転着数が0.010個/m以上0.030個/m以下
×:スポット転着数が0.030個/m
また、スポット転着の評価を行う前に、重剥離フィルムの剥離力と軽剥離フィルムの剥離力との差が小さい場合に生じる面状の転着が生じるか否かも検討し、当該面状の転着が生じなかったサンプルを○、面状の転着が生じたサンプルを×とした。なお、面状の転着が生じたサンプルについては、スポット転着の評価は行わなかった。
結果を表1に示す。
Figure 0007036488000001

表1より、以下のことがわかる。
スポット転着数は、ハジキ欠点数と一致していることがわかる。このことから、シリコーン樹脂層形成用組成物をPETフィルム上に塗布する際に生じるハジキが、スポット転着の要因となっていることがわかる。
また、表1の比較例1及び2より、軽剥離フィルムを構成するPETフィルムの微小融解熱量ピークが220℃以上であると、ハジキ欠点数が多くなり、スポット転着も多くなることがわかる。
これらに対し、実施例1~3より、軽剥離フィルムを構成するPETフィルムの微小融解熱量ピークが220℃未満であると、ハジキ欠点数が少なくなり、スポット転着も少なくなることがわかる。
特に、実施例1及び2より、軽剥離フィルムを構成するPETフィルムの微小融解熱量ピークが180℃以下であると、ハジキ欠点数が顕著に少なくなり、スポット転着も顕著に少なくなることがわかる。
10、20 基材レス両面粘着シート
11、21 軽剥離フィルム
12、22 重剥離フィルム
1、23 粘着剤層
2 第一の二軸延伸ポリエステルフィルム
3 第一のシリコーン樹脂層
4 第二の二軸延伸ポリエステルフィルム
5 第二のシリコーン樹脂層
23a 引き延ばされた粘着剤
23b スポット状の残留粘着剤

Claims (4)

  1. 軽剥離フィルムと、前記軽剥離フィルム上に設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層上に設けられた重剥離フィルムとを有する、基材レス両面粘着シートであって、
    前記軽剥離フィルムが、第一の二軸延伸ポリエステルフィルムと、前記第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの前記粘着剤層との貼合面に設けられた第一のシリコーン樹脂層とを有し、
    前記重剥離フィルムが、第二の二軸延伸ポリエステルフィルムと、前記第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの前記粘着剤層との貼合面に設けられた第二のシリコーン樹脂層とを有し、
    前記第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの微小融解熱量ピーク温度が、[Tmp-40]℃未満(Tmp:ポリエステルの融点)及び200℃以下である、基材レス両面粘着シート。
  2. 前記軽剥離フィルムの前記粘着剤層に対する剥離力と前記重剥離フィルムの前記粘着剤層に対する剥離力の差の絶対値が、5mN/25mm以上である、請求項1に記載の基材レス両面粘着シート。
  3. 前記粘着剤層の厚みが、1~250μmである、請求項1又は2に記載の基材レス両面粘着シート。
  4. 前記第一の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚み及び前記第二の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みが、いずれも19~188μmである、請求項1~のいずれか一項に記載の基材レス両面粘着シート。
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