JP7009226B2 - 粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、粘着シートに関する。
再貼付が可能な貼着体は、例えば、反復して使用可能な事務用、絵本用、知育用、子供用プラスチック玩具用途等に用いられている。
このような貼着体は、被着体から剥離された後、再度貼付されるまでの間、剥離ライナーに保持されることが要求される。
特許文献1には、基材の一面がウレタン系粘着剤層を有し、さらに離型シート(剥離ライナー)で保護されている再貼付用シートが開示されている。そして、このようなウレタン系粘着剤について、その合成において選択されるモノマー、触媒および反応温度を選択することで、優れた生産性、適度な粘着力および良好な再貼付性を達成しうることが開示されている。
しかしながら、再貼付が可能な粘着シートでは、貼着体が剥離ライナーから脱落してしまうことがあった。貼着体の剥離ライナーからの剥離性の面からさらなる改善が望まれている。
特開2000-256629号公報
本発明の目的は、適度な剥離性を有する粘着シートを提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(4)に記載の本発明により達成される。
(1) ウレタン系粘着剤を主成分とする粘着剤層を有する貼着体と、前記粘着剤層に接触する剥離ライナーとを備える粘着シートであって、
前記剥離ライナーは、基材層と、前記粘着剤層に接触する剥離剤層とを備え、
前記剥離剤層は、付加反応型シリコーンと、シリコーンレジンとを含む組成物を用いて形成されたものであり、
前記組成物は、前記シリコーンレジンとしてOH変性シリコーンレジンを含み、
前記付加反応型シリコーン100質量部に対する前記OH変性シリコーンレジンの含有量が5質量部以上100質量部以下であることを特徴とする粘着シート。
(2) ウレタン系粘着剤を主成分とする粘着剤層を有する貼着体と、前記粘着剤層に接触する剥離ライナーとを備える粘着シートであって、
前記剥離ライナーは、基材層と、前記粘着剤層に接触する剥離剤層とを備え、
前記剥離剤層は、付加反応型シリコーンと、シリコーンレジンとを含む組成物を用いて形成されたものであり、
前記組成物は、前記シリコーンレジンとしてビニル変性シリコーンレジンを含むことを特徴とする粘着シート。
(3) 前記付加反応型シリコーン100質量部に対する前記ビニル変性シリコーンレジンの含有量が5質量部以上400質量部以下である上記(2)に記載の粘着シート。
(4) ウレタン系粘着剤を主成分とする粘着剤層を有する貼着体と、前記粘着剤層に接触する剥離ライナーとを備える粘着シートであって、
前記剥離ライナーは、基材層と、前記粘着剤層に接触する剥離剤層とを備え、
前記剥離剤層は、付加反応型シリコーンと、シリコーンレジンとを含む組成物を用いて形成されたものであり、
前記組成物は、前記シリコーンレジンとして無官能シリコーンレジンを含み、
前記付加反応型シリコーン100質量部に対する前記無官能シリコーンレジンの含有量が20質量部以上400質量部以下であることを特徴とする粘着シート。
本発明によれば、剥離ライナーからの適度な剥離性を有する粘着シートを提供することができる。
本発明の粘着シートの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。 粘着剤の架橋性の評価に用いる試験片の作製方法を説明するための縦断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[粘着シート]
まず、本発明の粘着シートについて説明する。
図1は、本発明の粘着シートの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。
図1に示すように、粘着シート100は、基材11および粘着剤層12を有する貼着体10と、貼着体10の粘着剤層12に接触する剥離ライナー20とを備えている。
そして、剥離ライナー20は、基材層21と、粘着剤層12に接触する剥離剤層22とを備え、剥離剤層22は、付加反応型シリコーンと、シリコーンレジンとを含む組成物を用いて形成されたものである。
これにより、粘着シート100は、剥離ライナーからの適度な剥離性を有するものとなる。
なお、本明細書において、「シート」にはフィルムの概念が含まれるものとする。
≪貼着体≫
前述したように、貼着体10は、基材11および粘着剤層12を備えている。
(基材)
基材11は、粘着剤層12を支持する機能を有している。
基材11は、例えば、緻密なフィルム状、織布、不織布、紙、多孔質体等、いかなる形態のものであってもよい。
基材11の構成材料は、特に限定されず、例えば、樹脂材料、金属材料、パルプ等の植物性繊維等が挙げられるが、樹脂材料が好適に用いられる。
基材11を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;アセテート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、基材11としては、ポリオレフィン又はポリエステルからなる合成紙を用いてもよい。
また、基材11は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、染料、顔料等の着色剤、アニリド系、フェノール系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、光安定剤、改質剤、防錆剤、充填剤、表面潤滑剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、重合禁止剤、架橋剤、触媒、可塑剤、レベリング剤、増粘剤、軟化剤、分散剤等が挙げられる。
また、基材11は、単層より構成されるものであってもよいし、複数の層を備える積層体であってもよい。また、基材11は、例えば、厚さ方向に組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
また、基材11は、粘着剤層12との密着性を高めるための表面処理が施されたものであってもよい。
これにより、粘着剤層12と被着体(剥離ライナー20を含む。以下同様。)との密着力に対して、基材11と粘着剤層12との密着力を、特に大きいものとすることができ、貼着体10を被着体から剥離する際の糊残りの発生や、基材11と粘着剤層12との間での層間剥離をより効果的に防止することができる。
このような表面処理としては、例えば、プライマー塗布、コロナ放電処理(コロナ処理)、ブラスト処理、溶剤処理等が挙げられる。
基材11の厚さは、特に限定されないが、15μm以上300μm以下であるのが好ましく、20μm以上75μm以下であるのがより好ましい。
基材11の、粘着剤層12に対向する面の反対側の面には、印刷層が形成されることがある。印刷の柄としては、例えば、文字、花、動物等が挙げられ、これらの輪郭に沿って、基材11及び粘着剤層12には抜き加工が行われることがある。
(粘着剤層)
粘着剤層12は、被着体に密着する部位であり、少なくとも粘着剤を含む材料で構成されている。
粘着剤層12は、ウレタン系粘着剤を主成分とする材料で構成されたものである。
ウレタン系粘着剤は、アクリル系粘着剤に比べて、被着体に対して糊残りが発生しにくいため、貼付と剥離を繰り返すことができる。
ウレタン系粘着剤は、架橋したウレタン樹脂を含むものである。
このようなウレタン系粘着剤を含む粘着剤層12は、ポリウレタンポリオール及びポリイソシアネート架橋剤を含む粘着剤組成物を用いて形成される。
以下、粘着剤層12の形成に用いる粘着剤組成物について説明する。
<ポリウレタンポリオール>
ウレタン樹脂は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを構成成分として含む高分子材料である。
特に、粘着剤組成物を構成するウレタン樹脂は、ポリウレタンポリオールとポリイソシアネート架橋剤から得られるものであるのが好ましい。
これにより、貼着体10の再剥離性(糊残りのしにくさや適度な粘着力)をより向上させることができる。
ポリウレタンポリオールは、ポリオールとポリイソシアネートを、水酸基に対するイソシアネート基の当量比が1未満になるように配合して反応させることで得られる。
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、公知のポリエステルポリオールを用いることができる。
ポリエステルポリオールを構成する酸成分としては、例えば、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の多価カルボン酸が挙げられる。
また、ポリエステルポリオールを構成するアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール等の2価のアルコール(ジオール)や、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール、ビスフェノールAをはじめとするビスフェノールF、ビスフェノールAD等のビスフェノール類、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等のジヒドロキシベンゼンを開始剤として用いて、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させることにより得られるポリエーテルポリオール、具体的にはポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエーテルポリオールの一分子当たりの平均官能基数は2.2以上3.4以下であるのが好ましく、2.3以上3.3以下であるのがより好ましく、2.4以上3.2以下であるのがさらに好ましい。
ポリエーテルポリオールの一分子当たりの平均官能基数は、JIS K0070に準拠し、アセチル化試薬として無水酢酸を用いた中和滴定法によって得られたOH価(KOHmg/g)と、ゲルパーミエションクロマトグラフィ法(GPC法)によって求めたポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mn)とから求めることができる。GPC法によるMnは、例えば、臭化リチウムのジメチルホルムアミド溶液(50mM濃度)を溶媒として、80℃で測定し、ポリスチレン換算で求めることができる。
ポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mn)は、300以上7000以下であるのが好ましく、350以上6000以下であるのがより好ましい。
ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。また、これらのトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット体、ヌレート体等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとして、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネートとして、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、芳香脂肪族ポリイソシアネートとして、例えば、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、脂環族ポリイソシアネートとして、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
これらのポリイソシアネートは、粘着物性や入手の容易さから、特に好ましいものとして挙げられる。
前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとの重合反応は、一般に触媒を用いて行う。
触媒としては、例えば、3級アミン化合物、有機金属化合物等が挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリフェニルアミン、N,N’-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルフォリン、N-メチルピペリジン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン(DBU)、ウロトロピン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば、錫系化合物、非錫系化合物が挙げられる。
触媒としては、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ビス(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジネオデカノエート等の錫系有機金属化合物が好ましい。ジブチル錫化合物は一部トリブチル錫化合物を不純物として含むので、安全性を考慮するとジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオペンタノエート、ジオクチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ビス(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジネオデカノエート等のジオクチル錫化合物が特に好ましい。
<ポリイソシアネート架橋剤>
ポリイソシアネート架橋剤としては、前記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット体、ヌレート体等が挙げられる。
ポリウレタンポリオールに対するポリイソシアネート架橋剤の配合量は、水酸基に対するイソシアネート基の当量比が0.5以上1.5以下であることが好ましい。0.5未満では凝集力が不足し、1.5超では粘着力が不足する。
<その他の成分>
粘着剤組成物は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、染料、顔料等の着色剤、アニリド系、フェノール系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、光安定剤、ロジン、ロジンエステル等の粘着付与剤、改質剤、防錆剤、スメクタイト、カオリン、タルク、マイカ、バーミキュライト、パイロフィライト、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤、難燃剤、加水分解防止剤、表面潤滑剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、滑剤、ウレタン樹脂以外の粘着剤(樹脂材料)、帯電防止剤、重合禁止剤、触媒、可塑剤、レベリング剤、増粘剤、軟化剤、分散剤、溶剤、分散媒、消泡剤等が挙げられる。
粘着剤組成物が可塑剤を含むものであると、粘着剤層12の柔軟性、弾性をより優れたものとすることができる。また、粘着剤層12の再剥離性をより優れたものとすることができる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ-n-オクチル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸エステル系可塑剤;トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリイソデシル等のトリメリット酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸系可塑剤;フタル酸系ポリエステル等のポリエステル系可塑剤、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル系可塑剤;エポキシ化アマニ油、エポキシ化ステアリン酸ブチル等のエポキシ系可塑剤等が挙げられる。
粘着剤組成物は、ウレタン樹脂以外の樹脂材料を含むものであってもよいが、ウレタン樹脂以外の樹脂材料の含有率は、ウレタン樹脂の含有率よりも低いものであるのが好ましい。
粘着剤組成物中の全固形分に対するウレタン樹脂以外の樹脂材料の含有率は、30質量%以下であるのが好ましく、20質量%以下であるのがより好ましい。
粘着剤組成物中の固形分濃度は、20質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、30質量%以上65質量%以下であるのがより好ましく、40質量%以上60質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、粘着剤組成物の塗工性をより優れたものとすることができる。
粘着剤組成物が溶剤、分散媒を含むものであると、粘着剤組成物の取り扱いのしやすさ(例えば、粘着剤組成物の塗工性等)をより優れたものとすることができる。
溶剤、分散媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、テトラヒドロフラン、クラウンエーテル等のエーテル系溶剤;ビピリジン、テトラキストリフルオロメチルビピリジン等のピリジン系溶剤;チオエーテル系溶剤;水等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着剤層12の厚さは、特に限定されないが、1μm以上40μm以下であるのが好ましく、2μm以上30μm以下であるのがより好ましく、3μm以上25μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、貼着体10の被着体への密着性をより優れたものとしつつ、被着体からの剥離時等における粘着剤層12の凝集破壊等をより効果的に防止することができる。
≪剥離ライナー≫
剥離ライナー20は、貼着体10の粘着剤層12に接触して粘着剤層12を保護する機能を有するとともに、基材11に形成された印刷柄の輪郭に沿って抜き加工され個片化された複数の貼着体10をまとめて保持する機能を有する。
前述したように、剥離ライナー20は、基材層21と、粘着剤層12に接触する剥離剤層22とを備えている。
(基材層)
基材層21は、剥離剤層22を支持する機能を有している。
基材層21としては、例えば、プラスチックフィルム(熱可塑性樹脂フィルム);上質紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙等の紙類で構成された紙基材、紙基材にポリエチレン等の樹脂材料をラミネートしたラミネート紙等が挙げられる。ラミネート紙としては、紙基材とプラスチックフィルムとを積層したものであってもよい。
上記プラスチックフィルムの構成材料、ラミネートされた樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン-プロピレン共重合体等のα-オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂等が挙げられる。
基材層21の厚さは、特に限定されないが、10μm以上400μm以下であるのが好ましく、30μm以上150μm以下であるのがより好ましく、50μm以上120μm以下であるのがさらに好ましい。
(印刷層)
基材層21には、剥離剤層22に対向する面とは反対の面側に、図示しない印刷層が設けられていてもよい。
印刷層は、例えば、文字、図形、記号、絵、模様等の情報を構成し、表示するものである。
このような印刷層が設けられることにより、剥離ライナー20や粘着シート100についての情報を使用者(観察者)等に与えることができる。また、剥離ライナー20や粘着シート100の審美性を向上させることができる。また、剥離ライナー20を、例えば、再貼付型の貼着体10(例えば、シール等)が貼着される絵本等の書籍本体またはその一部(例えば、書籍本体の特定の一部のページ)として好適に用いることができる。
印刷層は、例えば、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、熱転写印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等の各種印刷法により形成することができる。
また、印刷層の形成には、例えば、紫外線硬化型インク、酸化重合型インク、水性インク、溶剤系インク、ラテックスインク等の各種インクを用いることができる。
印刷層の厚さは、特に限定されないが、0.5μm以上30μm以下であるのが好ましく、1μm以上10μm以下であるのがより好ましい。
また、基材層21には、図示しない印刷層保護層やインク受容層が設けられていてもよい。
(剥離剤層)
剥離剤層22は、貼着体10が剥離ライナー20から容易に剥離できるとともに、個片化された複数の貼着体を剥離ライナー20の上に保持する機能を有する。
剥離剤層22は、付加反応型シリコーンと、シリコーンレジンとを含む組成物(剥離剤組成物)を用いて形成されたものである。
剥離剤層22がシリコーンレジンを含有することにより、貼着体10を保持し、意図しない剥離や脱落を防ぐことができる。
剥離剤組成物中における付加反応型シリコーンとシリコーンレジンとの含有率の比率は、特に限定されないが、付加反応型シリコーン100質量部に対するシリコーンレジンの含有量は、3質量部以上800質量部以下であるのが好ましく、4質量部以上500質量部以下であるのがより好ましく、5質量部以上400質量部以下であるのがさらに好ましい。シリコーンレジンの含有量が多くなると、剥離力が大きくなり、貼着体が脱落しにくくなるが、一方で、ウレタン系粘着剤の架橋が不十分になることによって、粘着力が高くなり、容易に剥がせなくなることがある。
付加反応型シリコーンは、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び付加反応触媒を含む混合物であることが特に好ましい。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサンにおけるアルケニル基としては、ビニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。付加反応型シリコーンが架橋構造をとるためには、アルケニル基は、1分子中に少なくとも2つ有することが必要であり、架橋反応の効率の観点から、両末端にアルケニル基を有することが好ましい。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとしては、剥離性の観点から、メチル基を含むことが好ましい。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサンがメチル基およびビニル基を含む場合、メチル基に対するビニル基の割合が1mol%以上10mol%以下であることが好ましく、2mol%以上7mol%以下であるのがより好ましく、3mol%以上5mol%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、剥離剤層22の強度をより向上させることができ、粘着剤層12に対する剥離性をより良好な範囲とすることができる。なお、メチル基とビニル基との割合は、ガスクロマトグラフ-マススペクトル(GC/MS)法によって確認することができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、付加反応型シリコーンが架橋構造をとるために、1分子中に2つ以上のSiH基を有することが必要であり、剥離性の観点から、メチル基を有することが好ましい。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、架橋効率の観点から、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下の割合で含有することが好ましい。
付加反応型シリコーンは、良好な塗布適性および剥離性の観点から、固形分濃度30質量%の溶液における25℃の粘度が、10mPa・s以上50000mPa・s以下であるのが好ましく、100mPa・s以上10000mPa・s以下であるのがより好ましい。
シリコーンレジンとしては、例えば、MQレジンが挙げられる。
MQレジンは、M単位(RSiO1/2)とQ単位(SiO4/2)を含むシリコーンレジンである。また、M単位とQ単位の他に、D単位(RSiO2/2)またはT単位(RSiO3/2)を含むものであってもよい。Rは、水素原子、水酸基または有機基を表し、有機溶剤に溶解しやすい観点から、メチル基であることが好ましい。
シリコーンレジンとしては、例えば、変性シリコーンレジンを用いることができる。
変性シリコーンレジンとしては、例えば、OH変性シリコーンレジン、ビニル変性シリコーンレジン、フェニル変性シリコーンレジン等が挙げられる。
特に、剥離剤組成物が、シリコーンレジンとして、OH変性シリコーンレジンを含んでいると、より少量のシリコーンレジンで、剥離剤層22(剥離ライナー20)の剥離力を好適に向上させることができる。また、シリコーンレジンの粘着剤層12への移行をより効果的に防止することができる。
剥離剤組成物がOH変性シリコーンレジンを含む場合、剥離剤組成物中における付加反応型シリコーンとOH変性シリコーンレジンとの含有率の比率は、特に限定されないが、付加反応型シリコーン100質量部に対するOH変性シリコーンレジンの含有量は、5質量部以上100質量部以下であるのが好ましく、7質量部以上90質量部以下であるのがより好ましく、10質量部以上80質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、粘着シート100の製造時における粘着剤の架橋性、および、貼着体10からの剥離剤層22(剥離ライナー20)の剥離力をより好適なものとすることができる。
剥離剤組成物がOH変性シリコーンレジンを含む場合、単位質量あたりのOH変性シリコーンレジン中に含まれるOH基の割合は、0.01mmol/g以上5.0mmol/g以下であるのが好ましく、0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下であるのがより好ましい。
これにより、粘着シート100の製造時における粘着剤の架橋性、および、貼着体10からの剥離剤層22(剥離ライナー20)の剥離力をより好適なものとすることができる。
これに対し、OH基の割合が少なすぎると、シリコーンレジンの粘着剤層12への移行が生じやすくなる。
また、OH基の割合が多すぎると、粘着シート100の製造時において、粘着剤層12の架橋がしにくくなる場合がある。
剥離剤組成物がOH変性シリコーンレジンを含む場合、当該OH変性シリコーンレジンの重量平均分子量は、200以上50000以下であるのが好ましく、1000以上20000以下であるのがより好ましい。
これにより、粘着シート100の製造時における粘着剤の架橋性、および、貼着体10からの剥離剤層22(剥離ライナー20)の剥離力をより好適なものとすることができる。
また、剥離剤組成物が、シリコーンレジンとして、ビニル変性シリコーンレジンを含んでいると、付加反応型シリコーンが反応基としてのアルケニル基(特に、ビニル基)を有する場合に、付加反応型シリコーンとシリコーンレジンとの反応がより好適に進行し、形成される剥離剤層22からの貼着体10の剥離力をより好適なものとすることができる。また、粘着シート100の製造時における粘着剤の架橋性をより優れたものとすることができる。特に、基材層21の水蒸気透過度が比較的高いものである場合等であっても、粘着シート100の製造時における粘着剤の架橋性をより優れたものとすることができる。また、他種のシリコーンレジンを用いた場合に比べて、シリコーンレジンの粘着剤層12への移行をさらに効果的に防止することができる。
剥離剤組成物がビニル変性シリコーンレジンを含む場合、剥離剤組成物中における付加反応型シリコーンとビニル変性シリコーンレジンとの含有率の比率は、特に限定されないが、付加反応型シリコーン100質量部に対するビニル変性シリコーンレジンの含有量は、5質量部以上400質量部以下であるのが好ましく、10質量部以上300質量部以下であるのがより好ましく、20質量部以上200質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、粘着シート100の製造時における粘着剤の架橋性、および、貼着体10からの剥離剤層22(剥離ライナー20)の剥離力をより好適なものとすることができる。
剥離剤組成物がビニル変性シリコーンレジンを含む場合、単位質量あたりのビニル変性シリコーンレジン中に含まれるビニル基の割合は、0.01mmol/g以上5.0mmol/g以下であるのが好ましく、0.1mmol/g以上4.0mmol/g以下であるのがより好ましい。
これにより、粘着シート100の製造時における粘着剤の架橋性、および、貼着体10からの剥離剤層22(剥離ライナー20)の剥離力をより好適なものとすることができる。
剥離剤組成物がビニル変性シリコーンレジンを含む場合、当該ビニル変性シリコーンレジンの重量平均分子量は、200以上50000以下であるのが好ましく、2000以上20000以下であるのがより好ましい。
これにより、粘着シート100の製造時における粘着剤の架橋性、および、貼着体10からの剥離剤層22(剥離ライナー20)の剥離力をより好適なものとすることができる。
これに対し、ビニル変性シリコーンレジンの重量平均分子量が小さすぎると、貼着体10を剥離ライナー20から剥離する際の剥離力が低下しやすくなる。
また、ビニル変性シリコーンレジンの重量平均分子量が大きすぎると、シリコーンレジンの粘着剤層12への移行が生じやすくなる。
また、剥離剤組成物が、シリコーンレジンとして、無官能シリコーンレジンを含んでいると、より少量のシリコーンレジンで、剥離剤層22(剥離ライナー20)の剥離力を好適に向上させることができる。また、粘着シート100の製造時において、粘着剤層12の架橋がしにくくなるという問題の発生をより効果的に防止することができる。
剥離剤組成物が無官能シリコーンレジンを含む場合、剥離剤組成物中における付加反応型シリコーンと無官能シリコーンレジンとの含有率の比率は、特に限定されないが、付加反応型シリコーン100質量部に対する無官能シリコーンレジンの含有量は、5質量部以上400質量部以下であるのが好ましく、20質量部以上300質量部以下であるのがより好ましく、30質量部以上200質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、粘着シート100の製造時における粘着剤の架橋性、および、貼着体10からの剥離剤層22(剥離ライナー20)の剥離力をより好適なものとすることができる。
剥離剤組成物が無官能シリコーンレジンを含む場合、当該無官能シリコーンレジンの重量平均分子量は、200以上50000以下であるのが好ましく、2000以上20000以下であるのがより好ましい。
これにより、粘着シート100の製造時における粘着剤の架橋性、および、貼着体10からの剥離剤層22(剥離ライナー20)の剥離力をより好適なものとすることができる。
剥離剤組成物中における付加反応型シリコーンの含有率とシリコーンレジンの含有率との和は、50質量%以上100質量%以下であるのが好ましく、80質量%以上100質量%以下であるのがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であるのがさらに好ましい。
剥離剤組成物は、付加反応型シリコーンおよびシリコーンレジン以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、触媒、反応抑制剤、無機充填剤、有機充填剤、着色剤(染料、顔料等)、可塑剤、老化防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、軽剥離剤、溶剤等が挙げられる。
剥離剤組成物は、触媒を含んでいるのが好ましい。
これにより、剥離剤の架橋反応(シリコーン化合物の架橋反応)を、触媒反応として効率よく進行させることができる。
触媒は、特に限定されないが、白金系触媒が好ましく、塩化第一白金酸、塩化第二白金酸等の塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、塩化白金酸と各種オレフィンとの錯体等が挙げられる。
剥離剤組成物中における触媒の含有率は、白金の量に換算して、1ppm以上1000ppm以下であるのが好ましく、10ppm以上500ppm以下であるのがより好ましい。
剥離剤組成物は、溶剤を含むことが好ましい。
溶剤としては、例えば、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。
剥離剤層22は、例えば、基材層21上に、剥離剤組成物を塗布し、その後付加反応を行うことにより好適に形成することができる。
剥離剤層形成時における剥離剤組成物の塗工方式としては、例えば、グラビアコーター、バーコーター等を採用することができる。
また、剥離剤組成物の塗布量は、固形分質量で、0.02g/m以上3.0g/m以下であるのが好ましく、0.05g/m以上2.0g/m以下であるのがより好ましい。
付加反応を進めるために、加熱することが好ましい。
加熱温度は、特に限定されないが、80℃以上140℃以下であるのが好ましく、80℃以上130℃以下であるのがより好ましく、90℃以上130℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、付加反応を効率よく進行させることができるとともに、基材層21における熱によるシワの発生をより効果的に防止することができる。
加熱時間は、剥離剤組成物の組成等によって異なるが、5秒以上20分以下であるのが好ましく、10秒以上10分以下であるのがより好ましく、20秒以上5分以下であるのがさらに好ましく、30秒以上2分以下であるのがもっとも好ましい。
剥離剤層22の厚さは、特に限定されないが、0.02μm以上3.0μm以下であるのが好ましく、0.05μm以上2.0μm以下であるのがより好ましい。
粘着シート100の用途は、特に限定されないが、例えば、各種印刷用ラベル等が挙げられ、より具体的には、貼着体10を再貼付用シートとして備える絵本、知育または子供用玩具等の用途を挙げることができる。
[粘着シートの製造方法]
次に、本発明に係る粘着シートの製造方法について説明する。
粘着シート100は、例えば、基材11上に粘着剤組成物を塗布する塗布工程と、基材11を乾燥炉に搬送して粘着剤組成物を乾燥する工程と、基材11に付与された粘着剤組成物の表面を、別途用意した剥離ライナー20の剥離剤層22が接触するようにして被覆する被覆工程と、基材11と剥離ライナー20とで挟持された粘着剤組成物の架橋反応を進行させる架橋工程とを有する方法(第1の方法)により好適に製造することができる。
粘着シート100は、例えば、剥離ライナー20の剥離剤層22上に粘着剤組成物を塗布する塗布工程と、剥離ライナーを乾燥炉に搬送して粘着剤組成物を乾燥する工程と、剥離ライナー20に付与された粘着剤組成物の表面を基材11で被覆する被覆工程と、基材11と剥離ライナー20とで挟持された粘着剤組成物の架橋反応を進行させる架橋工程とを有する方法(第2の方法)により好適に製造することができる。
粘着剤組成物の塗工方式(基材11または剥離ライナー20への塗工方式)としては、例えば、ナイフコーター、グラビアコーター、バーコーター等を採用することができる。
また、粘着剤組成物の乾燥後の塗布厚は、2μm以上50μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。
これにより、粘着剤層12の粘着力を好適なものとすることができる。
粘着剤組成物を乾燥する温度は、特に限定されないが、80℃以上140℃以下であるのが好ましく、80℃以上130℃以下であるのがより好ましく、90℃以上120℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、基材層21における熱によるシワの発生をより効果的に防止することができる。
乾燥時間は、粘着剤組成物の組成等によって異なるが、10秒以上10分以下であるのが好ましく、30秒以上5分以下であるのがより好ましい。
上記のような乾燥工程の後、架橋工程を行う。乾燥工程においても、架橋反応が部分的に進むが、架橋工程を行うことにより十分に架橋反応が行われる。これにより、例えば、粘着力を安定化させることができる。
架橋工程の温度は、0℃以上60℃以下であるのが好ましく、10℃以上50℃以下であるのがより好ましく、20℃以上40℃以下であるのがさらに好ましい。
架橋工程の処理時間は、5時間以上30日以内であるのが好ましく、8時間以上14日以内であるのがより好ましく、12時間以上7日以内であるのがさらに好ましい。
より具体的には、架橋工程は、例えば、23℃で3日間以上7日間以内、40℃で1日以上5日間以内等の条件で行なうことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、貼着体は、基材と粘着剤層との間に、少なくとも1層の中間層を有するものであってもよい。
また、貼着体は、基材の粘着剤層に対向する面とは反対の面側に、少なくとも1層の被覆層を有していてもよい。例えば、貼着体の表面を保護する等の機能を有するコート層が設けられていてもよい。また、例えば、貼着体は、基材の粘着剤層に対向する面とは反対の面側に、印刷用コート層を備えていてもよい。
以下に具体的な実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に温度条件を示していない処理は、室温(23℃)、相対湿度50%において行ったものである。また、各種測定条件についても特に温度条件を示していないものは、室温(23℃)、相対湿度50%における数値である。
[1]粘着シートの製造
(実施例1)
ビニル基含有量がメチル基含有量に対して4モル%である付加反応型シリコーンのトルエン溶液(固形分30質量%、25℃粘度5000mPa・s)を用意した。付加反応型シリコーンは、ビニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有し、さらに白金系触媒を、白金換算で100ppm含有するものであった。
その後、この溶液に固形分濃度10質量%となるよう希釈溶剤であるトルエンを添加して、攪拌を20分間行うことで、剥離剤組成物を調製した。
次に、厚さ80μmの上質紙の一方の面に、厚さ20μmの直鎖状低密度ポリエチレンを積層した基材層を用意した。
基材層の直鎖状低密度ポリエチレンの表面に、剥離剤組成物を、乾燥後の厚さが0.9μmになるように塗布し、130℃で1分間乾燥・架橋することにより、剥離ライナーを得た。
一方、以下のようにして粘着剤組成物の調製を行った。
すなわち、3官能ポリプロピレングリコール(数平均分子量1000)100質量部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体7質量部、ジオクチル錫ジラウレート0.01質量部、トルエン43質量部を仕込み、100℃で3時間反応させた。
そして、赤外分光光度計によりイソシアネート基の存在が確認できなくなるまで反応させることにより、ポリウレタンポリオール溶液を得た。
当該ポリウレタンポリオール100質量部に対して、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体を15質量部配合することにより、粘着剤組成物を得た。
上記のように調製した粘着剤組成物を、ナイフコーターにより、乾燥後の粘着剤層の厚みが20μmとなるように剥離剤層上に塗布し、その後、100℃で30秒間乾燥した。
次に、乾燥後の粘着剤組成物上に、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材(厚さ50μm)を載置した。
基材、粘着剤層、剥離剤組成物および基材層がこの順で積層された粘着シートを、常温で7日間架橋工程を行った。これにより、基材および粘着剤層を有する貼着体と、剥離剤層および基材層を有する剥離ライナーとを備える粘着シートを得た。
(実施例2~7)
剥離ライナーが有する剥離剤層の形成に用いた剥離剤組成物、形成された剥離剤層の条件を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして粘着シートを製造した。
(比較例1)
剥離ライナーにおいて、剥離剤層にシリコーンレジンを含有させなかった以外は、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。
前記各実施例および比較例の粘着シートの構成等を表1にまとめて示す。また、前記実施例で用いたOH変性シリコーンレジンは、いずれも、単位質量あたりのOH変性シリコーンレジン中に含まれるOH基の割合が0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下の範囲内のものであった。また、前記実施例で用いたビニル変性シリコーンレジンは、いずれも、単位質量あたりのビニル変性シリコーンレジン中に含まれるビニル基の割合が0.1mmol/g以上4.0mmol/g以下の範囲内のものであった。
Figure 0007009226000001
[2]評価
(粘着剤の架橋性)
粘着剤の架橋性について以下のようにして評価を行った。
まず、前記各実施例および比較例の粘着シートを、幅15mmの帯状に切断し、その後、図2に示すように、粘着シートの一端側から貼着体10のみを選択的に切断除去するとともに、粘着シートの他端側から剥離ライナー20のみを選択的に切断除去して、試験片を得た。このとき、試験片の長手方向について、貼着体と剥離ライナーとが重なり合う部分の長さが15mmとなるようにした。
次に、貼着体10と重なり合っていない部分の剥離ライナー20が上方、剥離ライナー20と重なり合っていない部分の貼着体10が下方に位置する状態で(図2参照)、剥離ライナーを把持し、剥離ライナーと重なり合っていない部分の貼着体10に質量200gのおもりを吊り下げ、1分間保持した。
その後、貼着体と剥離ライナーとの重なり部分の長さを測定し、以下の基準に従い評価した。貼着体と剥離ライナーとの重なり部分の長さが大きいほど、貼着体と剥離ライナーとのずれが防止されており、粘着剤の架橋が進行していると言える。
A:貼着体と剥離ライナーとの重なり部分の長さが15mm。
B:貼着体と剥離ライナーとの重なり部分の長さが10mm以上15mm未満。
C:貼着体と剥離ライナーとの重なり部分の長さが5mm以上10mm未満。
D:貼着体と剥離ライナーとの重なり部分の長さが0mm超5mm未満。
E:貼着体と剥離ライナーとの重なり部分の長さが0mm(貼着体が落下した)。
(粘着力)
前記各実施例および比較例の粘着シートから、それぞれ、幅25mmの試験片を切り出し、標準環境下(23℃50%RH)に1週間静置した。その後、剥離ライナーを剥離しSUS304鋼板の表面に貼着した。
24時間標準環境下に静置した後、JIS Z0237:2009に従い、180°方向に試験速度300mm/分で貼着体を引き剥がした際の、粘着力を求め、以下の基準に従い評価した。
A:粘着力が50mN/25mm以上1N/25mm未満である。
B:粘着力が1N/25mm以上2N/25mm未満である。
C:粘着力が2N/25mm以上5N/25mm未満である。
D:粘着力が5N/25mm以上10N/25mm未満である。
E:粘着力が10N/25mm以上である。
(剥離力)
前記各実施例および比較例の粘着シートから、それぞれ、幅50mmの試験片を切り出し、剥離ライナーから貼着体を剥離した後、再び貼着体を剥離ライナーに貼付し、24時間後に、180°方向に試験速度300mm/分で貼着体の引き剥がした際の荷重を求め、下記に従い評価した。
A:剥離力が300mN/50mm以上500mN/50mm以下である。
B:剥離力が100mN/50mm以上300mN/50mm未満である。
C:剥離力が100mN/50mm未満である。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0007009226000002
前記各実施例では、剥離力が十分な値を有し、貼着体が剥離ライナーから脱落することはなかった。一方で比較例1では、剥離力が小さく、貼着体が剥離ライナーから脱落した。
10…貼着体
11…基材
12…粘着剤層
20…剥離ライナー
21…基材層
22…剥離剤層
100…粘着シート

Claims (4)

  1. ウレタン系粘着剤を主成分とする粘着剤層を有する貼着体と、前記粘着剤層に接触する剥離ライナーとを備える粘着シートであって、
    前記剥離ライナーは、基材層と、前記粘着剤層に接触する剥離剤層とを備え、
    前記剥離剤層は、付加反応型シリコーンと、シリコーンレジンとを含む組成物を用いて形成されたものであり、
    前記組成物は、前記シリコーンレジンとしてOH変性シリコーンレジンを含み、
    前記付加反応型シリコーン100質量部に対する前記OH変性シリコーンレジンの含有量が5質量部以上100質量部以下であることを特徴とする粘着シート。
  2. ウレタン系粘着剤を主成分とする粘着剤層を有する貼着体と、前記粘着剤層に接触する剥離ライナーとを備える粘着シートであって、
    前記剥離ライナーは、基材層と、前記粘着剤層に接触する剥離剤層とを備え、
    前記剥離剤層は、付加反応型シリコーンと、シリコーンレジンとを含む組成物を用いて形成されたものであり、
    前記組成物は、前記シリコーンレジンとしてビニル変性シリコーンレジンを含むことを特徴とする粘着シート。
  3. 前記付加反応型シリコーン100質量部に対する前記ビニル変性シリコーンレジンの含有量が5質量部以上400質量部以下である請求項2に記載の粘着シート。
  4. ウレタン系粘着剤を主成分とする粘着剤層を有する貼着体と、前記粘着剤層に接触する剥離ライナーとを備える粘着シートであって、
    前記剥離ライナーは、基材層と、前記粘着剤層に接触する剥離剤層とを備え、
    前記剥離剤層は、付加反応型シリコーンと、シリコーンレジンとを含む組成物を用いて形成されたものであり、
    前記組成物は、前記シリコーンレジンとして無官能シリコーンレジンを含み、
    前記付加反応型シリコーン100質量部に対する前記無官能シリコーンレジンの含有量が20質量部以上400質量部以下であることを特徴とする粘着シート。
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