JP6823820B1 - レジスト剥離液 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅/モリブデンの積層膜上でハードベイクされたレジストを剥離させ際に、銅やモリブデンのアンダーカットを抑制したレジスト剥離液を提供する。【解決方法】剥離液全体量に対して0.5〜5質量%の2級環状アミンと、前記2級環状アミンに対して5〜10質量%の塩基性アミノ酸と、前記塩基性アミノ酸に対して10〜30質量%の保護剤と、前記2級環状アミンに対して10〜50質量%の糖アルコールと、有機極性溶媒と、水を含むことを特徴とするレジスト剥離液。【選択図】なし

Description

本発明はフォトリソグラフィの際に用いるフォトレジストを剥離する時に用いるレジスト剥離液に関する。
放送の伝送フォーマットは4K、8Kといった高画質を提供できるものが提案されており、また試験放送も始まっている。それに応じてテレビも大型画面が提供されつつある。現在のテレビは液晶テレビが主流であり、画素に対応したトランジスタが、大画面用の透明基板(ガラス)上に形成される。この形成には、フォトリソグラフィ技術が利用されている。
画面の大型化により、透明基板上に形成される導電部分は抵抗を低くする必要がある。そのため、導電部分には、銅が利用されるようになった。銅の導電性は高い。しかし、透明基板への付着力が低い。そこで、透明基板と銅の間に下地層としてモリブデンが利用される。
モリブデンは、通常は腐食されにくい金属であるが、銅との二層構造にされると、著しく腐食されることが知られていた。
特許文献1は、モリブデン層上に銅層を配した二層構造の両層をエッチングした後、レジスト層を剥離させる剥離液に、2級若しくは3級のアルカノールアミンと、チオール基及びアミド構造を持たず窒素が2以上含まれたアミノ酸を用いることで、モリブデンの腐食を抑制し、レジストを剥離することができる剥離液が開示されている。
また、特許文献1では、ベンゾトリアゾール等の銅の腐食保護剤を用いると、銅表面に析出物が発生するので、使用しない点も特徴である。
なお、現在は特許文献1の出願時よりも用いられる透明基板は大きなものが利用される。したがって、大画面上にフォトリソグラフィで素子を形成する場合は、1素子の失敗も許されない厳しい生産管理が行われる。したがって、エッチングミスに直結する塗布したフォトレジスト膜の剥離は、発生しないことが求められる。その結果、露光前のフォトレジストのベイク処理(焼成処理とも呼ぶ)の温度は上昇する傾向になる。
国際公開第2010/073887号
アミノ酸は銅を強く腐食させる物質として知られている。つまり特許文献1の剥離液は、程度は低いとはいえ、銅を腐食するアミン類と一緒に、銅を強く腐食するアミノ酸を、銅の保護剤無しで利用する。それでいて、特許文献1の剥離液は、銅の腐食も下地のモリブデンの腐食も抑制している。
この理由は以下のように考えられる。剥離液を利用した時に、銅の表面では、酸素の還元が行われる。したがって、銅の表面から剥離液側に電子が供給される。ここで、銅を腐食しにくいアミン類を用いていると、電子は銅からよりもモリブデンから供給される。そのため、モリブデンが腐食される。
一方、ここで、銅を腐食するアミノ酸を同時に利用することで、銅からも電子を放出させ、モリブデンの腐食を抑制させる。すなわち、銅が腐食しにくいアルカノールアミンでレジストを剥離し、銅表面で生じる還元作用に利用する電子の供給には、モリブデンだけでなく、銅自体からも供給させるようとする方法である。
つまり、あえて銅層をいくらか腐食させることで、モリブデン層を保護するものであり、アルカノールアミンと、アミノ酸のバランスで、両層の保護を図ろうとするものである。
しかし、現在特許文献1の出願時よりも、現場でのレジストの焼成温度は高くなっており(ハードベイク)、アルカノールアミンでは、レジスト自体を剥離できない状況になっている。したがって、アルカノールアミンよりも、ハードベイクされたレジストの分解に適した塩基性物質が必要となってきた。
また、画素近辺の導電部分は比較的細いパターンであるのに対して、画面周辺の部分では、各画素からの導電部分がまとめられるため、幅広のパターンになる。
このように、幅広のパターンと幅が狭いパターンが混在している状態で、強いアルカリを使用すると、アミンとアミノ酸とのバランスの調節が困難になったという問題が生じた。すなわち、この方法では、基本的にアミノ酸が少ない(アミンが多い)とモリブデンが腐食され、アミノ酸が多い(アミンが少ない)と銅が腐食される。しかし、幅広のパターンと幅が狭いパターンの両方で、アミノ酸とアミンのバランスを取れる範囲が非常に狭くなり、実質的に、バランスの取れた剥離液を提供することができなかった。
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたものであり、ハードベイクされたフォトレジストを十分に剥離しつつ、幅広パターンの部分でも、幅狭パターンの部分でも、モリブデンおよび銅の腐食を抑制できるレジスト剥離液を提供する。
そのため、本発明では、環状アミンと、アミノ酸を用いた上で、銅の保護剤を用いる。そして、アミンに対してアミノ酸を過剰に加え、モリブデンの腐食を押さえ、銅の腐食の程度は保護剤で調整する。
より具体的に本発明に係るレジスト剥離液は、
剥離液全体量に対して0.5〜5質量%の2級環状アミンと、
前記2級環状アミンに対して5〜10質量%の塩基性アミノ酸と、
前記塩基性アミノ酸に対して10〜30質量%の保護剤と、
前記2級環状アミンに対して10〜50質量%の糖アルコールと、
有機極性溶媒と、
水を含み、
前記2級環状アミンは、ヘキサメチレンイミン若しくは1−メチルピロリジンの少なくとも一方であることを特徴とする。
本発明に係るレジスト剥離液は、銅を腐食しにくく、アルカリ性の強い2級環状アミンに対して、銅を強く腐食する塩基性アミノ酸を過剰に混入させる。したがって、このままでは銅が腐食されてしまうが、銅の腐食については、保護剤の量で調節する。すなわち、2種の腐食剤のバランスを取るというよりも、一方の腐食剤の効果を保護剤で抑制するものである。したがって、幅広のパターンと幅が狭いパターンの場合も、モリブデンの腐食および銅の腐食を実用の範囲内で抑制することができる。
また、糖アルコールを混入させたので、モリブデンと銅との間の腐食についても抑制することができる。
さらに、この剥離液の組成は、無機の酸若しくは無機のアルカリを含んでいないので、アルミニウムの導電部分に対しても、腐食を起こさない。
以下に本発明に係るレジスト剥離液について実施例を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。また、以下の説明で範囲を表す場合に「〜」を使用する場合があるが、これは「以上(その値を含めてその値より大きい)から以下(その値を含めてその値より小さい)」を意味するものである。
本発明に係るレジスト剥離液は、2級環状アミンと、塩基性アミノ酸と、有機極性溶媒と、保護剤と、水と、糖アルコールを含有する。
また、本発明が対象とするのは、モリブデン上に銅が積層された導電部分である。特に、幅5〜15μm程度の太さの導電部分と、幅が300〜500μmの太さの導電部分が混在している。さらに、アルミニウムによる導電部分も存在している。
モリブデンの厚さは30〜50nm程度であり、銅の厚みは400〜800nmである。アルミニウム部分は200〜400nmの厚みである。これらについて、モリブデンのアンダーカットと、銅の腐食、アルミニウムの腐食が実用上問題ない範囲にあることが必要である。
また、レジストはポジ型のフォトレジストで、ノボラック樹脂およびジアゾナフトキノンが含まれる。そして、150℃以上で焼成処理されたものを対象とする。通常フォトレジストは100℃程度の温度で熱処理される。したがって、150℃以上での熱処理は高温処理(ハードベイク)であるといえる。
2級環状アミンは、ヘキサメチレンイミン(CAS番号111−49−9と呼ぶ。)、1−メチルピロリジン(CAS番号:120−94−5)が好適に利用できる。ヘキサメチレンイミンおよび1−メチルピロリジンは、ハードベイクされたフォトレジストを剥離させることができる。2級環状アミンは、剥離液全量に対して0.5〜5質量%、より好ましくは0.7〜2.0質量%含有させるのが好適である。
アミノ酸は、塩基性アミノ酸が利用できる。銅を強く溶解することができる。特にアルギニンとリシンが好適に利用できる。ヒスチジンは塩基性アミノ酸に分類されるが、本発明に係るレジスト剥離液では、モリブデンの抗腐食に対しては、あまり効果がなかった。
アミノ酸は、環状アミンに対して5〜10質量%、好ましくは6〜8質量%含有させるのがよい。これは剥離液全量に換算すると、0.025〜0.5質量%に相当する。
保護剤は、アミノ酸の銅に対する腐食を抑制する物質である。具体的には、ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−1H−ベンゾトリアゾール、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノールである。したがって、これらの化合物群から選ばれる少なくとも1の物質を金属表面保護剤として用いる。
保護剤は、塩基性アミノ酸に対して、10〜30質量%で調整することができる。これは剥離液全体の0.0025〜0.15質量%に相当する。保護剤は、塩基性アミノ酸に対して多すぎると、銅の腐食が抑制されすぎ、モリブデンの腐食が多くなる。しかし、上記の範囲の量を含有させることで、導電部分の幅が広くても、狭くても好適にモリブデンの腐食および銅の腐食をバランスさせることができる。
糖アルコールは、モリブデンと銅の境界の腐食(「銅のアンダーカット」と呼ぶ。)を防止することができる。糖アルコールとしては、グリセロール若しくはソルビトールが好適に利用できる。糖アルコールは、環状アミンに対して10〜50質量%含有させるのが好ましい。これは剥離液全量に対して、0.05〜2.5質量%に相当する。
有機極性溶媒は、非プロトン性有機溶媒が好ましい。プロトン性有機溶媒は、下地となるモリブデンの腐食が生じやすい。具体的に有機極性溶媒は、ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等が好適に利用できる。
水は、剥離液全体の10〜30質量%であるのが好適である。また、有機極性溶媒は、上述の環状アミンと、水と、保護剤および糖アルコールの残りであってよい。
以下に本発明に係るレジスト剥離液についての実施例を示す。以下に示す組成の実施例および比較例のサンプル剥離液を作製し、レジスト剥離用試験片に対するレジスト剥離試験を行った。
<レジスト剥離用試験片>
ガラス基板上に、モリブデン(Mo)を30nmの厚みで堆積させ、その上に銅(Cu)を500nmの厚みで積層させた。その上にSiNを300nmの厚みで積層させた。これをシリコン積層片と呼ぶ。
シリコン積層片上のSiN層の所定の箇所に直径1μmのコンタクトホールを形成した。そして、さらにモリブデン(Mo)を30nmの厚みで積層させ、その上に銅(Cu)を500nmの厚みで積層させた。
次に最上層の銅層に対してポジタイプのレジストを塗布し、所定の温度で焼成(ベイク)した。なお、高温ベイクは150℃で2分程度行われるが、レジスト剥離液の剥離力を確認するために、170℃で5分間のベイクを行った。これによって、レジスト膜は強固に焼成処理されたことになる。ベイク後、ゲート線のパターンで露光し、現像した後に、上層の銅層およびモリブデン層をエッチングし、レジスト剥離用銅試験片を得た。
すなわち、レジスト剥離用銅試験片には、ゲート線のパターンがエッチングされたモリブデン層および銅層があり、その上には焼成処理されたレジスト膜が堆積されている。また、このレジスト膜は、コンタクトホール部分も覆っている。
また、シリコン積層片上にアルミニウム(Al)を500nmの厚みで積層させ、レジスト剥離用銅試験片同様に、ゲート線のパターンでアルミウム層をエッチングした。レジスト層への焼成処理も同じく170℃で5分間という条件で行った。このようにしてレジスト剥離用アルミ試験片を得た。
<評価>
レジストを剥離する能力(以下「剥離力」と呼ぶ。)として、それぞれの試験片を40℃に加温した各サンプル剥離液で40秒間処理し、光学顕微鏡でレジストの残留状態を確認した。そして、明らかに表面にレジストが残留している場合は評価を「×」(不合格若しくは失敗の意味である。)とし、レジストが問題ない状態まで剥離していれば「〇」(合格若しくは成功の意味である。)とした。
また、金属表面の腐食を抑制する能力(以下「金属ダメージ」と呼ぶ)として、40℃のサンプル剥離液中に4分間浸漬し処理した後の試験片の金属膜の腐食状態をSEM(Scanning Electron Microscope)で観察した。この観察では、エッチングされた部分を表面拡大視野および断面視野で観察した。
表面拡大視野では、銅層およびアルミニウム層の表面の腐食状態を確認した。特に、ゲート線の表面およびコンタクトホールの縁部における銅の状態を確認した。また断面視野では、エッチングされた金属層の傾斜面の荒れ状態や、傾斜角および銅のアンダーカットを確認した。
そして、各視野において、製造上適格でないと判断される状態の評価を「×」(不合格若しくは失敗の意味である。)とし、製造上適格と判断される状態の評価を「〇」(合格若しくは成功の意味である。)とした。
<サンプル剥離液>
各サンプル剥離液の組成を示す。以下各化合物を示すのに、以下の略語も用いる場合がある。
ヘキサメチレンイミン:HMI(CAS番号111−49−9)、
1−メチルピロリジン:1M−PRL(CAS番号:120−94−5)、
ジエチルホルムアミド:DEF(CAS番号:617−84−5)、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:BDG(CAS番号:112−34−5)、
N−メチルホルムアミド:NMF(CAS番号:123−39−7)、
2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール:MBET(CAS番号:88477−37−6)、
N−メチル−2−ピロリドン:NMP(CAS番号:872−50−4)、
ピペラジン:PIZ(CAS番号:110−85−0)、
N−メチルエタノールアミン:MMA(CAS番号:109−83−1)。
5−メチルベンゾトリアゾール:5M−BTA(CAS番号:136−85−6)、
アルギニン:Arg(CAS番号:74−79−3)、
リシン:Lys(CAS番号:70−54−2)、
ヒスチジン:His(CAS番号:71−00−1)
グリセロール:Glycerol(CAS番号:56−81−5)、
ソルビトール:Stol(CAS番号:50−70−4)。
(実施例1)
実施例1のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物としてHMIを1.0g、
アミノ酸としてArgを0.07g(環状アミン化合物に対して7質量%)、
保護剤としてMBETを0.01g(アミノ酸に対して14.3質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを0.30g(環状アミン化合物に対して30質量%)、
極性溶媒としてNMPを71.62g、水を27.0g、以上を混合して実施例1のサンプルとした。
(実施例2)
実施例2のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物としてHMIを4.0g、
アミノ酸としてArgを0.32g(環状アミン化合物に対して8質量%)、
保護剤としてMBETを0.09g(アミノ酸に対して28.1質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを1.60g(環状アミン化合物に対して40質量%)、
極性溶媒としてDEFを66.99g、水を27.0g、以上を混合して実施例2のサンプルとした。
(実施例3)
実施例3のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物として1M−PRLを1.0g、
アミノ酸としてArgを0.07g(環状アミン化合物に対して7質量%)、
保護剤としてMBETを0.01g(アミノ酸に対して14.3質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを0.30g(環状アミン化合物に対して30質量%)、
極性溶媒としてDEFを71.62g、水を27.0g、以上を混合して実施例3のサンプルとした。
(実施例4)
実施例4のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物として1M−PRLを4.0g、
アミノ酸としてArgを0.32g(環状アミン化合物に対して8質量%)、
保護剤として5M−BTAを0.09g(アミノ酸に対して28.1質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを1.60g(環状アミン化合物に対して40質量%)、
極性溶媒としてNMFを66.99g、水を27.0g、以上を混合して実施例4のサンプルとした。
(実施例5)
実施例5のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物として1M−PRLを3.0g、
アミノ酸としてArgを0.21g(環状アミン化合物に対して7質量%)、
保護剤としてMBETを0.03g(アミノ酸に対して14.3質量%)、
糖アルコールとしてソルビトールを0.90g(環状アミン化合物に対して30質量%)、
極性溶媒としてDEFを68.86g、水を27.0g、以上を混合して実施例5のサンプルとした。
(実施例6)
実施例6のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物として1M−PRLを1.0g、
アミノ酸としてLysを0.07g(環状アミン化合物に対して7質量%)、
保護剤としてMBETを0.01g(アミノ酸に対して14.3質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを0.10g(環状アミン化合物に対して10質量%)、
極性溶媒としてNMPを71.82g、水を27.0g、以上を混合して実施例6のサンプルとした。
(比較例1)
比較例1のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物としてHMIを1.0g、
アミノ酸としてArgを0.03g(環状アミン化合物に対して3質量%)、
保護剤としてMBETを0.006g(アミノ酸に対して20質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを0.30g(環状アミン化合物に対して30質量%)、
極性溶媒としてNMPを71.664g、水を27.0g、以上を混合して比較例1のサンプルとした。
(比較例2)
比較例2のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物としてHMIを4.0g、
アミノ酸としてArgを0.60g(環状アミン化合物に対して15量%)、
保護剤としてMBETを0.18g(アミノ酸に対して30質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを1.60g(環状アミン化合物に対して40質量%)、
極性溶媒としてDEFを66.62g、水を27.0g。以上を混合して比較例2のサンプルとした。
(比較例3)
比較例3のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物として1M−PRLを1.0g、
アミノ酸としてArgを0.07g(環状アミン化合物に対して7質量%)、
保護剤としてMBETを0.003g(アミノ酸に対して4.3質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを0.30g(環状アミン化合物に対して30質量%)、
極性溶媒としてDEFを71.627g、水を27.0g、以上を混合して比較例3のサンプルとした。
(比較例4)
比較例4のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物として1M−PRLを4.0g、
アミノ酸としてArgを0.32g(環状アミン化合物に対して8質量%)、
保護剤として5M−BTAを0.1g(アミノ酸に対して31質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを1.60g(環状アミン化合物に対して40質量%)、
極性溶媒としてNMFを66.98g、水を27.0g、以上を混合して比較例4のサンプルとした。
(比較例5)
比較例5のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
アミン化合物としてPIZを1.0g、
アミノ酸としてArgを0.07g(アミン化合物に対して7質量%)、
保護剤としてMBETを0.01g(アミノ酸に対して14.3質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを0.30g(環状アミン化合物に対して30質量%)、
極性溶媒としてDEFを71.62g、水を27.0g、以上を混合して比較例5のサンプルとした。
(比較例6)
比較例6のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
アミン化合物としてMMAを1.0g、
アミノ酸としてLysを0.07g(アミン化合物に対して7質量%)、
保護剤としてMBETを0.01g(アミノ酸に対して14.3質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを0.10g(環状アミン化合物に対して10質量%)、
極性溶媒としてNMPを71.82g、水を27.0g、以上を混合して比較例6のサンプルとした。
(比較例7)
比較例7のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物としてHMIを3.0g、
アミノ酸としてLysを0.21g(環状アミン化合物に対して7質量%)、
保護剤としてMBETを0.03g(アミノ酸に対して14.3質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを0.0g(糖アルコールは含まれていない。)、
極性溶媒としてNMPを69.76g、水を27.0g、以上を混合して比較例7のサンプルとした。
(比較例8)
比較例8のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物として1M−PRLを1.0g、
アミノ酸としてArgを0.07g(環状アミン化合物に対して7質量%)、
保護剤としてMBETを0.01g(アミノ酸に対して14.3質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを0.30g(環状アミン化合物に対して30質量%)、
極性溶媒としてBDGを71.62g、水を27.0g、以上を混合して比較例8のサンプルとした。
(比較例9)
比較例9のサンプル剥離液を以下の組成で調製した。
環状アミン化合物として1M−PRLを1.0g、
アミノ酸としてHisを0.07g(環状アミン化合物に対して7質量%)、
保護剤としてMBETを0.01g(アミノ酸に対して14.3質量%)、
糖アルコールとしてグリセロールを0.30g(環状アミン化合物に対して30質量%)、
極性溶媒としてDEFを71.62g、水を27.0g、以上を混合して比較例9のサンプルとした。
以上のサンプル剥離液を用意し、剥離試験を行った。実施例に関するサンプル剥離液の組成および剥離試験の結果を表1に、比較例に関するサンプル剥離液の組成および剥離試験の結果を表2および表3に示す。
表1を参照して、本発明の組成である実施例1から実施例6は、40℃40秒の処理条件で、170℃5分の条件の熱処理をかけたレジスト膜を剥離させることができた。したがって、剥離力の評価は「〇」であった。また、SEMによる観察においても、ゲート線およびコンタクトホールにおける銅膜の状態の状態も良好で、金属ダメージの評価も「〇」であった。また、モリブデンの腐食によるアンダーカットやモリブデンと銅との間の銅のアンダーカットについても、評価は「〇」であった。さらに、アルミニウム層における剥離力の評価も「〇」であった。なお、アルミに関しては、実施例および比較例とも問題なかった。
一方、比較例1および比較例2は、アミノ酸が少なすぎる場合(比較例1)と多すぎる場合(比較例2)である。アミノ酸が少なすぎると、モリブデンのアンダーカットが生じた。これは銅膜を適当に腐食できなかったからである。一方、アミノ酸が多すぎると、銅の表面が腐食された。
また、比較例3および比較例4は、保護剤が少なすぎる場合(比較例3)と、多すぎる場合(比較例4)である。保護剤が少なすぎると、アミノ酸による銅膜の腐食を防止できない。一方、保護剤が多すぎると、銅表面を腐食させることができず、モリブデンの腐食(アンダーカット)が生じた。
比較例5はアミンをピペラジンとしたものである。ピペラジンは環状アミンであるが、ハードベイクされたレジスト膜を剥離することができなった。比較例6はアミンをN−メチルエタノールアミン(アルカノールアミン)に置き換えた場合であるが、この場合もハードベイクされたレジスト膜を剥離することができなかった。
比較例7は、糖アルコールを添加しなかった場合である。この場合は、モリブデンと銅との間で腐食が生じ、銅のアンダーカット(表では「Cu U.C.」と記した。)が生じた。
比較例8は、極性溶媒をプロトン性有機溶媒であるジエチレングリコールモノブチルエーテルにした場合である。有機性極性溶媒をプロトン性にすると、モリブデンのアンダーカットが生じやすかった。
比較例9は、アミノ酸にヒスチジンを使った場合である。ヒスチジンは塩基性アミノ酸に分類されるが、モリブデンのアンダーカットが発生した。本発明に係る剥離液の組成では、ヒスチジンは、リシンやアルギニンと比較して、銅の腐食性が低かったと考えられる。
以上のように本発明に係るレジスト剥離液は、モリブデンと銅およびアルミニウムによる配線をフォトリソグラフィで形成する際の、モリブデンや銅の腐食による表面荒れやアンダーカットを抑制することができる。
本発明は、大面積の表示デバイスの製造工程におけるレジスト剥離工程に好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 剥離液全体量に対して0.5〜5質量%の2級環状アミンと、
    前記2級環状アミンに対して5〜10質量%の塩基性アミノ酸と、
    前記塩基性アミノ酸に対して10〜30質量%の保護剤と、
    前記2級環状アミンに対して10〜50質量%の糖アルコールと、
    有機極性溶媒と、
    水を含み、
    前記2級環状アミンは、ヘキサメチレンイミン若しくは1−メチルピロリジンの少なくとも一方であることを特徴とするレジスト剥離液。
  2. 前記塩基性アミノ酸は、アルギニン若しくはリシンの少なくとも何れかを含むことを特
    徴とする請求項1に記載されたレジスト剥離液。
  3. 前記保護剤は、ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−1H−ベンゾトリアゾール、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノールから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2の何れかの請求項に記載されたレジスト剥離液。
  4. 前記糖アルコールがグリセロール若しくはソルビトールの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1乃至の何れか一の請求項に記載されたレジスト剥離液。
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