JP7020330B2 - 皮膚貼付用フィルム、および、皮膚用転写シート - Google Patents

皮膚貼付用フィルム、および、皮膚用転写シート Download PDF

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Description

本発明は、皮膚貼付用フィルム、および、皮膚貼付用フィルムを皮膚に貼り付けるための転写シートに関する。
1μm以下の厚さを有するフィルムは、生体器官の表面に対する接着性を有するため、当該フィルムを臓器や皮膚に貼り付けて利用することが試みられている。例えば、非特許文献1では、上記フィルムが創傷の被覆材として利用可能であることが報告されている。また、特許文献1では、上記フィルムを肌に貼り付けた後に、フィルムの上から化粧料を塗布する美容方法が提案されている。
国際公開第2014/058066号
T.Fujie et al.,Adv.Funct.Mater.,2009年,19巻,2560-2568頁
上記フィルムが肌に貼られていると、顔の表面への皮脂の滲出が抑えられるため、フィルムの上に化粧料を塗布することで、化粧崩れを抑える効果が期待できる。皮脂の滲出を抑える効果を高めるためには、フィルムに微細孔等の欠損が少ないことが望ましい。しかしながら、欠損が少なくフィルムの表面が平滑であるほど、フィルムに化粧料が付き難い。また、フィルムの緻密性が高すぎると、皮膚からの水蒸気の発散が過度に抑制されるため、蒸れに起因した不快感を使用者が覚える場合がある。
したがって、皮脂の透過の抑制と、化粧料の付着性および水蒸気の透過性の向上とが両立された、美容用途における有用性の高い皮膚貼付用フィルムが求められている。
本発明は、美容用途における有用性を高めることのできる皮膚貼付用フィルム、および、皮膚用転写シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決する皮膚貼付用フィルムは、第1面と、前記第1面とは反対側に位置して皮膚に貼り付けられる第2面とを有し、1μm以下の厚さを有する皮膚貼付用フィルムであって、前記第1面の画像を判別分析法で二値化することにより識別される窪み部の割合であって、二値化画像に基づき算出される単位面積あたりの前記窪み部の総占有面積の割合が0.05%以上25%以下である。
上記構成によれば、窪み部の面積比率が0.05%以上であることにより、良好な化粧料の付着性および水蒸気の透過性が得られる。また、窪み部の面積比率が25%以下であることにより、皮脂の透過が良好に抑制される。したがって、皮脂の透過の抑制と、化粧料の付着性および水蒸気の透過性の向上との両立が可能であり、美容用途における皮膚貼付用フィルムの有用性が高められる。
上記構成において、前記皮膚貼付用フィルムが有する複数の前記窪み部の各々は、前記皮膚貼付用フィルム内に底を有する有底部、または、前記皮膚貼付用フィルムを貫通した貫通部である。
上記構成によれば、窪み部の形成が容易であり、化粧料の付着および水蒸気の透過に適した窪み部が実現される。
上記構成において、前記複数の窪み部には、前記有底部と前記貫通部とが含まれ、前記単位面積あたりにおける前記有底部の総占有面積は、前記単位面積あたりにおける前記貫通部の総占有面積よりも大きくてもよい。
上記構成によれば、窪み部における貫通部の割合が高い場合と比較して、皮膚貼付用フィルムの破断強度が高められる。
上記構成において、前記第1面と対向する方向から見た複数の前記窪み部の形状には、円形状、楕円形状、線形状、および、矩形形状からなる群から選択される少なくとも1種が含まれてもよい。
上記構成によれば、窪み部が複雑な多角形形状のような外形形状を有する場合と比較して、窪み部の形成および面積比率の制御が容易である。
上記構成において、前記第1面と対向する方向から見て、前記窪み部の短軸方向の長さに対する長軸方向の長さの比は、1以上500以下であり、前記短軸方向の長さは、0.1μm以上1μm以下であってもよい。
上記構成によれば、窪み部の大きさが、化粧料の付着および水蒸気の透過に適した大きさとなる。
上記課題を解決する皮膚用転写シートは、上記皮膚貼付用フィルムと、前記皮膚貼付用フィルムの前記第1面を支持する多孔質基材と、を備える。
上記構成によれば、皮膚貼付用フィルムが多孔質基材に支持されているため、皮膚貼付用フィルムが取り扱いやすくなる。
本発明によれば、美容用途における皮膚貼付用フィルムの有用性を高めることができる。
皮膚貼付用フィルムの一実施形態について、皮膚貼付用フィルムの断面構造を示す図。 皮膚用転写シートの一実施形態について、皮膚用転写シートの断面構造を示す図。 一実施形態の皮膚貼付用フィルムの平面構造の一例を示す図。 一実施形態の皮膚貼付用フィルムの平面構造の一例を示す図。 一実施形態の皮膚貼付用フィルムの平面構造の一例を示す図。 一実施形態の皮膚貼付用フィルムにおける有底部の面積比率の測定方法を示す図。 一実施形態の皮膚貼付用フィルムにおける有底部の面積比率の測定原理を示す図。 一実施形態の皮膚貼付用フィルムにおける有底部の面積比率の測定原理を示す図。 一実施形態の皮膚貼付用フィルムにおける有底部の面積比率の測定原理を示す図。
図面を参照して、皮膚貼付用フィルム、および、皮膚用転写シートの一実施形態を説明する。
[皮膚貼付用フィルムおよび皮膚用転写シートの全体構成]
図1は、皮膚貼付用フィルム10の断面構造を示す。皮膚貼付用フィルム10は、第1面10Fと、第1面10Fとは反対側の面である第2面10Rとを有する。第2面10Rは、皮膚に貼り付けられる面である。第1面10Fは、皮膚貼付用フィルム10が皮膚に貼り付けられたとき、外気に曝される面であり、また、化粧料が塗布される面である。
皮膚貼付用フィルム10は、第1面10Fから窪む複数の窪み部11を有している。窪み部11は、皮膚貼付用フィルム10内に底を有する有底部12、および、第1面10Fから第2面10Rまで皮膚貼付用フィルム10の全体を貫通する貫通部13のいずれかである。複数の窪み部11は、有底部12と貫通部13との双方を含んでいてもよいし、有底部12および貫通部13のいずれか一方のみから構成されていてもよい。
皮膚貼付用フィルム10は、1nm以上1000nm以下の厚さを有する。当該皮膚貼付用フィルム10の厚さは、平均厚さであって、複数の測定点で測定された皮膚貼付用フィルム10の膜厚の平均値である。皮膚への密着性や皮膚の表面形状への追従性が高められること、および、皮膚貼付用フィルム10が貼り付けられているときに使用者が覚える違和感を低減できることから、皮膚貼付用フィルム10の厚さは、1nm以上500nm以下であることが好ましく、150nm以上500nm以下であることがより好ましい。皮膚貼付用フィルム10は単一の薄膜から構成された層であってもよいし、複数の薄膜から構成された層であってもよい。
皮膚貼付用フィルム10を構成する材料は特に限定されない。皮膚貼付用フィルム10の材料としては、例えば、ポリ乳酸、ヒアルロン酸、ポリグリコール酸、フィブロイン、ポリカプロラクトン、キトサン等の高分子材料、これらの高分子材料の共重合体、および、アクリルウレタン共重合体からなる群から選択される1種以上の材料が挙げられる。皮膚貼付用フィルム10の材料における分子量の制限は特になく、皮膚貼付用フィルム10は、所定の平均分子量を有する1種類の材料から構成されていてもよいし、互いに異なる平均分子量を有する複数種類の材料から構成されてもよい。
また、皮膚貼付用フィルム10は、皮膚において所定の機能を発揮する物質である機能性物質を含有していてもよい。機能性物質としては、例えば、保湿クリームや美容液等のスキンケアに用いられる化粧料あるいは化粧料成分、色素、薬剤、タンパク質、および、酵素等が挙げられる。皮膚貼付用フィルム10が含む機能性物質は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
図2は、皮膚用転写シート20の断面構造を示す。皮膚用転写シート20は、皮膚貼付用フィルム10と、皮膚貼付用フィルム10を支持する支持基材21とを備えている。支持基材21は、皮膚貼付用フィルム10の第1面10Fに接している。支持基材21は、皮膚貼付用フィルム10の保管時や、皮膚貼付用フィルム10の使用に際して皮膚貼付用フィルム10を貼付部位まで移動させるときに、皮膚貼付用フィルム10の変形を抑える機能を有する。支持基材21に支持されていることにより、皮膚貼付用フィルム10が取り扱いやすくなる。
各窪み部11について、支持基材21は、窪み部11を完全に埋めていてもよいし、窪み部11における深さ方向の一部を埋めていてもよいし、窪み部11を全く埋めていなくてもよい。支持基材21が、窪み部11の深さ方向において窪み部11の少なくとも一部を埋める形態であれば、皮膚貼付用フィルム10から支持基材21が剥がされるまで、窪み部11が変形することや窪み部11が異物等によって埋まることが抑えられる。
支持基材21としては、多孔質基材が用いられる。多孔質基材は、内部に微小な多数の間隙を有する基材であり、液体を浸透あるいは透過させることができる。支持基材21として用いることのできる多孔質基材としては、例えば、不織布、紙、編物、織物等の繊維材料からなるシート、メッシュ状のように間隙を含む構造を有する樹脂シートが挙げられる。これらの基材のなかでも、水分を速やかに吸収して拡散できることから、不織布が好適に用いられる。不織布を構成する繊維としては、例えば、綿、麻、羊毛、パルプ等の天然繊維、レーヨン等の半合成繊維、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の合成繊維等が挙げられる。上記の繊維のなかでも、天然繊維、特にパルプが好適に用いられる。不織布は、1種類の繊維から構成されていてもよいし、2種類以上の繊維から構成されていてもよい。
支持基材21として用いる不織布の製造方法は特に限定されず、支持基材21は、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブロー法、エアレイ法、フラッシュ紡糸法、および、樹脂接着法のうちのいずれかによって製造された不織布であればよい。支持基材21として用いる不織布の目付けは、10g/m以上150g/m以下であることが好ましく、肌触り等の使用感に優れることから、20g/m以上50g/m以下であることがより好ましい。不織布の目付けは、すなわち、不織布の単位面積あたりの質量である。
なお、皮膚用転写シート20は、皮膚貼付用フィルム10の第2面10Rを覆う保護層を備えていてもよい。保護層は、第2面10Rを保護する機能を有する。保護層は、多孔質基材から構成されることが好ましい。保護層を構成する多孔質基材としては、支持基材21を構成する多孔質基材として例示した上記の各材料を用いることができる。保護層と支持基材21とは、同一の種類の多孔質基材から構成されてもよいし、互いに異なる種類の多孔質基材から構成されてもよい。なお、保護層は、多孔質基材に限らず、内部に間隙を有さない樹脂シートや金属箔等の基材から構成されてもよい。
[皮膚貼付用フィルムの平面構造]
皮膚貼付用フィルム10が有する窪み部11について詳細に説明する。
第1面10Fと対向する方向から見て、窪み部11の形状は、円形状、楕円形状、多角形形状、線形状、および、これら以外の不定形状のいずれかである。線形状は、曲線状、折れ線状、波線状、および、直線状のいずれかである。なかでも、窪み部11が、円形状、楕円形状、矩形形状、および、線形状のいずれかであれば、窪み部11の形成および窪み部11の面積の測定が容易である。複数の窪み部11には、互いに異なる形状の窪み部11が含まれていてもよい。なお、窪み部11は、格子状のように、皮膚貼付用フィルム10の全体において1つに繋がっている形状を有していてもよい。
第1面10Fと対向する方向から見て、複数の窪み部11は、規則的に並んでいてもよいし、不規則に並んでいてもよい。また、複数の窪み部11の配置には、窪み部11が規則的に並ぶ部分と、窪み部11が不規則に並ぶ部分とが含まれてもよい。
図3~図5は、第1面10Fと対向する方向から見た平面視における窪み部11の形状および配置の例を示す。図3が示すように、複数の窪み部11は、有底部12と貫通部13とを合わせた全体として規則的に配置されていてもよい。図3では、複数の窪み部11がマトリクス状に並ぶ形態を例示している。窪み部11の規則的な配列のなかで、複数の有底部12は、規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。複数の貫通部13もまた、窪み部11の規則的な配列のなかで、規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。図3においては、有底部12と貫通部13とを含む窪み部11のすべてが同一の円形状を有している構成を例示しているが、複数の窪み部11の形状は一定でなくてもよい。
図4が示すように、複数の有底部12が規則的に配置され、複数の貫通部13が不規則に配置され、複数の窪み部11は、全体として不規則に並んでいてもよい。あるいは、複数の有底部12が不規則に配置され、複数の貫通部13が規則的に配置され、複数の窪み部11が、全体として不規則に並んでいてもよい。図4では、有底部12の形状と貫通部13の形状とが互いに異なっており、複数の有底部12のすべてが同一の矩形形状を有し、複数の貫通部13のすべてが同一の楕円形状を有する構成を例示している。これに限らず、複数の有底部12の形状は一定でなくてもよいし、複数の貫通部13の形状は一定でなくてもよいし、あるいは、有底部12と貫通部13とは同一の形状を有していてもよい。
図5が示すように、複数の有底部12が不規則に配置され、複数の貫通部13が不規則に配置され、複数の窪み部11は、全体として不規則に並んでいてもよい。図5では、複数の有底部12が長さの不規則な曲線状を有し、複数の貫通部13が径の不規則な円形状を有する構成を例示している。これに限らず、複数の有底部12の形状および複数の貫通部13の形状の各々は一定であってもよいし、有底部12と貫通部13とは同一の形状を有していてもよい。
窪み部11の大きさについて説明する。第1面10Fと対向する方向から見たとき、複数の窪み部11の各々において、窪み部11の短軸方向の長さLsに対する長軸方向の長さLlの比は、1以上500以下であることが好ましい。また、窪み部11の短軸方向の長さLsは、0.1μm以上1μm以下であることが好ましい。短軸方向の長さLsは、第1面10Fと対向する方向から見て、窪み部11に外接する最小の大きさを有した仮想的な矩形の短辺の長さである。また、長軸方向の長さLlは、上記仮想的な矩形の長辺の長さである。窪み部11の大きさが上記範囲であれば、窪み部11が大きすぎないため、第1面10Fにおける起伏が窪み部11の面積比率に応じて十分に確保される。すなわち、窪み部11の大きさが、化粧料の付着および水蒸気の透過に適した大きさとなる。
窪み部11の面積比率Rtは、0.05%以上25%以下である。窪み部11の面積比率Rtは、第1面10Fと対向する方向から見た場合の、単位面積あたりにおける窪み部11の総占有面積の比率である。すなわち、面積比率Rtは、単位面積を有する領域において、皮膚貼付用フィルム10の総面積に対して複数の窪み部11の総面積が占める割合である。
面積比率Rtの測定方法を説明する。面積比率Rtは、有底部12の面積比率Raと、貫通部13の面積比率Rbとを各別に測定した後、面積比率Raと面積比率Rbとを合算することによって求められる。有底部12の面積比率Raは、単位面積あたりの有底部12の総占有面積の比率であり、貫通部13の面積比率Rbは、単位面積あたりの貫通部13の総占有面積の比率である。
有底部12の面積比率Raの測定において、有底部12が占める総面積として、二値化画像における有底部12の総面積が用いられる。二値化画像は、第1面10Fの一部である観察領域を撮影した画像を判別分析法で二値化した画像である。なお、上述の有底部12の短軸方向の長さLsおよび長軸方向の長さLlも、二値化画像に基づき測定される。
具体的には、有底部12の面積比率Raは、下記の手順で測定される。
1)プラスチックフォームを使用した両面テープ(ニチバン社製:ナイスタックスポンジ両面テープ スポンジタイプ,NW-P15)に、型抜き等の方法で円形の穴を開けた後、一方の面の保護フィルムを剥がして、皮膚用転写シート20における皮膚貼付用フィルム10の第2面10Rを貼り付ける。両面テープに形成する穴の直径は、下記2)の操作後に皮膚貼付用フィルム10における観察対象の部分にうねりが生じない大きさであればよく、例えば、3mm程度とされる。
2)上記1)で作製した構造体における皮膚用転写シート20の支持基材21を水で湿らせて、支持基材21を剥離する。これにより、面積比率Raの測定のための試料が得られる。
3)上記2)で作製した試料における両面テープの他方の面の保護フィルムを剥がして、試料を黒色板に貼り付ける。そして、皮膚貼付用フィルム10のなかで両面テープの穴上に位置する部分を、8ビットモノクロデジタルカメラを用いて暗視野法で撮像する。撮影画像の画素数は、例えば2448ピクセル×2048ピクセルの500万画素であり、撮像面積は、例えば7.06mm×8.44mmである。
4)上記3)で撮影した画像に画像処理を施して有底部12の面積比率Raを測定する。画像処理には、オープンソースの画像処理ソフトであるImageJを利用した。測定の対象とする観察領域は、1辺が1mmの正方形領域よりも大きい面積を有する領域である。こうした観察領域であれば、窪み部11の分布を偏りなく観察して面積比率Raを算出するために十分な大きさを有する。まず、上記画像に対して先鋭化処理を、半径4ピクセル、マスク重み0.9にて実施して、有底部12の位置する部分を強調する。その後、例えば大津の判別分析法により2値化閾値を決定し、当該閾値を用いて上記画像に対して2値化処理を実施し、2値化画像を取得する。この2値化画像に対して粒子解析を施すことによって、有底部12の面積比率Raが得られる。なお、閾値の決定方法については、大津の判別分析法に限定されず、大津の判別分析法と同様の効果が得られる方法であれば、他の方法を利用してもよい。
ここで、図6~図9を参照して、デジタルカメラを用いた撮影画像にて、有底部12の識別が可能である原理を説明する。
図6が示すように、上記手順の1)~3)で説明した通り、黒色板60の上に、皮膚貼付用フィルム10と両面テープ61とからなる試料62が貼り付けられる。試料62における皮膚貼付用フィルム10の第1面10Fに、例えば45°以上の入射角αで入射光Ioを入射させる。そして、8ビットモノクロデジタルカメラであるカメラ50によって、第1面10Fの法線方向から第1面10Fを撮像する。カメラ50の受光素子は、入射光Ioに対する反射光のうち、第1面10Fの法線方向およびその近傍の方向に射出された散乱光Idを受光する。
図7が示すように、第1面10Fにおける平坦な部分、すなわち、有底部12および貫通部13が存在しない部分では、乱反射が起こりにくいため、入射光Ioに対する反射光Irの大部分を正反射成分が占める。したがって、反射光Irはカメラ50に入射し難いため、撮影画像において、第1面10Fにおける平坦な部分は暗く観察される。
図8が示すように、有底部12が位置する部分では、有底部12の内側面において、入射光Ioに対して乱反射が生じ、散乱光Idの一部が、カメラ50に入射する。したがって、撮影画像において、有底部12が位置する部分は明るく観察される。
図9が示すように、貫通部13が位置する部分では、貫通部13が底面を有さないため、入射光Ioの大部分は貫通部13を通って皮膚貼付用フィルム10の下の黒色板60に到達し、黒色板60に吸収される。したがって、撮影画像において、貫通部13が位置する部分は暗く観察される。
以上のように、カメラ50による撮影画像において、有底部12の位置する部分は、他の部分と明るさが異なるため、画像解析によって有底部12の面積比率Raが算出できる。
一方、上述の方法のデジタルカメラによる撮影画像では、貫通部13の識別は困難である。そのため、貫通部13の面積比率Rbは、電子顕微鏡による撮影画像を利用して測定する。貫通部13の面積比率Rbの測定においても、貫通部13が占める総面積として、二値化画像における貫通部13の総面積が用いられる。二値化画像は、第1面10Fの一部である観察領域を撮影した画像を判別分析法で二値化した画像である。なお、上述の貫通部13の短軸方向の長さLsおよび長軸方向の長さLlも、二値化画像に基づき測定される。
具体的には、貫通部13の面積比率Rbは、下記の手順で測定される。
1)プラスチックフォームを使用した両面テープ(ニチバン社製:ナイスタックスポンジ両面テープ スポンジタイプ,NW-P15)の一方の面を貼り付けた厚紙に、2穴の穴あけパンチで穴をあける。穴の直径は6mmである。そして、両面テープの他方の面の保護フィルムを剥がし、皮膚用転写シート20における皮膚貼付用フィルム10の第2面10Rを貼り付ける。
2)上記1)で作製した構造体における皮膚用転写シート20の支持基材21を水で湿らせて支持基材21を剥離し、構造体を1日間乾燥させる。これにより、面積比率Rbの測定のための試料が得られる。
3)上記2)で作製した試料を、両面テープの穴上に皮膚貼付用フィルム10が位置する部分を中心に、1辺が8mmの正方形形状に切り出す。切り出した試料を試料台に固定して、電界放出型走査電子顕微鏡(東陽テクニカ社製:SIGMA 500)を用いて、皮膚貼付用フィルム10の第1面10Fを撮像する。このとき、撮影画像において、貫通部13は黒色に観察される。
4)有底部12の面積比率Raを測定する場合の手順4)と同様の方法で、上記3)で撮影した画像に画像処理を施して貫通部13の面積比率Rbを測定する。すなわち、上記画像に対して先鋭化処理と2値化処理とを実施し、2値化画像を取得する。この2値化画像に対して粒子解析を施すことによって、貫通部13の面積比率Rbが得られる。なお、観察領域の大きさおよび画像処理に際しての各種の条件は、有底部12の面積比率Raの測定の場合と同じである。
上記の方法で測定した有底部12の面積比率Raと貫通部13の面積比率Rbとを合計した値が、窪み部11の面積比率Rtである。
第1面10Fにどの程度の割合で窪み部11が存在するかは、第1面10Fにおける物質の付着性および皮膚貼付用フィルム10における物質の透過性に寄与する。なお、本実施形態においては、皮膚貼付用フィルム10のうねりは窪み部11に含まれない。
面積比率Rtが0%であるとき、第1面10Fの平滑性は極めて高い。平滑性が極めて高い第1面10Fに化粧料を塗布すると、化粧料が付着し難い。これは、第1面10Fに起伏が少ないために第1面10Fに化粧料が引っ掛かりにくいことに因ると考えられる。さらに、第1面10Fの平滑性が高いことは、皮膚貼付用フィルム10の緻密性が高いことを示唆する。皮膚貼付用フィルム10が緻密であるほど、皮膚貼付用フィルム10における物質の透過性は低い。したがって、皮膚に貼られた皮膚貼付用フィルム10において、皮脂の滲出を抑制する効果は高い。一方で、皮膚からの水蒸気の発散が抑制されるため、長時間にわたって皮膚貼付用フィルム10が貼られている場合には、使用者は、蒸れに起因した不快感を覚えやすい。
これに対し、面積比率Rtが大きくなるほど、第1面10Fへの化粧料の付着性は高まる。これは、第1面10Fに起伏が存在することに起因して第1面10Fに化粧料が引っ掛かりやすくなるためであると考えられる。また、面積比率Rtが大きくなるほど、皮膚貼付用フィルム10における物質の透過性は高くなる。したがって、皮膚貼付用フィルム10が皮膚に貼り付けられているときに、使用者は蒸れを感じにくくなるが、一方で、皮脂の滲出を抑える効果は低下する。さらに、面積比率Rtが大きくなるほど、皮膚貼付用フィルム10の強度が低くなるため、貼り付けの際等に皮膚貼付用フィルム10が破れやすくなり、皮膚貼付用フィルム10が取り扱いにくくなる。
ここで、面積比率Rtが0.05%以上であれば、第1面10Fにおいて良好な化粧の付着性が得られるとともに、良好な水蒸気の発散性が得られる。一方、面積比率Rtが25%以下であれば、皮脂の滲出が良好に抑えられる。したがって、面積比率Rtが0.05%以上25%以下であれば、皮脂の透過の抑制と、化粧料の付着性および水蒸気の透過性の向上との両立が可能である。また、面積比率Rtが25%以下であれば、皮膚貼付用フィルム10について良好な強度が得られるため、皮膚貼付用フィルム10が取り扱いやすくもなる。
なお、複数の窪み部11において貫通部13の割合が大きいほど、物質の透過性は高くなる傾向があり、また、化粧料の付着性も高くなる傾向がある。面積比率Rtが0.05%以上25%以下であれば、有底部12と貫通部13との比率に関わらず、水蒸気の発散性と皮脂の滲出の抑制とが共に良好となり、また、化粧料の付着性も良好となる。一方で、貫通部13の割合が大きいほど、皮膚貼付用フィルム10の強度は低くなる傾向がある。皮膚貼付用フィルム10の強度を高めるためには、複数の窪み部11において有底部12の割合が大きいことが好ましい。すなわち、単位面積あたりにおいて窪み部11の総面積に占める有底部12の総面積の割合は、50%よりも大きいことが好ましい。換言すれば、単位面積あたりにおいて、有底部12の総占有面積は、貫通部13の総占有面積よりも大きいことが好ましい。また、単位面積あたりにおいて、有底部12の個数も、貫通部13の個数よりも多いことが好ましい。
なお、本実施形態における皮膚貼付用フィルム10の強度は、破断強度を示し、下記の手順で測定される。
1)1mmの厚さの厚紙の両面に、両面テープ(ニチバン社製:ナイスタックスポンジ両面テープ スポンジタイプ,NW-P15)を貼り付ける。そして、この両面テープを貼り付けた厚紙に、2穴の穴あけパンチで穴をあける。穴の直径は6mmである。
2)上記1)で穴をあけた厚紙を、鋏で切断して、穴あけパンチで形成した穴を中心に一辺が20mmの正方形形状に成形する。
3)上記2)で作製した構造体における一方の面の両面テープの保護フィルムを剥がし、皮膚用転写シート20における皮膚貼付用フィルム10の第2面10Rを貼り付ける。そして、皮膚用転写シート20の支持基材21に湿らせた綿棒を押し当てて湿潤させ、支持基材21を180°剥離によって剥離する。これにより、厚紙に皮膚貼付用フィルム10が両面テープで貼り付けられた試料を得る。
4)上記3)で作製した試料の他方の面の両面テープの保護フィルムを剥がし、当該試料を、卓上圧縮・引張試験機(島津製作所社製:EZ-Test、ロードセル:100N)に設置した円柱状の支持台に固定する。
5)直径3mmの円柱圧子が、厚紙に形成されている直径6mmの穴の中央部上に位置するように、上記卓上圧縮・引張試験機のステージを移動させる。そして、円柱圧子を、試料の皮膚貼付用フィルム10に向けて圧縮速度10mm/minで差し込んで、皮膚貼付用フィルム10が破断したときの強度(mN)を測定し、得られた値を破断強度とする。
[皮膚貼付用フィルムおよび皮膚用転写シートの製造方法]
皮膚貼付用フィルム10および皮膚用転写シート20の製造方法の一例を説明する。なお、窪み部11の面積比率Rtが0.05%以上25%以下である皮膚貼付用フィルム10が形成可能であれば、皮膚貼付用フィルム10および皮膚用転写シート20は、下記の製造方法とは異なる方法によって製造されてもよい。
まず、成膜用基材の表面に、皮膚貼付用フィルム10を形成する。成膜用基材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、水溶性樹脂等から構成された樹脂シートが用いられる。
詳細には、皮膚貼付用フィルム10の材料が溶かされた塗液が、成膜用基材の表面に塗布され、その塗膜が乾燥されることによって、皮膚貼付用フィルム10が形成される。上記塗液の溶媒としては、皮膚貼付用フィルム10の材料の特性に応じて、プロトン性極性溶媒あるいは非プロトン性極性溶媒が用いられる。プロトン性極性溶媒としては、水、エタノール、イソプロパノール、2-プロパノール、および、酢酸等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、アセトン、および、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
塗液の塗布方法は、1μm以下の厚さの薄膜を形成可能な方法であれば特に限定されない。塗布方法としては、例えば、グラビア法、マイクログラビア法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、および、エレクトロスピニング法のいずれかが利用されることが好ましい。また、塗膜の乾燥温度は、上記塗液に用いた溶媒の沸点以上であることが好ましい。
続いて、成膜用基材上の皮膚貼付用フィルム10の表面に、支持基材21を接触させ、成膜用基材から支持基材21へ皮膚貼付用フィルム10を転写する。転写方法としては、吸引による剥離を利用する方法や犠牲膜を利用する方法等、公知の転写方法が用いられればよい。これにより、皮膚貼付用フィルム10を備える皮膚用転写シート20が形成される。必要に応じて、型抜き等の方法によって、皮膚用転写シート20の外形を所望の形状に整えてもよい。
保護層を備える皮膚用転写シート20を形成する場合には、皮膚貼付用フィルム10における支持基材21と接する面とは反対側の面に、保護層が積層される。
窪み部11の形成方法は、特に限定されない。例えば、成膜用基材上に形成された皮膚貼付用フィルム10となる薄膜に対して窪み部11を形成してもよい。この場合の窪み部11の形成方法としては、レーザ照射による加工や、凸部を表面に有するロール体での押圧による加工等が挙げられる。レーザ照射を実施する範囲やレーザのパワーの制御、あるいは、ロール体における凸部の配置密度や凸部の高さの制御によって、有底部12や貫通部13の形成および窪み部11の面積比率の制御が可能である。
あるいは、成膜用基材から支持基材21へ皮膚貼付用フィルム10となる薄膜を転写するときに、窪み部11を形成してもよい。例えば、転写の際の吸引強度や支持基材21の表面形状の制御によって、有底部12や貫通部13の形成および窪み部11の面積比率の制御が可能である。
[皮膚貼付用フィルムの貼付方法]
皮膚貼付用フィルム10の貼付方法、すなわち、皮膚用転写シート20を用いた皮膚貼付用フィルムの転写方法を説明する。
まず、皮膚における皮膚貼付用フィルム10の貼付箇所に、水等の液体を供給する。供給される液体である供給液は、皮膚用転写シート20を湿潤可能な液体であればよく、具体的には、水を含む液体、あるいは、マッサージオイル等の油類であればよい。こうした供給液としては、例えば、水や、化粧水等の化粧料を用いることができる。
続いて、皮膚用転写シート20を、皮膚貼付用フィルム10の第2面10Rが貼付箇所に接するように、皮膚上に配置する。支持基材21の上から、皮膚用転写シート20を指等で押圧することにより、供給液を支持基材21にまで浸透させる。この押圧時に皮膚貼付用フィルム10にかかる荷重は、10g/cm以上900g/cm以下であることが好ましい。また、皮膚に与えるダメージを軽減するためには、上記荷重は10g/cm以上20g/cm以下であることがより好ましい。この程度の大きさの荷重であっても、皮膚貼付用フィルム10は皮膚に十分に貼り付く。
続いて、皮膚貼付用フィルム10から支持基材21を剥離する。これにより、皮膚貼付用フィルム10が皮膚に貼り付けられる。皮膚用転写シート20が湿潤することによって、多孔質基材である支持基材21が膨張することや、支持基材21と皮膚貼付用フィルム10との間まで供給液が浸入すること等に起因して、支持基材21が皮膚貼付用フィルム10から剥がれやすくなる。
なお、上記転写方法においては、皮膚上に皮膚用転写シート20を配置する前に、皮膚に供給液を供給する方法を例示したが、皮膚上に皮膚用転写シート20を配置した後に、供給液が皮膚用転写シート20に対して供給されてもよい。
皮膚貼付用フィルム10が皮膚に貼り付けられた後、皮膚貼付用フィルム10の上から、化粧料が塗布される。すなわち、化粧料は皮膚貼付用フィルム10の第1面10Fに塗布される。塗布される化粧料の種類は特に限定されず、例えば、ファンデーション等のメーキャップ用の化粧料や日焼け止め等のサンケア用の化粧料を用いることができる。
[実施例]
上述した皮膚貼付用フィルムについて、具体的な実施例および比較例を用いて説明する。
<皮膚用転写シートの製造>
DL-ポリ乳酸(武蔵野化学研究所社製)を、固形分が5%以上10%以下となるように酢酸エチルに溶解することにより、皮膚貼付用フィルムの形成のための塗液を生成した。ポリ乳酸の平均分子量は、5万以上44万以下の範囲から選択した所定の値である。成膜用基材としてのPETシート(東レ社製:ルミラー,S10) に、ワイヤーバーを用いて上記塗液を塗布し、塗膜を形成した。塗膜をオーブンで加熱して乾燥・固化させることにより、皮膚貼付用フィルムを形成した。皮膚貼付用フィルムは、乾燥後の厚さが100nm以上400nm以下の範囲内の所定の値となるように形成した。乾燥時の加熱温度は70℃以上120℃以下の範囲から選択した。
続いて、皮膚貼付用フィルムに、支持基材として不織布(フタムラ化学社製)を積層し、成膜用基材を剥離して、皮膚貼付用フィルムを成膜用基材から支持基材に転写した。不織布の主成分はセルロースであり、目付けは20g/mであった。
上記製造方法において、成膜用基材上の皮膚貼付用フィルムに対する、表面に凸部を有するロール体による押圧の有無および押圧の条件、ならびに、成膜用基材から支持基材への皮膚貼付用フィルムの転写条件を変更することによって、窪み部の面積比率Rtが互いに異なる試験例1~8の皮膚用転写シートを得た。
試験例1~8について、上記実施形態に記載の測定方法に従って、窪み部の面積比率Rtと破断強度とを測定した。なお、面積比率Rtの測定において、観察領域は、1辺が1.65mm×2.2mmの長方形領域とし、二値化の閾値は、大津の判別分析法によって決定した。
<評価方法>
各試験例について、下記の各項目の評価を実施した。
(化粧料の付着性)
各試験例について、一辺が20mmの正方形形状の試験片を3つ作製した。1辺が70mmの正方形形状の人工皮革(イデアテックスジャパン社製:サプラーレ)の表面を水で湿らせて、試験片の皮膚貼付用フィルムの第2面を貼り付け、支持基材を剥離して、試験片ごとの試料を作製した。試料における皮膚貼付用フィルムが貼付されている面である対象面に対し、当該対象面の上部の左端から右端に向かって一方向にパウダーファンデーションをスポンジで塗布した。塗布領域を下方にずらしてパウダーファンデーションを試料に塗布する上記操作を4回実施して、対象面の全面にパウダーファンデーションを塗布した。対象面の向きを90度回転させて対象面の全面にパウダーファンデーションを塗布する上記操作を行うことを繰り返し、対象面の4つの辺の各々からの塗布を完了した。ファンデーションの塗布の完了後、試料の対象面の画像を撮影し、皮膚貼付用フィルムが貼り付けられていない部分の輝度を基準として、皮膚貼付用フィルムが貼り付けられている部分の輝度差を算出した。試験例ごとの試料の輝度差の平均値を、各試験例の輝度差とした。
輝度差が負の値であることは、皮膚貼付用フィルムの第1面における化粧料の付着性が、皮膚貼付用フィルムが貼り付けられていない部分と比較して低いことを示す。輝度差が0よりも小さくなるほど、化粧料の付着性が低くなる。化粧料の付着性の評価においては、輝度差が-5以下である試験例を「×」、輝度差が-5を超え0以下である試験例を「○」、輝度差が0を超える試験例を「◎」とした。
(皮脂の透過性)
一辺が75mmの正方形形状の厚紙を、5mmの幅の外周部分を残してくり抜き、枠型を形成した。各試験例について、両面テープを用いて枠型に皮膚貼付用フィルムを貼り付け、支持基材を剥離して試験片を作製した。ポリプロピレンフィルム上に、人口皮脂をぬれ膜厚で36μmの厚さに塗布し、その上に直径60mmのろ紙(桐山製作所社製:桐山ロート用ろ紙 NO. 5A)をのせた。ろ紙上に上記試験片を圧着して試料を作製した。
ろ紙上に試験片を圧着してから4時間経過後に、試験片における皮膚貼付用フィルム上に滲出した皮脂を、油取り紙で押圧して移し取り、油取り紙にて皮脂が付着している部分の面積を画像解析によって算出した。そして、算出された皮脂滲出部の面積を、観察対象の領域の面積で割って、皮脂透過面積比率を得た。皮脂の透過性の評価においては、皮脂透過面積比率が10%を超える試験例を「×」、皮脂透過面積比率が5%を超え10%以下である試験例を「○」、皮脂透過面積比率が5%以下である試験例を「◎」とした。
(水蒸気の透過性)
[蒸れ感]
各試験例について、一辺が30mmの正方形形状の試験片を作製した。前腕部の内側を水で湿らせ、試験片の皮膚貼付用フィルムの第2面を貼り付け、支持基材を剥離した。1時間経過後、皮膚貼付用フィルムを肌から剥離して蒸れ感を官能評価した。不快な蒸れを感じる場合を「×」、若干の蒸れを感じる場合を「△」、蒸れを感じない場合を「○」とした。
[角質水分量]
蒸れ感の官能評価を補うために、上記蒸れ感の評価に際して皮膚貼付用フィルムを1時間貼付後に剥離した部位の角質水分量を角質水分計(キーストンサイエンティフィック社製:MSC1001)で測定した。皮膚貼付用フィルムが貼り付けられていない部位での角質水分量の測定結果を100として、各試験例の角質水分量を算出した。
<評価結果>
各試験例について、窪み部の面積比率Rt、窪み部における有底部と貫通部との比率、および、破断強度を表1に示す。また、各試験例について、化粧料の付着性、皮脂の透過性、および、蒸れ感の評価において得られたデータおよび評価結果を表2に示す。
Figure 0007020330000001
Figure 0007020330000002
表1および表2が示すように、窪み部の面積比率Rtが大きいほど、化粧料の付着性は高く、蒸れ感も感じ難い一方で、皮脂が透過しやすくなる傾向が認められた。一方、窪み部の面積比率Rtが小さいほど、皮脂の透過の抑制効果は高くなるが、化粧料の付着性は低くなり、蒸れ感も感じやすくなる傾向が認められた。
詳細には、面積比率Rtが0.05%未満の試験例1においては、化粧料の付着性が顕著に低い。一方、面積比率Rtが0.05%以上の試験例2~8においては、化粧料の付着性が良好であり、特に、面積比率Rtが5%以上の試験例4~8においては、化粧料の高い付着性が得られた。
また、蒸れ感の評価においては、不快な蒸れを感じる試験例はなかったが、面積比率Rtが5%未満の試験例1~3においては、若干の蒸れが感じられ、面積比率Rtが5%以上の試験例4~8においては、蒸れが感じられなかった。なお、蒸れ感の官能評価と角質水分量との間には相関があり、蒸れを感じる場合は、蒸れを感じない場合と比較して角質水分量が多いことが確認された。
また、面積比率Rtが25%を超える試験例8では皮脂の透過が多いが、面積比率Rtが25%以下の試験例1~7においては、皮脂の透過が良好に抑制され、特に、面積比率Rtが5%未満の試験例1~3においては、皮脂の透過が低く抑えられることが確認された。
また、表1が示すように、面積比率Rtが小さいほど、破断強度が高くなる傾向が認められた。
以上の評価を総合すると、窪み部の面積比率Rtが0.05%以上25%以下であれば、皮膚貼付用フィルムにおける皮脂の透過の抑制、化粧料の付着性、水蒸気の透過性のいずれもが良好であることが示された。
以上、実施形態および実施例にて説明したように、上記実施形態の皮膚貼付用フィルムおよび皮膚用転写シートによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)窪み部11の面積比率Rtが0.05%以上であることにより、良好な化粧料の付着性および水蒸気の透過性が得られる。また、窪み部11の面積比率Rtが25%以下であることにより、皮脂の透過が良好に抑制される。したがって、皮脂の透過の抑制と、化粧料の付着性および水蒸気の透過性の向上との両立が可能であり、美容用途における皮膚貼付用フィルム10の有用性が高められる。
なお、皮膚貼付用フィルム10が窪み部11を有する構成であれば、その面積比率Rtに関わらず、皮膚貼付用フィルム10が窪み部11を全く有さない構成と比較して、化粧料の付着性の向上は可能である。すなわち、皮膚貼付用フィルム10が皮膚に貼り付けられることによって、皮膚貼付用フィルム10が貼り付けられない場合よりは皮脂の滲出の抑制が可能であり、こうした皮膚貼付用フィルム10における化粧料の付着性の向上を課題とするとき、皮膚貼付用フィルム10が窪み部11を有する構成であれば、当該課題の解決が可能である。
(2)複数の窪み部11が、有底部12と貫通部13とを含み、第1面10Fと対向する方向から見て、単位面積あたりの有底部12の総占有面積が、単位面積あたりの貫通部13の総占有面積よりも大きい構成であれば、窪み部11における貫通部13の割合が高い場合と比較して、皮膚貼付用フィルム10の破断強度が高められる。
(3)複数の窪み部11の形状に、円形状、楕円形状、線形状、および、矩形形状からなる群から選択される少なくとも1種が含まれる構成であれば、窪み部11が複雑な多角形形状のような外形形状を有する場合と比較して、窪み部11の形成および面積比率Rtの制御が容易である。
(4)窪み部11の短軸方向の長さLsに対する長軸方向の長さLlの比が1以上500以下であり、短軸方向の長さLsが0.1μm以上1μm以下である構成であれば、窪み部11の大きさが、化粧料の付着および水蒸気の透過に適した大きさとなる。
(5)皮膚貼付用フィルム10が支持基材21に支持される構成であれば、皮膚貼付用フィルム10が取り扱いやすくなる。
また、支持基材21が、窪み部11の深さ方向において窪み部11の少なくとも一部を埋める構成であれば、皮膚貼付用フィルム10から支持基材21が剥がされるまで、窪み部11が変形することや窪み部11が異物等によって埋まることが抑えられる。すなわち、皮膚貼付用フィルム10が窪み部11を有することで化粧料の付着性の向上が可能であり、こうした皮膚貼付用フィルム10において使用時までの窪み部11の形状の保持を課題とするとき、支持基材21が、窪み部11の深さ方向において窪み部11の少なくとも一部を埋める構成であれば、当該課題の解決が可能である。
10…皮膚貼付用フィルム、10F…第1面、10R…第2面、11…窪み部、12…有底部、13…貫通部、20…皮膚用転写シート、21…支持基材、50…カメラ、60…黒色板、61…両面テープ、62…試料。

Claims (7)

  1. 第1面と、前記第1面とは反対側に位置して皮膚に貼り付けられる第2面とを有し、1μm以下の厚さを有する皮膚貼付用フィルムであって、
    前記皮膚貼付用フィルムは、ポリ乳酸を含み、
    前記第1面の画像を判別分析法で二値化することにより識別される窪み部の割合であって、二値化画像に基づき算出される単位面積あたりの前記窪み部の総占有面積の割合が0.05%以上25%以下である
    皮膚貼付用フィルム。
  2. 第1面と、前記第1面とは反対側に位置して皮膚に貼り付けられる第2面とを有し、1μm以下の厚さを有する皮膚貼付用フィルムであって、
    前記皮膚貼付用フィルムは、ポリ乳酸、ヒアルロン酸、ポリグリコール酸、フィブロイン、ポリカプロラクトン、キトサン、これらの高分子材料の共重合体、および、アクリルウレタン共重合体からなる群から選択される1種以上の材料を含み、
    前記皮膚貼付用フィルムの破断強度は、45mN以上80mN以下であり、
    前記第1面の画像を判別分析法で二値化することにより識別される窪み部の割合であって、二値化画像に基づき算出される単位面積あたりの前記窪み部の総占有面積の割合が0.05%以上25%以下である
    皮膚貼付用フィルム。
  3. 前記皮膚貼付用フィルムが有する複数の前記窪み部の各々は、前記皮膚貼付用フィルム内に底を有する有底部、または、前記皮膚貼付用フィルムを貫通した貫通部である
    請求項1または2に記載の皮膚貼付用フィルム。
  4. 前記複数の窪み部には、前記有底部と前記貫通部とが含まれ、
    前記単位面積あたりにおける前記有底部の総占有面積は、前記単位面積あたりにおける前記貫通部の総占有面積よりも大きい
    請求項に記載の皮膚貼付用フィルム。
  5. 前記第1面と対向する方向から見た複数の前記窪み部の形状には、円形状、楕円形状、線形状、および、矩形形状からなる群から選択される少なくとも1種が含まれる
    請求項1~4のいずれか一項に記載の皮膚貼付用フィルム。
  6. 前記第1面と対向する方向から見て、
    前記窪み部の短軸方向の長さに対する長軸方向の長さの比は、1以上500以下であり、前記短軸方向の長さは、0.1μm以上1μm以下である
    請求項1~5のいずれか一項に記載の皮膚貼付用フィルム。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の皮膚貼付用フィルムと、
    前記皮膚貼付用フィルムの前記第1面を支持する多孔質基材と、
    を備える皮膚用転写シート。
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