JP6382759B2 - ガスセンサ素子 - Google Patents
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Description
しかしながら、スルーホールを利用した接続構造においては、電極パッドの個数が増えると、それに伴ってスルーホールが増加して、ガスセンサ素子の強度が低下するという問題がある。
そこで、スルーホールを利用しない接続構造として、電極パッドからガスセンサ素子の外側面に側面導通部を延ばし、この側面導通部を導体部に電気的に接続する技術が開発されている(特許文献2)。
つまり、図9に示すように、ガスセンサ素子の製造に当っては、焼成前の複数の板状体1110、1150・・・に予めそれぞれスルーホール1110H、1150Hを形成しておき、各スルーホール1110H、1150Hの内側面にも導電材をめっき又はペースト印刷で形成しておく。これは、スルーホール1110H、1150Hを積層すると孔が深くなるので、後からめっきや印刷することが困難となるからである。このとき、板状体1110の裏面に形成された電極から延びるリード1130Lの後端部1130eと、スルーホール1110Hの内側面の導電材とを接触させる。そして、各板状体1110、1150を積層し、スルーホール1150Hに重なるように板状体1150の外表面に電極パッド1500をペースト印刷する。その後、全体を焼成してガスセンサ素子を製造する。
しかしながら、各スルーホール1110H、1150Hの内側面の導電材をめっきや印刷で形成すると、導電材の角部Edでは厚みが薄くなってしまう。このため、焼成時に各スルーホール1110H、1150Hが収縮すると、角部Edの導電材が断線して電極と電極パッドとが断線することがある。又、各スルーホール1110H、1150Hを積層する際にも各スルーホール1110H、1150H内の導電材同士がズレて断線するおそれがある。なお、スルーホール1110H、1150Hの内面に導電材をめっきする代わりに、導電ペーストを充填する方法であればスルーホールの角部Edでの断線は抑制されるが、貴金属の導電ペーストの使用量が多くなってコストアップに繋がる。
しかしながら、特許文献2に記載された側面導通部の場合、面取りの際にガスセンサ素子の稜辺に形成された側面導通部が削り取られて断線し、導体部と電極パッドとの電気的接続が切断されるため、面取り部を設けることができなくなる。
又、焼成時にガスセンサ素子の各部材(板状体)が収縮しても、スルーホールのように各板状体の角部に厚みの薄い導通部が介在しないので、焼成時の導体部と電極パッドとの断線が抑制され、電極パッドと導体部との電気的接続の信頼性を向上させることができる。
また、切欠き部はガスセンサ素子の外側面の外側に向かって開口しているので、リード部をペースト印刷やめっき等で形成し易く、生産性が向上すると共に、リード部を各板状体毎に形成した後に積層した場合のように各板状体がズレてリード部が断線することを抑制できる。
このガスセンサ素子によれば、製造時のバリなどの表面欠陥を除去すると共に、外部からの衝撃に対する割れや欠け等の損傷を抑制することができる。また、面取部を設ける場合は、前記切り欠き部は面取よりも大きく(深く)設けると、導体部と電極パッドとを接続するリード部は、面取部からさらに凹んだ切欠き部の内側面に形成されているので、面取部に外力が加わってもリード部には外力が加わらず、導体部と電極パッドとの電気的接続を確保することができる。
このガスセンサ素子によれば、電極パッドは切欠き部内のリード部と所定の電極パッドリード部を介して接続される。このため、電極パッドの内部に切欠き部を形成した場合のように電極パッドの一部が切り欠かれることがなく、電極パッドの面積が大きくなるので、電極パッドと相手材である端子部材との電気的接続の信頼性を向上させることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガスセンサ(NOxセンサ)1の縦断面図(軸線AXに沿って切断した断面図)、図2は第1の実施形態に係るガスセンサ素子10の斜視図、図3はガスセンサ素子10の軸線AXに沿う断面図、図4はガスセンサ素子10の分解斜視図である。
さらに詳しくは、ガスセンサ1は、ガスセンサ素子10の後端部10k(図1において上端の部位)が挿入される挿入孔62を有する保持部材60と、この保持部材60の内側に保持された6個の端子部材とを備える。なお、図1では、6個の端子部材のうち2個の端子部材(具体的には、端子部材75,76)のみを図示している。
さらに、6個の端子部材(端子部材75,76など)には、それぞれ、異なるリード線71が電気的に接続されている。例えば、図1に示すように、端子部材75のリード線把持部77によって、リード線71の芯線が加締められて把持される。また、端子部材76のリード線把持部78によって、他のリード線71の芯線が加締められて把持される。
また、主体金具20の貫通孔23の内部には、環状のセラミックホルダ42、滑石粉末を環状に充填してなる2つの滑石リング43,44、及びセラミックスリーブ45が配置されている。詳細には、ガスセンサ素子10の径方向周囲を取り囲む状態で、セラミックホルダ42、滑石リング43,44、及びセラミックスリーブ45が、この順に、主体金具20の軸線方向先端側(図1において下端側)から軸線方向後端側(図1において上端側)にわたって重ねて配置されている。
主体金具20の先端部20bには、ガスセンサ素子10の先端部10sを覆うように、複数の孔を有する金属製(具体的にはステンレス)の外部プロテクタ31及び内部プロテクタ32が、溶接によって取り付けられている。一方、主体金具20の後端部には、外筒51が溶接によって取り付けられている。外筒51は、軸線AX方向に延びる筒状をなし、ガスセンサ素子10を包囲している。
保持部材60の後端面61上には、絶縁部材90が配置されている。絶縁部材90は、電気絶縁性材料(具体的にはアルミナ)からなり、円筒状をなす。この絶縁部材90には、軸線AX方向に貫通する貫通孔91が合計6個形成されている。この貫通孔91には、前述した端子部材のリード線把持部(リード線把持部77,78など)が配置されている。
又、Ip1+電極112にはIp1+リード112Lが接続されている(図4参照)。又、Ip1−電極113にはIp1−リード113L(図4参照)が接続されている。Ip1+リード112L及びIp1−リード113Lは、Pt粉末とセラミック粉末とを含むサーメットにより形成されているが、Ip+電極電極112及びIp1−電極113と異なり、緻密に形成されている。このため、Ip1+リード112L及びIp1−リード113Lは、非透水性を有している。
ここで、固体電解質体111、121、131、絶縁層140、145、162、163がそれぞれ特許請求の範囲の「板状体」に相当する。
又、固体電解質体111及び電極112、113は、Ip1セル110を構成する。このIp1セル110は、電極112、113間に流すポンプ電流Ip1に応じて、電極112の接する雰囲気(ガスセンサ素子10の外部の雰囲気)と電極113の接する雰囲気(後述する第1空間150内の雰囲気)との間で酸素の汲み出し及び汲み入れ(いわゆる酸素ポンピング)を行う。
又、Vs−電極122にはVs−リード122L(図4参照)が接続され、Vs+電極123にはVs+リード123L(図4参照)が接続されている。Vs+リード123Lは、Vs−電極122、Vs+電極123と同時に形成されているため、多孔質に形成されている。Vs−リード122Lは、Pt粉末とセラミック粉末とを含むサーメットにより形成されているが、Vs−電極122、Vs+電極123及びVs+リード123Lと異なり、緻密に形成されている。このため、Vs−リード122Lは、非透水性を有している。
第1測定室150の後端側(図3において右側)には、第1測定室150と後述する第2測定室160との間の仕切りとして、排ガスの単位時間あたりの流通量を制限する第2多孔質体152が設けられている。
又、Ip2+電極132にはIp2+リード132L(図4参照)が接続され、Ip2−電極133にはIp2−リード133L(図4参照)が接続されている。Ip2+リード132L及びIp2−リード133Lは、Pt粉末とセラミック粉末とを含むサーメットにより形成されているが、Ip2+リード132Lは、Ip2+電極132及びIp2−電極133と同時に形成されるため、多孔質に形成されている。このため、Ip2+リード132Lは、ガス透過性及び透水性を有している。
また、Ip2−電極133と積層方向に対向する位置には、ガスセンサ素子の内部空間としての第2測定室160が形成されている。この第2測定室160は、絶縁層145を積層方向に貫通する開口部145cと、固体電解質体121を積層方向に貫通する開口部125と、絶縁層140を積層方向に貫通する開口部141とにより構成されている。
第1測定室150と第2測定室160とは、ガス透過性及び透水性を有する第2多孔質体152を通じて連通している。従って、第2測定室160は、第1多孔質体151、第1測定室150、及び第2多孔質体152を通じて、ガスセンサ素子10の外部と連通している。
このうち、Ip1セル110、Vsセル120、Ip2セル130は、それぞれ上記したように固体電解質体とその表面に配置された一対の電極を有し、各電極の電圧又は電流を外部回路に取り出したり、外部回路から各電極に電圧を印加し又は電流を流すようになっている。又、ヒータ161のヒータパターン164には外部回路から電圧を印加し又は電流を流すようになっている。
ガスセンサ素子10の固体電解質体111、121、131は、ヒータパターン164の昇温に伴い加熱され、活性化する。これにより、Ip1セル110、Vsセル120、及びIp2セル130が動作するようになる。
排気通路(図示なし)内を流通する排ガス(測定対象ガス)は、第1多孔質体151による流通量の制限を受けつつ第1測定室150内に導入される。このとき、Vsセル120には、電極123側から電極122側へ微弱な電流Icpが流されている。このため、排ガス中の酸素は、負極側となる第1測定室150内の電極122から電子を受け取ることができ、酸素イオンとなって固体電解質体121内を流れ、基準酸素室170内に移動する。つまり、電極122、123間で電流Icpが流されることによって、第1測定室150内の酸素が基準酸素室170内に送り込まれる。
このように、第1測定室150において酸素濃度が調整された排ガスは、第2多孔質体152を通じて、第2測定室160内に導入される。第2測定室160内で電極133と接触した排ガス中のNOxは、電極132、133間に電圧Vp2を印加されることで、電極133上で窒素と酸素に分解(還元)され、分解された酸素は、酸素イオンとなって固体電解質体131内を流れ、基準酸素室170内に移動する。このとき、第1測定室150で汲み残された残留酸素も同様に、Ip2セル130によって基準酸素室170内に移動する。これにより、Ip2セル130には、NOx由来の電流及び残留酸素由来の電流が流れる。
図2に示すように、ガスセンサ素子10は上記各板状体111、121、131、140、145、162、163を積層してなる板状の積層体5を本体部分としている。又、積層体5の外表面と外側面との4つの稜辺は面取りされて面取り部5cを形成している。さらに、積層体5の両方の外側面の後端側であって電極パッド13、15よりも先端側には、積層方向に延びる切欠き部5n1、5n2が形成され、各切欠き部5n1、5n2の内側面にはリード部7a,7bが形成されている。
なお、図5に示すように、各切欠き部5n1、5n2は積層方向から見て外側から内側に向かって半円状に形成され、このうち一方の切欠き部5n1は絶縁層115から絶縁層162に至る積層体5の部位を貫通しているが、ヒータ161を貫通していない。又、切欠き部5n2は絶縁層115を貫通しているが、積層体5の他の部位を貫通していない(図4、図5参照)。
さらに、各電極パッド13、15の先端側には、電極パッド13、15より狭幅の電極パッドリード部13L,15Lが先端に向かって延び、各電極パッドリード部13L,15Lがそれぞれ切欠き部5n1、5n2の後端部まで延びると共に、各リード部7a,7bに電気的に接続している。又、各リード部7a,7bは、軸線AX方向に沿って、それぞれ切欠き部5n1、5n2の先端から後端寄りの各電極パッドリード部13L,15Lと接する部位まで形成されている。さらに、各リード部7a,7bは、それぞれ切欠き部5n1、5n2の積層方向に延びている。
ここで、切欠き部5n1、5n2の内側面に形成されたリード部7a、7bが特許請求の範囲の「リード部」に相当し、リード部7a、7bに電気的に接続するリードが特許請求の範囲の「導体部」に相当する。
各リード部7a,7bは、例えば図6に示すようにして形成することができる。つまり、リード部7aを形成する前の切欠き部5n1の内側面には、切欠き部5n1の内側面に沿った半円弧状の後端部113e、122e、133eの各端面が露出している。又、切欠き部5n1の内側面と面一になるようにして、切欠き部5n1の上面をリード部15Lが覆っている。従って、切欠き部5n1の内側面のうち、少なくとも後端部113e、122e、133e(の各端面)及びリード部15Lを包含する領域(図6のハッチングの領域)を覆うようにペースト印刷することで、リード部7aを形成することができる。このようにして、リード部7aは、Ip1−電極113、Vs−電極122及びIp2−電極133と、電極パッド15とを電気的に接続する。リード部7bについても同様である。
又、焼成時にガスセンサ素子10の各部材(板状体)が収縮しても、スルーホールのように各板状体の角部に厚みの薄いリード部が介在しないので、焼成時の導体部と電極パッドとの断線が抑制され、電極パッドと導通部との電気的接続の信頼性を向上させることができる。
さらに、切欠き部5n1、5n2はガスセンサ素子10の外側面の外側に向かって開口しているので、リード部7a、7bをペースト印刷やめっき等で形成し易く、好ましくはリード部7a、7bを一度にペースト印刷やめっきすることで生産性が向上すると共に、リード部7a、7bを各板状体毎に形成した後に積層した場合のように各板状体がズレてリード部が断線することを抑制できる。
又、第1の実施形態では、各切欠き部5n1、5n2は積層体5を完全に貫通していないので、積層体5を完全に貫通させた場合に比べてガスセンサ素子10の強度がさらに向上する。
図7に示すように、ガスセンサ素子200は板状の積層体5を本体部分とすると共に、4つの稜辺は面取りされて面取り部5cを形成している。さらに、積層体5の両方の外側面の後端側であって電極パッド213、215の軸線AX方向中央には、積層方向に延びる切欠き部5n3、5n4が形成され、各切欠き部5n3、5n4の内側面にはリード部7c,7dが形成されている。
なお、図8に示すように、各切欠き部5n3、5n4は積層方向から見て外側から内側に向かって半円状に形成され、いずれも絶縁層115からヒータ161に至る積層体5全体を貫通している。又、切欠き部5n3、5n4は、それぞれ電極パッド213、215の軸線AX方向中央部分を積層方向から見て外側から内側に向かって半円状に切り欠いている。
そして、切欠き部5n3、5n4にそれぞれ形成されたリード部7c、7dが各電極パッド213、215の切欠かれた部位で電気的に接続している。又、各リード部7c,7dは、軸線AX方向に沿って、それぞれ切欠き部5n3、5n4の先端から切欠き部5n3、5n4の中央部まで形成され、積層方向から見て略1/4円状に形成されている。さらに、各リード部7c,7dは、それぞれ切欠き部5n3、5n4の積層方向に延びている。
例えば、上記実施形態では、各切欠き部は積層方向から見て外側から内側に向かって半円状に形成されたが、各切欠き部の形状は限定されず、例えば積層方向から見て三角形、矩形、多角形、長円形、楕円形、不定形であってもよい。但し、切欠き部に角部があると応力が集中するおそれがあるので、切欠き部に角部を有しない形態(切欠き部の内側面が曲面)であると好ましい。
電極パッドの形状も上記に限定されない。
又、本発明は、積層体の内部に配置される導体部と、導体部に電気的に接続する電極パッドと、を有するガスセンサ素子(ガスセンサ)に適用可能であり、本実施の形態のNOxセンサ素子(NOxセンサ)に適用することができるが、これらの用途に限られず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。例えば、被測定ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサ(酸素センサ素子)や、HC濃度を検出するHCセンサ(HCセンサ素子)等に本発明を適用してもよい。
5 積層体
5n1〜5n4 切欠き部
7a〜7d リード部
10、200 ガスセンサ素子
13〜18 電極パッド
111、121、131、140、145、162、163 板状体(固体電解質体、絶縁層)
110、120、130、161 セル
161 ヒータ
112L、113L、122L、133L、112L2、113L2、122L2、133L2 リード(導体部)
112e、113e、122e、133e、112e2、113e2、122e2、133e2 切欠き部の内側面に露出するリードの部位
Claims (4)
- 複数の板状体を積層してなり積層方向に対向する表裏面と、該表裏面を接続する側面からなる板状の積層体と、
前記積層体の内部に配置される導体部と、
前記積層体の前記表裏面の少なくとも一方に配置されて、前記導体部と外部回路とを電気的に接続する電極パッドと、を備えたガスセンサ素子において、
前記積層体の前記側面には、積層方向に2以上の前記板状体を貫通して延びる切欠き部が形成され、
前記切り欠き部の内側面に、少なくとも前記電極パッドが配置された面まで延びるリード部が形成され、前記リード部の一部が前記導体部に電気的に接続されると共に、前記面に延びた前記リード部に前記電極パッドが直接又は間接的に電気的に接続され、前記リード部を介して前記導体部と前記電極パッドとが電気的に接続されるセンサ素子。 - 前記表裏面と前記側面との稜線に面取部が設けられる請求項1記載のガスセンサ素子。
- 前記電極パッドは、前記切欠き部と離間して配置されている請求項1又は2に記載のガスセンサ素子。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスセンサ素子を有するガスセンサ。
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