以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係るロードセルを説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るロードセル1の斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るロードセル1の上面図である。また、図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。
[全体構成]
図1から図3を参照すると、本実施形態に係るロードセルは、起歪体10と、起歪体10に取り付けられた複数(本実施形態では8つ)のひずみゲージg11〜g14,g21〜g24とを備える。
本実施形態の起歪体10は、略円環状の扁平形状である。言い換えれば、本実施形態のロードセル1は、ワッシャ型のロードセルである。本実施形態のロードセル1は、例えば、圧延機の圧延ロールにかかる荷重の測定に適用可能である。本発明において扁平形状とは、図1に示すように、起歪体10の高さ方向の寸法Aに対する、起歪体10の高さ方向に直交する方向の最大寸法Bの比の値B/Aが、例えば2以上である形状のことをいう。本実施形態では、起歪体10の高さ方向に直交する方向の最大寸法Bは、起歪体10の直径である。
起歪体10は、弾性体である起歪体本体20と、起歪体本体20に設けられた複数(本実施形態では4つ)の穴部30A,30B,30C,30Dとを備える。また、図1及び図2に示すように、起歪体10は、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24を荷重指示計(図示せず)と接続するためのケーブル11と、ケーブル11を起歪体本体20の外側に引き出すためのケーブル引出口金具12とを備える。
本実施形態の起歪体本体20は、略円環状の扁平形状である。言い換えれば、起歪体本体20は、円筒状の最外側面21と、最外側面21と同軸に配置された円筒状の内側面22とを備える。起歪体本体20の最外側面21には、4つの穴部30A,30B,30C,30Dのそれぞれによって、4つの開口21aが形成されている。また、図2に示すように、起歪体本体20の最外側面21には、ケーブル引出口金具12が取り付けられるケーブル引出開口21bが設けられている。
本実施形態の起歪体本体20は、一方側(図3において上側)の端面に形成された第1受圧面23と、他方側(図3において下側)の端面に形成された第2受圧面24とを備える。第1受圧面23と第2受圧面24とは、円環状であり、互いに同軸に配置されている。起歪体本体20は、弾性体であり、第1受圧面23又は第2受圧面24が受けた荷重に相関して歪みを発生させる。
図2に示すように、本実施形態の穴部30A,30B,30C,30Dは、起歪体本体20の最外側面21から起歪体本体20の径方向の内側に向かうように延びている。穴部30A,30B,30C,30Dは、起歪体本体20の最外側面21に貫通するように設けられており、これにより、起歪体本体20の最外側面21には4つの開口21aが形成されている。また、穴部30A,30B,30C,30Dは、起歪体本体20の内側面22に貫通しないように設けられている。言い換えれば、穴部30A,30B,30C,30Dは、起歪体本体20の内側面22側に底を有する。また、本実施形態では、4つの穴部30A,30B,30C,30Dは、起歪体本体20の周方向に等間隔に設けられている。言い換えれば、4つの穴部30A,30B,30C,30Dは、起歪体本体20の周方向に90度間隔で設けられている。
穴部30A,30B,30C,30Dは、起歪体本体20の穴壁25によって画定されている。本発明の起歪体本体20の穴壁25は、穴部30A,30B,30C,30Dの底を画定する底壁25aと、穴部30A,30B,30C,30Dの底以外の外周を画定する側壁25bとを含む。
穴部30A,30B,30C,30Dは、起歪体本体20の最外側面21に形成された開口21aを形成する第1部分31と、第1部分31から起歪体本体20の径方向の内側に延びる第2部分32とを有する。
図1に示すように、穴部30A,30B,30C,30Dの第1部分31と第2部分32とは、奥行き方向(本実施形態では、径方向)に直交する断面において、円形の断面形状を有している。また、穴部30A,30B,30C,30Dの第1部分31の奥行き方向(本実施形態では径方向)に直交する断面の断面積は、穴部30A,30B,30C,30Dの第2部分32の奥行き方向(本実施形態では径方向)に直交する断面の断面積よりも大きい。また、図2に示すように、上面視において、穴部30A,30B,30C,30Dのそれぞれの第1部分31は、起歪体本体20の第1受圧面23と重複しないように配置されている。
本実施形態では、4つの開口21aは、前述したように、4つの穴部30A,30B,30C,30Dによって起歪体本体20の最外側面21に形成されている。図1に示すように、起歪体本体20の最外側面21に形成された開口21aは、穴部30A,30B,30C,30Dの断面形状に対応して円形状である。また、図2に示すように、4つの開口21aは、4つの穴部30A,30B,30C,30Dの位置に対応して、起歪体本体20の周方向に等間隔に設けられている。言い換えれば、4つの開口21aは、起歪体本体20の最外側面21に、起歪体本体20の周方向に90度間隔で設けられている。
本実施形態の起歪体10は、図2及び3に示すように、4つの穴部30A,30B,30C,30Dのそれぞれによって形成された4つの開口21aをそれぞれ封止する4つの金属製ダイヤフラム40を備える。図1では、金属製ダイヤフラム40の図示を省略している。本実施形態に係る金属製ダイヤフラム40は、本発明に係る気密部材の一例である。
金属製ダイヤフラム40は、開口21aを封止するように、起歪体本体20に溶接されている。金属製ダイヤフラム40は、可撓性を有する材料からなる。また、金属製ダイヤフラム40は、図2に示すように、上面視において、第1受圧面23と重複しないように配置されている。
図2に示すように、本実施形態の起歪体10は、穴部30A,30B,30C,30Dのうち起歪体本体20の周方向に隣接する2つと連通する少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の連結孔50A,50B,50C,50Dを有する。具体的には、連結孔50Aは、起歪体本体20の周方向に隣接する穴部30Aの第1部分31と穴部30Bの第1部分31と連通している。連結孔50Bは、起歪体本体20の周方向に隣接する穴部30Bの第1部分31と穴部30Cの第1部分31と連通している。連結孔50Cは、起歪体本体20の周方向に隣接する穴部30Cの第1部分31と穴部30Dの第1部分31と連通している。連結孔50Dは、起歪体本体20の周方向に隣接する穴部30Dの第1部分31と穴部30Aの第1部分31と連通している。
本実施形態の連結孔50A,50B,50C,50Dは、起歪体本体20の径方向に交差する方向に直線状に延びている。また、連結孔50Aと連結孔50Cとは、対向しており、互いに平行に延びている。同様に、連結孔50Bと連結孔50Dとは、対向しており、互いに平行に延びている。また、連結孔50Aは、穴部30Aにおいて連結孔50Dと連通しており、穴部30Bにおいて連結孔50Bと連通している。また、連結孔50Cは、穴部30Cにおいて連結孔50Bと連通しており、穴部30Dにおいて連結孔50Dと連通している。これにより、連結孔50A,50B,50C,50Dは、上面視において、矩形を構成している。
また、図2に示すように、起歪体10は、起歪体本体20の径方向に延び、起歪体本体20のケーブル引出開口21bから連結孔50Dに達するように設けられた取出孔13を備える。取出孔13は、ケーブル引出開口21bと連結孔50Dと連通している。
本実施形態のひずみゲージg11〜g14,g21〜g24は、起歪体本体20の厚さ方向(図3において上下方向)のひずみを検出するように、穴部30A,30B,30C,30Dに配置されている。図2に示すように、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24は、上面視において、第1受圧面23と重複するように配置されている。また、ひずみゲージg11〜g14と、ひずみゲージg21〜g24とは、穴部30A,30B,30C,30Dの奥行き方向で異なる位置に配置されている。具体的には、ひずみゲージg11〜g14とひずみゲージg21〜g24とは、円環状の第1受圧面23及び第2受圧面24の外側面(外径d1(図3に示す))と内側面(内径d2(図3に示す))との中心面Cを挟んで配置されている。ここで、中心面Cは、円筒面であり、中心面Cの直径dc(図3に示す)は、(d1+d2)/2である。ひずみゲージg11〜g14は、起歪体本体20の径方向について、おおよそ同じ位置に配置されている。また、ひずみゲージg21〜g24は、起歪体本体20の径方向について、おおよそ同じ位置に配置されている。
穴部30Aには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の内側にひずみゲージg11が配置されており、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の外側にひずみゲージg21が配置されている。言い換えれば、ひずみゲージg21は、ひずみゲージg11に対して起歪体本体20の径方向の外側に配置されている。ひずみゲージg11,g21は、穴部30Aの第2部分32を画定する起歪体本体20の穴壁25に取り付けられている。
穴部30Bには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の内側にひずみゲージg12が配置されており、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の外側にひずみゲージg22が配置されている。言い換えれば、ひずみゲージg22は、ひずみゲージg12に対して起歪体本体20の径方向の外側に配置されている。ひずみゲージg12,g22は、穴部30Bの第2部分32を画定する起歪体本体20の穴壁25に取り付けられている。
穴部30Cには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の内側にひずみゲージg13が配置されており、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の外側にひずみゲージg23が配置されている。言い換えれば、ひずみゲージg23は、ひずみゲージg13に対して起歪体本体20の径方向の外側に配置されている。ひずみゲージg13,g23は、穴部30Cの第2部分32を画定する起歪体本体20の穴壁25に取り付けられている。
穴部30Dには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の内側にひずみゲージg14が配置されており、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の外側にひずみゲージg24が配置されている。言い換えれば、ひずみゲージg23は、ひずみゲージg13に対して起歪体本体20の径方向の外側に配置されている。ひずみゲージg14,g24は、穴部30Dの第2部分32を画定する起歪体本体20の穴壁25に取り付けられている。
図3に示すように、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24には、リード線Lが接続されている。明瞭な説明のため、図1及び図2では、リード線Lの図示を省略しており、図3では、ひずみゲージg21に接続されたリード線Lのみを図示している。
ひずみゲージg11〜g14のリード線Lは、連結孔50A,50B,50C,50Dを通して結線されている。同様に、ひずみゲージg21〜g24のリード線Lは、連結孔50A,50B,50C,50Dを通して結線されている。また、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24のリード線Lは、取出孔13を通じて、ケーブル11に接続されており、ケーブル引出口金具12から、起歪体本体20の外部に引き出されている。ケーブル11は、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24のリード線Lと、荷重指示計(図示せず)を電気的に接続している。
[ロードセルの回路構成]
図4は、第1実施形態に係るロードセル1の回路図である。
図4を参照すると、ひずみゲージg11〜g14は、ブリッジ回路60を形成するように互いに接続されている。より詳細には、ブリッジ回路60は、ひずみゲージg11〜g14と、温度補償用のダミーゲージd11〜d14とによって形成されている。前述したように、ひずみゲージg11〜g14は、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の内側に配置されているため、ブリッジ回路60は、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の内側での起歪体本体20のひずみを電気信号として出力する。図1から図3では、ダミーゲージd11〜d14の図示は省略されている。本実施形態に係るひずみゲージg11〜g14は、本発明に係る第1ひずみゲージ又は第2ひずみゲージの一例である。また、本実施形態に係るブリッジ回路60は、本発明に係る第1ブリッジ回路又は第2ブリッジ回路の一例である。
また、ひずみゲージg21〜g24は、ブリッジ回路61を形成するように互いに接続されている。より詳細には、ブリッジ回路61は、ひずみゲージg21〜g24と、温度補償用のダミーゲージd21〜d24とによって形成されている。前述したように、ひずみゲージg21〜g24は、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の外側に配置されているため、ブリッジ回路61は、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体20の径方向の外側での起歪体本体20のひずみを電気信号として出力する。図1から図3では、ダミーゲージd21〜d24の図示は省略されている。本実施形態に係るひずみゲージg21〜g24は、本発明に係る第1ひずみゲージ又は第2ひずみゲージの一例である。また、本実施形態に係るブリッジ回路61は、本発明に係る第1ブリッジ回路又は第2ブリッジ回路の一例である。
図4に示すように、ブリッジ回路60と、ブリッジ回路61とは、電気的に並列に接続されており、ブリッジ回路60の出力電圧と、ブリッジ回路61の出力電圧とは、並列和算されて出力される。
また、ブリッジ回路60の一方側の出力線には、ブリッジ回路60の出力を調整するための第1出力調整抵抗Δr1が設けられている。同様に、ブリッジ回路61の一方側の出力線には、ブリッジ回路61の出力を調整するための第2出力調整抵抗Δr2が設けられている。本実施形態の第1出力調整抵抗Δr1と、第2出力調整抵抗Δr2とは、本発明に係る調整抵抗の一例である。
第1出力調整抵抗Δr1と、第2出力調整抵抗Δr2とは、ブリッジ回路60の出力感度とブリッジ回路61の出力感度とを調整するために設けられている。例えば、起歪体本体20の第1受圧面23(図1に示す)に偏荷重が作用した場合であっても、ブリッジ回路60の出力電圧と、ブリッジ回路61の出力電圧との差がなくなるように、第1出力調整抵抗Δr1の大きさと第2出力調整抵抗Δr2の大きさとは調整されている。また、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24の接着位置のばらつきに起因するブリッジ回路60の出力電圧とブリッジ回路61の出力電圧との差がなくなるように、第1出力調整抵抗Δr1の大きさと第2出力調整抵抗Δr2の大きさとは調整されている。
本実施形態によれば、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24は、起歪体本体20の最外側面21に開口21aを形成する穴部30A,30B,30C,30Dのそれぞれに配置されている。このため、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24の起歪体10への取り付け作業を、起歪体本体20の最外側面21に形成された開口21aから行うことができるので、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24の起歪体10への取り付け作業の作業性を向上できる。
また、本実施形態によれば、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24を取り付けるための開口21aが金属製ダイヤフラム40によって封止されることで、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24が外部に露出することが抑制される。その結果、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24が外部環境の影響を受けにくくなり、ロードセル1の耐環境性を向上できる。
本実施形態では、金属製ダイヤフラム40は、起歪体本体20の一部に形成された開口21aに溶接されている。開口21aに金属製ダイヤフラム40を溶接するために必要な溶接長は、起歪体本体20の最外側面21の全周に気密部材(例えば円筒状の薄板)を溶接するために必要な溶接長と比較して短い。これにより、起歪体本体20の最外側面21の全周に気密部材を溶接する場合と比較して、溶接部に応力が集中し難く、ロードセル1が溶接部から破損することが抑制されるので、ロードセル1の耐環境性を向上できる。
金属製ダイヤフラム40は、可撓性があるため、第1受圧面23に荷重が作用した場合に起歪体本体20の変形に影響を与えにくい。また、金属製ダイヤフラム40は、上面視において、第1受圧面23と重複しないように配置されているので、第1受圧面23に荷重が作用した場合に、金属製ダイヤフラム40によって荷重が支持されにくい。その結果、金属製ダイヤフラム40がロードセル1の測定精度に与える影響を抑制できる。
本実施形態によれば、ブリッジ回路60を形成するためのひずみゲージg11〜g14のリード線Lが、開口21aが封止された起歪体本体20内に設けられた連結孔50A,50B,50C,50Dを通じて結線されている。同様に、ブリッジ回路60を形成するためのひずみゲージg21〜g24のリード線Lが、開口21aが封止された起歪体本体20内に設けられた連結孔50A,50B,50C,50Dを通じて結線されている。その結果、ブリッジ回路60及びブリッジ回路61を形成するためのリード線Lが外部に露出せず、ブリッジ回路60とブリッジ回路61とが外部環境の影響を受けにくいので、耐環境性を向上できる。
本実施形態によれば、ブリッジ回路60からの出力と、ブリッジ回路61からの出力とが第1出力調整抵抗Δr1及び第2出力調整抵抗Δr2によって調整される。その結果、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24の取り付け位置の不正確さ又は偏荷重などに起因してブリッジ回路60とブリッジ回路61との間に出力感度の差異があっても、測定精度を向上できる。
また、本実施形態のように、起歪体10が扁平形状である場合には、起歪体本体20の第1受圧面23に偏荷重が作用すると、起歪体本体20の偏荷重が作用する一部に部分的にひずみが発生することがある。このため、扁平な起歪体10には、偏荷重の影響のない定まった応力中立面は存在しない。本実施形態のロードセル1は、前述したように、起歪体10に偏荷重が作用した場合であっても、測定精度を向上できるので、起歪体10が扁平形状である場合に特に有効である。
ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24が配置される穴部30A,30B,30C,30Dの第2部分32が第1部分31よりも小さく形成されている。これにより、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24の起歪体10への取り付け作業又はリード線Lの結線作業を作業するための開口21aの大きさが確保されつつ、穴部30A,30B,30C,30Dによるロードセル1の強度の低下が抑制される。その結果、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24の起歪体10への取り付け作業又はリード線Lの結線作業を容易にするとともに、穴部30A,30B,30C,30Dによるロードセル1の強度の低下を抑制できる。
本実施形態によれば、起歪体本体20の最外側面21に形成された開口21aを金属製ダイヤフラム40によって封止しているので、開口21aを樹脂などによって封止する場合と比較して、耐環境性を向上できる。
本実施形態では、ブリッジ回路60とブリッジ回路61の2つのブリッジ回路を形成していたが、第1受圧面23及び第2受圧面24の幅(起歪体本体20の径方向についての寸法)が小さい場合には、1つのブリッジ回路のみを備えていてもよい。言い換えれば、ひずみゲージg21〜g24を備えなくてもよい。この場合、ひずみゲージg11〜g14は、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面C上に配置されることが好ましい。
(第2実施形態)
第2実施形態のロードセル101は、起歪体110の形状、連結孔の構成、及びひずみゲージg31〜34を備える点などを除いて、第1実施形態のロードセル1と同様の構成を有する。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素は、第1実施形態と同様の参照符号を付して示し、その詳細な説明を省略する。
図5は、本発明の第2実施形態に係るロードセル101の斜視図である。図6は、本発明の第2実施形態に係るロードセル101の上面図である。また、図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図である。
[全体構成]
図5から図7を参照すると、本実施形態のロードセル101は、略円盤状の扁平形状の起歪体110と、起歪体110に取り付けられたひずみゲージg11〜g14,g21〜g24,g31〜g34とを備える。本実施形態のロードセル101は、ディスク型のロードセルである。本実施形態のロードセル101は、例えば、圧延機の圧延荷重の測定に適用可能である。
図6及び図7に示すように、本実施形態の起歪体本体120の内側面22は、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24,g31〜g34の結線作業を容易にするため空間である貫通孔126を画定している。
図7に示すように、本実施形態の起歪体本体120は、貫通孔126によって起歪体本体120の一方側(図7において上側)の端面に形成された第1開口126aを備える。また、起歪体本体120は、貫通孔126によって起歪体本体120の他方側(図7において下側)の端面に形成された第2開口126bを備える。第1開口126aと第2開口126bとは、金属製ダイヤフラム141によって封止されている。金属製ダイヤフラム141は、起歪体本体120に溶接されている。本実施形態の金属製ダイヤフラム141は、本発明に係る気密部材の一例である。
図6に示すように、本実施形態の起歪体110は、穴部30A及び貫通孔126と連通している連結部150Aと、穴部30B及び貫通孔126と連通している連結部150Bとを備える。また、本実施形態の起歪体110は、穴部30C及び貫通孔126と連通している連結部150Cと、穴部30D及び貫通孔126と連通している連結部150Dとを備える。連結部150Aは、穴部30Aと同軸に位置合わせされている。連結部150Bは、穴部30Bと同軸に位置合わせされている。連結部150Cは、穴部30Bと同軸に位置合わせされている。連結部150Dは、穴部30Dと同軸に位置合わせされている。また、連結部150A,150B,150C,150Dは、貫通孔126から放射状に起歪体本体120の径方向に延びている。また、本実施形態の取出孔13は、貫通孔126と連通している。
本実施形態では、起歪体本体の軸方向に延びる貫通孔126と、起歪体本体120の径方向に延びる4つの連結部150A,150B,150C,150Dのうちの2つとによって、本発明に係る連結孔を構成している。具体的には、連結部150A,150Bと貫通孔126とによって構成される連結孔は、穴部30Aと穴部30Bとに連通する。連結部150A,150Cと貫通孔126とによって構成される連結孔は、穴部30Aと穴部30Cとに連通する。連結部150A,150Dと貫通孔126とによって構成される連結孔は、穴部30Aと穴部30Dとに連通する。連結部150B,150Cと貫通孔126とによって構成される連結孔は、穴部30Bと穴部30Cとに連通する。連結部150B,150Dと貫通孔126とによって構成される連結孔は、穴部30Bと穴部30Dとに連通する。連結部150C,150Dと貫通孔126によって構成される連結孔は、穴部30Cと穴部30Dとに連通する。
本実施形態のひずみゲージg11〜g14,g21〜g24,g31〜g34は、起歪体本体120の厚さ方向(図7において上下方向)のひずみを検出するように、穴部30A,30B,30C,30Dに配置されている。図6に示すように、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24,g31〜g34は、上面視において、第1受圧面23と重複するように配置されている。ひずみゲージg11〜g14と、ひずみゲージg21〜g24と、g31〜g34とは、穴部30A,30B,30C,30Dの奥行き方向で異なる位置に配置されている。ひずみゲージg11〜g14は、起歪体本体120の径方向について、おおよそ同じ位置に配置されている。また、ひずみゲージg21〜g24は、起歪体本体120の径方向について、おおよそ同じ位置に配置されている。ひずみゲージg31〜g34は、起歪体本体120の径方向について、おおよそ同じ位置に配置されている。
穴部30Aには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体120の径方向の内側にひずみゲージg11が配置されており、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに重複するようにひずみゲージg21が配置されている。また、穴部30Aには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体120の径方向の外側にひずみゲージg31が配置されている。言い換えれば、ひずみゲージg11,g21,g31は、起歪体本体120の径方向の内側から外側に向かってこの順番で配置されている。
穴部30Bには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体120の径方向の内側にひずみゲージg12が配置されており、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに重複するようにひずみゲージg22が配置されている。また、穴部30Bには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体120の径方向の外側にひずみゲージg32が配置されている。言い換えれば、ひずみゲージg12,g22,g32は、起歪体本体120の径方向の内側から外側に向かってこの順番で配置されている。
穴部30Cには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体120の径方向の内側にひずみゲージg13が配置されており、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに重複するようにひずみゲージg23が配置されている。また、穴部30Cには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体120の径方向の外側にひずみゲージg33が配置されている。言い換えれば、ひずみゲージg13,g23,g33は、起歪体本体120の径方向の内側から外側に向かってこの順番で配置されている。
穴部30Dには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体120の径方向の内側にひずみゲージg14が配置されており、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに重複するようにひずみゲージg24が配置されている。また、穴部30Dには、第1受圧面23及び第2受圧面24の中心面Cに対して起歪体本体120の径方向の外側にひずみゲージg34が配置されている。言い換えれば、ひずみゲージg14,g24,g34は、起歪体本体120の径方向の内側から外側に向かってこの順番で配置されている。
図7に示すように、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24,g31〜g34には、リード線Lが接続されている。なお、明瞭な説明のため、図5及び図6では、リード線Lの図示を省略しており、図7では、ひずみゲージg11に接続されたリード線Lのみを図示している。
ひずみゲージg11〜g14のリード線Lは、連結部150A,150B,150C,150D及び貫通孔126を通して結線されている。同様に、ひずみゲージg21〜g24のリード線Lは、連結部150A,150B,150C,150D及び貫通孔126結線されている。ひずみゲージg31〜g34のリード線Lは、連結部150A,150B,150C,150D及び貫通孔126を通して結線されている。また、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24,g31〜g34のリード線Lは、取出孔13を通じて、ケーブル11に接続されており、ケーブル引出口金具12から、起歪体本体120の外部に引き出されている。
[ロードセルの回路構成]
図8は、第2実施形態に係るロードセル101の回路図である。
ひずみゲージg31〜g34は、ブリッジ回路162を形成するように互いに接続されている。より詳細には、ブリッジ回路162は、ひずみゲージg31〜g34と、温度補償用のダミーゲージd31〜d34とによって形成されている。図5から図7では、ダミーゲージd31〜d34の図示は省略されている。本実施形態に係るひずみゲージg31〜g34は、本発明に係る第1ひずみゲージ又は第2ひずみゲージの一例である。また、本実施形態に係るブリッジ回路162は、本発明に係る第1ブリッジ回路又は第2ブリッジ回路の一例である。
図8に示すように、ブリッジ回路60と、ブリッジ回路61と、ブリッジ回路162とは、電気的に並列に接続されており、ブリッジ回路60の出力電圧と、ブリッジ回路61の出力電圧と、ブリッジ回路162の出力電圧は、並列和算されて出力される。
また、ブリッジ回路162の一方側の出力線には、ブリッジ回路162の出力を調整するための第3出力調整抵抗Δr3が設けられている。本実施形態の第3出力調整抵抗Δr3は、本発明に係る調整抵抗の一例である。
第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
[変形例]
図9は、第2実施形態の変形例に係るロードセル201の斜視図である。図10は、本発明の第2実施形態の変形例に係るロードセル201の上面図である。また、図11は、図10のXI−XI線に沿った断面図である。
図9から図11を参照すると、本変形例に係る起歪体210は、穴部30A,30B,30C,30Dに連通し、起歪体本体220の軸方向に延びる4つの作業穴280を備える。図10に示すように、4つの作業穴280は、上面視において、それぞれひずみゲージg11〜g14と重複するように配置されている。図11に示すように、本変形例の起歪体本体220は、作業穴280によって起歪体本体220の一方側(図11において上側)の端面に形成された作業開口280aを備える。作業開口280aは、金属製ダイヤフラム242によって封止されている。金属製ダイヤフラム242は、起歪体本体220に溶接されている。本実施形態の金属製ダイヤフラム242は、本発明に係る気密部材の一例である。なお、図9及び図10では、金属製ダイヤフラム242の図示を省略している。
本変形例によれば、作業穴280からひずみゲージg11〜g14の取り付けの作業を行えるので、ひずみゲージg11〜g14の起歪体210への取り付け作業性を向上できる。
(第3実施形態)
第3実施形態のロードセル301は、起歪体310の形状などを除いて、第2実施形態のロードセル101と同様の構成を有する。第3実施形態では、第2実施形態と同様の構成要素は、第2実施形態と同様の参照符号を付して示し、その詳細な説明を省略する。第3実施形態では、図8を援用する。
図12は、本発明の第3実施形態に係るロードセル301の斜視図である。図13は、本発明の第2実施形態に係るロードセル301の上面図である。
図12を参照すると、本実施形態の起歪体310は、略矩形平板状の扁平形状である。図12に示すように、本実施形態では、起歪体310の高さ方向に直交する方向の最大寸法Bは、起歪体310の対角線の寸法である。
本実施形態の起歪体310は、弾性体である起歪体本体320と、起歪体本体320に設けられた複数(本実施形態では3つ)の穴部330A,330B,330Cとを備える。
本実施形態の起歪体本体320は、起歪体本体320の長手方向に沿って延びる第1最外側面321と、起歪体本体320の長手方向に沿って延び、第1最外側面321と反対側に配置された第2最外側面322(図13に示す)とを備える。起歪体本体320の第1最外側面321には、3つの穴部330A,330B,330Cのそれぞれによって、3つの開口321aが形成されている。図13に示すように、起歪体本体320の第2最外側面322には、3つの穴部330A,330B,330Cのそれぞれによって、3つの開口322aが形成されている。また、起歪体本体320の第1最外側面321にはケーブル11を起歪体本体320の外側に引き出すためのケーブル引出開口321bが設けられている。
本実施形態の起歪体本体320は、一方側(図12において上側)の端面に形成された第1受圧面323と、他方側(図12において下側)の端面に形成された第2受圧面(図示せず)とを備える。本実施形態の第1受圧面323と第2受圧面とは、矩形平板状である。
本実施形態の穴部330A,330B,330Cは、起歪体本体320の第1最外側面321から第2最外側面322に向かうように延びている。穴部330A,330B,330Cは、起歪体本体320の第1最外側面321及び第2最外側面322に貫通するように設けられている。これにより、起歪体本体320の第1最外側面321には3つの開口321aが形成されており、起歪体本体320の第2最外側面322には3つの開口322aが形成されている。起歪体本体320の第1最外側面321に形成された3つの開口321aと、第2最外側面322に形成された3つの開口322aとは、金属製ダイヤフラム340によって封止されている。この金属製ダイヤフラム340は、起歪体本体320に溶接されている。なお図12では、金属製ダイヤフラム340の図示を省略している。
穴部330A,330B,330Cは、起歪体本体320の第1最外側面321に開口321aを形成する第1部分331と、第1部分331から起歪体本体320の第2最外側面322に向かって延びる第2部分332とを有する。また、本実施形態の穴部330A,330B,330Cは、起歪体本体320の第2最外側面322に開口322aを形成する第3部分333を備える。本実施形態の穴部330A,330B,330Cの第1部分331と第2部分332と第3部分333とは、連通している。
穴部330A,330B,330Cの第1部分331と第2部分332と第3部分333は、奥行き方向に直交する断面において、円形の断面形状を有している。また、穴部330A,330B,330Cの第1部分331及び第3部分333の奥行き方向に直交する断面の断面積は、第2部分332の奥行き方向に直交する断面の断面積よりも大きい。また、図13に示すように、上面視において、穴部330A,330B,330Cの第1部分331及び第3部分333は、起歪体本体320の第1受圧面323と重複しないように配置されている。
図13に示すように、本実施形態の起歪体310は、穴部330A,330Bと連通する連結部350Aと、穴部330B,330Cと連通する連結部350Bとを有する。本実施形態の連結部350A,350Bとで本発明に係る連結孔を構成している。
連結部350Aは、起歪体本体320の穴部330Aの第1部分331と、穴部330Bの第1部分331と連通する。連結部350Bは、穴部330Bの第1部分331と、穴部330Cの第1部分331と連通する。連結部350A,350Bは、起歪体本体320の長手方向の両側の最外側面に開口を形成している。起歪体本体320の長手方向の両側の最外側面に連結部350A,350Bによって形成された開口は、栓351によって閉塞されている。
また、起歪体310は、起歪体本体320のケーブル引出開口321bから連結部350Aに達するように設けられた取出孔313を備える。取出孔313は、ケーブル引出開口321bと連結部350Aとを連通する。
本実施形態のひずみゲージg11〜g14,g21〜g24,g31〜g34は、起歪体本体320の厚さ方向のひずみを検出するように、穴部330A,330B,330Cに配置されている。図13に示すように、ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24,g31〜g34は、上面視において、第1受圧面323と重複するように配置されている。本実施形態のひずみゲージg11〜g14は、穴部330Aに配置されている。本実施形態のひずみゲージg21〜g24は、穴部330Bに配置されている。本実施形態のひずみゲージg31〜g34は、穴部330Cに配置されている。
穴部330Aには、前述したように、ひずみゲージg11〜g14が配置されている。本実施形態のひずみゲージg11〜g14は、穴部330Aの第1部分331から第3部分333に向かってこの順番で配置されている。
穴部330Bには、前述したように、ひずみゲージg21〜g24が配置されている。本実施形態のひずみゲージg21〜g24は、穴部330Bの第1部分331から第3部分333に向かってこの順番で配置されている。
穴部330Cには、前述したように、ひずみゲージg31〜g34が配置されている。本実施形態のひずみゲージg31〜g34は、穴部330Cの第1部分331から第3部分333に向かってこの順番で配置されている。
ひずみゲージg11〜g14,g21〜g24,g31〜g34のリード線は、取出孔313を通じて、ケーブル11に接続されており、ケーブル引出口金具12から、起歪体本体320の外部に引き出されている。
第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
以上より、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
例えば、第1実施形態では、ロードセルに形成された回路は、2つの調整抵抗を有していたが、これに限定されず、1つの調整抵抗を備えていればよい。第2実施形態及び第3実施形態では、ロードセルに形成された回路は、3つの調整抵抗を有していたが、これに限定されず、2つの調整抵抗を備えていればよい。
また、第1実施形態から第3実施形態では、開口を封止するために金属製ダイヤフラムを用いたが、例えば、樹脂のような他の気密部材を用いても良い。この場合、ロードセルは、使用環境の厳しくない用途に適用可能である。