JP6918647B2 - 力センサ、トルクセンサ、力覚センサ、指先力センサ、およびその製造方法 - Google Patents

力センサ、トルクセンサ、力覚センサ、指先力センサ、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、力やトルクを測定する力センサおよびその製造方法に関する。中でも、自動組み立て装置やロボット等の分野で好適に用いられる力センサに関する。
例えばロボットの分野では、トルクや力を検知するための力センサとして、トルクセンサ、力覚センサ、指先力センサなどが用いられている。
トルクセンサは、例えばロボットの回転関節に取り付けられ、関節を介して伝達される1方向のトルクを測定する装置として用いられている。
力覚センサは、例えばロボットアームとロボットハンドの間の手首に配置され、ロボットハンドの先端にかかる6方向の力やモーメントを検出する装置として用いられている。
指先力センサは、例えばロボットハンド先端の指先にかかる3方向の力を測定し、把持物が環境から受ける力を検出する装置として用いられている。
特許文献1には、第1部材と第2部材との間に発生するY軸周りの回転トルクを測定するトルクセンサが開示されている。このトルクセンサは、第1部材と第2部材との間に配置された起歪部を備え、起歪部の外側に、第1部材と第2部材に連結された複数の柱部を備える。特許文献1のトルクセンサは、ねじれトルクがかかると起歪部が変形し、この変形を歪みゲージで読み取り、トルク値に換算するセンサであるが、柱部を備えているため、Y軸に直角な軸まわりの曲げモーメント力がかかっても、起歪部の変形が抑えられる。
特開2010−169586号公報
引用文献1に記載されているセンサにおいて、曲げモーメントを支える柱部は、曲げモーメントに対して硬い必要があるが、回転トルクに対しては柔らかくなければならない。もし硬ければ、回転トルクも柱部が支えてしまうので、起歪部の変形が抑制されて、トルクの測定が困難になるからである。回転トルクに対して柔らかくするためには、柱部の長さを大きくする必要があるが、長さを大きくするとY軸周りの回転トルクを測定する対象物である第1部材と第2部材の距離が遠くなってしまう。
第1部材と第2部材との変位を測定する時、一般に測定対象の距離が離れると測定感度が落ちる。従って、柱部の長さを大きくすると高感度なセンサを構成するのが困難になる。
例えば、10mmの長距離において1nmの感度(分解能)を達成するのは、10μmの近距離において同じ感度を達成するよりも、はるかに困難である。
磁気式変位計を用いたトルクセンサの場合を例に、より具体的に説明する。磁気式変位計は、永久磁石の磁場の強さが、距離に応じて変化することを利用する変位計である。
半径R、長さLの円筒磁石の磁場の強さと距離との関係は、次式で表される。
Figure 0006918647
ここで、Bは磁石から距離x離れた場所の磁束密度、Brは磁石の残留磁束密度である。
Br=12000Gaussのネオジウム磁石を用いた場合の距離と感度の関係をグラフにして、図52に示す。図から、距離が10mmまで離れると、感度が極端に落ちることがわかる。数値を計算すると、距離が10μmの場合の感度に対し、距離が10mmの感度はわずか0.5%しかない。これでは高感度なセンサを構成することが困難である。
さらに、測定対象の距離が離れていると、磁気の変化を検出するための検出部を取付ける部品のサイズも大きくならざるを得ない。取付け部品の温度や自重による寸法変化、および振動を考えると、サイズが大きくなることは高感度なセンサにとって不利である。
また、柱部に長さが必要であるためセンサが厚くなってしまう。センサの厚さは、例えばロボットの部品として実装する場合には各関節のサイズに影響し、厚さが大きくなると関節の可動領域やロボットの作業領域に対して好ましくない影響を及ぼす。
そこで、検出精度が高く、コンパクトな力センサの実現が期待されていた。
本発明は、第1部材と、第2部材と、中間部材と、前記第1部材と前記中間部材とを連結する第1弾性構造体と、前記第2部材と前記中間部材とを連結する第2弾性構造体と、前記第1部材と前記第2部材相対変位を検出する変位検出手段とを有し、前記中間部材は前記第1部材および前記第2部材に対して所定の方向に離間するように配置されており、前記第1弾性構造体は前記第1部材から前記所定の方向において前記中間部材に向かって突出するように配置されており、前記第2弾性構造体は前記第2部材から前記所定の方向において前記中間部材に向かって突出するように配置されており、
前記第1部材と前記第2部材との第1距離は、前記第1部材と前記中間部材との前記所定の方向における第2距離、および前記第2部材と前記中間部材との前記所定の方向における第3距離よりも小さい、ことを特徴とする力センサである。
また、本発明は、環状の第1部材と、外力が印加されない状態において、前記第1部材と平行かつ中心軸が同軸になるよう配置され、前記第1部材よりも大きな半径を有する環状の第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の相対的な変位を検出する変位検出手段と、前記第1部材と前記第2部材から離れて配置された中間部材と、前記第1部材と前記中間部材とを連結する複数の第1弾性構造体と、前記第2部材と前記中間部材とを連結する複数の第2弾性構造体と、を有し、前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体は、前記中心軸を中心とする円周方向に沿って交互に配置され、前記変位検出手段の出力を用いてトルク値を検出する、ことを特徴とするトルクセンサである。
また、本発明は、力とモーメントを含む6軸の外力を測定する力覚センサであって、環状の第1部材と、環状の第2部材と、前記第1部材前記第2部材相対的な変位を検出する変位検出手段と、中間部材と、前記第1部材と前記中間部材とを連結する複数の第1弾性構造体と、前記第2部材と前記中間部材とを連結する複数の第2弾性構造体と、を備え、前記複数の第1弾性構造体は、前記第1部材の中心と同心の円周上に間隔を開けて配置され、かつ、前記円周に対して垂直な軸線に対して第1のねじれ傾斜角で傾斜して配置され、前記複数の第2弾性構造体は、前記第1部材の中心と同心の円周上に間隔を開けて配置され、かつ、前記円周に対して垂直な軸線に対して第2のねじれ傾斜角で傾斜して配置され、前記第1のねじれ傾斜角と前記第2のねじれ傾斜角は、前記垂直な軸線に対して逆方向のねじれ傾斜角度であり、前記第1弾性構造体および第2弾性構造体は、前記第1部材、前記中間部材、前記第2部材よりも剛性が低く、前記垂直な軸線まわりに3回以上の回転対称性を持つ、ことを特徴とする力覚センサである。
また、本発明は、ロボットハンドの指先にかかる力を検出する指先力センサであって、第1部材と、第2部材と、中間部材と、前記第1部材と前記中間部材を連結する弾性体を2列以上かつ4本以上有する第1弾性構造体と、前記第2部材と前記中間部材を連結する弾性体を2列以上かつ4本以上有する第2弾性構造体と、前記第1部材と前記第2部材の相対的な変位を検出する変位検出手段と、を有し、前記中間部材は前記第1部材および前記第2部材に対して所定の方向に離間するように配置されており、前記第1弾性構造体は前記第1部材から前記所定の方向において前記中間部材に向かって突出するように配置されており、前記第2弾性構造体は前記第2部材から前記所定の方向において前記中間部材に向かって突出するように配置されており、前記第1部材と前記第2部材との第1距離は、前記第1部材と前記中間部材との前記所定の方向における第2距離、および前記第2部材と前記中間部材との前記所定の方向における第3距離よりも小さく、前記第1弾性構造体が配置された方向と前記第2弾性構造体が配置された方向が25度以上異なり、前記検出手段の出力を用いて前記指先にかかる力を検出する、ことを特徴とする指先力センサである。
本発明は、検出精度が高く、コンパクトな力センサを提供することができる。
6軸多関節ロボット組立て装置の斜視図である。 第一の実施形態に係る関節構造の例を説明する図である。 第一の実施形態に係る関節構造の別の例を説明する図である。 第一の実施形態に係るトルクセンサの構成図である。 第一の実施形態に係るトルクセンサの部分断面図である。 (a)積層造形法の制約条件を示す図である。(b)積層造形法で積層造形可能な形状を示す図である。 第一の実施形態を説明するトルクセンサの斜視図である。 第一の実施形態に係る弾性体の模式図である。 (a)第一の実施形態に係る変形シミュレーションモデルである。(b)変形シミュレーション結果である。 第一の実施形態に係る応力解析結果である。 第一の実施形態に係る弾性構造体の模式図である。 (a)第一の実施形態に係る造形ユニットの分解図である。(b)造形ユニットの組立て図である。 (a)造形プレート上に積層造形された弾性体の図である。(b)完成した弾性体の斜視図である。 第一の実施形態に係る弾性構造体の模式図である。 円周配置する弾性構造体の枚数を検討するモデルの模式図である。 弾性構造体の数と剛性比のグラフである。 (a)図15に示したモデルの断面図である。(b)実施形態のトルクセンサの断面図である。(c)実施形態のトルクセンサの断面図である。 第二の実施形態に係る力覚センサの構成図である。 第二の実施形態に係る力覚センサの断面図である。 第二の実施形態に係る弾性体の模式図である。 (a)第二の実施形態に係る変形シミュレーションモデルである。(b)Y方向の外力Fyをかけた時の変形を示す。(c)Z方向の外力Fzをかけた時の変形を示す。(d)Y方向のモーメント力Myをかけた時の変形を示す。(e)Z方向のモーメント力Mzをかけた時の変形を示す。 (a)第二の実施形態に係る造形ユニットの分解図である。(b)造形ユニットの組立て図である。 (a)造形プレート上に積層造形された弾性体の図である。(b)完成した弾性体の斜視図である。 第二の実施形態の変形例に係る力覚センサの構成図である。 (a)第二の実施形態の片持ち弾性構造体の模式図である。(b)片持ち弾性構造体の変形を示す図である。 (a)第二の実施形態の2本の片持ち弾性構造体の模式図である。(b)片持ち弾性構造体の変形を示す図である。 第二の実施形態を説明するN本の弾性構造体の模式図である。 第二の実施形態を説明する弾性構造体の本数と、変位の比のグラフである。 (a)第二の実施形態の2段弾性構造体の模式図である。(b)片持ち弾性構造体の変形を示す図である。 第二の実施形態の傾斜2段弾性構造体の模式図である。 (a)第二の実施形態に係る円周配置・傾斜2段弾性構造体の分解図である。(b)円周配置・傾斜2段弾性構造体の完成図である。 第三の実施形態に係る指先力センサの分解図である。 第三の実施形態に係る指先力センサの斜視図である。 第三の実施形態に係る指先力センサの断面図である。 第三の実施形態に係るオーバーハング角度を説明する図である。 (a)、(b)、(c)第三の実施形態を説明する放射状配置した2本の弾性構造体の模式図である。 第三の実施形態を説明する平行配置した2本の弾性構造体の模式図である。 第三の実施形態を説明する2段弾性構造体の模式図である。 第三の実施形態を説明する傾斜して接続した弾性体の模式図である。 第三の実施形態を説明する剛性比のグラフである。 第三の実施形態を説明する傾斜した2組の弾性構造体を示す模式図である。 (a)第三の実施形態を説明する傾斜した2組の弾性構造体を示す分解図である。(b)完成体の斜視図である。 第三の実施形態を説明する弾性構造体の斜視図である。 第三の実施形態を説明する剛性比のグラフである。 第三の実施形態を説明する傾斜した2組の弾性構造体を示す模式図である。 第三の実施形態を説明する感度比のグラフである。 (a)第三の実施形態に係る変形シミュレーションモデル、(b)X方向の外力Fxをかけた時の変形、(c)Y方向の外力Fyをかけた時の変形、(d)Z方向の外力Fzをかけた時の変形、である。 (a)第三の実施形態に係る造形ユニットの分解図である。(b)造形ユニットの組立て図である。 (a)造形プレート上に積層造形された弾性体の図である。(b)完成した弾性体の斜視図である。 (a)第三の実施形態の変形例1に係る弾性構造体の分解図である。(b)第三の実施形態の変形例1に係る弾性構造体の完成図である。 (a)第三の実施形態の変形例2に係る弾性構造体の分解図である。(b)第三の実施形態の変形例2に係る弾性構造体の完成図である。 円筒形の永久磁石における距離と磁束密度の関係を表すグラフである。 光学式変位センサの公知技術を説明する第1の図である。 光学式変位センサの公知技術を説明する第2の図である。 光学式変位センサの構成を説明する図である。 第三の実施形態の、そのほかの実施形態に係るトルクセンサの模式図である。 光学式変位センサの組合せを説明する図である。 第三の実施形態の、変形例に係る指先力センサの模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1に、本発明の第一の実施形態である力センサを備えた6軸多関節ロボット装置100を示す。本実施形態に係る力センサは、リンク200〜206間を接続する6つの回転関節J1〜J6に取り付け、関節を介して伝達されるトルクを測定する。本実施形態にかかるセンサを、以下の説明ではトルクセンサと称する場合がある。
トルクセンサの関節への取り付けについて、図2を参照して説明する。ここでは、リンク201と202を接続するJ2関節を示すが、6軸多関節ロボット装置100の他の関節も同様の構成である。関節は、モーター512とトルクセンサ522を介してリンク間を接続する。この構成によれば、関節を伝わるトルクはすべてトルクセンサ522を通過するので、正確な関節トルクMzを測定することができる。ただし、トルクセンサには不要な曲げトルクMxやMyがかかる。曲げ方向の剛性が弱いと、ロボット全体の固有振動数が下がり、ロボットの運動性能に好ましくない影響が生じるので、曲げ方向については高い剛性が必要である。従って剛性の比α=Mx/Mzが高いほうが高性能なトルクセンサと言える。また、関節の厚さLaは、モーター512とトルクセンサ522で決まるので、トルクセンサの厚さは小さい方が好ましい。
また、トルクセンサの取付け方法を変更した構成例を図3に示す。図2の例では、トルクセンサ522の固定は両側からボルト締めで行うことを想定していたが、図3の例では片側からのボルト締めが可能である。本実施形態のセンサは、このような関節構成に、より適している。また、この例でも関節の厚さLbは、モーター512とトルクセンサ522で決まるので、トルクセンサの厚さは小さい方が好ましい。
本実施形態のトルクセンサの構成を、図4の概観斜視図および図5の部分断面図に示す。説明の便宜のため、センサの中心にXYZ座標を定義する。このトルクセンサの取り付け方法を、図3に示したJ2関節の場合で説明する。トルクセンサは、第1部材1と第2部材2を備えており、第1部材1はモーター512に固定し、第2部材2はリンク202に固定する。
また、中間部材4を設け、第1部材1と中間部材4を板ばね等の第1の弾性構造体5で連結し、第2部材2と中間部材4を板ばね等の第2の弾性構造体6で連結する。弾性構造体5と弾性構造体6は、それぞれ複数設けられており、交互に配置されている。
第1部材1、第2部材2、中間部材4、および第1の弾性構造体5、第2の弾性構造体6で、トルクセンサの弾性体7を構成する。中心軸であるZ軸を中心に配置された第1部材と第2部材は、同心だが互いに半径が異なる環状部分を有している。
Z軸に対して点対称の位置にある2箇所に、第1部材と第2部材の変位(相対角)を測定するための角度検出手段を設ける。角度検出手段は、スケール8とセンサ基板9を備え、スケール8とセンサ基板9の相対変位を出力する。
本実施形態のセンサは、環状の第1部材と、外力が印加されない状態において、第1部材と平行かつ中心軸が同軸になるよう配置され、第1部材よりも大きな半径を有する環状の第2部材と、第1部材と第2部材の相対角度を検出する角度検出手段を備える。さらに、第1部材と第2部材から離れて配置された中間部材と、第1部材と中間部材とを連結する複数の第1の弾性構造体と、第2部材と中間部材とを連結する複数の第2の弾性構造体とを有する。第1の弾性構造体と第2の弾性構造体は、中心軸を中心とする円周方向に沿って交互に配置されている。角度検出手段の出力と、第1部材、第2部材、中間部材、第1の弾性構造体、第2の弾性構造体とからなる構造体のねじれ剛性の情報とを用いてトルク値を検出するセンサである。
本実施形態の力センサは、図5に示すように、第1部材と第2部材の距離は、中間部材と第1部材の距離、および中間部材と第2部材の距離のいずれよりも小さい。前述したように、変位を検出するには、検出対象の距離(第1部材と第2部材の距離)が短いほうが高感度を実現しやすい。
すなわち、本実施形態では、第1部材、第2部材、中間部材の3つの部材のうち、相対距離が最も短い第1部材と第2部材の変位を検出するので、高感度を実現する上で有利な構成である。さらに、この構成なら、検出手段を取り付けるための部品サイズも小型ですむ。この部品の寸法変化や振動は測定値の精度に影響するので、サイズを小さくすることは重要である。
第1部材と第2部材の隙間の距離は、具体的には10μmから10mmまでの範囲が好ましい。本発明によるセンサでは、第1部材と第2部材は弾性体の変形により相対位置が変化するため、接触を防止するために隙間は弾性体の最大変形量よりも大きくなければならない。弾性体の剛性を高くした方が最大変形量を小さくでき、隙間を小さくするうえでは好ましいが、隙間が小さくなりすぎると変位検出手段に極めて高い測定感度が必要となる。そこで、現実的には隙間は10μm程度とするのが好ましい。機械部品の加工精度を考慮しても、やはり下限を10μmとするのが好ましい。
一方、隙間の上限はトルクセンサのサイズに影響する。ロボットアームやロボットハンドへの搭載を考えると、上限は10mm程度とするのが好ましい。
ここでは、変位検出手段としてまず磁気式を前提に説明するが、後述するように光学式を用いることも可能である。第1部材1にセンサ基板9を取付けボルト10で固定し、第2部材2にスケール8を接着固定する。2つのセンサ基板9からの信号線を、トルクセンサの制御基板11に接続する。制御基板11では、次のような信号処理を行う。すなわち、2つのセンサ基板9の出力を平均し、変位検出手段の取り付け半径で割ることによって第1部材と第2部材の相対角度を計算する。この相対角度に、あらかじめ設定した情報である弾性体7のねじり剛性Kzをかけて、トルクの値に変換して出力する。
以上の構成において、トルクセンサにねじりトルクMzがかかると、第1の弾性構造体5および第2の弾性構造体6が変形し、第1部材1と第2部材2が相対的に回転変位する。この回転変位は2箇所に配置した変位検出手段で検出される。点対称の2箇所で検出した変位を平均しているため、回転以外の誤差成分、例えばXYの平行移動などの誤差はキャンセルされ、高精度にトルクを検出できる。
ここで、第1の部材1と第2の部材2の距離が小さいことが重要である。前述したように距離が小さい部品間の相対距離を測定するほうが、距離が大きい場合より高い感度を実現できるからである。
この実施形態では、第1の弾性構造体と第2の弾性構造体を各々24本設けたが、本発明の実施形態はこの例に限られない。弾性構造体の本数を増やせば、剛性比を高くすることができる。例えば、第1の弾性構造体と第2の弾性構造体を各々192本にすれば、4倍の剛性比が期待できる。弾性構造体のサイズや本数は、例えば有限要素法などを用いたシミュレーションによって設計することができる。
次に、本実施形態における弾性構造体のサイズや本数の求め方を説明する。まず、本実施形態の考え方について説明する。
本実施形態の説明において、数式で扱う主な記号の定義は、以下のとおりである。
L:弾性構造体の長さ
H:弾性構造体の厚さ
B:弾性構造体の幅
E:弾性構造体の縦弾性係数
R:弾性構造体の円周配置、半径
N:弾性構造体の数
Mx:x軸まわりの回転モーメント、曲げトルク
Mz:z軸まわりの回転モーメント、ねじりトルク
トルクセンサは弾性体と回転角測定手段から構成されているので、力学的な性能は弾性体で決まる。そこでまず、材料力学の観点から、円周上に弾性構造体を配置した構造の特性を明らかにする。特に、弾性構造体の数が多い方が、ねじれ方向と曲げ方向の剛性の比が高く、性能の高いトルクセンサを構成できることを明らかにする。
図15に示すモデルを参照して、弾性構造体の枚数について説明する。説明の便宜のため、トルクセンサの中心にXYZ座標を設定する。トルクセンサには測定すべきz軸回りのねじりトルクMzの他に、曲げトルクMxもかかる。
トルクセンサは、Mzによるねじれ変形、すなわち微小な回転角を検出し、ねじれ方向の剛性Kzを使ってトルク値に変換する。従って剛性Mzはトルクセンサの測定可能範囲や、回転角検出手段の分解能などから決まる設計値である。
一方、ねじれ方向と直交する曲げ方向の剛性KxやKyはトルクセンサを取付ける装置全体の固有振動数に影響するので硬いほうが望ましい。もし硬くできないと、図1に示すロボットアームの関節が柔らかくなるため、固有振動数が下がり、振動しやすくなってしまう。
つまり、ねじれ方向の剛性Kzに対し曲げ方向の剛性KxやKyが高いことがトルクセンサにとって重要である。
また、対称性を考えるとKxとKyは同じなので、これ以後はKxのみを考える。
図15に示すモデルは、実施形態とは異なり、従来のトルクセンサと同様に第1部材1と第2部材2を対向させ、その間を複数の弾性構造体3a、3b、3c、・・・、で連結している。
Z軸まわりの回転剛性Kzは、半径Rの円周にN本配置した弾性構造体のまげ剛性をKsとして、
Figure 0006918647
弾性構造体を矩形断面としてKsをさらに展開すると、
Figure 0006918647
一方、X軸まわりの回転剛性Kxは、N本配置した弾性構造体の圧縮方向の剛性をKpとして、
Figure 0006918647
弾性構造体を矩形断面としてKpをさらに展開すると、
Figure 0006918647
トルクセンサは測定方向の剛性Kzに対してまげ方向の剛性Kxが高いほうが好ましい。両者の剛性比をαとすると、
Figure 0006918647
つまり、弾性構造体の長さと厚さの比L/Hが大きいほど剛性比が大きいので、優れたトルクセンサを構成できる。さらに、数式3を代入すると次式を得る。
Figure 0006918647
前述したように、トルクセンサのねじれ方向の剛性Kzは設計条件として与えられるので、剛性比αを大きくするためには、次の項を大きくすれば良いことがわかる。
Figure 0006918647
例えば、弾性構造体の数Nは大きいほうが有利である。
次に、以下に列挙する具体的な数値を入れて、弾性構造体の数の効果を示す。
材料を鉄系とし、E=200 Gpa
センサの半径: R=100 mm
センサの厚さ: L=10 mm
弾性構造体の幅: B=10 mm
弾性構造体の厚さ: H=2 mm
弾性構造体の数 : N=24 本
ねじれ方向剛性: Kz=120kNm/rad (数式3より)
曲げ方向剛性: Kx=6000 kNm/rad (数式4より)
剛性比: α=50 (数式6より)
弾性構造体の数Nを増やしても設計条件である剛性Kzが変わらないように、厚さHをNの1/3乗に反比例して変化させればよい。
弾性構造体の数Nに対して剛性比αをプロットしたグラフを図16に示す。この図から明らかなように、弾性構造体の数が多いほど剛性比が高いトルクセンサを構成できる。
数式6でL/Hの比が大きいほど有利なことを述べたが、Lはトルクセンサの厚さを決定する。つまり、トルクセンサを薄型にすることと、剛性比を高めることはトレードオフの関係にあり、この構成では薄型化に限界がある。そこで、次に弾性構造体を2分割することを考える。
図17(a)は、図15で説明した従来のトルクセンサ弾性体の断面図である。第1部材1と、第2部材2の間を弾性構造体3で連結する構造であった。
本発明の実施形態では、図17(b)に示すように中間部材4を設け、第1部材1と中間部材4を第1の弾性構造体5で連結し、第2部材2と中間部材4を第2の弾性構造体6で連結する。
弾性構造体が直列に2段あるので、1段あたりでは2倍の剛性が弾性構造体に必要である。一方、剛性は数式3よりLの3乗に反比例するので、長さLは約0.8倍となり、トルクセンサの厚さを、約20%薄くできる。
以上、2段の弾性構造体構造を有する本実施形態によって、薄型のトルクセンサを実現できることを説明した。
さらに、本発明の実施形態では、図17(c)に示すように、2組の弾性構造体5、弾性構造体6を傾斜させ紙面に前後にずらして配置すれば、傾斜させた分だけ、さらに薄くできる。例えば45度傾斜させれば、厚さはsin(45度)となるので、おおよそ30%薄くできる。
また、この構成にはトルクセンサを薄くする他に、別の効果がある。図17(b)の構成は、曲げトルクMxにより中間部材4が変形し、曲げ剛性が下がる。図17(c)の構成は、中間部材4のサイズを半分以下にできるので中間部材の変形が抑えられ、曲げ剛性が上がる。その結果、剛性比の高いトルクセンサを構成できる。
以上、2段の弾性構造体を交互に組み合わせる構造によって、さらに薄型で、剛性比の高いトルクセンサを実現できる。
図7は、本実施形態のトルクセンサの3次元的な構成を例示する斜視図である。第1部材と第2部材は同一の平面に沿うよう配置され、中間部材は、該平面に投影したときに射影の少なくとも一部が第1部材と第2部材の間隙部と重なるように、該平面から離れて配置されている。
また、複数の第1の弾性構造体は、第1部材から中間部材向けて見たときの傾きが、環状部分の中心から離れる向きになるよう配置されている。また、複数の第2の弾性構造体は、第2部材から中間部材向けて見たときの傾きが、環状部分の中心に向かうよう配置されている。
本実施形態の弾性体は、積層造形装置や積層造形法を用いて製作可能である。一般的な積層造形法ではオーバーハング角に限界があり、特に水平天井は造形することが困難である。しかし、本実施形態によれば、弾性構造体を多数化し、弾性構造体と弾性構造体の間を傾斜面Sで接続することにより、オーバーハング角を制限内に抑えることができるため、積層造形可能である。
図6(a)は、積層造形法の制約条件を説明するための図である。ベース110の上にアーチ状の目標造形物111を造形する。この造形物はオーバーハングしており、図中の点Qにおけるオーバーハング角はβである。一般に、積層造形法ではこのオーバーハング角に限界があり、その角度より大きい部分は造形できない。この角度は、例えば60度といった角度である。水平天井は、オーバーハング角90度なので、一般に造形できない。
図6(b)に積層造形可能な形状112を示す。これはオーバーハングの限界角がβ以上の部分をカットした形状である。
図8に、オーバーハング角に着目した弾性体の模式図を示す。第1部材1、中間部材4、およびその間をつなぐ第1の弾性構造体5、第2の弾性構造体6において、オーバーハングが懸念される部分は図7と図8に示したS〜S部である。このオーバーハングが、前述した制限値以内になるように、弾性構造体のピッチBと、縦方向の寸法Cを設計する必要がある。図8の模式図によれば次のような条件である。
Figure 0006918647
寸法Cを小さくしてトルクセンサを薄型にするためには、弾性構造体のピッチBが狭い方が、すなわち弾性構造体の数が多いほうが好ましい。弾性構造体の数を増やすことは、後述するように、トルクセンサの剛性比を向上するためにも役に立つ。
本実施形態における弾性体は、弾性構造体の数を増やすことによって、剛性比を改善し、オーバーハング角を抑え、積層造形可能とすることができる。
このことを踏まえ、弾性構造体のサイズ、本数を、シミュレーションにより求める方法の一例について説明する。
図9(a)は、シミュレーションに用いた弾性体のFEMモデルである。図4の模式図と異なる点は以下である。
A:変位検出手段を上側に取り付けるため、弾性構造体を設けない領域を2箇所配置した。
B:トルクセンサを取り付けるため、ボルト穴を有した。
C:弾性体の体積を減らすため、中間部材上面のカドに丸みをもたせた。
図9(b)は外側の部材にZ方向のモーメント力Mz=1Nmをかけた時の変形を示す。
同様にMxも計算する。FEMシミュレーションの計算結果を以下の表にまとめた。
Figure 0006918647
この表より、剛性比Mz/Mxは16.7である。
また、ねじりトルクMzがかかる時の弾性構造体の応力分布を、図10に示す。図10において、1は第1部材、2は第2部材、4は中間部材、5は第1の弾性構造体、6は第2の弾性構造体6を示す。また、色の濃淡を用いて応力の大きさを示すが、色が淡いほど応力が大きく、色が濃いほど応力は小さい。
第1の弾性構造体5で最も応力が集中するのは下側かつ外側のA部、次に応力が大きいのは上側かつ内側のB部であった。第2の弾性構造体6で最も応力が集中するのは下側かつ内側のC部、次に応力が大きいのは上側かつ外側のD部であった。
一般に応力が高い部分から破壊が起こるので応力の集中は低減したいが、応力を下げるためには、ひずみを低減すれば良い。
一つの解決方法は、弾性構造体の厚さを薄くすることである。応力の小さい弾性構造体の中立面からの距離が短くなり、応力を下げることができる。図中、応力の集中するA〜D部を薄くすることにより、応力の最大値を低減できる。
この弾性構造体を、図11に示す。厚さについては、説明の便宜のため非等縮尺で誇張して描いている。さきほどの変形シミュレーションで応力が大きかった部分A〜D部の板厚を薄くした構成である。尚、応力を下げる別の方法として、隅部に曲率をつけて滑らかにする方法があるが、このような方法との組み合わせも有効である。
次に、このように設計したセンサの製造方法を説明する。前述したように、本実施形態によるセンサはオーバーハング角が小さいため、積層造形法による製造が可能である。
図12(a)、図12(b)を用いて、積層造形装置に取り付ける造形ユニット20の説明をする。図12(a)は、造形ユニット20の分解図で、図12(b)は造形ユニット20を組み立てた完成図である。
第1部材1と、第2部材2はリング状の部品である。旋盤などであらかじめ形を製作し、造形プレート21にねじ止めし、造形ユニット20を完成させる。この時、造形ユニット20の最上面が、第1部材1と、第2部材2の上面になるように設計しておくことが肝要である。すなわち、第1部材の外面のうち第1の弾性構造体と連結する面と、第2部材の外面のうち第2の弾性構造体と連結する面は、平行になるようにする。積層造形装置は、第1部材および第2部材の最上面から造形を開始するからである。造形材料の粉体を積層し、第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材の形状に応じてレーザ光を照射して第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材を造形する。
図13(a)は造形ユニット20の上に、積層造形装置を用いて第1の弾性構造体、第2の弾性構造体、および中間部材を造形し、弾性体7を形成した図である。この形状を積層造形法で製作できることは、すでに説明済みである。造形プレートの固定ねじを外すと図13(b)に示すように完成した弾性体7を取り出すことができる。
すなわち、第1部材と、第2部材を造形プレートに対して脱着可能に位置決め固定し、第1部材と第2部材の上面に、造形材料の層を積み重ねて第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材を造形する。そして、第1部材と第2部材と第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材が一体化した3次元造形物を形成した後に、3次元造形物を造形プレートから脱着する。
この製造方法は、従来の積層造形法と比べて、次の点で製造コストを低減することができる。
第一に、造形物を切り出す加工が不要である。従来はワイヤカットなどの機械加工により造形物を切り離していたが、本発明によれば、ねじを外すだけで脱着するので工程が簡易化されコストを低減できる。
第二に、造形後の機械加工が必要最小限で済む。従来は、三次元造形物のうち高い精度が必要な部分は、造形後に機械加工する必要があった。造形後に機械加工を行うと、被加工物が複雑な形状をしているので、加工用の専用治具が必要となりコストがかかっていた。本実施形態によれば、精度が必要な第1部材と第2部材をあらかじめ準備し、この部分については積層造形をしていないため追加の機械加工は不要であり、コストを低減できる。
第三に、造形材料の量を減らすことができる。積層造形法で使用する造形材料は、一般に高価である。本実施形態によれば、弾性体7の全体を積層造形するのではなく、一部だけ造形するので造形材料を減らすことができ、コストを抑制できる。より具体的には、弾性体7のうち第1部材1と第2部材2は積層造形しないため、高価な造形材料を節約できる。
第四に、本実施形態によれば、造形プレートを繰り返し使用することが可能である。造形プレートの上に積層した造形材をレーザ焼結する積層造形法では、造形後には、レーザ照射によって造形プレートの表面が溶融するので、次の造形には使えない。本実施形態によれば、造形プレートにはレーザが当たらないので劣化することがなく、何度も使えるので、弾性構造体の製造コストを低減することが可能である。
以上のように本実施形態のトルクセンサは、積層造形法で製作する事が可能であり、製作コストを低減できる。また、製造誤差が生じても、弾性構造体の本数が多いので1本の弾性構造体の製作誤差は平均化され、機能上の影響は小さい。
また、従来の機械加工と異なり積層造形法は複雑な形状を形成できるため、弾性構造体の本数を増やし、ねじり方向と曲げ方向の剛性比をさらに向上させることも容易である。
尚、本実施形態では積層造形法により製造する方法について述べたが、これに限ることはなく、場合によっては、機械加工のみによって製造してもよい。
また、本実施形態では弾性構造体の断面を矩形として説明したが、矩形に限定されるものではない。例えば、角を丸めた矩形や、楕円を採用することも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、薄型で、剛性比が高いセンサを実現できる。また、水平天井が存在しない構造を採用できるため、積層造形法で製造可能なセンサを実現できる。また、弾性構造体にかかる応力集中を緩和させることができ、弾性構造体の疲労破壊を防止し、トルクセンサの寿命を延ばし、信頼性を向上させることができる。
(第一の実施形態の変形例1)
図14に、第一の実施形態の変形例の部分斜視図を示す。第一の実施形態に対して、弾性構造体にスリットを入れて分割した点が異なる。図において、第1の弾性構造体の中央に隙間Gのスリットを設け、5aと5bの2枚より成る構造とする。第2の弾性構造体も同様に、6aと6bの2枚より成る構造とする。すなわち、第1の弾性構造体および/または第2の弾性構造体は、スリットにより分離された複数の弾性体を有する。
弾性構造体のねじり剛性、すなわち図14におけるγ軸まわりのねじり剛性は、断面2次極モーメントに比例する。断面がa×bの1枚の弾性構造体の断面2次極モーメントIpは次式で計算できる。
Figure 0006918647
弾性構造体を分割して2枚にすることを考える。尚、ここでいう分割とは、もともと一つの物体であったものを物理的に切断加工して分離することを意味するものではなく、弾性構造体が独立した2つの部分を含むように構成することを意味するものである。したがって、スリットを挟んで分離して配置された2つの部分を、積層造形法で形成したものであってもよい。
寸法aを半分にすると、上式は半分よりも小さくなる。つまり、弾性構造体が2枚になっても、断面2次極モーメントが半分より小さくなるので、全体のねじり剛性は下がる。
一方、図におけるγ軸方向の剛性は、弾性構造体の断面積に比例する。弾性構造体を分割する隙間Gを十分小さくすれば、分割する前と同じ剛性が得られる。γ軸方向の剛性が変わらないのでトルクセンサの曲げ方向の剛性も変わらない。
以上をまとめると、弾性構造体の総体積を変えずに複数に分離して配置すると、ねじり剛性が下がり、曲げ剛性は変わらない。従って曲げ方向の剛性とねじり方向の剛性の比をさらに大きくすることができる。
本変形例では、弾性構造体を分離する隙間Gは十分小さいとして説明した。この仮定が成り立つ範囲で設計すれば、分割数を増やせば増やすほど剛性比を改善できる。
また、分割した弾性構造体においても、図10を用いて説明した応力分布は同じことが言えるので、図11に示したように弾性構造体の厚さを変化させることにより、応力集中を防止し、耐久性を向上させることができる。
(第一の実施形態の変形例2)
また、第一の実施形態の変形例2として、磁気式センサの代わりに光センサを変位検出手段として用いた実施形態を、図53〜図56を用いて示す。
図53、図54に光センサの例を示す。これは、例えば特開平4−130220に記載されているセンサと類似のものである。レーザ光源1001から出射した光線は、コリメータレンズ1002で平行光線となり、偏光ビームスプリッタ1017、波長板1005を通過し、第1の回折格子1101に入射し、1次回折光として2つに分割される。回折光は、第2の反射型回折格子1102に入射し、反射した回折光が再び回折格子1101を透過し干渉する。この干渉光の明暗を、受光手段1008で検出する。図示してないが、受光手段1008を2つ設けて干渉光の位相も測定することにより移動方向を知る技術も、例えば特開昭63−311121により公知である。
このような構成による光センサの模式図を、図55に示す。図中、A100は、光学部と電気回路を集積して一体化した回路部である。回路部A100には、電気信号を取り出すための電極が設けられている。回折格子を有するスケールA101は、回路部A100と一定の隙間をあけて保持され、回折格子の刻まれるA102方向の相対変位を測定することができる。
図56に、この光センサを組み込んで構成したトルクセンサを示す。さきほどの実施形態に対し、磁気式センサが光センサに変更された部分だけが異なる。
スケールA101aを第2部材2に固定して設ける。このスケールA101aは方向A102aの回折格子を有する。図示したように、Z軸まわりの回転方向とスケールの方向A102aを一致させる。このスケールA101aに対向して、回路部A100aを電気基板A103aに固定して設ける。光センサ用の電気基板A103aは、第1部材にねじ10を用いて固定する。以上のA100a〜A103aを、Z軸に対して対称な位置にもう一組、A100b〜A103bのように設ける。光センサ用の電気基板A103a、A103bからの信号を制御基板11に接続し、第1部材1と第2部材2の、相対的な回転変位を出力する。残余の部分の構成と、作用は前述した実施形態と同じなので説明を省略する。
以上説明したように、第一の実施形態およびその変形例によれば、検出精度が高く、コンパクトで製造コストが低廉なトルクセンサを提供することができる。
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、図1に示すロボットシステムにおいて、回転関節J1〜J6に取り付けられるトルクセンサの例を示した。第二の実施形態では、ロボットアームとロボットハンド210の間の手首部に配置されて用いられる力センサについて説明する。本実施形態に係る力センサを、本明細書では力覚センサと称する場合がある。
力覚センサ207は、組付け作業などでハンドの先端にかかる6方向の力や回転モーメント力を検出し、コントローラ102により、測定値に応じたロボットの制御を行う。
ここで、力覚センサ207からハンド先端までの距離Pは、一般的に小さくない。例えば、100mm以上である。先端にかかる力により、ハンドの先端の位置がずれると、高い精度の組立はできないので、力覚センサ207には高いモーメント剛性が必要である。
図18は第二の実施形態の力覚センサの構成を示す斜視図、図19は部分断面図、図20は一部拡大図である。図示のように、力覚センサの弾性体607は、ロボットアームに固定する第1部材602と、ロボットハンドに固定する第2部材603、および中間部材604を有する。第1部材602と中間部材604の間を、板ばね等の第1の弾性構造体605を介して連結し、第2部材603と中間部材604の間を、板ばね等の第2の弾性構造体606を介して連結する。
図18に示すように、第1の弾性構造体605は、第1部材602の外面のうち第1の弾性構造体と連結する面からの法線方向に対して傾くように配置されている。また、第2の弾性構造体606は、第2部材603の外面のうち第2の弾性構造体と連結する面からの法線方向に対して傾くように配置されている。第1部材と第2部材は、同心だが互いに半径が異なる環状部分を有している。
また、複数の第1の弾性構造体605は、第1部材から中間部材に向けて見たときの傾きが反時計回りに並ぶように配置され、複数の第2の弾性構造体606は、第2部材から中間部材に向けて見たときの傾きが時計回りに並ぶように配置されている。尚、第1の弾性構造体と第2の弾性構造体で向きが逆になるよう並べばよいので、時計回りと反時計回りの関係は、逆であってもよい。
また、複数の第1の弾性構造体は、第1部材から中間部材向けて見たときの傾きが環状部分の中心に向かう向きに配置され、複数の第2の弾性構造体は、第2部材から中間部材向けて見たときの傾きが環状部分の中心から離れる向きに配置されている。
本実施形態は、力とモーメントを含む6軸の外力を測定する力覚センサであって、環状の第1部材と、外力の作用により第1部材に対して変位する第2部材と、第1部材に対する第2部材の変位を検出する変位検出手段を備える。また、第1部材に対向して配置された中間部材と、第1部材と中間部材とを連結する複数の第1の弾性構造体と、第2部材と中間部材とを連結する複数の第2の弾性構造体とを備える。そして、複数の第1の弾性構造体は、第1部材の中心と同心の円周上に間隔を開けて配置され、かつ、円周に対して垂直な軸線に対して第1のねじれ傾斜角で傾斜して配置される。複数の第2の弾性構造体は、第1部材の中心と同心の円周上に間隔を開けて配置され、かつ、前記円周に対して垂直な軸線に対して第2のねじれ傾斜角で傾斜して配置される。第1のねじれ傾斜角と第2のねじれ傾斜角は、垂直な軸線に対して逆方向のねじれ傾斜角度であり、第1の弾性構造体および第2の弾性構造体は、第1部材、中間部材、第2部材よりも剛性が低く、垂直な軸線まわりに3回以上の回転対称性を持つ。
ここで、第1部材602、第2部材603、および中間部材604は、第一の弾性構造体605および第二の弾性構造体606に対して十分に硬く、変形しにくいように寸法を設計する。具体的には後述する変形シミュレーションを用いて設計する。
また、この実施形態では弾性構造体の本数を36本として示したが、弾性構造体の本数を増やせば、モーメント剛性をさらに高くすることができる。弾性構造体のサイズや本数は、後述する変形シミュレーションなどを用いて設計する。
この弾性体607の3カ所に、次に説明する磁気式の変位検出手段を設ける。変位検出手段を構成する磁石608は、第1部材2に接着固定する。この磁石の3方向の位置を周囲に配置した磁気抵抗素子や、ホール素子で検出する。変位検出手段を構成する検出基板609は、第2部材3にねじ610を用いて固定する。このように基板をねじで固定する目的は、固定されている磁石との位置を調節して固定するためである。この検出基板609は磁石608の3方向の位置に応じて3種類の信号を出力する。検出基板は3セットあるので合計9つの信号が得られる。
本実施形態のセンサは、図19に部分断面を示すように、第1部材と第2部材の距離は、中間部材と第1部材の距離、および中間部材と第2部材の距離のいずれよりも小さい。前述したように変位検出は、検出対象の距離(第1部材と第2部材の距離)が短いほうが高感度を実現できるので、本実施形態の構成は有利である。
すなわち、本実施形態では、第1部材、第2部材、中間部材の3つの部材のうち、相対距離が最も短い第1部材と第2部材の変位を検出するので、高感度を実現する上で有利な構成である。さらに、この構成なら、検出手段を取り付けるための部品サイズも最小ですむ。この部品の寸法変化や振動は測定値の精度に影響するので、サイズを小さくすることは重要である。
第1部材と第2部材の隙間の距離は、具体的には10μmから10mmまでの範囲が好ましい。本実施形態によるセンサでは、第1部材と第2部材は弾性体の変形により相対位置が変化するため、接触を防止するために隙間は弾性体の最大変形量よりも大きくなければならない。弾性体の剛性を高くした方が最大変形量を小さくでき、隙間を小さくするうえでは好ましいが、隙間が小さくなりすぎると変位検出手段に極めて高い測定感度が必要となる。そこで、現実的には隙間は10μm程度とするのが好ましい。機械部品の加工精度を考慮しても、やはり下限を10μmとするのが好ましい。
一方、隙間の上限は力覚センサのサイズに影響する。ロボットアームやロボットハンドへの搭載を考えると、上限は10mm程度とするのが好ましい。
3セットの検出基板からの9つの信号をベクトルaと記述する。この信号すなわちベクトルaを、図1のコントローラ102に送信し、6軸の力覚値ベクトルFに次式を使って変換する。
Figure 0006918647
ここで、6行9列の行列Ai,jは、実験や後述する変形シミュレーションにより、予め求める定数である。具体的には、力覚センサにかける力Fに対して得られる信号aの組合せを、実験やシミュレーションで多数収集し、最小2乗法などを用いて係数行列Ai,jを求める。
弾性体の変形は微小なので、上式の線形変換で十分だが、より精度よく変換するには上式ではなく、一般化した関数f(a)を用いる。
Figure 0006918647
本実施形態に係る弾性体は、積層造形法で製作可能である。第一の実施形態でも説明したように、積層造形法ではオーバーハング角に限界があり、特に水平天井を造形するのは困難であるが、本実施形態では水平天井の部分が存しない形状とすることができる。
図20に、オーバーハング角に着目した本実施形態の弾性体の概念図を示す。第1部材602と中間部材604と、その間をつなぐ第一の弾性構造体605において、オーバーハングが懸念される部分は図に示した3カ所のA、B、Cである。
Aは、弾性構造体の下面であり、弾性構造体の傾斜角をオーバーハング角以下、例えば60度以下にすることは可能である。
BおよびCは、中間部材の下面であり、図20中、弾性構造体605の間隔Dと、中間部材604の切り欠き距離Eで決まるB面やC面の角度を、オーバーハング角以下、例えば60度以下にすることは可能である。
ここで、切り欠き距離Eはセンサ全体の縦方向のサイズに関係しているので、小さくしたい。従って弾性構造体605の間隔Dを小さくするのが好ましい。言い換えると、弾性構造体の本数が多い構成が好ましい。
以上説明したように、本実施形態による弾性体はオーバーハング角を抑えることが可能であり、積層造形法により製造することが可能である。
次に、図18で示した本実施形態による弾性体607の第一の弾性構造体605、第二の弾性構造体606のサイズや本数をシミュレーションによって求める方法の一例について説明する。
まず、本実施形態の考え方について説明する。
本実施形態の説明において、数式で扱う主な記号の意味は、以下のとおりである。
L:弾性構造体の長さ
h:弾性構造体の厚さ
b:弾性構造体の幅
I:弾性構造体の断面2次モーメント、矩形断面の場合I= bh/12
A:弾性構造体の断面積、矩形断面の場合 A=bh
E:縦弾性係数
F:外力
P:外力がかかる先端位置
δ:変位
D:弾性構造体の間隔
N:弾性構造体の本数
まず、材料力学の観点から、力覚センサが備えるべき回転モーメントに対する剛性の考え方について述べる。
図1に示したように、力覚センサ207は、ロボットアームとハンドの間の手首部分に取り付けられ、ハンドにかかる力やモーメントを検出する装置である。力覚センサ207からP離れた位置に外力Fがかかった時、力覚センサにおける変位δはできるだけ小さくしたい。なぜならば、変位が大きいとハンドの先端の位置がずれてしまい、組み立て等の精密な作業に支障をきたす可能性があるからである。
図25(a)に示すように、片持ち弾性構造体の先端にハンド601を接続し、先端に水平方向の外力Fが加わる場合を考える。この場合、外力Fにより、図25(b)のように変形する。
この時の先端の変位δを、水平移動の影響δと、傾きの影響δに分けて考える。
Figure 0006918647
片持ち弾性構造体の公式から、それぞれの変位量は次のように求まる。
Figure 0006918647
Figure 0006918647
両者を比較するため、水平移動の影響δと、傾きの影響δの比をαとすると、次のようになる。
Figure 0006918647
一般に、力覚センサ内の弾性体のサイズLに対して、外力がかかる位置までの距離Pの方がずっと大きい。例えば、L=10mm、P=100mmのように、具体的な数値を入れて考えると、上の比αは15となる。
つまり、水平移動の影響よりも傾きの影響の方が15倍も大きい。従って、先端の位置ずれを抑制するには、並進方向よりもモーメント剛性を高めることが重要である。
モーメント剛性を高める簡便な方法は、弾性構造体の構造に工夫をすることである。そこで、図26(a)に示すように、2本の弾性構造体の先端にハンド601を接続し、先端に水平方向の外力Fが加わる場合を考える。この場合、外力Fにより、図26(b)のように変形する。さきほどと同様、先端の変位δを、水平移動の影響δと、傾きの影響δに分けて考える。
δは、2本の弾性構造体に均等に力がかかると考えられるので、両端固定の弾性構造体の式を使って次式で計算できる。
Figure 0006918647
弾性構造体の断面を矩形とし、断面2次モーメントIを書き直すと、
Figure 0006918647
一方、傾きの影響については、弾性構造体にかかる圧縮方向の力をF、その変位をδとして、次のように計算する。
弾性構造体の傾斜はδ/Pなので、弾性構造体の変位は、
Figure 0006918647
弾性構造体の圧縮の式より、
Figure 0006918647
この2つの式から、力Fが次のように求まる。
Figure 0006918647
一方、弾性構造体にはFPのモーメントがかかるので、力の釣り合いから、
Figure 0006918647
これに、先ほどのFを代入して整理すると、
Figure 0006918647
さきほどと同様、水平移動の影響δと、傾きの影響δの比をαとすると、
Figure 0006918647

となる。
具体的な数値を入れて考える。L=10mm、P=100mmとし、弾性構造体の幅をD=50mm、厚さをh=1mmとすると、α=0.08となる。
さきほどのα=15と比較すると、約1800分の1であり、桁違いに小さい。つまり、傾斜の影響が抑えられ、モーメント剛性が高いことがわかる。
以上説明してきたように、本実施形態は、弾性構造体の並進方向の剛性に対してモーメント剛性が高いことを利用している。
次に、弾性構造体の本数を増やすと、このモーメント剛性をさらに改善し、性能を向上できることを示す。
図27に示すように、間隔Dの間に設けたN本の弾性構造体であるB〜Bについて外力Fによる先端の変位を考える。
これまでの検討と同様に、変位は水平移動の影響δと、傾きの影響δに分けて考える。
δは、N本の弾性構造体に均等に力がかかると考えられるので、両端固定の弾性構造体の式を使って次式で計算できる。
Figure 0006918647
弾性構造体の断面を矩形とし、断面2次モーメントIを書きなおすと、
Figure 0006918647
一方、傾きの影響については、第i番目の弾性構造体にかかる圧縮方向の力をF、その変位をδとして、次のように計算する。
弾性構造体の傾斜はδ/Pなので、それぞれの弾性構造体の圧縮方向の変位は、
Figure 0006918647
弾性構造体の圧縮の式より、
Figure 0006918647
従って、第i番目の弾性構造体にかかる圧縮方向の力Fが、次のように求まる。
Figure 0006918647
外力により、弾性構造体にはFPのモーメントがかかるので、力の釣り合いから、
Figure 0006918647
これに、先ほどのFを代入すると、
Figure 0006918647
Figure 0006918647
となる。
以上で、変位は水平移動の影響δと、傾きの影響δが求まった。次に、δが一定の条件で、δとδとの比を計算し評価する。
よく知られているように、水平移動δは弾性構造体の厚さhの3乗に反比例して変位が増える。
そこで、Hを定数として、板厚hを次式のように定義する。
Figure 0006918647
弾性構造体の本数がN本の時の両者の比であるα(N)=δ/δを計算すると、
Figure 0006918647
となる。
図28に、数式34のグラフを示す。横軸は弾性構造体の本数Nである。縦軸は2本の弾性構造体の時を1に正規化して示した比、つまりα(N)/α(2)である。
弾性構造体の本数を増やすほど、α(N)が小さい。つまり、水平移動の影響δに対して、傾きの影響δが小さくなっており、モーメント剛性が高いといえる。
以上、弾性構造体の本数が多いほど、モーメント剛性を高めることができることを説明した。
また、弾性構造体の本数が多ければ、1本の弾性構造体の製作誤差の平均化が期待できるとともに、1本あたりの製造コストを低く抑える効果がある。
ここまでは、水平方向の力について説明してきたが、垂直方向についても同じ考え方が適用できる。
図29(a)に示すように、2段の弾性構造体の先端にハンド601を接続し、先端に水平方向の力と垂直方向の力が加わる場合を考える。ここでは、第1の弾性構造体を連結する部材を中間部材604と呼び、第2の弾性構造体を連結する部材を第2部材(作用部材)603と呼ぶ。
水平方向の外力がかかると、図29(b)のように変形するが、これまでと同じ理由により、弾性構造体によって傾斜の影響が抑えられる。
尚、2段の弾性構造体は異なる方向を向いて配置する必要がある。もし同じ方向なら1段の弾性構造体と同じなので、2段にした効果が十分に発揮されないからである。
前述したように、積層造形法ではオーバーハング角に制限があるため、水平な弾性構造体を製作することができない。そこで弾性構造体を傾け、傾斜2段弾性構造体構造とする。
図30に、この構造を示すが、本実施形態における弾性体の構造を模式的に表している。ロボットアームに固定する第1部材(台座部材)602と、ロボットハンドに固定する第2部材(作用部材)603、中間部材604を設け、その間を第1の弾性構造体605と、第2の弾性構造体606で連結する。第1の弾性構造体605は、第1部材602の外面のうち第1の弾性構造体と連結する面からの法線方向に対して傾くように配置されている。また、第2の弾性構造体606は、第2部材603の外面のうち第2の弾性構造体と連結する面からの法線方向に対して傾くように配置されている。
第1部材(台座部材)602、第2部材(作用部材)603、中間部材604については、弾性構造体605、606よりも硬くなければならない。そうしないと、弾性構造体の効果が減殺され、モーメント剛性が下がってしまうからである。つまり、第1部材(台座部材)602、第2部材(作用部材)603、中間部材604は、弾性構造体605、606よりも硬くなるように、十分大きな厚さや幅になるように設計する。
以上説明した傾斜2段弾性構造体により、積層造形可能で、モーメント剛性の高い力覚センサを実現できる。
尚、図30では、図示の便宜のため非等縮尺で示したため第1部材602と第2部材603の距離が比較的大きく見えるが、この距離は、第1部材と中間部材の距離、および第2部材と中間部材の距離よりも小さい。
さらに、力覚センサの弾性体の剛性は方向によって変わらないのが望ましい。力覚センサの測定感度が、方向によって変化してしまうことを防止するためである。そこで円周状に弾性構造体を配置し、剛性が方向に依存しない構造を実現する。
図31(a)に、円周に沿って配置した傾斜2段弾性構造体の弾性体607の分解図を、図31(b)に弾性体607の完成図を示す。
ロボットアームに固定する第1部材(台座部材)602と、ロボットハンドに固定する第2部材(作用部材)603、中間部材604を設け、その間を第1の弾性構造体605と、第2の弾性構造体606で連結する。
この構成によれば、垂直軸まわりに対称なので、方向によらず一定の剛性が得られる。この時、弾性体607が3回以上の回転対称性を持つことが重要である。そうでないと方向によって剛性が変化する。
また、図31(a)において、第1の弾性構造体605が設置される方向と第2の弾性構造体606が設置される方向は、異なる方向でなければならない。もし同じ方向なら、1段の弾性構造体を用いる場合に比べて、大きな効果上の差異が期待できないからである。
この条件を数式で表現すると、第1の弾性構造体605の方向ベクトルeと、第2の弾性構造体606の方向ベクトルeは、センサの円周方向eに対する内積の符号が異なることから、次のように表現できる。
Figure 0006918647
以上のように、本実施形態によれば、2段の弾性構造体を採用することにより、力覚センサにとって重要な高いモーメント剛性を実現できる。その際に、弾性構造体の本数は多い方が、モーメント剛性を高めることができる。また、弾性構造体を傾斜させることにより、積層造形法で製作することができる。また、弾性構造体を円周状に配置することにより、方向に依存しない剛性を実現できる。
このことを踏まえ、弾性構造体のサイズ、本数を、シミュレーションにより求める方法の一例について説明する。
図21(a)に示すのは、弾性体のFEMモデルである。このモデルの概要を次に示す。
第1部材:外形Φ56.0mm、幅2.0mm、厚さ2.0mm
中間部材:外形Φ47.0mm、幅3.0mm、厚さ1.5mm
第2部材:外形Φ48.0mm、幅2.0mm、厚さ2.0mm
弾性構造体:72本、幅1.0mm、厚さ0.5mm、傾斜角度39度
材質:ステンレス
次に、第1部材を固定し、第2部材に力やモーメントをかけた時の第2部材の変位を計算する。
図21(b)に、Y方向の外力Fyをかけた時の変形を示す。図21(c)に、Z方向の外力Fzをかけた時の変形を示す。図21(d)に、Y方向のモーメント力Myをかけた時の変形を示す。図21(e)に、Z方向のモーメント力Mzをかけた時の変形を示す。
X方向については、対称性から考えてY方向と同じ結果になるので、説明を省略する。6次元の力のベクトルをF、変形のベクトルをδ、コンプライアンス行列をCとし、変形シミュレーションの計算結果を次に示す。
Figure 0006918647
Figure 0006918647
ここで、Fの単位は、NとNmである。δの単位は、mとradである。
100mm離れた位置に、1Nの力をかけた場合を考える。このとき、力覚センサにかかる回転モーメントは、0.1Nmである。上記コンプライアンス行列から、水平移動の影響δ、傾きの影響δ、および両者の比αは次のようになる。
Figure 0006918647
αは、0.26と小さい。この結果から、傾きの影響が小さく、高いモーメント剛性を実現できていることがわかる。また、αが小さい理由は、弾性構造体の効果が現れているからである。
次に、本実施形態に係る力覚センサの製造方法を説明する。前述したように、本実施形態による力覚センサはオーバーハング角が小さいため、積層造形法による製造が可能である。
図22(a)は、積層造形装置に取り付ける造形ユニット620を説明するための分解図で、図22(b)は、造形ユニット620の組立て図である。
ロボットアームに固定する第1部材602と、ロボットハンドに固定する第2部材603は、リング状の部品である。旋盤などであらかじめ形を製作し、造形プレート621にねじ止めする。この時、造形ユニットの最上面が、第1部材602と、第2部材603の上面になるように設計しておくことが肝要である。すなわち、第1部材の外面のうち第1の弾性構造体と連結する面と、第2部材の外面のうち第2の弾性構造体と連結する面は、平行になるようにする。積層造形装置は、第1部材および第2部材の最上面から造形を開始するからである。この造形ユニット620の上に、積層造形装置を用いて第1の弾性構造体605、第2の弾性構造体606、および中間部材604を造形する。造形材料の粉体を積層し、第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材の形状に応じてレーザ光を照射して、第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材を造形する。
図23(a)は、造形ユニット620の上に積層造形した直後の図である。造形プレートの固定ねじを外すと、図23(b)に示すように弾性体607を造形プレートから脱着できる。すなわち、第1部材と、第2部材を造形プレートに対して脱着可能に位置決め固定し、第1部材と第2部材の上面に、造形材料の層を積み重ねて第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材を造形する。そして、第1部材と第2部材と第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材が一体化した3次元造形物を形成した後に、3次元造形物を造形プレートから脱着する。
以上のように、本実施形態によれば、積層造形法で製作する事が可能であり、製作コストを低減できる。また、従来の積層造形法と比べると、次の点で製造コストを下げることが可能である。
第一に、造形物を切り出す加工が不要である。従来はワイヤカットなどの機械加工により造形物を切り離していたが、本発明によれば、ねじを外すだけで脱着するので工程が簡易化されコストを低減できる。
第二に、造形後の機械加工が必要最小限で済む。従来は、三次元造形物のうち高い精度が必要な部分は、造形後に機械加工する必要があった。造形後に機械加工を行うと、被加工物が複雑な形状をしているので、加工用の専用治具が必要となりコストがかかっていた。本実施形態によれば、精度が必要な第1部材と第2部材をあらかじめ準備し、この部分については積層造形をしていないため追加の機械加工は不要であり、コストを低減できる。
第三に、造形材料の量を減らすことができる。積層造形法で使用する造形材料は、一般に高価である。本実施形態によれば、弾性構造体の全体を積層造形するのではなく、弾性体607の一部だけを造形するので、造形材料の量を減らすことができ、コストを抑制することができる。より具体的には、中間部材604、第1の弾性構造体605、第2の弾性構造体606だけを積層造形し、第1部材1と第2部材2は積層造形しないため、高価な造形材料を節約できる。
第四に、本実施形態によれば、造形プレートを繰り返し使用することが可能である。造形プレートの上に積層した造形材をレーザ焼結する積層造形法では、造形後には、レーザ照射によって造形プレートの表面が溶融するので、次の造形には使えない。本実施形態によれば、造形プレートにはレーザが当たらないので劣化することがなく、何度も使えるので、弾性構造体の製造コストを低減することが可能である。
また、積層造形法によれば複雑な形状も作成できるため、弾性構造体の本数を増やし、モーメント剛性をさらに向上させることが容易に可能である。また、たとえ製造誤差が生じることがあったとしても、弾性構造体の本数が多いので、1本の弾性構造体の製作誤差は平均化され、影響は少ない。
尚、本実施形態では積層造形法により製造する方法について述べたが、これに限ることはなく、場合によっては、機械加工のみによって製造してもよい。
また、本実施形態では弾性構造体の断面を矩形として説明したが、矩形に限定されるものではない。例えば、角を丸めた矩形や、楕円を採用することも可能である。
(第二の実施形態の変形例1)
次に、第二の実施形態の変形例を示すが、具体的には、弾性構造体が湾曲している点が異なる。
図24において、力覚センサの弾性体607は、ロボットアームに固定する第1部材602と、ロボットハンドに固定する第2部材603、および中間部材604を有する。第1部材602と中間部材604の間を第1の弾性構造体605を介して連結し、第2部材603と中間部材604の間を第2の弾性構造体606を介して連結する。
第1部材と第2部材は同一の平面に沿うよう配置され、中間部材は、該平面に投影したときに射影の少なくとも一部が第1部材と第2部材の間隙部と重なるように、該平面から離れて配置されている。
第1の弾性構造体605は外側に湾曲しており、第2の弾性構造体606は内側に湾曲している。すなわち、第2部材は第1部材と同心に配置され、第1部材よりも半径が小さな環状の部材であり、第1の弾性構造体は中心から離れる方向に凸になるよう湾曲した形状を有し、第2の弾性構造体は中心に向かう方向に凸になるよう湾曲した形状を有する。
これらの弾性構造体が湾曲しない直線の場合には、弾性構造体の本数を増やすと、第1の弾性構造体と第2の弾性構造体が重なり合う。つまり、第1の弾性構造体と第2の弾性構造体の梁は、一方が外側から内側に向かい、もう一方が内側から外側に向かうので、梁の本数を増やして密度を上げていくと、両方の梁はちょうど中間付近で接触してしまうようになる。従って梁の本数には、それ以上増やせない限界がある。
しかし、本実施形態のように湾曲していれば、重なり合うのを回避する事ができるため、弾性構造体の本数をさらに増やすことができる。本実施形態によれば、弾性構造体の本数を増やすことができるため、より高いモーメント剛性を実現できる。
(第二の実施形態の変形例2)
また、第二の実施形態の変形例2として、磁気式センサの代わりに光センサを変位検出手段として用いてもよい。
図53、図54に光センサの例を示す。これは、例えば特開平4−130220に記載されているセンサと類似のものである。レーザ光源1001から出射した光線は、コリメータレンズ1002で平行光線となり、偏光ビームスプリッタ1017、波長板1005を通過し、第1の回折格子1101に入射し、1次回折光として2つに分割される。回折光は、第2の反射型回折格子1102に入射し、反射した回折光が再び回折格子1101を透過し干渉する。この干渉光の明暗を、受光手段1008で検出する。図示してないが、受光手段1008を2つ設けて干渉光の位相も測定することにより移動方向を知る技術も、例えば特開昭63−311121により公知である。
このような構成による光センサの模式図を、図55に示す。図中、A100は、光学部と電気回路を集積して一体化した回路部である。回路部A100には、電気信号を取り出すための電極が設けられている。回折格子を有するスケールA101は、回路部A100と一定の隙間をあけて保持され、回折格子の刻まれるA102方向の相対変位を測定することができる。
以上説明したように、第二の実施形態およびその変形例によれば、検出精度が高く、コンパクトで製造コストが低廉な力覚センサを提供することができる。
(第三の実施形態)
第三の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1のロボットシステムにおいて、第一の実施形態では回転関節J1〜J6に取り付けられるトルクセンサの例を示し、第二の実施形態ではロボットアームとロボットハンド210の間の手首部に配置される力覚センサ207について説明した。本実施形態では、把持物にかかる力を検出するための指先力センサ220a、指先力センサ220bについて説明する。本実施形態に係る力センサを、本明細書では指先力センサと称する場合がある。
図1に示した6軸多関節ロボット装置100のロボットハンド210は、駆動可能な複数の指を有する。図示したハンドは2本の指を備えるが、3本以上の指があるハンドであっても、本実施形態の指先力センサを用いることができる。それぞれの指には、本実施形態の指先力センサ220aおよび指先力センサ220bを介して、指230aと指230bが取付けられている。
このロボットハンド210で部品を把持し、組立て作業を行う時には、把持物にかかる力を指先力センサ220aと指先力センサ220bで検出する。この測定値に基づき、制御装置101で関節J1〜J6を制御する。
例えば、部品を平板に突き当てる作業工程では、指先力センサの測定値があらかじめ定めた力になるまで、ロボット関節を制御して部品を平板に接近させる。これは、指先にかかる力に応じて組立ロボットの動作を制御するには必須の機能である。ロボットの手首部に力覚センサを設け、同様の機能を行う方法も知られているが、指先力センサの方が、慣性が小さいので応答が速いという利点がある。
また、指先力センサを活用する別の例として、部品を把持する作業工程が挙げられる。把持工程では、指先力センサの測定値が、あらかじめ定めた力になるまで指を接近させる。これは、やわらかい部品を、小さい変形に抑えつつ把持して組み立てる組立てロボットには必須の機能であり、例えば薄いプラスチック製のリングを取り扱う場合には、1N程度の小さい力で把持する必要がある。
本実施形態の指先力センサの構成を、図32、図33、および図34に示す。それぞれ図32は指先力センサの分解図、図33は斜視図、図34は断面図である。
第1部材701を、不図示の指の駆動部に固定して設け、第2部材702と、中間部材704を設ける。第1の弾性構造体705を用いて、第1部材701と中間部材704を連結する。本実施形態では、第1の弾性構造体は片側につき6本の弾性構造体が2列、合計12本の弾性構造体で構成した例を示しているが、本数と列数はこれに限られるものではない。
また、第2の弾性構造体706を用いて、第2部材702と中間部材704を連結する。この実施形態では、第2の弾性構造体は、片側につき5本の弾性構造体が2列と中央部3本、合計13本の弾性構造体で構成する例を示しているが、本数と配置はこれに限られるものではない。
第1部材701、第2部材702、中間部材704、第1の弾性構造体705、第2の弾性構造体706で、弾性体を構成する。弾性体は、後述するように、その一部が積層造形法で形成された一体の部品である。
第1部材と第2部材は同一の平面に沿うよう配置され、中間部材は、該平面に投影したときに射影の少なくとも一部が第1部材と第2部材の間隙部と重なるように、該平面から離れて配置されている。
第2部材702には、指730をネジ712で固定する。指は、ロボットハンドが組み立てる対象物の形に合わせて、適宜の形状のものを用いる。
第1部材701には、変位検出手段を構成するセンサ基板709をネジ713で固定する。第2部材702には、変位検出手段を構成する磁石708を固定する。この変位検出手段は、磁石を有する磁気式の変位計であってもよいし、後述するように光学式の変位計であってもよい。
本実施形態は、第1部材、第2部材、中間部材の3つの部材のうち、相対距離が最も短い第1部材と第2部材の変位を検出するので、高感度を実現する上で最も有利な構成である。つまり、図34に示すように、前記第1部材と前記第2部材の距離は、前記中間部材と前記第1部材の距離、および前記中間部材と前記第2部材の距離よりも短い。この構成の場合には、検出手段を取り付けるための部品サイズが小さくてすむ。この部品の寸法変化や振動は測定値に影響するので、サイズを小さくすることは重要である。
第1部材と第2部材の隙間は、具体的には10μmから10mmまでの範囲が好ましい。本実施形態の指先力センサでは、第1部材と第2部材は弾性体の変形により、相対位置が変化する。従って、第1部材と第2部材の接触を防止するために、隙間は弾性体の最大変形量よりも大きくなければならない。弾性体の剛性は一般に高いほうが好ましいが、その反面、検出手段に高い測定感度が要求されてしまう。そこで、現実的には、隙間の下限は10μm程度にするのが好ましい。機械部品の加工精度を考えても、やはり下限を10μmとするのが妥当である。一方、隙間の上限はセンサのサイズに影響するが、ロボットハンドの指近傍への搭載を考えると、10mm程度が妥当である。
磁気式の変位計を用いる場合は、磁石708が動くと、その周囲の磁力線も動く。その磁力線の動きをセンサ基板709に設けた複数のホール素子、もしくは磁気抵抗素子で検出する。この方法で、磁石708のXYZの3方向の動きを検出できる。この検出信号δx、δy、δzを、図32の制御基板711に入力し、XYZの3方向の指先力Fx、Fy、Fz、を出力する。この変換は次式で行う。
Figure 0006918647
ここで、[K]は剛性行列であり、あらかじめ求める定数である。この行列は、指先に3方向の力をかけて実測することが可能である。また、後述するようにFEMを用いて計算で求めることも可能である。
次に、本実施形態の弾性体は、積層造形法で製作可能な事を説明する。前述したように、積層造形法ではオーバーハング角に限界があり、特に水平天井は造形が困難である。
図35に、オーバーハング角に着目した本実施形態の弾性体の模式図を示す。第1部材701と中間部材704を第1の弾性構造体705で連結する。オーバーハングが懸念される部分は図中、SとS部である。このオーバーハングが、前述した制限値以内になるように、弾性構造体の間隔Bと、縦方向の寸法Cを設計する必要がある。この模式図によれば、次のような条件である。
Figure 0006918647
寸法Cを小さくして指先力センサを薄型にするためには、弾性構造体の間隔ピッチBを狭く、すなわち、弾性構造体の数が多いほうが好ましい。弾性構造体の数を増やすことは、前述したように、指先力センサの剛性比を向上するためにも役に立つ。本実施形態の弾性体は、弾性構造体の数を増やすことによって、剛性比を改善し、オーバーハング角を抑え、積層造形可能である。
次に、より具体的な設計例として、FEMシミュレーション結果を説明する。
まず、本実施形態の考え方について説明する。本明細書の数式で扱う主な記号の定義は、以下のとおりである。
L:弾性構造体の長さ
E:弾性構造体の縦弾性係数
I:弾性構造体の断面2次モーメント
厚さh、幅bの矩形断面の場合、 I=bh/12
P:弾性構造体にかかる曲げ方向の力
W:弾性構造体にかかる軸方向の力
F、M:力とモーメント
δ,θ:変位と回転角
、H:弾性構造体のx、y方向の厚さ
、L:弾性構造体列のx、y方向の長さ
、N:弾性構造体列のx、y方向の数
:センサ座標系
指先力センサは弾性体と変位測定手段から構成されているので、力学的な性能は弾性体で決まる。そこでまず、材料力学の観点から弾性体の剛性を明らかにする。
図36(a)に示すように、点Aから放射状に伸びる方向に沿って配置した2本の弾性構造体を検討する。弾性構造体の中心に座標系Cを設定し、その原点と点Aまでの距離をLとする。2本の弾性構造体の間隔をLxとする。また、点Aまでの距離をLp、傾斜角度をηとする。
すなわち、
Figure 0006918647
である。
力の表記法に関し、図36(b)に示すように、点Aにかかる力Fと回転モーメントMの左肩に点を表す記号、Aをつけて区別する。弾性構造体にかかる力は軸方向の力をW、曲げ方向の力をPと表記する。
変位の表記法に関し、図36(c)に示すように、点Aの変位δと回転角θの表記にも左肩に点を表す記号、記号の「A」をつけて区別する。弾性構造体の変位は軸方向をδw、曲げ方向をδpなどと表記する。
図36(b)において、点Aにかかる力Fx、Fzとモーメント力Myを考える。これらを、2つの弾性構造体にかかる軸方向の力W、Wと曲げ方向の力P、Pに分けて力のつりあいを考え次式を得る。
Figure 0006918647
弾性構造体の軸方向の変形δと曲げ方向の変形δに関して、材料力学の公式から次式を得る。
Figure 0006918647
ここで、Eはヤング率、Iは断面2次モーメント、Aは断面積、Lは弾性構造体の長さである。
図36(c)において、点Aの並進移動量δx、δzと回転角、θyについては、幾何学的な関係より次式を得る。
Figure 0006918647
数式42〜数式44をまとめ、点Aにかかる力と変位の関係、すなわち剛性行列を計算すると次式を得る。
Figure 0006918647
一方、図37に示す平行配置した弾性構造体についても同様に計算すると、点Aにかかる力と変位の関係は次式となる。
Figure 0006918647
以上、計算した放射状配置と平行配置の弾性構造体の剛性を、次表にまとめる。
Figure 0006918647
弾性構造体の剛性は、軸方向のほうが曲げ方向よりも強いことが知られている。
表2において、軸方向の剛性に関する断面積Aを含む項に着目すると、放射状配置は平行配置に対して、水平方向の剛性Kxが高いことがわかる。
次に、具体的な数字を入れて説明する。指先力センサのサイズを左右する弾性構造体の間隔をLx=20mmとし、センサから点Aまでの距離をL=30mmとする。弾性構造体のヤング率をE=200GPa、弾性構造体の幅と厚さを1mm、長さをL=10mmとする。この時、放射状配置の弾性構造体の傾斜角は、η=18.4度となり、剛性は次表のように計算できる。
Figure 0006918647
表3の水平方向の剛性Kxに着目すると、放射状配置は平行配置に対して10倍以上高い。指先力センサは、指先にかかる力による弾性体の変形を検出するセンサである。剛性が高いと弾性体の変形も小さくなり、センサの感度が低下してしまう。
上表で説明したように、水平方向の剛性Kxは平行配置により軽減できるが、垂直方向の剛性Kzは依然として高い。
そこで、本実施形態では、図38に示すように、弾性構造体を2段に構成する。すなわち、第1部材701、第2部材702、中間部材704を設け、第1の弾性構造体705で第1部材701と中間部材704を連結し、第2の弾性構造体706で第2部材702と中間部材704を連結する。第1部材は、図示しない指の移動部材に固定し、第2部材702は指730に固定する。
このような構成によれば、XYZの3軸とも弾性構造体の曲げ方向と一致させることができて、剛性を低く設計することができる。
第1の弾性構造体705と第2の弾性構造体706は、方向が異なることが重要である。同じ方向の場合には1段の弾性構造体と同じことになり、水平と垂直方向の剛性の差が大きくなってしまう。弾性構造体の方向は、以下に説明するように90度異なる場合が最も効果的である。
図39に、水平と垂直方向の剛性KxとKzを組合せ、角度θで接続した弾性体の模式図を示す。
この構造のX、Y方向の変位は直列ばねになるので、次のように計算できる。
Figure 0006918647
また、前述したように、KzはKxより十分大きいので、数式47は次のように単純化できる。
Figure 0006918647
上式から、弾性体全体のXとZの2方向の剛性の比Rxzは次のようになる。
Figure 0006918647
図40に、数式49の剛性の比Rzxと角度θの関係をグラフにして示す。
指先力センサは、XYZの3軸方向とも同じ感度を持つことが好ましいが、剛性の比は角度が90度の場合に最良の1となる。この感度比の実用的な限界を約0.1とすると、角度として25度以上が必要なことがわかる。
また、材料力学によると、曲げ剛性は弾性構造体の長さLの3乗に反比例する。従って、長さLは長いほうが有利である。さらに、弾性構造体にかかる応力も下げることができる。しかし、Lを長くすると指先センサが厚くなってしまう。
そこで、図41に示すように、傾斜させて2段の弾性構造体構造を配置する。図に示すように同じ弾性構造体の長さLでも45度傾斜させることにより、センサの厚さを約0.7倍に抑えることが可能である。第1の弾性構造体は、第1部材の外面のうち第1の弾性構造体と連結する面からの法線方向に対して傾くように配置されている。また、第2の弾性構造体は、第2部材の外面のうち第2の弾性構造体と連結する面からの法線方向に対して傾くように配置されている。
尚、図41では、図示の便宜のため非等縮尺で示したため第1部材701と第2部材702の距離が比較的大きく見えるが、この距離は、第1部材と中間部材の距離、および第2部材と中間部材の距離よりも小さい。
さらに、図41を図36と比較すると、第2の弾性構造体706の間隔L’についても厚さ方向に間隔をあけて配置しなくても良くなるので、さらに薄いセンサを実現できる。
また、これまで平面図で本実施形態を説明したが、紙面に垂直な方向も考慮すると、2段の弾性構造体はそれぞれがXY格子状に配列した4本以上の弾性構造体の集合である。
図42(a)は、本実施形形態の構造を説明するための分解図で、図42(b)は完成体の斜視図である。
同図において、第1部材701、第2部材702、中間部材704を設け、4本以上の弾性構造体から構成される第1の弾性構造体705で第1部材701と中間部材704を連結する。また、4本以上の弾性構造体から構成される第2の弾性構造体706で第2部材702と中間部材704を連結する。第1部材は、図示しない指の移動部材に固定し、第2部材702は指730に固定する。
次に、XY格子状に2次元配置した4本以上の弾性構造体構造について、力学的な特性を明らかする。そして、弾性構造体の本数が多いほうが、性能の高い指先力センサを構成できることを明らかにする。
図43を用いて説明する。説明のため指先力センサの中心に座標系Cを設定し、外力のかかる作用点に座標系Cを設定する。
図中のC座標系において、XY格子状に配列した弾性構造体のうち、第i行、j列の弾性構造体1本の変形を考える。両端の回転を拘束した矩形断面の弾性構造体のXY方向の曲げ変形δpx、δpyとZ方向の変形δpzは、XYZ方向の力Px、Py、Pzと次の関係にある。
Figure 0006918647
Figure 0006918647
Figure 0006918647
ここで、H、Hは、XY方向の弾性構造体の厚さである。この弾性構造体が、X方向にNx本、Y方向にNy本配列した場合の変形を計算する。並進方向の剛性は、上記の弾性構造体を並列接続するので、次のように書ける。
Figure 0006918647
Figure 0006918647
Figure 0006918647
X軸まわりのモーメントMxに対する回転角をθxと表記すると、原点からL((j−1)/(N−1)+1/2)離れた位置のばねを並列接続するので、
Figure 0006918647
Y軸まわりのモーメントMyに対する回転角θyについても同様に表現できる。
Figure 0006918647
以上、指先力センサの座標Cにおける、弾性体の剛性を示した。この時、並進方向の剛性は弱い方が、高感度な指先力センサを実現できることを述べた。しかし、回転剛性については強いほうが好ましい。指先にかかる力によって指先の位置が大きくずれてしまっては、組立てなどの高精度な作業に支障がでるからである。
そこで、回転剛性と並進剛性との比を考える。この比が大きいほうが、より高性能な指先力センサを構成することができる。
X方向について回転方向と並進方向との剛性比αを計算すると、
Figure 0006918647
ここで、並進方向の剛性は指先力センサの感度を決める設計値なので、弾性構造体の本数Nxを変更しても並進方向の剛性が変わらないように、Bxを定数とし、弾性構造体の厚さをH=B(Nー1/3、と定義すると、剛性比αは、
Figure 0006918647
となる。
図44に、弾性構造体の本数Nx=2の値で正規化し、弾性構造体の本数とαの関係をプロットしたグラフを示す。
縦軸の1は、弾性構造体の本数が2本の剛性比と同じであることを表す。弾性構造体が6本以下なら、2本の場合が最も優れた剛性比となるが、本数を7本以上に増やせば、2本より優れた剛性比となる。
以上のように、本実施形態によれば、指先力に対して高感度で、薄い指先力センサを構成できる。さらに、弾性構造体の数を増やすことにより、モーメント剛性の高いセンサを構成できることを説明した。
また、前述したように、積層造形法ではオーバーハング角に制限があるため、水平な天井面を製作することが困難である。本実施形態によれば、弾性構造体を多数化し、弾性構造体と弾性構造体の間を傾斜面で接続することにより、オーバーハング角を制限内に抑えることができ、積層造形可能である。また、形状精度が高い部品の上に積層造形することにより、製作する時の製造コストを、さらに下げる効果がある。
また、以下に説明するように、指先の変位を拡大して検出できるので、より高感度な指先力センサを実現できる。
図45に、指先位置とセンサ位置も考慮した放射状配置の弾性構造体の模式図を示す。点Aは2本の弾性構造体の方向を決める目標点、点Bは指先の位置で、この点に指先力がかかる。点Cはセンサの位置で、この点の変位を検出する。点Aの変位と点Aの力の関係は数式45に示したが、ここでは点Cの変位と点Bの力との関係を示す。
点Bは、指先が物品から受ける力がかかる位置である。点Aにかる力を点Bに座標変換する式は次のように書ける。
Figure 0006918647
また、点Cは、弾性体の変形を測定するセンサを配置する位置である。点Cの変位を点Aに座標変換する式は、次のように書ける。
Figure 0006918647
これらと、数式45から、指先(点B)にかける力に対するセンサの位置(点C)の変位を計算できる。指先力センサに関係する力の成分だけ示すと、次のようになる。
Figure 0006918647
上式の係数は、この指先センサの感度行列である。力をかける点Bの位置Lを変えると、上式から1行1列の項、すなわちX方向の感度Sが影響を受けることがわかる。
この項に着目する。
Figure 0006918647
右辺第1項の括弧部分の符号を考える。弾性構造体を、幅bで厚さhの矩形断面とすると、この部分は次のようになる。
Figure 0006918647
弾性構造体は、通常は厚さhより長さLのほうが大きいので、上式は正である。従って、感度Sは、Lが正ならばLがゼロの場合より必ず大きくなり、センサ感度が向上する。
言い換えると、力のかかる指先の点Bより遠い位置に放射状弾性構造体の中心である点Aを配置することにより、センサ感度を向上させることができる。
例えば、指先力センサのサイズを左右する弾性構造体の間隔をLx=20mmとし、弾性構造体のヤング率をE=200GPa、弾性構造体の幅と厚さを1mm、長さをL=10mmとする。変位センサから力をかける指先までの距離を、一定値L−L=30mmとする。
図46に、放射状配置の弾性構造体の中心点までの距離LとLとの比を横軸とし、数式63の感度Sを、L=0の時の値で正規化してプロットしたグラフを示す。図中、PはL=30mm、すなわち、L=0の場合を表し、縦軸の値は1である。
図からわかるように、弾性構造体の中心点Lが30mmより長い場合、感度比が1よりも大きく、良好である。
以上説明したように、弾性構造体の中心点を指先より遠方に配置することにより、高感度な指先力センサを構成できる。
図47(a)は、シミュレーションに用いた弾性体のFEMモデルである。このモデルは、図32〜34を参照して説明した構造と同じである。主な特徴は、第一に弾性構造体の幅が厚さより大きいこと、第二に第1の弾性構造体705は片側に6本、全部で12本あること、第三に第2の弾性構造体705は片側に5本、中央部に3本、全部で13本あることである。
上記、弾性構造体の幅、厚さ、長さ、および弾性構造体の本数などは、本実施形態の指先力センサの設計パラメータである。この設計パラメータを決定するのが、FEMシミュレーションの目的である。
図47(b)は、指先にFx=30Nの力をかけたときの変形計算結果である。この図は変形を見やすいように誇張して描画されている。図47(c)は、指先にFy=30Nの力をかけたときの変形計算結果である。図47(d)は、指先にFz=30Nの力をかけたときの変形計算結果である。
前述したように、弾性体の変形を検出する変位検出手段は、磁石708の位置を測定する。FEM計算で得られた磁石の位置変化を、次表にまとめる。
Figure 0006918647
上表に示したように、この設計例では最も感度が高いのはY方向であった。
この結果を行列で表現すると、
Figure 0006918647
この式から、数式39にあたる変位検出手段の出力から指先力を計算する式を求めると、
Figure 0006918647
となる。
以上のFEM変形シミュレーションを繰り返し行い、所望の感度が得られるように弾性構造体の幅や厚さなどの設計パラメータを決定する。
次に、本発明による力覚センサの製造方法を説明する。前述したように、本実施形態に係る指先力センサは、オーバーハング角が小さいため、積層造形法による製造が可能である。
図48(a)は、積層造形装置に取り付ける造形ユニット720を説明のために分解して示した図で、図48(b)は造形ユニット720の完成図である。
第1部材701と第2部材702は、フライス盤などで製作した高精度な部品であり、造形プレート721にねじ止めし、造形ユニット720を完成させる。この時、造形ユニット720の最上面が、第1部材701と第2部材702の上面になるように設計しておくことが肝要である。すなわち、第1部材の外面のうち第1の弾性構造体と連結する面と、第2部材の外面のうち第2の弾性構造体と連結する面は、平行になるようにする。積層造形装置は、第1部材および第2部材の最上面から造形を開始するからである。造形材料の粉体を積層し、第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材の形状に応じてレーザ光を照射して第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材を造形する。
図49(a)に、造形ユニット720の上に積層造形し、弾性体707を完成させた状態を示す。弾性体707は、第1部材701と第2部材702の上に、第1の弾性構造体705、第2の弾性構造体706、および中間部材704を積層造形した構造物である。
造形プレートの固定ねじを外すと、図49(b)に示すように弾性体707が完成する。
すなわち、第1部材と、第2部材を造形プレートに対して脱着可能に位置決め固定し、第1部材と第2部材の上面に、造形材料の層を積み重ねて第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材を造形する。そして、第1部材と第2部材と第1の弾性構造体と第2の弾性構造体と中間部材が一体化した3次元造形物を形成した後に、3次元造形物を造形プレートから脱着する。
この製造方法は、従来の積層造形法と比べて、次の点でコストを下げることができる。
第一に、造形物を切り出す加工が不要である。従来はワイヤカットなどの機械加工により造形物を切り離していたが、本実施形態によれば、ねじを外すだけで脱着するので工程が簡易化されコストを低減できる。
第二に、造形後の機械加工が必要最小限で済む。従来は、三次元造形物のうち高い精度が必要な部分は、造形後に機械加工する必要があった。造形後に機械加工を行うと、被加工物が複雑な形状をしているので、加工用の専用治具が必要となりコストがかかっていた。本実施形態によれば、精度が必要な第1部材と第2部材をあらかじめ準備し、この部分については積層造形をしていないため追加の機械加工は不要であり、コストを低減できる。
第三に、造形材料の量を減らすことができる。積層造形法で使用する造形材料は、一般に高価である。本実施形態によれば、弾性体707の全体を積層造形するのではなく、一部だけ造形するので造形材料を減らすことができ、コストを抑制できる。より具体的には、弾性体707のうち第1部材1と第2部材2は積層造形しないため、高価な造形材料を節約できる。
第四に、本実施形態によれば、造形プレートを繰り返し使用することが可能である。造形プレートの上に積層した造形材をレーザ焼結する積層造形法では、造形後には、レーザ照射によって造形プレートの表面が溶融するので、次の造形には使えない。本実施形態によれば、造形プレートにはレーザが当たらないので劣化することがなく、何度も使えるので、弾性構造体の製造コストを低減することが可能である。
以上のように、本実施形態の指先力センサは、積層造形法で製作する事が可能であり、製作コストを低減できる。
また、従来の機械加工と異なり積層造形は、弾性構造体の本数を増やし、モーメント剛性の剛性比をさらに向上させることも容易である。また、製造誤差が生じても、弾性構造帯の本数が多いので、1本の弾性構造体の製作誤差は平均化され影響は小さい。
また、本実施形態では積層造形法により製造する方法について述べたが、これに限られることはない。例えば、機械加工によって製造することも可能である。
また、本実施形態では弾性構造体の断面形状を矩形として説明したが、矩形以外でも可能である。例えばカドを丸めた矩形や楕円でも、実施することが可能である。
以上のように、本実施形態のセンサは、ロボットハンドの指先にかかる力を検出する指先力センサであって、ロボットハンドに固定される第1部材と、指に固定される第2部材と、中間部材とを備える。第1部材と中間部材を連結する弾性体を2列以上かつ4本以上有する第1の弾性構造体と、第2部材と中間部材を連結する弾性体を2列以上かつ4本以上有する第2の弾性構造体と、第1部材と第2部材の相対変位を検出する検出手段とを備える。そして、第1の弾性構造体が配置された方向と前記第2の弾性構造体が配置された方向が25度以上異なり、検出手段の出力と、第1部材、中間部材、第2部材、第1の弾性構造体、第2の弾性構造体とからなる構造体の剛性とを用いて指先にかかる力を検出する。
(第三の実施形態の変形例1)
図50を用いて、第三の実施形態の変形例について説明する。第三の実施形態とは第1の弾性構造体が異なり、その他については同様である。
図50(a)は説明のために分解した図で、図50(b)は完成図である。
第1部材701、第2部材702、中間部材704を設け、4本以上の弾性構造体から構成される第1の弾性構造体705により第1部材701と中間部材704を連結する。また、4本以上の弾性構造体から構成される第2の弾性構造体706により第2部材702と中間部材704を連結する。第1部材は、不図示の指の移動部材に固定し、第2部材702は指730に固定する。
第1の弾性構造体705は、垂直軸ηと水平軸ξで張られる平面η−ξ上に配置される放射状弾性構造体である。この平面上に中心点Pがあり、第1の弾性構造体構造はこの点の方向を向いている。一方、指730の先端の点を、平面η−ξに投影した点をPとする。
本実施形態は、中心点Pが点Pよりも外側に配置されているのが特徴である。このように配置すると、すでに説明したように、指先Pにかかる力に対するセンサ位置での変位が大きくなるため、高感度な指先力センサを構成できる。
(第三の実施形態の変形例2)
図51(a)、図51(b)を用いて、第三の実施形態の変形例2を説明する。図50に示す他の実施形態とは、第1の弾性構造体、特に中心点Pの配置が異なり、その他については同様である。図51(a)は説明のために分解した図で、図51(b)は完成図である。
第1の弾性構造体705は、水平軸ξと指730の先端の点Pを含む平面η−ξ上に配置される放射状弾性構造体である。この平面上に、中心点Pがあり、第1の弾性構造体はこの点の方向を向いている。
このように配置すると、すでに説明したように、指先Pにかかる力に対するセンサ位置での変位が大きくなるため、高感度な指先力センサを構成できる。
(第三の実施形態の変形例3)
また、第三の実施形態の変形例3として、磁気式センサの代わりに光センサを変位検出手段として用いた実施形態を、図53〜図56を用いて示す。
図53、図54に光センサの例を示す。これは、例えば特開平4−130220に記載されているセンサと類似のものである。レーザ光源1001から出射した光線は、コリメータレンズ1002で平行光線となり、偏光ビームスプリッタ1017、波長板1005を通過し、第1の回折格子1101に入射し、1次回折光として2つに分割される。回折光は、第2の反射型回折格子1102に入射し、反射した回折光が再び回折格子1101を透過し干渉する。この干渉光の明暗を、受光手段1008で検出する。図示してないが、受光手段1008を2つ設けて干渉光の位相も測定することにより移動方向を知る技術も、例えば特開昭63−311121により公知である。
このような構成による光センサの模式図を、図55に示す。図中、A100は、光学部と電気回路を集積して一体化した回路部である。回路部A100には、電気信号を取り出すための電極が設けられている。回折格子を有するスケールA101は、回路部A100と一定の隙間をあけて保持され、回折格子の刻まれるA102方向の相対変位を測定することができる。
この光センサを1〜3個組み合わせることで、第三の実施形態の位置検出手段を構成できる。
図57は、光センサを3つ組み合わせ、3方向の相対位置検出手段を構成した例である。スケールA101は3方向の回折格子A102a〜A102cを有し、その回折格子に対向して3つの回路部A100a〜A100cを設ける。
また、2方向に刻んだ回折格子を用い、2方向の変位を同時に測定する光センサも知られている。この場合でも集積化が可能なので、指先力センサを小型に構成できる。さらに、特許第4779117号に開示されているように、光学系を工夫することによって、一つの回折格子で3方向の変位を同時に測定することも可能である。
図58に示すのは、このような光センサを組み込んだ指先力センサの分解図である。第三の実施形態に対し、相対位置検出手段の部分だけが異なるので、この部分を中心に説明する。
スケールA101を、第2部材2に固定して設ける。このスケールA101は、直方体であり、直方体の3面にそれぞれ異なる方向に回折格子A102a〜A102cを備える。この回折格子に対向して3つの回路部A100a〜A100cを電気基板A103に固定して設ける。光センサ用の電気基板A103は、第1部材にねじ13を用いて固定する。回路部A100a〜A100cの電気信号は電気基板A103を介して制御基板11に連結し、第1部材1と第2部材2の、3方向の相対変位を出力する。尚、この変形例では1方向だけ測定する光センサを3つ組合せた例を示したが、1つの回折格子で3方向を同時に測定する光センサを用いてもよい。
以上説明したように、第三の実施形態およびその変形例によれば、検出精度が高く、コンパクトで製造コストが低廉な指先力センサを提供することができる。
[その他の実施形態]
本発明の実施形態は、上述した例に限られるものではなく、本発明の技術思想の下に、一部を変更したり、組み合わせたりすることも可能である。
1・・・第1部材/2・・・第2部材/3・・・弾性構造体/4・・・中間部材/5・・・第1弾性構造体/6・・・第2弾性構造体/7・・・弾性体/8・・・スケール/9・・・センサ基板/11・・・トルクセンサ制御基板/20・・・造形ユニット/100・・・ロボット装置/101・・・ロボット制御装置/111・・・目標造形物/112・・・造形可能な形状/200〜206・・・リンク/210・・・ロボットハンド/521〜526・・・トルクセンサ/J1〜J6・・・関節/A100・・・光センサの回路部/A101・・・スケール/A102・・・測定方向/A103・・・光センサ用の電気基板

Claims (31)

  1. 第1部材と、
    第2部材と、
    中間部材と、
    前記第1部材と前記中間部材とを連結する第1弾性構造体と、
    前記第2部材と前記中間部材とを連結する第2弾性構造体と、
    前記第1部材と前記第2部材との相対変位を検出する変位検出手段とを有し、
    前記中間部材は前記第1部材および前記第2部材に対して所定の方向に離間するように配置されており、前記第1弾性構造体は前記第1部材から前記所定の方向において前記中間部材に向かって突出するように配置されており、前記第2弾性構造体は前記第2部材から前記所定の方向において前記中間部材に向かって突出するように配置されており、
    前記第1部材と前記第2部材との第1距離は、前記第1部材と前記中間部材との前記所定の方向における第2距離、および前記第2部材と前記中間部材との前記所定の方向における第3距離よりも小さい、
    ことを特徴とする力センサ。
  2. 前記第1部材における前記第1弾性構造体と連結する面を第1面とし、前記第2部材における前記第2弾性構造体と連結する面を第2面とし、
    前記第1部材は前記第1面に直交する方向に隣接して設けられた第3面を備え、
    前記第2部材は前記第2面に直交する方向に隣接して設けられた第4面を備え、
    前記第1距離は、前記第3面と前記第4面との距離である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の力センサ。
  3. 前記第1距離は、前記第3面と前記第4面と直交する方向における距離である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の力センサ。
  4. 前記第1部材と前記第2部材と前記中間部材とは、前記所定の方向が前記力センサの取付方向となるように配置されている、
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の力センサ。
  5. 前記第1面と、前記第2面とは、同一の平面に沿うように前記第1部材と前記第2部材とが配置されている、
    ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の力センサ。
  6. 前記中間部材は、前記中間部材を前記平面に投影した際の射影の少なくとも一部が、前記第1距離による前記第1部材と前記第2部材との間隙部と前記平面に直交する方向から見て重なるように前記平面から離れて配置されている、
    ことを特徴とする請求項5に記載の力センサ。
  7. 前記第1弾性構造体は、前記第1面と直交する方向に対して傾斜している、
    ことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の力センサ。
  8. 前記第2弾性構造体は、前記第2面と直交する方向に対して傾斜している、
    ことを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の力センサ。
  9. 前記第1部材と前記第2部材は、同心だが互いに半径が異なる環状部分を有する、
    ことを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の力センサ。
  10. 複数の前記第1弾性構造体および複数の前記第2弾性構造体を備え、
    複数の前記第1弾性構造体は、前記第1面と直交する方向に対する傾斜の方向が反時計回りに並ぶように配置され、
    複数の前記第2弾性構造体は、前記第2面と直交する方向に対する傾斜の方向が時計回りに並ぶように配置されている、
    ことを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載の力センサ。
  11. 複数の前記第1弾性構造体および複数の前記第2弾性構造体を備え、
    複数の前記第1弾性構造体は、前記第1面と直交する方向に対する傾斜の方向が前記環状部分の中心に向かう方向に配置され、
    複数の前記第2弾性構造体は、前記第2面と直交する方向に対する傾斜の方向が前記環状部分の中心から離れる方向に配置されている、
    ことを特徴とする請求項9に記載の力センサ。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の力センサを製造する方法であって、
    前記第1部材と、前記第2部材を造形プレートに対して脱着可能に位置決め固定し、
    前記第1部材と前記第2部材に、造形材料の層を積み重ねて前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材を造形し、
    前記第1部材と前記第2部材と前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材が一体化した3次元造形物を形成した後に前記3次元造形物を前記造形プレートから脱着する、
    ことを特徴とする力センサの製造方法。
  13. 前記造形材料の粉体を積層し、前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材の形状に応じてレーザ光を照射して前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材を造形する、
    ことを特徴とする請求項12に記載の力センサの製造方法。
  14. 環状の第1部材と、
    外力が印加されない状態において、前記第1部材と平行かつ中心軸が同軸になるよう配置され、前記第1部材よりも大きな半径を有する環状の第2部材と、
    前記第1部材と前記第2部材との相対的な変位を検出する変位検出手段と、
    前記第1部材と前記第2部材から離れて配置された中間部材と、
    前記第1部材と前記中間部材とを連結する複数の第1弾性構造体と、
    前記第2部材と前記中間部材とを連結する複数の第2弾性構造体と、
    を有し、
    前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体は、前記中心軸を中心とする円周方向に沿って交互に配置され、
    前記変位検出手段の出力を用いてトルク値を検出する、
    ことを特徴とするトルクセンサ。
  15. 前記第1弾性構造体の厚さは、前記第1部材の側において前記中心軸に近い側より遠い側が小さく、前記中間部材の側において前記中心軸に遠い側より近い側が小さく、
    前記第2弾性構造体の厚さは、前記第2部材の側において前記中心軸に遠い側より近い側が小さく、前記中間部材の側において前記中心軸に近い側より遠い側が小さい、
    ことを特徴とする請求項14に記載のトルクセンサ。
  16. 前記第1弾性構造体および/または前記第2弾性構造体は、
    スリットにより分離された複数の弾性体を有する、
    ことを特徴とする請求項14または15に記載のトルクセンサ。
  17. 請求項14から16のいずれか1項に記載のトルクセンサを製造する方法であって、
    前記第1部材と、前記第2部材を造形プレートに対して脱着可能に位置決め固定し、
    前記第1部材と前記第2部材に、造形材料の層を積み重ねて前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材を造形し、
    前記第1部材と前記第2部材と前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材が一体化した3次元造形物を形成した後に前記3次元造形物を前記造形プレートから脱着する、
    ことを特徴とするトルクセンサの製造方法。
  18. 前記造形材料の粉体を積層し、前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材の形状に応じてレーザ光を照射して前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材を造形する、
    ことを特徴とする請求項17に記載のトルクセンサの製造方法。
  19. 力とモーメントを含む6軸の外力を測定する力覚センサであって、
    環状の第1部材と、
    環状の第2部材と、
    前記第1部材と前記第2部材との相対的な変位を検出する変位検出手段と、
    中間部材と、
    前記第1部材と前記中間部材とを連結する複数の第1弾性構造体と、
    前記第2部材と前記中間部材とを連結する複数の第2弾性構造体と、
    を備え、
    前記複数の第1弾性構造体は、前記第1部材の中心と同心の円周上に間隔を開けて配置され、かつ、前記円周に対して垂直な軸線に対して第1のねじれ傾斜角で傾斜して配置され、
    前記複数の第2弾性構造体は、前記第1部材の中心と同心の円周上に間隔を開けて配置され、かつ、前記円周に対して垂直な軸線に対して第2のねじれ傾斜角で傾斜して配置され、
    前記第1のねじれ傾斜角と前記第2のねじれ傾斜角は、前記垂直な軸線に対して逆方向のねじれ傾斜角度であり、
    前記第1弾性構造体および第2弾性構造体は、前記第1部材、前記中間部材、前記第2部材よりも剛性が低く、前記垂直な軸線まわりに3回以上の回転対称性を持つ、
    ことを特徴とする力覚センサ。
  20. 前記第2部材は、前記第1部材と同心に配置され、前記第1部材よりも半径が小さな環状の部材であり、
    前記第1弾性構造体は、前記中心から離れる方向に凸になるよう湾曲した形状を有し、
    前記第2弾性構造体は、前記中心に向かう方向に凸になるよう湾曲した形状を有する、
    ことを特徴とする請求項19に記載の力覚センサ。
  21. 請求項19または20に記載の力覚センサを製造する方法であって、
    前記第1部材と、前記第2部材を造形プレートに対して脱着可能に位置決め固定し、
    前記第1部材と前記第2部材に、造形材料の層を積み重ねて前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材を造形し、
    前記第1部材と前記第2部材と前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材が一体化した3次元造形物を形成した後に前記3次元造形物を前記造形プレートから脱着する、
    ことを特徴とする力覚センサの製造方法。
  22. 前記造形材料の粉体を積層し、前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材の形状に応じてレーザ光を照射して前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材を造形する、
    ことを特徴とする請求項21に記載の力覚センサの製造方法。
  23. ロボットハンドの指先にかかる力を検出する指先力センサであって、
    第1部材と、
    第2部材と、
    中間部材と、
    前記第1部材と前記中間部材を連結する弾性体を2列以上かつ4本以上有する第1弾性構造体と、
    前記第2部材と前記中間部材を連結する弾性体を2列以上かつ4本以上有する第2弾性構造体と、
    前記第1部材と前記第2部材との相対的な変位を検出する変位検出手段と、
    を有し、
    前記中間部材は前記第1部材および前記第2部材に対して所定の方向に離間するように配置されており、前記第1弾性構造体は前記第1部材から前記所定の方向において前記中間部材に向かって突出するように配置されており、前記第2弾性構造体は前記第2部材から前記所定の方向において前記中間部材に向かって突出するように配置されており、
    前記第1部材と前記第2部材との第1距離は、前記第1部材と前記中間部材との前記所定の方向における第2距離、および前記第2部材と前記中間部材との前記所定の方向における第3距離よりも小さく、
    前記第1弾性構造体が配置された方向と前記第2弾性構造体が配置された方向が25度以上異なり、
    前記検出手段の出力を用いて前記指先にかかる力を検出する、
    ことを特徴とする指先力センサ。
  24. 前記検出手段の位置に原点を持つ座標系から見て、前記第1弾性構造体が、前記指の先端よりも離れた位置の方向を向くように配置されている、
    ことを特徴とする請求項23に記載の指先力センサ。
  25. 請求項23または24に記載の指先力センサを製造する方法であって、
    前記第1部材と、前記第2部材を造形プレートに対して脱着可能に位置決め固定し、
    前記第1部材と前記第2部材に、造形材料の層を積み重ねて前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材を造形し、
    前記第1部材と前記第2部材と前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材が一体化した3次元造形物を形成した後に前記3次元造形物を前記造形プレートから脱着する、
    ことを特徴とする指先力センサの製造方法。
  26. 前記造形材料の粉体を積層し、前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材の形状に応じてレーザ光を照射して前記第1弾性構造体と前記第2弾性構造体と前記中間部材を造形する、
    ことを特徴とする請求項25に記載の指先力センサの製造方法。
  27. 請求項1から11のいずれか1項に記載の力センサ、請求項14から16のいずれか1項に記載のトルクセンサ、請求項19または20に記載の力覚センサ、請求項23または24に記載の指先力センサ、のいずれかを備えたロボット装置。
  28. 請求項27に記載のロボット装置を用いて物品の製造を行うことを特徴とする物品の製造方法。
  29. 第1部材と、
    第2部材と、
    中間部材と、
    前記第1部材と前記中間部材とを連結する第1弾性構造体と、
    前記第2部材と前記中間部材とを連結する第2弾性構造体と、
    前記第1部材と前記第2部材との相対的な変位を検出する変位検出手段とを有する力センサの制御方法であって、
    前記中間部材は前記第1部材および前記第2部材に対して所定の方向に離間するように配置されており、前記第1弾性構造体は前記第1部材から前記所定の方向において前記中間部材に向かって突出するように配置されており、前記第2弾性構造体は前記第2部材から前記所定の方向において前記中間部材に向かって突出するように配置されており、
    前記第1部材と前記第2部材との第1距離は、前記第1部材と前記中間部材との前記所定の方向における第2距離、および前記第2部材と前記中間部材との前記所定の方向における第3距離よりも小さく、
    前記検出手段の出力を用いて前記第1部材と前記第2部材との間にかかる力を検出する、
    ことを特徴とする制御方法。
  30. 請求項29に記載の制御方法をコンピュータにより実行可能な制御プログラム。
  31. 請求項30に記載の制御プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
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