以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に例示説明する。
本発明の路車間情報通信システムは、車両が走行する道路(車道)上に配置される路側機を備え、この路側機が車両に搭載された車載機との間で無線による情報通信を行うことで、道路上の要注意場所の位置情報及び要注意場所に関する注意情報を車両に伝達して車両の運転者に対して道路上に要注意場所があることを警告し、もって運転者の支援を行うものである。
道路上の要注意場所は、例えば、道路上で行われている工事現場の作業エリア、道路上の故障した車両や事故車両が停車している場所、積荷等の異物が道路上に落下している場所、道路が陥没等の破損をしている場所など、道路上にある期間だけ存在し、道路上を走行する車両が、その走行に際して注意が必要となる場所のことである。
本発明の路車間情報通信システムでは、路側機は、必ずしも道路上に固定状態で設置される必要はなく、可搬式ないし移動式となっていてもよく、道路上の任意の要注意場所に配置することができる。これにより、例えば工事現場の作業エリアのように道路上のある場所に所定の期間だけ要注意場所が設置される場合においても、当該要注意場所に路側機を配置することにより、その要注意場所の位置情報及び注意情報を車両に伝達する路車間情報通信システムを容易に構成することができる。
図1には、本発明の一実施の形態である路車間情報通信システム1を、中央線7の片側に複数の車線2a、2bが設けられた片側二車線の道路2(一般道路)の一方の車線2a上に設置された工事現場の作業エリア3を要注意場所とし、この作業エリア3の位置情報及び作業エリア3に関する注意情報を、道路2上を走行する車両4、119に伝達するとともに、車線2a上を走行する車両4に作業エリア3への飛込みに関する警告情報を伝達するものとした場合を示す。
この路車間情報通信システム1は、車両4、119が走行する道路2上に配置される路側機100を備えている。本実施の形態においては、路側機100は、配置体としての車両接近警告装置101とITS固定機102とを備えており、ITS固定機102が道路2上を走行する車両4、119に搭載された車載機200との間で無線により情報通信を行うことで、作業エリア3の道路2上における位置情報及び作業エリア3に関する注意情報(道路2上に作業エリア3があるという情報や、作業エリア3があることにより車線規制がされているとの情報)を無線で車両4、119に伝達することができる。また、本実施の形態においては、路側機100は、ITS固定機102が車線2a上を走行する車両4に搭載された車載機200との間で、車両接近警告装置101が発する警告信号を暗号化通信することにより、当該車両4に伝達して作業エリア3への飛込みに関する警告情報を伝達することができる。
以下では、まず車両接近警告装置101の詳細について説明する。
車両接近警告装置101は、道路2上の作業エリア3に配置されて車線2a上を走行する車両4の作業エリア3への飛込みから作業者5を保護するためのものである。すなわち、車両接近警告装置101は、作業エリア3から所定距離だけ離れた位置において車線2a上を作業エリア3に向けて走行する車両4の速度を監視し、当該位置において設定速度以上の速度で作業エリア3に近づく車両4を検知したときに、作業エリア3内で作業する作業者5に対して警告を発し、作業者5の作業エリア3外への退避を促すように作動するものである。これにより、万一、車両4が作業エリア3内に飛び込んでも、当該車両4の飛び込みから作業者5を保護することができる。
なお、図1において、車線2aは道路2の路側帯6の側の車線であり、車線2bは道路2の中央線7の側の車線である。また、作業エリア3は、工事箇所を囲むように道路2の車線2a上に配置された複数のパイロン8によって区画されている。なお、パイロン8に替えて、例えばフェンス等の他の部材によって作業エリア3を区画することもできる。
図1、図2に示すように、車両接近警告装置101は、ドップラーレーダ110と警告発生部120とを有している。
ドップラーレーダ110は、四角いケース111の内部にレーダ制御部112、無線送信機113、レーダ操作基板114、スイッチング電源115及び外部機器116との通信用のUSB変換器117が収容されるとともに、ケース111の外側に平面アレイアンテナ118が取り付けられて1つのユニットとされた構成となっている。
図3に示すように、平面アレイアンテナ118は平坦なアンテナ表面118aを有し、その内部に格子状に配列された多数のアンテナ素子(放射素子)を備えた構成となっている。
ドップラーレーダ110はパルスレーダ方式となっており、レーダ制御部112から平面アレイアンテナ118の各アンテナ素子に一定の励振条件で給電することにより、平面アレイアンテナ118からそのアンテナ表面118aに垂直な方向に向けて指向性の高いパルス波を送信することができる。また、ドップラーレーダ110は、送信したパルス波の反射波を平面アレイアンテナ118で受信することができる。
なお、ドップラーレーダ110は24GHzのパルス波を発するものとすることができるが、例えば19GHzのパルス波を発するものとするなど、その周波数は特に限定されない。
スイッチング電源115にはAC100Vの電源コネクタ115aが接続されており、この電源コネクタ115aを商用電源に接続することにより、スイッチング電源115を介してレーダ制御部112、無線送信機113及びレーダ操作基板114に電力が供給されるようになっている。
また、このドップラーレーダ110が工場から出荷される際には、例えばパーソナルコンピュータ等の外部機器116がUSB変換器117に接続され、当該ドップラーレーダ110の種々の機能の初期設定が行なわれる。
ドップラーレーダ110は、例えば三脚130等の支持手段に取り付けられて、図1に示すように、作業エリア3内の車線2aの幅方向の略中央に配置される。このとき、ドップラーレーダ110は、その平面アレイアンテナ118のアンテナ表面118aが車線2aの延在方向に垂直となるように当該車線2aの上流側(図1中において右側)に向けられるとともに、平面アレイアンテナ118が路面から1m程度の高さとなる姿勢で配置される。
このように、配置体としての車両接近警告装置101(ドップラーレーダ110)は可搬式(移動式)となっており、三脚130等の支持手段を用いることで道路2上の種々の場所に配置することができる。
上記のように車線2a上に配置されたドップラーレーダ110は、パルスレーダ方式のマスキングによって、平面アレイアンテナ118から予め設定された設定距離Lだけ離れた位置における車両4の速度を検知することができる。このとき、平面アレイアンテナ118は車線2aの延在方向に沿う方向に向けて指向性の高いパルス波を送信するので、ドップラーレーダ110は、作業エリア3が設けられない他の車線2bを走行する車両119の速度を誤って検知することなく、作業エリア3が設置された車線2a上を走行する車両4の速度のみを検知することができる。つまり、ドップラーレーダ110が送信するパルス波は、その設定距離Lにおいて車線2aの幅の範囲内に収まる程度の指向性を有する。このように、作業エリア3に配置されたドップラーレーダ110は、これが配置される車線2a上であって、その平面アレイアンテナ118から設定距離Lだけ離れた位置における車両4のみの速度を検知することができる。
なお、ドップラーレーダ110は、パルス波(電波)を用いて車両4の速度を検知するものであるので、降雨時や降雪時などの気象状況が悪い状況においても車両4の速度を正確に検知することができる。
図1に示すように、ドップラーレーダ110は平面アレイアンテナ118を車線2aの延在方向に垂直な姿勢として作業エリア3内の車線2aの幅方向の略中央に配置するのが好ましいが、車線2a上の平面アレイアンテナ118から設定距離Lだけ離れた位置において当該車線2aを走行する車両4のみの速度を検知することができる場所であれば、作業エリア3内の他の場所に配置するようにしてもよい。
ドップラーレーダ110のレーダ制御部112は監視部112aの機能を有しており、ドップラーレーダ110が、平面アレイアンテナ118から設定距離Lだけ離れた位置において検知した車両4の速度が、予め設定された設定速度以上であるときに、無線送信機113に向けて警告信号を出力するようになっている。
無線送信機113は、レーダ制御部112(監視部112a)から出力された警告信号が入力されると、当該警告信号を無線で警告発生部120に向けて送信する。
警告発生部120は、無線送信機113から無線で送信された警告信号を受信する受信機能を有しており、当該警告信号を受信したときに作業者5に対して警告を発するようになっている。つまり、警告発生部120は、レーダ制御部112(監視部112a)から出力された警告信号が入力されると作業者5に対して警告を発するようになっている。
無線送信機113と警告発生部120との間における警告信号の無線通信は、例えば特定小電力無線局を用いて構成することができる。
本実施の形態においては、警告発生部120は、作業者5の腕(手首)に装着される腕時計型端末に構成されている。この場合、警告発生部120は、振動モータ等の振動発生部(不図示)を備え、警告信号が入力されると、その振動発生部が作動して振動が発生するようになっている。つまり、警告発生部120は、振動によって作業者5に警告を認識させる構成とされている。
なお、警告発生部120は、作業者5の腕に装着される腕時計型端末に限らず、作業者5が携帯可能な他の形状の携帯端末や道路2上に配置される据え置き型の機器とすることもできる。また、警告発生部120は警告として振動を発生するものに限らず、例えばサイレンや回転灯、フラッシュライトなどとしてもよく、これらを複数組み合わせたものとしてもよい。
さらに、レーダ制御部112(監視部112a)から警告発生部120に無線で警告信号を送信する構成に限らず、レーダ制御部112(監視部112a)と警告発生部120とを有線で接続した構成とすることもできる。この場合、警告発生部120をドップラーレーダ110に組み込んだ構成とすることもできる。
このような車両接近警告装置101は、上記のように作業エリア3にドップラーレーダ110を設置し、作業エリア3内で作業する作業者5の腕に警告発生部120を装着しておくことにより、作業エリア3内への車両4の飛込みの際に作業者5に警告情報を伝達して当該作業者5を保護することができる。
つまり、作業エリア3が設置された車線2aを走行する車両4が作業エリア3つまり平面アレイアンテナ118から設定距離Lだけ離れた位置に達すると、ドップラーレーダ110により当該位置における車両4の速度が検知される。そして、検知した車両4の速度が予め設定された設定速度以上であれば、レーダ制御部112の監視部112aから警告信号が出力され、警告発生部120が振動して作業者5に警告が発せられる。
ここで、ドップラーレーダ110が車両4の速度を検知する位置つまり設定距離Lと、監視部112aが警告信号を発する閾値となる車両4の速度つまり設定速度は、当該車両4が設定距離Lの位置から作業エリア3に達して当該作業エリア3に飛び込むまでの前に、警告発生部120が発する警告を受けた作業者5が作業エリア3外の安全な場所に退避することができる値に設定される。したがって、ドップラーレーダ110により、作業エリア3に飛び込むおそれがある速度で走行する車両4を検知し、この検知結果に基づいて警告発生部120から作業者5に警告を発することで、作業者5に作業エリア3外への退避を促して、車両4の作業エリア3内への飛込みに対して確実に作業者5を保護することができる。
このように、この車両接近警告装置101では、ドップラーレーダ110により作業エリア3に飛び込む虞がある車両4を検知し、警告発生部120により作業者5に当該飛込みを警告するようにしたので、車両4の作業エリア3内への飛込みに対して作業者5を保護することができる。
また、この車両接近警告装置101では、ドップラーレーダ110は、平面アレイアンテナ118を備えるとともにパルスレーダ方式によるマスキングによって平面アレイアンテナ118から設定距離Lだけ離れた位置における車両4の速度を検知可能な構成であるので、複数の車線2a、2bが設けられた道路2の、その一つの車線2a上に作業エリア3が設置されている場合においても、ドップラーレーダ110によって、他の車線2b上の車両119の速度を検知することなく、当該作業エリア3が設けられた車線2a上を走行する車両4のみの速度を正確に検知し、検知した車両4の速度が設定速度以上であるときに警告発生部120に警告を発生させることができる。したがって、作業エリア3が設けられた車線2aを走行する車両4の当該作業エリア3への飛込みを精度よく検知することができる。
さらに、この車両接近警告装置101では、ドップラーレーダ110は作業エリア3の内部に設置すればよく、作業エリア3の上流側の離れた位置にドップラーレーダ110を設置する必要がないばかりでなく、作業エリア3の外にドップラーレーダ110を設置するための道路占有許可を取得する必要もないので、その設置作業が容易である。
車両接近警告装置101は、レーダ操作基板114を操作することにより、ドップラーレーダ110が車両4の速度を検知する設定距離Lおよびレーダ制御部112の監視部112aが警告を発する閾値となる車両4の速度つまり設定速度を変更することができる。
図4に示すように、レーダ操作基板114は、設定距離変更部として距離設定スイッチ140を備えており、この距離設定スイッチ140を操作することにより、ドップラーレーダ110が車両4の速度を検知する位置つまり設定距離Lを変更することができる。本実施の形態においては、距離設定スイッチ140の操作により、設定距離Lを、7m、30m、40mおよび50mの4つの距離のうちの1つに選択的に変更することができる。より具体的には、距離設定スイッチ140を押すたびに選択する設定距離Lを、7m、30m、40m、50mの順で順次変更することができる。レーダ操作基板114には距離設定スイッチ140の左側に各設定距離Lに対応する4つのLEDランプが並べて設けられており、選択された設定距離Lに対応するLEDランプが点灯することで、操作者は選択した設定距離Lを認識することができる。図4に示す場合では、50mに対応するLEDランプが点灯している。
また、図4に示すように、レーダ操作基板114は、設定速度変更部として速度設定スイッチ141を備えており、この速度設定スイッチ141を操作することにより、レーダ制御部112の監視部112aが警告を発する閾値となる車両4の速度つまり設定速度を変更することができる。本実施の形態においては、速度設定スイッチ141の操作により、設定速度を、10km/h、50km/h、60km/hおよび70km/hの4つの速度のうちの1つに選択的に変更することができる。より具体的には、速度設定スイッチ141を押すたびに選択する設定速度を、10km/h、50km/h、60km/h、70km/hの順で順次変更することができる。レーダ操作基板114には速度設定スイッチ141の左側に各設定速度に対応する4つのLEDランプが並べて設けられており、選択された設定速度に対応するLEDランプが点灯することで、操作者は選択した設定速度を認識することができる。図4に示す場合では、70km/hに対応するLEDランプが点灯している。
なお、レーダ操作基板114の操作は、ケース111の平面アレイアンテナ118とは反対側に設けた裏蓋を開けて行う構成とすることができるが、レーダ操作基板114の距離設定スイッチ140、速度設定スイッチ141及び各LEDランプをケース111の表面に配置した構成とすることもできる。また、ドップラーレーダ110の異常時に、距離設定スイッチ140に対応した4つのLEDランプ及び速度設定スイッチ141に対応した4つのLEDランプの全てが点滅する構成とすることもできる。
上記のように、ドップラーレーダ110が車両4の速度を検知する設定距離L及びレーダ制御部112の監視部112aが警告を発する閾値となる車両4の設定速度を変更可能な構成とすることにより、この車両接近警告装置101を種々の道路2に設けられる作業エリア(要注意場所)3に適用させることができる。
例えば、図5に示すように、片側二車線の道路2がカーブを有し、そのカーブの直後における車線2a上に作業エリア3が設置される場合には、設定距離Lを作業エリア3とカーブとの間の短い距離に対応したより短い距離に設定するとともに、監視部112aが警告を発する閾値となる車両4の設定速度をより遅い速度に設定することで、車両接近警告装置101を当該作業エリア3に適合させて、作業エリア3が設けられた車線2aを走行する車両4の当該作業エリア3への飛込みを精度よく検知させることができる。
ここで、図5においては、作業エリア3に配置されたドップラーレーダ110の平面アレイアンテナ118は、そのアンテナ表面118aが車線2aの延在方向に垂直となるように配向して設置されている。また、平面アレイアンテナ118のアンテナ表面118aの法線方向をs方向とし、位置A4にある車両4が位置B4まで走行した時の車両4の速度ベクトルをV4、速度ベクトルV4のs方向の成分をVp4、速度ベクトルV4のVp4と垂直な成分をVt4として示すとともに、位置A119にある車両119が位置B119まで走行した時の車両119の速度ベクトルをV119、速度ベクトルV119のs方向の成分をVp119、速度ベクトルV119のVp119と垂直な成分をVt119として示している。ここで、L1は車両119のドップラーレーダ110の平面アレイアンテナ118からの距離であり、位置B4のドップラーレーダ110の平面アレイアンテナ118からの距離Lは、車両4が走行する車線2aのカーブの終端から平面アレイアンテナ118までの距離である。
カーブを有する車線2aを走行する車両4は、カーブに進入する直前に減速し、位置B4近傍の直前で加速を開始し、位置B4を超えて制限速度に達するまで加速を継続するので、この間、車両4の速度ベクトルの大きさは時々刻々と変化することになる。
ここで、平面アレイアンテナ118は、該平面アレイアンテナ118のアンテナ表面118aが車線2aの延在方向に垂直となるように配向して設置され、かつ、ドップラーレーダ110が発するパルス波が、平面アレイアンテナ118から設定距離Lだけ離れた位置において、平面アレイアンテナ118が配置された車線2aの幅の範囲内に収まる程度の指向性を有するものであるので、ドップラーレーダ110は、車線2aのカーブを走行する車両4が位置B4近傍に到達したときに、車両4の速度ベクトルがたとえ時々刻々と変化していたとしても、当該車両4の速度ベクトルがs方向の速度成分Vp4を有していることに基づいて、当該車両4がほぼs方向の方位に存在することを検知することができる。また、設定距離Lが、車両4が走行する車線2aのカーブの終端から平面アレイアンテナ118までの距離に設定されているので、ドップラーレーダ110は、平面アレイアンテナ118から設定距離Lだけ離れた位置にある車両4を検知対象として検知することができる。
したがって、車両4が位置B4近傍にあることを高精度に検知し、車両4が位置B4近傍つまりカーブの終端において設定速度以上であるときに、作業エリア3に設けられた警告発生部120に向けて確実に警告信号を発することができる。
一方、隣接する車線2bを走行する車両119が位置A119近傍にあるとき、車両119の速度ベクトルV119がs方向の速度成分を有しているので、ドップラーレーダ110は、当該車両119がほぼs方向の方位に存在することを検知する。しかし、このとき、ドップラーレーダ110から車両119までの距離L1は設定距離Lよりも大きくなっているので、位置A119近傍にある車両119は検知対象として検知されない。また、車両119が位置B119近傍にまで到達したときには、ドップラーレーダ110から車両119までの距離は設定距離Lとなるが、車線2bを走行する車両119は平面アレイアンテナ118が配置された車線2aの幅の範囲外にあるので、車両119のs方向の速度成分Vp119はドップラーレーダ110の検知領域内に存在せず、よって、位置B119近傍にある車両119は検知対象として検知されない。
すなわち、ドップラーレーダ110の平面アレイアンテナ118に対してs方向にあって、かつ平面アレイアンテナ118からの距離Lの位置近傍にある車両4のみが、当該車両速度の瞬時値により検知対象として正確に検知(捕捉)される一方で、隣接する車線2bを走行する車両119は検知対象として検知されない。
以上から、以下の効果を得ることができる。すなわち、一般道にはカーブが多く、その下流のカーブに近いエリアで工事等の作業が行われる場合も多い。カーブの前後を走行する車両は、上述のように、カーブに進入する直前に減速し、カーブの終端に達する直前で加速を開始し、カーブ通過後に制限速度に達するまで加速を継続するように走行するので、その間、車両の速度は時々刻々と変化することになる。したがって、この変化する車両速度をドップラーレーダで正確に検知しても、検知後の車両速度を繰り返し計測しない限り速度変化は検知できないのみならず、その間にも車両は走行を続けているので、検知に要する時間と検知可能領域を予め十分確保する必要がある。
これに対し、上記車両接近警告装置101では、ドップラーレーダ110によって、走行する車両のs方向の速度成分(瞬時値)の有無により当該車両の方位を検知するとともに、平面アレイアンテナ118から当該車両までの距離が設定距離Lであるか否かによって車両の存在位置を正確に検知できるので、カーブ直後の狭小な下流領域であっても一回の計測によって正確に車両の位置を検知ないし捕捉することができる。したがって、カーブ直後の狭小な下流領域に作業エリア3が設定される場合であっても、当該作業エリア3の作業者に対して高い確度で警告を発することができる。
車両接近警告装置101は、ドップラーレーダ110が平面アレイアンテナ118から設定距離Lだけ離れた位置において検知した車両の速度が予め設定された設定速度以上であるときに警告信号を出力するが、この設定速度は、警告信号を出力する際のトリガとして用いられるものであって、車両の存在位置を正確に検知するには、ある任意の設定距離Lにおいて車両がs方向の速度成分を有するだけで十分である。すなわち、カーブ下流という車両速度が大きく変化する道路状況において、車両の位置の正確な検知を優先して実施した上で、警告信号の出力のトリガとする設定速度は、その時々の交通状況(車両混雑度、カーブ上流の見通しの良否など)や作業環境(作業エリアの道路占有面積、作業者の立ち位置など)を勘案して適宜設定すればよい。一方、設定距離Lについても、車両接近警告装置101からその上流側に存在する特定の通行障害物や見通し障害物等までの距離として設定してもよい。これにより、当該障害物から出てきた直後の車両を検知することができる。このような構成により、複雑な環境(見通しの悪い住宅地や交差点付近、駐車車両の存在など)の道路に作業エリア3を設けた場合であっても、当該作業エリア3における作業者の安全性を高めることができる。
一方、高速道路等においては、設定距離Lをより長い距離に設定するとともに、監視部112aが警告を発する閾値となる車両の設定速度をより高い速度に設定することで、作業エリア3が設けられた車線2aを走行する車両4の当該作業エリア3への飛込みを精度よく検知させることができる。
次に、ITS固定機102について説明する。
図1に示すように、ITS固定機102は配置体である車両接近警告装置101に設けられ、車両接近警告装置101とともに道路2上の作業エリア3に配置される。
図2に示すように、ITS固定機102は、配置位置検出部としてのGPS受信部150と、配置体側情報通信部としてのITS無線通信部160と、情報処理部170とを有している。
GPS受信部150は、GPSシステム(Global Positioning System、全地球測位システム)の受信機であり、GPSシステムを構成する衛星からの信号を受信することによりITS固定機102の位置すなわちITS固定機102が固定された車両接近警告装置101の位置を検出することができる。
ITS無線通信部160は、例えば「ARIB STD T−109(700MHz帯)」や「IEEE802.11p」等のITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)用の標準通信規格に基づいた通信が可能な無線通信機により構成される。本実施の形態においては、ITS無線通信部160は、「ARIB STD T−109(700MHz帯)」の規格に準拠した情報の通信が可能な無線通信機により構成されている。
図6に示すように、情報処理部170は、プロセッサ(演算処理装置)171とプロセッサ171に接続されたメモリ等の記憶部172とを備えている。
プロセッサ171は、GPS受信部150に対するGPS受信部間インターフェース173を有し、このGPS受信部間インターフェース173においてGPS受信部150に接続されている。これにより、プロセッサ171は、GPS受信部150からの入力に基づいて、ITS固定機102が固定された車両接近警告装置101の道路2上における位置つまり車両接近警告装置101の位置情報を得ることができる。
プロセッサ171は、車両接近警告装置101に対する車両接近警告装置間インターフェース174を有し、この車両接近警告装置間インターフェース174において車両接近警告装置101に接続されている。車両接近警告装置101の監視部112aが車両4の作業エリア3への飛込みの虞を検知すると、車両接近警告装置101から車両接近警告装置間インターフェース174を介してプロセッサ171に警告信号が入力される。
また、プロセッサ171は、例えば、車両接近警告装置101から車両接近警告装置間インターフェース174を介して入力される情報に基づいて作業エリア3に関する注意情報を得ることができる。
なお、作業エリア3に関する注意情報は、車両接近警告装置101からの入力情報に基づいたものに限らず、例えば図示しない入力手段からプロセッサ171に入力する構成とし、あるいは予め記憶部172に格納しておく構成とすることもできる。また、作業エリア3に、車両接近警告装置101に加えて工事標識や工事車両等の道路情報提示装置300が配置される場合には、プロセッサ171に設けた道路情報提示装置間インターフェース176において道路情報提示装置300をプロセッサ171に接続し、この道路情報提示装置300からプロセッサ171に作業エリア3に関する注意情報を入力させる構成とすることもできる。
プロセッサ171は、ITS無線通信部160に対するITS無線通信部間インターフェース175を有し、このITS無線通信部間インターフェース175においてITS無線通信部160に接続されている。
プロセッサ171に入力されて該プロセッサ171により処理された作業エリア3に関する注意情報、GPS受信部150からプロセッサ171に入力された車両接近警告装置101の位置情報及び車両接近警告装置101からプロセッサ171に入力された警告信号は、ITS無線通信部間インターフェース175を介してITS無線通信部160に送られ、ITS無線通信部160から車載機200に向けて無線で送信される。ITS無線通信部160の通信対象となる車載機200は、ITS無線通信部160の通信範囲内にある全車両の車載機200である。
本実施の形態においては、ITS固定機102は、配置体である車両接近警告装置101とは別体に構成され、車両接近警告装置101に固定される構成となっている。このようにITS固定機102を車両接近警告装置101とは別体の構成とすることにより、車両接近警告装置101とは異なる他の配置体にITS固定機102を固定することを可能として、ITS固定機102の汎用性を高めることができる。
なお、ITS固定機102を車両接近警告装置101とは別体に構成した場合には、ITS固定機102の電源コネクタを車両接近警告装置101の給電端子に接続する構成とすることができるが、当該電源コネクタを別途商用電源に接続する構成とすることもできる。
一方で、ITS固定機102は車両接近警告装置101に一体に設けた構成とすることもできる。この場合、車両接近警告装置101のレーダ制御部112とITS固定機102の情報処理部170とを、これらの両方の機能を有する1つの制御部で構成することもできる。
次に、車載機200について説明する。
図2に示すように、車載機200は、車両側情報通信部としてのITS無線通信部210、表示部220、車両位置検出部としてのGPS受信部230、車両側警告発生部240及び情報処理部250を有している。
ITS無線通信部210は、ITS固定機102のITS無線通信部160と同様に、「ARIB STD T−109(700MHz帯)」の規格に準拠した情報の通信が可能な無線通信機により構成されており、ITS固定機102のITS無線通信部160との間で無線による情報通信を行うことができる。すなわち、ITS無線通信部210は、ITS固定機102のITS無線通信部160から送信された、作業エリア3に関する注意情報、車両接近警告装置101の位置情報及び車両接近警告装置101の警告信号を受信することができる。
表示部220は、例えば車両に搭載されたナビゲーションシステム用のモニタである。ITS無線通信部210が受信した作業エリア3に関する注意情報と、車両接近警告装置101の位置情報は、それぞれ情報処理部250に入力され、画像情報に処理されて表示部220に送られる。これにより、表示部220に、作業エリア3に関する注意情報と、車両接近警告装置101の位置情報とが表示される。このとき、作業エリア3に関する注意情報と、車両接近警告装置101の位置情報とを、ナビゲーションシステムにより表示部220に表示された地図上などに表示することができる。これにより、車両4、119の運転者は、表示部220を視認することで、道路2上に作業エリア3があることや、その位置を認識することができる。
なお、表示部220は、作業エリア3に関する注意情報と車両接近警告装置101の位置情報とを運転者に対して表示することができるものであれば、ナビゲーションシステム用のモニタに限らず、ナビゲーションシステム用のモニタとは別の他のモニタで構成することもできる。
GPS受信部230は、GPSシステムの受信機であり、GPSシステムを構成する衛星からの信号を受信することにより、この車載機200が搭載された車両4、119の位置を検出する。GPS受信部230が検知した車両4、119の位置情報は、情報処理部250に入力される。
ここで、「ARIB STD T−109(700MHz帯)」の通信規格では、帯域幅1MHzを1チャンネルとし、路車間通信の通信期間と車車間通信の通信期間とを時間的に分けた方式を採用しており、路車間通信の通信期間ではTDMA方式により路側機から車載機に向けて一方向の送信のみが可能であり、車車間通信の通信期間では複数の車載機の間でCSMA/CA方式により双方向通信が可能となっている。
本実施の形態では、ITS固定機102のITS無線通信部160は、作業エリア3に関する注意情報及び車両接近警告装置101の位置情報については、上記した路車間通信の通信期間に路車間通信フレームを用いてTDMA方式により、当該注意情報及び位置情報を車載機200のITS無線通信部210に向けて送信するようにしている。
これに対して、車両接近警告装置101の警告信号は、車両接近警告装置101により検知された車線2a上を走行する車両4のみに伝達され、その他の車両(例えば車両119)には伝達されないようにする必要がある。そのため、ITS固定機102のITS無線通信部160から車載機200のITS無線通信部210へ警告信号を送信(転送)する際には、当該警告信号の暗号情報を送受信するために、ITS固定機102のITS無線通信部160と車載機200のITS無線通信部210との間で双方向通信を行う必要がある。そこで、本実施の形態では、車両接近警告装置101の警告信号については、路側機100を擬似停車車両とみなして、ITS固定機102のITS無線通信部160と車載機200のITS無線通信部210との間で、車車間通信の通信期間に車車間通信フレームを用いてCSMA/CA方式により双方向通信を行うようにしている。以下に、図7に基づき、車両接近警告装置101と車両4との間における情報の処理手順について説明する。
ITS固定機102のITS無線通信部160と車載機200のITS無線通信部210との間で暗号情報を双方向通信により送受信する前提として、車両4、119の車載機200の情報処理部250には公開鍵Aと秘密鍵aのデータが格納され、車両接近警告装置101の側となるITS固定機102の情報処理部170(記憶部172)には秘密鍵Bが格納されている。また、ITS固定機102(ITS無線通信部160)の通信範囲内にある全車両のうち、車両接近警告装置101で検知した警告対象の車両4を車両nとし、車両nが有する公開鍵をAn、秘密鍵をanとする。さらに、車両接近警告装置101が正規の車両接近警告装置であるとの情報が、予め車両側の情報処理部250に登録されている。
まず、ステップS1において、車両接近警告装置101が設けられた路側機100(ITS固定機102)の情報処理部170が、ITS無線通信部160の通信範囲内にある全車両に対して公開鍵Aと当該車両のGPS情報(位置情報)の送信を要求する。
これに対して、ステップS2において、車両nを含む全通信範囲の車両が、公開鍵AとGPS情報とを路側機100に向けて送信する。このとき車両nが送信する公開鍵は公開鍵Anである。
次に、車両nを含む全通信範囲の車両から公開鍵とGPS情報とを受信した車両接近警告装置101側の情報処理部170は、ステップS3において、車両接近警告装置101から入力される車両検知情報(検知時における車両4の位置情報)と、車両から入力されるGPS情報に基づき、通信範囲内にある全車両の中から車両接近警告装置101の検知対象となった車両nを特定する。ここで、車両接近警告装置101は、平面アレイアンテナ118のアンテナ表面118aの法線方向(図5におけるs方向)の方位と設定距離Lとで定まる車両(検知した車両)4の位置を、車両接近警告装置101自身のGPS情報と比較することにより車両4のGPS情報に変換する。さらに、この時、無線通信の伝搬時間やGPS情報の処理時間内にも車両4の位置(GPS情報)が変化することを考慮して、s方向上にあって設定距離Lよりも車両接近警告装置101側の直線上に存在する点の全てを車両4のGPS情報として扱うことができる。このようにして車両接近警告装置101で検知した車両4のGPS情報と車両nから転送されたGPS情報とを照合し、これらのGPS情報が同一であるときに車両4が車両nと同一車両であると特定する。
次に、情報処理部170は、ステップS4において、車両接近警告装置101側の秘密鍵Bと車両接近警告装置101から入力された被転送情報つまり警告信号とを、車両nの公開鍵Anで暗号化し、ステップS5において、当該暗号化した情報を送信する。
車両接近警告装置101の側から送信された暗号化情報は、通信範囲内の全ての車両が受信することができるが、車両n以外は公開鍵Anを復号化可能な秘密鍵anを持たないので、車両接近警告装置101の検知対象となった車両nのみが当該暗号化情報を復号化することができる。
暗号化情報を受信した車両nは、ステップS6において、転送された暗号化情報から秘密鍵anを用いて秘密鍵Bを取り出し、この秘密鍵Bに基づき、転送されてきた暗号化情報の送信元が、登録済みの車両接近警告装置101であるかを認証する。
そして、転送されてきた暗号化情報の送信元が登録済みの車両接近警告装置101であることが認証されると、当該暗号化情報を秘密鍵anで復号化し、警告信号が情報処理部250に入力される。
以上の通りに車両接近警告装置101と車両4との間で暗号化情報を送受信することにより、ITS無線通信部160の通信範囲内の全ての車両のうち、車両接近警告装置101の検知対象となった車両n(図1に示す場合では、車両4)のみに警告信号を伝達することができる。
車両nつまり車両4の情報処理部250に警告信号が伝達されると、その警告信号が車両側警告発生部240に入力され、車両側警告発生部240が運転者に対して警告を発する。これにより、車両4の運転者に、表示部220に表示される作業エリア3に関する情報及び当該作業エリア3の位置情報を伝達するだけでなく、当該車両4が作業エリア3に飛び込む虞があるとの警告情報を当該車両4の運転者に伝達することができる。すなわち、車両接近警告装置101による警告を、作業エリア3の作業者5だけでなく、車両4の運転者にも伝達することができる。
車両側警告発生部240は、車両の運転者に携帯される携帯型端末に構成することができる。この場合、車両側警告発生部240は、警告発生部120と同様に運転者の腕(手首)に装着される腕時計型端末に構成することができるが、携帯電話端末に車両側警告発生部240としての機能を持たせた構成とすることもできる。何れの場合においても、車両側警告発生部240は、例えば、振動モータ等の振動発生部(不図示)が振動を発生することにより運転者に警告を認識させる構成とすることができる。
なお、情報処理部250に入力された警告信号は、無線送信機260を介して無線で車両側警告発生部240に送信される。車両側警告発生部240は、無線送信機260から無線で送信された警告信号を受信する受信機能を有しており、当該警告信号を受信したときに運転者に対して警告を発する構成とすることができる。
無線送信機260と車両側警告発生部240との間における警告信号の無線通信は、例えば特定小電力無線局を用いて構成することができる。
なお、車両側警告発生部240は、車載機200と一体に構成することもできる。この場合、車両側警告発生部240は、振動に替えて、警告音や警告灯、音声等により警告情報を運転者に伝達する構成とすることもできる。
車載機200の情報処理部270を、例えば、車両に搭載された自動運転制御システムなどの他のシステムに接続して、この路車間情報通信システム1を他のシステムと連動させる構成とすることもできる。例えば、車載機200の情報処理部270を車両に搭載された自動運転制御システム400に接続した場合には、車両接近警告装置101からの警告信号が入力されたときに、車両4を自動運転制御システム400により自動的に停止ないし減速させる制御を行う構成とすることができる。これにより、車両4ないし作業エリア3の作業者5の安全性をさらに高めることができる。
以上の通り、本発明の路車間情報通信システム1によれば、道路2上に設定された作業エリア3の位置情報及び作業エリア3に関する注意情報を、道路2上を走行する車両4、119に伝達して、当該作業エリア3の周辺を走行する車両4、119の運転者に走行の注意を促すことができる。また、作業エリア3に車両4が飛び込む虞があるとの警告情報を、作業エリア3の作業者5に加えて、飛び込む虞がある車両4の運転者に対して高い確度で伝達することができ、これにより、車両4ないし作業エリア3の作業者5の安全性をさらに高めることができる。
図8は図1に示す路車間情報通信システムの変形例のブロック図である。また、図9は図8に示す道路情報提示装置の道路への設置の一例を概略で示す説明図であり、図10は図8に示す道路情報提示装置の変形例を示す説明図である。
図8に示す変形例の路車間情報通信システム1のように、配置体として車両接近警告装置101に替えて、道路2の情報を提示する道路情報提示装置300を用いることもできる。すなわち、路車間情報通信システム1を、車両接近警告装置101を備えない構成とすることもできる。
道路情報提示装置300は、例えば図9に示すように道路2上に配置される工事標識とすることができる。この場合、道路情報提示装置300にITS固定機102が固定され、この道路情報提示装置300に関する注意情報と当該道路情報提示装置300の位置情報とがITS固定機102から車両4、119に向けて送信される。これにより、道路2上を作業エリア3に向けて走行する車両4、119に道路情報提示装置300によって作業エリア3があることを認識させることができるとともに、道路2上に設定された作業エリア3の位置情報及び作業エリア3に関する注意情報を、道路2上を走行する車両4、119に無線で伝達して、当該作業エリア3の周辺を走行する車両4、119の運転者に走行の注意を促すことができる。
工事標識とされた道路情報提示装置300は、夜間における視認性を高めるために照明を備えた構成のものが好ましい。この場合、道路情報提示装置300に固定されるITS固定機102の電源を、道路情報提示装置300から供給することができる。
また、道路情報提示装置300は、ITS固定機102の情報処理部170に作業エリア3に関する注意情報を入力する構成とすることもできる。これにより、道路情報提示装置300にITS固定機102を装着することにより、当該ITS固定機102から容易に作業エリア3に関する注意情報を車両4、119に向けて送信することができる。
道路情報提示装置300は、例えば図10に示すように、道路2上で走行可能な工事車両とすることもできる。ここで、工事車両は車両の荷台に工事標識を備えたものである。この場合においても、道路情報提示装置300とされた工事車両の荷台の工事標識にITS固定機102が固定され、この道路情報提示装置300に関する注意情報と当該道路情報提示装置300の位置情報とがITS固定機102から車両4、119に向けて送信される。これにより、工事車両とされた道路情報提示装置300を作業エリア3に停車させておくことにより、道路2上を作業エリア3に向けて走行する車両4、119に道路情報提示装置300によって作業エリア3があることを認識させることができるとともに、道路2上に設定された作業エリア3の位置情報及び作業エリア3に関する注意情報を、道路2上を走行する車両4、119に無線で伝達して、当該作業エリア3の周辺を走行する車両4、119の運転者に走行の注意を促すことができる。
なお、図8〜図10に示す変形例においては、車載機200に車両側警告発生部240と無線送信機260とが設けられない構成とすることもできる。
詳細は図示しないが、道路情報提示装置300である工事標識や工事車両に配置体として車両接近警告装置101を搭載した構成とすることもできる。このような構成とすることにより、三脚130を用いる場合に比べて、車両接近警告装置101を道路2上のより高い位置に配置することができるので、例えば図5に示すように道路2にカーブがある場合などにおいて、ドップラーレーダ110による車両4の検知範囲を広くすることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施の形態においては、配置体側情報通信部と車両側情報通信部とを、ITS用の標準通信規格に基づいた通信を行う構成としているが、これに限らず、他の通信規格に基づいた通信を行うものとしてもよく、その通信規格は問わない。
また、車両接近警告装置101としては、上記構成のものに限らず、車両4の作業エリア3への飛び込みを警告することができるものであれば他の構成のものを用いることもできる。
さらに、車両接近警告装置101は、録画機能を有するビデオカメラを備えた構成とすることもできる。このカメラとしては、所謂ドライブレコーダなど、所定の加速度以上の衝撃を受けると、その衝撃を受ける前の所定時間の範囲の動画像または衝撃を受ける前後の所定時間の範囲の動画像を保存するカメラを用いるのが好ましい。車両接近警告装置101を、このようなカメラを備えた構成とすることにより、作業エリア3に車両4が飛び込んだ際に、その車両4の飛込みの様子をカメラにより記録して、当該飛込みの原因究明等に利用することができる。