JP6598283B2 - α−オレフィン類の重合方法 - Google Patents
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Description
すなわち、前記課題は以下の本発明により解決される。
[1](A)マグネシウムと、チタンと、ハロゲンと、内部電子供与体化合物としてのスクシネート系化合物を含む固体触媒、および
(B)有機アルミニウム化合物
を含み外部電子供与体化合物を含まない触媒を用いたα−オレフィン類の重合体の製造方法であって、
成分(A)と(B)を接触させて前記触媒を調製する工程、ならびに
前記触媒をα−オレフィン類と接触させる工程を備え、
成分(A)と(B)を接触して触媒を調製してから当該触媒をα−オレフィン類と接触させるまでの時間をτとするとき、当該τが180秒以下である、
前記製造方法。
[2]前記τが3〜180秒である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記触媒調製工程における各成分を接触させる温度が、3〜30℃である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]前記触媒調製工程における各成分を接触させる温度が、3〜20℃である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[5]前記[1]に記載の製造方法のための反応装置であって、
重合反応器と、当該反応器に前記触媒を導入するための導入装置とを備え、
前記導入装置が成分(A)と(B)とを接触させて前記触媒を調製する接触部を備える反応装置。
(1)τ
本発明の製造方法においては、(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および内部電子供与体化合物としてのスクシネート化合物を含む固体触媒と、(B)有機アルミニウム化合物とを接触させて前記触媒を調製してからα−オレフィン類と接触させるまでの時間をτとするとき、当該τが180秒以下である。本発明の製造方法の概要を図1に示す。
1)成分(A)
固体触媒成分は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体化合物を必須成分として含有する。この固体触媒成分については、多くの先行技術文献が、その製造方法を提示している。具体的には、この固体触媒成分は、マグネシウム化合物とチタン化合物ならびに電子供与体化合物を相互接触させることにより得られる。例えば、次の方法が知られている。
(1)マグネシウム化合物もしくはマグネシウム化合物と電子供与体化合物との錯化合物を電子供与体化合物または有機アルミニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備処理するかまたは予備処理せずに得た固体と、反応条件下に液相をなすチタン化合物とを、反応させる方法(前記錯化合物は、電子供与体化合物、粉砕助剤等の存在下または不存在下で粉砕して用いてもよいし粉砕せずに用いてもよい)、
(2)マグネシウム化合物の液状物と、液状のチタン化合物を電子供与体化合物の存在下または不存在下で反応させて固体状のチタン複合体を析出させる方法、
(3)固体状のマグネシウム化合物と液状のチタン化合物および電子供与体化合物と反応させる方法、
(4)上記(2)や(3)で得られるものに、さらにチタン化合物を反応させる方法、
(5)上記(1)や(2)や(3)で得られるものにさらに電子供与体化合物およびチタン化合物を反応させる方法、
(6)マグネシウム化合物またはマグネシウム化合物と電子供与体化合物との錯化合物を、電子供与体化合物、およびチタン化合物の存在下に粉砕し、電子供与体化合物または有機アルミニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備処理するかまたは予備処理せずに得た固体を、ハロゲンもしくはハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処理する方法(前記粉砕は、粉砕助剤等の存在下で行ってもよい)、
(7)前記(1)〜(5)で得られる化合物を、ハロゲンもしくはハロゲン化合物、または芳香族炭化水素で処理する方法。
R1及びR2は、好ましくは、C1〜C8のアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基である。R1及びR2が第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なR1及びR2基の例は、C2〜C8のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルである。エチル、イソブチル、及びネオペンチルが特に好ましい。
成分(B)の有機アルミニウム化合物としては以下が挙げられる。
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム:
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミドのようなジアルキルアルミニウムハロゲニド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドのようなアルキルアルミニウムセスキハロゲニド;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム。
α−オレフィン類とは、α−オレフィンまたはその誘導体をいう。α−オレフィン類としては、プロピレンの他、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等のα−オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;ブタジエン、1,9−デカジエン等のジエン類;アリルトリアルキルシラン類を挙げることができる。これらは組み合せて使用してもよい。特に本発明はプロピレンの重合において有意な効果を発揮する。
上記のとおりに調製した触媒に前記のα−オレフィン類を接触させて重合する。この際、まず前記触媒を用いて予備重合を行うことが好ましい。予備重合とは、その後のα−オレフィン類の本重合の足がかりとなるα−オレフィン類の鎖を固体触媒成分に形成させる工程である。予備重合は回分式、連続式等の公知の方法で行うことができる。予備重合では、モノマーとして前記のα−オレフィン類を用いる。また、これらのモノマーは、1種類だけでなく2種類以上を段階的にあるいは混合して使用することもできる。予備重合時に分子量調節剤として水素を用いることもできる。予備重合は、不活性炭化水素溶媒中で行なうことができるが、液体モノマー中、気相モノマー中で行なうこともできる。
予備重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。予備重合させるα−オレフィン類の量は、固体触媒1gに対して0.5〜800gが好ましく、5〜500gがより好ましく、10〜400gがさらに好ましい。
本発明の製造方法によれば、高い触媒活性でα−オレフィン類の重合体を得ることができる。具体的にτが1200〜秒と長い場合の触媒活性を1とすると、本発明では2倍程度の触媒活性を達成できる。この際に得られるα−オレフィン類の重合体の立体規則性は、ポリプロピレンを例にするとキシレン不溶成分量(XI)にして93重量%以上である。
本発明の製造方法は、発明の効果を損なわない限り任意の装置を用いて実施できる。しかしながら、重合反応器と、当該反応器に前記触媒を導入するための導入装置とを備え、前記導入装置が成分(A)と(B)とを接触させて前記触媒を調製する接触部を備える装置を用いることが好ましい。
[MFR(メルトフローレート)]
JIS K 7210に準じ、温度230℃、荷重21.18Nの条件下で測定した。
300mLフラスコに重合体試料2.5gおよび250mLのオルトキシレンを入れ、撹拌しながら沸騰温度で30分間溶解した。続いて、溶液を100℃に放冷した後、フラスコを25℃の恒温水槽に入れ、25℃になってから1時間経過後、ろ過を行った。回収したろ液のオルトキシレンを蒸発させ、残った残渣の重量を仕込みの重合体試料の重量で除した値を100倍し、25℃におけるキシレンに可溶性のポリマーの重量%を計算した。XIすなわちキシレン不溶成分量(25℃におけるキシレンに不溶性のポリマーの重量%)は、(100−可溶性のポリマーの重量%)で求められ、ポリマーの立体規則性の指標として用いられる。
アジレント・テクノロジー株式会社製240AAを用い、原子吸光法により、生成したポリマーサンプル中のマグネシウム含有量を測定し、元の触媒に含まれるマグネシウム含有量から触媒1gあたりのポリマー重合量として、重合活性を求めた。
(1)固体触媒成分の調製
特開2011−500907号の実施例に記載に従い、成分(A)の固体触媒成分を調製した。具体的には以下のとおりに調製した。
窒素でパージした500mLの四つ口丸底フラスコに、TiCl4 250mLを0℃において入れた。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl2・2.8C2H5OHおよび9.1mmolのジエチル−2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。MgCl2・2.8C2H5OHは、米国特許4、399、054号の実施例2に記載された方法にしたがって10000rpmに代えて3000rpmで操作して製造した。温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。
次に、以下の操作を2回繰り返した。
固体生成物に250mLの新しいTiCl4を加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。60℃において無水ヘキサンを用いて固体を6回洗浄した。1回の洗浄に用いた無水ヘキサンは100mLであった。
撹拌機を備えた内容積3Lのオートクレーブを準備した。オートクレーブへ触媒を圧入することができる内容積20cm3のステンレス製容器(追添器)をオートクレーブに取り付け、追添器内を窒素置換した。オートクレーブ内を窒素置換し、さらにオートクレーブに少量の窒素をフィードしながら、成分(B)であるトリエチルアルミニウム4.9mmolを入れた。オートクレーブ内をプロピレンガスで置換した後、25℃で水素0.24mol%とプロピレン16.0molとを加え撹拌し、30℃に昇温した。(1)で調製した成分(A)の固体触媒成分ヘキサンスラリー15mL(固体触媒として5mg)を少量の窒素をフィードした状態の追添器に入れた。
(1)固体触媒成分の調製
実施例1−1と同様にして成分(A)を調製した。
撹拌機を備えた内容積3Lのオートクレーブを準備した。オートクレーブ内を窒素置換し、さらにオートクレーブに少量の窒素をフィードしながら、追添器を取り付けた。オートクレーブ内をプロピレンガスで置換した後、25℃で水素0.24mol%とプロピレン16.0molとを加え撹拌し、30℃に昇温した。少量の窒素をフィードした状態の追添器に、成分(B)であるトリエチルアルミニウム4.9mmolを入れた。(1)で調製した成分(A)の固体触媒成分として5mgを追添器に入れ、25℃の成分(B)と25℃の成分(A)とを接触させた。
τを180秒とした以外は実施例1−2と同様にしてポリプロピレンを製造し評価した。
τをそれぞれ600秒および1800秒とした以外は実施例1−2と同様にしてポリプロピレンを製造し評価した。
[参考例1−3、1−4]
τをそれぞれ10800秒および2592000秒とした以外は実施例1−2と同様にしてポリプロピレンを製造し評価した。
成分(A)と成分(B)とを15℃で接触させた以外は実施例1−2および1−3と同様にしてポリプロピレンを製造し評価した。
τをそれぞれ600秒および1800秒とした以外は実施例2と同様にしてポリプロピレンを製造し評価した。
成分(A)と成分(B)とを5℃で接触させた以外は実施例2と同様にしてポリプロピレンを製造し評価した。
τをそれぞれ600秒および1800秒とした以外は実施例3と同様にしてポリプロピレンを製造し評価した。
これらの結果を表1および図2に示す。
Claims (4)
- (A)マグネシウムと、チタンと、ハロゲンと、内部電子供与体化合物としてのスクシネート系化合物を含む固体触媒、および
(B)トリアルキルアルミニウム
を含み外部電子供与体化合物を含まない触媒を用いたプロピレンの重合体の製造方法であって、
成分(A)と(B)を接触させて前記触媒を調製する工程、ならびに
前記触媒をプロピレンと接触させる工程を備え、
成分(A)と(B)を接触して触媒を調製してから当該触媒をプロピレンと接触させるまでの時間をτとするとき、当該τが3〜180秒である、
前記製造方法。 - 前記触媒調製工程における各成分を接触させる温度が、3〜30℃である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記触媒調製工程における各成分を接触させる温度が、3〜20℃である、請求項1または2に記載の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法のための反応装置であって、
重合反応器と、当該反応器に前記触媒を導入するための導入装置とを備え、
前記導入装置が成分(A)と(B)とを接触させて前記触媒を調製する接触部を備える反応装置。
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