JP6396741B2 - 研磨用組成物及びその製造方法並びに研磨方法 - Google Patents

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Description

本発明は研磨用組成物及びその製造方法並びに研磨方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、単体シリコン(Si)、シリコン化合物、金属等の研磨対象物を研磨する工程があり、例えば、化学反応性に乏しい窒化ケイ素(Si)を高研磨速度で研磨することが要求される。窒化ケイ素を研磨するために従来使用されている研磨用組成物の多くは、砥粒及び酸を含有している。例えば、特許文献1には、リン酸又はリン酸誘導体を含有する研磨用組成物が開示されている。また、特許文献2には、コロイダルシリカと、スルホン酸基又はホスホン酸基を有する有機酸とを含有する研磨用組成物が開示されている。さらに、特許文献3には、スルホン酸やカルボン酸のような有機酸を固定化したコロイダルシリカを含有する酸性の研磨用組成物が開示されている。しかしながら、これら従来の研磨用組成物は、窒化ケイ素の研磨速度に関するユーザーの要求を十分に満足するものではなかった。
特開平6−124932号公報 特開2010−41037号公報 特開2012−40671号公報
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、単体シリコン、シリコン化合物、金属等の研磨対象物、特に、窒化ケイ素を高研磨速度で研磨することが可能な研磨用組成物及びその製造方法並びに研磨方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る研磨用組成物は、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカと、2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物と、を含有することを要旨とする。
上記一態様に係る研磨用組成物においては、複素環化合物がイミダゾール誘導体及びピラゾール誘導体から選ばれる少なくとも1種であってもよい。また、複素環化合物が5員環の化合物であってもよい。さらに、複素環化合物が、イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、ピラゾール、1−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ピラゾールジカルボン酸水和物、及び3−アミノ−5−メチルピラゾールから選ばれる少なくとも1種であってもよい。
さらに、上記一態様に係る研磨用組成物は、pHが7以下であってもよい。
さらに、上記一態様に係る研磨用組成物においては、有機酸がスルホン酸、カルボン酸、スルフィン酸、及びホスホン酸から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
さらに、上記一態様に係る研磨用組成物においては、複素環化合物の含有量が0.01質量%以上1質量%以下であってもよい。
さらに、上記一態様に係る研磨用組成物は、窒化ケイ素の研磨に使用することができる。
また、本発明の他の態様に係る研磨方法は、上記一態様に係る研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することを要旨とする。この研磨方法においては、研磨対象物が窒化ケイ素であってもよい。
さらに、本発明の他の態様に係る研磨用組成物の製造方法は、上記一態様に係る研磨用組成物を製造する方法であって、コロイダルシリカと複素環化合物と液状媒体とを混合することを含むことを要旨とする。
さらに、本発明の他の態様に係る基板は、上記一態様に係る研磨用組成物を用いて表面が研磨されたことを要旨とする。
さらに、本発明の他の態様に係る基板製造方法は、上記一態様に係る研磨用組成物を用いて基板の表面を研磨することを含むことを要旨とする。
本発明の研磨用組成物及び研磨方法は、単体シリコン、シリコン化合物、金属等の研磨対象物を高研磨速度で研磨することができる。また、本発明の研磨用組成物の製造方法は、単体シリコン、シリコン化合物、金属等の研磨対象物を高研磨速度で研磨する研磨用組成物を製造することができる。
本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施形態の研磨用組成物は、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカと、2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物と、を含有する。この研磨用組成物は、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカと、2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物と、水、有機溶剤等の液状媒体と、を混合することによって製造することができる。
この研磨用組成物は、単体シリコン、シリコン化合物、金属等の研磨対象物を研磨する用途、例えば、半導体デバイスの製造プロセスにおいて半導体配線基板の単体シリコン、シリコン化合物、金属等を含んだ表面を研磨する用途に好適である。そして、窒化ケイ素を研磨する用途に特に好適である。この研磨用組成物を用いて研磨を行えば、単体シリコン、シリコン化合物、金属等の研磨対象物、特に窒化ケイ素を高研磨速度で研磨することができる。
以下に、本実施形態の研磨用組成物について詳細に説明する。
1.表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカについて
1−1 有機酸の固定化について
表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカは、研磨用組成物において砥粒として機能する。コロイダルシリカの表面への有機酸の固定化は、例えば、コロイダルシリカの表面に有機酸の官能基を化学的に結合させることにより行われる。コロイダルシリカと有機酸を単に共存させただけでは、コロイダルシリカへの有機酸の固定化は果たされない。
有機酸の一種であるスルホン酸をコロイダルシリカに固定化するのであれば、例えば、“Sulfonic acid−functionalized silica through quantitative oxidation of thiol groups”,Chem. Commun.246−247(2003)に記載の方法で行うことができる。具体的には、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング剤をコロイダルシリカの表面のヒドロキシ基に反応させてカップリングさせた後に、過酸化水素でチオール基を酸化することにより、スルホン酸が表面に固定化されたコロイダルシリカを得ることができる。
あるいは、カルボン酸をコロイダルシリカの表面に固定化するのであれば、例えば、“Novel Silane Coupling Agents Containing
a Photolabile 2−Nitrobenzyl Ester for Introduction of a Carboxy Group on the Surface of Silica Gel”,Chemistry Letters,3,228−229(2000)に記載の方法で行うことができる。具体的には、光反応性2−ニトロベンジルエステルを含むシランカップリング剤をコロイダルシリカの表面のヒドロキシ基に反応させてカップリングさせた後に、光照射することにより、カルボン酸が表面に固定化されたコロイダルシリカを得ることができる。
その他では、スルフィン酸、ホスホン酸等の有機酸をコロイダルシリカの表面に固定化してもよい。
通常のコロイダルシリカは、酸性条件下ではゼータ電位の値がゼロに近いため、酸性条件下ではコロイダルシリカの粒子同士が互いに電気的に反発せず、凝集を起こしやすい。これに対して、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカは、酸性条件下でもゼータ電位が比較的大きな負の値を有するように表面修飾されているため、酸性条件下においてもコロイダルシリカの粒子同士が互いに強く反発して良好に分散する。その結果、研磨用組成物の保存安定性が向上する。
1−2 アスペクト比について
表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカのアスペクト比は、1.4未満であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましく、1.25以下であることがさらに好ましい。そうすれば、砥粒の形状が原因となる研磨対象物の表面粗さを良好なものとすることができる。
なお、このアスペクト比は、コロイダルシリカ粒子に外接する最小の長方形の長辺の長さを同じ長方形の短辺の長さで除することにより得られる値の平均値であり、走査型電子顕微鏡によって得たコロイダルシリカ粒子の画像から、一般的な画像解析ソフトウエアを用いて求めることができる。
1−3 平均一次粒子径について
表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカの平均一次粒子径は、5nm以上であることが好ましく、7nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。また、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカの平均一次粒子径は、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
このような範囲であれば、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度が向上する。また、研磨用組成物を用いて研磨した後の研磨対象物の表面にディッシングが生じることをより抑えることができる。
なお、コロイダルシリカの平均一次粒子径は、例えば、BET法で測定されるコロイダルシリカの比表面積に基づいて算出される。
1−4 平均二次粒子径について
表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカの平均二次粒子径は、25nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、35nm以上であることがさらに好ましい。また、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカの平均二次粒子径は、300nm以下であることが好ましく、260nm以下であることがより好ましく、220nm以下であることがさらに好ましい。
このような範囲であれば、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度が向上する。また、研磨用組成物を用いて研磨した後の研磨対象物の表面に表面欠陥が生じることをより抑えることができる。
なお、ここでいう二次粒子とは、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカ(一次粒子)が研磨用組成物中で会合して形成する粒子をいい、この二次粒子の平均二次粒子径は、例えば動的光散乱法により測定することができる。
1−5 粒度分布について
表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカの粒度分布において、微粒子側からの積算粒子質量が全粒子質量の90%に達したときの粒子の直径D90と、微粒子側からの積算粒子質量が全粒子質量の10%に達したときの粒子の直径D10との比D90/D10は、1.5以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましい。また、この比D90/D10は、5.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。
このような範囲であれば、研磨対象物の研磨速度が向上し、また、研磨用組成物を用いて研磨した後の研磨対象物の表面に表面欠陥が生じることをより抑えることができる。
なお、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカの粒度分布は、例えばレーザー回折散乱法により求めることができる。
1−6 コロイダルシリカの含有量について
表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカの研磨用組成物全体における含有量は、0.005質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。このような範囲であれば、研磨対象物の研磨速度が向上する。
また、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカの研磨用組成物全体における含有量は、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨用組成物のコストを抑えることができる。また、研磨用組成物を用いて研磨した後の研磨対象物の表面に表面欠陥が生じることをより抑えることができる。
2.2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物について
2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物は、研磨対象物の研磨速度の向上に寄与する。特に、窒化ケイ素の研磨速度の向上に有効である。研磨対象物が窒化ケイ素の場合は、複素環化合物が窒化ケイ素に接近すると、窒化ケイ素の共有結合が伸びて結合力が弱まるため、研磨速度が向上すると考えられる。
イミダゾール等の複素環化合物は、研磨用組成物に防食剤(研磨対象物の表面の金属の溶解を抑制することにより、研磨対象物の表面の表面状態の悪化(面荒れ等)を抑える添加剤)として添加されることがあるが、研磨対象物の研磨速度の向上に寄与することは知られていない。なお、2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物が、研磨用組成物において防食剤としても機能することは勿論である。
2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物としては、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、トリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体、キノキサリン誘導体等があげられる。この複素環化合物の環員数は特に限定されるものではなく、5員環の化合物であってもよいし、6員環の化合物であってもよい。一実施態様としては、2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物は5員環の化合物である。また、環中に2個以上の窒素原子を含んでいるならば、さらに環外にも窒素原子(例えばアミノ基、ニトロ基として)を含んでいてもよい。
イミダゾール誘導体の具体例としては、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、5,6−ジメチルベンゾイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、2−クロロベンゾイミダゾール、2−メチルベンゾイミダゾール、2−(1−ヒドロキシエチル)ベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシベンゾイミダゾール、2−フェニルベンゾイミダゾール、2,5−ジメチルベンゾイミダゾール、5−メチルベンゾイミダゾール、5−ニトロベンゾイミダゾールがあげられる。
また、ピラゾール誘導体の具体例としては、ピラゾール、4−ニトロ−3−ピラゾールカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸水和物、3−アミノ−5−フェニルピラゾール、5−アミノ−3−フェニルピラゾール、3,4,5−トリブロモピラゾール、3−アミノピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ジメチル−1−ヒドロキシメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、1−メチルピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾールがあげられる。
さらに、トリアゾール誘導体の具体例としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾールがあげられる。
さらに、テトラゾール誘導体の具体例としては、テトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−フェニルテトラゾールがあげられる。
これら2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ただし、これらの複素環化合物の中でも、イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、ピラゾール、1−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ピラゾールジカルボン酸水和物、及び3−アミノ−5−メチルピラゾールがより好ましい。
2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物の研磨用組成物全体における含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.10質量%以上であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨対象物の研磨速度が向上する。
また、2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物の研磨用組成物全体における含有量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨用組成物のコストを抑えることができる。
3.液状媒体について
液状媒体は、研磨用組成物の各成分(表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカ、2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物、添加剤等)を分散又は溶解するための分散媒又は溶媒として機能する。液状媒体としては水、有機溶剤があげられ、1種を単独で用いることができるし、2種以上を混合して用いることができるが、水を含有することが好ましい。ただし、各成分の作用を阻害することを防止するという観点から、不純物をできる限り含有しない水を用いることが好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後にフィルタを通して異物を除去した純水や超純水、あるいは蒸留水が好ましい。
4.添加剤について
研磨用組成物には、その性能を向上させるために、pH調整剤、酸化剤、錯化剤、界面活性剤、水溶性高分子、防カビ剤等の各種添加剤を添加してもよい。
4−1 pH調整剤について
研磨用組成物のpHの値は、1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。研磨用組成物のpHの値が高いほど研磨対象物の溶解が生じやすいので、このような範囲であれば、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度が向上する。また、研磨用組成物のpHの値が低くなるにしたがって取扱いが容易になるので、研磨用組成物のpHの値は、12未満であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
研磨用組成物のpHの値は、pH調節剤の添加により調整することができる。研磨用組成物のpHの値を所望の値に調整するために必要に応じて使用されるpH調節剤は、酸及びアルカリのいずれであってもよく、また、無機化合物及び有機化合物のいずれであってもよい。
pH調整剤としての酸の具体例としては、無機酸や、カルボン酸、有機硫酸等の有機酸があげられる。無機酸の具体例としては、硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸等があげられる。また、カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸等があげられる。さらに、有機硫酸の具体例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸等があげられる。これらの酸は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH調整剤としての塩基の具体例としては、アルカリ金属の水酸化物又はその塩、アルカリ土類金属の水酸化物又はその塩、水酸化第四級アンモニウム又はその塩、アンモニア、アミン等があげられる。
アルカリ金属の具体例としては、カリウム、ナトリウム等があげられる。また、アルカリ土類金属の具体例としては、カルシウム、ストロンチウム等があげられる。さらに、塩の具体例としては、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、酢酸塩等があげられる。さらに、第四級アンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等があげられる。
水酸化第四級アンモニウム化合物としては、水酸化第四級アンモニウム又はその塩を含み、具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等があげられる。
さらに、アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン等があげられる。
これらの塩基は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの塩基の中でも、アンモニア、アンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩、水酸化第四級アンモニウム化合物、及びアミンが好ましく、さらに、アンモニア、カリウム化合物、水酸化ナトリウム、水酸化第四級アンモニウム化合物、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸ナトリウムがより好ましい。
また、研磨用組成物には、塩基として、金属汚染防止の観点からカリウム化合物を含むことがさらに好ましい。カリウム化合物としては、カリウムの水酸化物又はカリウム塩があげられ、具体的には水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム等があげられる。
4−2 酸化剤について
金属を酸化して酸化膜を形成し、研磨しやすくするために、研磨用組成物に酸化剤を添加してもよい。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酢酸、過炭酸塩、過酸化尿素、過塩素酸、過硫酸塩等があげられる。過硫酸塩の具体例としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等があげられる。これら酸化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの酸化剤の中でも、過硫酸塩、過酸化水素が好ましく、特に好ましいのは過酸化水素である。
研磨用組成物全体における酸化剤の含有量が多いほど、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度が向上する。よって、研磨用組成物全体における酸化剤の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。
また、研磨用組成物全体における酸化剤の含有量が少ないほど、研磨用組成物の材料コストを抑えることができる。また、研磨使用後の研磨用組成物の処理、すなわち廃液処理の負荷を軽減することができる。さらに、酸化剤による研磨対象物の表面の過剰な酸化が起こりにくくなる。よって、研磨用組成物全体における酸化剤の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
4−3 錯化剤について
研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度を向上させるために、研磨用組成物に錯化剤を添加してもよい。錯化剤は、研磨対象物の表面を化学的にエッチングする作用を有する。錯化剤の具体例としては、無機酸又はその塩、有機酸又はその塩、ニトリル化合物、アミノ酸、キレート剤等があげられる。これらの錯化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの錯化剤は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
無機酸の具体例としては、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、テトラフルオロホウ酸、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸、ピロリン酸等があげられる。
また、有機酸の具体例としては、カルボン酸、スルホン酸等があげられる。カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸、安息香酸、サリチル酸等の一価カルボン酸や、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の多価カルボン酸があげられる。また、スルホン酸の具体例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸等があげられる。
錯化剤として、これらの無機酸又は有機酸の塩を用いることができるが、特に、弱酸と強塩基との塩、強酸と弱塩基との塩、又は弱酸と弱塩基との塩を用いた場合には、pHの緩衝作用を期待することができる。このような塩の例としては、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、ピロリン酸カリウム、シュウ酸カリウム、クエン酸三ナトリウム、(+)−酒石酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム等があげられる。
また、ニトリル化合物の具体例としては、アセトニトリル、アミノアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル等があげられる。
さらに、アミノ酸の具体例としては、グリシン、α−アラニン、β−アラニン、N−メチルグリシン、N,N−ジメチルグリシン、2−アミノ酪酸、ノルバリン、バリン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、サルコシン、オルニチン、リシン、タウリン、セリン、トレオニン、ホモセリン、チロシン、ビシン、トリシン、3,5−ジヨードチロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アラニン、チロキシン、4−ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン、エチオニン、ランチオニン、シスタチオニン、シスチン、システイン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)システイン、4−アミノ酪酸、アスパラギン、グルタミン、アザセリン、アルギニン、カナバニン、シトルリン、δ−ヒドロキシリシン、クレアチン、ヒスチジン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、トリプトファンがあげられる。
さらに、キレート剤の具体例としては、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等があげられる。
これらの中でも、無機酸又はその塩、カルボン酸又はその塩、及びニトリル化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、研磨対象物に含まれる金属化合物との錯体構造の安定性の観点から、無機酸又はその塩がより好ましい。また、上述した各種の錯化剤として、pH調整機能を有するもの(例えば、各種の酸)を用いる場合には、当該錯化剤をpH調整剤の少なくとも一部として利用してもよい。
研磨用組成物全体における錯化剤の含有量の下限値は、少量でも効果を発揮するため特に限定されるものではないが、錯化剤の含有量が多いほど研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度が向上するので、研磨用組成物全体における錯化剤の含有量は、0.001g/L以上であることが好ましく、0.01g/L以上であることがより好ましく、1g/L以上であることがさらに好ましい。
また、研磨用組成物全体における錯化剤の含有量が少ないほど、研磨対象物の溶解が生じにくく段差解消性が向上する。よって、研磨用組成物全体における錯化剤の含有量は、20g/L以下であることが好ましく、15g/L以下であることがより好ましく、10g/L以下であることがさらに好ましい。
4−4 界面活性剤について
研磨用組成物には界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は、研磨後の研磨対象物の研磨表面に親水性を付与する作用を有しているので、研磨後の研磨対象物の洗浄効率を良好にし、汚れの付着等を抑制することができる。界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。
陰イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、又はこれらの塩があげられる。
また、陽イオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩があげられる。
さらに、両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドがあげられる。
さらに、非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドがあげられる。
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
研磨用組成物全体における界面活性剤の含有量が多いほど、研磨後の研磨対象物の洗浄効率がより向上するので、研磨用組成物全体における界面活性剤の含有量は0.0001g/L以上であることが好ましく、0.001g/L以上であることがより好ましい。
また、研磨用組成物全体における界面活性剤の含有量が少ないほど、研磨後の研磨対象物の研磨面への界面活性剤の残存量が低減され、洗浄効率がより向上するので、研磨用組成物全体における界面活性剤の含有量は10g/L以下であることが好ましく、1g/L以下であることがより好ましい。
4−5 水溶性高分子について
研磨用組成物には水溶性高分子を添加してもよい。研磨用組成物に水溶性高分子を添加すると、研磨後の研磨対象物の表面粗さがより低減する(平滑となる)。
水溶性高分子の具体例としては、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリイソプレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリグリセリン、ポリビニルピロリドン、イソプレンスルホン酸とアクリル酸の共重合体、ポリビニルピロリドンポリアクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、ジアリルアミン塩酸塩二酸化硫黄共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、キトサン、及びキトサン塩類があげられる。これらの水溶性高分子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
研磨用組成物全体における水溶性高分子の含有量が多いほど、研磨対象物の研磨面の表面粗さがより低減するので、研磨用組成物全体における水溶性高分子の含有量は、0.0001g/L以上であることが好ましく、0.001g/L以上であることがより好ましい。
また、研磨用組成物全体における水溶性高分子の含有量が少ないほど、研磨対象物の研磨面への水溶性高分子の残存量が低減され洗浄効率がより向上するので、研磨用組成物全体における水溶性高分子の含有量は、10g/L以下であることが好ましく、1g/L以下であることがより好ましい。
4−6 防カビ剤、防腐剤について
研磨用組成物には防カビ剤、防腐剤を添加してもよい。防カビ剤、防腐剤の具体例としては、イソチアゾリン系防腐剤(例えば2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン)、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノールがあげられる。これらの防カビ剤、防腐剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
5.研磨用組成物の製造方法について
本実施形態の研磨用組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカと、2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物と、所望により各種添加剤とを、水等の液状媒体中で攪拌、混合することによって製造することができる。
混合時の温度は特に限定されるものではないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を向上させるために加熱してもよい。また、混合時間も特に限定されない。
6.研磨対象物について
研磨対象物の種類は特に限定されるものではないが、単体シリコン、シリコン化合物、金属等があげられる。単体シリコン及びシリコン化合物は、シリコン含有材料を含む層を有する研磨対象物である。
単体シリコンとしては、例えば単結晶シリコン、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等があげられる。また、シリコン化合物としては、例えば窒化ケイ素、二酸化ケイ素、炭化ケイ素等があげられる。シリコン化合物膜には、比誘電率が3以下の低誘電率膜が含まれる。
さらに、金属としては、例えば、タングステン、銅、アルミニウム、ハフニウム、コバルト、ニッケル、チタン、タンタル、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等があげられる。これらの金属は、合金又は金属化合物の形態で含まれていてもよい。これらの金属の中では銅が好ましい。
7.研磨方法について
研磨装置の構成は特に限定されるものではないが、例えば、研磨対象物を有する基板等を保持するホルダーと、回転速度を変更可能なモータ等の駆動部と、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤と、を備える一般的な研磨装置を使用することができる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、液状の研磨用組成物が溜まるような溝加工が施されているものを使用することができる。
研磨条件は特に制限はなく、例えば、研磨定盤の回転速度は、10min−1以上500min−1以下とすることができる。また、研磨対象物を有する基板に負荷する圧力(研磨圧力)は、0.7kPa以上69kPa以下とすることができる。
また、研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に限定されるものではなく、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。研磨用組成物の供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨用組成物で覆われていることが好ましい。なお、研磨対象物の研磨においては、本実施形態の研磨用組成物の原液をそのまま用いて研磨を行ってもよいが、原液を水等の希釈液で例えば10倍以上に希釈した研磨用組成物の希釈物を用いて研磨を行ってもよい。
研磨終了後、基板を例えば流水で洗浄し、スピンドライヤ等により基板上に付着した水滴を払い落として乾燥させることにより、例えばシリコン含有材料を含む層を有する基板が得られる。
このように、本実施形態の研磨用組成物は、基板の研磨の用途に用いることができる。すなわち、本実施形態の研磨用組成物を用いて基板の表面を研磨することを含む方法により、基板の表面を高研磨速度で研磨して、基板を製造することができる。基板としては、例えば、単体シリコン、シリコン化合物、金属等を含む層を有するシリコンウェーハがあげられる。
〔実施例〕
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
表面にスルホン酸を固定化したコロイダルシリカと、各種の含窒素複素環化合物と、pH調整剤である乳酸と、液状媒体である水とを混合して、実施例1〜9及び比較例1,2の研磨用組成物を製造した。この際、表1に示されるように、実施例1〜9においては、各種の2個の窒素原子を環中に含む複素環化合物を使用し、比較例1においては、複素環化合物を使用せず、比較例2においては、1個の窒素原子を環中に含む複素環化合物(ピロール)を使用した。
表面にスルホン酸を固定化したコロイダルシリカの平均一次粒子径は、実施例1〜9及び比較例1,2のいずれにおいても32nmであり、平均二次粒子径はいずれにおいても70nmである。また、表面にスルホン酸を固定化したコロイダルシリカの研磨用組成物全体における含有量は、実施例1〜9及び比較例1,2のいずれにおいても4質量%である。さらに、pH調整剤により調整した研磨用組成物のpHの値は、実施例1〜9及び比較例1,2のいずれにおいても4.2である。さらに、複素環化合物の研磨用組成物全体における含有量は、比較例1が0g/kg(含有しない)であり、それ以外はいずれも1g/kg(0.1質量%)である。
実施例1〜9及び比較例1,2の研磨用組成物を用いて、下記の研磨条件で直径200mmのウェーハの研磨を行った。
研磨装置:200mmウェーハ用片面CMP研磨機
研磨圧力:12.4kPa
研磨定盤の回転速度:97min−1
キャリアの回転速度:92min−1
研磨用組成物の供給量:200mL/min
研磨時間:60秒
研磨に供したウェーハは、二酸化ケイ素膜(テトラエトキシシラン膜)付シリコンウェーハ、多結晶シリコン膜付きシリコンウェーハ、及び窒化ケイ素膜付きシリコンウェーハである。なお、下記の表1においては、二酸化ケイ素膜(テトラエトキシシラン膜)付シリコンウェーハを「TEOS」、多結晶シリコン膜付きシリコンウェーハを「Poly−Si」、窒化ケイ素膜付きシリコンウェーハを「SiN」と示した。
各ウェーハについては、光干渉式膜厚測定装置を用いて、研磨前と研磨後の各膜の膜厚をそれぞれ測定した。そして、膜厚差と研磨時間から、二酸化ケイ素、多結晶シリコン、窒化ケイ素の研磨速度をそれぞれ算出した。結果を表1に示す。
Figure 0006396741
表1に示す結果から、実施例1〜9の研磨用組成物を用いて研磨を行うと、いずれのウェーハにおいても、比較例1,2の研磨用組成物を用いた場合よりも高研磨速度で研磨を行うことができることが分かる。特に、比較例2の研磨用組成物の結果から、1個の窒素原子を環中に含む複素環化合物を含有する研磨用組成物では、実施例1〜9に比較して研磨速度が劣り、2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物を使用することが重要であることが分かる。また、実施例1〜9の研磨用組成物は、比較例1及び2に比べて、特に、窒化ケイ素の研磨速度が大きいことが分かる。

Claims (13)

  1. シリコン含有材料を含む層を有する研磨対象物の研磨用であり、表面に有機酸を固定化したコロイダルシリカと、2個以上の窒素原子を環中に含む複素環化合物と、を含有する研磨用組成物。
  2. 前記複素環化合物がイミダゾール誘導体及びピラゾール誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記複素環化合物が5員環の化合物である請求項1に記載の研磨用組成物。
  4. 前記複素環化合物が、イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、ピラゾール、1−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ピラゾールジカルボン酸水和物、及び3−アミノ−5−メチルピラゾールから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の研磨用組成物。
  5. pHが7以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  6. 前記有機酸がスルホン酸、カルボン酸、スルフィン酸、及びホスホン酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  7. 前記複素環化合物の含有量が0.01質量%以上1質量%以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  8. 窒化ケイ素の研磨用である請求項1〜7のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する研磨方法。
  10. 前記研磨対象物が窒化ケイ素である請求項9に記載の研磨方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨用組成物を製造する方法であって、前記コロイダルシリカと前記複素環化合物と液状媒体とを混合することを含む研磨用組成物の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて表面が研磨された基板。
  13. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて基板の表面を研磨することを含む基板製造方法。
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