JP6497193B2 - 媒体処理装置及び媒体取引装置 - Google Patents

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Description

本発明は媒体処理装置及び媒体取引装置に関し、例えば顧客に紙幣等の媒体を投入させて所望の取引を行う現金自動預払機(ATM)に適用して好適なものである。
従来、金融機関等で使用される現金自動預払機等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するものが広く普及している。
現金自動預払機としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金口と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、金種ごとに紙幣を格納する紙幣カセットとを有するものが提案されている。
この現金自動預払機は、入金取引において、顧客が紙幣入出金口に紙幣を投入すると、投入された紙幣を鑑別部で鑑別し、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部へ収納する一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣を紙幣入出金口へ戻して顧客に返却する。続いて現金自動預払機は、顧客により入金金額が確定されると、一時保留部に収納している紙幣を繰り出してその金種を鑑別部により再鑑別し、鑑別された金種に応じて各紙幣カセットへ収納する。
一時保留部としては、例えば回転する円筒状のドラムと、当該ドラムの周側面に一端が固定された長いテープと、このテープが巻回されるリールと、テープを所望の走行経路に沿って走行させる複数のローラ等と、紙幣を搬送路に沿って案内するガイドとを有するものがある。この一時保留部は、ドラムの周側面にテープと共に紙幣を巻き付けることで当該紙幣を収納し、また当該周側面から紙幣を引き剥がして繰り出すようになっている(例えば、特許文献1参照)。
この一時保留部では、リールとドラムとの間でテープに適切な張力を加えることにより、当該テープを複数のローラの間で所望の走行経路に沿って走行させる。これにより一時保留部では、紙幣を搬送路に沿って進行させること、及びドラムの周側面に紙幣を適切に巻き付け、又は引き剥がすことができる。
特開2008−123093公報(第2図)
ところで、かかる構成の一時保留部では、例えば搬送中の紙幣がガイドに引っ掛かる等した場合に、紙幣が搬送路に詰まることがある。このような場合、一時保留部は、保守作業員に保守作業を行わせることにより、詰まった紙幣を搬送路から取り出させる必要がある。
しかしながら一時保留部では、紙幣の長辺を先頭又は末尾として進行させるべく、搬送路を挟んで紙幣を案内するガイド同士の間隔が極めて狭く設定されている。このため一時保留部では、搬送路を挟んで対向する一方のガイドを他方のガイドから引き離すことができれば、保守作業の作業効率を格段に高め得ると考えられる。
また一時保留部では、上述したように複数のローラによりテープを所望の走行経路に沿って走行させており、その一部を搬送路に沿って走行させている。このため、保守作業時には、ガイドと共にテープの一部も搬送路から遠ざけることが望ましい。
しかしながら一時保留部では、例えばガイドと共にローラを移動させてテープの一部を搬送路から遠ざけた場合、テープに加えられる張力が変化することに伴い、テープに対し過大な張力が加えられて損傷するおそれや、テープが弛んでドラムの周側面に紙幣を押さえ付けられなくなるおそれがある。このような場合、テープの補修や交換、或いは紙幣の詰まりの解消といったさらなる保守作業が必要となることもあった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、保守作業の作業効率を高め得る媒体処理装置及び媒体取引装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の媒体処理装置においては、ドラム回転軸を中心として回転可能に構成され、紙葉状の媒体を周側面に巻き付けるドラムと、長手方向の一端が周側面に固定され、ドラムの回転に伴い当該周側面との間に媒体を挟んで巻き付けるテープと、テープを巻き取るリールと、リールから引き出されたテープの進行方向をドラムから離れた箇所において折り曲げ、当該テープを周側面に近接させる第1ローラと、第1ローラにより折り曲げられ周側面に沿って走行したテープを当該周側面から引き離すと共に再度当該周側面に向けて折り返し、当該テープにおける当該折り返された第2部分と第1ローラにより折り返された第1部分との間に媒体を挟んで媒体を周側面との間で搬送させる第2ローラと、媒体をテープの第1部分及び第2部分の間に挟んで搬送する場合に、当該媒体が進行すべき搬送路の当該第1部分側から当該媒体を案内する第1ガイドと、第2ローラを支持すると共に、搬送路の第2ローラ側から媒体を案内する第2ガイドと、第2ガイドを、第1ガイドに近接させた案内位置と当該第1ガイドから引き離した離隔位置との間で移動させると共に、当該第2ガイドが案内位置にある場合及び離隔位置にある場合においてドラム回転軸から第2ローラまでの距離を互いに同等とする第2ガイド支持部とを設けるようにした。
また本発明の媒体取引装置においては、取引すべき紙葉状の媒体を外部から取り込む取込部と、媒体を搬送する搬送部と、ドラム回転軸を中心として回転可能に構成され、搬送部により搬送された媒体を周側面に巻き付けるドラムと、長手方向の一端が周側面に固定され、ドラムの回転に伴い当該周側面との間に媒体を挟んで巻き付けるテープと、テープを巻き取るリールと、リールから引き出されたテープの進行方向をドラムから離れた箇所において折り曲げ、当該テープを周側面に近接させる第1ローラと、第1ローラにより折り曲げられ周側面に沿って走行したテープを当該周側面から引き離すと共に再度当該周側面に向けて折り返し、当該テープにおける当該折り返された第2部分と第1ローラにより折り返された第1部分との間に媒体を挟んで媒体を周側面との間で搬送させる第2ローラと、媒体をテープの第1部分及び第2部分の間に挟んで搬送する場合に、当該媒体が進行すべき搬送路の当該第1部分側から当該媒体を案内する第1ガイドと、第2ローラを支持すると共に、搬送路の第2ローラ側から媒体を案内する第2ガイドと、第2ガイドを、第1ガイドに近接させた案内位置と当該第1ガイドから引き離した離隔位置との間で移動させると共に、当該第2ガイドが案内位置にある場合及び離隔位置にある場合においてドラム回転軸から第2ローラまでの距離を互いに同等とする第2ガイド支持部とを設けるようにした。
本発明は、第1ガイドが案内位置にあるときには、第1ガイドと第2ガイドとの間に搬送路形成し、ドラムを回転させテープを走行させることにより、当該搬送路に沿って紙幣を案内することができる。その一方で本発明は、第1ガイドが離隔位置にあるときには、第2ガイドとの間を広げて保守作業を容易化すると共に、テープの走行路長を案内位置にある場合と同等に維持して、当該テープに対する過大な張力の印加や弛みの発生等を防止できる。
本発明によれば、保守作業の作業効率を高め得る媒体処理装置及び媒体取引装置を実現できる。
現金自動預払機の構成を示す略線的斜視図である。 紙幣入出金機の構成を示す略線図である。 搬送部の構成を示す略線図である。 第1の実施の形態による一時保留部の構成を示す略線的斜視図である。 第1の実施の形態による一時保留部の構成を示す略線図である。 第1の実施の形態においてドラムに紙幣を巻き付けた状態を示す略線図である。 第1の実施の形態において上側ガイド及びトップガイドを回動させた状態を示す略線図である。 一時保留部内における各テープ走行系の配置を示す略線的斜視図である。 各テープ走行系における各テープの走行経路を示す略線図である。 第2の実施の形態による一時保留部の構成を示す略線的斜視図である。 第2の実施の形態による操作ノブの構成を示す略線的斜視図である。 第2の実施の形態による一時保留部の構成を示す略線図である。 第2の実施の形態において上側ガイド及びトップガイドを回動させた状態を示す略線図である。 他の実施の形態による操作ノブの構成を示す略線的斜視図である。
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機及び紙幣入出金機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関の顧客)との間で入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行うようになっている。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、顧客との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客によって入金される紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙により、紙葉状に形成されている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、内部に媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ブロック10Uと、その下側部分を占める下部ブロック10Lとにより構成されている。
上部ブロック10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部11、顧客との間で紙幣を授受する入出金部12、紙幣を各部へ搬送する搬送部13、紙幣を鑑別する鑑別部14及び紙幣を一時的に収納する一時保留部15が設けられている。
紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
入出金部12は、上部ブロック10U内における前上部に位置している。この入出金部12は、利用者から受け取った紙幣及び利用者へ引き渡す紙幣を収容する収容器12Aを内部に有しており、その上方をシャッタ12Bにより開閉し得るようになっている。収容器12A内には、複数の紙幣が紙面を前後方向に向けて集積された状態で収容される。この入出金部12は、収容器12A内の紙幣を1枚ずつに分離して搬送部13に引き渡し、また搬送部13から受け取った紙幣を収容器12A内へ放出して集積させる。
搬送部13は、上部ブロック10U内における下端部分に、すなわち紙幣入出金機10全体における上下のほぼ中央を前後方向に横切るように位置しており、全体的に上下方向に薄く前後方向に細長い形状となっている。この搬送部13内には、紙幣を案内する搬送ガイドや多数の回転するローラ等が適宜配置されており、紙幣の短辺を進行方向に沿わせて、主に前後方向へ搬送させるような直線状の搬送路が形成されている。
搬送部13は、図3に拡大図を示すように、大きく分けて、中央付近に配置された一時保留切替部20と、当該一時保留切替部20の前側及び後側にそれぞれ配置された前搬送部21及び後搬送部22により構成されている。一時保留切替部20は、紙幣制御部11の制御に基づき、前搬送部21、後搬送部22及び一時保留部15の間で紙幣を搬送するよう、紙幣の搬送経路を切り替える。
また搬送部13内には、一時保留切替部20の他に複数の切替部が配置されている。各切替部は、回動可能なブレード(図中に三角形で示す)及びその周囲に配置された回転可能な複数のローラ(図中に円で示す)により構成されている。この切替部は、紙幣制御部11の制御に従い、各紙幣の搬送先に応じてブレードの傾斜方向を変化させると共に各ローラを所定の回転方向へ回転させることにより、紙幣の搬送方向を適宜切り替えて所望の搬送先へ搬送する。
前搬送部21内には、前方から順に、リジェクト切替部24、鑑別部14及び切替部25が直列に配置されると共に、これらの間が比較的短い搬送短路によりそれぞれ接続されており、全体として前後方向に沿った概ね直線状の前搬送路21Yが形成されている。リジェクト切替部24及び切替部25は、それぞれ紙幣制御部11の制御に基づき、紙幣の搬送経路を適宜切り替えるようになっている。
後搬送部22内には、後方から順に、切替部27、28及び29がほぼ直列に配置されており、前搬送部21と同様、これらの間が比較的短い搬送短路によりそれぞれ接続されることで、全体として前後方向に沿った概ね直線状の後搬送路22Yが形成されている。切替部27〜29は、それぞれ紙幣制御部11の制御に基づき、紙幣の搬送経路を適宜切り替えるようになっている。また前搬送部21及び後搬送部22は、それぞれ搬送路中に数枚程度の紙幣を貯留し得るようになっている。
鑑別部14は、前搬送部21内に組み込まれており、紙幣の搬送経路上で入出金部12と一時保留切替部20との間に位置している。この鑑別部14は、内部に厚みセンサ、イメージセンサ及び磁気センサといった複数種類のセンサが組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を認識し、その認識結果を紙幣制御部11へ送出する。
一時保留部15(図2)は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出す(詳しくは後述する)。
下部ブロック10Lは、その全ての周側面が頑強な金庫筐体10Sにより覆われている。この金庫筐体10Sの内部には、後側から前側へ向けて、5個の紙幣収納庫16(16A、16B、16C、16D及び16E)並びにリジェクト庫17が設けられている。因みに紙幣収納庫16及びリジェクト庫17は、金庫筐体10Sに対し着脱可能に構成されている。
各紙幣収納庫16は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。また各紙幣収納庫16は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫16は、鑑別部14及び紙幣制御部11により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて搬送部13により搬送されてくると、当該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣収納庫16は、紙幣制御部11から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に引き渡す。
リジェクト庫17は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。このリジェクト庫17は、鑑別部14及び紙幣制御部11により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判断された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)が搬送部13により搬送されてくると、当該紙幣を内部に収納する。
[1−2.紙幣の搬送]
次に、現金自動預払機1により利用者(金融機関の顧客)との間で入金取引及び出金取引が行われる場合における、紙幣入出金機10内での入金処理及び出金処理について説明する。このうち入金処理については、前段の入金計数処理と、後段の入金収納処理に分けて説明する。
[1−2−1.入金計数処理]
紙幣入出金機10は、入金処理において、紙幣制御部11の制御に基づき、先に入金された紙幣の金種等を鑑別しながら枚数を計数する入金計数処理を行い、次に紙幣を適切な収納箇所へ搬送して収納する入金収納処理を行うようになっている。
具体的に紙幣制御部11は、例えば顧客により操作表示部6(図1)を介して入金処理を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始し、入出金部12のシャッタ12Bを開いて収容器12A内へ紙幣を投入させる。次に紙幣制御部11は、操作表示部6を介して紙幣の取り込みを開始する操作入力を受け付けると、シャッタ12Bを閉じて収容器12A内の紙幣を1枚ずつに分離して取り込み、搬送部13へ順次引き渡す。
搬送部13は、入出金部12から受け取った紙幣をリジェクト切替部24及び前搬送部21により後方へ順次搬送し、前搬送路21Yに沿って後方へ進行させながら、鑑別部14により各紙幣を順次鑑別し、後側の一時保留切替部20へ順次引き渡す。このとき鑑別部14は、得られた鑑別結果を紙幣制御部11へ送出する。
紙幣制御部11は、取得した鑑別結果を基に、各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部11は、各紙幣について、正常な紙幣として認識できた場合は以降の処理を継続できる入金受入紙幣であると判断し、正常な紙幣として認識できない場合は、一度顧客に返却すべき入金リジェクト紙幣であると判断する。さらに紙幣制御部11は、入金受入紙幣について、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫16を、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクト庫17を、それぞれ最終的な搬送先として決定する。
続いて紙幣制御部11は、前搬送部21から一時保留切替部20へ引き渡される紙幣の判断結果に応じて、一時保留切替部20による紙幣の搬送先を切り替える。これにより一時保留切替部20は、紙幣が入金受入紙幣であれば、一時保留部15へ搬送して収納させる。また一時保留切替部20は、紙幣が入金リジェクト紙幣であれば、後搬送部22内へ進行させて後搬送路22Y内に貯留させる。
やがて紙幣制御部11は、入出金部12の収容器12Aから全ての紙幣を取り込み終えると、後搬送部22の後搬送路22Y内に入金リジェクト紙幣が貯留されていれば、これを顧客に返却する。これにより紙幣制御部11は、紙幣を前搬送部21経由で入出金部12へ搬送して顧客に返却し、紙幣の状態を確認させ、必要に応じて再投入させる。
一方、紙幣制御部11は、後搬送部22の後搬送路22Y内に入金リジェクト紙幣が貯留されていなければ、入金計数処理を完了する。このとき紙幣制御部11は、入出金部12から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部6に表示し、この入金額を顧客に提示すると共に入金処理を継続するか否かを顧客に選択させる。
ここで紙幣制御部11は、顧客により入金処理の中止が指示された場合、一時保留部15に保留している全ての紙幣を搬送部13により入出金部12へ搬送して収容器12A内に収納させ、その後シャッタ12Bを開放することにより顧客に返却する。
このように紙幣入出金機10は、入金計数処理において、顧客から入金された紙幣を一時保留部15内に収納するようになっている。
[1−2−2.入金収納処理]
紙幣制御部11は、顧客により入金処理の継続が指示された場合、入金収納処理を開始する。具体的に紙幣制御部11は、まず一時保留部15において操出処理を開始し、収納している紙幣(入金受入紙幣)を順次繰り出し、一時保留切替部20へ受け渡す。
このとき紙幣制御部11は、入金計数処理において決定された紙幣毎の搬送先に応じて、一時保留切替部20による紙幣の搬送経路を切り替える。具体的に一時保留切替部20は、紙幣の搬送先がリジェクト庫17又は紙幣収納庫16Eであれば、当該紙幣を下流の前搬送部21へ受け渡す。また一時保留切替部20は、紙幣の搬送先が紙幣収納庫16A〜16Dであれば、当該紙幣を下流の後搬送部22へ受け渡す。
さらに紙幣制御部11は、各紙幣の搬送先に応じて前搬送部21及び後搬送部22の各切替部を適宜制御することにより、当該紙幣を当該搬送先に搬送してそれぞれ収納させる。これにより紙幣制御部11は、再利用すべき通常の紙幣を金種ごとに分類して各紙幣収納庫16に収納でき、また再利用すべきで無いリジェクト紙幣をリジェクト庫17に収納できる。
このように紙幣入出金機10は、入金収納処理において、一時保留部15に収納していた紙幣を紙幣収納庫16又はリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
[1−2−3.出金処理]
紙幣入出金機10は、出金処理において、紙幣制御部11の制御に基づき、指定された金額に応じた金種及び枚数の紙幣を出金する出金処理を行うようになっている。以下では、紙幣収納庫16A〜16Dに収納されている紙幣を出金する場合を例に説明する。
紙幣制御部11は、顧客から操作表示部6(図1)を介して出金額を含む所定の操作入力を受け付け、出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定する。続いて紙幣制御部11は、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫16内に収納されている紙幣を順次繰り出し、搬送部13に順次受け渡す。
搬送部13は、前搬送部21内を前方へ向けて進行する紙幣の走行状態を鑑別部14により鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部11(図2)へ送出する。紙幣制御部11は、紙幣の走行状態に応じてリジェクト切替部24を切り替え、当該走行状態に問題が無ければ入出金部12へ進行させ、例えば重送のように搬送状態に問題があればリジェクト庫17へ進行させて、それぞれ紙幣を収納させる。やがて紙幣制御部11は、出金額に応じた全ての紙幣を入出金部12の収容器12A内に放出し終えると、シャッタ12Bを開放させて顧客に当該紙幣を取り出させる。
[1−3.一時保留部の構成]
次に、一時保留部15の構成について説明する。図4に斜視図を示すと共に図5に左側面図を示すように、一時保留部15は、フレーム30により外側が覆われ、その内部に各部品が取り付けられた構成となっている。因みに図5は、一時保留部15を模式的に表しており、説明の都合上、一部の部品を透過させ、若しくは省略している。
フレーム30は、全体として中空の直方体状に形成されており、その前側に、当該フレーム30の前面におけるほぼ全範囲に渡り前孔部30HFが形成されている。またフレーム30の左側面30Lにおける前後左右のほぼ中央には、比較的大きな丸孔でなる操作孔部30HLが形成されている。この操作孔部30HL内には、操作ノブ31が組み込まれている。
操作ノブ31は、全体として円板状に形成されており、その左側面をフレーム30の左側面30Lよりも奥側(すなわち右側)に位置させている。操作ノブ31の左側面は、外周部分を残してその内側が右方向へ掘り込まれている。また操作ノブ31の左側面における内側部分には、外周部と同じ高さまで隆起した隆起部31Aが直径方向に沿うように形成されている。
[1−3−1.ドラム及びガイドの構成]
フレーム30内の中央付近には、中心軸を左右方向に向けた円筒状のドラム32(図5)が設けられている。ドラム32は、図示しないモータからの駆動力が伝達されることにより、左右方向に沿ったドラム回転軸32Xを回転中心として、図中の時計回りとなる矢印R1方向又はその反対回りとなる矢印R2方向へ回転する。因みにドラム回転軸32Xは、図示しない支持部材によりフレーム30に対し回転可能に支持されている。
またドラム32は、後述するように、その周側面32Sに紙幣BLが巻き付けられると、図5と一部対応する図6に斜線で示すように、当該周側面32Sの外側に巻付層32Wが形成される。このときドラム32は、紙幣BLが巻き付いていない状態(図5)と比較して、見かけ上の半径、すなわち巻き付けられた紙幣を含めた半径が拡大されている。以下では、ドラム32における見かけ上の周側面、すなわち巻き付けられた紙幣の最外周面を巻付周側面32WSと呼ぶ。因みにドラム32では、周側面32Sに紙幣BLが巻き付けられていない場合、巻付周側面32WSが周側面32Sと一致することになる。
またドラム32は、図示しないギヤ等により、操作ノブ31(図4)と連動するようになっている。このため一時保留部15では、例えば保守作業が行われる場合に、保守作業員の手作業によって操作ノブ31が回転されると、ドラム32を手動で回転させることができる。
フレーム30内におけるドラム32の周囲には、紙幣を案内する4種類のガイドとして、固定ガイド33、可動ガイド34、上側ガイド35及びトップガイド36が設けられている。
第1ガイドとしての固定ガイド33は、ドラム32の前下側に位置しており、フレーム30に固定されている。固定ガイド33の上側には、紙幣を案内する下搬送ガイド面33Sが形成されている。下搬送ガイド面33Sは、前後方向に沿ってほぼ平坦な平面状に形成されており、前端及び後端の近傍にそれぞれ斜め下方へ傾斜する傾斜面が形成されている。因みに固定ガイド33は、フレーム30以外の部品、例えば搬送部13を構成する部品に固定されていても良く、或いは当該搬送部13において紙幣を案内する搬送ガイド等の他の部品と一体に構成されていても良い。
第3ガイドとしての可動ガイド34は、ドラム32の下側における固定ガイド33の後側に位置している。この可動ガイド34は、全体としてドラム32の周側面32Sとほぼ対向する円弧状に形成されており、ドラム32側を向いた平面及び曲面によりガイド面34Sを形成している。
また可動ガイド34は、紙幣を進行させるための搬送ローラ41、後述するテープを走行させる第1ローラとしてのテープローラ42、及びドラム32の巻付周側面32WSと当接するドラム当接ローラ43を有している。搬送ローラ41、テープローラ42及びドラム当接ローラ43は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた小さな円柱状に形成され、可動ガイド34により回転可能に支持されている。搬送ローラ41は、図示しないモータから駆動力が伝達されることにより、矢印R1方向又はその反対の矢印R2方向へ回転するようになっている。テープローラ42及びドラム当接ローラ43は、当接する他の部材から駆動力が伝達されることにより、円滑に回転するようになっている。
さらに可動ガイド34は、固定ガイド33により回動軸45を介して回動可能に支持されており、ガイド面34Sを固定ガイド33の下搬送ガイド面33Sとほぼ連接させている。このため可動ガイド34は、回動軸45を回動中心として、矢印S1方向又は矢印S2方向へ回動することができる。これに加えて可動ガイド34は、図示しないスプリングにより、矢印S1方向へ付勢されている。このため可動ガイド34は、このスプリングの作用により矢印S1方向へ付勢され、ドラム当接ローラ43をドラム32の巻付周側面32WSに対し常に当接させる。
すなわち可動ガイド34は、ドラム32の周側面32Sに紙幣が巻き付けられていない場合には、図5に示したように、最も矢印S1方向へ回動する。また可動ガイド34は、ドラム32の周側面32Sに紙幣が巻き付けられ、見かけ上の半径が増加するに連れて、図6に示したように、矢印S2方向へ回動していく。これを換言すれば、可動ガイド34は、ドラム32における見かけ上の半径の変化に追従するようにして、矢印S1方向又は矢印S2方向へ回動するようになっている。
第2ガイドとしての上側ガイド35は、固定ガイド33の上側に位置しており、大きく分けて搬送案内部51、巻付紙幣案内部52及び側板部53により構成されている。搬送案内部51は、前後方向に沿った板状に形成されており、その下面に紙幣を案内する上搬送ガイド面51Sが形成されている。上搬送ガイド面51Sは、下搬送ガイド面33Sと対向するほぼ平坦な平面状に形成されており、前端及び後端の近傍にそれぞれ斜め上方へ傾斜する傾斜面が形成されている。
この上側ガイド35は、固定ガイド33の下搬送ガイド面33Sと上搬送ガイド面51Sとの間が比較的狭い隙間(例えば5mm程度)となるように調整されている。このため一時保留部15は、下搬送ガイド面33S及び上搬送ガイド面51Sの間に、ほぼ前後方向に沿って紙幣BLを搬送させるための搬送路15Yを形成することができる。
巻付紙幣案内部52は、概ね上下方向に沿った板状に形成されており、その下端を搬送案内部51の後端と接続させている。巻付紙幣案内部52の後面である巻付ガイド面52Sは、ドラム32のドラム回転軸32Xを中心とした円弧状に湾曲されている。巻付ガイド面52Sは、ドラム32の周側面32Sに巻き付けることができる最大数(例えば200枚)の紙幣BLが巻き付けられた状態(図6)において、巻付周側面32WSとの間に十分な隙間を形成し得るよう、その位置が適切に調整されている。
側板部53は、搬送案内部51及び巻付紙幣案内部52における左右の両端に設けられており、その一部を搬送案内部51の上側及び巻付紙幣案内部52の前側に延長させている。各側板部53における上端近傍には、連動孔53Hが形成されている。この連動孔53Hは、側板部53を左右方向に貫通する長孔となっており、後上側と前下側とを結ぶ斜め方向に沿って形成されている。
また上側ガイド35には、紙幣を搬送するための搬送ローラ55及び後述するテープを走行させるためのテープローラ56が設けられている。搬送ローラ55は、中心軸を左右方向に沿わせた小さな円柱状に形成されており、搬送路15Y上において、その下端近傍を搬送ローラ41の上端近傍と当接させている。また搬送ローラ55は、図示しない揺動部材により、上下方向へ揺動し得るように構成されると共に、下方へ向けて付勢されている。
このため搬送ローラ55は、搬送路15Y上に紙幣BLが搬送されてきた場合、搬送ローラ41との間に当該紙幣BLを挟み、当該搬送ローラ41の回転駆動力を当該紙幣BLに伝達することにより、当該紙幣BLを前方向又は後方向へ進行させること、すなわち搬送路15Yに沿って搬送することができる。
第2ローラとしてのテープローラ56は、中心軸を左右方向に沿わせた小さな円柱状に形成されており、上側ガイド35により自在に回転し得るように支持されている。このテープローラ56は、当接する他の部材から駆動力が伝達されることにより、円滑に回転する。
さらに上側ガイド35は、左右の側板部53における後端近傍からドラム32のドラム回転軸32Xへ向けて、支持腕部57がそれぞれ延接されている。支持腕部57は、左右方向に薄い板状でなり、左右方向から見てドラム回転軸32Xを中心とする扇形状に形成されている。この支持腕部57は、後端近傍に穿設された孔部57Hにドラム回転軸32Xを挿通させており、当該ドラム回転軸32Xを中心として、上側ガイド35全体を矢印R1方向又は矢印R2方向へ回動させることができる。
かかる構成により上側ガイド35は、最も矢印R1方向へ回動した場合に、図5に示したように上搬送ガイド面51Sを下搬送ガイド面33Sに近接させて上下に狭い搬送路15Yを形成すると共に、当該搬送路15Yに沿って紙幣BLを進行させるよう案内する。以下、このときの上側ガイド35の位置を案内位置と呼ぶ。
その一方で上側ガイド35は、矢印R2方向へ回動した場合、図5と対応する図7に示すように、上搬送ガイド面51Sを下搬送ガイド面33Sから大きく引き離すことができる。以下、このような上側ガイド35の位置を離隔位置と呼ぶ。因みに上側ガイド35は、図示しない係合機構により案内位置に固定されており、その係合が解除されると、この案内位置からの回動が可能となる。
第4ガイドとしてのトップガイド36(図5)は、全体としてドラム回転軸32Xを中心とした円筒状の部材における上半分のような形状となっており、ドラム32の後側から上側を経て前側に至る広い範囲において、当該ドラム32を覆うように配置されている。すなわちトップガイド36は、ドラム32の巻付周側面32WSのうち、可動ガイド34及び上側ガイド35により覆われていない部分(以下これをガイド残部とも呼ぶ)を覆っている。またトップガイド36は、その内周面、すなわちドラム32の巻付周側面32WSと対向する面である巻付ガイド面36Sを、上側ガイド35の巻付ガイド面52Sとほぼ連続させるよう、その位置や形状が調整されている。
トップガイド36の後端近傍には、左右方向に沿った回動軸61が設けられている。この回動軸61は、フレーム30により回動可能に支持されている。これによりトップガイド36は、回動軸61を回動中心として、矢印T1方向又はその反対の矢印T2方向へ回動することができる。
例えばトップガイド36は、最も矢印T1方向へ回動した場合に、図5に示したように、巻付ガイド面36Sにおける円弧の中心をドラム回転軸32Xに合わせてドラム32の巻付周側面32WSとの間に比較的狭い隙間を形成する。このときトップガイド36は、巻付ガイド面36Sの前端と上側ガイド35における巻付ガイド面52Sの上端とをほぼ連続させ、また当該巻付ガイド面36Sの後端近傍と可動ガイド34におけるガイド面34Sの上端近傍とを交差させる。これによりトップガイド36は、ドラム32の上側約半分の範囲(すなわちガイド残部)を、巻付周側面32WSに沿うようにして覆うことができる。以下、このときのトップガイド36の状態を閉塞状態と呼ぶ。
因みに可動ガイド34は、ドラム32における見かけ上の半径の変化に応じて回動した場合にも、ガイド面34Sをトップガイド36の巻付ガイド面36Sと交差した状態を維持するように設計されている(図5及び図6)。
一方、トップガイド36は、閉塞状態から矢印T2方向へ回動されると、図7に示したように、ドラム32の巻付周側面32WSと巻付ガイド面36Sとの間隔を大きく広げ、当該ドラム32の上側部分(すなわちガイド残部)を開放させることができる。以下、このときのトップガイド36の状態を開放状態と呼ぶ。
さらにトップガイド36の前端近傍には、左右の両側面から左右の外方へ向けて、細長い円柱状でなる連動軸62がそれぞれ立設されている。連動軸62は、上側ガイド35における左右の側板部53に形成された連動孔53Hにそれぞれ挿通されている。
これにより一時保留部15では、上側ガイド35の回動動作とトップガイド36の回動動作とを互いに連動させることができる。すなわち一時保留部15は、図5に示したように、上側ガイド35が案内位置にある時、トップガイド36を閉塞状態とする。また一時保留部15は、図7に示したように、上側ガイド35が案内位置から矢印R2方向へ回動され離隔位置に到達すると、トップガイド36を閉塞状態から矢印T2方向へ回動させて開放状態に遷移させる。
因みに固定ガイド33及び可動ガイド34の接続部分、可動ガイド34及びトップガイド36の接続部分、並びにトップガイド36及び上側ガイド35の接続部分には、それぞれ左右方向に沿って櫛歯状に切り欠かれた噛合部が形成されている。各接続部分では、それぞれの噛合部を互いに噛み合わせることにより、紙幣BLが進行する方向に沿って連続的に接続された案内面を形成でき、当該紙幣BLを円滑に案内することができる。また各ガイドには、各ローラや後述するテープとの干渉を回避するための切欠や孔部が適宜形成されている。
このように一時保留部15では、ドラム32の周囲を囲むように4種類のガイド(固定ガイド33、可動ガイド34、上側ガイド35及びトップガイド36)を配置し、さらに
上側ガイド35及びトップガイド36を互いに連動させながら、それぞれ回動させ得るようになっている。
[1−3−2.テープ走行系の構成]
ところで一時保留部15の内部には、図8に模式的な斜視図を示すように、左右方向のほぼ中央に1系統の主テープ走行系70が設けられ、その左右両外側に補助テープ走行系80がそれぞれ設けられている。
図9(A)に模式的な側面図を示すように、主テープ走行系70では、ドラム32の後下側に配置されたリール71と当該ドラム32との間で、英文字の「S」を描くように主テープ72(図中に実線で示す)を走行させるようになっている。
リール71は、いわゆる糸巻き状に構成され、その中心軸を左右方向に沿わせている。リール71の周側面には、主テープ72の一端が固定された上で、当該主テープ72が巻回されている。因みに主テープ72における他端は、ドラム32の周側面32Sに固定されている。
またリール71は、図示しないモータから駆動力が伝達されることにより主テープ72を巻き取る方向に回転し、或いは当該主テープ72が引き出されることに伴ってその反対方向に回転する。因みに、保守作業員等の操作ノブ31を介した操作によりドラム32が回転される場合、リール71は、図示しないギヤ等により当該操作ノブ31からの駆動力が伝達されて回転する。
主テープ72は、例えば柔らかく透明度の高い樹脂材料でなり、細長く薄いフィルム状に形成されている。この主テープ72は、図9(A)に実線で示すように、リール71から前斜め下方へ引き出されると、ローラ73に当接して前方へ進行し、続くローラ74により後ろ斜め上方へ折り返され、さらにテープローラ42により進行方向が後方へ折り曲げられて、ドラム32の巻付周側面32WSに到達する。このとき主テープ72は、テープローラ42に当接してから巻付周側面32WSに到達するまでの間、搬送路15Yの僅かに下側を、概ね当該搬送路15Yに沿って進行する。以下、主テープ72におけるこの部分を下搬送部分72CLと呼ぶ。
さらに主テープ72は、巻付周側面32WSに沿ってドラム32の周囲を約3/4周した段階で、当該巻付周側面32WSから一度引き離されて前下方へ向かい、テープローラ56により後方へ折り返され、再び巻付周側面32WSに到達してドラム32に巻き付けられる。このとき主テープ72は、テープローラ56により折り返されてから巻付周側面32WSに到達するまでの間、搬送路15Yの僅かに上側を、概ね当該搬送路15Yに沿って進行する。以下、主テープ72におけるこの部分のうち、主に下搬送部分72CLと対向する部分を上搬送部分72CUと呼ぶ。
このように主テープ走行系70では、主テープ72が巻付周側面32WSに到達する箇所の近傍において、上搬送部分72CU及び下搬送部分72CLにより搬送路15Yを上下から挟むようにして、当該搬送路15Yに沿って主テープ72を進行させるようになっている。
図9(A)と対応する図9(B)に示すように、補助テープ走行系80は、主テープ走行系70と一部異なる走行経路に沿って、リール81から引き出された補助テープ82(図中に実線で示す)を走行させるようになっている。因みに補助テープ82の他端は、主テープ72と同様、ドラム32の周側面32Sに固定されている。
リール81は、リール71と同様、中心軸を左右方向に沿わせた糸巻き状に構成されており、その周側面に補助テープ82の一端が固定された上で、当該補助テープ82が巻回されている。因みにリール81は、リール71の左側又は右側に配置されている。また、保守作業員等の操作ノブ31を介した操作によりドラム32が回転される場合、リール81は、リール71と同様に、図示しないギヤ等により当該操作ノブ31からの駆動力が伝達されて回転する。
補助テープ82は、主テープ72と同様、例えば柔らかく透明度の高い樹脂材料でなり、細長く薄いフィルム状に形成されている。この補助テープ82は、主テープ72(図中に破線で示す)と同様、リール81から前斜め下方へ引き出されると、ローラ83に当接して前方へ進行し、続くローラ84により後ろ斜め上方へ折り返される。続いて補助テープ82は、テープローラ42により進行方向が後方へ折り曲げられ、搬送路15Yの後端近傍においてドラム32の巻付周側面32WSに到達する。ここで補助テープ82は、主テープ72の場合とは異なり、そのままドラム32に巻き付けられる。
このように補助テープ走行系80では、搬送路15Yの後端近傍に補助テープ82を近接させ、当該補助テープ82をそのまま巻付周側面32WSに巻き付けるようになっている。
[1−3−3.紙幣の収納及び繰出]
一時保留部15(図5)は、紙幣BLを収納する場合、まず紙幣制御部11(図2)の制御に基づき、ドラム32を矢印R1方向へ回転させることにより主テープ72及び補助テープ82を走行させると共に、搬送ローラ41を矢印R2方向へ回転させる。
一時保留部15は、搬送部13の一時保留切替部20(図3)から紙幣BLが受け渡されると、上側ガイド35の上搬送ガイド面51Sと固定ガイド33の下搬送ガイド面33S(図5)との間で、搬送路15Yに沿って紙幣BLを後方へ進行させる。このとき一時保留部15は、回転する搬送ローラ41及び搬送ローラ55によって紙幣BLを上下から挟持することにより、当該紙幣BLをさらに後方へ進行させる。
やがて一時保留部15は、後方へ走行する主テープ72の上搬送部分72CU及び下搬送部分72CLにより紙幣BLを上下から挟み込み、この状態のまま後方へ進行させる(図9)。これにより一時保留部15は、2周分の主テープ72、すなわち第2部分としての上搬送部分72CU及び第1部分としての下搬送部分72CLと共に、紙幣BLをドラム32の巻付周側面32WSに巻き付けることができる。
さらに一時保留部15は、主テープ72の左右両側において補助テープ82(図8)により紙幣BLを巻付周側面32WSに巻き付け、当該紙幣BLにおける左右の両側部分を当該巻付周側面32WSに押さえ付ける。これにより一時保留部15は、ドラム32の巻付周側面32WSに紙幣BLを巻き付け、当該紙幣BLを収納することができる。
また一時保留部15は、紙幣BLを繰り出す場合、まず紙幣制御部11(図2)の制御に基づき、リール71及び81を矢印R2方向へ回転させると共にドラム32を矢印R2方向へ回転させることにより、主テープ72及び補助テープ82を収納時と反対方向へ走行させると共に、搬送ローラ41を矢印R1方向へ回転させる。
このとき一時保留部15は、前方へ走行する主テープ72の上搬送部分72CU及び下搬送部分72CLにより紙幣BLを上下から挟み込んだ状態のまま、当該紙幣BLをドラム32の巻付周側面32WSから引き剥がし、搬送路15Yに沿って前方へ進行させていく。
続いて一時保留部15は、回転する搬送ローラ41及び搬送ローラ55によって紙幣BLを上下から挟持することにより、当該紙幣BLを上搬送ガイド面51Sと下搬送ガイド面33Sとの間でさらに前方へ進行させ、やがて搬送部13の一時保留切替部20(図3)へ紙幣BLを引き渡す。これにより一時保留部15は、ドラム32の巻付周側面32WSから紙幣BLを引き剥がして繰り出すことができる。
[1−4.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による一時保留部15は、上側ガイド35を矢印R1方向又は矢印R2方向へ回動させることにより、案内位置(図5)又は離隔位置(図7)へ移動させることができる。
すなわち一時保留部15は、紙幣の収納や繰出を行う場合には、上側ガイド35を案内位置(図5)に位置させることにより、搬送される紙幣BLの上面側を上搬送ガイド面51Sにより案内し、搬送路15Yに沿って前方向又は後方向へ進行させることができる。また一時保留部15は、例えば保守作業が行われる場合等には、上側ガイド35を離隔位置(図7)へ移動させることにより、当該上側ガイド35の上搬送ガイド面51Sと固定ガイド33の下搬送ガイド面33Sとの間隔を大きく引き離すことができる。
特に一時保留部15では、ドラム32から引き剥がされた紙幣BLに切れ目が入っている場合や折り癖を有している場合等に、当該紙幣BLが上搬送ガイド面51S及び下搬送ガイド面33Sの隙間に入ろうとする段階で、詰まりが発生する可能性がある。この点において一時保留部15では、保守作業時に上搬送ガイド面51S及び下搬送ガイド面33Sの隙間を大きく広げることにより、保守作業員に対し、詰まった紙幣BLを容易に取り出させることができる。
また一時保留部15は、ドラム32の巻付周側面32WSに巻き付けられた主テープ72を、当該巻付周側面32WSの前側部分から一度引き離し、テープローラ56により折り返して再び当該巻付周側面32WSの下側部分に近接させるよう走行させるようにした(図9(A))。これにより一時保留部15は、紙幣BLを主テープ72の上搬送部分72CU及び下搬送部分72CLにより上下から挟んだ状態のまま、ドラム32に対し安定的に巻き付け、また引き剥がすことができる。
そのうえ一時保留部15は、テープローラ56を支持する上側ガイド35に支持腕部57を設け、ドラム32の回転中心であるドラム回転軸32Xを回動中心として当該上側ガイド35を回動させるようにした(図5及び図7)。このため一時保留部15は、上側ガイド35が案内位置及び離隔位置の間で回動したときに、何れの位置においても、ドラム回転軸32Xとテープローラ56との距離を常に一定に保ち、巻付周側面32WSから当該テープローラ56までの距離も常に一定に保つ。
これにより一時保留部15は、主テープ72の走行経路長を常にほぼ一定に保つことができ、ドラム32及びリール71等が静止した状態であっても、ほぼ一定の張力が加えられた状態を保つことができる。この結果、一時保留部15は、主テープ72に過大な張力を印加して損傷させることや、主テープ72をドラム32に巻き付けられている部分まで弛ませ、巻付周側面32WSから紙幣BLを浮き上がらせることや、上搬送部分72CU及び下搬送部分72CLにより当該紙幣BLを適切に挟持できなくなること等を、未然に回避できる。
また一時保留部15は、回動軸61を回動中心としてトップガイド36を回動可能に構成した(図5及び図7)。一時保留部15は、当該トップガイド36が閉塞状態であるときには、ドラム32の上側半分を覆い、前端近傍において巻付ガイド面36Sと上側ガイド35の巻付ガイド面52Sとをほぼ連続させ、後端近傍において巻付ガイド面36Sと可動ガイド34におけるガイド面34Sの後端近傍とを交差させる。これにより一時保留部15は、可動ガイド34の後端から上側ガイド35の上端までの範囲において、当該ドラム32に巻き付けられた紙幣BLを連続的に保護及び案内することができる。
また一時保留部15は、回動軸61をドラム32のドラム回転軸32Xと異なる位置に形成したため、トップガイド36が開放状態(図7)であるときに、巻付ガイド面36Sのうち特に前寄りの部分をドラム32の巻付周側面32WSから大きく引き離すことができる。これにより一時保留部15は、ドラム回転軸32Xを回動中心として巻付周側面32WSからの距離を保ったまま回動する上側ガイド35と、トップガイド36との干渉を回避することができる。換言すれば、一時保留部15は、トップガイド36を開放状態としたときにその前端近傍を巻付周側面32WSから引き離し、上側ガイド35の回動軌跡から外すようにしたため、ドラム回転軸32Xからの距離を保ったまま当該上側ガイド35を矢印R2方向へ回動させることができる。
さらに一時保留部15は、トップガイド36の前端近傍に設けた連動軸62を、上側ガイド35の側板部53に形成した連動孔53Hに挿通することにより、トップガイド36及び上側ガイド35を互いに連動させるようにした。具体的に一時保留部15は、上側ガイド35を案内位置に位置させる場合にはトップガイド36を閉塞状態とすることができ、上側ガイド35を回動させて離隔位置へ移動させた場合にはトップガイド36を開放状態とすることができる。これにより一時保留部15は、保守作業員に上側ガイド35及びトップガイド36の何れか一方のみを回動するよう操作させるだけで、他方も回動させることができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による一時保留部15は、搬送路15Yを挟んで下搬送ガイド面33Sと対向する上搬送ガイド面51Sを有すると共に、主テープ72を折り返すためのテープローラ56を支持する上側ガイド35を、ドラム回転軸32Xを中心として回動させるようにした。これにより一時保留部15は、主テープ72に加えられる張力をほぼ一定に保ったまま、上側ガイド35が案内位置であるときには搬送路15Yに沿って紙幣BLを適切に搬送でき、離隔位置であるときには上搬送ガイド面51Sと下搬送ガイド面33Sとの間隔を広げて保守作業の効率を高めることができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機110(図2)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、一時保留部15に代わる一時保留部115を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
一時保留部115は、図4と対応する図10に示すように、フレーム30に代わるフレーム130を中心に構成されている。フレーム130は、概ねフレーム30と同様に構成されており、前孔部30HF及び操作孔部30HLが形成されている。これに加えてフレーム130の左側面30Lには、操作孔部30HLを閉塞する操作ノブカバー171が設けられると共に、細長い円柱状でなるカバー回動軸130Pが立設され、さらに円弧状に湾曲された長孔である挿通孔130HL2が穿設されている。
操作孔部30HL内には、図11に示すように、第1の実施の形態における操作ノブ31(図4)に代わる操作ノブ131が設けられている。操作ノブ131は、中心軸を左右方向に沿わせた薄い円板状でなる板状部131Bと、当該板状部131Bの左側面に設けられた操作つまみ131Mとにより構成されている。
操作子としての操作つまみ131Mは、板状部131Bの左側面における最外周よりもやや内側に、すなわち板状部131Bにおける円の中心から離れた位置に、左方向へ向けて立設されている。また操作つまみ131Mは、中心軸を左右方向に向けた細い円柱状に形成されている。換言すれば、操作つまみ131Mは、その中心軸を基準とした回転対称であり、中心軸を基準に回転させた場合にもその形状が変化しない。このため操作つまみ131Mは、操作ノブ131の回転により操作孔部30HL内における位置が変化したとしても、外形を変化させないことになる。
また操作つまみ131Mの左端は、フレーム30の左側面30Lよりも右側に位置しており、操作孔部30HL内に収まっている。因みに操作つまみ131Mにおける直径及び左右方向の長さは、例えば保守作業員の指先でつまみ得る程度の大きさとなっている。操作ノブ131は、この操作つまみ131Mを介して保守作業員により回転されると、図示しないギヤ等を介して駆動力を伝達し、ドラム32並びにリール71及び81をそれぞれ所定の方向へ回転させる。
また一時保留部115は、図5と対応する図12に示すように、トップガイド36(図5)に代わるトップガイド136を有している。トップガイド136は、トップガイド36と比較して、左側面にカバー連動軸163が立設されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
カバー連動軸163は、中心軸を左右方向に向けた細長い円柱状に形成され、フレーム130の挿通孔130HL2(図10)に挿通されることにより、その左端を当該フレーム130の左側面30Lよりも左側(すなわち外側)へ突出させている。このカバー連動軸163は、トップガイド136が回動軸61を中心として回動される場合に、当該トップガイド136と一体に回動することにより、挿通孔130HL2(図10)内を円弧状に移動することになる。
操作ノブカバー171(図12)は、左右方向に薄い板状に形成されており、全体として円及び台形を接合させたような形状となっている。このうち円状の部分は、その直径が操作孔部30HL(図10)よりも大きくなっており、当該操作孔部30HL及び操作ノブ131を覆うことができる(図11)。また台形状の部分には、丸孔でなる軸孔172と、長孔でなる連動孔173とが穿設されている。
軸孔172には、フレーム130のカバー回動軸130Pが挿通されている。これにより操作ノブカバー171は、当該カバー回動軸130Pを回動中心として、矢印U1方向又は矢印U2方向へ回動することができる。また連動孔173には、トップガイド136のカバー連動軸163が挿通されている。
かかる構成により一時保留部115は、トップガイド136が閉塞状態であるとき、すなわち上側ガイド35が案内位置にあるとき、図12に示したように、操作ノブカバー171により操作孔部30HL及び操作ノブ131を覆う。これにより一時保留部115は、例えば紙幣BLを収納し又は繰り出す動作中に、ドラム32の回転に伴って操作ノブ131も回転している場合に、保守作業員が不用意に触れて負傷してしまうことを未然に防止できる。
その一方で一時保留部115は、トップガイド136が開放状態へ遷移するとき、すなわち上側ガイド35を離隔位置へ移動させるとき、カバー連動軸163の移動により操作ノブカバー171を矢印U2方向へ回動させていく。これにより一時保留部115は、トップガイド136が開放状態になったとき、図7と対応する図13に示すように、操作孔部30HL及び操作ノブ131を露出させ、保守作業員に当該操作ノブ131を操作させることができる。
さらに操作ノブ131は、円柱状の操作つまみ131Mを設けた。このため一時保留部115は、保守作業員に指先等で操作つまみ131Mをつまむように把持させ、板状部131Bの中心を周回するように指先を移動させることにより、操作ノブ131を連続的に回転させることができる。
これにより一時保留部115は、例えば百枚以上のような多数の紙幣BLが収納された状態で詰まりが発生した場合等に、保守作業員に当該操作つまみ131Mを持ち替えさせることなくドラム32等を連続的に回転させて、多数の紙幣BLを効率良く取り出させることができる。
さらに一時保留部115は、トップガイド136の開閉と連動して操作ノブカバー171を回動させるようにした。このため一時保留部115は、保守作業が行われる場合、保守作業員に上側ガイド35を案内位置から離隔位置まで回動させるだけで、トップガイド136を開放状態に遷移させると共に操作ノブ131を露出させることができ、操作の手間を必要最小限に抑えることができる。
ところで一時保留部115では、搬送ローラ41及びこれと対向する搬送ローラ55の何れにも、主テープ72若しくは補助テープ82が掛け回されていない(図12)。また搬送ローラ41は、上述したように、図示しないモータから駆動力が伝達されて回転するため、このモータから駆動力が伝達されていないとき、例えば電源が切断されているときは、停止した状態を維持しようとする。
ここで、一時保留部115において保守作業員が操作ノブ131を所定方向へ回転させて紙幣を繰り出す場合、すなわちドラム32を矢印R2方向へ回転させると共に、リール71及び81矢印R2方向へ回転させて主テープ72又は補助テープ82を巻き取る場合を想定する。このとき一時保留部115では、仮に搬送ローラ55及び41が互いに当接していた場合(図12)、ドラム32の周側面から引き剥がされた紙幣が搬送ローラ55及び41の当接箇所で詰まってしまうおそれがある。
この点において一時保留部115では、図13に示したように、上側ガイド35が離隔位置にあり搬送ローラ55が搬送ローラ41から引き離されており、且つトップガイド136が開放状態である時にのみ、操作ノブカバー171を回動させて操作ノブ131に対する操作を許容している。換言すれば、一時保留部115では、保守作業員等により操作ノブ131が回転される場合、搬送ローラ55が必ず搬送ローラ41から引き離されていることになる。
このため一時保留部115では、保守作業員等の操作により操作ノブ131が回転され、ドラム32等が回転されて繰り出された紙幣を、搬送ローラ41の箇所において詰まらせることなく、固定ガイド33及び可動ガイド34の上側に滞留させ、後から容易に取り出させることができる。
また一時保留部115は、その他の点においても、第1の実施の形態による一時保留部15と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による一時保留部115は、操作孔部30HL及び操作ノブ131を操作ノブカバー171により覆い、且つ上側ガイド35及びトップガイド136の回動と連動して、当該操作ノブカバー171を回動させるようにした。これにより一時保留部115は、紙幣BLの収納や繰出を行う動作時には保守作業員が不用意に操作ノブ131に触れて負傷することを防止でき、また保守作業時には、当該操作ノブ131を露出させて保守作業員に操作させることができる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、上側ガイド35に支持腕部57を設け、ドラム32の回転中心であるドラム回転軸32Xを回動中心として、案内位置(図5)と離隔位置(図7)との間で当該上側ガイド35を回動させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばフレーム30の内側面にドラム回転軸32Xを中心とした円弧状の溝を形成し、上側ガイド35に設けた移動軸をこの溝内で摺動させることにより、上側ガイド35を移動させても良い。要は、巻付周側面32WSからテープローラ56までの距離を維持したまま、上側ガイド35を移動させることができれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
或いは、例えば上側ガイド35を案内位置と離隔位置との間で直線的に移動させる等、他の種々の移動経路に沿って上側ガイド35を移動させるようにしても良い。この場合、要は、巻付周側面32WSからテープローラ56までの距離を、少なくとも上側ガイド35が案内位置及び離隔位置に位置する場合に互いに同等とし、且つ上側ガイド35が案内位置及び離隔位置の間に位置する場合に、案内位置に位置する場合よりも引き離さず、主テープ72に過大な張力を加えないようにすれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、上側ガイド35の連動孔53Hにトップガイド36の連動軸62を挿通させることにより、当該上側ガイド35及びトップガイド36を互いに連動させる場合について述べた(図5及び図7)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば連動孔53H及び連動軸62を省略することにより、上側ガイド35及びトップガイド36をそれぞれ単独で回動させるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、トップガイド36に設けた回動軸61をフレーム30によって回動可能に保持することにより、当該トップガイド36を回動させることで閉塞状態又は開放状態に遷移させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばフレーム30に直線状や曲線状の溝を形成し、この溝に沿ってトップガイド36を直線状又は曲線状に移動させることにより、閉塞状態又は開放状態に遷移させるようにしても良い。要は、周知の種々の移動機構や回動機構、或いはその組み合わせにより、トップガイド36を閉塞状態又は開放状態に遷移させるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、トップガイド36全体を回動させることにより、上側ガイド35が案内位置以外の位置へ移動(回動)したときに当該上側ガイド35との干渉を回避させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばトップガイド36を前後に2分割し、その前側部分のみを回動させることにより、上側ガイド35との干渉を回避させるようにしても良い。要は、上側ガイド35が巻付周側面32WSからテープローラ56までの距離を維持したまま案内位置以外の位置へ移動(回動)するときに、トップガイド36の少なくとも一部分を当該上側ガイド35と干渉しない位置まで退避させることができれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、トップガイド36によりドラム32の上側部分を覆う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、一時保留部15からトップガイド36を省略しても良い。第2の実施の形態においては、トップガイド136を省略すると共に、カバー連動軸163に代わるカバー連動軸を上側ガイド35に設ければ良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、可動ガイド34を、ドラム32の巻付周側面32WSに追従するようにして回動させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば可動ガイド34に代えて、固定されたガイドを設けるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、一時保留部15に1系統の主テープ走行系70と2系統の補助テープ走行系80とを設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば一時保留部15に2系統以上の主テープ走行系70を設けても良く、また1系統以下若しくは3系統以上の補助テープ走行系80を設けても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、操作ノブ131に小さな円柱状の操作つまみ131Mを設ける場合について述べた(図11)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図14(A)に示す操作ノブ231のように、操作つまみ231Mの外周に自在に回転するリング状の部材でなるリング体231Rを設けても良く、或いは図14(B)に示す操作ノブ331のように、板状部331Bの左側面に小さな円環状に隆起した操作円環331Rを形成しても良い。要は、操作ノブ131等が回転したときに操作つまみ131M等の見かけ上の姿勢や形状が変化しないことにより、保守作業者に操作ノブ131等を持ち替えさせることなく連続的に力を加えさせ、当該操作ノブ131等を介してドラム32を連続的に回転させることができれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、顧客との間で媒体としての紙幣BLに関する取引処理を行う現金自動預払機1の紙幣入出金機10において、顧客から入金された紙幣BLを一時的に収納する一時保留部15に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各種金券や証券等、或いは入場券や乗車券のような種々の紙葉状の媒体を取り扱う種々の装置において、テープと共に当該媒体をドラムに巻き付けて一時的に収納する種々の一時保留部に本発明を適用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ドラムとしてのドラム32と、テープとしての主テープ72と、リールとしてのリール71と、第1ローラとしてのテープローラ42と、第2ローラとしてのテープローラ56と、第1ガイドとしての固定ガイド33と、第2ガイドとしての上側ガイド35と、第2ガイド支持部としての支持腕部57とによって媒体処理装置としての一時保留部15を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるドラムと、テープと、リールと、第1ローラと、第2ローラと、第1ガイドと、第2ガイドと、第2ガイド支持部とによって媒体処理装置を構成しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、取込部としての入出金口5及び入出金部12と、搬送部としての搬送部13と、ドラムとしてのドラム32と、テープとしての主テープ72と、リールとしてのリール71と、第1ローラとしてのテープローラ42と、第2ローラとしてのテープローラ56と、第1ガイドとしての固定ガイド33と、第2ガイドとしての上側ガイド35と、第2ガイド支持部としての支持腕部57とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる取込部と、搬送部と、ドラムと、テープと、リールと、第1ローラと、第2ローラと、第1ガイドと、第2ガイドと、第2ガイド支持部とによって媒体取引装置を構成しても良い。
本発明は、紙葉状の媒体をテープと共にドラムに巻き付けて一時的に収納する種々の装置でも利用できる。
1、101……現金自動預払機、5……入出金口、9……主制御部、10、110……紙幣入出金機、11……紙幣制御部、12……入出金部、13……搬送部、15、115……一時保留部、15Y……搬送路、20……一時保留切替部、24……リジェクト切替部、30、130……フレーム、30HL……操作孔部、30L……左側面、31……操作ノブ、32……ドラム、32S……周側面、32WS……巻付周側面、32X……ドラム回転軸、33……固定ガイド、33S……下搬送ガイド面、34……可動ガイド、34S……ガイド面、35……上側ガイド、36、136……トップガイド、36S……巻付ガイド面、41……搬送ローラ、42……テープローラ、43……ドラム当接ローラ、45……回動軸、51S……上搬送ガイド面、52S……巻付ガイド面、53……側板部、53H……連動孔、55……搬送ローラ、56……テープローラ、57……支持腕部、61……回動軸、62……連動軸、70……主テープ走行系、71……リール、72……主テープ、72CL……下搬送部分、72CU……上搬送部分、80……補助テープ走行系、81……リール、82……補助テープ、130……フレーム、130HL2……挿通孔、130P……カバー回動軸、131……操作ノブ、131B……板状部、131M……操作つまみ、163……カバー連動軸、171……操作ノブカバー、172……軸孔、173……連動孔、BL……紙幣。

Claims (10)

  1. ドラム回転軸を中心として回転可能に構成され、紙葉状の媒体を周側面に巻き付けるドラムと、
    長手方向の一端が前記周側面に固定され、前記ドラムの回転に伴い当該周側面との間に前記媒体を挟んで巻き付けるテープと、
    前記テープを巻き取るリールと、
    前記リールから引き出された前記テープの進行方向を前記ドラムから離れた箇所において折り曲げ、当該テープを前記周側面に近接させる第1ローラと、
    前記第1ローラにより折り返され前記周側面に沿って走行した前記テープを当該周側面から引き離すと共に再度当該周側面に向けて折り返し、当該テープにおける当該折り返された第2部分と前記第1ローラにより折り曲げられた第1部分との間に前記媒体を挟んで前記媒体を前記周側面との間で搬送させる第2ローラと、
    前記媒体を前記テープの前記第1部分及び前記第2部分の間に挟んで搬送する場合に、当該媒体が進行すべき搬送路の当該第1部分側から当該媒体を案内する第1ガイドと、
    前記第2ローラを支持すると共に、前記搬送路の前記第2ローラ側から前記媒体を案内する第2ガイドと、
    前記第2ガイドを、前記第1ガイドに近接させた案内位置と当該第1ガイドから引き離した離隔位置との間で移動させると共に、当該第2ガイドが前記案内位置にある場合及び前記離隔位置にある場合において前記ドラム回転軸から前記第2ローラまでの距離を互いに同等とする第2ガイド支持部と
    を具えることを特徴とする媒体処理装置。
  2. 前記周側面に巻き付けられた前記媒体の量に応じて前記ドラムにおける見かけ上の半径が変化した場合に、当該ドラムの最外周面である巻付周側面に追従して変位することにより、当該巻付周側面と前記第1ガイドとの間で前記媒体を案内する第3ガイド
    をさらに具えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
  3. 前記周側面のうち、前記案内位置にある前記第2ガイド及び前記第3ガイドにより覆われていないガイド残部を覆うと共に、前記周側面に巻き付けられた前記媒体の量に拘わらず前記ドラム回転軸からの距離を維持する第4ガイド
    をさらに具えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
  4. 前記第4ガイドは、少なくとも一部である連動軸を変位させることにより、前記第2ガイドが前記案内位置にある場合には、前記ガイド残部を覆い、前記第2ガイドが前記離隔位置にある場合には、前記ガイド残部の少なくとも一部を開放して前記第2ガイドとの干渉を回避する
    ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
  5. 前記第4ガイドは、前記第2ガイドが前記案内位置と前記離隔位置との間で移動する場合に、当該第2ガイドと連動して前記連動軸を変位させる
    ことを特徴とする請求項4に記載の媒体処理装置。
  6. 前記第2ガイド支持部は、前記ドラム回転軸を中心として前記第2ガイドを回動させることにより、当該第2ガイドを前記案内位置及び前記離隔位置の間で移動させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
  7. ユーザから加えられた力により回転し、駆動力を前記ドラムへ伝達して当該ドラムを回転させる操作ノブ
    をさらに具えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
  8. 前記第2ガイドが前記案内位置にある場合には前記操作ノブを覆い、前記第2ガイドが前記離隔位置にある場合には前記操作ノブを露出させる操作ノブカバー
    をさらに具えることを特徴とする請求項7に記載の媒体処理装置。
  9. 前記操作ノブは、回転中心軸から離れた箇所に、前記ユーザから力が加えられる操作子を有し、
    前記操作子は、前記操作ノブが回転により姿勢を変化させた場合に見かけ上の形状を保つ
    ことを特徴とする請求項7に記載の媒体処理装置。
  10. 取引すべき紙葉状の媒体を外部から取り込む取込部と、
    前記媒体を搬送する搬送部と、
    ドラム回転軸を中心として回転可能に構成され、前記搬送部により搬送された前記媒体を周側面に巻き付けるドラムと、
    長手方向の一端が前記周側面に固定され、前記ドラムの回転に伴い当該周側面との間に前記媒体を挟んで巻き付けるテープと、
    前記テープを巻き取るリールと、
    前記リールから引き出された前記テープの進行方向を前記ドラムから離れた箇所において折り曲げ、当該テープを前記周側面に近接させる第1ローラと、
    前記第1ローラにより折り返され前記周側面に沿って走行した前記テープを当該周側面から引き離すと共に再度当該周側面に向けて折り返し、当該テープにおける当該折り返された第2部分と前記第1ローラにより折り曲げられた第1部分との間に前記媒体を挟んで前記媒体を前記周側面との間で搬送させる第2ローラと、
    前記媒体を前記テープの前記第1部分及び前記第2部分の間に挟んで搬送する場合に、当該媒体が進行すべき搬送路の当該第1部分側から当該媒体を案内する第1ガイドと、
    前記第2ローラを支持すると共に、前記搬送路の前記第2ローラ側から前記媒体を案内する第2ガイドと、
    前記第2ガイドを、前記第1ガイドに近接させた案内位置と当該第1ガイドから引き離した離隔位置との間で移動させると共に、当該第2ガイドが前記案内位置にある場合及び前記離隔位置にある場合において前記ドラム回転軸から前記第2ローラまでの距離を互いに同等とする第2ガイド支持部と
    を具えることを特徴とする媒体取引装置。
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