JP6992553B2 - 温度センサ及び温度測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、測定環境下の測定対象ガスの温度を測定する温度センサ及び温度測定装置に関する。
一対の熱電対素線を有する温度センサは、例えば、車両の排気管内を流れる排ガスの温度を測定するために用いられる。一対の熱電対素線は、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の絶縁材によって、絶縁された状態で外管内に固定されている。また、外管の先端部は金属材料によって閉塞されており、外管の基端部はガラス、樹脂等の封止材によって閉塞されている。そして、外管内を外部から遮断することにより、一対の熱電対素線が酸素等によって劣化することが抑制されている。
例えば、特許文献1のシース熱電対においては、一対の熱電対素線の先端部及び測温接点が、高硬度の導電性物質によってコーティングされている。そして、放電被覆加工によってコーティングを行うことにより、熱電対素線の先端部への熱入力が少なく、熱電対素線の測温特性に変化が生じにくくしている。
特開2016-211855号公報
従来の温度センサ、特許文献1等のシース熱電対においては、封止材を用いて外管内を封止(シール)することによって、外管の外部から外管内へ、酸素等が入ることが防止される。しかし、温度センサの製造時に、外管内には、空気中の酸素が取り込まれる。この外管内に取り込まれた酸素は、温度センサの使用時において、熱電対素線の表面における金属材料を徐々に酸化させることになる。
そして、熱電対素線の表面に、酸化による不動態膜(酸化膜)が形成されたときには、熱電対素線の材料組成が変化する。この理由は、不動態膜の生成に熱電対素線の構成材料が使用されるためである。これにより、温度センサによって温度を測定する際に、熱電対素線に生じる起電力に誤差が生じ、温度センサによって測定される出力温度に誤差が生じるおそれがある。
特許文献1におけるコーティングは、熱電対素線の先端部及び測温接点にのみ形成されており、外管内における熱電対素線の、先端部以外の部分には形成されていない。そのため、特許文献1においては、外管内における熱電対素線の、先端部以外の部分が、外管内に取り込まれた酸素によって酸化するおそれがある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、出力温度に誤差が生じにくくすることができる温度センサ及び温度測定装置を提供しようとして得られたものである。
本発明の参考態様は、互いに異なる金属材料から構成された一対の熱電対素線(2)と、
一対の前記熱電対素線の先端同士が合わさった測温接点(3)と、
金属材料から構成され、前記測温接点を先端部(401)内又は前記先端部に装着された先端カバー(42)内に収容するとともに、一対の前記熱電対素線を基端部(402)から突出させる外管(4)と、
絶縁材料から構成され、前記外管内に配置されるとともに、一対の前記熱電対素線と前記外管とを絶縁して、一対の前記熱電対素線を前記外管に固定する絶縁材(5)と、
ガラス材料から構成され、前記外管の前記基端部内及び前記外管の前記基端部に装着されたホルダ(43)内の少なくとも一方に充填されるとともに、前記外管内を封止するガラス封止材(6)と、を備え、
前記外管内に配置された一対の前記熱電対素線の表面には、一対の前記熱電対素線を構成する導電性の金属材料が酸化したことによる不動態膜(22)が形成されている、温度センサ(1)にある。
本発明の態様は、温度センサ(1)と、前記温度センサに電気的に接続され、前記温度センサによる温度の測定に用いられる制御ユニット(8)とを備える温度測定装置(100)において、
前記温度センサは、
互いに異なる金属材料から構成された一対の熱電対素線(2)と、
一対の前記熱電対素線の先端同士が合わさった測温接点(3)と、
金属材料から構成され、前記測温接点を先端部(401)内又は前記先端部に装着された先端カバー(42)内に収容するとともに、一対の前記熱電対素線を基端部(402)から突出させる外管(4)と、
絶縁材料から構成され、前記外管内に配置されるとともに、一対の前記熱電対素線と前記外管とを絶縁して、一対の前記熱電対素線を前記外管に固定する絶縁材(5)と、
ガラス材料から構成され、前記外管の前記基端部内及び前記外管の前記基端部に装着されたホルダ(43)内の少なくとも一方に充填されるとともに、前記外管内を封止するガラス封止材(6)と、を有し、
前記外管内に配置された一対の前記熱電対素線の表面には、一対の前記熱電対素線を構成する導電性の金属材料が酸化したことによる不動態膜(22)が形成されており、
前記制御ユニットは、一対の前記熱電対素線に生じる起電力の変化に基づいて、前記温度センサの出力温度を製造初期の前記不動態膜の形成に伴って前記出力温度に生じる誤差を補正した補正後出力温度(T2)として算出するよう構成されており、
前記補正後出力温度は、所定の検査温度(Tm)、前記検査温度において測定された前記温度センサの出力温度と前記検査温度との誤差(ΔT)(複数回の測定に基づく誤差ΔTの平均値を含む。)、及び前記温度センサの補正前の出力温度(T1)を用い、T2=T1+T1×ΔT/Tmに基づいて算出する、温度測定装置にある。
本発明の他の態様は、温度センサ(1)と、前記温度センサに電気的に接続され、前記温度センサによる温度の測定に用いられる制御ユニット(8)とを備える温度測定装置(100)において、
前記温度センサは、
互いに異なる金属材料から構成された一対の熱電対素線(2)と、
一対の前記熱電対素線の先端同士が合わさった測温接点(3)と、
金属材料から構成され、前記測温接点を先端部(401)内又は前記先端部に装着された先端カバー(42)内に収容するとともに、一対の前記熱電対素線を基端部(402)から突出させる外管(4)と、
絶縁材料から構成され、前記外管内に配置されるとともに、一対の前記熱電対素線と前記外管とを絶縁して、一対の前記熱電対素線を前記外管に固定する絶縁材(5)と、
ガラス材料から構成され、前記外管の前記基端部内及び前記外管の前記基端部に装着されたホルダ(43)内の少なくとも一方に充填されるとともに、前記外管内を封止するガラス封止材(6)と、を有し、
前記外管内に配置された一対の前記熱電対素線の表面には、一対の前記熱電対素線を構成する導電性の金属材料が酸化したことによる不動態膜(22)が形成されており、
前記制御ユニットは、一対の前記熱電対素線に生じる起電力の変化に基づいて、前記温度センサの出力温度を、製造初期の前記不動態膜の形成に伴って前記出力温度に生じる誤差を補正した補正後出力温度(T2)として算出するよう構成されており、
前記補正後出力温度は、所定の検査温度(Tm)、前記検査温度において測定された測定出力温度(T1’)、α=Tm/T1’によって表される誤差率α(複数回の測定に基づく誤差率αの平均値を含む。)、及び前記温度センサの補正前の出力温度(T1)を用い、T2=T1×αに基づいて算出する、温度測定装置にある。
前記参考態様の温度センサは、一対の熱電対素線の表面に意図的に不動態膜を形成することにより、温度センサの使用時に、一対の熱電対素線の表面に不動態膜が形成されにくくしたものである。具体的には、温度センサの製造時において、一対の熱電対素線の表面における金属材料を意図的に酸化させ、一対の熱電対素線の表面に不動態膜を形成する。そして、温度センサが製造された状態においては、不動態膜が形成された一対の熱電対素線が外管内に収容され、外管内の一対の熱電対素線が外管の外部と遮断される。
これにより、温度センサの使用時において、外管内に酸素が取り込まれていても、不動態膜の存在により、酸素によって一対の熱電対素線がさらに酸化することが抑制される。そのため、温度センサの使用時に、一対の熱電対素線における材料組成の変化がさらに生じることが抑制される。この結果、温度センサの使用時に、一対の熱電対素線に生じる起電力に誤差が生じにくくすることができる。
それ故、前記参考態様の温度センサによれば、温度センサによって測定される出力温度に誤差が生じにくくすることができる。
前記態様及び他の態様の温度測定装置は、温度センサによる温度の測定に用いられる制御ユニットを備える。制御ユニットは、温度センサの使用時において、一対の熱電対素線に生じる起電力の変化に基づいて、温度センサの出力温度を算出するよう構成されている。この制御ユニットは、不動態膜が形成された一対の熱電対素線を有する温度センサに用いられる。そして、制御ユニットは、不動態膜の形成に伴う、出力温度に生じる誤差を補正するよう構成されている。
これにより、制御ユニットは、不動態膜の形成に伴う、一対の熱電対素線の起電力に生じる誤差を加味して、温度センサの出力温度を算出することができる。それ故、前記態様及び他の態様の温度測定装置によれば、温度センサによって測定される出力温度に誤差が生じにくくすることができるとともに、温度センサの出力温度をより正確に算出することができる。
なお、本発明の一態様及び他の態様において示す各構成要素のカッコ書きの符号は、実施形態における図中の符号との対応関係を示すが、各構成要素を実施形態の内容のみに限定するものではない。
実施形態にかかる、温度センサの主要部を示す断面図。 実施形態にかかる、温度センサを示す断面図。 実施形態にかかる、測温接点の周辺を示す断面図。 実施形態にかかる、図1のIV-IV断面図。 実施形態にかかる、他の温度センサの主要部を示す断面図。 実施形態にかかる、他の外管の基端部の周辺を示す断面図。 実施形態にかかる、他の外管の基端部の周辺を示す断面図。 実施形態にかかる、他の温度センサの主要部を示す断面図。 実施形態にかかる、ガラス封止材用のタブレットを示す斜視図。 実施形態にかかる、測定温度範囲と誤差との関係を示すグラフ。 実施形態にかかる、温度センサを構成するシース熱電対の製造方法を示すフローチャート。 実施形態にかかる、シース熱電対の製造過程であって、準備したシースピンを示す説明図。 実施形態にかかる、加熱温度と加熱時間との関係を示すグラフ。 実施形態にかかる、シース熱電対の製造過程であって、シースピンの基端部における絶縁材を掻き出した状態を示す説明図。 実施形態にかかる、シース熱電対の製造過程であって、一対の熱電対素線の先端部に測温接点を形成した状態を示す説明図。 実施形態にかかる、シース熱電対の製造過程であって、外管の先端部に先端カバーを装着し、外管の基端部にタブレットを配置した状態を示す説明図。 実施形態にかかる、他の熱電対の製造過程であって、外管内に一対の熱電対素線を挿通した状態を示す説明図。 実施形態にかかる、他の熱電対の製造過程であって、外管の基端部内にガラス封止材を充填した状態を示す説明図。 実施形態にかかる、他の熱電対の製造過程であって、外管内に絶縁材を充填した状態を示す説明図。 実施形態にかかる、他の熱電対の製造過程であって、一対の熱電対素線の先端部に測温接点を形成した状態を示す説明図。
前述した温度センサ及び温度測定装置にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態>
本形態の温度センサ1は、図1及び図2に示すように、一対の熱電対素線2、測温接点3、外管4、先端カバー42、絶縁材5及びガラス封止材6を備える。一対の熱電対素線2のそれぞれは、互いに異なる金属材料から構成されている。測温接点3は、一対の熱電対素線2の先端同士が接合されたものである。外管4は、金属材料から構成されており、測温接点3を先端部401に装着された先端カバー42内に収容するとともに、一対の熱電対素線2を基端部402から突出させている。先端カバー42は、外管4の先端外周部に装着されており、外管4の先端側X1を閉塞している。
絶縁材5は、絶縁材料から構成されており、外管4内に配置されるとともに、一対の熱電対素線2と外管4とを絶縁して、一対の熱電対素線2を外管4に固定している。ガラス封止材6は、ガラス材料から構成されており、外管4の基端部402内に充填されるとともに、外管4内を封止している。図3に示すように、外管4内に配置された一対の熱電対素線2の表面には、一対の熱電対素線2の表面における金属材料が酸化したことによる不動態膜22が形成されている。
図2に示すように、本形態の温度測定装置100は、温度センサ1以外に、温度センサ1に電気的に接続され、温度センサ1による温度の測定に用いられる制御ユニット8を備える。制御ユニット8は、一対の熱電対素線2に生じる起電力の変化に基づいて、温度センサ1の出力温度を算出し、かつ、不動態膜22の形成に伴う、出力温度に生じる誤差を補正するよう構成されている。
図1及び図2に示すように、本形態の温度センサ1において、先端側X1とは、外管4の中心軸線に沿った軸方向Xにおいて、外管4に対して測温接点3が設けられた側のことをいう。基端側X2とは、軸方向Xにおける先端側X1とは反対側のことをいう。
以下に、本形態の温度センサ1及び温度測定装置100について詳説する。
(温度センサ1)
図2に示すように、温度センサ1は、車載用のものであり、自動車における内燃機関(エンジン)の吸気管内又は排気管内を流れる流体の温度を測定するために使用される。本形態の温度センサ1は、排気管15に配置され、排気管15内を流れる、測定環境下の測定対象ガスGとしての排ガスの温度を測定するために用いられる。排ガスの温度は、制御装置(電子制御ユニット)8によって内燃機関の燃焼制御を行う際に利用される。また、排ガスの温度は、例えば、排気管に配置された排気浄化触媒の温度を検知するために利用することができる。また、温度センサ1は、例えば、排気管内の排ガスを吸気管へ再循環させる排気再循環経路の吸気管に配置することもできる。
図12に示すように、本形態の一対の熱電対素線2、外管4及び絶縁材5は、シースピン12として一体的に成形されたものを利用したものである。温度センサ1の主要部は、一対の熱電対素線2、測温接点3、外管4、絶縁材5及びガラス封止材6によってシース熱電対11として形成される。図4には、シース熱電対11及びシースピン12の軸方向Xに直交する断面を示す。
図2に示すように、温度センサ1は、シース熱電対11を内周側に保持する第1ハウジング71及び第2ハウジング72と、第2ハウジング72に取り付けられた基端側カバー73と、基端側カバー73内に保持されたブッシュ74とを更に備える。第1ハウジング71は、外管4の外周に装着されており、第2ハウジング72は、第1ハウジング71の外周に装着されている。第2ハウジング72は、排気管15に設けられた取付孔に取り付けられる。また、ブッシュ74は、一対の熱電対素線2に接続された端子金具75を保持する。
(外管4)
外管4は、シース管又は金属シースとも呼ばれ、ステンレス(SUS、NCA)、Ni基耐熱合金(NCF)等の金属材料によって構成されている。図12に示すように、外管4は、円筒形状を有するシースピン12の外管を利用したものである。外管4の先端部401は、金属材料によって閉塞されている。本形態の外管4の先端部401は、図1に示すように、円筒部41の先端部401の外周に装着された先端カバー42によって閉塞されている。外管4の先端部401は、図5に示すように、円筒部41の先端部401から連続して設けられた蓋部42Aによって閉塞されていてもよい。蓋部42Aは、外管4の円筒部41の先端に溶接された金属片によって構成することができる。
図6に示すように、外管4の基端部402には、ガラス封止材6用のタブレット60を配置するためのホルダ43を装着することができる。ホルダ43は、漏斗形状を有し、外管4の外径よりも大きな内径の上方開口部431を有している。ホルダ43は、タブレット60が溶融したガラス材料を、外管4の基端部402内へ充填するために用いられる。ホルダ43は、外管4の基端部402の外周に圧入させることができ、外管4の基端部402の外周にかしめ固定又は溶接することもできる。
ホルダ43内に配置するタブレット60のサイズは、外管4の基端部402内に配置する場合よりも大きくすることができる。そして、ホルダ43内に配置されたタブレット60がガラス材料として溶融したときには、このガラス材料は、ホルダ43内から外管4の基端部402内へ流れ込むことができる。これにより、多くのガラス材料を溶融させることができ、外管4の基端部402内へ十分なガラス材料を供給することができる。そのため、ガラス封止材6によって外管4内を、より効果的に封止することができる。
また、図7に示すように、ホルダ43を用いる場合には、ガラス封止材6はホルダ43内に充填して、外管4の基端部402を封止することもできる。この場合、ホルダ43の内径は外管4の内径より大きく設定することができる。そして、ホルダ43内にガラス封止材6を充填することによって、より高いコンプレッション効果を得ることが可能となり、外管4内の高気密性を確保することができる。また、この場合には、シースピン12の基端部(シース管4の基端部402)から絶縁材5を掻き出す手間を省くことも可能である。ガラス封止材6はホルダ43の最大径部まで充填することがより好ましい。この場合、さらに高いコンプレッション効果を得ることが可能となり、外管4の高気密性をより効果的に確保することができる。
(一対の熱電対素線2)
一対の測温接点3は、いわゆるゼーベック効果を生じさせるために、互いに異なる金属材料によって構成されている。本形態の一対の熱電対素線2は、Nタイプの熱電対(シース熱電対11)を構成するものである。この構成により、温度センサ1による測温範囲を高くすることが容易である。本形態の温度センサ1は、1000℃以上の高温の測定対象ガスGの温度を測定可能である。熱電対素線2の+脚は、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Si(シリコン)を主成分とする合金であるナイクロシルからなる。熱電対素線2の-脚は、Ni(ニッケル)、Si(シリコン)を主成分とする合金であるナイシルからなる。
一対の熱電対素線2の直径は、φ0.01~2.0mmの範囲内にある。本形態の一対の熱電対素線2の直径は、互いに等しい。+脚の熱電対素線の直径と-脚の熱電対素線の直径とは互いに異なっていてもよい。熱電対素線の直径は、製造上及び強度上の観点からφ0.01mm未満にすることは難しい。また、熱電対素線の直径がφ2.0mm超過になると、シース熱電対11が大型化し、温度センサ1の応答性、搭載性等に悪影響を与えるおそれがある。
図1及び図3に示すように、本形態の一対の熱電対素線2の表面には、絶縁性の不動態膜22が形成されている。不動態膜22は、熱電対素線2を構成する導電性の金属材料が酸化して形成された膜である。不動態膜22は、金属材料と酸素との接触を妨げ、金属材料の酸化を妨げる保護膜としての機能を有する。なお、一対の熱電対素線2における、不動態膜22の内側には、導電性を有する金属材料による導体部分21が形成されている。
本形態の+脚の熱電対素線2の表面に形成された不動態膜22は、金属材料におけるCr又はNiが酸化して形成されたCr酸化物又はNi酸化物を最も多く含有する。この構成により、必要とする厚みの不動態膜22の形成が容易である。「最も多く含有する」との表現は、不動態膜を構成する酸化物のうち、Cr酸化物又はNi酸化物の含有量が最も多いことを示す。+脚の熱電対素線2の不動態膜22には、Cr酸化物又はNi酸化物以外の、例えば、Si酸化物等が含まれていてもよい。また、+脚の熱電対素線2の不動態膜22のほぼ全てがCr酸化物又はNi酸化物によって形成されていてもよい。
本形態の-脚の熱電対素線2の表面に形成された不動態膜22は、金属材料におけるSiが酸化して形成されたNi酸化物を最も多く含有する。この構成により、必要とする厚みの不動態膜22の形成が容易である。「最も多く含有する」との表現は、不動態膜を構成する酸化物のうち、Ni酸化物の含有量が最も多いことを示す。-脚の熱電対素線2の不動態膜22には、Ni酸化物以外の、例えば、Si酸化物等が含まれていてもよい。また、-脚の熱電対素線2の不動態膜22のほぼ全てがNi酸化物によって形成されていてもよい。
本形態の不動態膜22は、ガラス封止材6によって外管4内が封止される前に、一対の熱電対素線2の表面が酸化して形成されたものである。この構成により、不動態膜22の形成が容易である。不動態膜22は、シースピン12として外管4及び絶縁材5と一体化された一対の熱電対素線2に熱処理を行って形成したものである。温度センサ1における、外管4内に封止された絶縁材5には、粉末間の空隙が形成されており、この空隙を介して一対の熱電対素線2に酸素(空気)が接触可能である。
本形態の各熱電対素線2の不動態膜22の厚みは、0.3~10μmの範囲内にある。本形態の不動態膜22は、一対の熱電対素線2の表面の全体に形成されている。不動態膜22は、0.3~10μmの厚みの範囲内にあることにより、それ以上成長しにくくなり、かつ剥離しにくくなる。また、不動態膜22の厚みは、必ずしも熱電対素線2の全体に均一に形成されている必要はない。不動態膜22の厚みは、熱電対素線2の各部において異なっていてもよい。ただし、この場合でも、外管4内に配置される熱電対素線2の部分における不動態膜22の厚みは、0.3~10μmの範囲内にあることが好ましい。
不動態膜22の厚みが0.3μm未満である場合には、温度センサ1の使用時に、熱電対素線2を構成する金属材料の酸化が進行し、不動態膜22の厚みが大きくなるように変化するおそれがある。また、この場合には、熱電対素線2の表面の一部に、不動態膜22がほとんど形成されていない部位が生じるおそれがある。不動態膜22の厚みが10μm超過である場合には、温度センサ1の使用時に、不動態膜22が剥離するおそれがある。
なお、一対の熱電対素線2は、Nタイプ以外にも、種々のタイプの熱電対を構成するものとしてもよい。例えば、一対の熱電対素線2は、+脚がNi及びCrを主成分とするクロメルからなり、-脚がNi、Al、Siを主成分とするアルメルからなるKタイプの熱電対を構成するものとしてもよい。この場合には、+脚の熱電対素線2には、Cr酸化物又はNi酸化物を形成することができる。また、-脚の熱電対素線2には、Al酸化物、Si酸化物又はNi酸化物を形成することができる。
図2に示すように、一対の熱電対素線2は、外管4内において互いに平行な状態で挿通されている。一対の熱電対素線2は、外管4から基端側X2に引き出されており、温度センサ1に設けられた端子金具75及びリード線76を介して、外部の制御ユニット8に接続される。制御ユニット8は、エンジン制御ユニット(ECU)に接続されたセンサ制御ユニット(SCU)とすることができる。また、制御ユニット8は、エンジン制御ユニットに構築することもできる。
(測温接点3)
図2に示すように、測温接点3は、熱接点とも呼ばれ、一対の熱電対素線2の+脚を構成する金属材料と、-脚を構成する金属材料とが融合して玉状に形成されたものである。測温接点3及び測温接点3の周辺に位置する先端カバー42等によって、温度センサ1の測温先端部10が形成される。温度センサ1の一対の熱電対素線2が端子金具75、リード線76等を介して制御ユニット8内のアンプに接続されることにより、温度を測定するための回路が形成される。一対の熱電対素線2における、測温接点3とは反対側に位置する基準接点は、制御ユニット8内に形成されている。測温接点3と基準接点との温度差が、一対の熱電対素線2に起電力を生じさせる。
図1に示すように、本形態の測温接点3は、外管4の先端部401に装着された先端カバー42内の気相K中に配置されている。図8に示すように、測温接点3は、先端カバー42内に配置されたフィラー51によって先端カバー42に固定されていてもよい。フィラー51は、絶縁性の金属酸化物によって構成される。一対の熱電対素線2の先端部201及び測温接点3は、外管4の円筒部41の先端開口部411から先端側X1に突出した位置に配置されている。
(絶縁材5)
図1に示すように、絶縁材5は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al23)等の金属酸化物の粉末によって構成されている。外管4の内周と一対の熱電対素線2の外周との隙間には、絶縁材5の粉末が充填されている。絶縁材5の粉末同士の間には、空隙が形成されている。絶縁材5の粉末は、シースピン12の直径を小さくする成形が行われる際に圧縮されている。そして、絶縁材5の粉末によって、一対の熱電対素線2が外管4内に保持されている。
(ガラス封止材6)
ガラス封止材6は、Bi(ビスマス)を含有するBi系ガラス、又はPb(鉛)を含有するPb系ガラスによって構成されている。Bi系ガラスは、Bi23(酸化ビスマス)を主成分とし、他の酸化物等を含有するものである。他の酸化物には、B23、SrO、ZnO、BaO等がある。Pb系ガラスは、PbO(酸化鉛)を主成分とし、他の酸化物等を含有するものである。他の酸化物には、B23、SrO、ZnO、SiO2等がある。
ガラス封止材6は、固形状に形成されたガラスのタブレット60を用い、このタブレット60を溶融させた後に固化させて形成されたものである。また、Bi系ガラス又はPb系ガラスを用いる際には、タブレット60を例えば、400~700℃に加熱することにより、このタブレット60を溶融させることができる。図9に示すように、タブレット60は、外管4の基端部402の内周又はホルダ43の内周に挿入できる大きさを有する。また、タブレット60は、一対の熱電対素線2を挿通させることができる2つの挿通穴601を有する。
(制御ユニット8)
制御ユニット8は、温度センサ1による温度の測定を行うためのアンプと、一対の熱電対素線2による起電力から温度センサ1の出力温度を算出するコンピュータとを有する。以下の出力温度及び補正後出力温度はコンピュータ内において算出される。一対の熱電対素線2に生じる起電力の変化は、制御ユニット8において出力温度の変化に変換される。制御ユニット8においては、起電力と出力温度との関係が、関係マップとして構築されている。そして、制御ユニット8においては、起電力の大きさに応じて、温度センサ1によって測定した測定対象ガスGの温度が、出力温度として出力される。
本形態の温度センサ1は、一対の熱電対素線2に不動態膜22が形成されていることにより、一対の熱電対素線2に不動態膜22が形成されていない一般的な温度センサ1に比べて、一対の熱電対素線2の導体部分21の断面積が小さい。そして、本形態の温度センサ1に生じる起電力は、一般的な温度センサ1に生じる起電力に比べて若干小さくなると考えられる。
そして、本形態の温度センサ1においては、一対の熱電対素線2に不動態膜22が形成されていることによって、制御ユニット8によって出力される出力温度に誤差が生じる可能性がある。そこで、本形態の制御ユニット8の関係マップにおいては、一対の熱電対素線2に生じる起電力に応じて、不動態皮膜の形成によって出力温度に生じる誤差を補正した補正後出力温度が出力されるよう構成されている。
出力温度の補正は、不動態膜22が形成された一対の熱電対素線2を用いて、所定の検査温度に設定された気体の温度を測定し、測定された出力温度と検査温度との差に基づいて行うことができる。出力温度の補正は、測定された出力温度と検査温度との差がなくなるように、起電力と出力温度との関係マップを変更することによって行う。言い換えれば、出力温度の補正は、起電力に対して算出される出力温度を変更することによって行う。
出力温度の補正は、次の線形推定補正によって行うことができる。図10に示すように、検査温度Tmと、測定された出力温度T1との誤差ΔTを求める。そして、測定温度範囲(℃)と誤差(℃)との関係グラフにおいて、温度センサ1の基準温度T0としての基準接点の温度である0℃と、ΔT℃とを通る直線Lを引く。この直線Lの傾きは、ΔT/Tmとなる。そして、線形推定補正による補正後出力温度T2は、その都度測定される出力温度をT1として、T2=T1+T1×ΔT/Tmから算出することができる。
直線Lの傾きΔTa/Tmは、次のように求めることもできる。すなわち、検査温度Tmは、互いに異なる大きさの複数の温度とし、複数の検査温度Tmについて、測定された出力温度T1と検査温度Tmとの誤差ΔTを求める。そして、直線Lの傾きΔTa/Tmは、誤差ΔTの平均値ΔTaを用いて求めることができる。また、直線の傾きは、複数の検査温度Tmについての、測定された出力温度T1と検査温度Tmとの誤差ΔTについて、0℃を通る直線として回帰分析を行い、この回帰分析を行った直線の傾きとして求めることもできる。
また、出力温度T1の補正は、検査温度Tmに対して、測定された出力温度T1がどれだけの割合異なるかを誤差率αとして求め、この誤差率αを出力温度T1に乗算することによって行うこともできる。誤差率αは、α=Tm/T1として求められる。この場合には、補正後出力温度T2は、測定される出力温度T1に誤差率αを乗算して、T2=T1×αとして求めることができる。なお、誤差率αは、複数の検査温度Tmについて、測定された出力温度T1と検査温度Tmとの誤差率αの平均値とすることもできる。
(製造方法)
次に、本形態の温度センサ1の主要部としてのシース熱電対11を製造する方法について、図11のフローチャートを参照して説明する。
まず、外管4内に一対の熱電対素線2が絶縁材5によって保持されたシースピン12を準備する(図11のステップS1)。図12に示すように、シースピン12においては、一対の熱電対素線2が先端側X1及び基端側X2の両端から突出している。
次いで、シースピン12を、空気が存在する雰囲気下において500~800℃に適宜時間加熱する(ステップS2)。このとき、空気は、シースピン12における絶縁材5に存在する空隙を介して一対の熱電対素線2に接触し、一対の熱電対素線2の表面における金属材料を酸化させる。そして、一対の熱電対素線2の表面に酸化膜としての不動態膜22が形成される。
シースピン12の加熱温度と加熱時間とは、熱電対素線2に形成される不動態膜22の厚みを確認し、不動態膜22の厚みが0.3~10μmになるよう適宜設定することができる。図13に示すように、加熱温度と加熱時間との間には、加熱温度を高くするほど加熱時間を短くできる関係がある。加熱時間は、例えば、0.5~50時間とすることができる。加熱温度を800℃程度にすると、加熱時間は0.5時間程度でよいと考えられる。また、加熱温度を500℃程度にすると、加熱時間は10時間程度必要になると考えられる。
次いで、図14に示すように、一対の熱電対素線2及び外管4が維持された状態で、シースピン12の基端部における絶縁材5を掻き出す(ステップS3)。このとき、絶縁材5は、ショットブラスト加工等を行って掻き出すことができる。また、外管4の基端部402には、絶縁材5が掻き出された後の空間403が形成される。次いで、図15に示すように、シースピン12の先端部から突出する、一対の熱電対素線2の先端部201同士を対面させるとともにレーザー等を用いて溶融させ、先端部201同士を接合して測温接点3を形成する(ステップS4)。
次いで、図16に示すように、シースピン12の外管4の先端部401に、先端カバー42を装着し、先端カバー42を、かしめ、溶接等を行って外管4の先端部401に固定する(ステップS5)。このとき、先端カバー42内には、測温接点3を先端カバー42に固定するための、金属酸化物の粉末からなるフィラー51を配置することができる。なお、ステップS2を行う前に、ステップS3及びS4を行ってもよい。また、ステップS3を行う前に、ステップS4及びS5を行ってもよい。
次いで、同図に示すように、外管4の基端部402の空間403内に、ガラス封止材6を形成するためのタブレット60を配置する(ステップS6)。このとき、外管4の基端部402から突出する一対の熱電対素線2の基端部202を、タブレット60の挿通穴601に挿通させる。次いで、外管4の基端部402及びタブレット60を加熱し、タブレット60を溶融させる(ステップS7)。
次いで、タブレット60等の加熱を終了した後には、溶融したタブレット60が冷やされて固化してガラス封止材6となる。そして、外管4の基端部402がガラス封止材6によって封止され、外管4内がガラス封止材6によって外部と遮断される。こうして、温度センサ1の主要部としてのシース熱電対11が製造される。
(不動態膜22)
シースピン12は、内部に一対の熱電対素線2及び絶縁材5が配置された外管4の縮径加工を段階的に行って形成される。この縮径加工は、一対の熱電対素線2の表面が酸化することを防ぐために、酸素をほとんど含まない還元雰囲気において行われている。そのため、一般的な温度センサ1のシース熱電対11における一対の熱電対素線2の表面には、不動態膜22が形成されていない。
本形態の温度センサ1においては、一対の熱電対素線2の表面に意図的に不動態膜22を形成する。そのため、本形態の温度センサ1に用いるシースピン12の縮径加工の一部は、還元雰囲気ではなく、酸素を含む酸化雰囲気において行うこともできる。
(他の製造方法)
また、熱電対11は、次のようにシースピン12を用いずに製造することもできる。まず、図17に示すように、外管4の内周に一対の熱電対素線2を挿通する。このとき、一対の熱電対素線2を空気が存在する雰囲気下において500~800℃に適宜時間加熱し、一対の熱電対素線2の表面に不動態膜22を形成する。次いで、図18に示すように、外管4の基端部402内にタブレット60を用いてガラス封止材6を充填する。次いで、図19に示すように、ガラス封止材6が下側に位置するように外管4の向きを変え、外管4内のガラス封止材6の上方に、絶縁材5を充填する。次いで、図20に示すように、一対の熱電対素線2の先端部201同士を融合させて、測温接点3を形成する。その後は、外管4の先端部401に先端カバー42を装着して、熱電対11を製造することができる。
(作用効果)
本形態の温度センサ1は、一対の熱電対素線2の表面に意図的に不動態膜22を形成することにより、温度センサ1の使用時に、一対の熱電対素線2の表面に不動態膜22が形成されにくくしたものである。具体的には、温度センサ1の製造時において、一対の熱電対素線2の表面における金属材料を意図的に酸化させ、一対の熱電対素線2の表面に不動態膜22を形成する。そして、温度センサ1が製造された状態においては、不動態膜22が形成された一対の熱電対素線2が外管4内に収容され、外管4内の一対の熱電対素線2が外管4の外部と遮断される。
これにより、温度センサ1の使用時において、外管4内に酸素が取り込まれていても、不動態膜22の存在により、酸素によって一対の熱電対素線2がさらに酸化することが抑制される。そのため、温度センサ1の使用時に、一対の熱電対素線2における導体部分21の材料組成の変化がさらに生じることが抑制される。この結果、温度センサ1の使用時に、一対の熱電対素線2に生じる起電力に誤差が生じにくくすることができる。
それ故、本形態の温度センサ1によれば、温度センサ1によって測定される出力温度に誤差が生じにくくすることができる。
また、本形態の温度測定装置100は、温度センサ1による温度の測定に用いられる制御ユニット8を備える。この制御ユニット8は、一対の熱電対素線2における不動態膜22の形成に伴う、出力温度に生じる誤差を補正するよう構成されている。これにより、制御ユニット8は、不動態膜22の形成に伴う、一対の熱電対素線2の起電力に生じる誤差を加味して、温度センサ1の出力温度を算出することができる。それ故、本形態の温度測定装置100によれば、温度センサ1によって測定される出力温度に誤差が生じにくくすることができるとともに、温度センサ1の出力温度をより正確に算出することができる。
従来のシース熱電対を有する温度センサにおいては、温度センサの製造初期において、一対の熱電対素線2の表面に不動態膜22が極力形成されていない状態を形成する。不動態膜22は、熱電対素線2の導体部分21の材料組成に変化を生じさせるものであり、一対の熱電対素線2を用いた温度センサの測定特性を悪化させる要因であるためである。
しかし、温度センサ1の製造時に、ガラス封止材6を外管4の基端部402に充填して外管4内を封止するときには、外管4内に空気が残留する。そして、温度センサ1が、使用時において測定対象ガスGによって加熱されるときには、外管4内の空気中に存在する酸素が一対の熱電対素線2の表面を徐々に酸化させる。これにより、温度センサ1の使用期間が長くなるほど、一対の熱電対素線2による起電力に生じる誤差が大きくなり、温度センサ1による出力温度に、より大きな誤差を生じさせるおそれがある。
本形態の温度センサ1においては、出力温度に生じる誤差が徐々に大きくなって温度センサ1の出力特性を経時的に変化させてしまうことを抑制することを目的としている。そして、本形態の温度センサ1においては、その製造初期に、一対の熱電対素線2の表面に意図的に不動態膜22を形成しておく。これにより、温度センサ1の使用期間が長くなっても、一対の熱電対素線2における不動態膜22の厚みに変化が生じにくく、温度センサ1の出力特性に経時的な変化が生じにくい。
それ故、本形態の温度センサ1においては、温度の測定精度を向上させることができる。また、本形態の温度センサ1においては、外管4内に残留する空気中の酸素の濃度に変化が生じにくいとも言える。
(実施例)
本例においては、実施形態に示した温度センサ1のシース熱電対11の例を示し、このシース熱電対11における一対の熱電対素線2に形成された不動態膜22の厚みを確認した。
本例の一対の熱電対素線2は、Nタイプのシース熱電対11によって構成されている。本例の外管4は、内径:φ2.3mm、厚み:0.3mm、材質:NCF601(スーパーステンレス)によって構成されている。本例の絶縁材5は、MgOの粉末によって構成されている。本例のガラス封止材6は、外径:φ1.5mm、長さ:1.5mm、気孔率:2.5体積%、材質:Pb系ガラス(PbOの含有比率:70質量%)によって構成されている。
また、本例のシース熱電対11を製造する際には、シースピン12を600℃の炉内において4時間加熱した。そして、一対の熱電対素線2の表面には、1.0μmの厚みの不動態膜22が形成されたことが確認された。本例においても、シース熱電対11のその他の製造方法は、実施形態に記載した内容と同様である。
本発明は、実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。
1 温度センサ
100 温度測定装置
2 熱電対素線
22 不動態膜
3 測温接点
4 外管
5 絶縁材
6 ガラス封止材
8 制御ユニット

Claims (2)

  1. 温度センサ(1)と、前記温度センサに電気的に接続され、前記温度センサによる温度の測定に用いられる制御ユニット(8)とを備える温度測定装置(100)において、
    前記温度センサは、
    互いに異なる金属材料から構成された一対の熱電対素線(2)と、
    一対の前記熱電対素線の先端同士が合わさった測温接点(3)と、
    金属材料から構成され、前記測温接点を先端部(401)内又は前記先端部に装着された先端カバー(42)内に収容するとともに、一対の前記熱電対素線を基端部(402)から突出させる外管(4)と、
    絶縁材料から構成され、前記外管内に配置されるとともに、一対の前記熱電対素線と前記外管とを絶縁して、一対の前記熱電対素線を前記外管に固定する絶縁材(5)と、
    ガラス材料から構成され、前記外管の前記基端部内及び前記外管の前記基端部に装着されたホルダ(43)内の少なくとも一方に充填されるとともに、前記外管内を封止するガラス封止材(6)と、を有し、
    前記外管内に配置された一対の前記熱電対素線の表面には、一対の前記熱電対素線を構成する導電性の金属材料が酸化したことによる不動態膜(22)が形成されており、
    前記制御ユニットは、一対の前記熱電対素線に生じる起電力の変化に基づいて、前記温度センサの出力温度を製造初期の前記不動態膜の形成に伴って前記出力温度に生じる誤差を補正した補正後出力温度(T2)として算出するよう構成されており、
    前記補正後出力温度は、所定の検査温度(Tm)、前記検査温度において測定された前記温度センサの出力温度と前記検査温度との誤差(ΔT)(複数回の測定に基づく誤差ΔTの平均値を含む。)、及び前記温度センサの補正前の出力温度(T1)を用い、T2=T1+T1×ΔT/Tmに基づいて算出する、温度測定装置。
  2. 温度センサ(1)と、前記温度センサに電気的に接続され、前記温度センサによる温度の測定に用いられる制御ユニット(8)とを備える温度測定装置(100)において、
    前記温度センサは、
    互いに異なる金属材料から構成された一対の熱電対素線(2)と、
    一対の前記熱電対素線の先端同士が合わさった測温接点(3)と、
    金属材料から構成され、前記測温接点を先端部(401)内又は前記先端部に装着された先端カバー(42)内に収容するとともに、一対の前記熱電対素線を基端部(402)から突出させる外管(4)と、
    絶縁材料から構成され、前記外管内に配置されるとともに、一対の前記熱電対素線と前記外管とを絶縁して、一対の前記熱電対素線を前記外管に固定する絶縁材(5)と、
    ガラス材料から構成され、前記外管の前記基端部内及び前記外管の前記基端部に装着されたホルダ(43)内の少なくとも一方に充填されるとともに、前記外管内を封止するガラス封止材(6)と、を有し、
    前記外管内に配置された一対の前記熱電対素線の表面には、一対の前記熱電対素線を構成する導電性の金属材料が酸化したことによる不動態膜(22)が形成されており、
    前記制御ユニットは、一対の前記熱電対素線に生じる起電力の変化に基づいて、前記温度センサの出力温度を製造初期の前記不動態膜の形成に伴って前記出力温度に生じる誤差を補正した補正後出力温度(T2)として算出するよう構成されており、
    前記補正後出力温度は、所定の検査温度(Tm)、前記検査温度において測定された測定出力温度(T1’)、α=Tm/T1’によって表される誤差率α(複数回の測定に基づく誤差率αの平均値を含む。)、及び前記温度センサの補正前の出力温度(T1)を用い、T2=T1×αに基づいて算出する、温度測定装置。
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