JP6528794B2 - ドライブチェーンのリンク組付装置及びリンク組付方法 - Google Patents

ドライブチェーンのリンク組付装置及びリンク組付方法 Download PDF

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Description

本発明は、動力を伝達するためのドライブチェーンの延在方向に沿って複数のリンクが連結されたチェーン本体を継手リンクにより連結する技術に関する。
スプロケットなどに架け渡されて動力を伝達するドライブチェーンは、一般的に複数のリンクをつなぎ合わせて構成されている。紐状のドライブチェーンの両端部のリンクをつなげて環状にしたり、リンクの追加や交換をしたりする際には、ドライブチェーンに接続用の継手リンクを取り付ける必要がある。実開平4−90149号公報(特許文献1)には、継手リンクピン(7)に継手リンクプレート(6)を圧入して継手リンクを取り付ける治具が開示されている(特許文献1:要約、図1等)。この治具は、継手リンクピン(7)に圧入ブロック(5)を介して継手リンクプレート(6)を圧入させるもので、圧入ブロック(5)に対して直角方向に弾性支持されたハンマドリル(12)の先端を圧入ブロック(5)に当接させて圧入ブロック(5)を叩くことによって継手リンクプレート(6)を継手リンクピン(7)に圧入させる(括弧内の符号は参照する文献のもの。)。
特許文献1の治具は、従来万力等を用いて継手リンクを取り付けていたことと比べると、作業効率が良い。しかし、人間の体重の数倍の対象物を動かすための大型のドライブチェーンでは、ドライブチェーン及び継手リンクも重くなり、熟練作業者と非熟練作業者との間で作業時間に大きな差が生じる場合がある。このような作業は、設備が稼働する現場で実施されることも多く、作業時間の増大は設備の稼働率にも影響する。このため、作業者の熟練度に拘わらず、効率的に継手リンクを取り付ける技術が望まれる。
実開平4−90149号公報
上記背景に鑑みて、作業者の熟練度への依存性を抑制して、効率的にリンクを取り付けることができる技術が望まれる。
上記に鑑みた、動力を伝達するためのドライブチェーンの延在方向に沿って複数のリンクが連結されたチェーン本体を継手リンクにより連結するドライブチェーンのリンク組付装置は、
基部と、前記基部に取り付けられる保持部とを備え、
前記保持部は、第1保持部材及び第2保持部材を有し、前記ドライブチェーンの延在方向に直交する幅方向に沿って前記継手リンクが設置された前記チェーン本体を挟んで保持し、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の少なくとも一方は、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の並び方向に沿って前記基部に対してスライド移動可能であると共に他方に向かって付勢されており、
前記第1保持部材は、前記継手リンクの一方の側面である第1側面に当接する第1当接部を備え、
前記第2保持部材は、前記継手リンクの他方の側面である第2側面に当接する第2当接部と、前記並び方向において前記第2当接部とは反対側の背部に設けられて前記第2側面を前記第1保持部材の方向へ加圧して前記継手リンクを結合させる被加圧部と、を備え、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の少なくとも一方は、前記並び方向における前記第1当接部と前記第2当接部との間隔を調節する調節部を備える。
また、動力を伝達するためのドライブチェーンの延在方向に沿って複数のリンクが連結されたチェーン本体を継手リンクにより連結するドライブチェーンのリンク組付方法は、
基部と、前記基部に取り付けられる保持部とを備え、前記保持部が、第1保持部材及び第2保持部材を有し、前記ドライブチェーンの延在方向に直交する幅方向に沿って前記継手リンクが設置された前記チェーン本体を挟んで保持するリンク組付装置を用い、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の並び方向における前記第1保持部材と前記第2保持部材との間隔を、前記ドライブチェーンの前記幅方向の長さに応じて調節する第1工程と、
前記チェーン本体に非結合状態の前記継手リンクを取り付ける第2工程と、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の並び方向に沿って前記基部に対してスライド移動可能であると共に他方に向かって付勢されている前記第1保持部材及び前記第2保持部材の一方を、付勢方向とは逆方向にスライドさせて、前記継手リンクが取り付けられた前記チェーン本体を前記第1保持部材及び前記第2保持部材の間に配置し、前記付勢方向にスライドさせて、前記第1保持部材に前記継手リンクの一方の側面である第1側面を当接させ、前記第2保持部材に前記継手リンクの他方の側面である第2側面を当接させて、前記継手リンク及び前記チェーン本体を前記リンク組付装置に取り付ける第3工程と、
前記第2保持部材の、前記第1保持部材と対向する側とは反対側に位置する背部に設けられた被加圧部により前記第2側面を前記第1保持部材の方向へ加圧して前記継手リンクを結合させる第4工程と、
前記リンク組付装置から前記ドライブチェーンを取り外す第5工程と、を備える。
第1保持部材及び第2保持部材の少なくとも一方は、基部に対してスライド移動可能であると共に他方に向かって付勢されている。このため、作業者は付勢方向と反対方向に何れかの保持部をスライドさせ、チェーン本体を配置して元に戻すという簡単な操作により、第1保持部材と第2保持部材との間に非結合状態の継手リンクが取り付けられたチェーン本体を挟んで保持させることができる。そして、作業者は、この非結合状態の継手リンクが取り付けられたチェーン本体が、挟んで保持された状態で、第1保持部材と第2保持部材との並び方向に沿って加圧力を加えることによって適切に継手リンクを結合させることができる。つまり、作業者の熟練度への依存性を抑制して、効率的に継手リンクを取り組み付けることができる。
ところで、ドライブチェーンには種々の種類のものがあり、リンクの大きさ(例えば幅方向の大きさ)も様々である。本構成によれば、並び方向における第1当接部と第2当接部との間隔を調節する調節部又は第1工程を備えるので、複数種のドライブチェーンに対して継手リンクを適切に組付けることもできる。
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
ドライブチェーンが利用される物品保管設備の一例を示す斜視図 ドライブチェーンの構造の一例を示す分解斜視図 リンク組付装置及び台座の分解斜視図 継手リンクの組付方法を示す斜視図 リンク組付装置を用いて継手リンク取り付ける手順を示す斜視図 リンク組付装置を用いて継手リンク取り付ける手順を示す斜視図 継手リンクに抜け止めピンを取り付ける手順を示す斜視図 継手リンクプレートが当接する当接面の正面図 継手リンクに他の形態の抜け止めピンを取り付ける手順を示す斜視図 リンク組付装置の別の使用例を示す斜視図
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、ドライブチェーン1が利用される物品保管設備100を例示している。1つの態様として、ドライブチェーン1は、物品保管設備100において物品Bを搬送するスタッカークレーン300において昇降体304を吊り下げ支持する昇降用チェーン305として利用されている。図1に示すように、物品保管設備100には、物品Bを収納する収納部101を複数備えた収納棚102と、物品Bを搬送するスタッカークレーン300とが備えられている。図1に示すように、収納棚102は、物品Bを出し入れする方向が互いに対向するように間隔を隔てて2つ設置されている。スタッカークレーン300は、2つの収納棚102の間に走行レール105を有して形成された移動経路を自動走行する。各収納棚102には、多数の収納部101が縦横に複数並べて配置されている。
スタッカークレーン300は、走行レール105に沿って走行する走行台車302と、走行台車302に立設された一対のマスト301(2本のマスト301)と、マスト301に沿って昇降する昇降体304と、昇降体304に備えられた物品支持体としてのフォーク装置307とを備えている。マスト301は、下端部が走行台車302に固定され、上端部が上部フレーム115に連結されている。上部フレーム115は、天井側において走行レール105に沿うように設けられたガイドレール106に沿って案内される。
昇降体304は、走行台車302の走行方向に沿った方向である前後方向の両端部に連結された2本の昇降用チェーン305にて吊下げ支持されている。前後方向において、上部フレーム115の前端部および後端部には、それぞれ上方側従動スプロケット(不図示)が設けられている。前後方向において昇降体304の中央部の下面側には、昇降台側従動スプロケット(不図示)が設けられている。走行台車302の前後方向における一端側(前端側又は後端側)及び中央部には、それぞれ走行台車側従動スプロケット(不図示)が設けられ、当該一端側には昇降用モータなどのアクチュエータ(不図示)によって駆動される駆動スプロケット(不図示)も設けられている。昇降用チェーン305は、これらの上方側従動スプロケット、走行台車側従動スプロケット、昇降台側従動スプロケット、及び駆動スプロケットに巻き掛けられている。昇降用モータにより、駆動スプロケットが駆動されて回転することにより昇降用チェーン305が動き、昇降用チェーン305に吊下げ支持された昇降体304が回転方向に応じて昇降移動する。
昇降用チェーン305は、ドライブチェーン1によって構成されている。図2は、スプロケットに架け渡されて動力を伝達するドライブチェーン1の1つの態様を例示している。ドライブチェーン1は、その延在方向Lに沿って複数のリンク(内リンク3及び外リンク4)が連結されて構成されている。より正確には、後述するように、ドライブチェーン1は、複数のリンク(内リンク3)が外リンク4によって連結されて構成されている。
内リンク3は、円筒状の2つのブッシュ32と、それぞれのブッシュ32が係合するブッシュ係合孔33が形成された2つの内リンクプレート31と、ブッシュ32の外径よりも大きい内径を有してそれぞれのブッシュ32が貫通する2つのローラ34とを備えている。複数の内リンク3を外リンク4によって接続することで、複数の内リンク3を備えた(複数のコマを備えた、或いは複数のリンクを備えた)チェーン本体2が形成される。最も短い場合、2つの内リンク3が1つの外リンク4によって接続されることで、2つの内リンク3を備えたチェーン本体2(2コマのチェーン本体2)が形成される。
外リンク4は、ブッシュ32の内径よりも小さい外径を有してそれぞれのブッシュ32を貫通する2つの外リンクピン42と、外リンクピン42が係合する外リンクピン係合孔43が形成された2つの外リンクプレート41とを備えている。例えば、2つの内リンク3を接続する際には、一方の内リンク3の一方のブッシュ32に、一方の外リンクピン42を貫通させ、他方の内リンク3の一方のブッシュ32に、他方の外リンクピン42を貫通させる。2本の外リンクピン42は、2枚の共通の外リンクプレート41に係合される。n個(nは自然数)の内リンク3を(n−1)個の外リンク4によって順次接続することによって、n個の内リンク3を有するチェーン本体2(nコマのチェーン本体2)が形成される。
図2では、チェーン本体2の延在方向Lに直交する幅方向Wに2つの内リンク3を備えたダブルリンクチェーンを例示している。このため、外リンクピン42は、2つの内リンク3のブッシュ32を貫通する長さを有している。また、ダブルリンクチェーンでは、2枚の外リンクプレート41の間に、2つの内リンク3を挟み込むことになり、1つの内リンク3を2枚の外リンクプレート41で挟み込むことができない。1つの内リンク3を2枚のプレートで挟み込むために、幅方向Wに隣接する2つの内リンク3の間には、それぞれの内リンク3に当接する2枚の中間プレート45が設置されている。即ち、内リンク3は、1枚の外リンクプレート41と中間プレート45との間に挟み込まれる。中間プレート45は、外リンクピン42の外径よりも大きい内径を有するリンクピン貫通孔46を有している。
一般的に、内リンク3と外リンク4とを接続したチェーン本体2は、ドライブチェーン1の製造元によって形成され、ユーザーに提供される。複数本のチェーン本体2を接続して1本のドライブチェーン1を形成する場合、1本のチェーン本体2の端部同士を接続して環状のドライブチェーン1を形成する場合、ドライブチェーン1のコマ数を増やす場合などには、ユーザーが継手リンク5を用いて接続作業を行う。継手リンク5は、一種の外リンク4であり、内リンク3に接続されるリンクである。外リンク4と同様に、継手リンク5は、ブッシュ32の内径よりも小さい外径を有してそれぞれのブッシュ32を貫通する2つの継手リンクピン52と、継手リンクピン52が係合する継手リンクピン係合孔53が形成された2つの継手リンクプレート51とを備えている。また、ドライブチェーン1がダブルリンクチェーンの場合には、継手リンク5は、2枚の中間プレート45も備えている。
継手リンク5は、例えば部品セットとして製造元よりユーザーに提供される。部品セットは、例えば、2枚の内の一方の継手リンクプレート51(第1継手リンクプレート51a)に2本の継手リンクピン52が固定されたピンアッセンブリ52Aと、他方の継手リンクプレート51(第2継手リンクプレート51b)、2枚の中間プレート45、1つ又は2つの継手リンクピン52の抜け止め部材55とを備えている。図2では、2本の継手リンクピン52に共通に取り付けられる1つの抜け止め部材55としての抜け止めクリップ55cを例示している。抜け止めクリップ55cは、継手リンクピン52に形成されたクリップ係合凹部56cに係合する。詳細については、図7を参照して後述する。2本の継手リンクピン52に対応した2つの抜け止め部材55(2本の抜け止めピン55p)を用いる形態については、図9を参照して後述する。
多くの場合、ユーザーの元において作業者が、この部品セットを用いてチェーン本体2に継手リンク5を組み付ける。継手リンクピン52と継手リンクピン係合孔53とは、嵌合によって結合されるが、ドライブチェーン1が動力を伝達する際に掛かる力によって継手リンク5が分解しないように、非常に高い嵌合力で結合される。このため、継手リンクピン52と継手リンクピン係合孔53との結合には、強い力が必要であり、一般的にはハンマー等を用いて打突することによって嵌入される。但し、上述したようなスタッカークレーン300などに用いられ、人間の体重の数倍の対象物を動かすための大型のドライブチェーン1では、チェーン本体2及び継手リンク5も重くなり、打突にも大きな力を要する。また、打突の際に位置ずれも起こし易くなる。このため、熟練作業者と非熟練作業者との間で作業時間に大きな差が生じたり、組み付け精度に差が生じたりする場合がある。このような作業は、物品保管設備100などの設備が稼働する現場で実施されることも多く、作業時間の増大は設備の稼働率に影響を与え、組み付け精度は設備の信頼性に影響を与える。作業者の熟練度に拘わらず、効率的且つ適切に継手リンク5を取り付けるため、以下に説明するようなリンク組付装置10(治具)が用いられる。
図3は、チェーン本体2を継手リンク5により連結するためのリンク組付装置10の分解斜視図である。リンク組付装置10は、本体部16と本体部16が載置される台座60とを有している。台座60を有するリンク組付装置10は、チェーン本体2がスプロケットに架け渡されていない場合には、利便性が高い。しかし、継手リンク5の組み付けは、チェーン本体2がスプロケットに架け渡された懸架状態で行われる場合もある。このような場合には、床面までチェーン本体2が届かず、本体部16を台座60に固定した状態では適切に継手リンク5を組み付けられない可能性がある。このため、リンク組付装置10は、本体部16のみの単独で用いることも可能であり、この場合は単体の本体部16がリンク組付装置10に相当する。本体部16が台座60に載置されると、より安定して継手リンク5をチェーン本体2に組み付けることができるので、以下、本体部16及び台座60を備えたリンク組付装置10を用いる形態を例示して説明する。
リンク組付装置10の本体部16は、図3に示すように、基部15と、第1保持部材11と第2保持部材12との間にチェーン本体2を挟んで保持する保持部13、並びに基部15に取り付けられる複数の部材(14,17,18,19等)を有している。詳細は、後述するが、基部15には、保持部13の他、付勢部材17、調節部18、被加圧部19、加圧力受け部14が取り付けられている。基部15は、板状部材であり、台座60と基部15とを締結する締結部材65が取り付けられる締結部材取付孔15a、基部15が台座60から浮き上がることを規制する基部規制部材69が取り付けられる規制部材取付孔15bが形成されている。規制部材取付孔15bには雌ネジが形成されている。
本体部16を固定する台座60は、ベースプレート61と、基部支持部63と、チェーン載置部62とを有している。ベースプレート61は、長方形の板状の平面部61pと、平面部61pの一方の短辺から斜め上方に傾斜すると共に先端に向かうほど狭幅となる台形状の傾斜壁部61wとを有している。傾斜壁部61wには、台形状の傾斜壁部61wの対称軸に沿うようにスリット61sが形成されている。スリット61sの幅は、板状の基部15の厚み以上に設定されている。
基部支持部63は、ベースプレート61の平面部61pから垂直に立ち上がる2枚の板状部材により形成されている。基部支持部63の2枚の板状部材は、基部15の厚み以上の隙間63sを有して配置されている。また、基部支持部63には、締結部材65が締結される基部固定用孔63hが形成されている。基部15に設けられた締結部材取付孔15a及び基部固定用孔63hに締結部材65が貫通することによって、基部支持部63に基部15が固定される。締結部材取付孔15a及び基部固定用孔63hの何れか一方には、雌ネジが形成されている。図3では、基部固定用孔63hに雌ネジが形成され、締結部材取付孔15aはネジ山のない貫通孔として形成されている形態を例示している。
本体部16は、基部15を基部支持部63の隙間63s及び傾斜壁部61wのスリット61sの間に挿入し、基部支持部63と基部15とを締結部材65によって締結することによって台座60に固定される。尚、工具を用いることなく、作業者の手によって締結部材65を締結できるように、締結部材65として蝶ボルト(wing bolt)が用いられると好適である。また、この状態で基部15の規制部材取付孔15bに基部規制部材69が取り付けられる。基部15が上方へ浮き上がるような場合には、この基部規制部材69と傾斜壁部61wとが接触する。これによって、基部15の上方への動きが規制される。基部15が上方へ浮き上がることを規制する点から、基部規制部材69は、傾斜壁部61wにできるだけ近い場所に位置することが好ましい。このため、基部規制部材69には、ボルトの頭部に大きな突出部を有する蝶ボルトとは異なる形態のボルトが適用されている。図3には、基部規制部材69として六角レンチ等が嵌合する六角穴がボルトの頭部に形成された六角穴付きボルトが用いられる形態を例示している。
当然ながら、基部規制部材69として蝶ボルトが用いられることを妨げるものではない。また、当然ながら、締結部材65も蝶ボルトに限らず、六角穴付きボルトや他の形状のボルトであってもよい。また、締結部材65と基部規制部材69とが共にボルトである場合、両者は、径が異なるボルトであっても良いが、同径で同ネジ山のボルトであると、両者を入れ替えて用いたり、一方を他方の代用品として用いたりすることができて好ましい。
台座60は、さらにドライブチェーン1の延在方向Lに沿って、ドライブチェーン1を載置するチェーン載置部62を備えている(図5及び図6等参照)。チェーン載置部62は、台座60に固定された本体部16を挟んで2箇所に設けられ、それぞれ台座60の平面部61pに締結固定されている。換言すれば、2つのチェーン載置部62が、第1保持部材11と第2保持部材12との並び方向Xに直交する方向(Y)に沿って、台座60に固定された本体部16を挟んで配置されている。
また、それぞれのチェーン載置部62には、内リンク3を貫通して(ブッシュ32とブッシュ32との間を貫通して)チェーン載置部62に載置されたチェーン本体2の延在方向Lに沿った方向への移動(上述したY方向への移動と等価)を規制するチェーン規制部材64を取り付けることが可能である。ドライブチェーン1におけるリンクの大きさは、チェーンの種類によって異なるため、それぞれのチェーン載置部62には、チェーン規制部材64を取り付けるチェーン規制部材取付孔62hが、複数箇所に設けられている。ドライブチェーン1の種類に応じてチェーン規制部材64を設置するチェーン規制部材取付孔62hが選択される。尚、チェーン規制部材64は、リンク組付装置10にチェーン本体2を載置した後で取り付けてもよい。チェーン規制部材64及びチェーン規制部材取付孔62hは、延在方向Lに沿ったドライブチェーン1の移動を規制する規制部に相当する。
上述したように、本体部16は、保持部13を備えている。保持部13は、第1保持部材11及び第2保持部材12を有している。保持部13は、図5等を参照して後述するように、ドライブチェーン1の延在方向Lに直交する幅方向Wに沿って継手リンク5が設置されたチェーン本体2を挟んで保持する。図3に示すように、第1保持部材11は基部15に固定されているが、第2保持部材12は、基部15に対してスライド移動可能である。また、第2保持部材12は、付勢部材17により第1保持部材11の方向に向かって付勢されている。さらに、第2保持部材12は、並び方向Xにおいて第2当接部22とは反対側の背部に設けられて第1保持部材11の方向への加圧力が加えられる被加圧部19も備えている。
ここでは、第2保持部材12が、第1保持部材11及び第2保持部材12の並び方向Xに沿って基部15に対してスライド移動可能であると共に第1保持部材11に向かって付勢されている形態を例示している。しかし、第1保持部材11と第2保持部材12とが逆であってもよい。即ち、第1保持部材11及び第2保持部材12の少なくとも一方が、並び方向Xに沿ってスライド移動可能であると共に他方に向かって付勢されていればよい。尚、第1保持部材11と第2保持部材12との間隔は、スライド移動可能な保持部材(ここでは第2保持部材12)に備えられた調節部18により、調節可能である。
図3及び図5に示すように、調節部18は、第2保持部材12に連結された本体ボルト16bの並び方向Xに沿った位置を変更可能な調整用ナット18nを有して構成されている。調整用ナット18nは、付勢部材17により第1保持部材11の方向に向かって付勢されている。調整用ナット18nを回して本体ボルト16bに対する調整用ナット18nを位置を変えることにより、付勢部材17により付勢された調整用ナット18nと共に、調整用ナット18nに連結された本体ボルト16bも移動する。本体ボルト16bが移動することにより、本体ボルト16bに連結された第2保持部材12も移動し、第1保持部材11と第2保持部材12との間隔も変わる。第1保持部材11と第2保持部材12との間隔は、調節部18により、継手リンク5を組付ける対象のチェーン本体2の幅方向Wの長さに応じて設定される。
作業者は、上述したように台座60に本体部16を固定してリンク組付装置10を設定した後(第1工程)、ドライブチェーン1の延在方向Lに沿って複数のリンク(3,4)が連結されたチェーン本体2に継手リンク5と組み付ける(第2工程〜第4工程)。第2工程では、チェーン本体2に非結合状態の継手リンク5が取り付けられる。具体的には、図4に示すように、作業者は、継手リンク5のピンアッセンブリ52Aを、チェーン本体2の端部同士の内リンク3及び2枚の中間プレート45に貫通させる。次に、作業者は、図5に示すように、他方の内リンク3から、ピンアッセンブリ52Aの継手リンクピン52が突出した状態のチェーン本体2、及び残りの継手リンクプレート51をリンク組付装置10に取り付ける(第3工程)。その後、作業者は、図6に示すように、被加圧部19にハンマー90等を用いて加圧力を加えることによって、継手リンクピン52と継手リンクプレート51とを結合させる(第4工程)。継手リンク5を結合させた後、作業者はドライブチェーン1をリンク組付装置10から取り外し(第5工程)、図7や図9に例示するように継手リンクピン52に抜け止め部材55を取り付ける(第6工程)。
図3に示すように、第1保持部材11は、継手リンク5の一方の側面である第1側面5a(ピンアッセンブリ52Aに含まれる第1継手リンクプレート51a)に当接する第1当接部21を備えている。また、第2保持部材12は、継手リンク5の他方の側面である第2側面5b(ピンアッセンブリ52Aに含まれない第2継手リンクプレート51b)に当接する第2当接部22を備えている。図7、図9等に示すように、第4工程を経て結合後の継手リンク5の第2継手リンクプレート51からは、幅方向Wの外側に向かって継手リンクピン52が突出する。また、図2に示すように、第1継手リンクプレート51aからも、幅方向Wの外側に向かって継手リンクピン52が突出している場合がある。
つまり、継手リンク5の第1側面5a及び第2側面5bには、幅方向Wにおいて内リンク3を挟んで第1側面5aの側の第1継手リンクプレート51aと、第2側面5bの側の第2継手リンクプレート51bとを連結するための一対の連結ピン(継手リンクピン52)の端部が突出した一対の凸部58が形成される。このため、第1当接部21及び第2当接部22は、継手リンクプレート51が当接面23に当接するように、一対の凸部58に対応する位置に形成されて継手リンク5の側面(継手リンクプレート51)に当接する当接面23から引退した一対の凹部25を備えている。
また、第1当接部21及び第2当接部22には、マグネット27が備えられている(図3、図10参照)。ドライブチェーン1を構成する部材は、鉄などの磁性体材料により形成されている。第1当接部21及び第2当接部22の双方、或いは少なくとも、単独で保持部13に取り付けられる第2継手リンクプレート51bが当接する第2当接部22にマグネット27が備えられていると、保持部13の適切な位置に継手リンク5を配置することができる。
また、図5に示すようにチェーン本体2をリンク組付装置10に設置する場合には、第1保持部材11及び第2保持部材12に継手リンクの外周部57(図4参照)に当接する外周当接部24が形成されていると好適である。図3〜図6に例示するように、台座60に水平に本体部16を固定する場合、外周当接部24は、継手リンクプレート51の外周部57を下方から支持することによって、チェーン本体2を下方から支持する。
ところで、ピンアッセンブリ52Aに含まれない第2継手リンクプレート51bは、第1継手リンクプレート51aに比べて、保持部13から脱落し易い。このため、第2保持部材12に設けられる外周当接部24の方が、第1保持部材11に設けられる外周当接部24よりも並び方向Xにおいて長く形成されている。このように並び方向Xにおいて長く形成された外周当接部24は、内リンク3を支持することもできるので、第2保持部材12に設けられる外周当接部24を特にリンク受け部26と称する。
尚、外周当接部24及びリンク受け部26は、図3〜図6に例示するように、本体部16を台座60に対して水平に固定して用いる場合に限らず、例えば懸架状態のチェーン本体2に対して本体部16単独で用いる場合であっても、継手リンクプレート51の外周部57に当接してチェーン本体2を適切に位置決めすることができる。また、図10を参照して後述するように、本体部16を台座60に対して垂直に固定する場合にも同様である。
ところで、リンク組付装置10は、複数種のドライブチェーン1に対応する継手リンク5を組み付けることができるように構成されている。例えば、図2に示すように、一対の凸部58の延在方向Lの間隔である凸部間隔P、及び、凸部58と継手リンクの外周部57との距離である径方向距離Dは、ドライブチェーン1の種類によって異なる。尚、図2では、径方向距離Dとして、延在方向Lに直交する方向における継手リンクピン52の中心(或いは継手リンクプレート51の継手リンクピン係合孔53の中心)と外周部57との距離を例示しているが、径方向距離Dは、延在方向Lに直交する方向以外の方向への距離であってもよい。継手リンクプレート51は、アラビア数字の8の字の形状をしている。従って、継手リンクピン52の中心(或いは継手リンクプレート51の継手リンクピン係合孔53の中心)から見て、延在方向Lに直交する一方側の方向から、継手リンクプレート51の外周部57に近い側を通って、延在方向Lに直交する他方側の方向へ至る概ね180度の領域では、径方向距離Dは、ほぼ同じである。
径方向距離Dがドライブチェーン1の種類によって異なるため、第1保持部材11及び第2保持部材12の当接面23に形成される一対の凹部25は、凸部間隔P及び径方向距離Dが異なる複数種類のドライブチェーン1についての一対の凸部58の配置領域を含むように形成されている。即ち、図8に示すように、一対の凹部25は、並び方向Xに見て、外周当接部24から離れるに従って一対の凹部25の延在方向Lの間隔Gが広くなるように配置された一対の長円状に形成されている。つまり、一対の凹部25の間隔Gは、外周当接部24の側の間隔G2に比べて、外周当接部24とは反対側の間隔G1の方が広くなるように設定されている。
上述したように、第3工程では、第1保持部材11に継手リンク5の一方の側面である第1側面5aを当接させ、第2保持部材12に継手リンク5の他方の側面である第2側面5bを当接させて、継手リンク5が取り付けられたチェーン本体2をリンク組付装置10に取り付ける。続く第4工程では、図6に示すように、第2保持部材12の背部に設けられた被加圧部19に対してハンマー90等を利用して第1保持部材11の方向への加圧力が加えられる。これによって、ピンアッセンブリ52Aの継手リンクピン52が、第2継手リンクプレート51bの継手リンクピン係合孔53に嵌入される。尚、加圧力が加えられる際には、台座60のベースプレート61又は加圧力受け部14を作業者の靴などによって押さえることができる。ベースプレート61又は加圧力受け部14を押さえることにより、リンク組付装置10の本体部16が並び方向Xに沿って移動することが抑制され、加圧力を逃がすことなく適切に継手リンク5を結合させることができる。
続く第5工程では、リンク組付装置10からドライブチェーン1が取り外される。最後の第6工程では、図7に示すように、継手リンクプレート51から突出した継手リンクピン52の先端に形成されているクリップ係合凹部56c(図2、図4参照)に抜け止めクリップ55cが取り付けられる。
尚、抜け止め部材55は、抜け止めクリップ55cに限らず、図9に示すような抜け止めピン55pであってもよい。比較的大型のドライブチェーン1では、リンク(3,4)も大きくなるため、継手リンク5も大きくなり、継手リンクピン52も太くなる。このため、継手リンクピン52に抜け止めピン貫通孔56pを形成することができる。抜け止めピン55pは、Rピンなど、頭部55aと二股に分かれた脚部55bとを有している。抜け止めピン貫通孔56pを通り抜けた脚部55bを互いに逆方向に、例えばV字型となるように広げることにより、抜け止めピン貫通孔56pの両開口部に、脚部55bの折り曲げ部分と頭部55aとが位置して、抜け止めピン55pが抜け止めピン貫通孔56pから抜けないように継手リンクピン52に取り付けられる。
尚、上記においては、図3を参照して説明したように、第1保持部材11と第2保持部材12との並び方向Xと、台座60のベースプレート61の平面部61pとが平行するように、即ち本体部16が台座60に水平に取り付けられる形態を例示した。しかし、図10に示すように、本体部16は、ベースプレート61の平面部61pに対して並び方向Xが垂直となるように取り付けられることもできる。この場合も、本体部16の基部15は、基部支持部63に締結部材65によって締結固定される。この形態では、ベースプレート61の傾斜壁部61wの隙間63sの間には基部15が挿入されないため、基部規制部材69も取り付ける必要はない。尚、図10に示す垂直姿勢において、加圧力受け部14は、ベースプレート61の平面部61pと当接する。従って、被加圧部19への加圧力を適切に受け止めることができる。
本体部16が台座60に水平に取り付けられる場合、工具を用いることなく、作業者の手によって締結部材65を締結できるように、締結部材65が蝶ボルトである形態を例示した(図3参照)。しかし、図10に示すように、本体部16をベースプレート61の平面部61pに対して垂直に設置する場合には、ベースプレート61と第1保持部材11との間に、作業者の手が入り難く、蝶ボルトを利用することが困難となる可能性がある。例えば、締結部材65と基部規制部材69とが、同径で同ネジ山を有するボルトであれば、締結部材65として、基部規制部材69の六角穴付きボルトを用いると好適である。六角穴付きボルトであれば、棒状の六角レンチをベースプレート61と第1保持部材11との隙間に差し込んで、六角穴付きボルトにより基部支持部63に本体部16を固定することができる。
尚、締結部材65として、基部規制部材69の六角穴付きボルトを用いる場合、余った蝶ボルトを規制部材取付孔15bに取り付けておくと紛失等を予防することができる。つまり、締結部材65が蝶ボルトであり、基部規制部材69が六角穴付きボルトである場合に、両者を交換して、それぞれの取付孔に取り付けるとよい。図10に示すように、台座60に対して本体部16を垂直に取り付ける場合、規制部材取付孔15bの近傍には、傾斜壁部61wなどの他の部材は存在しない。従って、作業者は円滑に蝶ボルトを規制部材取付孔15bに取り付けることができる。
以上説明したように、本発明によれば、作業者の熟練度への依存性を抑制して、効率的に継手リンクを取り付けることができる。尚、上記においては、ドライブチェーン1として幅方向Wにおいて2つの内リンク3を備えたダブルリンクチェーンを例示して説明したが、当然ながら本発明は幅方向Wにおいて単一の内リンク3を備えたシングルリンクチェーンにも適用することができる。また、ドライブチェーン1として幅方向Wにおいて3つの内リンク3を備えたトリプルリンクチェーンなど、3つ以上の複数の内リンク3を備えたチェーンにも適用することができる。
上記では、ドライブチェーン1が、スタッカークレーン300において昇降体304を吊り下げ支持する昇降用チェーン305として利用されている形態を例示した。しかし、ドライブチェーン1は、スタッカークレーン300以外の装置(例えばエレベータなど)において人や物体を昇降させるための動力を伝達するために利用されるものであってもよい。また、これらのように垂直方向に動力を伝達する形態に限らず、ドライブチェーン1は、コンベヤ、エスカレータ、歩道など、水平方向或いは斜め上下方向へ動力を伝達する装置に利用されるものであってもよい。さらに、自転車、自動二輪などの移動体において、動力源(人力によるものも含む)から車輪に動力を伝達するために用いられるものであってもよい。
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明したリンク組付装置及びリンク組付方法の概要について簡単に説明する。
1つの態様として、動力を伝達するためのドライブチェーンの延在方向に沿って複数のリンクが連結されたチェーン本体を継手リンクにより連結するドライブチェーンのリンク組付装置は、
基部と、前記基部に取り付けられる保持部とを備え、
前記保持部は、第1保持部材及び第2保持部材を有し、前記ドライブチェーンの延在方向に直交する幅方向に沿って前記継手リンクが設置された前記チェーン本体を挟んで保持し、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の少なくとも一方は、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の並び方向に沿って前記基部に対してスライド移動可能であると共に他方に向かって付勢されており、
前記第1保持部材は、前記継手リンクの一方の側面である第1側面に当接する第1当接部を備え、
前記第2保持部材は、前記継手リンクの他方の側面である第2側面に当接する第2当接部と、前記並び方向において前記第2当接部とは反対側の背部に設けられて前記第2側面を前記第1保持部材の方向へ加圧して前記継手リンクを結合させる被加圧部と、を備え、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の少なくとも一方は、前記並び方向における前記第1当接部と前記第2当接部との間隔を調節する調節部を備える。
また、1つの態様として、動力を伝達するためのドライブチェーンの延在方向に沿って複数のリンクが連結されたチェーン本体を継手リンクにより連結するドライブチェーンのリンク組付方法は、
基部と、前記基部に取り付けられる保持部とを備え、前記保持部が、第1保持部材及び第2保持部材を有し、前記ドライブチェーンの延在方向に直交する幅方向に沿って前記継手リンクが設置された前記チェーン本体を挟んで保持するリンク組付装置を用い、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の並び方向における前記第1保持部材と前記第2保持部材との間隔を、前記ドライブチェーンの前記幅方向の長さに応じて調節する第1工程と、
前記チェーン本体に非結合状態の前記継手リンクを取り付ける第2工程と、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の並び方向に沿って前記基部に対してスライド移動可能であると共に他方に向かって付勢されている前記第1保持部材及び前記第2保持部材の一方を、付勢方向とは逆方向にスライドさせて、前記継手リンクが取り付けられた前記チェーン本体を前記第1保持部材及び前記第2保持部材の間に配置し、前記付勢方向にスライドさせて、前記第1保持部材に前記継手リンクの一方の側面である第1側面を当接させ、前記第2保持部材に前記継手リンクの他方の側面である第2側面を当接させて、前記継手リンク及び前記チェーン本体を前記リンク組付装置に取り付ける第3工程と、
前記第2保持部材の、前記第1保持部材と対向する側とは反対側に位置する背部に設けられた被加圧部により前記第2側面を前記第1保持部材の方向へ加圧して前記継手リンクを結合させる第4工程と、
前記リンク組付装置から前記ドライブチェーンを取り外す第5工程と、を備える。
第1保持部材及び第2保持部材の少なくとも一方は、基部に対してスライド移動可能であると共に他方に向かって付勢されている。このため、作業者は付勢方向と反対方向に何れかの保持部をスライドさせ、チェーン本体を配置して元に戻すという簡単な操作により、第1保持部材と第2保持部材との間に非結合状態の継手リンクが取り付けられたチェーン本体を挟んで保持させることができる。そして、作業者は、この非結合状態の継手リンクが取り付けられたチェーン本体が、挟んで保持された状態で、第1保持部材と第2保持部材との並び方向に沿って加圧力を加えることによって適切に継手リンクを結合させることができる。つまり、作業者の熟練度への依存性を抑制して、効率的に継手リンクを取り組み付けることができる。
ところで、ドライブチェーンには種々の種類のものがあり、リンクの大きさ(例えば幅方向の大きさ)も様々である。本構成によれば、並び方向における第1当接部と第2当接部との間隔を調節する調節部又は第1工程を備えるので、複数種のドライブチェーンに対して継手リンクを適切に組付けることもできる。
ここで、前記継手リンクの前記第1側面及び前記第2側面には、前記幅方向において前記リンクを挟んで前記継手リンクの前記第1側面の側と前記第2側面の側とを連結するための一対の連結ピンの端部が突出した一対の凸部が形成されており、前記第1当接部及び前記第2当接部は、一対の前記凸部に対応する位置に形成されて前記継手リンクの側面に当接する当接面から引退した一対の凹部を備えていると好適である。
継手リンクは、幅方向の両側面に連結ピンを嵌合させて連結することによって組み付けられる。上述したように、幅方向(第1保持部材と第2保持部材との並び方向)に沿って加圧力が加えられる際に、第1側面及び第2側面に継ぎ手リンクの側面が当接しないと、充分な加圧力を継ぎ手リンクに与えることができない。上記のような凹部が形成されていると、継ぎ手リンクの側面から幅方向外側に突出する凸部が凹部の中に位置する。第1側面及び第2側面には、凸部が当たることなく継ぎ手リンクの側面が適切に当接するので充分な加圧力を加えることができる。
ここで、一対の前記凸部の前記延在方向の間隔である凸部間隔、及び、前記凸部と前記継手リンクの外周部との距離である径方向距離は、前記ドライブチェーンの種類によって異なり、一対の前記凹部は、前記凸部間隔及び前記径方向距離が異なる複数種類の前記ドライブチェーンについての一対の前記凸部の配置領域を含むように、前記並び方向に見て、前記継手リンクの外周部に当接する外周当接部から離れるに従って一対の前記凹部の前記延在方向の間隔が広くなるように配置された一対の長円状に形成されていると好適である。
この構成によれば、凹部が複数種類のドライブチェーンの凸部に対応可能な形状に設けられている。従って、リンク組付装置を用いて、複数種のドライブチェーンに対して継手リンクを適切に組付けることができる。
また、前記第1当接部及び前記第2当接部は、マグネットを備えると好適である。
チェーン本体に対して組み付けられる前の継手リンクは、継手リンクを構成する各部品が完全に結合されておらず、チェーン本体から外れてしまう可能性がある。しかし、第1当接部及び第2当接部にマグネットを備えることにより、鉄などの磁性体材料により形成された継手リンクを適切に保持することができる。また、マグネットを備えることにより、加圧力を加える前に継手リンクがずれるようなことも抑制することができる。
また、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の少なくとも一方は、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間で前記ドライブチェーンの前記リンクが当接するリンク受け部を備えると好適である。
リンク受け部によりドライブチェーンのリンクが案内されるので、第1保持部材と第2保持部材との間に挟む際の位置決めが容易となり、作業性が向上する。
さらに、前記基部と前記保持部とを備える本体部を固定する台座を備え、前記台座は、前記ドライブチェーンの前記延在方向に沿って、前記第1保持部材及び前記第2保持部材による保持位置に応じた位置で前記ドライブチェーンを載置するチェーン載置部を備えると好適である。
一般的にドライブチェーンは延在方向に沿って長尺である。このため、ドライブチェーンを第1保持部材及び第2保持部材のみで保持すると、ドライブチェーンがたわみ易くなる可能性がある。しかし、チェーン載置部を有することによって、そのようなたわみが生じることを抑制することができる。
また、前記チェーン載置部は、前記延在方向に沿った前記ドライブチェーンの移動を規制する規制部を備えると好適である。
ドライブチェーンは延在方向に沿って長尺であり、重さも比較的重い。このため、ドライブチェーンを第1保持部材及び第2保持部材のみで保持すると、重さによって延在方向に位置ずれを起こし、継手リンクに適切に加圧力を加えられなくなる可能性がある。規制部を備えることによって、延在方向に沿った前記ドライブチェーンの移動を規制し、継手リンクが適切な位置に配置された状態で加圧力を加えることができる。
また、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の一方は、前記基部に対する位置が固定されていると好適である。
第1保持部材及び第2保持部材の双方がスライド移動可能であったり、位置を調節可能であったりすると、ドライブチェーンを保持する位置が定まりにくくなり、作業者ごとに作業効率や組付精度がばらつく可能性がある。第1保持部材及び第2保持部材の何れか一方の位置を固定することによって、ドライブチェーンを保持する位置が定まるので、作業効率や組付精度のばらつきを抑制することができる。
1 :ドライブチェーン
2 :チェーン本体
3 :内リンク(リンク)
4 :外リンク(リンク)
5 :継手リンク
5a :第1側面
5b :第2側面
10 :リンク組付装置
11 :第1保持部材
12 :第2保持部材
13 :保持部
14 :加圧力受け部
15 :基部
16 :本体部
17 :付勢部材
18 :調節部
19 :被加圧部
21 :第1当接部
22 :第2当接部
23 :当接面
24 :外周当接部
25 :凹部
26 :リンク受け部
27 :マグネット
57 :外周部
58 :凸部
60 :台座
62 :チェーン載置部
64 :チェーン規制部材(規制部)
65 :締結部材
D :径方向距離
G :間隔
G1 :間隔
G2 :間隔
L :延在方向
P :凸部間隔
W :幅方向
X :並び方向

Claims (9)

  1. 動力を伝達するためのドライブチェーンの延在方向に沿って複数のリンクが連結されたチェーン本体を継手リンクにより連結するドライブチェーンのリンク組付装置であって、
    基部と、前記基部に取り付けられる保持部とを備え、
    前記保持部は、第1保持部材及び第2保持部材を有し、前記ドライブチェーンの延在方向に直交する幅方向に沿って前記継手リンクが設置された前記チェーン本体を挟んで保持し、
    前記第1保持部材及び前記第2保持部材の少なくとも一方は、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の並び方向に沿って前記基部に対してスライド移動可能であると共に他方に向かって付勢されており、
    前記第1保持部材は、前記継手リンクの一方の側面である第1側面に当接する第1当接部を備え、
    前記第2保持部材は、前記継手リンクの他方の側面である第2側面に当接する第2当接部と、前記並び方向において前記第2当接部とは反対側の背部に設けられて前記第2側面を前記第1保持部材の方向へ加圧して前記継手リンクを結合させる被加圧部と、を備え、
    前記第1保持部材及び前記第2保持部材の少なくとも一方は、前記並び方向における前記第1当接部と前記第2当接部との間隔を調節する調節部を備える、ドライブチェーンのリンク組付装置。
  2. 前記継手リンクの前記第1側面及び前記第2側面には、前記幅方向において前記リンクを挟んで前記継手リンクの前記第1側面の側と前記第2側面の側とを連結するための一対の連結ピンの端部が突出した一対の凸部が形成されており、
    前記第1当接部及び前記第2当接部は、一対の前記凸部に対応する位置に形成されて前記継手リンクの側面に当接する当接面から引退した一対の凹部を備えている請求項1に記載のドライブチェーンのリンク組付装置。
  3. 一対の前記凸部の前記延在方向の間隔である凸部間隔、及び、前記凸部と前記継手リンクの外周部との距離である径方向距離は、前記ドライブチェーンの種類によって異なり、
    一対の前記凹部は、前記凸部間隔及び前記径方向距離が異なる複数種類の前記ドライブチェーンについての一対の前記凸部の配置領域を含むように、前記並び方向に見て、前記継手リンクの外周部に当接する外周当接部から離れるに従って一対の前記凹部の前記延在方向の間隔が広くなるように配置された一対の長円状に形成されている請求項2に記載のドライブチェーンのリンク組付装置。
  4. 前記第1当接部及び前記第2当接部は、マグネットを備える請求項1から3の何れか一項に記載のドライブチェーンのリンク組付装置。
  5. 前記第1保持部材及び前記第2保持部材の少なくとも一方は、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間で前記ドライブチェーンの前記リンクが当接するリンク受け部を備える請求項1から4の何れか一項に記載のドライブチェーンのリンク組付装置。
  6. さらに、前記基部と前記保持部とを備える本体部を固定する台座を備え、
    前記台座は、前記ドライブチェーンの前記延在方向に沿って、前記第1保持部材及び前記第2保持部材による保持位置に応じた位置で前記ドライブチェーンを載置するチェーン載置部を備える請求項1から5の何れか一項に記載のドライブチェーンのリンク組付装置。
  7. 前記チェーン載置部は、前記延在方向に沿った前記ドライブチェーンの移動を規制する規制部を備える請求項6に記載のドライブチェーンのリンク組付装置。
  8. 前記第1保持部材及び前記第2保持部材の一方は、前記基部に対する位置が固定されている請求項1から7の何れか一項に記載のドライブチェーンのリンク組付装置。
  9. 動力を伝達するためのドライブチェーンの延在方向に沿って複数のリンクが連結されたチェーン本体を継手リンクにより連結するドライブチェーンのリンク組付方法であって、
    基部と、前記基部に取り付けられる保持部とを備え、前記保持部が、第1保持部材及び第2保持部材を有し、前記ドライブチェーンの延在方向に直交する幅方向に沿って前記継手リンクが設置された前記チェーン本体を挟んで保持するリンク組付装置を用い、
    前記第1保持部材及び前記第2保持部材の並び方向における前記第1保持部材と前記第2保持部材との間隔を、前記ドライブチェーンの前記幅方向の長さに応じて調節する第1工程と、
    前記チェーン本体に非結合状態の前記継手リンクを取り付ける第2工程と、
    前記第1保持部材及び前記第2保持部材の並び方向に沿って前記基部に対してスライド移動可能であると共に他方に向かって付勢されている前記第1保持部材及び前記第2保持部材の一方を、付勢方向とは逆方向にスライドさせて、前記継手リンクが取り付けられた前記チェーン本体を前記第1保持部材及び前記第2保持部材の間に配置し、前記付勢方向にスライドさせて、前記第1保持部材に前記継手リンクの一方の側面である第1側面を当接させ、前記第2保持部材に前記継手リンクの他方の側面である第2側面を当接させて、前記継手リンク及び前記チェーン本体を前記リンク組付装置に取り付ける第3工程と、
    前記第2保持部材の、前記第1保持部材と対向する側とは反対側に位置する背部に設けられた被加圧部により前記第2側面を前記第1保持部材の方向へ加圧して前記継手リンクを結合させる第4工程と、
    前記リンク組付装置から前記ドライブチェーンを取り外す第5工程と、を備えるドライブチェーンのリンク組付方法。
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