JP6292811B2 - クランクシャフトミラーのカッタ交換治具 - Google Patents
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Description
この種のクランクシャフトミラーにおいては、カッタとアダプタとを相互に例えばスプラインキーとスプライン溝等のキーおよびキー溝とによって噛み合わせた状態でテーパ嵌合し、アダプタに螺合するクランプボルトの締付操作でクランプ力を発するクランパにより、カッタをアダプタに固定、または直接ボルトにてカッタをアダプタに固定し、カッタ回転駆動機構により、アダプタを介してカッタを回転させ、カッタの内周部に設けられた切削刃でワークを切削加工するようにされている。
このため、レンチを回してクランプボルトを緩めたり締め付けたりする際に、カッタが共回りしてクランプボルトの締付・締付解除操作を行うことが難しくなり、カッタの共回りを防ぐために瞬間的にレンチを回してしまうと、クランプボルトに無理な力がかかり、クランプボルトを破損する恐れがあるという問題がある。
ベースプレートの内周部には、舌片状の回り止め片が形成されている。一方、チャックの外周面には、前記回り止め片を嵌入する切欠が形成されている。
そして、カッタを交換する際には、カッタをチャックの外周側まで移動させて、カッタの内周部にチャックが挿通された状態とし、この状態でカッタ交換治具の回り止め片がチャックの切欠に嵌合するようカッタ交換治具をカッタに取り付ける。
こうして、カッタ交換治具の回り止め片をチャックの切欠に嵌入させることにより、クランプボルトを緩めたり締め付けたりする際に、カッタが共回りするのを防止することができ、クランプボルトの締付・締付解除操作を容易に行うことができるようにしている。
ワークを掴むチャックが挿通可能な内周部を有する内刃式のカッタと、このカッタを保持するアダプタとを相互に噛み合わせた状態で嵌合し、前記アダプタに螺合するクランプボルトの締付操作でクランプ力を発するクランパにより、前記カッタを前記アダプタに固定し、前記アダプタを介して前記カッタを回転駆動してそのカッタの内周部に設けられた切削刃でワークを切削加工するように構成されるクランクシャフトミラーに適用され、前記カッタの内周部に前記チャックが挿通された状態で前記カッタを交換する際に用いられるカッタ交換治具であって、
前記チャックが挿通可能なチャック挿通孔を有しそのチャック挿通孔に前記チャックを挿通させて一側の板面を前記カッタに向い合せて配されるベースプレートと、
前記ベースプレートと前記カッタとを締結する締結具と、
前記ベースプレートに取り付けられる取っ手と、
前記チャックと係合状態となるチャック係合位置と、前記チャックと非係合状態となるチャック非係合位置とを切替可能に前記ベースプレートに支持されて、チャック係合位置にあるときに前記チャックの外周面に摩擦係合する摩擦係合部を備えてなるチャック係合部材を有し、このチャック係合部材をチャック係合位置として前記摩擦係合部を前記チャックの外周面に摩擦係合することで前記チャックの回りに前記ベースプレートが回転するのを止めるストッパ機構と、
を備えることを特徴とするものである(第1発明)。
取り外した古いカッタとベースプレートとの締結状態を解除し、古いカッタを新品のカッタと取り換え、新品のカッタをベースプレートに締結具で締結する。
新品のカッタが取り付けられたベースプレートを取っ手を握って持ち上げ、持ち上げたベースプレートをそのチャック挿通孔にチャックを挿通させてアダプタに向けて押し込んでいき、新品のカッタをアダプタに嵌合する。次いで、チャック係合部材をチャック係合位置に切り替えてベースプレートがチャックの回りに回転するのを止める。次いで、レンチを用いてクランプボルトを締め付けてクランパのクランプ力により新品のカッタとアダプタとを固定する。
こうして、カッタ交換治具を用いてカッタを容易に交換することができる。
図1に示されるクランクシャフトミラー1は、水平Z軸方向に延びるベッド2を備え、このベッド2上に互いに対向するように2基のワークヘッド3が設置され、これらワークヘッド3の間に2基のカッタユニット4が設置され、各ワークヘッド3の対向面にワーク(クランクシャフト)Wを掴むチャック5がそれぞれ配されて構成されている。
ここで、カッタユニット4は、チャック5が挿通可能な内周部6aを有する内刃式のカッタ6を、このカッタ6を保持するアダプタ7を介して、カッタハウジング8内に回転自在に組み込まれたカッタドラム9に装着し、このカッタドラム9を図示されないカッタ回転駆動機構で回転駆動することにより、アダプタ7を介してカッタ6を回転させることができるようになっている。
図2に示されるように、カッタ6は、円環状をなすカッタ本体10の内周側に所要の刃先交換式チップ11(以下、単に「チップ11」という。)を装着して構成されている。このカッタ6においては、各チップ11のエッジで切削刃を構成し、複数個のチップ11でワークWの被切削域を分担切削するようにそれらチップ11が組み合わされている。
アダプタ7の内周面には、カッタ6における凸部12に対応させたテーパスプライン溝等のキー溝状の複数の凹部14が前述した凸部12と同一ピッチで同数設けられている。
アダプタ7におけるカッタ挿入方向後側の面には、前記ひとつおきの凸部12に対応するひとつおきの凹部14の近傍部位に、円板の一部が半月状に切り欠かれたような形状のクランパ15が回動可能に埋め込まれている。このクランパ15の回動中心部を貫くようにクランプボルト16がアダプタ7に螺合され、クランプボルト16が緩んでいる状態でそのクランプボルト16を中心にしてクランパ15が回動することができ、クランプボルト16の締付でクランパ15がアダプタ7に締結・固定されるようになっている。
カッタ6とアダプタ7とにおいては、座溝13が設けられたひとつおきの凸部12とクランパ15が配置されたひとつおきの凹部14との位置を合わせるように、カッタ6の凸部12をアダプタ7の凹部14に挿入して、カッタ6とアダプタ7とを互いにテーパ嵌合し、そのテーパ嵌合部の作用でカッタ6がアダプタ7の中心に正確に高精度に芯出しされるようになっている。
このようにして、カッタ6とアダプタ7とがテーパ嵌合している状態において、クランプボルト16を中心としてクランパ15を座溝13に掛けるように回動して係止した後、クランプボルト16を締め付けることにより、カッタ6をアダプタ7に固定することができる。または、直接ボルトにてカッタ6をアダプタ7に固定することもできる。
図3および図4に示されるように、カッタ交換治具20は、カッタ6の内周部6aにチャック5が挿通された状態でカッタ6を交換する際に用いられるものであって、チャック5が挿通可能なチャック挿通孔21aを有しそのチャック挿通孔21aにチャック5を挿通させて一側の板面をカッタ6に向い合せて配されるベースプレート21を備えている。
ベースプレート21には、チャック5の径方向に所定距離を隔てた位置の2箇所にそれぞれ締結具22が配されている。各締結具22は、チャック挿通孔21aにチャック5を挿通させて一側の板面をカッタ6に向い合せて配した状態のベースプレート21とカッタ6とを締結する役目をするものであり、外周面にローレット加工が施されて滑り止め処理されたグリップ部22aを有している。
グリップ部22aは、人の手指で握るのに適した形状寸法に形成され、このグリップ部22aを握って締結具22を締め付けたり、緩めたりするといった締結具22の締付・締付解除操作を手動で行うことができるようになっている。このグリップ部22aの先端側には、比較的長い軸部22bが延設され、この軸部22bの先端側には、カッタ6に予め形成された雌螺子部23に螺合する雄螺子部22cが形成されている。
図3に示されるように、ベースプレート21の他側の板面には、人の手で把持することができる一対の取っ手26が取り付けられ、これら取っ手26は、前記2つの締結具22とは90°位相をずらした位置で、チャック5の径方向に所定距離を有して配設されている。
ベースプレート21の他側の板面には、一対のストッパ機構27がチャック5を挟むことができるように対向配置で所定距離を設けて取り付けられている。これらストッパ機構27は、チャック5の回りにベースプレート21が回転するのを止める役目をする。
トグル機構34においては、第1リンク36に操作レバー40が一体的に付設されており、この操作レバー40を介して第1リンク36を第2ピン38の回りに回動操作することにより、第1リンク36と第2リンク37とが略一直線状に配される直線状態(図4参照)と、第1リンク36と第2リンク37とが折れ曲がるように配される屈曲状態(図5参照)とを切り替えることができるようになっている。
押当パッド33bは、チャック5の外周面5aに摩擦係合する摩擦係合部として機能し、該外周面5aに対する摩擦係数が比較的高い例えばゴム製、シリコンゴム製、ウレタン製、スポンジ製等のパッドが好適に用いられる。
また、ストッパ機構27においては、図5に示されるように、操作レバー40を、フレーム部材31に向けて伏臥させるような伏臥位置としたとき、トグル機構34における第1リンク36と第2リンク37とが屈曲状態となり、これによってプッシュロッド33がフレーム部材31側に引っ込められ、押当パッド33bがチャック5の外周面5aから引き離されて、プッシュロッド33がチャック5と非係合状態となる。この非係合状態となるプッシュロッド33の状態位置を以下「チャック非係合位置」という。
保護部材45においては、フランジ45bがベースプレート21の一側の板面に押し当てられ、ベースプレート21を貫通してフランジ45bに螺合するビス46の締付によってベースプレート21に固定されている。
以上に述べたように構成されるカッタ交換治具20を用いたカッタ交換作業について以下に説明することとする。
まず、作業者が図3に示される取っ手26を握ってベースプレート21を持ち上げ、持ち上げたベースプレート21をそのチャック挿通孔21aにチャック5を挿通させて一側の板面がカッタ6と向かい合うように位置させる。
次いで、ベースプレート21を適宜に回転させて雌螺子部23に対し雄螺子部22cの位置を合わせ、位置が合ったらグリップ部22aの回転操作でその雌螺子部23に雄螺子部22cを螺合し、図5に示されるように、ベースプレート21とカッタ6とを締結具22で締結する。
次いで、図示されないレンチを用いてクランプボルト16(図2参照)を緩め、クランパ15が座溝13から外れるようにクランプボルト16を中心として回動して係止状態を解除し、カッタ6とアダプタ7とを固定するクランパ15を開放する。
新品のカッタ6が取り付けられたベースプレート21を図3に示される取っ手26を握って持ち上げ、持ち上げたベースプレート21をそのチャック挿通孔21aにチャック5を挿通させてアダプタ7に向けて押し込んでいき、新品のカッタ6をアダプタ7に嵌合する。
こうして、カッタ交換治具20を用いてカッタ6を容易に交換することができる。
本実施形態のカッタ交換治具20によれば、プッシュロッド33をチャック係合位置として押当パッド33bをチャック5の外周面5aに摩擦係合することでベースプレート21のチャック5回りの回転が止められ、これに伴いベースプレート21に締結具22を介して締結されるカッタ6のチャック5回りの回転が止められるので、チャック5側に回り止めのための切欠を設けることなく、クランプボルト16の操作の際にカッタ6が共回りするのを防ぐことができる。
5 チャック
6 カッタ
7 アダプタ
11 刃先交換式チップ(切削刃)
15 クランパ
16 クランプボルト
20 カッタ交換治具
21 ベースプレート
21a チャック挿通孔
22 締結具
26 取っ手
27 ストッパ機構
33 プッシュロッド(チャック係合部材)
33b 押当パッド(摩擦係合部)
34 トグル機構
45 保護部材
W ワーク
Claims (4)
- ワークを掴むチャックが挿通可能な内周部を有する内刃式のカッタと、このカッタを保持するアダプタとを相互に噛み合わせた状態で嵌合し、前記アダプタに螺合するクランプボルトの締付操作でクランプ力を発するクランパにより、前記カッタを前記アダプタに固定し、前記アダプタを介して前記カッタを回転駆動してそのカッタの内周部に設けられた切削刃でワークを切削加工するように構成されるクランクシャフトミラーに適用され、前記カッタの内周部に前記チャックが挿通された状態で前記カッタを交換する際に用いられるカッタ交換治具であって、
前記チャックが挿通可能なチャック挿通孔を有しそのチャック挿通孔に前記チャックを挿通させて一側の板面を前記カッタに向い合せて配されるベースプレートと、
前記ベースプレートと前記カッタとを締結する締結具と、
前記ベースプレートに取り付けられる取っ手と、
前記チャックと係合状態となるチャック係合位置と、前記チャックと非係合状態となるチャック非係合位置とを切替可能に前記ベースプレートに支持されて、チャック係合位置にあるときに前記チャックの外周面に摩擦係合する摩擦係合部を備えてなるチャック係合部材を有し、このチャック係合部材をチャック係合位置として前記摩擦係合部を前記チャックの外周面に摩擦係合することで前記チャックの回りに前記ベースプレートが回転するのを止めるストッパ機構と、
を備えることを特徴とするクランクシャフトミラーのカッタ交換治具。 - 前記チャックを挟むことができるように該チャックを間に挟んで互いに対向する位置に一対の前記ストッパ機構が配置されている請求項1に記載のクランクシャフトミラーのカッタ交換治具。
- 前記チャック係合部材の摩擦係合部を前記チャックの外周面に押し付けるトグル機構が設けられる請求項1または2に記載のクランクシャフトミラーのカッタ交換治具。
- 前記ベースプレートには、前記カッタとチャックとの間に入り込む保護部材が取り付けられる請求項1から3のいずれか1項に記載のクランクシャフトミラーのカッタ交換治具。
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