JP6289951B2 - 薄膜生体分子検出素子、生体分子検出方法、及び生体分子検出装置 - Google Patents
薄膜生体分子検出素子、生体分子検出方法、及び生体分子検出装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6289951B2 JP6289951B2 JP2014057211A JP2014057211A JP6289951B2 JP 6289951 B2 JP6289951 B2 JP 6289951B2 JP 2014057211 A JP2014057211 A JP 2014057211A JP 2014057211 A JP2014057211 A JP 2014057211A JP 6289951 B2 JP6289951 B2 JP 6289951B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- biomolecule detection
- biomolecule
- thin film
- group
- detection element
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
Description
しかしながら、従来のバイオセンサーは、認識精度に劣る場合があった。
(第1の実施形態)
実施形態の薄膜生体分子検出素子7は、図1に示すように、基板2と、該基板2上に設けられた基板吸着部1と、該基板吸着部1に、一端を介して接着したリンカー6と、該リンカー6の他端に結合した希土類錯体4と、を持つバイオセンサーである。図1(A)は、initialの薄膜生体分子検出素子7を示し、図1(B)は、生体分子5が結合した場合の薄膜生体分子検出素子7を示す。
希土類錯体4は、以下の特徴を有する。
第一に、一般の有機蛍光体の発光寿命は、ナノ秒オーダーであるのに対して、希土類錯体の発光寿命は、サブミリ秒オーダーと長い。
第二に、一般の有機蛍光体は溶媒が変わるとスペクトルがシフトするのに対して、希土類錯体はf−f遷移に基づく発光を示すことから、様々な波長の光を吸収しても、発する蛍光は一定の波長のものに収束する。
第三に、希土類錯体の発光は、磁気双極子遷移及び電気双極子遷移から構成され、磁気双極子遷移に由来する発光スペクトル形状は、常に一定である一方、電気双極子遷移に由来する発光スペクトル形状は配位環境に大きく依存する。この磁気双極子遷移と電気双極子遷移の比をブランチング比という。ブランチング比は、配位子の構造によって変化するため、ブランチング比で配位環境を特定することができる。
希土類錯体4はこれらの特徴を有するため、生体分子と相互作用することにより、希土類錯体の発光強度比、発光寿命、及び発光スペクトルの電気双極子遷移と磁気双極子遷移の発光強度比から算出されるブランチング比からなる群から選ばれる少なくとも一つの情報から生体分子を検出・特定することができる。
また、細胞等の生体分子は、紫外線を照射すると、自家蛍光として、ナノ秒オーダーの発光をする。一方、希土類錯体の発光寿命は、サブミリ秒オーダーであるため、時間分解測定により希土類錯体由来の蛍光と自家蛍光を分離することができ、測定時のバックグラウンドを低減することができる。
このように、希土類錯体4を用いることにより、生体分子を高いS/N比で高感度に検出することができる。
前記R6の炭素数1〜6のアルキル基としては、前記R5と同様のものが挙げられ、溶媒に対する溶解性の観点から、t−ブチル基が好ましい。
前記R6の炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、ナフチル基が好ましい。
長波長側の光を吸収する観点から、前記R6は、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。
即ち、希土類錯体4が生体分子5を捕捉していない場合には、希土類錯体4と基板2は近接しており、酸化グラフェンのクエンチング効率は最大となっている。希土類錯体4が生体分子5を捕捉した場合には、希土類錯体4と基板2の距離は遠くなり、酸化グラフェンンによるクエンチング効率は低下する。
従って、基板2に酸化グラフェンを用いることにより、生体分子5をより高いS/N比で検出することができる。
実施形態の薄膜生体分子検出素子11は、図2に示すように、基板2と、該基板2上に設けられた基板吸着部1と、該基板吸着部1に、一端を介して接着したアプタマー14と、該アプタマー14の他端に結合した希土類錯体4と、を持つバイオセンサーである。図2(A)は、initialの薄膜生体分子検出素子11を示し、図2(B)は、生体分子5が結合した場合の薄膜生体分子検出素子11を示す。実施形態の薄膜生体分子検出素子11は、リンカーとしてアプタマー14を用いている点で、図1に示す薄膜生体分子検出素子7と相違し、その他の構成は薄膜生体分子検出素子7と同じである。
尚、図2において、図1に示す構成要素と同一のものについては同じ符号を用いている。
実施形態によれば、アプタマーによる生体分子識別機能により、標的とする生体分子をより特異的に検出することができる。
実施形態の薄膜生体分子検出素子21は、図3に示すように、基板2と、該基板2上に設けられた基板吸着部1と、該基板吸着部1に、一端を介して接着した、腫瘍関連分子を標的とするアプタマー24と、該アプタマー24の他端に結合した希土類錯体4と、を持つバイオセンサーである。実施形態の薄膜生体分子検出素子21は、アプタマー24として腫瘍関連分子を標的とするものを用いている点で、図2に示す薄膜生体分子検出素子11と相違し、その他の構成は薄膜生体分子検出素子11と同じである。
尚、図3において、図2に示す構成要素と同一のものについては同じ符号を用いている。
がん遺伝子としては、テロメラーゼをコードする遺伝子;sis等の増殖因子をコードする遺伝子群;erbB、fms、ret等のレセプター型チロシンキナーゼをコードする遺伝子群;fes等の非レセプター型チロシンキナーゼをコードする遺伝子群;ras等のGTP/GDP結合タンパク質をコードする遺伝子群;src、mos、raf等のセリン/スレオニンキナーゼをコードする遺伝子群;myc、myb、fos、jun、erbA等の核内タンパク質をコードする遺伝子群;crk等のシグナル伝達アダプター分子をコードする遺伝子群;Bcr−Abl等の融合遺伝子が挙げられる。
更に、がん遺伝子として、Shc、Grb2、Sos、MEK、Rho、Rac遺伝子等のRas−MAPキナーゼ経路関連遺伝子;PLCγ、PKC等のホスホリパーゼCガンマ-プロテインキナーゼC経路関連遺伝子;PI3K、Akt、Bad等のPI3K−Akt経路関連遺伝子;JAK、STAT等のJAK−STAT経路関連遺伝子;GAP、p180、p62等のGAP系経路関連遺伝子が挙げられる。
実施形態の生体分子検出方法は、上述した各実施形態の薄膜生体分子検出素子を用いて、発光スペクトル、発光寿命、及びブランチング比からなる群から選ばれる少なくとも一つから生体分子を特定する方法である。実施形態において、検出目的とするタンパク質が希土類錯体と相互作用した時の発光強度、発光寿命、ブランチング比のデータを予めデータベース化しておく。そして、薄膜生体分子検出素子から得られる信号と照合することにより、生体分子を特定することができる。
実施形態によれば、希土類錯体を持つことにより、発光スペクトル、発光寿命、及びブランチング比からなる群から選ばれる少なくとも一つの情報から、相互作用した生体分子を高精度に検出・特定することができる。
実施形態の生体分子検出装置31は、図4に示すように、薄膜生体分子検出素子32と、二波長同時検出装置33とを持つ。
二波長同時検出装置33は、発光スペクトル、発光寿命、及びブランチング比からなる群から選ばれる少なくとも一つから、薄膜生体分子検出素子32の錯体またはアプタマーに吸着したタンパク質等の生体分子を特定する装置である。
更に、実施形態の生体分子検出装置31は、パソコンなどの制御部34を有する。
実施形態によれば、希土類錯体との相互作用から得られる生体分子の発光スペクトル、発光寿命、及びブランチング比の多数の情報をデータベース化することにより、相互作用した生体分子を高精度に検出・特定することができる。
酢酸エチルに下記式(2)に示すユーロピウム錯体溶解液、式(2)に示すユーロピウム錯体、及びトリフェニルホスフィンオキシド(TPPO)溶解液、式(2)に示すユーロピウム錯体、及びトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)溶解液、並びに、式(2)に示すユーロピウム錯体、トリフェニルホスフィンオキシド、及びトリオクチルホスフィンオキシド溶解液を調製し、それぞれの溶液の発光寿命を測定した。結果を表1に示す。表1に示すように、6配位のユーロピウム錯体単独の場合と比較して、これに種類が異なるホスフィンオキシドが配位することにより、発光寿命は鋭敏に変化することが確認された。
即ち、希土類錯体は、配位状況の変化に応じた発光寿命の変化を示す性質があり、生体分子の判別が可能であることが確認された。
酢酸エチルに下記式(3)に示す8配位の希土類錯体を溶解し、発光スペクトルからブランチング比の計測を行った。結果を表2に示す。表2に示すように、配位子の分子構造の違いにより、ブランチング比が特異的に変化することが確認された。このことから、ブランチング比により生体分子識別機能があることが確認された。
Claims (11)
- 前記希土類錯体が、前記式(1)で表わされる基とEu 3+ イオンとの錯体であり、前記式(1)におけるR 5 が炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基である、請求項1に記載の薄膜生体分子検出素子。
- 前記式(1)におけるR 5 がトリフルオロメチル基又はヘプタフルオロプロピル基である、請求項1又は2に記載の薄膜生体分子検出素子。
- 前記式(1)におけるR 6 がナフチル基又はt−ブチル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜生体分子検出素子。
- 前記基板の表面の少なくとも一部は、酸化グラフェンが固定されてなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の薄膜生体分子検出素子。
- 前記リンカーは、アプタマーからなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の薄膜生体分子検出素子。
- 前記アプタマーは、腫瘍関連分子を標的とするものである請求項6に記載の薄膜生体分子検出素子。
- 前記アプタマーは、核酸アプタマーである請求項6又は7に記載の薄膜生体分子検出素子。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の薄膜生体分子検出素子を用いて、発光スペクトル、発光寿命、及びブランチング比からなる群から選ばれる少なくとも一つから生体分子を特定する生体分子検出方法。
- 前記生体分子がアミノ基又はP=Oで示される基を有する、請求項9に記載の生体分子検出方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の薄膜生体分子検出素子と、二波長同時検出装置とを備える生体分子検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014057211A JP6289951B2 (ja) | 2014-03-19 | 2014-03-19 | 薄膜生体分子検出素子、生体分子検出方法、及び生体分子検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014057211A JP6289951B2 (ja) | 2014-03-19 | 2014-03-19 | 薄膜生体分子検出素子、生体分子検出方法、及び生体分子検出装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015179048A JP2015179048A (ja) | 2015-10-08 |
JP6289951B2 true JP6289951B2 (ja) | 2018-03-07 |
Family
ID=54263191
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014057211A Active JP6289951B2 (ja) | 2014-03-19 | 2014-03-19 | 薄膜生体分子検出素子、生体分子検出方法、及び生体分子検出装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6289951B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105891174A (zh) * | 2016-03-31 | 2016-08-24 | 广东工业大学 | 一种检测奶制品中β-内酰胺酶核酸适配体传感器及其制备方法和应用 |
JP6483215B2 (ja) * | 2017-09-21 | 2019-03-13 | 株式会社東芝 | 化合物の検出装置 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2403708A1 (en) * | 2000-03-22 | 2001-09-27 | Quantum Dot Corporation | Methods of using semiconductor nanocrystals in bead-based nucleic acid assays |
US20100008618A1 (en) * | 2005-02-01 | 2010-01-14 | Swanson Basil I | Modulated optical waveguide sensor |
WO2007023799A1 (ja) * | 2005-08-22 | 2007-03-01 | National University Corporation NARA Institute of Science and Technology | 情報識別装置、情報識別方法、及び情報識別システム |
WO2009014787A2 (en) * | 2007-04-30 | 2009-01-29 | Nanogen, Inc. | Multianalyte assay |
JP5414073B2 (ja) * | 2008-09-10 | 2014-02-12 | 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 | 構造解析装置、及び構造解析方法 |
US20120142111A1 (en) * | 2009-06-15 | 2012-06-07 | Tour James M | Nanomaterial-containing signaling compositions for assay of flowing liquid streams and geological formations and methods for use thereof |
JP2011128060A (ja) * | 2009-12-18 | 2011-06-30 | Konica Minolta Holdings Inc | プラズモン励起センサ、並びにこれを用いた核酸検出装置および核酸検出方法 |
JP5498331B2 (ja) * | 2010-09-17 | 2014-05-21 | 株式会社東芝 | 情報記録媒体、その真偽判定方法、及び真偽判定システム |
JP5882834B2 (ja) * | 2012-06-06 | 2016-03-09 | 日本電信電話株式会社 | 生体分子検出素子および生体分子検出素子の製造方法 |
-
2014
- 2014-03-19 JP JP2014057211A patent/JP6289951B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015179048A (ja) | 2015-10-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Park et al. | Reprogramming normal human epithelial tissues to a common, lethal neuroendocrine cancer lineage | |
Bettegowda et al. | Detection of circulating tumor DNA in early-and late-stage human malignancies | |
Wu et al. | Circulating tumor DNA as an emerging liquid biopsy biomarker for early diagnosis and therapeutic monitoring in hepatocellular carcinoma | |
Qian et al. | OCT1 is a determinant of synbindin-related ERK signalling with independent prognostic significance in gastric cancer | |
Wu et al. | Whole-exome sequencing of neoplastic cysts of the pancreas reveals recurrent mutations in components of ubiquitin-dependent pathways | |
Shapiro et al. | An EMT–driven alternative splicing program occurs in human breast cancer and modulates cellular phenotype | |
Fassan et al. | Early HER2 dysregulation in gastric and oesophageal carcinogenesis | |
Leuchowius et al. | Parallel visualization of multiple protein complexes in individual cells in tumor tissue | |
Picarsic et al. | Molecular characterization of sporadic pediatric thyroid carcinoma with the DNA/RNA ThyroSeq v2 next-generation sequencing assay | |
Yamamoto et al. | Mutational spectrum of Barrett’s stem cells suggests paths to initiation of a precancerous lesion | |
Lee et al. | Lanthanide-doped nanoparticles for diagnostic sensing | |
Zamay et al. | DNA aptamers for the characterization of histological structure of lung adenocarcinoma | |
Wu et al. | Spectrally combined encoding for profiling heterogeneous circulating tumor cells using a multifunctional nanosphere‐mediated microfluidic platform | |
Kolenčík et al. | Liquid biopsy in colorectal carcinoma: clinical applications and challenges | |
Pan et al. | Tissue proteomics in pancreatic cancer study: discovery, emerging technologies, and challenges | |
Huang et al. | Single small extracellular vesicle (sEV) quantification by upconversion nanoparticles | |
Chen et al. | Monitoring treatment efficacy and resistance in breast cancer patients via circulating tumor DNA genomic profiling | |
Creemers et al. | A systematic review and meta-analysis of prognostic biomarkers in resectable esophageal adenocarcinomas | |
JP6289951B2 (ja) | 薄膜生体分子検出素子、生体分子検出方法、及び生体分子検出装置 | |
Ooi et al. | Gene amplification of CCNE1, CCND1, and CDK6 in gastric cancers detected by multiplex ligation-dependent probe amplification and fluorescence in situ hybridization | |
Colli et al. | Components of the canonical and non-canonical Wnt pathways are not mis-expressed in pituitary tumors | |
Crescenzi et al. | Detecting N-RAS Q61R mutated thyroid neoplasias by immunohistochemistry | |
Urh et al. | Identification and validation of new cancer stem cell-related genes and their regulatory microRNAs in colorectal cancerogenesis | |
Wu et al. | A case of primary secretory carcinoma of the thyroid with high-grade features | |
Sumitomo et al. | Wnt2b and Wnt5a expression is highly associated with M2 TAMs in non‑small cell lung cancer |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160829 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170524 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170606 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170804 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180109 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180207 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6289951 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |