以下に、本願発明を具体化した実施形態について、農作業用トラクタを図面に基づき説明する。図1〜図6に示す如く、トラクタ1の走行機体2は、走行部としての左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。左右一対の後車輪4が後方走行部に相当するものである。走行機体2の前部にディーゼルエンジン5(以下、単にエンジンという)を搭載し、後車輪4または前車輪3をエンジン5で駆動することによって、トラクタ1が前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面には運転部7が設置される。該運転部7の内部には、操縦座席8と、前車輪3を操向操作する操縦ハンドル9とが配置されている。運転部7の左右外側には、オペレータが乗降するステップ(乗降ステップ)10が設けられている。エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が運転部7底部の下側に設けられている。
走行機体2は、前バンパー12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部に着脱自在に固定した左右の機体フレーム15とにより構成されている。前車軸ケース13の左右両端側から外向きに、前車軸16を回転可能に突出させている。前車軸ケース13の左右両端側に前車軸16を介して前車輪3を取り付けている。機体フレーム15の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して前後四輪3,3,4,4に伝達するためのミッションケース17を連結している。左右の機体フレーム15及びミッションケース17の下面側には、左右外向きに張り出した底面視矩形枠板状のタンクフレーム18をボルト締結している。
実施形態の燃料タンク11は、左右2つに分かれている。タンクフレーム18の左右張り出し部の上面側に、左右の燃料タンク11を振り分けて搭載している。ミッションケース17の左右外側面には、左右の後車軸ケース19を外向きに突出するように装着している。左右の後車軸ケース19には左右の後車軸20を回転可能に内挿している。ミッションケース17に後車軸20を介して後車輪4を取り付けている。左右の後車輪4の上方は左右のリヤフェンダー21によって覆われている。
ミッションケース17の後部には、例えばロータリ耕耘機などの対地作業機(図示省略)を昇降動させる油圧式昇降機構22を着脱可能に取付けている。前記対地作業機は、左右一対のロワーリンク23及びトップリンク24からなる3点リンク機構111を介してミッションケース17の後部に連結される。ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機等の作業機にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸25を後ろ向きに突設している。
エンジン5の後側面から後ろ向きに突設するエンジン5の出力軸(ピストンロッド)には、フライホイル26を直結するように取付けている。両端に自在軸継手を有する動力伝達軸29を介して、フライホイル26から後ろ向きに突出した主動軸27と、ミッションケース17前面側から前向きに突出した主変速入力軸28とを連結している。エンジン5の回転動力は、主動軸27及び動力伝達軸29を経由してミッションケース17の主変速入力軸28に伝達される。ミッションケース17の前面下部から前向きに突出した前車輪出力軸30(図8及び図9参照)には、前車輪駆動軸31を介して、前車軸ケース13から後向きに突出した前車輪伝達軸508(図11参照)を連結している。
運転部7では、操縦座席8の前方にステアリングコラム32を配置している。ステアリングコラム32は、運転部7内部の前面側に配置したダッシュボード33の背面側に埋設するような状態で立設している。ステアリングコラム32上面から上向きに突出したハンドル軸の上端側に、平面視略丸型の操縦ハンドル9を取り付けている。ステアリングコラム32の右側には、走行機体2を制動操作するための左右一対のブレーキペダル35と、左右両後車輪4を制動状態に維持する操作を実行するための駐車ブレーキレバー43とを配置している。
ステアリングコラム32の左側には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバー36(リバーサレバー)と、動力継断用のクラッチを遮断操作するためのクラッチペダル37とを配置している。ダッシュボード33の背面上部側には、液晶パネルを内蔵した操作表示盤39を設けている。ダッシュボード33の背面左側(ステアリングコラム32の左側方)に、左右ブレーキペダル35の連結解除に対する操作を規制する連結解除ロックレバー56を設けている。
運転部7内にある操縦座席8前方の床板(搭乗ステップ)40においてステアリングコラム32の右側には、エンジン5の回転速度または車速などを制御するアクセルペダル41を配置している。また、操縦座席8前方の床板40においてステアリングコラム32の左側には、左右ブレーキペダル35の連結を解除させるブレーキ連結解除ペダル57を配置している。なお、床板40上面の略全体は平坦面に形成している。
操縦座席8を挟んで左右両側にはサイドコラム42を配置している。操縦座席8と左サイドコラム42との間には、トラクタ1の走行速度(車速)を強制的に大幅に低減させる超低速レバー44(クリープレバー)と、ミッションケース17内の走行副変速ギヤ機構の出力範囲を切換えるための副変速レバー45と、PTO軸25の駆動速度を切換え操作するためのPTO変速レバー46とを配置している。操縦座席8の下方には、左右両後車輪4の差動駆動をオンオフするためのデフロックペダル47を配置している。操縦座席8の後方左側には、PTO軸25を車速同調駆動させる操作か又は逆転駆動させる操作を実行する副PTOレバー48を配置している。
操縦座席8と右サイドコラム42との間には、トラクタ1の走行速度を増減速させる主変速レバー50を設けている。右サイドコラム42には、ロータリ耕耘機といった対地作業機の高さ位置を手動で変更調節する作業部ポジションレバー51(昇降レバー)と、エンジン5の回転速度を設定保持するスロットルレバー52と、PTO軸25からロータリ耕耘機等の作業機への動力伝達を継断操作するPTOクラッチスイッチ53と、ミッションケース17の上面側に配置する油圧外部取出バルブ430(図12参照)を切換操作するための複数の油圧操作レバー54(SCVレバー)とを配置している。ここで、油圧外部取出バルブ430は、トラクタ1に後付けされるフロントローダといった別の作業機の油圧機器に作動油を供給制御するためのものである。実施形態では、油圧外部取出バルブの数(2連)に合わせて、油圧操作レバー54を2つ配置している。
さらに、運転部7の前側を支持する左右の前部支持台96と、運転部7の後部を支持する左右の後部支持台97を備える。左右の機体フレーム15の機外側面のうち前後中間部に前部支持台96をボルト締結させ、前部支持台96の上面側に運転部7の前側底部を支持すると共に、左右方向に水平に延設させる左右の後車軸ケース19の上面のうち左右幅中間部に後部支持台97をボルト締結させ、後部支持台97の上面側に運転部7の後側底部を支持している。
また、後車軸ケース19の上面側に後部支持台97を配置し、後車軸ケース19の下面側に振れ止めブラケット101を配置し、後部支持台97と振れ止めブラケット101をボルト締結すると共に、前後方向に延設したロワーリンク23の中間部と振れ止めブラケット101とに、伸縮調節可能なターンバックル付き振れ止めロッド体103の両端部を連結し、ロワーリンク23の左右方向の揺振を防止している。後車軸ケース17には、後部支持台97及び運転部7の後方フレームを介して、走行機体2の転倒時にオペレータを保護するためのロプスフレーム80を立設させている。
次に、図1〜図6などを参照して、ボンネット6下のディーゼルエンジン5とエンジンルーム構造について説明する。ディーゼルエンジン5は、エンジン出力軸とピストンとを内蔵するシリンダブロック上にシリンダヘッドを搭載しており、ディーゼルエンジン5(シリンダヘッド)右側面には、エアクリーナ221にターボ過給機211を介して接続させる吸気マニホールドと、排気マニホールドからの排気ガスの一部を再循環させるEGR装置210を配置し、排気マニホールドに排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールドに還流することによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン5からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減するように構成している。
一方、ディーゼルエンジン5(シリンダヘッド)左側面に、テールパイプ229に接続させる排気マニホールドと、ターボ過給機211を配置する。ディーゼルエンジン5は、ディーゼルエンジン5の上面側に配置する連続再生式の排気ガス浄化装置224(DPF)を備え、排気ガス浄化装置224の排気側にテールパイプ229を接続している。排気ガス浄化装置224によって、エンジン5からテールパイプ229を介して機外に排出される排気ガス中の粒子状物質(PM)が除去されると共に、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減されるように構成している。ディーゼルエンジン5(シリンダブロック)前面側に冷却ファンを配置する。
さらに、ボンネット6は、前部下側にフロントグリル231を有し、エンジンルーム200の上面側と前面側を覆う。ボンネット6の左右下側に、多孔板で形成した側部エンジンカバー232を配置して、エンジンルーム200左右側方を覆っている。すなわち、ボンネット6及びエンジンカバー232によって、ディーゼルエンジン5の前方、上方及び左右を覆っている。また、ファンシュラウド234を背面側に取り付けたラジエータ235を、エンジン5の前面側に位置するようにエンジンフレーム14上に立設している。ファンシュラウド234は、ディーゼルエンジン5の冷却ファンの外周側を囲っていて、ラジエータ235と冷却ファンとを連通させている。
ラジエータ235前面の上方位置にエアクリーナ221を配置している。なお、ラジエータ235前面側には、インタークーラ他、オイルクーラや燃料クーラなどが設置される。更に、エンジン制御装置(エンジンECU)271が、ラジエータ235等の熱交換機の前方位置に配置されている。エンジンECU271は、エンジン5の各センサからのセンサ信号を受けるとともにエンジン5の駆動を制御する。エンジン制御装置271の長手方向を走行機体2の前後方向(エンジンフレーム14の長手方向)に沿わせてフレーム底板233に立設させている。
一方、左右一対の機体フレーム15は、支持用梁フレームによって連結されており、機関脚体237を介して、前記支持用梁フレーム上面にディーゼルエンジン5の後部を連結する。なお、左右一対のエンジンフレーム14の中途部に、左右の前部機関脚体238を介して、ディーゼルエンジン5前部の左右側面を連結している。即ち、エンジンフレーム14にディーゼルエンジン5前側を防振支持させると共に、左右一対の機体フレーム15の前端側に支持用梁フレームを介してディーゼルエンジン5の後部を防振支持させている。
次に、図4〜図12を参照して、ミッションケース17、油圧式昇降機構22及び3点リンク機構111の取付け構造について説明する。前記ミッションケース17は、主変速入力軸28等を有する前部変速ケース112と、後車軸ケース19などを有する後部変速ケース113と、前部変速ケース112の後側に後部変速ケース113の前側を連結させる中間ケース114を備えている。中間ケース114の左右側面に左右の上下機体連結軸体115,116を介して左右の機体フレーム15の後端部を連結する。即ち、2本の上機体連結軸体115と、2本の下機体連結軸体116にて、中間ケース114の左右両側面に左右の機体フレーム15の後端部を連結させ、機体フレーム15とミッションケース17を一体的に連設して、走行機体2の後部を構成すると共に、左右の機体フレーム15の間に前部変速ケース112または動力伝達軸29などを配置して、前部変速ケース112などを保護するように構成している。左右の後車軸ケース19は、後部変速ケース113の左右両側に外向きに突出するように取り付けている。実施形態では、中間ケース114及び後部変速ケース113を鋳鉄製にする一方、前部変速ケース112をアルミダイキャスト製にしている。
上記の構成によると、ミッションケース17を、前部変速ケース112、中間ケース114及び後部ケース113の三者に分割して構成しているから、各ケース112〜114に軸やギヤ等の部品を予め組み込んでから、前部変速ケース112、中間ケース114及び後部変速ケース113の三者を組み立てできる。従って、ミッションケース17の組み立てを正確に且つ能率よく行える。
また、左右の後車軸ケース19を後部変速ケース113の左右両側に取り付け、走行機体2を構成する左右の機体フレーム15に、前部変速ケース112と後部変速ケース113とをつなぐ中間ケース114を連結しているから、例えば中間ケース114及び後部変速ケース113を機体フレーム15に取り付けたままで前部変速ケース112だけを取り外して、軸やギヤの交換といった作業を実行できる。従って、ミッションケース17全体をトラクタ1から降ろす(取り外す)頻度を格段に低くでき、メンテナンス時や修理時の作業性の向上を図れる。
更に、中間ケース114及び後部変速ケース113を鋳鉄製にする一方、前部変速ケース112をアルミダイキャスト製にしているから、機体フレーム15に連結される中間ケース114と、左右の後車軸ケース19が連結される後部変速ケース113とを、走行機体2を構成する強度メンバーとして高剛性に構成できる。その上で強度メンバーではない前部変速ケース112を軽量化できる。従って、走行機体2の剛性を十分に確保しつつ、ミッションケース17全体としての軽量化を図れる。
さて、図5〜図8に示すように、油圧式昇降機構22は、作業部ポジションレバー51等の操作にて作動制御する左右の油圧リフトシリンダ117と、ミッションケース17のうち後部変速ケース113上面側に設ける開閉可能な上面蓋体118にリフト支点軸119を介して基端側を回動可能に軸支する左右のリフトアーム120と、左右のロワーリンク23に左右のリフトアーム120を連結させる左右のリフトロッド121を有している。右のリフトロッド121の一部を油圧制御用の水平シリンダ122にて形成し、右のリフトロッド121の長さを水平シリンダ122にて伸縮調節可能に構成している。
なお、上面蓋体118の背面側にトップリンクヒンジ123を固着し、トップリンクヒンジ123にヒンジピンを介してトップリンク24を連結する。トップリンク24と左右のロワーリンク23に対地作業機を支持した状態下で、水平シリンダ122のピストンを伸縮させて、右のリフトロッド121の長さを変更した場合、前記対地作業機の左右傾斜角度が変化するように構成している。
次に、図4〜図11等を参照しながら、ミッションケース17の内部構造及びトラクタ1の動力伝達系統について説明する。ミッションケース17は、主変速入力軸28等を有する前部変速ケース112と、後車軸ケース19等を有する後部変速ケース113と、前部変速ケース112の後側に後部変速ケース113の前側を連結させる中間ケース114を備えている。ミッションケース17は全体として中空箱形に形成されている。
ミッションケース17の前面、すなわち前部変速ケース112の前面に前蓋部材491を配置している。前蓋部材491は前部変速ケース112の前面に複数のボルトで着脱可能に締結している。ミッションケース17の後面、すなわち後部変速ケース113の後面に後蓋部材492を配置している。後蓋部材492は後部変速ケース113の後面に複数のボルトで着脱可能に締結している。中間ケース114内の前面側には、前部変速ケース112と中間ケース114との間を仕切る中間仕切り壁を一体的に形成している。後部変速ケース113の前後中途部には、後部変速ケース113内を前後に仕切る後部仕切り壁を一体的に形成している。従って、ミッションケース17内部は、中間及び後部仕切り壁によって、前室、後室及び中間室の三つの室に区画されている。
ミッションケース17の前室内(前部変速ケース112内)には、エンジン5からの回転動力を正転又は逆転方向に切り換える前後進切換機構501と、後述の主変速ギヤ機構450を経由した回転動力を変速する機械式のクリープ変速ギヤ機構502及び走行副変速ギヤ機構503と、前後車輪3,4の二駆と四駆とを切り換える二駆四駆切換機構504とを配置している。ミッションケース17の中間室7内(中間ケース114及び後部変速ケース113前側の内部)には、前後進切換機構501からの回転動力を変速する機械式の主変速ギヤ機構450を配置している。ミッションケース17の後室内(後部変速ケース113後側の内部)には、エンジン5からの回転動力を適宜変速してPTO軸25に伝達するPTO変速機構505と、クリープ変速ギヤ機構502又は走行副変速ギヤ機構503を経由した回転動力を左右の後車輪4に伝達する後輪用差動ギヤ機構506とを配置している。後部変速ケース113の右外面前部には、エンジン5の回転動力で駆動する作業機用油圧ポンプ481及び走行用油圧ポンプ482を収容したポンプケース480を取り付けている。
エンジン5の後側面から後ろ向きに突設するエンジン5の出力軸にはフライホイル26を直結している。フライホイル26から後ろ向きに突出した主動軸27に、両端に自在軸継手を有する動力伝達軸29を介して、ミッションケース17前面(前蓋部材491)側から前向きに突出した主変速入力軸28を連結している。エンジン5の回転動力は、主動軸27及び動力伝達軸29を経由してミッションケース17(前部変速ケース112)の主変速入力軸28に伝達され、前後進切換機構501で正逆転された後、主変速ギヤ機構450とクリープ変速ギヤ機構502又は走行副変速ギヤ機構503とによって適宜変速されてから、後輪用差動ギヤ機構506に伝達され、左右の後車輪4を駆動させる。クリープ変速ギヤ機構502又は走行副変速ギヤ機構503を経由した変速動力は、二駆四駆切換機構504から前車輪出力軸30、前車輪駆動軸31及び前車輪伝達軸508を介して、前車軸ケース13内の前輪用差動ギヤ機構507に伝達され、左右の前車輪3を駆動させる。
前後進切換機構501を介して実行する前進と後進との切換構造について説明する。主変速入力軸28に前後進切換機構501を設けている。ミッションケース17内において、主変速入力軸28には、湿式多板型の前進油圧クラッチ537で連結される前進ギヤ538と、湿式多板型の後進油圧クラッチ541で連結される後進ギヤ542とを被嵌している。前進ギヤ538及び後進ギヤ542はそれぞれ、主変速入力軸28に対して相対回転可能に被嵌されている。特に、前進ギヤ538は、主変速入力軸28に対して同心状に配置した入力伝達軸455に設けられている。即ち、主変速入力軸28が相対回転可能に挿入された入力伝達軸455に対して、前進ギヤ538が相対回転不能に被嵌している。また、主変速入力軸28と別軸の後進用ギヤ対525を設けており、後進用ギヤ対525を構成する入力側ギヤ527と出力側ギヤ528それぞれが、後進ギヤ542及び前進ギヤ538それぞれと常時噛み合っている。
前後進切換レバー36を前進側に操作すると、前進油圧クラッチ537が動力接続状態となり、前進低速ギヤ538と主変速入力軸28とが相対回転不能に連結される。その結果、主変速入力軸28から入力伝達軸455に、前進の回転動力が伝達される。前後進切換レバー36を後進側に操作すると、後進油圧クラッチ541が動力接続状態となり、後進ギヤ542と入力伝達軸455とが相対回転不能に連結される。その結果、主変速入力軸28から低速ギヤ対525を介して入力伝達軸455に、後進の回転動力が伝達される。なお、前後進切換レバー36が中立位置のときは、全ての油圧クラッチ537,541がいずれも動力切断状態となり、入力伝達軸455からの走行駆動力が略零(主クラッチ切りの状態)になる。
次に、主変速ギヤ機構450による走行変速の複数段の切換構造について説明する。ミッションケース17内において、入力伝達軸455に対して、複数段(本実施形態では4段)の主変速入力ギヤ451〜454を相対回転不能に被嵌している。主変速出力軸456を入力伝達軸455と平行に延設しており、主変速出力軸456に対して、複数段(本実施形態では4段)の主変速中継ギヤ457〜460を相対回転可能に被嵌している。主変速中継ギヤ457〜460それぞれが、主変速入力ギヤ451〜454それぞれと常時噛み合っている。
主変速出力軸456のうち主変速中継ギヤ457,458の間に、低速側シフタ461を相対回転不能で且つ軸線方向にスライド可能にスプライン嵌合させている。一方、主変速出力軸456のうち主変速中継ギヤ459,460の間に、高速側シフタ462を相対回転不能で且つ軸線方向にスライド可能にスプライン嵌合させている。また、主変速出力軸456は、後部側に主変速出力ギヤ463を相対回転不能に被嵌している。主変速出力ギヤ463は、走行伝動軸536に相対回転不能に被嵌させた副変速入力ギヤ472に常時噛み合っている。
主変速レバー50を操作することによって、主変速レバー50の操作位置に基づいて、低速側シフタ461及び高速側シフタ462がスライド移動して、主変速中継ギヤ457〜460が主変速出力軸456に択一的に連結される。このとき、低速側シフタ461をスライド移動させて低速側の主変速中継ギヤ457,458のいずれかと連結する場合、高速側シフタ462を、高速側の主変速中継ギヤ459,460のいずれとも非連結となる位置に固定する。一方、高速側シフタ462をスライド移動させて高速側の主変速中継ギヤ459,460のいずれかと連結する場合、低速側シフタ461を、低速側の主変速中継ギヤ457,458のいずれとも非連結となる位置に固定する。
実施形態では、主変速レバー50を1速となる操作位置に操作すると、低速側シフタ461により主変速中継ギヤ457が主変速出力軸456に連結される。そのため、入力伝達軸455から伝達された前後進切換機構501による回転動力を、1速の主変速入力ギヤ451及び主変速中継ギヤ457を介して、主変速出力軸456の主変速出力ギヤ463から後段のギヤ機構に伝達する。一方、主変速レバー50を2速となる操作位置に操作すると、主変速中継ギヤ458が主変速出力軸456に連結され、前後進切換機構501による回転動力を、2速の主変速入力ギヤ452及び主変速中継ギヤ458を介して、主変速出力ギヤ463から後段のギヤ機構に伝達する。
また、主変速レバー50を3速となる操作位置に操作すると、高速側シフタ462により主変速中継ギヤ459が主変速出力軸456に連結される。そのため、前後進切換機構501による回転動力を、3速の主変速入力ギヤ453及び主変速中継ギヤ459を介して、主変速出力軸456の主変速出力ギヤ463から後段のギヤ機構に伝達する。一方、主変速レバー50を4速となる操作位置に操作すると、主変速中継ギヤ460が主変速出力軸456に連結され、前後進切換機構501による回転動力を、4速の主変速入力ギヤ454及び主変速中継ギヤ460を介して、主変速出力ギヤ463から後段のギヤ機構に伝達する。
次に、走行変速ギヤ機構であるクリープ変速ギヤ機構502及び走行副変速ギヤ機構503を介して実行する超低速と低速と中速と高速との切換構造について説明する。ミッションケースの前室内(前部変速ケース112内)には、主変速ギヤ機構450を経由した回転動力を変速する機械式のクリープ変速ギヤ機構502及び走行副変速ギヤ機構503を配置している。この場合、前部変速ケース112内に、走行伝動軸536と同軸状に延びる走行カウンタ軸545を配置している。また、前部変速ケース112から後部変速ケース113にわたっては、走行カウンタ軸545と平行状に延びる副変速軸546を配置している。走行カウンタ軸545の前端側は前蓋部材491に回転可能に軸支している。
走行カウンタ軸545の後部側には伝達ギヤ547とクリープギヤ548とを設けている。伝達ギヤ547は、走行カウンタ軸545に回転可能に被嵌すると共に、走行伝動軸536に一体回転するように連結している。クリープギヤ548は走行カウンタ軸545に相対回転可能に被嵌している。走行カウンタ軸545のうち伝達ギヤ547とクリープギヤ548との間には、クリープシフタ549を相対回転不能で且つ軸線方向にスライド可能にスプライン嵌合させている。超低速レバー44を入り切り操作することによって、クリープシフタ549がスライド移動して、伝達ギヤ547及びクリープギヤ548が走行カウンタ軸545に択一的に連結される。
走行カウンタ軸545と別軸となる減速ギヤ対550を、走行カウンタ軸545と平行に配置している。減速ギヤ対550を構成する入力側減速ギヤ551と出力側減速ギヤ552とは一体構造になっていて、走行カウンタ軸545の伝達ギヤ547が副変速軸546の入力側減速ギヤ551に常時噛み合い、クリープギヤ548が出力側減速ギヤ552に常時噛み合っている。
走行カウンタ軸545の前部側には低速中継ギヤ(副変速中継ギヤ)464と中速中継ギヤ(副変速中継ギヤ)465と高速中継ギヤ(副変速中継ギヤ)466とを設けている。副変速中継ギヤ464〜466は走行カウンタ軸545に固着(相対回転不能に被嵌)している。副変速軸546の前部側には、副変速中継ギヤ464〜466それぞれに噛み合う副変速ギヤ467〜469を回転可能に被嵌している。
副変速軸546のうち低速ギヤ(副変速ギヤ)467と中速ギヤ(副変速ギヤ)468との間には、低中速シフタ470を相対回転不能で且つ軸線方向にスライド可能にスプライン嵌合させている。副変速軸546のうち中速ギヤ(副変速ギヤ)468と高速ギヤ(副変速ギヤ)469との間には、高速シフタ471を相対回転不能で且つ軸線方向にスライド可能にスプライン嵌合させている。副変速レバー45を操作することによって、副変速シフタ469,471が共にスライド移動して、副変速ギヤ467〜469が副変速軸546に択一的に連結される。
実施形態では、超低速レバー44を入り操作すると共に副変速レバー45を低速側に操作すると、クリープギヤ548が走行カウンタ軸545に相対回転不能に連結されると共に、低速ギヤ467が副変速軸546に相対回転不能に連結され、走行伝動軸536から走行カウンタ軸545及び副変速軸546を経て、超低速の走行駆動力が前車輪3や後車輪4に向けて出力される。なお、超低速レバー44と副変速レバー45とは、変速牽制部材(詳細は後述する)を介して連動連結していて、副変速レバー45の中高速側操作と超低速レバー44の入り操作との両立を禁止するように構成している。すなわち、超低速レバー44を入り操作した状態では副変速レバー45を中高速側に操作できず、副変速レバー45を中高速側に操作した状態では超低速レバー44を入り操作できないように構成している。
超低速レバー44を切り操作すると共に副変速レバー45を低速側に操作すると、伝達ギヤ547が走行カウンタ軸545に相対回転不能に連結されると共に、低速ギヤ467が副変速軸546に相対回転不能に連結され、走行伝動軸536から走行カウンタ軸545及び副変速軸546を経て、低速の走行駆動力が前車輪3や後車輪4に向けて出力される。超低速レバー44を切り操作すると共に副変速レバー45を中速側に操作すると、伝達ギヤ547が走行カウンタ軸545に相対回転不能に連結されると共に、中速ギヤ468が副変速軸546に相対回転不能に連結され、走行伝動軸536から走行カウンタ軸545及び副変速軸546を経て、中速の走行駆動力が前車輪3や後車輪4に向けて出力される。超低速レバー44を切り操作すると共に副変速レバー45を高速側に操作すると、伝達ギヤ547が走行カウンタ軸545に相対回転不能に連結されると共に、高速ギヤ469が副変速軸546に相対回転不能に連結され、走行伝動軸536から走行カウンタ軸545及び副変速軸546を経て、高速の走行駆動力が前車輪3や後車輪4に向けて出力される。
副変速軸546の後端側はミッションケース17の後室内部(後部変速ケース113後側の内部)にまで延びている。副変速軸546の後端部にはピニオン558を設けている。また、ミッションケース17の後室内には、左右の後車輪4に走行駆動力を伝達する後輪用差動ギヤ機構506を配置している。後輪用差動ギヤ機構506には、副変速軸546のピニオン558に噛み合うリングギヤ559と、リングギヤ559に設けた差動ギヤケース560と、左右方向に延びる一対の差動出力軸561とを備えている。差動出力軸561がファイナルギヤ562等を介して後車軸20に連結している。後車軸20の先端側に後車輪4を取り付けている。
左右の差動出力軸561にはブレーキ機構563をそれぞれ配置している。ブレーキ機構563は、ブレーキペダル35の操作と自動制御という2つの系統によって、左右の後車輪4にブレーキを掛けるものである。すなわち、各ブレーキ機構563は、ブレーキペダル35の踏み込み操作の引き上げ操作によって、対応する差動出力軸561ひいては後車輪4にブレーキが掛かるように構成している。操縦ハンドル9の操舵角が所定角度以上になれば、旋回内側の後車輪4に対するオートブレーキ電磁弁631(図12参照)の切換作動によってブレーキシリンダ630(図12参照)が作動し、旋回内側の後車輪4に対するブレーキ機構563が自動的に制動作動するように構成している(いわゆるオートブレーキ)。このため、トラクタ1はUターン(圃場の枕地での方向転換)等の小回り旋回走行を簡単に実行できる。
なお、後輪用差動ギヤ機構506には、自身の差動を停止(左右の差動出力軸561を常時等速で駆動)させるデフロック機構585を設けている。デフロックペダル47の踏み込み操作によって、デフロック機構585を構成するデフロックピンを差動ギヤケース560の差動ギヤに係合させると、差動ギヤが差動ギヤケース560に固定され、差動ギヤの差動機能が停止し、左右の差動出力軸561が等速で駆動する。
次に、二駆四駆切換機構504を介して実行する前後車輪3,4の二駆と四駆との切換構造について説明する。ミッションケースの前室(前部変速ケース112)内には二駆四駆切換機構504を配置している。この場合、前部変速ケース112内に、走行カウンタ軸545や副変速軸546と平行状に延びる前車輪入力軸568及び前車輪出力軸30を配置している。副変速軸546の前端側に相対回転不能に被嵌した主動ギヤ569に、前車輪入力軸568に相対回転不能に被嵌した従動ギヤ570を常時噛み合わせている。前車輪入力軸568には、倍速中継ギヤ571と四駆中継ギヤ572とを、従動ギヤ570を挟んだ前後両側に振り分けて相対回転不能に被嵌している。
前車輪出力軸30に二駆四駆切換機構504を設けている。すなわち、前車輪出力軸30には、湿式多板型の倍速油圧クラッチ573で連結される倍速ギヤ574と、湿式多板型の四駆油圧クラッチ575で連結される四駆ギヤ576とを被嵌している。前車輪入力軸568の倍速中継ギヤ571が前車輪出力軸30の倍速ギヤ574と常時噛み合い、四駆中継ギヤ572が四駆ギヤ576と噛み合っている。
駆動切換スイッチ又は駆動切換レバー(図示省略)を四駆側に操作すると、四駆油圧クラッチ575が動力接続状態となり、前車輪出力軸30と四駆ギヤ576とが相対回転不能に連結される。そして、副変速軸546から前車輪入力軸568及び四駆ギヤ576を経由して前車輪出力軸30に回転動力が伝達される結果、トラクタ1は後車輪4と共に前車輪3が駆動する四輪駆動状態になる。また、操縦ハンドル9をUターン操作等して操舵角が所定角度以上になると、倍速油圧クラッチ573が動力接続状態となり、前車輪出力軸30と倍速ギヤ574とが相対回転不能に連結される。そして、副変速軸546から前車輪入力軸568及び倍速ギヤ574を経由して前車輪出力軸30に回転動力が伝達される結果、四駆ギヤ576経由の回転動力による前車輪3の回転速度に比べて約二倍の高速度で、前車輪3が駆動する。
前車軸ケース13から後ろ向きに突出する前車輪伝達軸508と、前記ミッションケース17(前蓋部材491)の前面下部から前向きに突出する前車輪出力軸30とを、前車輪3に動力を伝達する前車輪駆動軸31によって連結している。前車軸ケース13内には、左右の前車輪3に走行駆動力を伝達する前輪用差動ギヤ機構507を配置している。前輪用差動ギヤ機構507には、前車輪伝達軸508前端側に設けたピニオン577に噛み合うリングギヤ578と、リングギヤ578に設けた差動ギヤケース579と、左右方向に延びる一対の差動出力軸580とを備えている。差動出力軸580がファイナルギヤ581等を介して前車軸16に連結している。前車軸16の先端側に前車輪3を取り付けている。なお、前車軸ケース13の外側面には、操縦ハンドル9の操舵操作によって前車輪3の走行方向を左右に変更するパワーステアリング用の操舵油圧シリンダ622(図12参照)を設けている。
次に、PTO変速機構505を介して実行するPTO軸25の駆動速度の切換構造(正転三段及び逆転一段)について説明する。ミッションケース17の後室内(後部変速ケース113後側の内部)には、エンジン5からの動力をPTO軸25に伝達するPTO変速機構505を配置している。この場合、主変速入力軸28の後端側に、動力伝達継断用のPTO油圧クラッチ590を介して、主変速入力軸28と同軸状に延びるPTO入力軸591を連結している。PTO入力軸591は後室496内に配置している。
ミッションケース17の後室内には、PTO入力軸591と平行状に延びるPTO変速軸592、PTOカウンタ軸593及びPTO軸25を配置している。PTO軸25は後蓋部材492から後方に突出している。PTOクラッチスイッチ53を動力接続操作すると、PTO油圧クラッチ590が動力接続状態となって、主変速入力軸28とPTO入力軸591とが相対回転不能に連結される。その結果、主変速入力軸28からPTO入力軸591に向かって回転動力が伝達される。
PTO入力軸591には、前側から順に、中速入力ギヤ597、低速入力ギヤ595、高速入力ギヤ596及び逆転シフタギヤ598を設けている。中速入力ギヤ597、低速入力ギヤ595及び高速入力ギヤ596は、PTO入力軸591に相対回転不能に被嵌している。逆転シフタギヤ598は、PTO入力軸591に相対回転不能で且つ軸線方向にスライド可能にスプライン嵌合している。
一方、PTO変速軸592には、中速入力ギヤ597に噛み合うPTO中速ギヤ601、低速入力ギヤ595に噛み合うPTO低速ギヤ599、及び高速入力ギヤ596に噛み合うPTO高速ギヤ600を回転可能に被嵌している。PTO変速軸592には、前後一対のPTO変速シフタ602,603を相対回転不能で且つ軸線方向にスライド可能にスプライン嵌合している。第一PTO変速シフタ602はPTO中速ギヤ601とPTO低速ギヤ599との間に配置している。第二PTO変速シフタ603はPTO高速ギヤ600よりも後端側に配置している。前後一対のPTO変速シフタ602,603は、PTO変速レバー46の操作に伴い連動して軸線方向にスライド移動するように構成している。PTO変速軸592のうちPTO低速ギヤ599とPTO高速ギヤ600との間にPTO伝動ギヤ604を固着している。
PTOカウンタ軸593には、PTO伝動ギヤ604に噛み合うPTOカウンタギヤ605と、PTO軸25に相対回転不能に被嵌したPTO出力ギヤ608に噛み合うPTO中継ギヤ606と、PTO逆転ギヤ607とを相対回転不能に被嵌している。PTO変速レバー46を中立操作した状態で副PTOレバー48を入り操作することによって、逆転シフタギヤ598がスライド移動して、逆転シフタギヤ598とPTOカウンタ軸593のPTO逆転ギヤ607とが噛み合うように構成している。
PTO変速レバー46を変速操作すると、前後一対のPTO変速シフタ602,603がPTO変速軸592に沿ってスライド移動し、PTO低速ギヤ595、PTO中速ギヤ597、及びPTO高速ギヤ596がPTO変速軸592に択一的に連結される。その結果、低速〜高速の各PTO変速出力が、PTO変速軸592からPTO伝動ギヤ604及びPTOカウンタギヤ605を介してPTOカウンタ軸593に伝達され、更に、PTO中継ギヤ607及びPTO出力ギヤ608を介してPTO軸25に伝達される。
副PTOレバー48を入り操作すると、逆転シフタギヤ598がPTO逆転ギヤ607と噛み合い、PTO入力軸591の回転動力が、逆転シフタギヤ598及びPTO逆転ギヤ607を介してPTOカウンタ軸593に伝達される。そして、逆転のPTO変速出力が、PTOカウンタ軸593からPTO中継ギヤ607及びPTO出力ギヤ608を介してPTO軸25に伝達される。
なお、PTO変速レバー46と副PTOレバー48とはPTO牽制部材(詳細は後述する)を介して連動連結していて、PTO変速レバー46の中立以外の変速操作と副PTOレバー48の入り操作との両立を禁止するように構成している。すなわち、副PTOレバー48を入り操作した状態ではPTO変速レバー46を中立以外に変速操作できず、PTO変速レバー46を中立以外に変速操作した状態では副PTOレバー48を入り操作できないように構成している。
次に、図12を参照しながら、トラクタ1の油圧回路620構造について説明する。トラクタ1の油圧回路620は、エンジン5の回転動力によって駆動する作業機用油圧ポンプ481及び走行用油圧ポンプ482を備えている。実施形態では、ミッションケース17が作業油タンクとして利用されていて、ミッションケース17内の作動油が作業機用油圧ポンプ481及び走行用油圧ポンプ482に供給される。走行用油圧ポンプ482は、パワーステアリング用のコントロール弁機構621を介して操縦ハンドル9によるパワーステアリング用の操舵油圧シリンダ622に接続する。
また、走行用油圧ポンプ482は、前後進油圧クラッチ537,541に対する前後進油圧切換弁475と、前後進油圧切換弁475への作動油供給を制御するクラッチ弁476と、倍速油圧クラッチ573に対する倍速油圧切換弁625と、四駆油圧クラッチ575に対する四駆油圧切換弁626と、PTO油圧クラッチ590に対するPTOクラッチ電磁弁627及びこれによって作動する切換弁628と、左右一対のオートブレーキ用のブレーキシリンダ630をそれぞれ作動させる切換弁としての左右のオートブレーキ電磁弁631とに接続している。
作業機用油圧ポンプ481は、ミッションケース17の上面後部側にある油圧式昇降機構22の上面に積層配置した複数の油圧外部取出バルブ430と、右リフトロッド121に設けた水平シリンダ122への作動油供給を制御する傾斜制御電磁弁647と、油圧式昇降機構22における油圧リフトシリンダ117への作動油供給を制御する上昇油圧切換弁648及び下降油圧切換弁649と、上昇油圧切換弁648を切換作動させる上昇制御電磁弁650と、下降油圧切換弁649を作動させる下降制御電磁弁651とに接続している。
傾斜制御電磁弁647を切換駆動させると、水平シリンダ122が伸縮動して、前部側にあるロワーリンクピンを支点にして右側のロワーリンク23が上下動する。その結果、左右両ロワーリンク23を介して対地作業機が走行機体2に対して左右に傾動し、対地作業機の左右傾斜角度が変化する。上昇制御電磁弁650によって上昇油圧切換弁648を切換作動させるか又は下降制御電磁弁651によって下降油圧切換弁649を切換作動させると、油圧リフトシリンダ117が伸縮動し、リフトアーム120及び左右両ロワーリンク23が共に上下動する。その結果、対地作業機が昇降動し、対地作業機の昇降高さ位置が変化する。
図7〜図10に示すように、ミッションケース17前面において、前後進油圧切換弁475とクラッチ弁476とを油路ブロック660に組み付けてユニット化している。すなわち、前後進油圧切換弁475及びクラッチ弁476付きの油路ブロック660を前蓋部材491の前面側に着脱可能に締結している。また、ミッションケース17前面において、油路ブロック660上方には、リンク体支持ブラケット477を着脱可能に設置しており、リンク体支持ブラケット477により、前後進油圧切換弁475及びクラッチ弁476それぞれと連結する前後進リンク体71及びクラッチリンク体72を支持している。なお、前後進リンク体71は、前後進切換レバー36と連結しており、前後進切換レバー36の操作に応じて前後進油圧切換弁475を作動させる。また、クラッチリンク体72は、クラッチペダル37と連結しており、クラッチペダル37の操作に応じてクラッチ弁476を作動させる。
図7〜図10及び図13に示すように、ミッションケース17上面のうち油圧式昇降機構22よりも前方、すなわち、後部変速ケース113の上面前部に、ブレーキシリンダ630の対とオートブレーキ電磁弁631の対を配置している。この場合、ブレーキシリンダ630の対とオートブレーキ電磁弁631の対とをブレーキ制御ケース664に組み付けてユニット化している。そして、ブレーキシリンダ630の対及びオートブレーキ電磁弁631の対を組み込んだブレーキ制御ケース664を後部変速ケース113の上面前部に着脱可能に締結している。
ミッションケース17の左外面、すなわち後部変速ケース113の左外面前部にはPTOバルブケース663を配置している。前述の通り、後部変速ケース113の上面前部にはブレーキ制御ケース664を配置している。従って、PTOバルブケース663とブレーキ制御ケース664とは、後部変速ケース113の外面側で近接して置かれている。ブレーキ制御ケース664への油圧配管とPTOバルブケース663(PTOクラッチ電磁弁627及び切換弁628)への油圧配管とは、互いに近接しているため共通化している。
次に、主として図13〜図17を参照しながら、左右のブレーキ機構563を手動及び自動で作動させる構造の詳細について説明する。運転部7内部の前面側には、ダッシュボード33を固定支持する縦長のボード支持板(エアカットプレート)901を立設していて、当該ボード支持板の上下中途部に左右横長のブレーキペダル軸720を支持させている。ブレーキペダル軸720には左右のブレーキペダル35の基端ボス部35aを被嵌している。実施形態では、左ブレーキペダル35の基端ボス部35aをブレーキペダル軸720と一体回動するように連結し、右ブレーキペダル35の基端ボス部をブレーキペダル軸720に回動可能に被嵌している。ブレーキ操作軸720の左端部には、前向きに突出する左用ペダル軸アーム721を固着している。右ブレーキペダル35の基端ボス部35aには、前向きに突出する右用ペダル軸アーム721を固着している。なお、ブレーキペダル軸720には、クラッチペダル37の基端ボス部37aも回動可能に被嵌している。
ボード支持板の左右下部側には、左右一対で横向きのブレーキ操作軸722を支持させている。左右のブレーキ操作軸722にはそれぞれ、左右のブレーキ操作ボス体723を回動可能に被嵌している。各ブレーキ操作ボス体723には三つのアーム724〜726を突設している。三つのアーム724〜726のうち左右中央に位置する中央アーム724は、上下長手のリンクロッド727を介して対応するペダル軸アーム721に連結している。リンクロッド727の下端側を中央アーム724に回動可能に枢着し、リンクロッド727の上端側をペダル軸アーム721に回動可能に枢着している。
三つのアーム724〜726のうち左右外側に位置する外側アーム725には、前後長手のブレーキロッド728の前端側を回動可能に枢着している。ここで、後部変速ケース113の左右外側面には、左右のブレーキ機構563を制動作動させる制動アーム729を前後回動可能に設けている。ブレーキロッド728の後端側は、制動アーム729の先端側に回動可能に枢着している。左右のブレーキペダル35を共に踏み込み操作することによって、左右のリンクロッド727を介して左右のブレーキロッド728が略同時に後方に押し出されて、左右の制動アーム729が後向きに回動する。その結果、左右のブレーキ機構563が略同時に作動して、左右両後車輪4にブレーキが掛かることになる。ペダル軸アーム721、ブレーキ操作ボス体723、リンクロッド727、ブレーキロッド728及び制動アーム729の組合せがブレーキリンク体730に相当する。
三つのアーム724〜726のうち左右内側に位置する内側アーム726には、索条部材としてのプッシュプルワイヤー731の前端側を回動可能に枢着している。ここで、後部変速ケース113の上面前部にのうちブレーキ制御ケース664の左方(ブレーキシリンダ630側)には、各ブレーキシリンダ630に対応して設けた左右の中継リンク732を配置している(図13参照)。プッシュプルワイヤー731の後端側は、対応する中継リンク732の左端側(一端側)に回動可能に枢着している。各中継リンク732の右端側(他端側)は、対応するブレーキシリンダ630に回動可能に枢着している。操縦ハンドル9の操舵角が所定角度以上になれば、旋回内側の後車輪4に対するオートブレーキ電磁弁631の切換作動によってブレーキシリンダ630が突出動し、対応する中継リンク732を介してプッシュプルワイヤー731を後方に引っ張る。そうすると、ブレーキ操作ボス体723を介してブレーキロッド728が略同時に後方に押し出されて、制動アーム729が後向きに回動する。その結果、旋回内側の後車輪4に対するブレーキ機構563が自動的に制動作動して、旋回内側の後車輪4にブレーキが掛かることになる(いわゆるオートブレーキ)。
図15に示すように、左右のブレーキリンク体730と左右のブレーキペダル35との間に、ブレーキシリンダ630によるブレーキ機構563の作動時(オートブレーキ作動時)にブレーキペダル35を追従作動させない第一融通部材733を設けている。また同様に、左右のブレーキリンク体730と左右のプッシュプルワイヤー731との間に、ブレーキペダル35によるブレーキ機構563の作動時にブレーキシリンダ630を追従作動させない第二融通部材736を設けている。
実施形態の第一融通部材733は、リンクロッド727の下端側とブレーキ操作ボス体723の中央アーム724とを回動可能に枢着する中央融通ピン734と、リンクロッド727の下端側に形成した縦長の第一長穴735とで構成している。リンクロッド727の第一長穴735に中央融通ピン734を遊嵌している。実施形態の第二融通部材736は、プッシュプルワイヤー731の前端側とブレーキ操作ボス体723の内側アーム726とを回動可能に枢着する内側融通ピン737と、プッシュプルワイヤー731の前端保持部に形成した前後長手の第二長穴738とで構成している。プッシュプルワイヤー731側の第二長穴738に内側融通ピン737を遊嵌している。
この場合、旋回内側の後車輪4に対応したブレーキシリンダ630によるブレーキ機構563の作動時(オートブレーキ作動時)には、ブレーキ操作ボス体723を介してブレーキロッド728が略同時に後方に押し出されるが、中央アーム724の中央融通ピン734は第一長穴735内を上向きに移動するだけであり、リンクロッド727ひいてはブレーキペダル35を動かすことはない。すなわち、オートブレーキ作動時に、旋回内側の後車輪4に対する片側のブレーキペダル35が不用意に追従作動することがない。
また、左右両ブレーキペダル35によるブレーキ機構563の作動時には、左右のリンクロッド727を介して左右のブレーキロッド728が略同時に後方に押し出されるが、内側アーム726の内側融通ピン737は第二長穴738内を後方に移動するだけであり、左右のプッシュプルワイヤー731ひいては両ブレーキシリンダ630を追従作動させることはない。従って、左右のブレーキペダル35の踏み込み操作時にブレーキシリンダ630に不要な負荷がかかって、ブレーキシリンダ630が破損するおそれはない。
上記のように、左右のブレーキ機構563を作動させる一対のブレーキシリンダ630と、前記各ブレーキシリンダ630への作動油供給を制御するオートブレーキバルブ631とを備える。そして、左右のブレーキリンク体730を介して前記左右のブレーキペダル35と前記左右のブレーキ機構563とを連動連結すると共に、前記左右のブレーキリンク体730には、索条部材731を介して対応する前記ブレーキシリンダ630を連動連結している。これにより、前記ブレーキペダル35から前記ブレーキ機構563への機械的連結構造に対して、前記索条部材731経由で前記ブレーキシリンダ630を連結できる。このため、前記左右のブレーキ機構563を手動及び自動で作動させる構造を主として機械的な連結構造でとりまとめでき、簡素化してコンパクトに構成しつつ故障にも強いものにできる。
また、前記左右のブレーキリンク体730と前記左右のブレーキペダル35との間に、前記ブレーキシリンダ630による前記ブレーキ機構563の作動時に前記ブレーキペダル35を追従作動させない第一融通部材733を設け、前記左右のブレーキリンク体730と前記左右の索条部材731との間に、前記ブレーキペダル35による前記ブレーキ機構563の作動時に前記ブレーキシリンダ630を追従作動させない第二融通部材736を設けているから、オートブレーキ作動時に片側のブレーキペダル35が不用意に追従作動することがない。一方、前記ブレーキペダル35の踏み込み操作時に前記ブレーキシリンダ630に不要な負荷がかかって、前記ブレーキシリンダ630が破損するおそれもない。従って、前記左右のブレーキ機構563を手動及び自動で作動させる構造を主として機械的な連結構造でとりまとめたものでありながら、手動作動の構造と自動作動の構造との両立を簡単且つ確実に実現できる。
図14〜図17に示す如く、左右のブレーキ機構563を作用させる左右のブレーキペダル(ブレーキ操作具)35は、ブレーキ連結部材59によって常時連結されている。ブレーキ連結部材59は、右側ブレーキペダル35のペダルアーム35bに固定した支持ステー750によりスライド可能に設けた連結ピン751により構成されている。左右ブレーキペダル35それぞれのペダルアーム35bには、連結ピン751を挿入させる貫通穴を設けている。右側ペダルアーム35bの貫通穴には、連結ピン751が常時挿入された状態となる一方、左側ペダルアーム35bの貫通穴に対して連結ピン751を挿脱可能にスライドさせる。また、連結ピン751は、左右のペダルアーム35bの間の弾性部材(コイルバネ)752により、左側ペダルアーム35bの貫通穴に挿入する方向(左方向)に付勢されている。
ブレーキ連結部材59は、連結ピン751をスライド移動させるスライド操作部材753を備えており、スライド操作部材753の先端カム部754を連結ピン751の右端に連結させている。スライド操作部材753は、支持ステー750に対して回動可能に軸支されており、軸支点を挟んで先端カム部754と逆側となる先端をプッシュプルワイヤー(連結部材リンク体)755の一端と接続している。また、スライド操作部材753の前方(エアカットプレート901側)には、例えば、近接センサやタッチセンサなどによる連結監視センサ850を配置している。この連結監視センサ850により、スライド操作部材753の揺動動作を検知することで、連結ピン751のスライド位置を検知し、左右のブレーキペダル35の連結・非連結を検出する。連結監視センサ850は、支持ステー750に固定されている。
ブレーキ連結解除ペダル57は、ブレーキ連結部材59による左右のブレーキペダル35の連結を解除する連結解除操作具として設けられている。ブレーキ連結解除ペダル57は、運転部7において床板40下方で軸支されており、ブレーキ連結解除ペダル57のペダル部分を床板40より突出させている。ブレーキ連結解除ペダル57は、床板40下方で床板40に固定されるペダル用軸支ステー756により、連結解除ペダル軸757が軸支されている。連結解除ペダル軸757は左右方向に延設されており、ブレーキ連結解除ペダル57は前後に揺動可能に構成している。
連結解除ペダル軸757は、その右側をペダル用軸支ステー756により軸支されており、その中途部にブレーキ連結解除ペダル57のペダルアーム758を設けており、その左端にワイヤ連結用アーム759を設けている。ワイヤ連結用アーム759は、一端を連結解除ペダル軸757と接続する一方、他端をプッシュプルワイヤー(連結解除リンク体)760の一端と接続している。また、ワイヤ連結用アーム759の側方には、解除操作監視センサ(操作具監視センサ)851を配置している。
このように構成することで、ブレーキ連結解除ペダル57への操作に応じて、ペダルアーム758と同軸のワイヤ連結用アーム759を回動させることで、プッシュプルワイヤー760を押引させる。このとき、解除操作監視センサがワイヤ連結用アーム759の位置を検出することで、ブレーキ連結解除ペダル57への操作を検知する。また、ペダルアーム758の一端を、ペダル用軸支ステー756に固定した弾性部材(コイルバネ)761で付勢することで、ブレーキ連結解除ペダル57への操作がないときは、ブレーキ連結解除ペダル57を固定位置に配置する。また、ブレーキ連結解除ペダル57が踏み込まれると、ワイヤ連結用アーム759の他端(プッシュプルワイヤー760との連結側)が下側に回動するため、プッシュプルワイヤー760が引っ張られる。
連結解除レバー56は、左右方向に揺動可能に支持された規制部材762と連結している。規制部材762は、ロック機構支持ステー763に支持されており、左右に揺動するとともに、連結解除レバー56を左側に操作した際には、連結解除レバー56との連結部分を上下にも揺動可能としている。規制部材762の連結解除レバー56との連結側において、下側に屈曲させた先端ロック部764を設けている。ロック機構支持ステー763は、規制部材762下方に、左右に延設される連結解除中継軸765を軸支している。連結解除中継軸765外周面には、規制部材762の先端ロック部764下縁と上縁を当接させる規制アーム766と、プッシュプルワイヤー755,760の他端と一端を連結させた連結解除中継アーム767とを設けている。
規制部材762が、連結解除レバー56との連結側の逆側が弾性部材(コイルバネ)768により付勢されており、連結解除中継アーム767の他端が、弾性部材(コイルバネ)769により付勢されている。規制部材762は、弾性部材768によって、連結解除レバーとの連結部分を右側に位置させるように付勢される。また、連結解除中継アーム767は、弾性部材769によって、プッシュプルワイヤー755,760との連結部分を上方に位置させるように付勢される。
連結解除レバー56を通常位置(右側位置)に固定した場合は、規制部材762の先端ロック部764下端を、連結解除中継軸765の規制アーム766上端に当接させることとなり、連結解除中継軸765が回動不能となる。従って、ブレーキ連結解除ペダル57が踏み込まれることで、プッシュプルワイヤー760が下側に引っ張られようとしても、連結解除中継アーム767が回転できず、プッシュプルワイヤー755を引っ張ることがないため、スライド操作部材753が揺動することがない。即ち、連結解除レバー56を通常位置(右側位置)に固定することで、ブレーキ連結解除ペダル57の操作が無効となるため、連結ピン751による左右ブレーキペダル35の連結がロックされたままの状態となる。
連結解除レバー56をロック解除位置(左側位置)に固定した場合は、規制部材762の先端ロック部764が連結解除中継軸765の規制アーム766に対して左側にオフセットした位置に配置されるため、先端ロック部764と規制アーム766とによる連結解除中継軸765の回動規制が解除される。従って、ブレーキ連結解除ペダル57が踏み込まれることで、プッシュプルワイヤー760が下側に引っ張られたとき、連結解除中継アーム767が下方に回転し、プッシュプルワイヤー755を下側に引っ張ることとなる。プッシュプルワイヤー755によりスライド操作部材753の連結部分が上方に引っ張られた結果、スライド操作部材753が回転する。これにより、スライド操作部材753の先端カム部754が右方向に移動して、連結ピン751を右方向にスライドさせるため、左右ブレーキペダル35の連結が解除される。
また、ブレーキ連結解除ペダル57の踏み込みが解除されると、弾性部材752,760,768の付勢力により、連結ピン751、ブレーキ連結解除ペダル57、及び連結解除中継アーム767のそれぞれが通常位置に戻る。これにより、連結ピン751が左右ブレーキペダル35に挿入された状態となり、左右ブレーキペダル35が連結される。また、左右のブレーキペダル35を軸支するブレーキペダル軸720を備えたブレーキペダル支持機構916に、ロック機構支持ステー763が固定されている。
更に、ロック機構支持ステー763には、規制部材762近傍に、近接センサやタッチセンサなどによるロック機構監視センサ852を配置している。ロック機構監視センサ852は、ロック機構支持ステー763に固定されており、規制部材762の一端の揺動位置を検知することで、連結解除レバー56の操作状態を検知し、ブレーキ連結解除ペダル57による操作(連結解除操作)の可否を検出する。
駐車ブレーキレバー43は、駐車ブレーキアーム770を介して係止部材771の一端と連結している。側面視弓形の係止部材771は、ブレーキペダル支持機構916に軸止されている。係止部材771は、軸止位置を挟んで駐車ブレーキアーム770との連結部分との逆側に係止爪772を設けるとともに、プッシュプルワイヤー(駐車ブレーキリンク体)773の一端を接続する。係止部材771は、係止部材77の外周縁に係止爪772を連続的に形成する一方、係止部材771を中立位置に保持すべく、弾性体(コイルバネ)774により付勢されている。
左ブレーキペダル35のペダルアーム35bの左側面には、係止部材771の係止爪772に係合させる係止板775を設けている。また、プッシュプルワイヤー773の他端は、ロック機構支持ステー763に軸止された駐車ブレーキ規制部材776の一端に連結されており、駐車ブレーキ規制部材776の他端が弾性部材(コイルバネ)777により付勢される。駐車ブレーキ規制部材776は、その上縁が連結解除中継アーム767の一端と当接可能な位置に配置されている。
このように構成することで、ブレーキ連結部材59(連結ピン751)により連結された左右ブレーキペダル35を踏み込んだ制動状態(停車状態)で、駐車ブレーキレバー43が上方に引くことで、係止部材771の係止爪772を係止板775に係合させ、左右ブレーキペダル35の踏み込み位置を保持させ、制動状態(停車状態)を維持できる。このとき、プッシュプルワイヤー773により駐車ブレーキ規制部材776の一端が引き上げられることで、駐車ブレーキ規制部材776の上縁を連結解除中継アーム767の一端に当接させ、ブレーキ連結解除ペダル57の操作を規制できる。一方、ブレーキ連結解除ペダル57が操作されているとき(左右ブレーキペダル35が非連結のとき)、連結解除中継アーム767の一端を下方に回動させて駐車ブレーキ規制部材776の上縁に当接させることで、駐車ブレーキレバー43による操作を規制できる。
図14及び図18等に示すように、ダッシュボード33の前側は、ボンネット6下のエンジン5等からの熱を遮蔽するための遮熱板(エアカットプレート)901で覆われる。ダッシュボード33は、エアカットプレート901の後面に固着させた通信端末装置950やGPSアンテナ905を内装している。エアカットプレート901に、通信端末装置950及びアンテナ905を取り付けることによって、1つのユニットとして構成できるため、ダッシュボード33内側への各部品の組付け作業を簡略化できる。アンテナ905は、GPS(全地球測位システム)衛星からの電波を受信するGPSアンテナである。
また、通信端末装置950及びGPSアンテナ905をダッシュボード33内で近接させて配置できるため、通信端末装置950とGPSアンテナ905との電気的な接続が容易となる。更に、外側から見えることのない場所に通信端末装置950及びGPSアンテナ905を配置することで、外部から第三者によるアクセスを防止でき、例えば、通信端末装置950とGPSアンテナ905との電気的な結線の切断や盗難などを防止できる。
外部と通信を実行するアンテナ905と、該アンテナ905と電気的に接続した通信端末装置950とを、エアカットプレート901の後面に固定し、ステアリングコラム32を埋設するように立設したダッシュボード33内に、アンテナ905及び通信端末装置950を配置させている。そして、ダッシュボード33にメータパネル906を固定させており、該メータパネル906と電気的に接続したメータコントローラ904をメータパネル906と一体に構成し、ダッシュボード33内において、通信端末装置950に対向するようにメータコントローラ904を配置させている。通信端末装置950及びGPSアンテナ905と共にメータコントローラ904をダッシュボード33内にコンパクトに設置できるとともに、電気的な配線を短経路化でき、配線作業簡略化できる。
上述のように、ダッシュボード33内に通信端末装置950及びGPSアンテナ905を収容することで、運転部7がキャビンなどで覆われていない構成であっても、外部から第三者によるアクセスを防止でき、例えば、通信端末装置950とGPSアンテナ905との電気的な結線の切断や盗難などを防止できる。また、ダッシュボード33にメータパネル906を固定させており、該メータパネル906と電気的に接続したメータコントローラ904をメータパネル906と一体に構成し、ダッシュボード33内において、通信端末装置904に対向するようにメータコントローラ904を配置させている。通信端末装置950及びGPSアンテナ905と共にメータコントローラ904をダッシュボード33内にコンパクトに設置できるだけでなく、ダッシュボード33で覆うことで、雨水や塵埃に暴露されることがないため、故障等を防止できる。
ダッシュボード33は、インナーボード(内側ボード)33aと、アウターボード(外側カバー)33bとで構成されている。インナーボード33aの外周縁をエアカットプレート901の外周縁に連結して、インナーボード33aをエアカットプレート901背面に固定する。そして、インナーボード33a上部を覆うように、アウターボード33bをインナーボード33a上側から嵌めて、ダッシュボード33を形成する。インナーボード33aの中央上側に開口部33cが設けられており、開口部33cにメータパネル906表示面が収まるように、インナーボード33a前面にメータパネル906を固定させる。
また、インナーボード33aは、開口部33c外周部分を隆起させた形状を有することで、メータパネル906の表示部外側を側壁33dで囲んだ状態とする。これにより、ダッシュボード33の最背面よりも奥まった位置に、メータパネル906の表示面を配置できるため、キャビン7のサイドドア323等への映り込みを防止できる。そのため、メータパネル906表示面の発光に基づく映り込みがなく、走行時や作業時におけるオペレータの視界の妨げを防止できる。メータパネル906裏面にはメータECU(メータコントローラ)904が取り付けられている。即ち、メータECU904は、メータパネル906と一体に設けられており、ダッシュボード33内に埋設されている。
メータパネル906は、操縦ハンドル9の前方下側となる位置で、操縦座席8に着座したオペレータに対面するように、そのパネル表面を後方からやや上方に傾けた状態で配置されている。又、メータパネル906の外縁は、内側から外側に向けて隆起させたインナーボード33aの側壁33dで覆われている。インナーボード33aは、メータパネル906外周となる位置に、例えば、パーキングスイッチなどの複数のスイッチ部材907を配置している。また、キースイッチ61は、鍵穴に差し込んだ所定の鍵にて回転操作可能なロータリ式スイッチであり、ダッシュボード33における操縦ハンドル9の右側位置に取り付けられている。
メータパネル906は、運転操作表示装置として、その中央表示領域に、文字表示などを行う液晶パネル908を配置しており、液晶パネル908外周にエンジン5の回転数を指針で示すエンジン回転計909を設けている。また、メータパネル906は、エンジン回転計909の左側に、燃料残量を指針で示す燃料計910を配置し、エンジン回転計910の右側に、エンジン5の冷却水温を指針で示す水温計911を配置している。
また、メータパネル906は、エンジン回転計909の左右外側(中央表示領域の外側)の表示領域にLED等による複数の表示ランプ912,913を配置している。エンジン回転計909の左に配置された表示ランプ912は、例えば、走行系に関する警告灯や表示灯として作用する。一方、エンジン回転計909の右に配置された表示ランプ913は、作業系に関する警告灯や表示灯として作用する。また、左右の表示ランプ912,913のうち、一方を軽度の故障による警告灯として作用させ、他方を重度の故障による警告灯として作用させる。また、左側の表示ランプ912を走行系に関する警告灯又は表示灯として作用させる場合に、表示ランプ912の一つを、排気ガス浄化装置224の再生処理状態を示す再生ランプに割り当てる。
ステアリングコラム32は、インナーボード33bで周囲が囲まれるように設置されており、ダッシュボード33の背面側に埋設するような状態で立設している。ステアリングコラム32内に縦長のハンドル軸921を軸支している。ハンドル軸921の上端側はステアリングコラム32上面から上向きに突出している。当該ハンドル軸921の上端側に平面視略丸型の操縦ハンドル9を取り付けている。ハンドル軸921の下端側には、自在継手を介して縦長のステアリング軸740の先端側を連結している。ステアリング軸740の基端側には、自在継手741を介して、ボード支持板(エアカットプレート)901の下部側に支持させたパワーステアリング油圧機構621の操作軸742を連結している。
操縦ハンドル9基部のステアリングコラム32上面には、排気ガス浄化装置224の再生制御を実行させるDPF再生スイッチ62を設けている。すなわち、直進作業姿勢のときにオペレータの視界にDPF再生スイッチ62が配置されている。したがって、DPF再生スイッチ62が、操縦ハンドル9または操作レバー36,62,63などに隠れることなく、座乗したオペレータにて、DPF再生スイッチ64の位置及び点灯表示状態を容易に視認できる。
ステアリングコラム32上面のうち、操縦ハンドル9のハンドル軸921を中心として左右対称となる位置に、作業用スイッチやワンタッチ自動スイッチ等の複数のスイッチ65を配置している。したがって、座乗したオペレータにて、ステアリングコラム32上面に配置されたスイッチ65群を視認して、作業用スイッチとワンタッチ自動スイッチの位置を容易に確認できるので、誤操作を低減できる。
操縦ハンドル9基部のステアリングコラム32上面に、DPF再生スイッチ64と、作業用スイッチやワンタッチ自動スイッチといったスイッチ65を設けている。そして、ブレーキペダル35上方のステアリングコラム32一側上面にDPF再生スイッチ64を設置している。一方、走行機体2の前後中心線上に配置される操縦ハンドル9のスポークを挟んで、作業用スイッチやワンタッチ自動スイッチによるスイッチ65,65を設置している。なお、本実施形態では、左側に配置されたスイッチ65を作業用スイッチとし、右側に配置されたスイッチ66をワンタッチ自動スイッチとしている。
次に、図19及び図20を参照しながら、トラクタ1におけるブレーキ連結の監視制御を実行するための構成について説明する。図19に示す如く、トラクタ1は、エンジン5の駆動を制御するエンジンコントローラ(エンジンECU)271と、ダッシュボード33搭載の操作表示盤(メーターパネル)906の表示動作を制御するメータコントローラ(メータECU)904と、走行機体2の速度制御等を行う走行コントローラ(走行ECU)813とを備えている。
上記コントローラ271,904,813、通信端末装置950、及び操作用モニタ55はそれぞれ、各種演算処理や制御を実行するCPUの他、制御プログラムやデータを記憶させるためのROM、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM、時間計測用のタイマ、及び入出力インターフェース等を備えており、CAN通信バス815を介して相互に通信可能に接続されている。エンジンコントローラ271及びメータコントローラ904は、電源印加用キースイッチ61を介してバッテリ817に接続されている。
エンジンコントローラ271による制御に基づき、エンジン5では、燃料タンクの燃料が燃料ポンプによってコモンレールに圧送され、高圧の燃料としてコモンレールに蓄えられる。そして、エンジンコントローラ271が、各燃料噴射バルブをそれぞれ開閉制御(電子制御)することで、不図示のコモンレール内の高圧の燃料が、噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールされた上で、各インジェクタ(図示せず)からエンジン5の各気筒に噴射される。
メータコントローラ904の入力側には、操縦ハンドル9の回動量(操舵角度)を検出する操舵角センサ(操舵ポテンショ)821と、連結部材59の状態を監視する連結監視センサ850と、連結解除操作具(ブレーキ連結解除ペダル)57の操作状態を監視する解除操作監視センサ(操作具監視センサ)851と、ロック機構(規制部材)762の状態を監視するロック機構監視センサ852とを接続している。また、メータコントローラ904の出力側には、メータパネル906における液晶パネル908や各種警報ランプ912,913などとともに、警報ブザー831、倍速油圧切換弁625、四駆油圧切換弁626、及び左右のオートブレーキ電磁弁631を接続している。
メータコントローラ904は、操舵角821からの検出信号が入力されて、操縦ハンドル9の操舵角度を検知する。また、メータコントローラ904は、メータパネル39に各種信号を出力し、警報ランプ912,913の点消灯動作及び点滅動作、液晶パネル908の表示動作、警報ブザー831の発報動作などを制御する。また、メータコントローラ904は、倍速油圧切換弁625、四駆油圧切換弁626、及び左右のオートブレーキ電磁弁631それぞれを制御することで、倍速油圧クラッチ573、四駆油圧クラッチ575、及び左右のブレーキシリンダ630それぞれを作動させる。
走行コントローラ813の入力側には、作業機体2の車速を検出するピックアップ回転センサ(車速センサ)823、ブレーキペダル35の踏み込みを検出するブレーキセンサ828、クラッチペダル37の踏み込みを検出するクラッチセンサ829、及び、駐車ブレーキレバー43の操作量を検出する駐車ブレーキセンサ830を接続している。
次に、図20を参照しながら、トラクタにおけるブレーキ連結の監視制御について説明する。メータコントローラ904は、連結監視センサ850からの信号を受けて、連結部材59によるブレーキペダル(ブレーキ操作具)35の連結が解除されているか否かを判定する(STEP1)。メータコントローラ904は、ブレーキペダル35の連結が解除されているものと判定した場合(STEP1でNo)、連結部材59を含むブレーキ連結機構に異常があるか否かを判定する(STEP2)。
STEP2におけるブレーキ連結機構の異常判定の第1例について、以下に説明する。メータコントローラ904は、連結監視センサ850からの信号により、ブレーキペダル35の連結解除が継続しているか否かを確認し、連結解除状態が所定時間以上継続している場合に、ブレーキ連結機構に異常が発生したものと判定する。即ち、ブレーキ連結解除ペダル57を操作することで、左右のブレーキペダル35を常時連結させる連結部材59による連結を一時的に解除して、もとの連結状態に復帰させる場合、連結解除状態が所定時間以内となるため、ブレーキ連結機構が正常であるものと判定する。
STEP2におけるブレーキ連結機構の異常判定の第2例について、以下に説明する。メータコントローラ904は、解除操作監視センサ851からの信号と連結監視センサ850からの信号とに基づき、ブレーキ連結解除ペダル57が非操作であるときに連結部材59により非連結状態となった場合、ブレーキ連結機構に異常が発生したものと判定する。即ち、ブレーキ連結解除ペダル57が非操作状態であるにもかかわらず、左右のブレーキペダル35を非連結と判定していることを確認した場合、ブレーキ連結機構に異常が発生しているものと判定する。
STEP2におけるブレーキ連結機構の異常判定の第3例について、以下に説明する。メータコントローラ904は、ロック機構監視センサ852からの信号と連結監視センサ850からの信号とに基づき、連結解除ロックレバー56により連結解除が規制されているときに連結部材59により非連結状態となった場合、ブレーキ連結機構に異常が発生したものと判定する。即ち、ブレーキ連結解除ペダル57による連結解除操作が禁止されているにもかかわらず、左右のブレーキペダル35を非連結と判定していることを確認した場合、ブレーキ連結機構に異常が発生しているものと判定する。
メータコントローラ904は、ブレーキ連結機構に異常があるものと判定すると(STEP2でYes)、トラクタ1が一般道などの路上走行中であるか否かを確認する(STEP3)。メータコントローラ904は、路上走行でないと判定すると(STEP3でYes)、オペレータに異常を報知するべく、第1警報を発報させる(STEP4)。メータコントローラ904は、路上走行であると判定すると(STEP3でYes)、オペレータに異常を報知するべく、第1警報よりも警告レベルの高い第2警報を発報させる(STEP5)。
STEP3における路上走行判定の第1例について、以下に説明する。メータコントローラ904は、走行コントローラ813を通じて車速センサ(ピックアップ回転センサ)823からの信号を受けて、トラクタ1の車速を確認し、トラクタ1の車速が所定速度以上であるか否かを判定する。そして、トラクタ1の車速が所定速度以上である場合、一般道などで路上走行を行っているものと判定する(STEP3でYes)。これにより、トラクタ1の走行速度が所定速度以上であるときに連結部材59により非連結状態となっている場合、オペレータに警告レベルの高い第2警報を報知できる(STEP5)。
STEP3における路上走行判定の第2例について、以下に説明する。メータコントローラ904は、通信端末装置950を通じてGPSアンテナ905(位置検出センサ)による受信信号を受けて、トラクタ1の車両位置を確認し、トラクタ1の車両位置が一般道などの路上であるか否かを判定する。そして、トラクタ1の車両位置が一般道などの路上である場合、一般道などで路上走行を行っているものと判定する(STEP3でYes)。これにより、トラクタ1の車両位置が一般道などの路上であるときに連結部材59により非連結状態となっている場合、オペレータに警告レベルの高い第2警報を報知できる(STEP5)
STEP4及びSTEP5それぞれにおける第1警報及び第2警報は、例えば、メータパネル906上におけるブレーキペダル35の連結状態を示す表示ランプ912を点滅させるものであってもよいし、液晶パネル908や操作用モニタ55に連結異常を報知する表示を行うものであってもよいし、警報ブザー831を発報させるものであってもよいし、これらの組み合わせとしてもよい。なお、STEP5における第2警報は、STEP4の第1警報に比べて、オペレータに対して強く注意喚起するべく、表示ランプ912の点滅速度を速めたり、警報ブザー831の発報間隔を短縮したり、液晶パネル908や操作用モニタ55の表示色を変更するなどして、その警告レベルの高いものとすることが望ましい。
メータコントローラ904は、トラクタ1が路上走行であると判定して(STEP3でYes)、第2警報を発報した後(STEP5)、トラクタ1の車速を所定速度まで制限させる(STEP6)。このとき、例えば、メータコントローラ904は、車速センサ823からの信号を受けて、トラクタ1の車速を監視しながら、エンジンコントローラ271に信号を与えて、エンジン5の回転速度を制限することで、トラクタ1の車速を所定速度まで制限できる。
そして、メータコントローラ904は、走行コントローラ813と通信することで、左右それぞれのブレーキセンサ828からの信号を受けて、ブレーキペダル35への操作の有無を確認する(STEP7)。メータコントローラ904は、左右のブレーキペダル35のいずれか一方が操作されたことを確認すると(SETP7でYes)、左右のオートブレーキ電磁弁631を制御し、左右のブレーキシリンダ630を同時に作動させることで、走行機体2の制動動作を実行させる(STEP8)。これにより、路上走行中のトラクタ1において、非連結状態である左右のブレーキペダル35の少なくとも一方が操作されたとしても、左右のブレーキ機構563を同時に作動することで、左右の後車輪4両方に制動作用を機能させることができる。従って、路上走行中のトラクタ1における片ブレーキ操作を回避することができ、転落転倒事故を未然に防止できる。
また、図21に示すように、エンジンECU271及びメータECU904はそれぞれ、CAN通信バスを通じて通信端末装置950と通信可能に構成している。これにより、通信端末装置950は、エンジンECU271及びメータECU904などから信号を受信し、トラクタ1の稼働状態やコンディションを認識する。また、通信端末装置950は、GPSアンテナ905と接続しており、GPSアンテナ905を通じて人工衛星951と通信することで、トラクタ1の現在位置を特定する。更に、通信端末装置950は、図示しない内蔵アンテナにより、通信回線網(無線LANや電話回線など)における基地局952と通信可能に構成しており、基地局952を通じて管理サーバ953に、トラクタ1の現在位置と共に、トラクタ1の稼働状態やコンディションを送信する。
このように、トラクタ1は、GPSアンテナ905及び通信端末装置950により自己の位置確認機能を備えることで、例えば、経営管理する複数の圃場の管理情報データベースとして管理サーバ953を活用した場合、管理サーバ953にアクセスすることで、未作業である任意の圃場を確認でき、複数の作業者が複数の圃場での農作業を効率的に実行でき、農作業の省力化を行える。また、トラクタ1の稼働状態やコンディションを製造者又は販売者が管理サーバ953を通じて確認することで、メンテナンスが必要なトラクタ1のオペレータに対して、連絡をすることができるだけでなく、メンテナンスが必要なトラクタ1の位置を確認し、メンテナンス作業を実行する作業者を派遣できる。
トラクタ1は、外部サーバ(管理サーバ)953と通信可能な通信端末装置950を備えており、作業者に対してブレーキ連結における異常警報を報知する際には、当該異常警報の内容を外部サーバ953に送信する。これにより、製造者や販売者側で、トラクタ1におけるブレーキ連結異常を確認できるため、端末通信や電話通信等によって作業者と連絡をとることで、ブレーキ連結の異常を作業者に知らせることができる。従って、トラクタ1の作業者に対して、ブレーキ連結の異常発生を確実に連絡することができ、片ブレーキ操作による事故の発生を未然に防止できる。
更に、外部サーバ(管理サーバ)953では、GPSアンテナ905によるトラクタ1の位置情報を受信することで、トラクタ1が一般道などの路上走行中であるか否かを確認できる。従って、外部サーバ(管理サーバ)953において、路上走行中のトラクタ1にブレーキ連結の異常が発生したことを検出することができるため、片ブレーキ操作による事故の発生率が高い路上走行中のトラクタ1の作業者に対して、ブレーキ連結の異常をより確実に通知できる。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。