JP6619460B2 - ヒト化抗タウ(pS422)抗体及び使用法 - Google Patents

ヒト化抗タウ(pS422)抗体及び使用法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、配列番号03のリン酸化タウ断片に特異的に結合するヒト化抗タウ(pS422)抗体及び脳疾患の処置のためのその使用に関する。
背景
ヒトタウ(微小管結合タンパク質タウ(神経原線維変化タンパク質、ペアードヘリカルフィラメント−タウ、PHF−タウ))は、軸索に主に見られる神経微小管結合タンパク質であり、かつチューブリンの重合を促進するように及び微小管を安定化させるように機能する。8つのアイソフォーム(アイソフォームA、B、C、D、E、F、G、胎児−タウ)がヒト脳に見られ、最も長いアイソフォームは441アミノ酸を含む(アイソフォームF、Uniprot P10636-8)。タウ及びその特性はまた、Reynolds, C.H., et al., J. Neurochem. 69 (1997) 191-198によっても記載されている。
タウは、その過剰リン酸化形態では、アルツハイマー病(AD)の脳内の神経原線維病変の構築ブロックであるペアードヘリカルフィラメント(PHF)の主要成分である。タウは、GSK3β、cdk5、MARK、及びMAPキナーゼファミリーメンバーをはじめとするいくつかの異なるキナーゼによってそのセリン残基又はトレオニン残基においてリン酸化され得る。
タウオパチーはタウの異常な過剰リン酸化によって特徴付けられ、そしてIqbal, K., et al.(Biochim. Biophys. Acta 1739(2005)198-210)によると:
・神経原線維型の疾患をはじめとする、アルツハイマー病
・ダウン症候群、成人の症例
・グアムパーキンソニズム痴呆複合
・ボクサー認知症
・ピック病
・嗜銀顆粒性認知症
・前頭側頭型認知症
・大脳皮質基底核変性症
・淡蒼球橋黒質変性症
・進行性核上性麻痺
・神経原線維変化を伴うゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病
である。
これまでほぼ40個のセリン(S)/トレオニン(T)リン酸化部位が、アルツハイマー病の脳に由来するタウ中に発見された(Hanger, D.P., et al., J. Biol. Chem. 282 (2007) 23645-23654)。アルツハイマー病におけるタウの病態の発生はそのリン酸化状態に関連している。しかしながら、40個のリン酸化部位の大半は、疾患の病態には関連していない。なぜなら、それらは、健康な胎児の脳組織から抽出されたタウにも見られるからである。ほんの少数のリン酸化が疾患状態に対して特有であり、そしてアルツハイマーの脳のPHFにおけるタウを規定する異常な凝集及び特徴的な不溶性におそらく関与している(Morishima-Kawashima, M., et al., J. Biol. Chem. 270 (1995) 823-829)。Pei, J.J., et al.(J. Alzheimer’s Disease 14 (2008) 385-392)によると、既存の文献は、これらの中のどの部位が、アルツハイマー病の脳に対して特異的であるかに関する少数かつ不明瞭な情報しか提供していない。Peiは、タウに対するリン酸化特異的抗体のリストを使用し、そして22人のアルツハイマー病患者及び10人の対照に由来する内側側頭葉のホモジネート中のそれらのレベルを測定した。
Bussiere, T., et al.(Acta Neuropathol. 97 (1999) 221-230)は、タウタンパク質上のリン酸化セリン422(pS422)が、神経原線維変性を伴ういくつかの疾患において認められる病的エピトープであることを記載した。Augustinack, J.C., et al.,(Acta Neuropathol. 103 (2002) 26-35)は、pS422がアルツハイマー病の神経病態の重症度に相関すると記載した。Guillozet-Bongaarts, A.,(J. Neurochem. 97 (2006) 1005-1014)は、セリン422におけるタウのリン酸化が、PHFの成熟過程の一部であると記載した。タウpS422はまた、様々なアルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデルにおける病態の発生と共に認められる。したがって、Deters, N., et al.は、Biochem. Biophys. Res. Commun. 379 (2009) 400-405において、二重トランスジェニックDom5/pR5マウスは、病的なS422エピトープが特異的にリン酸化されたタウを含有している海馬ニューロン数の7倍の増加を示したことを述べた。Goetz, J., et al.,(Science 293 (2001) 1491-1495)は、Aβ42原線維の注射されたタウP301Lトランスジェニックマウスの脳内に、S422においてリン酸化されたタウの出現を報告した。
欧州特許第2009104号は、アルツハイマー病のPHFに由来するタウタンパク質中にリン酸化状態で存在するタウタンパク質のエピトープ、及び、アルツハイマータウタンパク質を特異的に検出する抗体の作製のための該エピトープの使用に関する。国際公開公報第2002/062851号及び米国特許第7,446,180号は、異常に切断短縮された形態のタウタンパク質に対して特異性を有する抗体、並びに、アルツハイマー病及び関連したタウオパチーに関する診断態様及び治療態様に関する。
国際公開公報第1998/22120号は、約207から約222のアミノ酸、約224から約240のアミノ酸、及び約390から約408のアミノ酸のリン酸化タウ断片に対する抗体を患者に投与する工程を含む、アルツハイマー病患者を処置する方法に関する。リン酸化タウ断片379〜408[P−Ser396、404]を使用してタウトランスジェニックマウスにワクチン接種する動物試験が、Asuni, A.A., et al., J. Neuroscience 27 (2007) 9115-9129に記載されている。米国特許第2008/0050383号は、タウタンパク質断片を投与することによって被験者におけるアルツハイマー病又は他のタウオパチーを治療及び予防する方法に関する。
Hasegawa, M., et al.(FEBS Lett. 384 (1996) 25-30)は、微小管結合タンパク質タウ中のリン酸化セリン422に対して特異的なモノクローナル抗体(AP422)を報告する。
国際公開公報第2001/55725号において、タウオパチーのインビボでの診断法に使用するための、及び/又は、タウオパチーと非タウオパチーのインビボでの鑑別診断法に使用するための、タウを特異的に認識する抗体及びリン酸化タウ(181)を特異的に認識する抗体が報告されている。
国際公開公報第2002/027017号において、リン酸化セリンを有するポリペプチド免疫原から調製された抗体が報告されている。国際公開公報第2002/062851号は、異常に切断短縮された形態のタウタンパク質に対して特異性を有する抗体、並びに、アルツハイマー病及び関連したタウオパチーに関する診断態様及び治療態様に関する。
国際公開公報第2004/016655号において、中枢神経系(CNS)のタウタンパク質に対して特異的である抗体(ここで、該抗体は、CNSのタウタンパク質を特異的に認識するが、末梢タウタンパク質は認識せず、該抗体は、エピトープとしての、タウタンパク質をコードしている遺伝子のエキソン4によってコードされるアミノ酸配列と、そのエキソン5によってコードされるアミノ酸配列との間の接続部分のアミノ酸配列を特異的に認識する)が報告されている。
タウpS422に対するモノクローナル抗体が、例えば、欧州特許第1876185号に記載されている。タウpS422に対するポリクローナル抗体は市販されている(例えば、プロサイ社及びバイオソースインターナショナル社)。
国際公開公報第2006/055178号において、タウタンパク質を含有している試料を、アミロイドβタンパク質由来の拡散性リガンドに結合する抗体又は抗原結合断片と接触させ、これにより、Ser202/Thr205におけるタウタンパク質のリン酸化を阻害する工程を含む、Ser202/Thr205におけるタウタンパク質のリン酸化を阻害する方法が報告されている。
tyr394及び/又はtyr310においてリン酸化されたタウに特異的に結合する抗体調製物が、国際公開公報第2007/019273号に報告されている。リン酸化タウ断片379〜408[P−Ser396、404]を使用してタウトランスジェニックマウスにワクチン接種する動物試験が、Asuni, A.A. et al., J. Neuroscience 27 (2007) 9115-9129に記載されている。
欧州特許第2009104号は、アルツハイマー病のPHFに由来するタウタンパク質中にリン酸化状態で存在するタウタンパク質のエピトープ、及び、アルツハイマータウタンパク質を特異的に検出する抗体の作製のための該エピトープの使用に関する。
米国特許第2008/0050383号は、タウタンパク質断片を投与することによって被験者におけるアルツハイマー病又は他のタウオパチーを治療及び予防する方法に関する。
国際公開公報第2010/037135号において、血液脳関門(BBB)受容体に対するリガンド又は等価物を含む又はからなる第一のドメインと、タンパク質凝集物の凝集速度を減速させるか、タンパク質凝集物の形成を阻害するか、又はタンパク質凝集物を元に戻すか、消化するか、若しくは溶解する酵素又は組成物を含む又はからなる第二のドメインとを含む、単離されているか、合成の、又は組換えのポリペプチド又はペプチドが報告されている。インビトロ及び/又はインビボでタウタンパク質を認識し結合することのできる抗体、特にモノクローナル抗体又はその機能的部分が国際公開公報第2010/115843号に報告されている。
国際公開公報第2011/026031号において、タウオパチー、例えばアルツハイマー病、進行性核上麻痺、及び大脳皮質基底核変性症の処置に有用な、タウオリゴマーに特異的に結合しかつ可溶性タウ又はタウ原線維には結合しないモノクローナル抗体又はその断片が報告されている。Ser(238)及びThr(245)の1つ以上においてリン酸化されたヒトタウタンパク質に特異的に結合する単離された抗体が、国際公開公報第2011/053565号に報告されている。
国際公開公報第2012/045882号において、タウオパチーなどの神経変性障害を処置するのに、及び認知障害を処置又は軽減するのに有用である、哺乳動物タウタンパク質上のリン酸化エピトープに特異的に結合する抗体が報告されている。ヒトモノクローナル抗タウ抗体又はそのタウ結合断片が、国際公開公報第2012/049570号に報告されている。アルツハイマー病又は他のタウオパチーのための治療を必要とするヒトに抗体を投与する工程を含む、被験者におけるアルツハイマー病又は他のタウオパチーを予防又は治療する方法(該抗体は、異常な形態のタウタンパク質に対する特異性を有し、該抗体は、正常なタウタンパク質に対する結合及び/又は反応性を全く示さず、アルツハイマー病又は他のタウオパチーを予防又は治療するのに有効な条件下及び量で投与される)が、国際公開公報第2012/106363号に報告されている。
国際公開公報第2012/149365号において、凝集したタウに対して反応性を示すが、凝集していないタウに対しては実質的に全く反応性を示さない抗体(ここで、凝集したタウは、1つ以上のシステイン残基において直接的に又はリンカーを通して互いに架橋された少なくとも2つのタウタンパク質を含む)が報告されている。
タウに結合する抗体、特異的にリン酸化されたタウ及びその断片に特異的に結合する、特定の位置においてセリンのリン酸化により修飾された化合物、及び担体を含む、タウオパチー、例えばアルツハイマー病の処置に有用な組成物が、国際公開公報第2010/142423号に報告されている。
欧州特許第1876185Aにおいて、リン酸化ポリペプチドを認識する抗体が報告されている。国際公開公報第2013/151762号において、ヒト化タウ抗体が報告されている。国際公開公報第2014/016737号において、ヒトリン酸化タウに対する新規なニワトリモノクローナル抗体及びその使用が報告されている。国際公開公報第2014/016737号において、ヒトリン酸化タウに対する新規なニワトリモノクローナル抗体及びその使用が報告されている。病的なタウ二量体及び前原線維の病的なタウオリゴマーに対して選択的な抗体、並びにタウオパチーの治療、診断及びモニタリングにおけるそれらの使用が、国際公開公報第2012/149365号に報告されている。
国際公開公報第2015/091656号において、ヒト化抗タウ(pS422)抗体及び使用法が報告されている。国際公開公報第2015/101586号において、二重特異的抗ハプテン抗体/抗血液脳関門受容体抗体、その複合体、及び血液脳関門シャトルとしてのそれらの使用が報告されている。
発明の簡潔な要約
本発明は、抗ヒトタウ(pS422)抗体、特にヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体、及びその使用法を提供する。
本明細書において報告されているようなヒト化抗体は、標準的なヒト化法によっては入手できなかった。配列番号07及び配列番号11のアミノ酸配列を有する可変ドメインを含む親ウサギ抗体と同等な結合特徴及び薬物動態特性を有するヒト化抗体を得るために、アミノ酸配列内に標準的ではない突然変異を導入することが必要とされた。これは、本明細書において報告されているような抗体がヒト血液脳関門を通過し、かつヒト脳内において効果的であることを目的としているので、特に重要である。したがって、ヒト化抗体の選択のために一般的に適用されている基準は、本症例に直接適用するには十分に厳密ではない。
本明細書において報告されているような1つの態様は、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合する(ヒト化)抗体であり、該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに特異的に結合する。
本明細書において報告されているような抗体は、422位のセリンでリン酸化されたヒトタウに関する、リン酸化されていない野生型ヒトタウ及びタウ突然変異体S422Aに関する選択性を示す。リン酸化されていない野生型ヒトタウ及びタウ突然変異体S422Aには、それぞれ、全く結合しないか又はより低い親和性で結合する。
本明細書において報告されているような1つの態様は、Mab086のHVRをヒトフレームワーク領域及び定常領域に移植することによって作製された抗体Mab086のヒト化変異体である、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)モノクローナル抗体であり、選択されたヒト可変領域フレームワーク残基は、場合により以下のように置換されている:
アミノ酸が、(1)共有結合的に抗原と直接結合している場合、(2)HVR領域に隣接している場合、(3)さもなくばHVR領域と相互作用している場合、又は(4)VL−VH界面に関与している場合に、選択されたヒト可変領域フレームワーク残基は、ウサギMab086抗体に由来する等価なフレームワークアミノ酸によって置換されている;
又は
その位置においてヒト免疫グロブリンにとって普通ではないヒトフレームワークアミノ酸は、ウサギドナー抗体の等価な位置に由来するか又はより典型的なヒト免疫グロブリンの等価な位置に由来するアミノ酸を用いて置換されている。
本明細書において報告されているような1つの態様は、配列番号02のアミノ酸配列を含むヒトタウ(pS422)に特異的に結合する(ヒト化)抗体であり、該抗体は、タウ(pS422)により誘発される細胞毒性に対して阻害活性を有し、そして該抗体は、ヒトタウ(pS422)タンパク質の断片に結合し、該断片は、配列番号02のアミノ酸残基416から430を含み、該抗体はヒト定常領域を含み、該抗体は以下の(1)から(2)のいずれかから選択される;
(1)(a)HVR−H1として配列番号08のアミノ酸配列、HVR−H2として配列番号09のアミノ酸配列、及びHVR−H3として配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖と、HVR−L1として配列番号70のアミノ酸配列、HVR−L2として配列番号72のアミノ酸配列、及びHVR−L3として配列番号15のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
又は
(b)HVR−H1として配列番号08のアミノ酸配列、HVR−H2として配列番号09のアミノ酸配列、及びHVR−H3として配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖と、HVR−L1として配列番号12のアミノ酸配列、HVR−L2として配列番号14のアミノ酸配列、及びHVR−L3として配列番号74のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
又は
(c)HVR−H1として配列番号08のアミノ酸配列、HVR−H2として配列番号09のアミノ酸配列、及びHVR−H3として配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖と、HVR−L1として配列番号71のアミノ酸配列、HVR−L2として配列番号73のアミノ酸配列、及びHVR−L3として配列番号15のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
又は
(d)HVR−H1として配列番号08のアミノ酸配列、HVR−H2として配列番号77のアミノ酸配列、及びHVR−H3として配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖と、HVR−L1として配列番号12のアミノ酸配列、HVR−L2として配列番号14のアミノ酸配列、及びHVR−L3として配列番号75のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(2)(1)の抗体と等価な活性を有する、(1)の抗体に1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する抗体。
本明細書において報告されているような1つの態様は、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するヒト化抗体であり、該抗体は、
a)重鎖可変ドメインに、配列番号08、18、及び10のHVR、又は
b)重鎖可変ドメインに、配列番号08、09、及び10のHVR、又は
c)重鎖可変ドメインに、配列番号08、77、及び10のHVRを含む。
1つの好ましい実施態様では、本明細書において報告されているようなヒト化抗体は、32位の軽鎖可変ドメインに、リジン(K)アミノ酸残基(Kabatによる番号付け)を有する。
1つの実施態様では、ヒト化抗体は、
a)軽鎖可変ドメインに、配列番号71、73、及び15のHVR、又は
b)軽鎖可変ドメインに、配列番号70、72、及び15のHVR、又は
c)軽鎖可変ドメインに、配列番号12、14、及び79のHVR、又は
d)軽鎖可変ドメインに、配列番号71、81、及び15のHVRを含む。
1つの実施態様では、本明細書において報告されているようなヒト化抗体は、
a)重鎖可変ドメインに、配列番号08、18、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号13、14、及び15のHVR、又は
b)重鎖可変ドメインに、配列番号08、09、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号12、05、及び15のHVR、又は
c)重鎖可変ドメインに、配列番号08、09、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号13、14、及び15のHVR、又は
d)重鎖可変ドメインに、配列番号08、09、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号71、73、及び15のHVR、又は
e)重鎖可変ドメインに、配列番号08、09、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号70、72、及び15のHVR、又は
f)重鎖可変ドメインに、配列番号08、77、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号12、14、及び79のHVR、又は
g)重鎖可変ドメインに、配列番号08、09、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号12、14、及び79のHVR、又は
h)重鎖可変ドメインに、配列番号08、77、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号71、81、及び15のHVRを含む。
1つの好ましい態様は、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するヒト化抗体であり、該抗体は、VH35H5及びVL31A1に由来するHVRを含む。
1つの実施態様では、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するこのヒト化抗体は、重鎖可変ドメインに、配列番号08、09、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号70、72、及び15のHVRを含む。配列番号70はHVR−L1の配列に相当し、そしてKabatにより32位にアミノ酸残基リジンを有する。
1つの実施態様では、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するこのヒト化抗体は、配列番号65のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号66のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
1つの好ましい態様は、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するヒト化抗体であり、該抗体は、VH35H5及びVL49G1に由来するHVRを含む。
1つの好ましい実施態様では、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するこのヒト化抗体は、重鎖可変ドメインに配列番号08、09及び10のHVR、並びに軽鎖可変ドメインに配列番号71、73及び15のHVRを含む。配列番号71はHVR−L1の配列に相当し、そしてKabatによる32位にアミノ酸残基リジンを有する。
1つの実施態様では、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するこのヒト化抗体は、配列番号65のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号67のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
1つの好ましい態様は、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するヒト化抗体であり、該抗体は、VH35H5及びVL35F2に由来するHVRを含む。
1つの実施態様では、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するこのヒト化抗体は、重鎖可変ドメインに配列番号08、09及び10のHVR、並びに軽鎖可変ドメインに配列番号12、14及び74のHVRを含む。配列番号12はHVR−L1の配列に相当し、そしてKabatによる32位にアミノ酸残基リジンを有する。
1つの実施態様では、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するこのヒト化抗体は、配列番号65のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
1つの好ましい態様は、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するヒト化抗体であり、該抗体は、VH76A6及びVL35G4に由来するHVRを含む。
1つの実施態様では、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するこのヒト化抗体は、重鎖可変ドメインに配列番号08、77及び10のHVR、並びに軽鎖可変ドメインに配列番号12、14及び75のHVRを含む。配列番号12はHVR−L1の配列に相当し、そしてKabatによる32位にアミノ酸残基リジンを有する。
1つの実施態様では、ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するこのヒト化抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号69のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
1つの実施態様では、本明細書において報告されているようなヒト化抗体は、
a)配列番号20の重鎖可変ドメインと、配列番号17の軽鎖可変ドメイン、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインと、配列番号16の軽鎖可変ドメイン、又は
c)配列番号19の重鎖可変ドメインと、配列番号17の軽鎖可変ドメイン、又は
d)配列番号21の重鎖可変ドメインと、配列番号17の軽鎖可変ドメイン、又は
e)配列番号65の重鎖可変ドメインと、配列番号67の軽鎖可変ドメイン、又は
f)配列番号65の重鎖可変ドメインと、配列番号66の軽鎖可変ドメイン、又は
g)配列番号76の重鎖可変ドメインと、配列番号78の軽鎖可変ドメイン、又は
h)配列番号19の重鎖可変ドメインと、配列番号78の軽鎖可変ドメイン、又は
i)配列番号76の重鎖可変ドメインと、配列番号80の軽鎖可変ドメインを含む。
1つの好ましい実施態様では、ヒト化抗体は、配列番号65の重鎖可変ドメインと、配列番号66又は67又は68の軽鎖可変ドメインを含む。
1つの好ましい実施態様では、ヒト化抗体は、配列番号76の重鎖可変ドメインと、配列番号69の軽鎖可変ドメインを含む。
1つの実施態様では、ヒト化抗体は、配列番号76又は19の重鎖可変ドメインと、配列番号78の軽鎖可変ドメインを含む。
1つの実施態様では、前記抗体は、アルツハイマー病の処置に使用するためのものである。
1つの実施態様では、前記抗体はエフェクター機能がサイレントである。1つの実施態様では、該抗体は、エフェクター機能を全く有さない。1つの実施態様では、該抗体はヒトIgG1サブクラスであり、そしてL234A、L235A、及びP329Gの突然変異を両方の重鎖に有する(番号付けはKabatのEUインデックスによる)。
1つの実施態様では、前記抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長のヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合する。
1つの実施態様では、前記抗体は、
a)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下、及び/又は
b)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下、及び/又は
c)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下、及び/又は
d)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する。
1つの実施態様では、前記抗体は、ヒトタウ(pS422)(配列番号02)に特異的に結合し、そしてヒトタウ(配列番号01)には結合しない。
1つの実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体である。
1つの実施態様では、前記抗体は、ヒトタウ(pS422)に結合する抗体断片であり、そして
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する。
1つの実施態様では、前記抗体は、
a)ヒトサブクラスIgG1の完全長抗体、又は
b)ヒトサブクラスIgG4の完全長抗体、又は
c)L234A、L235A、及びP329Gの突然変異を有するヒトサブクラスIgG1の完全長抗体、
d)S228P、L235E、及びP329Gの突然変異を有するヒトサブクラスIgG4の完全長抗体、
e)両方の重鎖にL234A、L235A、及びP329Gの突然変異、並びに、一方の重鎖にT366W及びS354Cの突然変異、及びそれぞれの他方の重鎖にT366S、L368A、Y407V、及びY349Cの突然変異を有するヒトサブクラスIgG1の完全長抗体、又は
f)両方の重鎖にS228P及びP329Gの突然変異、並びに、一方の重鎖にT366W及びS354Cの突然変異、及びそれぞれの他方の重鎖にT366S、L368A、Y407V、及びY349Cの突然変異を有するヒトサブクラスIgG4の完全長抗体
である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号18及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号13、配列番号14及び配列番号15のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号09及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号12、配列番号05及び配列番号15のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号09及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号13、配列番号14及び配列番号15のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの好ましい態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号09及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号71、配列番号73及び配列番号15のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの好ましい態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号09及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号70、配列番号72及び配列番号15のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号09及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号12、配列番号14及び配列番号79のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの好ましい態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号09及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号12、配列番号14及び配列番号74のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの好ましい態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号77及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号12、配列番号14及び配列番号75のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号20のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号17のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号19のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号16のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号19のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号17のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号21のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号17のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの好ましい態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号65のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号67のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの好ましい態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号65のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号66のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの好ましい態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号65のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号68のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号19のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号78のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの好ましい態様は、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体であり、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号76のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基又はグリシン−リジンジペプチドは存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号69のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する
ことを特徴とする。
全ての態様の1つの好ましい実施態様では、抗ヒトタウ(pS422)抗体は、該抗体が軽鎖可変ドメインの32位にリジン(K)アミノ酸残基を有することを特徴とする(番号付けはKabatによる)。
全ての態様の1つの好ましい実施態様では、抗ヒトタウ(pS422)抗体は、該抗体が重鎖可変ドメイン内の4位、24位、及び78位にバリン残基を有することを特徴とする。
全ての態様の1つの好ましい実施態様では、抗ヒトタウ(pS422)抗体は、該抗体が重鎖可変ドメインの71位にアルギニン残基を有することを特徴とする。
本明細書において報告されているような1つの態様は、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体をコードしている単離された核酸である。この核酸は、抗体の重鎖をコードしている1つの核酸と、抗体の軽鎖をコードしている1つの核酸とを含む。この核酸は、少なくとも1つの発現カセットを含む。好ましくは該核酸は、2つの発現カセットを含む。
本明細書において報告されているような1つの態様は、本明細書において報告されているような核酸を含む宿主細胞である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、本明細書において報告されているような宿主細胞を培養し、よって抗体が産生される工程を含む、(ヒト化)抗体の産生法である。
1つの実施態様では、前記方法はさらに、細胞又は培養培地から抗体を回収する工程を含む。
本明細書において報告されているような1つの態様は、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体と薬学的に許容される担体とを含む、医薬製剤である。
1つの実施態様では、医薬製剤はさらに、追加の治療剤を含む。
1つの実施態様では、追加の治療剤は、抗アミロイド治療剤である。1つの実施態様では、抗アミロイド治療剤は、抗ヒトα−シヌクレイン抗体又は抗Aβ抗体である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、医薬品としての使用のための本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、アルツハイマー病の処置に使用するための本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、前駆期アルツハイマー病の処置に使用するための本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、軽度アルツハイマー病の処置に使用するための本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、タウ(pS422)により誘発される神経変性症を低減するのに使用するための本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、認知及び機能の維持に使用するための本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、認知及び機能の低下速度を減速させるために使用するための本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、神経原線維変化蓄積速度を減速させるために使用するための本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体である。
以前の態様の1つの実施態様では、使用は、タウ(pS422)を排除することによって神経原線維変化の負荷を低減させることによる。
以前の態様の1つの実施態様では、使用は、神経原線維変化の構築を予防することによる。
以前の態様の1つの実施態様では、使用は、神経原線維変化を除去/排除することによる。
1つの実施態様では、予防及び/又は除去は、細胞内におけるタウ凝集物の排除の促進による。
以前の態様の1つの実施態様では、使用は、神経原線維変化の拡大を阻害することによる。1つの実施態様では、阻害は、病的なタウ型/シードの神経間移動を予防することによる。
本発明の態様はまた、アルツハイマー病を処置するために、前駆期アルツハイマー病を処置するために、軽度アルツハイマー病を処置するために、タウ(pS422)により誘発される神経変性症を低減するために、認知及び機能を維持するために、認知及び機能の低下速度を減速させるために、及び/又は神経原線維変化の蓄積速度を減速するために、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体を投与する工程を含む、処置法である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、医薬品の製造における本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体の使用である。
1つの実施態様では、医薬品はアルツハイマー病を処置するためのものである。
1つの実施態様では、医薬品は前駆期アルツハイマー病を処置するためのものである。
1つの実施態様では、医薬品は軽度アルツハイマー病を処置するためのものである。
1つの実施態様では、医薬品はタウ(pS422)により誘発される神経変性症を低減させるためのものである。
1つの実施態様では、医薬品は認知及び機能を維持するためのものである。
1つの実施態様では、医薬品は認知及び機能の低下速度を減速させるためのものである。
本明細書において報告されているような1つの態様は、本明細書において報告されているような有効量の(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む、アルツハイマー病を有する個体を処置する方法である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、タウ(pS422)により誘発される神経変性症を低減させるために、本明細書において報告されているような有効量の(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む、個体におけるタウ(pS422)により誘発された神経変性症を低減させる方法である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、認知及び機能を維持するために、本明細書において報告されているような有効量の(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む、個体における認知及び機能を維持する方法である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、認知及び機能の低下速度を減速させるために、本明細書において報告されているような有効量の(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む、個体における認知及び機能の低下速度を減速させる方法である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、タウ(pS422)により誘発された神経変性症の低減のための、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体の使用である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、認知及び機能の維持のための、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体の使用である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、認知及び機能の低下速度を減速させるための、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体の使用である。
本明細書において報告されているような抗体は、アルツハイマー病の処置に使用することができる。
本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体を用いてアルツハイマー病及び神経病態の進行の阻害/低減を奏功することができる。
本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体を使用して、アルツハイマー病の発症から動物を保護することができるか、又はさらにはこれを使用して、動物におけるアルツハイマー病の進行を停止させることができる。1つの実施態様では、動物はヒトである。
1つの実施態様では、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体は、タウ(pS422)トランスジェニックマウス及びアルツハイマー病患者の脳切片上のタウ(pS422)に結合し;並びに/又は、タウ(pS422)トランスジェニック細胞中のタウ(pS422)を標識する。
本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体は、アルツハイマー病の処置に使用することができる。
本明細書において報告されているような1つの態様は、ヒトタウ(pS422)内の配列番号03のアミノ酸配列に特異的に結合する(ヒト化)抗体である。
本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体は、初期及び後期段階の疾患関連型のヒトタウ(pS422)に特異的に結合/認識する。
本明細書において報告されているような1つの態様は、ヒトタウ(pS422)に関連したアルツハイマー病の伝播の予防のための、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体の使用である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、リソソーム膜の崩壊を低減させるための、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体の使用である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、ヒトタウ(pS422)により誘発される不安定化及び/又は崩壊に対してリソソーム膜を安定化させるための、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体の使用である。
本明細書において報告されているような1つの態様は、アルツハイマー病の進行の予防のための本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体の使用である。
本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体は、抗体により媒介される、細胞間のヒトタウ(pS422)の播種及び伝播の阻害によって機能する。
本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体は、ヒトタウ(pS422)に結合することによって原線維の損傷からリソソームを保護する。
カニクイザルにおける薬物動態試験の結果;黒い菱形:VH35H5/VL31A1;白抜き四角:VH35H5/VL35F2;黒い四角:VH76A6/VL35G4;黒い三角:VH32/VL22;黒い丸:VH00/VL00;X軸:投与後の時間[h];y軸:用量の正規化された血清中濃度[(μg/mL)/(mg/kg)]。 図1の0〜200時間までの時間範囲の拡大図。 (A)リン酸化タウペプチド、(B)リン酸化完全長ヒトタウ、(C)リン酸化されていないタウペプチド、(D)リン酸化されていない完全長ヒトタウに対するヒト化VHとVLの様々な組合せの生化学的結合;(1)=VH00/VL00、(2)=VH32/VL21、(3)=VH20/VL22、(4)=VH32/VL22、(5)=VH33/VL22;コーティング濃度:リン酸化タウペプチド:50ng/ml、全ての他の標的:1μg/ml;(リン酸化タウペプチドが1μg/mlでコーティングされるならば、同等な結果が得られる(データは示されていない))。 (A)=完全長ヒトタウS422A突然変異体、(B)=凝集したヒトタウ(pS422)に対するヒト化VHとVLの様々な組合せの生化学的結合;(1)=VH00/VL00、(2)=VH32/VL21、(3)VH20/VL22、(4)=VH32/VL22、(5)=VH33/VL22;コーティング濃度:リン酸化タウペプチド:50ng/ml、全ての他の標的:1μg/ml;(リン酸化タウペプチドが1μg/mlでコーティングされるならば、同等な結果が得られる(データは示されていない))。 選択されたヒト化VH/VLの組合せの選択性を示したウェスタンブロット;(1)=VH00/VL00、(2)=VH32/VL21、(3)=VH20/VL22、(4)=VH32/VL22、(5)=VH33/VL22。 アルツハイマー病患者の脳抽出物中の過剰リン酸化タウへの結合;(1)=VH00/VL00、(2)=VH32/VL21、(3)=VH32/VL22。 マウス脳抽出物中のタウ(pS422)レベルの定量;最大値−最小値、中央値、及び平均値(+);有意性は、スチューデントt検定を使用して計算された、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。A:x軸:タウ(pS422)[ng/mg 脳];y軸:1:基線、2:ビヒクル、3:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@1.7mg/kg、4:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@5mg/kg、5:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@15mg/kg。B:x軸:タウ(pS422)[ng/mg 脳];y軸:1:基線、2:ビヒクル、3:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL49G1)@1.7mg/kg、4:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL49G1)@5mg/kg、5:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL49G1)@15mg/kg。 マウス脳抽出物中の総タウの定量;最大値−最小値、中央値、及び平均値(+)。A:x軸:総タウ[ng/mg 脳];y軸:1:基線、2:ビヒクル、3:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL49G1)@1.7mg/kg、4:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL49G1)@5mg/kg、5:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL49G1)@15mg/kg。B:x軸:総タウ[ng/mg 脳];y軸:1:基線、2:ビヒクル、3:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@1.7mg/kg、4:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@5mg/kg、5:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@15mg/kg。 抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)により処置されたタウPS2APPマウスにおけるタウ(pS422)病態の定量IHC分析;最大値−最小値、中央値、及び平均値(+)、有意性は、スチューデントt検定を使用して計算された、**p<0.01、***p<0.001。A:皮質:x軸:タウ(pS422)面積占有率[%];y軸:1:基線、2:ビヒクル、3:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@1.7mg/kg、4:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@5mg/kg、5:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@15mg/kg。B:海馬;x軸:面積占有率[%];y軸:1:基線、2:ビヒクル、3:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@1.7mg/kg、4:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@5mg/kg、5:抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)@15mg/kg。
配列の簡潔な説明
配列番号01 ヒトタウタンパク質アイソフォームF(441残基)
配列番号02 422位のセリン残基においてリン酸化されたヒトタウタンパク質アイソフォームF(441残基)
配列番号03 7位(配列番号01の422位に相当する)にリン酸化セリンを有するヒトタウタンパク質断片(配列番号01の残基416から430):Ser-Ile-Asp-Met-Val-Asp-Ser(PO3H2)-Pro-Gln-Leu-Ala-Thr-Leu-Ala-Asp
配列番号04 ウサギ抗体086 CDRL1−QSSQSVRTNKLA
配列番号05 ウサギ抗体086 CDRL2−SASTLDF
配列番号06 ウサギ抗体086 CDRL3−LGYFDCSIADCVA
配列番号07 ウサギ抗体086 VL00
配列番号08 ウサギ抗体086 CDRH1−SNAIN
配列番号09 ウサギ抗体086 CDRH2−YIAVSGNTYYASWAKG
配列番号10 ウサギ抗体086 CDRH3−SNI
配列番号11 ウサギ抗体086 VH00
配列番号12 ヒト化CDRL1変異体1−RSSQSVRTNKLA
配列番号13 ヒト化CDRL1変異体2−RSSQSVRTNRLA
配列番号14 ヒト化CDRL2変異体1−SASTLDY
配列番号15 ヒト化CDRL3変異体1−LGYFDSSADIVA
配列番号16 ヒト化VL変異体1−VL21
配列番号17 ヒト化VL変異体2−VL22
配列番号18 ヒト化CDRH2−YIAVSGNTYYADSVKG
配列番号19 ヒト化VH変異体1−VH32
配列番号20 ヒト化VH変異体2−VH20
配列番号21 ヒト化VH変異体3−VH33
配列番号22 ヒト化CDRL2変異体2−SASTLQS
配列番号23 ヒト化CDRL2変異体3−SASTLES
配列番号24 ヒト化CDRL3変異体2−LGYFDSSIADSVA
配列番号25 ヒト化CDRL3変異体3−LGYFDSSIADRVA
配列番号26 ヒト化CDRL3変異体4−LGYFDPSIADPVA
配列番号27 ヒト化CDRL3変異体5−LGYFDSSIADIVA
配列番号28 ヒト化CDRL3変異体6−LGYFDPSADPIA
配列番号29 ヒト化CDRL3変異体7−LGYFDPSADPVA
配列番号30 ヒト化CDRL1変異体3−RASQGVRTNKLA
配列番号31 ヒト化CDRL1変異体4−RASQSVRTNKLA
配列番号32 ヒト化VL変異体4−VL01
配列番号33 ヒト化VL変異体5−VL09
配列番号34 ヒト化VL変異体6−VL12
配列番号35 ヒト化VL変異体7−VL15
配列番号36 ヒト化VL変異体8−VL16
配列番号37 ヒト化VL変異体9−VL17
配列番号38 ヒト化VL変異体10−VL19
配列番号39 ヒト化VL変異体11−VL28
配列番号40 ヒト化VL変異体12−VL33
配列番号41 ヒト化VL変異体13−VL35
配列番号42 ヒト化VL変異体14−VL39
配列番号43 ヒト化VL変異体15−VL40
配列番号44 ヒト化VL変異体16−VL41
配列番号45 ヒト化VL変異体17−VL42
配列番号46 ヒト化VH変異体4−VH01
配列番号47 ヒト化VH変異体5−VH02
配列番号48 ヒト化VH変異体6−VH03
配列番号49 ヒト化VH変異体7−VH04
配列番号50 ヒト化VH変異体8−VH14
配列番号51 ヒト化VH変異体9−VH15
配列番号52 ヒト化VH変異体10−VH18
配列番号53 ヒト化VH変異体11−VH19
配列番号54 ヒト化VH変異体12−VH22
配列番号55 ヒト化VH変異体13−VH23
配列番号56 ヒト化VH変異体14−VH24
配列番号57 ヒト化VH変異体15−VH31
配列番号65 ヒト化VH変異体16−VH35H5
配列番号66 ヒト化VL変異体18−VL31A1
配列番号67 ヒト化VL変異体19−VL49G1
配列番号68 ヒト化VL変異体20−VL35F2
配列番号69 ヒト化VL変異体21−VL53A2
配列番号70 ヒト化CDRL1変異体5
配列番号71 ヒト化CDRL1変異体6
配列番号72 ヒト化CDRL2変異体4
配列番号73 ヒト化CDRL2変異体5
配列番号74 ヒト化CDRL3変異体8
配列番号75 ヒト化CDRL3変異体9
配列番号76 ヒト化VH変異体17−VH76A6
配列番号77 ヒト化CDRH1変異体1
配列番号78 ヒト化VL変異体22−VL35G4
配列番号79 ヒト化CDRL3変異体10
配列番号80 ヒト化VL変異体23−VL145B12
配列番号81 ヒト化CDRL2変異体6
配列番号82 抗トランスフェリン受容体抗体重鎖1
配列番号83 抗トランスフェリン受容体抗体重鎖2
配列番号84 抗トランスフェリン受容体抗体重鎖3
配列番号85 抗トランスフェリン受容体抗体軽鎖
配列番号86 ヒト化VL変異体24−VL4G1
配列番号87 ヒト化CDRL3変異体11
発明の詳細な説明
本発明は、結合ペプチド又はタンパク質又はその機能的部分、特に抗体、特にモノクローナル抗体又はその機能的部分、特に結合ペプチド又は抗体に関し、該結合ペプチド又は抗体は、哺乳動物上の、特にヒトタウタンパク質上又はその断片上のリン酸化エピトープ、特に病的タンパク質タウ配座異性体を認識してこれに特異的に結合するが、1つの実施態様では、対応するリン酸化されていないエピトープ及び/又は関連性のないエピトープには結合せず、該結合ペプチド又は抗体は、422位にリン酸化Ser(pS422)を含むタウアミノ酸残基416〜430からなる、哺乳動物上の、特に配列番号02に示されるようなヒトタウタンパク質上のエピトープに結合する。
I.定義
本明細書における目的での「アクセプターヒトフレームワーク」は、以下に定義されているような、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒト共通フレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク若しくはヒト共通フレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、それと同じアミノ酸配列を含んでいても、又は、アミノ酸配列の変化を含有していてもよい。いくつかの実施態様では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの実施態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒト共通フレームワーク配列の配列と同一である。
「親和性」は、分子(例えば抗体)の1つの結合部位とその結合対(例えば抗原)との間の非共有結合的相互作用の合計の強度を指す。特記しない限り、本明細書において使用する「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば抗体と抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xのその対のYに対する親和性は、一般的に、解離定数(k)によって示され得る。親和性は、本明細書に記載のものをはじめとする、当技術分野において公知の一般的な方法によって測定され得る。結合親和性を測定するための具体的な例証的かつ例示的な実施態様を以下に記載する。
「親和性の成熟した」抗体は、以下のような改変を有さない親抗体と比較して、1つ以上の超可変領域(HVR)に1つ以上の改変を有する抗体を指し、このような改変により、抗原に対する抗体の親和性は改善される。
「抗ヒトタウ(pS422)抗体」及び「ヒトタウ(pS422)に特異的に結合する抗体」という用語は、十分な親和性でヒトタウ(pS422)に結合することのできる抗体を指し、よって該抗体は、ヒトタウ(pS422)への標的化における診断剤及び/又は治療剤として有用である。1つの実施態様では、関連性のない非ヒトタウ(pS422)タンパク質に対する抗ヒトタウ(pS422)抗体の結合度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定したところ、ヒトタウ(pS422)に対する該抗体の結合の約10%未満である。
本明細書における「抗体」という用語は最も広義の意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば二重特異的抗体)、及び所望の抗原結合活性を示す限りにおける抗体断片を含むがこれらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’);ディアボディ;鎖状抗体;一本鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から形成された多重特異的抗体が挙げられるがこれらに限定されない。
基準抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて基準抗体のその抗原に対する結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、基準抗体は競合アッセイにおいて抗体のその抗原に対する結合を50%以上遮断する。1つの実施態様では、基準抗体と同じエピトープに結合する抗体は、基準抗体のその抗原に対する結合を50%以上遮断する。1つの実施態様では、基準抗体と同じエピトープに結合する抗体は、基準抗体のその抗原に対する結合を80%以上遮断する。1つの実施態様では、基準抗体と同じエピトープに結合する抗体は、基準抗体のその抗原に対する結合を90%以上遮断する。1つの実施態様では、基準抗体と同じエピトープに結合する抗体は、基準抗体のその抗原に対する結合を95%以上遮断する。1つの好ましい実施態様では、基準抗体と同じエピトープに結合する抗体は、抗原上の基準抗体と同じ残基と結合相互作用を有する。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部は特定の起源又は種に由来しているが、重鎖及び/又は軽鎖の残りの部分は異なる起源又は種に由来している、抗体を指す。
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の種類を指す。5つの主なクラスの抗体が存在し(IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM)、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)にさらに分類され得る(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgA)。クラスの異なる免疫グロブリンに相当する重鎖定常ドメインは、α、δ、ε、γ、及びμとそれぞれ呼ばれる。
「エフェクター機能」は、抗体のクラスによって異なる、抗体のFc領域に起因するそうした生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1qへの結合及び補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体への結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体のダウンレギュレーション(例えばB細胞受容体);並びにB細胞活性化が挙げられる。
薬剤、例えば医薬製剤の「有効量」は、所望の治療結果又は予防結果を達成するのに有効な用量及び必要とされる期間を指す。
本明細書の「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部を含有している免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。該用語は、天然配列のFc領域及び変異Fc領域を含む。1つの実施態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から又はPro230から、重鎖のカルボキシ末端まで延びている。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は存在していても存在していなくてもよい。本明細書において特記しない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242に記載のように、EUインデックスとも呼ばれる、EU番号付け体系に従う。
「フレームワーク」すなわち「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは一般的に、4つのFRドメインからなる(FR1、FR2、FR3、及びFR4)。したがって、HVR配列及びFR配列は一般的に、VH(又はVL)内で以下の順序で出現する:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4。
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「完全抗体」という用語は本明細書において同義として使用され、天然の抗体の構造と実質的に類似した構造を有しているか、又は本明細書において定義されているようなFc領域を含有している重鎖を有している、抗体を指す。「完全長抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって連結された2本の抗体軽鎖ポリペプチドと2本の抗体重鎖ポリペプチドからなる多量体ポリペプチドを示し、ここで2本の抗体重鎖ポリペプチドにおいてC末端リジン残基(K)は存在していてもしていなくてもよい。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養」という用語は同義語として使用され、外来性核酸が導入された細胞(このような細胞の子孫を含む)を指す。宿主細胞は、初回に形質転換された細胞、及び継代数に関係なくそれに由来する子孫を含む、「形質転換体」及び「形質転換細胞」を含む。子孫は、親細胞と核酸の内容において完全に同一ではなくてもよいが、突然変異を含んでいても良い。最初に形質転換された細胞についてスクリーニング又は選択されたのと同じ機能又は生物学的活性を有する突然変異体の子孫も本明細書において含まれる。
「ヒト共通フレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において、最も共通して存在しているアミノ酸残基を示すフレームワークである。一般的には、ヒト免疫グロブリンVL配列又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列の亜群からである。一般的に、配列の亜群は、Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Bethesda MD (1991), NIH Publication 91-3242, Vols. 1-3におけるような亜群である。1つの実施態様では、VLでは、亜群は、上記のKabat et al. におけるような亜群κIである。1つの実施態様では、VHでは、亜群は、上記のKabat et al. におけるような亜群IIIである。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRに由来するアミノ酸残基とヒトFRに由来するアミノ酸残基とを含むキメラ抗体を指す。特定の実施態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここでHVR(例えばCDR)の全て又は実質的に全てが非ヒト抗体のそれに相当し、FRの全て又は実質的に全てがヒト抗体のそれに相当する。ヒト化抗体は場合により、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。抗体、例えば非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
本明細書において使用する「超可変領域」すなわち「HVR」という用語は、配列が超可変的で(「相補性決定領域」すなわち「CDR」)及び構造的に定められたループ(「超可変ループ」)を形成し、及び/又は抗原接触残基(「抗原接触部」)を含有している、抗体可変ドメインの各々の領域を指す。一般的には、抗体は6つのHVRを含み;3つはVH(H1、H2、H3)に、3つはVL(L1、L2、L3)にある。
本明細書におけるHVRは、
(a)アミノ酸残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、91〜96(L3)、26〜32(H1)、53〜55(H2)、及び96〜101(H3)に存在する超可変ループ(Chothia, C. and Lesk, A.M., J. Mol. Biol. 196 (1987) 901-917);
(b)アミノ酸残基24〜34(L1)、50〜56(L2)、89〜97(L3)、31〜35b(H1)、50〜65(H2)、及び95〜102(H3)に存在するCDR(Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242);
(c)27c〜36(L1)、46〜55(L2)、89〜96(L3)、30〜35b(H1)、47〜58(H2)、及び93〜101(H3)に存在する抗原接触部(MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));並びに
(d)(a)、(b)、及び/又は(c)の組合せ(HVRアミノ酸残基46〜56(L2)、47〜56(L2)、48〜56(L2)、49〜56(L2)、26〜35(H1)、26〜35b(H1)、49〜65(H2)、93〜102(H3)、及び94〜102(H3)を含む)
を含む。
特記しない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えばFR残基)は、本明細書において、上記のKabat et al.に従って番号付けされる。
「イムノコンジュゲート」は、1つ以上の異種分子(群)にコンジュゲートした抗体である。
「個体」又は「被験者」は哺乳動物である。哺乳動物としては、家畜動物(例えばウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えばヒト及び非ヒト霊長類、例えばサル)、ウサギ、及びげっ歯類(例えばマウス及びラット)が挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施態様では、個体又は被験者はヒトである。
「単離された」抗体は、その天然環境の成分から隔離された抗体である。いくつかの実施態様では、抗体は、例えば電気泳動(例えばSDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えばイオン交換又は逆相HPLC)によって決定されるように、95%又は99%を超える純度となるまで精製される。抗体純度の評価法の総説については、例えば、Flatman, S. et al., J. Chromatogr. B 848 (2007) 79-87を参照されたい。
「単離された」核酸は、その天然環境の成分から隔離された核酸分子を指す。単離された核酸は、普通に核酸分子を含有しているが、該核酸分子は染色体外に存在しているか又はその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在している、細胞に含有されている核酸分子を含む。
「抗ヒトタウ(pS422)抗体をコードしている単離された核酸」は、抗体重鎖と軽鎖(又はその断片)をコードしている1つ以上の核酸分子(1つのベクター又は別々のベクター内のこのような核酸分子(群)、及び宿主細胞内の1つ以上の位置に存在しているこのような核酸分子(群)を含む)を指す。
本明細書において使用する「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の個体群から得られた抗体を指し、すなわち、該個体群を含む個々の抗体は同一である及び/又は同じエピトープに結合し、ただし、例えば天然に起こる突然変異を含有しているか又はモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる、例えばあり得る変異抗体は除外され、このような変異体は一般的に少量存在する。様々な決定基(エピトープ)に対して指向される様々な抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各々のモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均質な抗体の個体群から得られた抗体の特徴を示し、いずれかの特定の方法によって抗体の産生が必要とされると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有しているトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない、様々な技術によって作製され得、このような方法及び他の例示的なモノクローナル抗体の作製法が本明細書に記載されている。
「天然抗体」は、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2本の同一な軽鎖と2つの同一な重鎖とから構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端にかけて各々の重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)、続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端にかけて各々の軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)、続いて定常軽鎖(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2種類の中の1つに割り当てられ得る。
「添付文書」という用語は、適応症、用法、用量、投与、併用療法、禁忌、及び/又はこのような治療用製品の使用に関する警告に関する情報を含有している、治療用製品の市販のパッケージに通例含まれる説明書を指すために使用される。
基準ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一率(%)」は、配列をアラインさせ、必要であれば、最大の配列同一率を達成するためにギャップを導入した後、配列同一性の一部として保存的な置換を全く考慮せずに、基準ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一である、候補配列内のアミノ酸残基の比率として定義される。アミノ酸配列同一率を決定する目的でのアラインメントは、当技術分野の技能範囲内である様々な方法で、例えば公共的に利用できるコンピューターソフトウェア、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成され得る。当業者は、比較する配列の完全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされるあらゆるアルゴリズムを含む、配列をアラインさせるための適切なパラメーターを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一率値%は、配列比較コンピュータープログラムALIGN−2を使用して算出される。ALIGN−2配列比較コンピュータープログラムは、Genentech, Inc.によって作成され、ソースコードがユーザー文書と共にワシントンD.C.20559のアメリカ合衆国著作権局に提出され、そこでアメリカ合衆国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech, Inc.(サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州)から公共的に入手可能であるか、又は、ソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標)V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメーターはALIGN−2プログラムによって設定され、変更されない。
ALIGN−2がアミノ酸配列の比較のために使用される状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一率%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bに対して、特定のアミノ酸配列同一率%を有する又は含む、所与のアミノ酸配列Aとして表現されてもよい)は、以下のように計算される:
X/Yの分率×100
ここで、Xは、プログラムによるAとBのアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラムALIGN−2によって同一な一致としてスコアリングされたアミノ酸残基の数であり、Yは、B内のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さとは等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一率%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一率%とは等しくないことが理解されるだろう。具体的に特記しない限り、本明細書において使用する全てのアミノ酸配列同一率値%は、ALIGN−2コンピュータープログラムを使用して直前の段落で記載されているように得られる。
「医薬製剤」という用語は、そこに含有される活性成分の生物学的活性が効果的であることが可能となるような形態であり、かつ、該製剤が投与されるであろう被験者に対して受け入れられない程に毒性である追加の成分を全く含有していない、調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」は、被験者に対して無毒性である、活性成分以外の、医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝剤、賦形剤、安定化剤、又は保存剤が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用する「ヒトタウ(pS422)」という用語は、天然ヒトタウ(pS422)(Uniprot P37840)を指す。該用語は、「完全長」のプロセシングされていないヒトタウ(pS422)、並びに細胞内でのプロセシングから得られたあらゆる形態のヒトタウ(pS422)を包含する。該用語はまた、天然に存在するヒトタウ(pS422)の変異体、例えば突然変異体、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体も包含する。ヒトタウ(pS422)のアミノ酸配列を配列番号2に示す。
本明細書において使用する「処置」(及びその文法上の変化形、例えば「処置する」又は「処置している」)は、処置される個体の自然経過を改変させる試みでの臨床的介入を指し、予防のために又は臨床上の病態の経過中のいずれかに行なわれ得る。処置の望ましい効果としては、疾患の発生又は再発の予防、症状の寛解、疾患の全ての直接的又は間接的な病的結果の消失、転移の予防、疾患進行速度の低減、疾患状態の軽減又は緩和、及び緩解又は改善された予後が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施態様では、本発明の抗体を使用して、疾患の発生を遅延させるか又は疾患の進行を緩徐化する。
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗原に対する抗体の結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖(それぞれ、VH及びVL)の可変ドメインは一般的に、類似した構造を有し、各々のドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む。(例えば、Kindt, T.J. et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., N.Y. (2007)、91頁を参照されたい)。単一のVHドメイン又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、該抗原に結合する抗体に由来するVHドメイン又はVLドメインを使用して単離して、それぞれ相補的なVLドメイン又はVHドメインのライブラリーをスクリーニングし得る(例えば、Portolano, S. et al., J. Immunol. 150 (1993) 880-887; Clackson, T. et al., Nature 352 (1991) 624-628を参照)。
本明細書において使用する「ベクター」という用語は、核酸分子が連結されている別の核酸を増殖させることのできる該核酸分子を指す。該用語は、自己複製性の核酸構造としてのベクター、並びに、それが導入されている宿主細胞のゲノムに組み込まれた該ベクターを含む。特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている核酸の発現を指令することができる。このようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と称される。
II.組成物及び方法
A.例示的なヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体
本明細書において報告されているようなヒト化抗体は、標準的なヒト化法によっては入手できなかった。親ウサギ抗体と同等な結合特徴及び薬物動態特性を有するヒト化抗体を得るために、アミノ酸配列内に標準的ではない突然変異を導入することが必要とされた。これは、本明細書において報告されているような抗体が血液脳関門を通過し、かつヒト脳内において効果的であることを目的としているので、特に重要である。したがって、ヒト化抗体の選択のために一般的に適用されている基準は、本症例に直接適用するには十分に厳密ではなかった。
適切かつ開発可能なヒト化抗体を得るために、CDRL3(軽鎖のCDR3)内でジスルフィド橋を形成している2つのシステインを、それぞれ、セリン及びイソロイシンによって置換しなければならなかったことが判明した。さらに同CDRL3の適切な配向を確実にするために、ウサギCDRL3の中央に存在するイソロイシン残基を欠失させ、その結果、親ウサギCDRL3よりも1アミノ酸残基だけ短いヒト化CDRL3が得られた。
また、インビボでの薬物動態特性を維持するために、軽鎖の32位のアミノ酸残基はリジンであるべきであることが判明した(番号付けはKabatによる)。軽鎖HVR−L3内のジスルフィド橋の除去は、インビボでの動態挙動に対して影響を及ぼさない。
重鎖内の4位、24位、及び78位の3つのバリンアミノ酸残基を維持することが有益であることがさらに判明した(番号付けはKabatによる)。この理論によって拘束されるものではないが、これらの残基は、重鎖可変領域の抗原結合ループの適切な提示を確実にするために必要とされることが想定される。さらに、重鎖可変ドメイン内の71位のアルギニン残基の存在が有益である(番号付けはKabatによる)。
HVR−L3は、特に長期間の保存中の脱アミドホットスポットであり得る2つのアスパラギン酸残基を含む。軽鎖可変ドメイン変異体VL35G4においては、これらの2つのアスパラギン酸残基の1つが変化している。
本明細書において使用される全ての番号付けは、Kabat可変ドメイン番号付け体系に基づく。
以下の表において、ヒト化重鎖可変ドメインVH14及びVH20とそれぞれ組み合わせたウサギ軽鎖可変ドメインの様々なヒト化変異体の特徴が示されている。結合対はヒトタウ(pS422)であった。
以下の表において、ヒト化軽鎖可変ドメインVL17及びVL19とそれぞれ組み合わせたウサギ軽鎖可変ドメインの様々なヒト化変異体の特徴が示されている。
以下の表において、様々なVH/VLの組合せの速度定数が示されている(実施例8に従って決定される)。
ヒト化VHとVLの様々な組合せの生化学的結合が図3及び4に示されている。
以下の表において様々なVH/VLの組合せの結合特異性が示されている(EC50値[ng/ml])。
ヒトタウ突然変異体S422Aに対する選択されたヒト化VH/VLの組合せの選択性は、図5に示されたウェスタンブロットから認められ得る。全てのヒト化変異体が、S422でリン酸化されたヒトタウに選択的に結合する。親ウサギ抗体のS422ではないリン酸化エピトープに対して低いレベルの交差反応性が認められるが、示されたヒト化変異体は、親ウサギ抗体よりもこの点において交差反応性は低い。
図6では、アルツハイマー病患者の脳抽出物中のPHF−タウに対する親ウサギ抗体及び選択されたヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体の結合が示されている。
上記に基づいて、VH32/VL22の組合せがヒト化抗体として選択された。
親VH/VLの組合せ及びヒト化VH/VLの組合せを用いて、カニクイザルにおいて以下の平均クリアランス速度が認められた(ヒトIgGにおける通常のクリアランスは0.18〜0.36ml/hr/kgである)。
VH32/VL22の組合せは、用量依存的である上昇したクリアランス速度を有することが認められ得る。
以下の表において、タウ(pS422)断片を用いてのVH32/VL22の上昇した用量依存的なクリアランス速度に対処するために作製されたさらに他のVH/VLの組合せの速度定数が示されている(実施例10に従って決定される)。
以下の表において、完全長タウ(pS422)及びタウ(pS422)断片を用いてのFab断片としてのVH/VLの組合せの速度定数が示されている(実施例11及び実施例12に従って決定される)。
以下の表において、ELISAによって決定された様々なVH/VLの組合せの結合特異性が示されている(リン酸化タウに対する選択性対リン酸化されていないタウに対する選択性)。
様々なVH/VLの組合せを用いて、カニクイザルにおいて以下の平均クリアランス速度が認められた(ヒトIgGの通常のクリアランスは0.18〜0.36ml/hr/kgである;n.d.=測定不能)。
様々なVH/VLの組合せを用いて、マウスにおいて以下の平均クリアランス速度が認められた(ヒトIgGの通常のクリアランスは0.18〜0.36ml/hr/kgである)。
本明細書において報告されているような全ての態様の1つの実施態様では、ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体は、25mg/kg以下の用量で0.6ml/hr/kg未満の静脈内適用後に平均クリアランス速度を有する。1つの実施態様では、平均クリアランス速度は、25mg/kg以下の用量で0.3ml/hr/kg以下である。
1つの好ましい態様では、本発明は、(a)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号71のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された少なくとも1つ、又は2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つのHVRを含む、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体を提供する。
1つの好ましい態様では、本発明は、(a)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された少なくとも1つ、又は2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つのHVRを含む、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体を提供する。
1つの好ましい態様では、本発明は、(a)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号74のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された少なくとも1つ、又は2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つのHVRを含む、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体を提供する。
1つの好ましい態様では、本発明は、(a)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号75のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された少なくとも1つ、又は2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つのHVRを含む、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体を提供する。
1つの態様では、本発明は、(a)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号77のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号79のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択された少なくとも1つ、又は2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つのHVRを含む、(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体を提供する。
1つの態様では、本発明は、(a)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択された少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH HVR配列を含む、(ヒト化)抗体を提供する。
1つの実施態様では、前記抗体は、(a)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
別の実施態様では、前記抗体はさらに、
i)(a)配列番号71のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は
ii)(a)配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は
iii)(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号79のアミノ酸配列を含むHVR−L3
から選択された少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL HVR配列を含む。
さらなる実施態様では、前記抗体は、
i)(a)配列番号71のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は
ii)(a)配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は
iii)(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号79のアミノ酸配列を含むHVR−L3
を含む。
1つの態様では、本発明は、
i)(a)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号71のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号73のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L3、又は
ii)(a)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号72のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L3、又は
iii)(a)配列番号08のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号09のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号79のアミノ酸配列を含むHVR−L3
を含む、(ヒト化)抗体を提供する。
別の実施態様では、VH又はVLは、基準配列と比べて置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含有しているが、該配列を含む抗ヒトタウ(pS422)抗体は、ヒトタウ(pS422)への結合能を保持している。
本発明のさらなる態様では、上記のいずれかの実施態様に記載の抗ヒトタウ(pS422)抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体をはじめとする、モノクローナル抗体である。1つの実施態様では、抗ヒトタウ(pS422)抗体は、抗体断片、例えばFv、Fab、Fab’、scFv、ディアボディ、又はF(ab’)断片である。別の実施態様では、該抗体は完全長抗体、例えばインタクトなIgG1抗体若しくはIgG4抗体、又は本明細書において定義されているような他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体は、トランスジェニックタウPS2APPマウスの脳中のタウ(pS422)レベルを低下させる。
さらなる態様では、上記のいずれかの実施態様に記載の(ヒト化)抗ヒトタウ(pS422)抗体は、以下の第1〜7章に記載のような、特色のいずれかを単独で又は組み合わせて取り込み得る。
1.抗体の親和性
特定の実施態様では、本明細書に提供された抗体は、100nM以下、50nM以下、又は1nM〜100nMの解離定数(KD)を有する(例えば10−7M以下、例えば10−7M〜10−9M)。
1つの実施態様では、Kdは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。1つの実施態様では、RIAは、関心対象のFab形式の抗体とその抗原を用いて行なわれる。例えば、抗原に対するFabの溶液中結合親和性は、標識されていない一連の抗原の滴定液の存在下、最小濃度の(125I)で標識された抗原を用いてFabを平衡化し、次いで抗Fab抗体でコーティングされたプレートを用いて、結合した抗原を捕捉することによって測定される(例えば、Chen, Y. et al., J. Mol. Biol. 293 (1999) 865-881参照)。アッセイのための条件を確立するために、マイクロタイター(登録商標)マルチウェルプレート(サーモサイエンティフィック社)を、50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)中5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs社)を用いて一晩かけてコーティングし、続いてPBS中2%(w/v)ウシ血清アルブミンを用いて室温(約23℃)で2〜5時間かけて遮断する。非吸着プレート(ヌンク社、269620番)において、100pM又は26pMの125I−抗原を、関心対象のFabの連続希釈液と混合する(例えば、Presta, L.G. et al., Cancer Res. 57 (1997) 4593-4599における抗VEGF抗体であるFab−12の評価と一致する)。次いで、関心対象のFabを一晩インキュベートする;しかしながら、確実に平衡に達するために、インキュベーションはより長い期間続けてもよい(例えば約65時間)。その後、混合液を室温でのインキュベーション(例えば1時間)のために捕捉用プレートに移す。次いで、溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%ポリソルベート20(TWEEN20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルのシンチラント(MICROSCINT-20(商標);パッカード社)を加え、そしてプレートをトップカウント(商標)ガンマカウンター(パッカード社)で10分間計測する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
別の実施態様によると、Kdは、ビアコア(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、ビアコア(登録商標)−2000又はビアコア(登録商標)−3000(ビアコア社、ピスカタウェイ、NJ州)を使用したアッセイを、25℃で、約10のレスポンスユニット(RU)で抗原の固定されたCM5チップを用いて行なう。1つの実施態様では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、ビアコア社)を、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて業者の説明書に従って活性化する。抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)を用いて5μg/ml(約0.2μM)となるまで希釈し、その後、5μl/分の流速で注入して、約10レスポンスユニット(RU)の結合タンパク質に到達した。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応の基を遮断する。速度論の測定のために、0.05%ポリソルベート20(TWEEN−20(商標))界面活性剤を含むPBS(PBST)中のFabの2倍連続希釈液(0.78nMから500nM)を、25℃で約25μl/分の流速で注入した。結合速度(kon)及び解離速度(koff)を、結合センサーグラムと解離センサーグラムを同時に当てはめることによって、単純一対一ラングミュア結合モデル(ビアコア(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を使用して計算する。平衡解離定数(Kd)は、koff/kon比として計算される(例えば、Chen, Y. et al., J. Mol. Biol. 293 (1999) 865-881参照)。結合速度が上記の表面プラズモン共鳴アッセイによって10M−1s−1を上回る場合、結合速度は、分光光度計、例えばストップフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズのSLM−AMINCO(商標)分光光度計(サーモサイエンティフィック社)で測定されるような、漸増濃度の抗原の存在下におけるpH7.2のPBS中の20nMの抗原に対する抗体(Fab形態)の25℃における蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、16nmのバンドパス)の増加又は減少を測定する蛍光消光技術を使用することによって決定され得る。
2.抗体断片
特定の実施態様では、本明細書において提供された抗体は、抗体断片である。抗体断片としては、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab')、Fv、及びscFv断片、並びに下記した他の断片が挙げられるがこれらに限定されない。特定の抗体断片の総説については、Hudson, P.J. et al., Nat. Med. 9 (2003) 129-134を参照されたい。scFv断片の総説については、例えば、Plueckthun, A., In; The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, Vol. 113, Rosenburg and Moore (eds.), Springer-Verlag, New York (1994), pp. 269-315を参照されたい;また、国際公開公報第93/16185号;米国特許第5,571,894号及び米国特許第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含みかつインビボでの延長された半減期を有する、Fab及びF(ab')断片の考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
ディアボディは、二価又は二重特異的であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第0404097号;国際公開公報第1993/01161号;Hudson, P.J. et al., Nat. Med. 9 (2003) 129-134;及びHolliger, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 6444-6448を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディはもまた、Hudson, P.J. et al., Nat. Med.9 (2003) 129-134に記載されている。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部、又は、軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む、抗体断片である。特定の実施態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis, Inc., Waltham, MA;例えば、米国特許第6,248,516号を参照)。
抗体断片は、本明細書に記載のような、インタクトな抗体のタンパク質分解性消化、並びに、組換え宿主細胞(例えば大腸菌(E.coli)又はファージ)による産生を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製され得る。
3.ヒト化抗体
典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減させるためにヒト化されているが、親非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持している。一般的には、ヒト化抗体は1つ以上の可変ドメインを含み、この中のHVR、例えばCDR(又はその一部)は非ヒト抗体に由来し、FR(又はその一部)はヒト抗体配列に由来している。ヒト化抗体は場合によりまた、ヒト定常領域の少なくとも一部又は完全長のヒト定常領域も含むだろう。いくつかの実施態様では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基を、非ヒト抗体(例えばHVR残基の由来する抗体)に由来する対応する残基で置換することにより、例えば、抗体の特異性又は親和性は回復又は改善される。
ヒト化抗体及びそれらの作製法は、例えば、Almagro, J.C. and Fransson, J., Front. Biosci. 13 (2008) 1619-1633に総説され、さらに、例えば、Riechmann, I. et al., Nature 332 (1988) 323-329; Queen, C. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 10029-10033;米国特許第5,821,337号、米国特許第7,527,791号、米国特許第6,982,321号、及び米国特許第7,087,409号; Kashmiri, S.V. et al., Methods 36 (2005) 25-34 (特異性決定領域(SDR)移植を記載); Padlan, E.A., Mol. Immunol. 28 (1991) 489-498 (「リサーフェシング」を記載); Dall’Acqua, W.F. et al., Methods36 (2005) 43-60 (「FRシャッフリング」を記載);並びにOsbourn, J. et al., Methods36 (2005) 61-68、及びKlimka, A. et al., Br. J. Cancer 83 (2000) 252-260(FRシャッフリングに対する「誘導選択」アプローチを記載)に記載されている。
ヒト化のために使用され得るヒトフレームワーク領域は、「ベストフィット」法を使用して選択されたフレームワーク領域(例えば、Sims, M.J. et al., J. Immunol. 151 (1993) 2296-2308を参照);軽鎖又は重鎖の可変領域の特定の亜群のヒト抗体の共通配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 4285-4289;及びPresta, L.G. et al., J. Immunol. 151 (1993) 2623-2632を参照);ヒト成熟(体細胞の突然変異した)フレームワーク領域又はヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro, J.C. and Fransson, J., Front. Biosci. 13 (2008) 1619-1633を参照);及び、FRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca, M. et al., J. Biol. Chem. 272 (1997) 10678-10684 and Rosok, M.J. et al., J. Biol. Chem. 271 (19969 22611-22618)を参照)が挙げられるがこれらに限定されない。
4.多重特異的抗体
特定の実施態様では、本明細書において提供された抗体は、多重特異的抗体、例えば二重特異的抗体である。多重特異的抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施態様では、結合特異性の一方はヒトタウ(pS422)に対するものであり、他方はいずれかの他の抗原に対するものである。特定の実施態様では、二重特異的抗体は、ヒトタウ(pS422)の2つの異なるエピトープに結合することができる。二重特異的抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製され得る。
多重特異的抗体の作製技術としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリンの重鎖−軽鎖対の組換え共発現(Milstein, C. and Cuello, A.C., Nature 305 (1983)537-540、国際公開公報第93/08829号、及びTraunecker, A. et al., EMBO J. 10 (1991) 3655-3659参照)、及び「ノブ・イン・ホール」工学操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照)が挙げられるがこれらに限定されない。多重特異的抗体はまた、抗体Fc−ヘテロ二量体分子の作製のための静電的ステアリング効果の工学操作(国際公開公報第2009/089004号);2つ以上の抗体又は断片の架橋(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan, M. et al., Science229 (1985) 81-83を参照);二重特異的抗体を生成するためのロイシンジッパーの使用(例えば、Kostelny, S.A. et al., J. Immunol. 148 (1992) 1547-1553参照);二重特異的抗体断片の作製のための「ディアボディ」技術の使用(例えば、Holliger, P. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 6444-6448参照);及び、一本鎖Fv(sFv)二量体の使用(例えば、Gruber, M et al., J. Immunol. 152 (1994) 5368-5374参照);及び例えばTutt, A. et al., J. Immunol. 147 (1991)60-69に記載のような三重特異的抗体の調製によって作製され得る。
「オクトパス抗体」をはじめとする、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する工学操作された抗体も本明細書に含まれる(例えば米国特許第2006/0025576号参照)。
本明細書における抗体又は断片はまた、ヒトタウ(pS422)に結合する抗原結合部位を含む「二重作用性Fab(Dual Acting Fab)」すなわち「DAF」、並びに、別の異なる抗原(例えば、米国特許第2008/0069820号参照)も含む。
本明細書における抗体又は断片はまた、国際公開公報第2009/080251号、国際公開公報第2009/080252号、国際公開公報第2009/080253号、国際公開公報第2009/080254号、国際公開公報第2010/112193号、国際公開公報第2010/115589号、国際公開公報第2010/136172号、国際公開公報第2010/145792号、及び国際公開公報第2010/145793号に記載の多重特異的抗体も含む。
5.抗体変異体
特定の実施態様では、本明細書において提供された抗体のアミノ酸配列変異体も考えられる。例えば、該抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましくあり得る。抗体のアミノ酸配列変異体は、該抗体をコードしているヌクレオチド配列に適切な改変を導入することによって、又はペプチド合成によって調製され得る。このような改変としては、例えば、該抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は該残基への挿入、及び/又は該残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換のあらゆる組合せを行なって最終構築物に到達することができる。ただし、最終構築物は、所望の特徴、例えば抗原への結合を有する。
a)置換変異体、挿入変異体、及び欠失変異体
特定の実施態様では、1つ以上のアミノ酸の置換を有する抗体変異体が提供される。置換による突然変異誘発のための関心対象の部位としては、HVR及びFRが挙げられる。保存的置換は、表中に「好ましい置換」という表題の下で示されている。「例示的な置換」という表題の下で以下の表に、より実質的な変化が提供され、アミノ酸の側鎖のクラスに関して以下にさらに記載されている。アミノ酸の置換を関心対象の抗体に導入し得、産物を所望の活性、例えば保持された/改善された抗原への結合、低減された免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについてスクリーニングし得る。
アミノ酸は、側鎖の共通の特性に従って分類され得る:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性で親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)側鎖の方向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスの中の1つのメンバーを別のクラスのものと交換することを含む。
1種類の置換変異体は、親抗体(例えばヒト化抗体)の1つ以上の超可変領域の残基を置換することを含む。一般的に、さらなる研究のために選択された得られた変異体(群)は、親抗体と比較して特定の生物学的活性の改変(例えば改善)(例えば高まった親和性、低減された免疫原性)を有し、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているだろう。例示的な置換変異体は、例えば本明細書に記載の技術のようなファージディスプレイに基づいた親和性成熟技術を使用して慣用的に作製され得る、親和性の成熟した抗体である。端的に言えば、1つ以上のHVR残基を突然変異させ、変異抗体をファージ上にディスプレイし、特定の生物学的活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングする。
例えば、抗体の親和性を改善させるために、HVRに改変(例えば置換)を行ない得る。このような改変は、HVRの「ホットスポット」、すなわち体細胞成熟過程の最中に高頻度で突然変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えばChowdhury, P.S., Methods Mol. Biol. 207 (2008) 179-196参照)、及び/又は抗原と接触する残基において行なわれ得、結果として得られた変異体VH又はVLを結合親和性について試験する。第二ライブラリーを構築しこれから再度選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboom, H.R. et al. in Methods in Molecular Biology 178 (2002) 1-37に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施態様では、多様性を、様々な方法(例えばエラーしがちなPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発)のいずれかによって、成熟について選択された可変的な遺伝子に導入する。次いで、第二のライブラリーを作成する。次いで、ライブラリーをスクリーニングして、所望の親和性を有する任意の抗体変異体を同定する。多様性を導入するための別の方法は、HVRに向けられたアプローチを含み、ここではいくつかのHVR残基(例えば一度に4〜6個の残基)をランダム化する。抗原との結合に関与するHVR残基を、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発又はモデリングを使用して具体的に同定し得る。CDR−H3及びCDR−L3が特に標的化されることが多い。
特定の実施態様では、置換、挿入、又は欠失は1つ以上のHVR内で、このような改変が実質的に、抗原に対する抗体の結合能を低減させない限り、起こり得る。例えば、結合親和性を実質的に低減させない保存的改変(例えば本明細書において提供されているような保存的置換)がHVR内で行なわれ得る。このような改変は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外であり得る。上記に提供されたVH及びVLの変異配列の特定の実施態様では、各々のHVRは改変されていないか、又は1つ以下、2つ以下、若しくは3つ以下のアミノ酸置換を含有している。
突然変異誘発のために標的化され得る抗体の残基又は領域の同定のために有用な方法は、Cunningham, B.C. and Wells, J.A., Science 244 (1989) 1081-1085によって記載されているような「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基の中の1つの残基又は基(例えば、荷電した残基、例えばarg、asp、his、lys、及びglu)を同定し、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えばアラニン又はポリアラニン)によって置換し、抗原と抗体の相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。さらなる置換を、最初の置換に対して機能的感受性を示したアミノ酸の位置に導入してもよい。代わりに又は追加して、抗体と抗原との間の接触点を同定するための抗原−抗体複合体の結晶構造。このような接触残基及び隣接残基を、置換のための候補として標的化又は排除し得る。変異体をスクリーニングして、それらが所望の特性を含有しているかどうかを決定し得る。
アミノ酸配列の挿入は、1残基から100以上の残基を含有しているポリペプチドまでの長さにおよぶアミノ末端及び/又はカルボキシル末端への融合、並びに、1つ又は複数のアミノ酸残基の配列間への挿入を含む。末端への挿入例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異体としては、抗体のN末端又はC末端への酵素(例えばADEPT)又は抗体の血清中半減期を延長させるポリペプチドの融合が挙げられる。
b)グリコシル化変異体
特定の実施態様では、本明細書において提供される抗体を改変させて、該抗体がグリコシル化される程度を増加又は低減させる。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作成されるか又は除去されるようにアミノ酸配列を改変することによって慣用的に成し遂げられ得る。
前記抗体がFc領域を含む場合、それに付着した糖鎖を改変させ得る。哺乳動物細胞によって産生される天然抗体は典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN結合によって一般的に付着している分岐した、二分岐のオリゴ糖を含む(例えば、Wright, A. and Morrison, S.L., TIBTECH 15 (1997) 26-32参照)。オリゴ糖としては、様々な糖鎖、例えばマンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに、二分岐オリゴ糖構造の「基部」にあるGlcNAcに付着したフコースが挙げられる。いくつかの実施態様では、本発明の抗体内のオリゴ糖の改変は、特定の改善された特性を有する抗体変異体を作成するために行なわれ得る。
c)Fc領域変異体
特定の実施態様では、1つ以上のアミノ酸の改変を、本明細書において提供された抗体のFc領域に導入し得、これによりFc領域変異体を作製し得る。Fc領域変異体は、1つ以上のアミノ酸の位置にアミノ酸の改変(例えば置換)を含むヒトFc領域配列(例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のFc領域)を含み得る。
特定の実施態様では、本発明は、いくつかのエフェクター機能を有しているか全てのエフェクター機能を有しているわけではない抗体変異体を考え、これにより、該抗体変異体は、インビボでの抗体の半減期は重要であるが、特定のエフェクター機能(例えば補体及びADCC)は不必要であるか又は有害であるような適用のための望ましい候補となる。インビトロ及び/又はインビボでの細胞傷害アッセイを行なって、CDC及び/又はADCC活性の低減/欠乏を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行なって、該抗体がFcγR結合を欠失しているが(したがってADCC活性を欠失しているようである)、FcRn結合能は保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、一方、単球はFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、Ravetch, J.V. and Kinet, J.P., Annu. Rev. Immunol. 9 (1991) 457-492の464頁の表3に要約されている。関心対象の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非制限的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom, I. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83 (1986) 7059-7063;及びHellstrom, I. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82 (1985) 1499-1502参照);米国特許第5,821,337号(Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166 (1987) 1351-1361参照)に記載されている。あるいは、非放射能アッセイ法を使用し得る(例えば、フローサイトメトリー用のACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology, Inc.、マウンテンビュー、CA州);及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、マディソン、WI州)を参照)。このようなアッセイのために有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代わりに又は追加して、関心対象の分子のADCC活性をインビボで、例えばClynes, R. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95 (1998) 652-656に開示されているような動物モデルにおいて評価し得る。C1q結合アッセイもまた行なって、該抗体がC1qに結合することができず、したがってCDC活性を欠失していることを確認し得る(例えば国際公開公報第2006/029879号並びに国際公開公報第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISA参照)。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行ない得る(例えば、Gazzano-Santoro, H. et al., J. Immunol. Methods 202 (1996) 163-171; Cragg, M.S. et al., Blood 101 (2003) 1045-1052;及びCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103 (2004) 2738-2743参照)。FcRnへの結合及びインビボでのクリアランス/半減期の決定もまた、当技術分野において公知の方法を使用して行なうことができる(例えば、Petkova, S.B. et al., Int. Immunol. 18(2006: 1759-1769)を参照)。
エフェクター機能の低減された抗体としては、Fc領域の238、265、269、270、297、327、及び329残基の1つ以上の置換を有するものが挙げられる(米国特許第6,737,056号)。このようなFc領域突然変異体としては、265及び297残基のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc領域突然変異体をはじめとする、アミノ酸位置265、269、270、297、及び327の2つ以上において置換を有するFc領域突然変異体が挙げられる。
FcRに対する改善された結合又は消失した結合を有する特定の抗体変異体が記載されている(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開公報第2004/056312号、及びShields, R.L. et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604参照)。
いくつかの実施態様では、例えば米国特許第6,194,551号、国際公開公報第99/51642号、及びIdusogie, E.E. et al., J. Immunol. 164 (2000) 4178-4184に記載されているような、改変された(すなわち消失した)C1qへの結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)をもたらす、Fc領域内の改変を行なう。
半減期が延長され、母体IgGの胎児への移行に関与する(Guyer, R.L. et al., J. Immunol. 117 (1976) 587-593、及びKim, J.K. et al., J. Immunol. 24 (1994) 2429-2434)新生児Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体が、米国特許第2005/0014934号に記載されている。そうした抗体は、FcRnに対するFc領域の結合を改善させる1つ以上の置換をそこに有するFc領域を含む。このようなFc領域変異体としては、Fc領域残基(238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434)の1つ以上における置換を有する変異体、例えばFc領域残基434の置換を有する変異体(米国特許第7,371,826号)が挙げられる。
また、Fc領域変異体の他の例に関する、Duncan, A.R.及びWinter, G., Nature 322 (1988) 738-740;米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;並びに国際公開公報第94/29351号を参照されたい。
d)システインの工学操作された抗体変異体
特定の実施態様では、システインの工学操作された抗体、例えば「チオモノクローナル抗体」を作製することが望ましくあり得、ここでは抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている。特定の実施態様では、置換された残基は、抗体の近づきやすい部位に存在する。こうした残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基はこれにより抗体の近づきやすい部位に位置し、これを使用して抗体を他の部分に、例えば薬物部分又はリンカー−薬物部分にコンジュゲートさせて、本明細書においてさらに記載されているようなイムノコンジュゲートを作製し得る。特定の実施態様では、以下の残基のいずれか1つ以上をシステインで置換し得る:軽鎖のV205(Kabatの番号付け);重鎖のA118(EUによる番号付け);及び重鎖Fc領域のS400(EUによる番号付け)。システインの工学操作された抗体は、例えば米国特許第7,521,541号に記載されているように作製され得る。
e)抗体誘導体
特定の実施態様では、本明細書において提供される抗体を、当技術分野において公知であり容易に入手可能である追加の非タンパク質性部分を含有するようにさらに改変させ得る。抗体の誘導体化に適した部分としては水溶性ポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマー)、及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、及びその混合物が挙げられるがこれらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中におけるその安定性に因り製造において利点を有し得る。ポリマーは任意の分子量であり得、分岐していても分岐していなくてもよい。抗体に付着するポリマーの数は変化し得、1つを超えるポリマーが付着している場合には、それらは同じ分子であっても異なる分子であってもよい。一般的に、誘導体化のために使用されるポリマーの数及び/又は種類は、改善しようとする抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体を規定の条件下で療法に使用するであろうかどうかなどを含むがこれらに限定されない考慮に基づいて決定され得る。
別の実施態様では、放射線への曝露によって選択的に加熱される可能性がある抗体と非タンパク質性部分とのコンジュゲートが提供される。1つの実施態様では、非タンパク質性部分はカーボンナノチューブである(Kam, N.W. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102 (2005) 11600-11605)。放射線は任意の波長であり得、これには、普通の細胞は害さないが、抗体−非タンパク質性部分の近くにある細胞が死滅する温度まで非タンパク質性部分を加熱させる波長が挙げられるがこれらに限定されない。
B.組換え法及び組成物
抗体は、例えば米国特許第4,816,567号に記載のような、組換え法及び組成物を使用して産生され得る。1つの実施態様では、本明細書に記載の抗ヒトタウ(pS422)抗体をコードしている単離された核酸が提供される。このような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/又はVHを含むアミノ酸配列をコードし得る(例えば抗体の軽鎖及び/又は重鎖)。さらなる実施態様では、このような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば発現ベクター)が提供される。さらなる実施態様では、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。1つのこのような実施態様では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一ベクター、及び、抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第二ベクターを含む(例えばこれで形質転換されている)。1つの実施態様では、宿主細胞は、真核細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ球系細胞(例えばY0、NS0、Sp20細胞)である。1つの実施態様では、抗ヒトタウ(pS422)抗体の作製法が提供され、ここで該方法は、上記に提供されたような抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に適した条件下で培養し、場合により宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から該抗体を回収する工程を含む。
抗ヒトタウ(pS422)抗体の組換え産生のために、例えば上記のような抗体をコードしている核酸を単離し、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/又は発現のために1つ以上のベクターに挿入する。このような核酸は、慣用的な手順を使用して容易に単離及びシークエンスすることができる(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合することのできるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)。
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現に適した宿主細胞としては、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞が挙げられる。例えば、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合には、抗体を細菌において産生し得る。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば米国特許第5,648,237号、米国特許第5,789,199号及び米国特許第5,840,523号を参照されたい(E.coliにおける抗体断片の発現を記載した、Charlton, K.A., In: Methods in Molecular Biology, Vol. 248, Lo, B.K.C. (ed.), Humana Press, Totowa, NJ (2003), pp. 245-254も参照されたい)。発現後、抗体を、細菌細胞ペーストから可溶性画分中へと単離し得、さらに精製することができる。
原核細胞に加えて、真核微生物、例えば線維状真菌又は酵母が、抗体をコードするベクターのために適したクローニング用又は発現用の宿主であり、これには、そのグリコシル化経路が「ヒト化」され、その結果、部分的な又は完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体が産生される真菌株及び酵母株が挙げられる。Gerngross, T.U., Nat. Biotech. 22 (2004) 1409-1414; and Li, H. et al., Nat. Biotech. 24 (2006) 210-215を参照されたい。
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)からも得られる。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。特にヨウトガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクション用の、昆虫細胞と共に使用し得る、数多くのバキュロウイルス株が同定されている。
植物細胞培養はまた、宿主として使用することもできる。例えば、米国特許第5,959,177号、米国特許第6,040,498号、米国特許第6,420,548号、米国特許第7,125,978号、及び米国特許第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照されたい。
脊椎動物細胞もまた宿主として使用され得る。例えば、懸濁液中での増殖に適合した哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7);ヒト胚性腎臓株(例えばGraham, F.L. et al., J. Gen Virol. 36 (1977) 59-74に記載のような293又は293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えばMather, J.P., Biol. Reprod. 23 (1980) 243-252に記載のようなTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT060562);例えばMather, J.P. et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383 (1982) 44-68に記載のようなTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、例えばDHFRCHO細胞(Urlaub, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77 (1980) 4216-4220);並びに骨髄腫細胞株、例えばY0、NS0、及びSp2/0が挙げられる。抗体の産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki, P. and Wu, A.M., Methods in Molecular Biology, Vol. 248, Lo, B.K.C. (ed.), Humana Press, Totowa, NJ (2004), pp. 255-268を参照されたい。
C.アッセイ
本明細書において提供される抗ヒトタウ(pS422)抗体は、当技術分野において公知である様々なアッセイによってその物理的/化学的特性及び/又は生物学的活性について同定、スクリーニング、又は特徴付けられ得る。
1.結合アッセイ及び他のアッセイ
1つの態様では、本発明の抗体を、その抗原結合活性について、例えばELISA、alphaLISA、ウェスタンブロット、抗体又は逆相アレイなどの公知の方法によって試験する。
例示的なELISA又はalphaLISAアッセイでは、溶液(例えば細胞上清、細胞又は組織溶解液、体液など)中のタウ(pS422)を、タウ(pS422)上の第一エピトープ又は特定のコンフォメーションのタウ(pS422)に特異的に結合する捕捉抗体、及び、タウ(pS422)の第二エピトープ又はコンフォメーションに特異的に結合する検出実体に連結させた検出抗体と結合させる。読み取りは、検出実体(化学発光、蛍光、エネルギー移動により誘発される発光など)に基づく。場合によっては、同じ抗体を、同じアッセイにおいて凝集形のタウ(pS422)を検出するために捕捉抗体及び検出抗体として使用してもよい(例えば、Tokuda, T. et al., Neurology 75 (2010) 1766-1772参照)。
抗体アレイの場合、抗体をガラス又はニトロセルロースチップ上にスポットする。スライドをブロッキングし、そしてタウ(pS422)含有溶液を用いてインキュベートし、洗浄して結合していない抗体を除去し、そして結合した抗体を、蛍光標識された対応する二次抗体を用いて検出する。蛍光シグナルを蛍光スライドスキャナーによって測定する。逆相アレイでも同様に、組換えタウ(pS422)、細胞上清、細胞又は組織溶解液、体液などをガラス又はニトロセルロースチップ上にスポットする。スライドをブロッキングし、そして個々のアレイを、タウ(pS422)上の特異的エピトープに対する抗体と共にインキュベートする。結合していない抗体を洗浄除去し、そして結合した抗体を、蛍光標識された対応する二次抗体を用いて検出する。蛍光シグナルを蛍光スライドスキャナーによって測定する(Dernick, G., et al., J. Lipid Res. 52 (2011) 2323-2331)。
ウェスタンブロットの例では、凝集した組換えタウ(pS422)、又は例えば細胞上清、細胞若しくは組織溶解液、体液などから得られたタウ(pS422)を、SDS PAGE又は天然ゲル条件で分子量によって分離し、そしてニトロセルロース膜又はPVDF膜上にブロットする。ブロッキング後、膜を、タウ(pS422)のアミノ酸配列又はコンフォメーションに対して特異的である抗体と共にインキュベートする。その後、膜を洗浄して結合していない抗体を除去する。結合した抗体を、化学発光又は蛍光又は他の検出手段のための検出実体に連結させた対応する二次抗体によって検出する。タウ(pS422)のアミノ酸配列に対して特異的な抗体は、様々な凝集形のタウ(pS422)に結合し、したがって、分子量並びにエピトープは、凝集によって遮蔽されない。他方で、コンフォメーションに特異的な抗体は、特定の凝集形のタウ(pS422)しか検出せず、特定の分子量のバンドのみしか明らかにしない(例えば、Towbin, H., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76 (1979) 4350-4353; Burnette, W.N., Anal. Biochem. 112 (1981) 195-203参照)。
別の態様では、競合アッセイを使用して、ヒトタウ(pS422)への結合について本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体と競合する抗体を同定し得る。特定の実施態様では、このような競合抗体は、本明細書において報告されているような(ヒト化)抗体に結合しているのと同じエピトープ(例えばリニアエピトープ又はコンフォメーションエピトープ)に結合する。抗体が結合しているエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Morris, G.E. (ed.), Epitope Mapping Protocols, In: Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Humana Press, Totowa, NJ (1996)に提供されている。
例示的な競合アッセイでは、固定されたヒトタウ(pS422)を、ヒトタウ(pS422)に結合する標識された第一抗体と、ヒトタウ(pS422)への結合について第一抗体と競合するその能力について試験される標識されていない第二抗体とを含む溶液中でインキュベートする。対照として、固定されたヒトタウ(pS422)を、標識された第一抗体を含んでいるが標識されていない第二抗体は含んでいない溶液中でインキュベートする。ヒトタウ(pS422)への第一抗体の結合を許容する条件下でのインキュベーション後、過剰な結合していない抗体を除去し、そして固定されたヒトタウ(pS422)と会合した標識の量を測定する。固定されたヒトタウ(pS422)と会合した標識の量が、対照試料と比較して試験試料中において実質的に減少していれば、第二抗体が、ヒトタウ(pS422)への結合について第一抗体と競合していることを示す(例えば、Harlow, E. and Lane, D., Antibodies: A Laboratory Manual, Chapter 14, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1988)参照)。
2.活性アッセイ
1つの態様では、生物学的活性を有するその抗ヒトタウ(pS422)抗体を同定するためのアッセイが提供される。生物学的活性は、例えば、タウ(pS422)により誘発される細胞毒性からの保護/の低減/の阻害、及び/又はオリゴマーヒトタウ(pS422)の細胞間移動からの保護/の低減/の阻害、及び/又はLUHMES細胞内のタウ(pS422)により誘発されるカスパーゼ活性の低減を含み得る。このような生物学的活性をインビボ及び/又はインビトロで有する抗体も提供される。
特定の実施態様では、本発明の抗体を、このような生物学的活性について試験する。
保護的な生物学的活性は、レシピエント神経細胞上での細胞死を引き起こす、分泌されたタウ(pS422)を含有している馴化培地を添加することによって評価され得る。この毒性は、本明細書に記載のような保護抗体を添加することによって元に戻り得る。分泌されたタウ(pS422)の毒性は以前に確立されている(Emmanouilidou, E., et al., J. Neurosci., 30 (2010) 6838-6851)。
D.診断及び検出のための方法及び組成物
特定の実施態様では、本明細書において提供される抗ヒトタウ(pS422)抗体のいずれかが、生物学的試料中のヒトタウ(pS422)の存在を検出するのに有用である。本明細書において使用する「検出する」という用語は、定量的又は定性的検出を包含する。特定の実施態様では、生物学的試料は、細胞又は組織、例えば脳組織を含む。
1つの実施態様では、診断法又は検出法に使用するための抗ヒトタウ(pS422)抗体が提供される。さらなる態様では、生物学的試料中のヒトタウ(pS422)の存在を検出する方法が提供される。特定の実施態様では、該方法は、ヒトタウ(pS422)に対する抗ヒトタウ(pS422)抗体の結合を許容する条件下で、生物学的試料を、本明細書に記載のような抗ヒトタウ(pS422)抗体と接触させ、抗ヒトタウ(pS422)抗体とヒトタウ(pS422)との間に複合体が形成されるかどうかを検出する工程を含む。このような方法は、インビトロ又はインビボでの方法であり得る。1つの実施態様では、抗ヒトタウ(pS422)抗体は、抗ヒトタウ(pS422)抗体を用いての治療に適格な被験者を選択するために使用され、例えばここではヒトタウ(pS422)は患者の選択のためのバイオマーカーである。
本発明の抗体を使用して診断され得る例示的な障害としては、脳鉄蓄積1型(NBIA1)を伴う神経変性症、純粋自律神経失調症、ダウン症候群、グアム複合、及びいくつかのレビー小体の障害、例えばびまん性レビー小体病(DLBD)、アルツハイマー病のレビー小体バリアント(LBVAD)、特定の病型のゴーシェ病、及び認知症を伴うパーキンソン病(PDD)が挙げられる。
特定の実施態様では、標識された抗ヒトタウ(pS422)抗体が提供される。標識としては、直接的に検出される標識又は部分(例えば蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、及び放射性標識)並びに、例えば酵素反応又は分子相互作用を通して間接的に検出される部分、例えば酵素又はリガンドが挙げられるがこれらに限定されない。例示的な標識としては、放射性同位体32P、14C、125I、H、及び131I、フルオロフォア、例えば希土類キレート剤又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えばホタルルシフェラーゼ、及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はミクロペルオキシダーゼなどの過酸化水素を使用する酵素と結合して色素前駆体を酸化、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなどのヘテロ環式オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定なフリーラジカルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
E.医薬製剤
本明細書に記載のような抗ヒトタウ(pS422)抗体の医薬製剤は、所望の純度を有するこのような抗体を1つ以上の任意選択の薬学的に許容される担体(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed.) (1980))と混合することによって、凍結乾燥製剤又は液剤の剤形で調製される。薬学的に許容される担体は一般的に、使用される用量及び濃度ではレシピエントに対して無毒性であり、これには、緩衝液、例えばリン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸及びメチオニン;保存剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンズアルコニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチル、又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリ(ビニルピロリドン);アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン;単糖、二糖、及び他の炭水化物、例えばグルコース、マンノース、又はデキストリン;キレート剤、例えばEDTA;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属錯体(例えばZn−タンパク質錯体);及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体としてはさらに、間質薬物分散剤、例えば可溶性で中性で活性のヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えばヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えばrhuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International, Inc.)が挙げられる。rhuPH20をはじめとする、特定の例示的なsHASEGP及び使用法は、米国特許第2005/0260186号及び米国特許第2006/0104968号に記載されている。1つの態様では、sHASEGPを、1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼ、例えばコンドロイチナーゼと配合する。
例示的な凍結乾燥抗体製剤が米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤としては、米国特許第6,171,586号及び国際公開公報第2006/044908号に記載されたものが挙げられ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸緩衝液を含む。
本明細書の製剤はまた、処置される特定の適応症にとって必要とされるような1つを超える活性成分、好ましくは互いに有害な影響を及ぼさない補完的な活性を有するものを含有する。このような活性成分は、意図する目的にとって有効な量で組み合わせられて適切に存在する。
活性成分は、例えばコアセルベーション技術によって又は界面重合によって調製されたマイクロカプセルに、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルに、コロイド状薬物送達システムに(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子、及びナノカプセル)、又はマクロエマルションに封入され得る。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A.(編)(1980)に記載されている。
持続放出調製物を調製してもよい。持続放出調製物の適切な例としては、抗体を含有している固体で疎水性のポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、該マトリックスは成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形状である。
インビボでの投与のために使用される製剤は一般的に無菌である。無菌性は、例えば滅菌ろ過膜を通したろ過によって容易に成し遂げられ得る。
例えば、処置される適応症がアルツハイマー病又は前駆期アルツハイマー病である場合、医薬製剤はまた、1つ以上の追加の活性成分、例えばドネペジル、メマンチン、リバスチグミン、ガランタミン、リバスチグミン、メシル酸エルゴロイド、抗Aβ抗体、及び抗αシヌクレイン抗体を含有していてもよい。
F.治療法及び組成物
本明細書において提供される抗ヒトタウ(pS422)抗体のいずれかを治療法に使用し得る。
1つの態様では、医薬品としての使用のための抗ヒトタウ(pS422)抗体が提供される。さらなる態様では、アルツハイマー病の処置に使用するための抗ヒトタウ(pS422)抗体が提供される。特定の実施態様では、処置法に使用するための抗ヒトタウ(pS422)抗体が提供される。特定の実施態様では、本発明は、有効量の抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む、アルツハイマー病を有する個体を処置する方法において使用するための抗ヒトタウ(pS422)抗体を提供する。1つのこのような実施態様では、該方法はさらに、例えば下記したような少なくとも1つの追加の治療剤の有効量を個体に投与する工程を含む。さらなる実施態様では、本発明は、ヒト神経細胞及びグリア細胞内におけるタウ(pS422)により誘発される細胞毒性を阻害するために、又は神経細胞とグリア細胞の間のオリゴマーヒトタウ(pS422)の細胞間移動を阻害するために、又はタウ(pS422)により誘発されるカスパーゼ活性を減少させるために使用するための抗ヒトタウ(pS422)抗体を提供する。特定の実施態様では、本発明は、ヒト神経細胞及びグリア細胞内におけるタウ(pS422)により誘発される細胞毒性を阻害するために、又は神経細胞とグリア細胞の間のオリゴマーヒトタウ(pS422)の細胞間移動を阻害するために、又はタウ(pS422)により誘発されるカスパーゼ活性を減少させるために、有効量の抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む、個体における、ヒト神経細胞及びグリア細胞内におけるタウ(pS422)により誘発される細胞毒性を阻害する、又は神経細胞とグリア細胞の間のオリゴマーヒトタウ(pS422)の細胞間移動を阻害する、又はタウ(pS422)により誘発されるカスパーゼ活性を減少させる方法において使用するための抗ヒトタウ(pS422)抗体を提供する。上記のいずれかの実施態様に記載の「個体」は好ましくはヒトである。
さらなる態様では、本発明は、医薬品の製造又は調製における抗ヒトタウ(pS422)抗体の使用を提供する。1つの実施態様では、医薬品は、アルツハイマー病の処置用である。さらなる実施態様では、医薬品は、アルツハイマー病を有する個体に有効量の医薬品を投与する工程を含む、アルツハイマー病を処置する方法に使用するためである。1つのこのような実施態様では、該方法はさらに、例えば下記したような少なくとも1つの追加の治療剤の有効量を個体に投与する工程を含む。さらなる実施態様では、医薬品はヒト神経細胞及びグリア細胞内におけるタウ(pS422)により誘発される細胞毒性を阻害するため、又は神経細胞とグリア細胞の間のオリゴマーヒトタウ(pS422)の細胞間移動を阻害するため、又はタウ(pS422)により誘発されるカスパーゼ活性を減少させるためである。さらなる実施態様では、医薬品は、ヒト神経細胞及びグリア細胞内におけるタウ(pS422)により誘発される細胞毒性を阻害するために、又は神経細胞とグリア細胞の間のオリゴマーヒトタウ(pS422)の細胞間移動を阻害するために、又はタウ(pS422)により誘発されるカスパーゼ活性を減少させるために有効量の医薬品を個体に投与する工程を含む、個体における、ヒト神経細胞及びグリア細胞内におけるタウ(pS422)により誘発される細胞毒性を阻害する、又は神経細胞とグリア細胞の間のオリゴマーヒトタウ(pS422)の細胞間移動を阻害する、又はタウ(pS422)により誘発されるカスパーゼ活性を減少させる方法において使用するためである。上記のいずれかの実施態様に記載の「個体」はヒトであり得る。
さらなる態様では、本発明は、アルツハイマー病の処置法を提供する。1つの実施態様では、該方法は、このようなアルツハイマー病を有する個体に、有効量の抗ヒトタウ(pS422)抗体を投与する工程を含む。1つのこのような実施態様では、該方法はさらに、以下に記載したような少なくとも1つの追加の治療剤の有効量を個体に投与する工程を含む。上記のいずれかの実施態様に記載の「個体」はヒトであり得る。
さらなる態様では、本発明は、個体における、ヒト神経細胞及びグリア細胞内におけるタウ(pS422)により誘発される細胞毒性を阻害するための、又は神経細胞とグリア細胞の間のオリゴマーヒトタウ(pS422)の細胞間移動を阻害するための、又はタウ(pS422)により誘発されるカスパーゼを減少させるための方法を提供する。1つの実施態様では、該方法は、ヒト神経細胞及びグリア細胞内におけるタウ(pS422)により誘発される細胞毒性を阻害するために、又は神経細胞とグリア細胞の間のオリゴマーヒトタウ(pS422)の細胞間移動を阻害するために、又はタウ(pS422)により誘発されるカスパーゼ活性を減少させるために有効量の抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む。1つの実施態様では、「個体」はヒトである。
さらなる態様では、本発明は、例えば上記のいずれかの治療法に使用するための、本明細書において提供される抗ヒトタウ(pS422)抗体のいずれかを含む医薬製剤を提供する。1つの実施態様では、医薬製剤は、本明細書において提供される抗ヒトタウ(pS422)抗体のいずれか及び薬学的に許容される担体を含む。別の実施態様では、医薬製剤は、本明細書において提供される抗ヒトタウ(pS422)抗体のいずれか及び例えば以下に記載されているような少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
本発明の抗体は、療法において単独で又は他の薬剤と組み合わせてのいずれかで使用することができる。例えば、本発明の抗体は、少なくとも1つの追加の治療剤と共投与され得る。
上記のこのような併用療法は、併用投与(ここでは2つ以上の治療剤が同じ製剤又は別々の製剤に含まれる)及び別々の投与(この場合には、本発明の抗体の投与は、追加の治療剤又は治療剤群の投与前、同時に、及び/又は投与後に行なわれ得る)を包含する。1つの実施態様では、抗ヒトタウ(pS422)抗体の投与及び追加の治療剤の投与は、互いに約1か月間以内、又は約1、2、若しくは3週間以内、又は約1、2、3、4、5、若しくは6日間以内に行なう。
本発明の抗体(及び追加の治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内、局所的処置を所望する場合には病巣内投与をはじめとする、任意の適切な手段によって投与され得る。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が挙げられる。投与は、一部には投与が瞬時であるか慢性であるかに依存して、任意の適切な経路によって、例えば静脈内又は皮下注射などの注射によってであり得る。様々な時点におよぶ1回又は複数回の投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない様々な投与計画が本明細書において考えられる。
本発明の抗体は、良質な医療に沿った様式で製剤化、用量化、及び投与されるだろう。この脈絡で考慮される因子としては、処置される具体的な障害、処置される具体的な哺乳動物、個体の患者の臨床容態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与法、投与計画、及び医療従事者には公知である他の因子が挙げられる。抗体は、問題の障害を予防又は治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤と共に製剤化される必要はないが、場合によりそれと共に製剤化されてもよい。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害又は処置の種類、及び上記に考察される他の因子に依存する。これらは一般的に本明細書に記載のものと同じ用量及び投与経路で、又は本明細書に記載の用量の1〜99%で、又は適切であると経験的に/臨床的に決定された任意の用量及び経路によって使用される。
疾患の予防又は治療のために、本発明の抗体の適切な用量(単独で又は1つ以上の他の追加の治療剤と併用して使用する場合)は、処置しようとする疾患の種類、抗体の種類、疾患の重度及び経緯、抗体が予防目的で投与されるのか治療目的で投与されるのか、以前の療法、患者の病歴及び抗体に対する応答、並びに担当医師の裁量に依存するだろう。該抗体は患者に一度に又は一連の処置において適切に投与される。疾患の種類及び重度に依存して、約1μg/kgから15mg/kg(例えば0.5mg/kgから10mg/kg)の抗体が、例えば1回以上の別々の投与によるものであれ、又は連続注入によるものであれ、患者への投与のための初回候補用量であり得る。1回の典型的な1日量は、上記の因子に依存して、約1μg/kgから100mg/kg又はそれ以上の範囲であり得る。数日間又はそれ以上におよぶ反復投与では、容態に依存して、処置は一般的に、疾患症状の望ましい抑制が起こるまで持続されるであろう。抗体の例示的な1回量は、約0.05mg/kgから約10mg/kgの範囲内であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、又は10mg/kgの1つ以上の用量(又はその任意の組合せ)を患者に投与し得る。このような用量は、断続的に、例えば1週間に1回又は3週間に1回投与されてもよい(例えば患者が約2から約20、又は例えば約6用量の抗体を受けるように)。初回のより高い添加用量に続いて、1回以上のより低用量を投与してもよい。しかしながら、他の投与処置計画も有用であり得る。この療法の進行は、慣用的な技術及びアッセイによって容易にモニタリングされる。
例えば、処置される適応症がアルツハイマー病又は前駆期アルツハイマー病である場合、追加の治療剤はまた、ドネペジル、メマンチン、リバスチグミン、ガランタミン、リバスチグミン、メシル酸エルゴロイド、抗Aβ抗体、及び抗αシヌクレイン抗体から選択され得る。
上記のいずれかの製剤又は治療法は、抗ヒトタウ(pS422)抗体の代わりに又はそれに加えて本発明のイムノコンジュゲートを使用して行なわれ得ることが理解される。
III.製品
本発明の別の態様では、上記の障害の治療、予防、及び/又は診断に有用な材料を含有している製品が提供される。製品は、容器と、容器上の又は容器と付随したラベル若しくは添付文書を含む。適切な容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、静注用バッグなどが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は、単独で存在するか又は容態を治療、予防及び/又は診断するのに有効な別の組成物と配合されている組成物を保持し、無菌アクセスポートを有し得る(例えば容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静注用バッグ又はバイアルであり得る)。該組成物中の少なくとも1つの活性成分が本発明の抗体である。ラベル又は添付文書は、該組成物が、選択された容態を処置するために使用されることを表示する。さらに、製品は、(a)組成物が含有されている第一の容器(ここで該組成物は、本発明の抗体を含む);及び(b)組成物が含有されている第二の容器(ここで、該組成物はさらに他の細胞傷害性剤又は別様の治療剤を含む)を含み得る。本発明のこの実施態様における製品はさらに、該組成物を使用して特定の容態を処置することができることを表示する添付文書を含み得る。代わりに又は追加して、製品はさらに、薬学的に許容される緩衝液、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンガー液、及びデキストロース溶液を含む、第二(又は第三)の容器を含み得る。それはさらに、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジをはじめとする、商業的見地及びユーザーの見地から望ましい他の材料も含んでいてもよい。
上記のいずれかの製品は、抗ヒトタウ(pS422)抗体の代わりに又はそれに追加して本発明のイムノコンジュゲートを含み得ることが理解される。
IV.具体的な実施態様
1.ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するヒト化抗体であって、ここでの該抗体は、
a)重鎖可変ドメインに配列番号08、09、及び10のHVR、又は
b)重鎖可変ドメインに配列番号08、77、及び10のHVR
を含む。
2.a)軽鎖可変ドメインに、配列番号71、73、及び15のHVR、又は
b)軽鎖可変ドメインに、配列番号70、72、及び15のHVR、又は
c)軽鎖可変ドメインに、配列番号12、14、及び79のHVR、又は
d)軽鎖可変ドメインに、配列番号71、81、及び15のHVR、又は
e)軽鎖可変ドメインに、配列番号12、14、及び74のHVR、又は
f)軽鎖可変ドメインに、配列番号12、14、及び75のHVR
をさらに含む、項目1記載のヒト化抗体。
3.a)重鎖可変ドメインに配列番号08、09、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに配列番号71、73、及び15のHVR、又は
b)重鎖可変ドメインに配列番号08、09、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに配列番号70、72、及び15のHVR、又は
c)重鎖可変ドメインに配列番号08、77、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに配列番号12、14、及び79のHVR、又は
d)重鎖可変ドメインに配列番号08、09、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに配列番号12、14、及び79のHVR、又は
e)重鎖可変ドメインに配列番号08、77、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに配列番号71、81、及び15のHVR、又は
f)重鎖可変ドメインに配列番号08、09、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに配列番号12、14、及び74のHVR、又は
g)重鎖可変ドメインに配列番号08、77、及び10のHVR、並びに、軽鎖可変ドメインに配列番号12、14、及び75のHVR
を含む、項目1〜2のいずれか一項記載のヒト化抗体。
4.a)配列番号19の重鎖可変ドメインと配列番号67の軽鎖可変ドメイン、又は
b)配列番号65の重鎖可変ドメインと配列番号66の軽鎖可変ドメイン、又は
c)配列番号76の重鎖可変ドメインと配列番号78の軽鎖可変ドメイン、又は
d)配列番号19の重鎖可変ドメインと配列番号78の軽鎖可変ドメイン、又は
e)配列番号76の重鎖可変ドメインと配列番号80の軽鎖可変ドメイン、又は
f)配列番号65の重鎖可変ドメインと配列番号67の軽鎖可変ドメイン、又は
g)配列番号65の重鎖可変ドメインと配列番号68の軽鎖可変ドメイン、又は
h)配列番号76の重鎖可変ドメインと配列番号69の軽鎖可変ドメイン
を含む、項目1〜3のいずれか一項記載のヒト化抗体。
5.i)a)配列番号20の重鎖可変ドメインと配列番号17の軽鎖可変ドメイン、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインと配列番号16の軽鎖可変ドメイン、又は
c)配列番号19の重鎖可変ドメインと配列番号17の軽鎖可変ドメイン、又は
d)配列番号21の重鎖可変ドメインと配列番号17の軽鎖可変ドメイン、又は
e)配列番号65の重鎖可変ドメインと配列番号67の軽鎖可変ドメイン、又は
f)配列番号19の重鎖可変ドメインと配列番号66の軽鎖可変ドメイン、又は
g)配列番号76の重鎖可変ドメインと配列番号78の軽鎖可変ドメイン、又は
h)配列番号65の重鎖可変ドメインと配列番号78の軽鎖可変ドメイン、又は
i)配列番号65の重鎖可変ドメインと配列番号66の軽鎖可変ドメイン、又は
j)配列番号65の重鎖可変ドメインと配列番号68の軽鎖可変ドメイン、又は
k)配列番号76の重鎖可変ドメインと配列番号69の軽鎖可変ドメイン、又は
l)配列番号76の重鎖可変ドメインと配列番号80の軽鎖可変ドメイン
から選択された第一の結合部位と、
ii)a)配列番号82の重鎖可変ドメインと配列番号85の軽鎖可変ドメイン、又は
b)配列番号83の重鎖可変ドメインと配列番号85の軽鎖可変ドメイン、又は
c)配列番号84の重鎖可変ドメインと配列番号85の軽鎖可変ドメイン
から選択された第二の結合部位
とを含む、ヒト化二重特異的抗体。
6.前記抗体はアルツハイマー病の処置に使用するためのものである、項目1〜5のいずれか一項記載のヒト化抗体。
7.前記抗体はエフェクター機能がサイレントである、項目1〜6のいずれか一項記載のヒト化抗体。
8.前記抗体はエフェクター機能を全く有さない、項目1〜7のいずれか一項記載のヒト化抗体。
9.前記抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合する、項目1〜8のいずれか一項記載のヒト化抗体。
10.前記抗体は、
a)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下、及び/又は
b)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下、及び/又は
c)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下、及び/又は
d)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、項目2〜9のいずれか一項記載のヒト化抗体。
11.前記抗体はヒトタウ(pS422)(配列番号02)に特異的に結合し、かつヒトタウ(配列番号01)には結合しない、項目1〜10のいずれか一項記載のヒト化抗体。
12.前記抗体は、重鎖可変ドメイン内の4位、24位、及び78位にバリン残基を有する、項目1〜11のいずれか一項記載のヒト化抗体。
13.前記抗体は、重鎖可変ドメイン内の71位にアルギニン残基を有する、項目1〜12のいずれか一項記載のヒト化抗体。
14.前記抗体はモノクローナル抗体である、項目1〜13のいずれか一項記載のヒト化抗体。
15.前記抗体は、ヒトタウ(pS422)に結合する抗体断片であり、そして
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、項目1〜14のいずれか一項記載のヒト化抗体。
16.前記抗体は、
a)ヒトサブクラスIgG1の完全長抗体、又は
b)ヒトサブクラスIgG4の完全長抗体、又は
c)L234A、L235A、及びP329Gの突然変異を有するヒトサブクラスIgG1の完全長抗体、
d)S228P、L235E、及びP329Gの突然変異を有するヒトサブクラスIgG4の完全長抗体、
e)両方の重鎖にL234A、L235A、及びP329Gの突然変異、並びに、一方の重鎖にT366W及びS354Cの突然変異、及びそれぞれの他方の重鎖にT366S、L368A、Y407V、及びY349Cの突然変異を有するヒトサブクラスIgG1の完全長抗体、又は
f)両方の重鎖にS228P及びP329Gの突然変異、並びに、一方の重鎖にT366W及びS354Cの突然変異、及びそれぞれの他方の重鎖にT366S、L368A、Y407V、及びY349Cの突然変異を有するヒトサブクラスIgG4の完全長抗体である、項目1〜14いずれか一項記載のヒト化抗体。
17.ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体であって、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号09及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基は存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号71、配列番号73及び配列番号15のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、
ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体。
18.ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体であって、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号09及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基は存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号70、配列番号72及び配列番号15のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、
ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体。
19.ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体であって、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号09及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基は存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号12、配列番号14及び配列番号74のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、
ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体。
20.ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体であって、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは、配列番号08、配列番号77及び配列番号10のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基は存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号12、配列番号14及び配列番号75のHVRを含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、
ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体。
21.ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体であって、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号65のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基は存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号67のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、
ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体。
22.ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体であって、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号65のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基は存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号66のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、
ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体。
23.ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体であって、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号65のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基は存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号68のアミノ酸配列を含み、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、
ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体。
24.ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体であって、
a)該抗体は2本の抗体重鎖を含み、各々が重鎖可変ドメインと重鎖定常領域を含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号76のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトIgG1定常領域であり、ここでのC末端リジン残基は存在していても存在していなくてもよく、
iii)定常領域は、L234A、L235A及びP329Gのアミノ酸変化を含み、
b)該抗体は2本の抗体軽鎖を含み、各々が軽鎖可変ドメインと軽鎖定常ドメインを含み、ここで
i)可変ドメインは配列番号69のアミノ酸配列を有し、
ii)定常領域はヒトκ軽鎖定常領域又はヒトλ軽鎖定常領域であり、並びに
c)該抗体は、
i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合し、及び/又は
v)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有する完全長ヒトタウに特異的に結合し、及び/又は
vi)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
vii)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
viii)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下のEC50値を有し、及び/又は
ix)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、
ヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体。
25.前記抗体は、軽鎖可変ドメイン内の32位にリジン(K)アミノ酸残基を有する(番号付けはKabatによる)、項目1〜24のいずれか一項記載のヒト化抗体。
26.項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体をコードしている単離された核酸。
27.項目26記載の核酸を含む宿主細胞。
28.本明細書において報告されているような宿主細胞を培養し、よってヒト化抗体が産生される工程を含む、項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体の産生法。
29.ヒト化抗体を細胞又は培養培地から回収する工程をさらに含む、項目28記載の方法。
30.項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体と薬学的に許容される担体とを含む医薬製剤。
31.追加の治療剤をさらに含む、項目30記載の医薬製剤。
32.追加の治療剤は抗アミロイド治療剤である、項目31記載の医薬製剤。
33.抗アミロイド治療剤は、抗ヒトαシヌクレイン抗体又は抗Aβ抗体である、項目32記載の医薬製剤。
34.医薬品として使用するための項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体。
35.アルツハイマー病の処置に使用するための項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体。
36.前駆期アルツハイマー病の処置に使用するための項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体。
37.軽度アルツハイマー病の処置に使用するための項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体。
38.タウ(pS422)により誘発される神経変性症を低減させるために使用するための項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体。
39.認知及び機能を維持するために使用するための項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体。
40.認知及び機能の低下速度を減速させるために使用するための項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体。
41.医薬品の製造における項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体の使用。
42.前記医薬品はアルツハイマー病の処置のためのものである、項目34及び41のいずれか一項記載の使用。
43.前記医薬品は前駆期アルツハイマー病の処置のためのものである、項目34及び41〜42のいずれか一項記載の使用。
44.前記医薬品は軽度アルツハイマー病の処置のためのものである、項目34及び41〜43のいずれか一項記載の使用。
45.前記医薬品はタウ(pS422)により誘発される神経変性症を低減させるためのものである、項目34及び41〜44のいずれか一項記載の使用。
46.前記医薬品は認知及び機能を維持するためのものである、項目34及び41〜45のいずれか一項記載の使用。
47.前記医薬品は認知及び機能の低下速度を減速させるためのものである、項目34及び41〜46のいずれか一項記載の使用。
48.有効量の項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む、アルツハイマー病を有する個体の処置法。
49.タウ(pS422)により誘発される神経変性症を低減させるために有効量の項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む、個体におけるタウ(pS422)により誘発される神経変性症を低減させる方法。
50.認知及び機能を維持するために有効量の項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む、個体における認知及び機能を維持する方法。
51.認知及び機能の低下速度を減速させるために有効量の項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体を個体に投与する工程を含む、個体における認知及び機能の低下速度を減速させる方法。
52.タウ(pS422)により誘発される神経変性症を低減させるための、項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体の使用。
53.認知及び機能を維持するための、項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体の使用。
54.認知及び機能の低下速度を減速させるための項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体の使用。
55.項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体であって、該抗体はi)タウ(pS422)トランスジェニックマウス及びアルツハイマー病患者の脳切片上のタウ(pS422)に結合し;並びに/又は、タウ(pS422)トランスジェニック細胞中のタウ(pS422)を標識する、ヒト化抗体。
56.項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体であって、該抗体は、初期及び後期段階の疾患関連型のヒトタウ(pS422)に特異的に結合/認識する、ヒト化抗体。
57.ヒトタウ(pS422)に関連したアルツハイマー病の蔓延の予防のための、項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体の使用。
58.リソソーム膜の崩壊を低減させるための、項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体の使用。
59.ヒトタウ(pS422)により誘発される不安定化及び/又は崩壊に対してリソソーム膜を安定化させるための、項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体の使用。
60.アルツハイマー病の進行予防のための、項目1〜25のいずれか一項記載のヒト化抗体の使用。
V.実施例
以下は、本発明の方法及び組成物の例である。上記に提供された一般的な記述があれば、様々な他の実施態様が実践され得ることが理解される。
材料及び方法
組換えDNA技術
標準的な方法を使用して、Sambrook, J. et al., Molecular cloning: A laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989に記載のようにDNAを操作した。分子生物学的試薬は、製造業者の説明書に従って使用された。
遺伝子及びオリゴヌクレオチドの合成
所望の遺伝子セグメントは、Geneart GmbH(レーゲンスブルク、独国)での化学合成によって調製された。合成された遺伝子断片を増殖/増幅のためにE.coliプラスミドにクローニングした。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列はDNAシークエンスによって確認された。あるいは、短い合成DNA断片を、化学合成されたオリゴヌクレオチドをアニーリングすることによって又はPCRを介して会合させた。それぞれのオリゴヌクレオチドは、メタビオンGmbH社(プラネック・マーティンスリート、独国)によって調製された。
試薬
全ての市販の化学物質、抗体、及びキットは、特記されない限り製造業者のプロトコールに従って提供された通りに使用された。
実施例1
ウサギ抗体の調製及び精製
免疫化
チャールズリバーラボラトリーズインターナショナル社のニュージーランドホワイト(NZW)ウサギを免疫化に使用した。キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合させたリン酸化ペプチドタウ(416〜430)[pS422]を、1mg/mlの濃度でpH7.0のKPO緩衝液に溶解し、安定なエマルションが生成されるまで完全フロイントアジュバント(CFA)と混合(1:1)した。3匹のウサギがエマルション2mlの皮内(i.d.)注射を受け、その後、それぞれ1mlずつ1週間間隔で2回目の筋肉内(i.m.)注射及び3回目の皮下(s.c.)注射を受けた。4回目の1mlの筋肉内注射を2週間後に行ない、その後、1mlの2回のさらに他の皮下注射を4週間間隔で行なった。各動物の10mlの末梢血試料を、3回目、4回目、5回目及び6回目の注射の4〜6日後に回収し、FACSでの単一細胞の選別のために使用した。各動物の追加の0.5mlの血清を同時に回収し、そしてタウ(416〜463)[pS422]特異的抗体応答の決定のために使用した。
抗体応答
免疫化に対する抗体応答は、血清の連続希釈によってELISAを使用して決定され、ストレプトアビジンで予めコーティングされた96ウェルのマイクロタイタープレート(MC1347、Micro Coat Biotechnologie GmbH、ベルンリート、独国)上で1ウェルあたり30ngのビオチニル化タウ(416〜430)[pS422]を、1×PBS中で4℃で一晩インキュベートした。検出のために、1:16000希釈率のセイヨウワサビペルオキシダーゼに連結させたヤギ抗ウサギIgG(ジャクソン研究所)を使用した。ロシュ・ダイアノグスティックスGmbH製のテトラメチルベンジジン(TMB)を沈殿させるBMブルーPOD基質のすぐ使用可能な溶液を可視化のために使用した。反応は1N HClを介して停止させ、そして450/690nmによってTecan社のインフィニットで測定した。
B細胞のクローニング
プレートのコーティング
ストレプトアビジンでコーティングされた無菌6ウェルプレート(細胞培養等級)を、各々PBS中0.5〜1μg/mlの濃度の、3つのビオチニル化対照ペプチドの混合物(リン酸化されていないタウ(416〜430)、MCAK_ヒト(88〜102)[95−pSer]及びMAP2_ヒト(1802〜1816)[pSer−1802])又はビオチニル化リン酸化ペプチドタウ(416〜430)[pS422]のいずれかと共に室温で1時間インキュベートした。プレートを使用前に無菌PBSで3回洗浄した。6ウェル細胞培養プレートを、炭酸緩衝液(0.1M重炭酸ナトリウム、34mMの炭酸水素二ナトリウム、pH9.55)中2μg/mlのKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)を用いて4℃で一晩コーティングした。プレートを使用前に無菌PBSで3回洗浄した。
ウサギ末梢血単核細胞(PBMC)の単離
EDTAを含有している全血を1×PBSを用いて2倍に希釈し、その後、哺乳動物用のlympholyte(セダーラン・ラボラトリーズ社)での密度遠心分離を行ない、これはウサギPBMCを単離するために実施された。抗体を染色する前にPMBCを2回洗浄した。
EL−4 B5培地
10%FCS(ハイクローン社、ローガン、UT州、米国)、2mMグルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(PAA社、パシング、オーストリア)、2mMピルビン酸ナトリウム、10mM HEPES(パンバイオテック社、アイデンバッハ、独国)及び0.05mM βメルカプトエタノール(ギブコ社、ペイズリー、スコットランド)で補充された、RPMI 1640(パンバイオテック社、アイデンバッハ、独国)を使用した。
マクロファージ/単球の枯渇
無菌6ウェルプレート(細胞培養等級)を使用して、非特異的接着を通してマクロファージ及び単球を枯渇させた。ウェルはKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)又はストレプトアビジンのいずれか及び対照ペプチドを用いてコーティングされた。各ウェルに、最大4mlの培地及び免疫化ウサギ由来の6×10個以下の末梢血単核細胞を充填し、そして37℃のインキュベーター中で1時間結合させた。上清中の50%の細胞をパニング工程に使用し;残りの50%の細胞を免疫蛍光染色及び単一細胞の選別に直接かけた。
ペプチド上でのB細胞のパニング
ストレプトアビジン及びビオチニル化ペプチドタウ(416〜430)[pS422]を用いてコーティングされた6ウェル組織培養プレートに、培地4mlあたり6×10個以下の細胞を播種し、そして37℃のインキュベーター中で1時間結合させた。ウェルを1×PBSで1〜2回注意深く洗浄することによって接着していない細胞を除去した。残りの粘着性の細胞は、37℃のインキュベーター中でトリプシンによって10分間かけて剥がし、その後、培地で2回洗浄した。免疫蛍光染色まで細胞を氷上に保持した。
免疫蛍光染色及び単一細胞の選別
単一細胞の選別のために使用された抗ウサギIgG FITCは、AbDセロテック社(STAR121F、デュッセルドルフ、独国)製であった。表面染色のために、枯渇工程及びパニング工程からの細胞を、PBS中の抗ウサギIgG FITC抗体と共に4℃の冷暗所で回転させながら30分間インキュベートした。遠心分離後、上清を吸引によって除去した。PBMCを2サイクルの遠心分離にかけ、そして氷冷PBSで洗浄した。最後に、PBMCを氷冷PBS中に再懸濁し、そして直ちにFACS分析にかけた。5μg/mlの濃度のヨウ化プロピジウム(BDファーミンゲン社、サンディエゴ、CA州、米国)をFACS分析の前に加えて、死滅細胞と生細胞を区別した。FACSを、FACSDivaソフトウェア(BDバイオサイエンシーズ社、米国)を備えたベクトンディッキンソン社のFACSAriaを使用して実施し、そして単一のFITCで標識された生細胞を96ウェルプレートに沈着させた。
B細胞培養
B細胞培養液は、Zubler, R.H. et al., J. Immunol. 134 (1985) 3662-3668によって記載されたものと類似した方法によって調製された。簡潔に言えば、単一細胞選別されたB細胞を、37℃のインキュベーター中5%CO雰囲気中、パンソルビン細胞(1:20000)(カルビオケム(メルク社)、ダルムシュタット、独国)、5%ウサギ胸腺細胞上清、及びγ放射線照射されたEL−4−B5マウス胸腺腫細胞(2×10個/ウェル)を含む210μl/ウェルのEL−4 B5培地を含む96ウェルプレート中で7日間培養した。B細胞培養上清をスクリーニングのために除去し、細胞を可変領域遺伝子のクローニングのために直ちに収集したか、又は100μlのRLT緩衝液(キアゲン社、ヒルデン、独国)中で−80℃で凍結させた。
B細胞クローンのスクリーニング
B細胞培養上清を、ELISAによってビオチニル化タウ(416〜430)[pS422]への結合についてスクリーニングした。リン酸化されていないタウ(416〜430)、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)及び関連性のないリン酸化ペプチドMCAK_ヒト(88〜102)[95−pSer]を、対照抗原として使用した。ELISAプレートの調製のために、ストレプトアビジンで予めコーティングされたマイクロタイタープレートを、50ng/mlのビオチニル化タウ(415〜430)[pS422]と共に室温で1時間インキュベートした。KLH又は対照ペプチドを用いてのコーティングは、1μg/mlで実施された。B細胞上清を1:5から1:10まで希釈し、そして抗原でコーティングされたマイクロタイタープレート中で60分間インキュベートした。十分に洗浄した後、ウサギ抗体の結合を、ヒツジ抗ウサギIgGジゴキシゲニンコンジュゲート検出抗体(ケミコン社、AQ301D)を使用して検出した。TMBと共に室温でインキュベートした後、370nmから492nmにおける吸光度を測定した。ビオチニル化タウ(416〜430)[pS422]を用いてバックグラウンドを上回るシグナルを生じるがKLH及びMCAK_ヒト(88〜102)[95−pSer]を用いては生じないB細胞クローンをさらに考察し、そして可変領域遺伝子クローニングにかけた。
VドメインのPCRによる増幅及びシークエンス
全RNAを、ヌクレオスピン(登録商標)8/96RNAキット(マッハライナーゲル社;740709.4、740698)を使用して製造業者のプロトコールに従って調製した。全ての工程は、epMotion 5075リキッドハンドリングシステム(エッペンドルフ社)で行なわれた。RNAを60μlのRNアーゼ非含有の水を用いて溶出した。RNA 6μlを使用して、製造業者の説明書に従ってSuperscript IIIファーストストランド合成スーパーミックス(インビトロジェン社18080−400)及びオリゴdTプライマーを使用して逆転写酵素反応によってcDNAを生成した。cDNA 4μlを使用して、重鎖についてはrbHCfinal.up及びrbHCfinal.doプライマー、並びに軽鎖についてはrbLCfinal.up及びrbLCfinal.doプライマーを使用して最終容量50μl中でAccuPrimeスーパーミックス(インビトロジェン社12344−040)を用いて免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の可変領域(VH及びVL)を増幅した(以下の表を参照されたい)。PCR条件は以下の通りであった:94℃で5分間のホットスタート;94℃で20秒間、70℃で20秒間、68℃で45秒間の35サイクル;及び68℃で7分間の最終伸張。
50μL中8μlのPCR溶液を、48E−Gel2%(インビトロジェン社、G8008−02)にローディングした。陽性PCR反応を、製造業者のプロトコールに従ってNucleoSpin(登録商標)Extract IIキット(マッハライナーゲル社;740609250)を使用して洗浄し、溶出緩衝液 50μlで溶出した。精製されたPCR産物 12μlを、重鎖についてはrbHCfinal.up及びrbHCfinal.do、並びに軽鎖についてはrbLCfinal.up及びrbLCfinal.doを使用して両方向に直接シークエンスした(上記の表を参照されたい)。
ウサギモノクローナル抗体及びウサギ/マウスキメラ抗体の組換え発現
ウサギモノクローナル抗体の組換え発現のために、VH又はVLをコードしているPCR産物を、オーバーハングクローニング法によってcDNAとして発現ベクターにクローニングした(Haun, R.S. et al., BioTechniques 13 (1992) 515-518; Li, M.Z., et al., Nature Methods 4 (2007) 251-256)。ウサギκ又はγ定常領域及びVL又はVH挿入断片をコードしている鎖状発現プラスミドを、オーバーラッピングプライマーを使用してPCRによって増幅した。精製されたPCR産物を、一本鎖オーバーハングを生成するT4DNAポリメラーゼと共にインキュベートした。反応をdCTPの添加によって停止した。次の工程では、プラスミド及び挿入断片を合わせ、部位特異的組換えを導入するRecAと共にインキュベートした。組換えプラスミドをE.coliに形質転換した。翌日、成長したコロニーを拾い上げ、プラスミド調製、制限酵素分析、及びDNAシークエンスによって正しい組換えプラスミドについて試験した。抗体の発現のために、単離されたHC及びLCプラスミドをHEK293細胞に一過性に共トランスフェクトし、そして上清を1週間後に収集した。ウサギマウスキメラ抗体のクローニング及び発現のために、VH領域及びVL領域をPCRによって増幅し、そしてマウス定常κ又はマウス定常γ1領域を含有している発現ベクターにサブクローニングした。ウサギ/マウスキメラHC及びLCプラスミドを単離し、正しい挿入について制限酵素分析及びDNAシークエンスによって試験し、そしてHEK293細胞に一過性に共トランスフェクトした。上清をトランスフェクションから1週間後に収集した。
抗体の精製
組換え発現したウサギ抗体を細胞培養上清からMabSelectSuRe(商標)カラム(GEヘルスケア社)で精製した。試料をローディングする前に、カラムを25mmol/Lのトリス−HCl、25mmol/LのNaCl、pH7.4を用いて平衡化した。抗体の溶出は、50mmol/Lの酢酸塩pH3.14を用いて達成された。溶出した試料を直ちに脱塩カラム(セファデックスG25、GEヘルスケア社)にローディングし、20mmol/LのHis−HCl、140mmol/LのNaCl(pH6.0)で溶出した。この緩衝液は、精製された抗体の保存にも使用された。一般的な保存温度は4℃であり、精製プロセス中には室温であり、分注後には−80℃であった。細胞培養上清からの組換え発現されたウサギ/マウスキメラ抗体を、MabSelectSuRe(商標)カラム(GEヘルスケア社)で精製した。試料をローディングする前に、カラムを1×PBS、pH7.4を用いて平衡化した。抗体の溶出は、100mmol/Lのクエン酸塩(pH3.0)を用いて達成された。溶出された試料を2mol/Lのトリス/HCl(pH9.0)を用いて直ちに中和した。その後、抗体をサイズ排除カラム(スーパーデックス200、GEヘルスケア社)にローディングし、そして20mmol/LのHis−HCl、140mmol/LのNaCl(pH6.0)で溶出した。この緩衝液は、精製された抗体の保存にも使用された。一般的な保存温度は4℃であり、精製プロセス中には室温であり、分注後には−80℃であった。
実施例2
抗タウpS422モノクローナルウサギ抗体は、pS422においてリン酸化されたタウに対して高度に選択的であり、そしてタウpS422の線維状凝集物に結合する。
ELISA
ウサギモノクローナル抗体をHEK293細胞において組換え発現した。細胞培養上清又は精製されたウサギ抗体を、ビオチニル化タウ(416〜430)[pS422]、リン酸化されていないタウ(416〜430)、KLH及び関連性のないリン酸化ペプチドMCAK_ヒト(88〜102)[95−pSer]への結合についてELISAによって試験した。ELISAプレートの調製のために、ストレプトアビジンで予めコーティングされたマイクロタイタープレートを、50ng/mlのビオチニル化タウ(415〜430)[pS422]と共に室温で1時間インキュベートした。KLH又は対照ペプチドを用いてのコーティングは、1μg/mlで実施された。ウサギ抗タウpS422抗体(アブカム社AB51071)又はウサギ抗体含有上清を、抗原で標識されたマイクロタイタープレート中で様々な濃度で60分間インキュベートした。十分に洗浄した後、ウサギ抗体の結合を、ヒツジ抗ウサギIgGジゴキシゲニンコンジュゲート検出抗体(ケミコン社、AQ301D)を使用して検出した。TMBと共に室温でインキュベートした後、370nmから492nmでの吸光度を測定した。抗体の結合はそのEC50値によって特徴付けられた。ビオチニル化タウ(416〜430)[pS422]及びリン酸化されていないタウ(416〜430)ペプチドへの抗体の結合は、そのEC50値によって特徴付けられた。KLH又はMCAKリン酸化ペプチドとの交差反応性は、高濃度の、すなわち1:5の希釈度の細胞培養上清の単一点での測定によって推定された。結果を以下の表に示す。タウリン酸化ペプチドに対する結合のEC50値は、タウペプチドに対する結合のEC50値よりも100倍以上低いことが判明し、このことは、リン酸化されていないタウペプチドと比較してリン酸化されたタウ断片に対する少なくとも100倍高い選択性を示す。KLH及びMCAK対照リン酸化ペプチドに対する結合は、全ての抗体においてバックグラウンドレベルであり、これは、タウリン酸化ペプチドによる最大測定値の約1<3%である。
可溶性の完全長のタウpS422及び凝集した完全長のタウpS422に対する特異性も試験した。タウpS422の線維状凝集物(300μg/ml)を、ポリスチレンを基材としたマキシソーブマイクロタイタープレート(ヌンク社)上に室温(RT)で一晩かけてコーティングした。同じように、可溶性の完全長のタウ及びタウpS422をマキシソーブマイクロタイタープレート上にコーティングした。ウサギ抗タウpS422抗体対照(アブカム社AB51071)又は精製されたウサギ抗体を加え、そして1000ng/ml以下の濃度で60分間インキュベートした。十分に洗浄した後、ウサギ抗体の結合を、ヒツジ抗ウサギIgGジゴキシゲニンコンジュゲート検出抗体(ケミコン社、AQ301D)を使用して検出した。TMBと共に室温でインキュベートした後、370nmから492nmでの吸光度を測定した。抗体の結合は、そのEC50値によって特徴付けられた。結果を以下の表に示す。
ウサギモノクローナル抗体は、1ng/ml未満のEC50値でタウ−pS422タンパク質に結合した。線維状タウpS422は、0.4ng/mlから14ng/mlまでのEC50値で検出された。リン酸化されていない完全長のタウタンパク質への結合についてのシグナルは、バックグラウンドレベルとは区別できなかった。それ故、各々の抗体は、タウと比較して少なくとも100倍の選択性でタウpS422及び線維状タウpS422に結合すると推定された。
ビアコア(商標)
線維状タウpS422凝集物への結合をさらに調べ、ビアコア(商標)分析によって確認した。測定は、ビアコア3000機器を使用して37℃で実施された。システム及び試料緩衝液はHBS−EP(10mM HEPES、150mM NaCl、3.4mM EDTA、0.005%ポリソルベート20(v/v))であった。ビアコア(商標)CM5センサーチップを予め調整された手順にかけた。順に0.1%SDS、50mM NaOH、10mM HCl、及び100mM HPOを30秒間かけてフローセルFC1、FC2、FC3、及びFC4に注入した。アミンカップリング手順を製造業者の説明書に従ってビアコア3000(商標)ウィザードv.4.1を使用して実施した。EDC/NHSによるセンサー表面の活性化後、リン酸選択的ではない抗タウ抗体mAb<タウ>M−4/53−IgGをセンサーフローセルFC2、FC3及びFC4上に固定した。対照として、関連性のない抗原を認識する、CK−MM(クレアチンキナーゼアイソタイプ)に対する抗体を、FC1フローセル上に捕捉した。MAb<タウ>M−4/53−IgG及びCK−MMに対する抗体を、10mM NaAc(pH5.0)中30μg/mlに希釈し、そして10μl/分で7分間の接触時間かけて注入して、10,000RUの抗体捕捉システムを固定した。表面を、1Mエタノールアミンを用いての飽和によって失活させた。センサーを、溶液中の分析物としてのリン酸化線維状タウタンパク質(HBS−EPで1:100に希釈されたストック液0.3mg/ml)を10μl/分で用いて2分間の5サイクルによって調整した。再生は、30μl/分の10mMグリシン(pH2.5)を3分間用いて行なわれた。mAb4/53に結合している分析物はpタウ線維を解離しないと推定された。なぜなら、mAb4/53からのpタウ線維の解離は全く観察できなかったからである。全てのさらに他の測定サイクルでは、0.3mg/mlのpタウ線維をHBS−EP緩衝液で1:100に希釈し、そして10μl/分で1分間かけて注入し、異種のサンドイッチ形式でそれぞれの抗体分析物にpタウを提示した。抗体分析物をHBS−EP緩衝液で100nMの濃度まで希釈し、そして20μl/分で3分間かけてシステムに注入した。解離から3分後、センサー表面を、10mMグリシン(pH2.5)を100μ/分で1分間かけて2回注入し、その後、HBS−洗浄液を100μl/分で15秒間かけて注入することによって再生した。相互作用の会合相及び解離相をモニタリングした。溶液中の抗体分析物は二価であるので、結合力の負荷された抗体−pタウの動態は、迅速な親和性に基づいた初期の解離段階、続いて後期の複雑な解離における結合力は安定化されているが律速である動態段階からなる、二相性解離モデルによって特徴付けられた。分析物の注入が終了してから10秒後(初期)及び50秒後(後期)に、kd及び半減期(解離)を定量した(可能である場合)。動態測定を、二重基準手順を使用して評価した。第一に、FC1基準からのシグナルを差し引いて、緩衝液のバルク効果及び非特異的結合を修正した。第二に、0nMの分析物の注入を差し引いて、それぞれの捕捉システムからの一次抗体の解離を修正した。反応速度を、ラングミュア1.1解離フィットモデルを使用してビアコア(商標)評価ソフトウェアv.4.1に従って評価した。抗原/抗体複合体の安定性半減期(分)を、式In(2)/60×kdに従って計算した。
結果を以下の表に要約する。
実施例3
アルツハイマー病患者の脳切片中の細胞内pタウに対する抗タウpS422モノクローナルウサギ抗体の結合
モノクローナルウサギ抗タウpS422抗体によるアルツハイマー病脳組織におけるpタウ病態の特異的かつ高感度な免疫組織化学的検出を、アルツハイマー病患者のヒト脳組織の凍結切片を使用して免疫蛍光染色実験によって調べた。ウサギIgGを、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor488(登録商標)コンジュゲート二次抗体(インビトロジェン社/モレキュラープローブ社 A11034)によって検出した。pタウ沈着物及び線維の特異的かつ高感度な染色は、クローンMab005、Mab019、Mab020、Mab085、Mab086、及びMab097について明白であった。大きな神経原線維変化及び細長い糸屑状構造物のような細胞内pタウ沈着物を認めることができた。調べた全てのクローンについて0.08〜0.016μg/mlの最小有効濃度が決定され、これは、本物のヒトpタウ沈着物への非常に高感度な結合を示す。
実施例4
ウサギ抗ヒトタウ(pS422)抗体のヒト化
本明細書において使用される「可変ドメイン」(軽鎖(VL)の可変ドメイン、重鎖(VH)の可変ドメイン)は、タウ(pS422)抗原に対する抗体の結合に直接関与している軽鎖ドメインと重鎖ドメインの各対を示す。可変軽鎖ドメイン及び可変重鎖ドメインは同じ一般的な構造を有し、そして各々のドメインは4つのフレームワーク(FR)領域を含み、その領域の配列は広く保存され、3つの「超可変領域」によって接続されている。
ウサギ抗体Mab086のVHドメイン及びVLドメインの構造をコンピューターで分析し、そしてヒトVHドメイン及びVLドメインの構造データベース(IMGT)と比較した。一連の構造的に最も類似したVドメインを、選択されたヒトVHドメイン及びVLドメインへのウサギ抗体のCDRの移植のために選択した。さらに、一次配列の類似性を考慮して、ヒトVドメインレパートリーに対してウサギ抗体のVHドメイン及びVLドメインの一次配列をアラインさせることによってヒトVドメインの選択を狭めた。ウサギ親残基へのヒトフレームワーク領域内の復帰突然変異を、いくつかのヒト化変異体に導入した。同様に、CDR内の突然変異をいくつかの変異体に導入し(適切な場合)、抗原に対する親和性を潜在的に向上させ、CDRの三次構造を維持し、そしてシステイン残基又は抗体の精製後に修飾を受ける可能性のある残基のような望ましくない特色を除去した。
各々のヒト化変異体を含有している重鎖及び軽鎖のベクターを、行列状にマイクロタイター培養プレート中のHEK293懸濁細胞に共トランスフェクトして、可能な全ての軽鎖/重鎖の組合せを有する完全なサイズのIgGを発現している細胞培養液を得た。37℃で5日間培養した後、上清を収集し、そしてマイクロタイター規模でプロテインAアフィニティクロマトグラフィーによって精製した。
実施例5
組換え発現ベクターの作製
a)ヒトIgG1定常領域を使用した免疫グロブリン重鎖の発現のためのベクターの作製
ヒトIgG1定常領域(CH1、ヒンジ、CH2、CH3)とウサギ抗体Mab086由来のヒト化抗ヒトタウ(pS422)抗体VHドメインとを含む融合遺伝子をコードしているヒト化重鎖を、それぞれの抗ヒトタウ(pS422)特異的抗体VHドメインをコードしているDNA断片を、ヒトIgG1定常領域をコードしている配列エレメントに融合させることによって構築した。
ヒトIgG1定常領域は、以下のアミノ酸配列を有する:
発現ベクターはまた、ベクターpUC18に由来する複製起点(これはE.coliにおけるこのプラスミドの複製を可能とする)と、E.coliにおけるアンピシリン耐性を付与するβ−ラクタマーゼ遺伝子とを含んでいた。
抗体重鎖の転写単位は、5’から3’の方向に以下の機能的エレメントを含む:
−イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P−CMV)由来の最初期エンハンサー及びプロモーター、
−ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
−マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
−重鎖可変(VH)ドメインをコードしている核酸、
−ヒトIgG1定常領域をコードしている核酸、及び
−ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
b)ヒトIg−κ定常領域を使用した免疫グロブリン軽鎖の発現のためのベクターの作製
ヒトIg−κ定常領域(CL−κ)とウサギ抗体Mab086由来の抗ヒトタウ(pS422)抗体VL(κ)ドメインとを含む、ヒト化κ軽鎖をコードしている融合遺伝子を、それぞれの抗ヒトタウ(pS422)抗体VL(κ)ドメインをコードしているDNA断片を、ヒトIg−κ定常領域をコードしている配列エレメントに融合することによって構築した。
ヒトIg−κ定常領域は、以下のアミノ酸配列を有する:
発現ベクターはまた、ベクターpUC18由来の複製起点(これはE.coliにおけるこのプラスミドの複製を可能とする)と、E.coliにおけるアンピシリン耐性を付与するβ−ラクタマーゼ遺伝子とを含んでいた。
抗体κ軽鎖の転写単位は、5’から3’の方向に以下の機能的エレメントを含む:
−イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P−CMV)由来の最初期エンハンサー及びプロモーター、
−ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
−マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
−軽鎖可変(VL)ドメインをコードしている核酸、
−ヒトIg−κ定常領域をコードしている核酸、及び
−ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
c)ヒトIg−λ定常領域を使用した免疫グロブリン軽鎖の発現のためのベクターの作製
ヒトIg−λ定常領域(CL−λ)とウサギ抗体Mab086由来の抗ヒトタウ(pS422)抗体VL(λ)ドメインとを含む、ヒト化λ軽鎖をコードしている融合遺伝子を、それぞれの抗ヒトタウ(pS422)抗体VL(λ)ドメインをコードしているDNA断片を、ヒトIg−λ定常領域をコードしている配列エレメントに融合することによって構築した。
ヒトIg−λ定常領域は以下のアミノ酸配列を有する:
発現ベクターはまた、ベクターpUC18由来の複製起点(これはE.coliにおけるこのプラスミドの複製を可能とする)と、E.coliにおけるアンピシリン耐性を付与するβ−ラクタマーゼ遺伝子とを含んでいた。
抗体λ軽鎖の転写単位は、5’から3’の方向に以下の機能的エレメントを含む:
−イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P−CMV)由来の最初期エンハンサー及びプロモーター、
−ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
−マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
−軽鎖可変(VL)ドメインをコードしている核酸、
−ヒトIg−λ定常領域をコードしている核酸、及び
−ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
d)ヒトIg−κ定常領域を使用した免疫グロブリンκ軽鎖の発現のためのベクターの作製
ヒトIg−κ定常領域(CL−κ)とウサギ抗体Mab086由来の抗ヒトタウ(pS422)抗体VL(κ)ドメインとを含む、ヒトκ軽鎖をコードしている融合遺伝子を、それぞれの抗ヒトタウ(pS422)抗体VL(κ)ドメインをコードしているDNA断片を、ヒトIg−κ定常領域をコードしている配列エレメントに融合することによって構築した。構築物はゲノム構成であり、すなわち、イントロンがシグナルペプチド内及びVL(κ)ドメインとCL−κドメインとの間に存在していた。
発現ベクターはまた、ベクターpUC18由来の複製起点(これはE.coliにおけるこのプラスミドの複製を可能とする)と、E.coliにおけるアンピシリン耐性を付与するβ−ラクタマーゼ遺伝子とを含んでいた。
抗体κ軽鎖の転写単位は、5’から3’の方向に以下の機能的エレメントを含む:
−ヒトサイトメガロウイルス(P−CMV)由来の最初期エンハンサー及びプロモーター、
−ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
−マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
−軽鎖可変(VL)ドメインをコードしている核酸、
−ヒトIgGκ定常領域、及び
−ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
e)ヒトIg−λ定常領域を使用した免疫グロブリンλ軽鎖の発現のためのベクターの作製
ヒトIg−λ定常領域(CL−λ)とウサギ抗体Mab086由来の抗ヒトタウ(pS422)抗体VL(λ)ドメインとを含む、ヒトIg−λ軽鎖をコードしている融合遺伝子を、それぞれの抗ヒトタウ(pS422)抗体VL(λ)ドメインをコードしているDNA断片を、ヒトIg−λ定常領域をコードしている配列エレメントに融合することによって構築した。構築物はゲノム構成であり、すなわち、イントロンがシグナルペプチド内及びVL(λ)ドメインとCL−λドメインとの間に存在していた。
発現ベクターはまた、ベクターpUC18由来の複製起点(これはE.coliにおけるこのプラスミドの複製を可能とする)と、E.coliにおけるアンピシリン耐性を付与するβ−ラクタマーゼ遺伝子とを含んでいた。
抗体λ軽鎖の転写単位は、5’から3’の方向に以下の機能的エレメントを含む:
−ヒトサイトメガロウイルス(P−CMV)由来の最初期エンハンサー及びプロモーター、
−ヒト重鎖免疫グロブリン5’−非翻訳領域(5’UTR)、
−マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
−軽鎖可変(VL)ドメインをコードしている核酸、
−ヒトIgGλ定常領域、及び
−ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
実施例6
抗ヒトタウ(pS422)抗体の組換え産生
抗体を、F17培地(インビトロジェン社)中で培養した一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞(ヒト胚性腎細胞株293由来)において産生した。実施例5に記載のようなそれぞれのベクターのトランスフェクションのために「293−Free」トランスフェクション試薬(ノバジェン社)を使用した。抗体を個々の発現プラスミドから発現させた。トランスフェクションを製造業者の説明書に明記されている通りに実施した。組換え抗体を含有している細胞培養上清を、トランスフェクションの3〜7日後に収集した。上清を精製するまで低温(例えば−80℃)で保存した。
例えばHEK293細胞におけるヒト免疫グロブリンの組換え発現に関する一般的な情報は、Meissner, P. et al., Biotechnol. Bioeng. 75 (2001) 197-203に示されている。
実施例7
組換え抗ヒトタウ(pS422)抗体の精製
抗体を含有している培養上清をろ過し、そして2回のクロマトグラフィー工程によって精製した。
抗体を、PBS(1mM KHPO、10mM NaHPO、137mM NaCl、2.7mM KCl)(pH7.4)を用いて平衡化されたHiTrap MabSelectSuRe(GEヘルスケア社)を使用してアフィニティクロマトグラフィーによって捕捉した。結合していないタンパク質を、平衡緩衝液を用いて洗浄することによって除去し、そして抗体を25mMのクエン酸緩衝液(pH3.1)を用いて回収し、これは溶出後直ちに1Mトリス塩基(pH9.0)を用いてpH6.0に調整された。
スーパーデックス200(商標)(GEヘルスケア社)でのサイズ排除クロマトグラフィーを、2回目の精製工程として使用した。サイズ排除クロマトグラフィーを、20mMヒスチジン緩衝液、0.14M NaCl(pH6.0)中で実施した。抗体含有溶液を、バイオマックス−SK膜(ミリポア社、ビレリカ、MA州、米国)を備えたウルトラフリー−CL遠心式フィルターユニットを用いて濃縮し、そして−80℃で保存した。
実施例8
動態スクリーニング
動態スクリーニングを、Schraeml et al.(Schraeml, M. and M. Biehl, Methods Mol. Biol. 901 (2012) 171-181)に従ってビアコアCM5センサーを積載したビアコア4000機器で実施した。ビアコア4000機器は、ソフトウェアバージョンV1.1の制御下にあった。ビアコアCM5シリーズSチップを機器に積載し、そして製造業者の説明書に従って水力学的に対処及び事前調整を行なった。機器の緩衝液はHBS−EP緩衝液(10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05%(w/v)P20)であった。抗体の捕捉システムをセンサー表面上で調製した。10mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)中30μg/mlでヒトIgG−Fc特異性を有するポリクローナルヤギ抗ヒト抗体(ジャクソン研究所)を、機器のフローセル1、2、3及び4内のスポット1、2、4及び5に10,000RUでNHS/EDC化学反応を使用して固定した。各フローセルにおいて抗体はスポット1及びスポット5に捕捉された。スポット2及びスポット4は基準スポットとして使用された。センサーを、1Mエタノールアミン溶液を用いて失活させた。ヒト化抗体誘導体は、1mg/mlのCMD(カルボキシメチルデキストラン)の補充された機器緩衝液中44nMから70nMの濃度で適用された。抗体を30μl/分の流速で2分間かけて注入した。表面に提示された抗体の捕捉レベル(CL)を、基準レスポンスユニット(RU)で測定した。溶液中の分析物、リン酸化ヒトタウタンパク質、リン酸化されていないヒトタウタンパク質、及びリン酸化ヒトタウ突然変異タンパク質T422Sを300nMで3分間かけて30μl/分の流速で注入した。解離を5分間かけてモニタリングした。捕捉システムは、全てのフローセル上への10mMのグリシン緩衝液(pH1.7)の30μL/分での1分間の注入によって再生された。結合終点(BL)として示される分析物の注入終了直前に記録されたシグナル、及び解離時間終了直前に記録されたシグナル(安定終点(SL))という2つの報告点を使用して、動態スクリーニング成績を特徴付けた。さらに、解離速度定数kd(1/s)をラングミュアモデルに従って計算し、そして抗体/抗原複合体の半減期を、式In(2)/(60×kd)に従って分で計算した。モル比(MR)を、式MR=(結合終点(RU))/(補足レベル(RU))×(MW(抗体)/(MW(抗原))に従って計算した。センサーが適切な量の抗体リガンド捕捉レベルで設定された場合、各抗体は、溶液中の少なくとも1つの分析物に機能的に結合可能であるべきであり、これは、MR=1.0のモル比によって示される。それから、モル比はまた、分析物の結合価の様式についての指標でもある。2つの分析物に結合する抗体についての最大結合価はMR=2であり得、それぞれのFab結合価は1である。
別の実施態様では、反応速度は、同じ実験設定を使用するが、0nM(緩衝液)、1.2nM、3.7nM、11.1nM、33.3nM、100nM、及び300nMという複数の一連の濃度の溶液中の各分析物を使用して、25℃及び37℃で決定された。濃度依存性結合挙動から、動態データは、製造業者の説明書に従ってビアコア評価ソフトウェア及びRMAXグローバルを用いるラングミュア1:1モデルを使用して計算された。
実施例9
ELISA
ビオチニル化されていないペプチド/タンパク質/凝集物を、コーティングされていないマキシソーブプレートに加え、PBS中のビオチニル化ペプチド/タンパク質/凝集物を、ストレプトアビジンでコーティングされたマキシソーブプレートに加え、そしてプレートを一晩インキュベートした。上清を廃棄し、そしてウェルを90μlの洗浄緩衝液(1×PBS/0.1%Tween20)で3回洗浄した。残りの反応スポットを遮断緩衝液(1×PBS/2%BSA(ウシ血清アルブミン画分V、脂肪酸非含有、ロシュ、カタログ番号10735078001)/0.05%Tween20)を用いて1時間インキュベートすることによって遮断した。上清を廃棄し、そしてウェルを90μlの洗浄緩衝液で3回洗浄した。試料及び対照抗体の、ELISA緩衝液(1×PBS/0.5%BSA(ウシ血清アルブミン画分V、脂肪酸非含有、ロシュ、カタログ番号10735078001)/0.05%Tween20)による12個の希釈液(1:2)を調製し、開始濃度は500ng/mLであった。インキュベーション時間は室温で振盪機で60分間であった。上清を廃棄し、そしてウェルを90μlの洗浄緩衝液で3回洗浄した。二次抗体の溶液をELISA緩衝液中で調製した。合計して25μlの抗体混合液をアッセイプレートの全てのウェルに移し、そしてその後、プレートを室温で振盪機で60分間インキュベートした。上清を廃棄し、そしてウェルを90μlの洗浄緩衝液で3回洗浄した。ABTS溶液25μlを全てのウェルに加えた。405nmから492nmまでの吸光度を解読した。
実施例10
抗pタウ抗体に結合しているpタウペプチドの動態測定(補足アッセイ)
抗pタウ抗体に対するpタウ断片の結合を、ビアコアT200機器(GEヘルスケア社)を使用して表面プラズモン共鳴によって調べた。約10,000共鳴単位(RU)の捕捉システム(10μg/mlのヤギ抗ヒトFc抗体;Jackson Immuno Research社;注文番号:JIR 109−005−098)を、GEヘルスケア社によって供給されたアミンカップリングキットを使用することによってpH5.0でCM5チップ(GEヘルスケア社BR−1005−30)上に結合させた。ランニング緩衝液として、HBS−N(pH7.4)(10mM HEPES、150mM NaCl、pH7.4、GEヘルスケア社)を使用した。試料の測定のために、ランニング緩衝液及び希釈緩衝液はPBS−T(0.05%Tween20を含む10mMリン酸緩衝化食塩水)pH7.4であった。試料ブロックを12℃に設定した。フローセルを25℃に設定し、そしてランニング緩衝液で2回プライミングした。
10μg/mlの溶液を10μl/分の流速で300秒間注入することによって、抗pタウ抗体を捕捉した。1:3の希釈液で300nMから始めて30μl/分の流速で溶液中の様々な濃度のpタウ断片の180秒間の注入によって会合を測定した。解離相を300秒までモニタリングし、そして試料溶液からランニング緩衝液へと切り替えることによってトリガーした。0.85%リン酸溶液で60秒間洗浄し、その後、10μl/分の流速で5mMの水酸化ナトリウム溶液で60秒間洗浄することによって表面を再生した。ヤギ抗ヒトFc抗体表面から得られた応答を差し引くことによってバルク屈折率の差を修正した。ブランク注入も差し引いた(=二重基準)。KD及び他の動態パラメーターの計算のために、ラングミュア1:1モデルを使用した。
実施例11
pタウ断片に結合している抗pタウ抗体Fab断片の動態測定(直接的アッセイ)
pタウ断片に対する抗pタウ抗体Fab断片試料の結合を、ビアコアT200機器(GEヘルスケア社)を使用して表面プラズモン共鳴によって調べた。約20共鳴単位(RU)のビオチニル化pタウ断片(0.2μg/ml;pタウ(416〜430)[Bi−XUUUU−416;pSer−422]amid)を、シリーズS SAチップ(GEヘルスケア社BR−1005−31)上に結合させた。固定化のためのランニング緩衝液及び希釈緩衝液はHBS−N pH7.4(10mM HEPES、150mM NaCl、pH7.4、GEヘルスケア社)であった。以下の動態特徴付けのために、ランニング緩衝液及び希釈緩衝液はPBS−T(0.05%Tween20を含む10mMリン酸緩衝化食塩水)pH7.4であった。試料ブロックを12℃に設定した。フローセルを25℃に設定し、そしてランニング緩衝液で2回プライミングした。
1:3の希釈液で100nMから始めて30μl/分の流速で溶液中の様々な濃度の抗pタウ抗体Fab断片試料の180秒間の注入によって会合を測定した。解離相を600秒までモニタリングし、そして試料溶液からランニング緩衝液へと切り替えることによってトリガーした。10μl/分の流速で60秒間の10mMグリシン溶液(pH1.7)の1回の注入を用いての洗浄によって表面を再生した。バルク表面から得られた応答を差し引くことによってバルク屈折率の差を修正した。ブランク注入も差し引いた(=二重基準)。KD及び他の動態パラメーターの計算のために、ラングミュア1:1モデルを使用した。
実施例12
完全長pタウに結合している抗pタウ抗体Fab断片の動態測定(直接的アッセイ)
完全長pタウタンパク質に対する抗pタウ抗体Fab断片試料の結合を、ビアコアT200機器(GEヘルスケア社)を使用して表面プラズモン共鳴によって調べた。約200共鳴単位(RU)のビオチニル化pタウタンパク質(2μg/ml)をシリーズS SAチップ(GEヘルスケア社BR−1005−31)上に結合させた。固定化のためのランニング緩衝液及び希釈緩衝液はHBS−N pH7.4(10mM HEPES、150mM NaCl、pH7.4、GEヘルスケア社)であった。以下の動態特徴付けのために、ランニング緩衝液及び希釈緩衝液はPBS−T(0.05%Tween20を含む10mMリン酸緩衝化食塩水)pH7.4であった。試料ブロックを12℃に設定した。フローセルを25℃に設定し、そしてランニング緩衝液で2回プライミングした。
1:3の希釈液で300nMから始めて30μl/分の流速で溶液中の様々な濃度の抗pタウ抗体Fab断片試料の180秒間の注入によって会合を測定した。解離相を600秒までモニタリングし、そして試料溶液からランニング緩衝液へと切り替えることによってトリガーした。10μl/分の流速で60秒間の10mMグリシン溶液(pH1.7)の1回の注入を用いての洗浄によって表面を再生した。バルク表面から得られた応答を差し引くことによってバルク屈折率の差を修正した。ブランク注入も差し引いた(=二重基準)。KD及び他の動態パラメーターの計算のために、ラングミュア1:1モデルを使用した。
実施例13
ヒト−タウを過剰に発現しているマウスにおけるタウ病態に対する、抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL31A1)及び抗タウ(pS422)抗体(VH35H5/VL49G1)の効果
最も長いヒトタウアイソフォームを過剰発現しているタウPS2APPトランスジェニックマウス(Gruninger et al., Neurobiol. Dis. 37 (2010) 294)を、抗体1(VH35H5/VL31A1)、抗体2(VH35H5/VL49G1)、又はビヒクルのいずれかを用いて16週間の期間かけて処置した。処置直前に、全てのマウスは、1回量の抗CD4抗体(0.5mg/マウス)の投与によって免疫抑制された。マウスは続いて、9カ月齢から始めてそれぞれの抗体又はビヒクルの週1回の腹腔内注射を受けた。2つの各々の抗体について、3つの別々の用量を試験した、すなわち1.7mg/kg、5mg/kg、及び15mg/kg。マウスを最後の注射の4〜6日後に屠殺し、経心腔的灌流を行ない、そして分析のために脳を取り出した。非処置群のマウス(9カ月齢)を実験開始時に屠殺し、そして基線の比較対象として使用した。
各脳を矢状に切開し、そして個々の半球をドライアイス上で瞬間凍結させた。左半球を、イムノアッセイによるタウ、タウ(pS422)及びタウ凝集物の生化学的定量のために使用した。右脳半球は、タウ(pS422)を含有している神経原線維タウの定量的免疫組織化学的分析のために使用された。
方法
脳ホモジネートの調製
各マウスに由来する一方の脳半球を秤量し、そして10容量の氷冷抽出緩衝液(1%プロテアーゼ阻害剤混液(カルビオケム社、539134番)及び1%ホスファターゼ阻害剤混液(シグマ社、P0044番)の補充された25mMトリス−HCl、800mM NaCl、10%スクロース、1mM EGTA、pH7.5)に加えた。次いで、組織を2mlのガラス製ダウンス型ホモジナイザーでホモジナイズした。ホモジネートを20,000×gで4℃で20分間遠心分離にかけた。ペレット化した材料を廃棄し、ホモジネートを分注し、そしてさらなる使用まで−20℃で保存した。
脳ホモジネート中のタウ及びタウ(pS422)のAlphaLISAによる定量
AlphaLISA(登録商標)ストレプトアビジンでコーティングされたドナー及びコンジュゲートしていないアクセプタービーズはパーキンエルマー社から購入した。アクセプタービーズを抗タウ抗体又は抗タウ(pS422)抗体のいずれかと結合させた。
抗タウ抗体5A6(DSHB)を一級アミン基上で、ビオチン−N−ヒドロキシスクシンアミド(サーモフィッシャー社)を使用してビオチニル化した。
タウ測定は、1×HiBlockアッセイ緩衝液(パーキンエルマー社)中で、ビオチニル化5A6抗体、ストレプトアビジンドナービーズ、及び抗タウ抗体アクセプタービーズを使用して実施された。
タウ(pS422)の測定は、アッセイ緩衝液B(25mM Hepes、pH7.4、0.5%トリトンX−100、0.1%TopBlock(LuBioscience社)、1mg/mlのデキストラン500、1/10遮断試薬(ロシュ社))中で、ビオチニル化5A6抗体、ストレプトアビジンドナービーズ、及び抗タウ(pS422)抗体アクセプタービーズを使用して実施された。
5μlの標準物質又は試料を10μlのビオチニル化5A6抗体及び10μlの抗体に結合させたアクセプタービーズと混合することによって、1/2AreaPlate−96(パーキンエルマー社)中でのアッセイのための試料を調製し、次いで、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。次いで、混合物に25μlのストレプトアビジンドナービーズを補充し、そして室温で暗所で振盪しながらさらに30分間インキュベートした。次いでプレートを680nm及び615nmの発光フィルターでレーザー励起を使用してEnvisionマイクロタイタープレートリーダー(パーキンエルマー社)で測定した。標準曲線を、組換えヒトタウ(最長のアイソフォーム)及びERK−リン酸化タウを使用して作成した。
pタウ病態の定量的免疫組織化学的分析
矢状凍結切片(厚さ10μm)をクリオスタットで調製し、そして1匹の動物につき4つの切片を10μg/mlの濃度のヤギ抗マウス/AlexaFluor555にコンジュゲートさせたタウ(S422)に対する抗体を用いて免疫蛍光染色した。
全脳切片の画像取得は、Metafer4スライドスキャニングシステム(メタシステムズ社、アルトルスハイム、独国)を用いて実施された。海馬及び新皮質領域内のタウ(pS422)免疫陽性面積を測定し、そしてpタウ陽性免疫蛍光シグナルの面積を、コンピューター支援画像解析を用いて偏りのない形態計測学的方法によって決定した。pタウ陽性面積の定量は、デフィニエンス社の画像解析ソフトウェア(デフィニエンスAG社、ミュンヘン、独国)を用いて実施された。
結果
抗体1又は抗体2のいずれかを用いてのタウPS2APPマウスの処置により、脳ホモジネート中のタウ(pS422)の蓄積は用量依存的に減少した(図7)。抗体1(VH35H5/VL31AS1)を使用して、15mg/kgにおいて減少は統計学的に有意であった。抗体2(VH35H5/VL49G1)では、全ての用量群において有意に少ないタウ(pS422)が蓄積した。タウの全体のレベルは、両方の抗体について全ての用量群において不変であった(図8)。タウ(pS422)を含有している神経原線維凝集物を検出するための定量的免疫組織化学的分析を、抗体1のマウスの脳に対して実施した(図9)。どの用量群においてもタウ病態の統計学的に有意な低減は認められなかったが、用量の増加と共に病態がより少なくなる傾向が観察された。これは、脳の皮質領域においてより明らかであった。
本発明の例示的な実施態様が本明細書に記載されているが、本発明は、記載されているそのようなものに限定されず、そして様々な他の変更又は改変が、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく当業者によってなされ得ることが理解されるべきである。

Claims (13)

  1. ヒトタウ(pS422)に特異的に結合するヒト化抗体であって、該抗体は、
    重鎖可変ドメインに配列番号08、09、及び10のHVR、並びに
    軽鎖可変ドメインに、配列番号71、73、及び15のHVR、又は
    配列番号70、72及び15のHVR、又は
    配列番号12、14、及び74のHVRを含
    該抗体は、重鎖可変ドメイン内の位置4,24及び78(カバットによる番号付け)にバリン残基を有し、
    該抗体は、重鎖可変ドメイン内の位置71(カバットによる番号付け)にアルギニン残基を有する、ヒト化抗体。
  2. a)配列番号65の重鎖可変ドメイン及び配列番号67の軽鎖可変ドメイン、又は
    b)配列番号65の重鎖可変ドメイン及び配列番号66の軽鎖可変ドメイン、又は
    c)配列番号65の重鎖可変ドメイン及び配列番号68の軽鎖可変ドメインを含む、請求項1記載のヒト化抗体。
  3. 前記抗体はエフェクター機能がサイレントである、請求項1〜2のいずれか一項記載のヒト化抗体。
  4. i)配列番号03のアミノ酸配列を有するポリペプチドに特異的に結合し、及び/又は
    ii)1μg/mLで完全長ヒトタウ(配列番号01)に結合せず、及び/又は
    iii)422位のセリンでリン酸化された完全長ヒトタウ(配列番号02)に特異的に結合し、及び/又は
    iv)422位のセリンでリン酸化されたヒトタウ(配列番号02)の凝集物に特異的に結合する、請求項1〜3のいずれか一項記載のヒト化抗体。
  5. 前記抗体が
    a)配列番号03のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)断片に対して6ng/mL以下、及び/又は
    b)配列番号02のアミノ酸配列を有する完全長ヒトタウ(pS422)に対して4.5ng/mL以下、及び/又は
    c)配列番号02のアミノ酸配列を有するヒトタウ(pS422)の凝集物に対して30ng/mL以下、及び/又は
    d)配列番号01のアミノ酸配列を有しかつS422Aのアミノ酸突然変異を有するヒトタウに対して125ng/mL以下のEC50値を有する、請求項1〜4のいずれか一項記載のヒト化抗体。
  6. 前記抗体がヒトタウ(pS422)(配列番号02)に特異的に結合し、かつヒトタウ(配列番号01)には結合しない、請求項1〜5のいずれか一項記載のヒト化抗体。
  7. 前記抗体が、
    a)ヒトサブクラスIgG1の完全長抗体、又は
    b)ヒトサブクラスIgG4の完全長抗体、又は
    c)L234A、L235A、及びP329Gの突然変異を有するヒトサブクラスIgG1の完全長抗体、
    d)S228P、L235E、及びP329Gの突然変異を有するヒトサブクラスIgG4の完全長抗体、
    e)両方の重鎖にL234A、L235A、及びP329Gの突然変異、並びに、一方の重鎖にT366W及びS354Cの突然変異、及びそれぞれの他方の重鎖にT366S、L368A、Y407V、及びY349Cの突然変異を有するヒトサブクラスIgG1の完全長抗体、又は
    f)両方の重鎖にS228P、L235E、及びP329Gの突然変異、並びに、一方の重鎖にT366W及びS354Cの突然変異、及びそれぞれの他方の重鎖にT366S、L368A、Y407V、及びY349Cの突然変異を有するヒトサブクラスIgG4の完全長抗体である、請求項1〜6のいずれか一項記載のヒト化抗体。
  8. i)a)配列番号65の重鎖可変ドメイン及び配列番号66の軽鎖可変ドメイン、又は
    b)配列番号65の重鎖可変ドメイン及び配列番号67の軽鎖可変ドメイン、又は
    c)配列番号65の重鎖可変ドメイン及び配列番号68の軽鎖可変ドメイン
    から選択された第一の結合部位と
    ii)a)配列番号82の重鎖可変ドメイン及び配列番号85の軽鎖可変ドメイン、又は
    b)配列番号83の重鎖可変ドメイン及び配列番号85の軽鎖可変ドメイン、又は
    c)配列番号84の重鎖可変ドメイン及び配列番号85の軽鎖可変ドメイン
    から選択された第二の結合部位
    とを含む、二重特異的抗体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項記載の抗体と薬学的に許容される担体とを含む、医薬製剤。
  10. 医薬として使用するための請求項1〜8のいずれか一項記載の抗体。
  11. アルツハイマー病の処置に使用するための請求項1〜8のいずれか一項記載の抗体。
  12. 前駆期アルツハイマー病の処置に使用するための請求項1〜8のいずれか一項記載の抗体。
  13. 医薬品の製造における請求項1〜8のいずれか一項記載の抗体の使用。
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