JP6263922B2 - 熱交換器 - Google Patents

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本発明は熱交換器に係り、特に、空気調和機などに用いられるクロスフィンチューブ型熱交換器に関するものである。
従来のクロスフィンチューブ型熱交換器は、プレート状のフィンを所定の間隔を設けて重ねた積層フィンの面部に形成された貫通孔を貫通する複数のヘアピン管と、ヘアピン管同士を接続するU字管とからなり、前記ヘアピン管と前記U字管との接続箇所はろう材によって溶接されている。
ヘアピン管とU字管との接続箇所は、図9に示すように、積層フィン110を貫通して開口部が上側に向いているヘアピン管120の管端部を拡管し大径部121を形成し、さらにヘアピン管端部を拡管して拡管部122を形成している。この大径部121に大径部121の内径よりわずかに小さい外径を有するU字管140を挿入する。このとき、ヘアピン管の拡管部122にろう材150を配置し、炉に入れることで大径部121の内周面とU字管140の外周面とがろう材150によって接合される(例えば公知文献として特許文献1を参照)。
ところが、このようにヘアピン管120とU字管130とを接合する際に、溶接作業者によるろう材150の使用量や加熱温度等の微妙な操作加減が影響して、図10のようにろう材150が接合面間の隙間を通してヘアピン管120の内面側にはみ出してしまう場合がある。
ヘアピン管120内部に進入してしまったろう材150は管内の流路抵抗となってしまい、圧力損失が増大し、熱交換効率が低下してしまう。また、最悪の場合、ろう材150によってヘアピン管120の管内を詰まってしまう場合がある。
このような問題を解決するため、図6に示すように、U字管40の端部41の内周面がヘアピン管20の端部21の外周面と嵌めあうように接続し、ヘアピン管20の外周面およびU字管40の外周面を連続して覆う補助部材30によって、U字管40の外周面とヘアピン管20の外周面とに接合される構成とすることで、ろう材がヘアピン管20内部まで流れ込むことがなくなり、圧力損失の増大による熱交換効率の低下およびヘアピン管20の管内流路のろう材詰まりを防止する手法が考えられる。
従来、本発明のようにリング状のろう材を用いた置きろうでの溶接において、気密性が十分に確立されるように溶接が行われたかどうかの確認は接続部の目視によって行われていた。より詳細には、図6におけるAの部分の隙間が、全周にわたってろう材で満たされているかどうかで判断していた。
図6において、U字管40と補助部材30の大径部32との間の接合部51Aについては、従来通り目視による確認が行えた。しかし、ヘアピン管20と補助部材30の小径部31との間の接合部51Bについては、補助部材30によって覆われているため、従来の様に目視による確認を行うことができず、信頼性に問題がある。
特開2002−263879号公報
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、溶接する際の接合部が目視による確認が行えないような位置にあっても、気密性が十分に確立されるように溶接が行われたかどうかの確認行うことができ、信頼性を確保できる熱交換器を提供することを目的とする。
本発明の熱交換器は、積層された複数のフィンと、該フィンの積層方向両端に設けられた一対の管板と、前記フィンおよび前記管板に設けられた貫通孔に挿通された複数のヘアピン管と、異なる該ヘアピン管を接続する接続管とを有するクロスフィン型の熱交換器において、前記接続管は、内周面が前記ヘアピン管の管端部の外周面と重なるように嵌合され、前記ヘアピン管の外径より内径が大きい小径部と、一端が前記小径部に接続され、他端側に向かって徐々に内径が大きくなる接続部と、一端が前記接続部に接続された大径部とを有する補助部材を備え、前記補助部材は、前記小径部が前記管板に当接し、かつ、前記ヘアピン管の外周面および前記接続管の外周面を前記小径部と前記接続部および前記大径部によって連続して覆っており、ろう材によって前記小径部と前記ヘアピン管の外周面が、前記大径部と前記接続管の外周面がそれぞれ接合されるものであって、前記小径部及び前記管板の少なくとも一方に確認部が設けられ、前記確認部は、前記小径部と前記管板の間に、ろう材の回り具合を確認するための隙間を形成することを特徴としている。
また、前記管板には、前記補助部材の端面の一部と当接する凸部が設けられていることを特徴としている。
本発明によれば、補助部材の小径部に設けられた確認部から目視によってろう材を確認できるため、気密性が十分に確立されるように溶接が行われたかどうかの確認行うことができ、信頼性を確保できる。
本発明の熱交換器全体を示す概略斜視図である。 本発明の熱交換器を構成する部品を示す概略斜視図である。 本発明の熱交換器におけるフィン組との接合後のヘアピン管と補助部材を示す概略断面図である。 本発明の熱交換器における補助部材を嵌合した後のヘアピン管とU字管を示す概略断面図である。 本発明の熱交換器におけるU字管挿入後のヘアピン管と補助部材を示す概略断面図である。 本発明の熱交換器における溶接後のヘアピン管とU字管との接続部を示す概略断面図である。 本発明の熱交換器におけるU字管の他の形態を示す概略断面図である。 本発明の熱交換器における溶接後のヘアピン管とU字管との接続部を示す概略構成図である。 従来の熱交換器のヘアピン管とU字管との接続部を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1は本実施形態に係る熱交換器1であって、後述するヘアピン管20およびU字管40によって形成される管内流路を流通する冷媒などの流体と、積層フィン11間を通過する空気などの流体との間で熱交換を行うクロスフィンチューブ型熱交換器の概略斜視図であり、図2は熱交換器1の分解斜視図である。
図2に示すように、本実施形態の熱交換器1は、フィン11aを積層した積層フィン11と一対の管板12とからなるフィン組10と、複数のヘアピン管20と、複数のU字管40と、複数の補助部材30と、後述するリングろう材50とから構成されている。
フィン11aは、表面にスリットなどが形成されたプレート状のアルミフィンであって、ヘアピン管20内を流通する冷媒などの流体の熱を伝熱する。複数のフィン11aを所定の間隔を設けて上下方向に重ねて積層フィン11を形成している。
管板12は、積層フィン11の積層方向両側に設けられ、フィン11aより剛性が高い一対の金属板である。管板12には、熱交換器1をエアコン等の製品本体に取付ける時にネジ固定するための図示しない固定部が設けられている。
また、上述したように積層フィン11および積層フィン11の積層方向両側に設けられた一対の管板12によってフィン組10を構成している。
フィン組10を構成する積層フィン11および管板12には後述するヘアピン管20の端部21を貫通させるために設けられた貫通孔13が設けられている。貫通孔13の孔径は、ヘアピン管20の外径よりわずかに大きく形成されている。
ヘアピン管20は内部に溝形状など有する金属管であって、図に示すようにU字状に曲げられている。熱交換器1の使用時には、内部を冷媒などの流体が流通し、ヘアピン管20は流体の熱をフィン11aに伝える。ヘアピン管20は、積層フィン11および管板12の貫通孔13に端部21を貫通させた後、拡管を行い、フィン組10と圧接させる。これによって、フィン組10とヘアピン管20とは接合される。
U字管40は、金属管であって、U字状に形成されている曲管部42と管端である端部41とからなる。フィン組10に固定された隣り合うヘアピン管20の端部21同士を接続して、ヘアピン管20の管内流路を接続する接続管である。U字管40の端部41は拡管されており、内径がヘアピン管20の拡管後の外径よりわずかに大きい。なお、本実施形態ではU字管端部41は拡管されたものを用いているが、図7に示すように、曲管部42の内径がヘアピン管20の拡管後の外径よりわずかに大きいものを使用すれば、拡管する必要がなく、加工数が低減できる。また、本実施例ではフィン組10に固定された隣り合うヘアピン管20の端部21同士を接続するU字管40としているが、異なるヘアピン管20の端部21同士を接続するものであれば隣接していない端部21同士を接続する接続管であってもよい。より詳細には、図2におけるヘアピン管20aとヘアピン管20cあるいはヘアピン管20dとを接続する接続管等であってもよい。
補助部材30は、円筒形状の金属部品であって、図3に示すように、小径部31、接続部33、大径部32、拡管部34とが順に連なって形成されており、ヘアピン管20とU字管40とを接続する。
小径部31は補助部材30の一部であり、内径がヘアピン管20の拡管後の外径よりわずかに大きく形成されている。
大径部32は補助部材30の一部であり、内径がU字管端部41の外径よりわずかに大きく形成されている。
接続部33は補助部材30の一部であり、小径部31と大径部32との間に位置し、大径部32がわから小径部31側にかけて内径が徐々に小さくなるテーパ状の面を有している。
拡管部34は補助部材30の一部であり、内径が大径部よりも大きく形成され、大径部32から端部に向かって内径が大きくなるテーパ状となっている。拡管部34は、溶接時、後述するリングろう材50の設置場所となる。
リングろう材50は、図4に示すように、リング状に形成されたろう材であって、母材となるヘアピン管20やU字管40、補助部材30より融点の低い合金が用いられる。
次に、ヘアピン管20とU字管40との接続箇所について図6を用いて詳細に説明する。
図6に示すように、フィン組10を貫通しているヘアピン管20の端部21は、U字管40の端部41に挿し込まれている。また、ヘアピン管20の外周面と補助部材30の小径部31の内周面との間にはわずかな空間があり、拡管部34に設置されていたリングろう材50が溶解して当該空間に流れ込み、接合部51Bを形成している。また、U字管40の端部41の外周面と補助部材30の大径部32の内周面との間にはわずかな空間があり、拡管部34に設置されていたリングろう材50が溶解して当該空間に流れ込み、接合部51Aを形成している。上記の構成によって、ヘアピン管20とU字管40との嵌合部は補助部材30によって覆われており、さらに、補助部材30は、小径部31とヘアピン管20とが、また、大径部32とU字管40とがそれぞれろう材で溶接されているため、ヘアピン管20の管内流路とU字管40の管内流路とが気密性が確保された状態で接続される。
次に、本実施形態の熱交換器1の製造工程について図2ないし6を用いて詳細に説明する。
図2に示すように、本発明のクロスフィンチューブ型熱交換器は、先ず、ヘアピン管20を、端部21が上向きになるように、かつ、フィン組10に設けられた複数の貫通孔13の配置間隔に対応する間隔で複数配置する。配置されたヘアピン管20の端部21にフィン組10の貫通孔13を上方から貫通させる。貫通後、各ヘアピン管20を拡管することで、各ヘアピン管20とフィン組10とが接合される。
次に、図3に示すように、小径部31が下側、大径部32が上側となるように補助部材30をヘアピン管20の端部21の外側に嵌める。この時、ヘアピン管20の外径は補助部材30の小径部31の内径よりわずかに小さい。また、補助部材30の大径部32とヘアピン管20の端部21との間に径方向にU字管端部41を挿入することが可能な隙間が生じる。
次に、図4に示すように、リングろう材50をU字管40の外側に嵌めておき、上述した補助部材30の大径部32とヘアピン管20の端部21との隙間にU字管40の端部41を挿入する。この時、U字管40の端部41の内径はヘアピン管20の外径よりわずかに大きく、U字管40の外径は補助部材30の大径部32の内径よりわずかに小さい。挿入後、予めU字管40の外側に嵌めておいたリングろう材50を補助部材30の拡管部34に設置すると、図5に示すような状態になる。
図5に示すような状態で炉に入れることで、図6に示すように、リングろう材50が融解し、自重によってU字管端部41と大径部32との間に流れ込む。さらに、リングろう材50はヘアピン管20と小径部31との間にも流れ込む。その結果、U字管端部41と大径部32と、また、ヘアピン管20と小径部31とがそれぞれ溶接されて接合部51A,Bとなり、接合部51A,Bではろう材によって気密性が確保された状態で接続される。なお、本実施例では、リングろう材50を予めU字管40の外側に嵌めてから、U字管端部41を補助部材30の大径部32とヘアピン管20の端部21との隙間に挿入させて、その後、U字管40の外側に嵌めておいたリングろう材50を補助部材30の拡管部34に設置しているが、リングろう材50を拡管部34に設置してからU字管端部41を補助部材30の大径部32とヘアピン管20の端部21との隙間に挿入させてもよい。
上記の構成によると、ヘアピン管20とU字管40とが嵌合する箇所が、補助部材30により覆われており、さらに、補助部材30は、小径部31がヘアピン管20と、また、大径部32がU字管40とそれぞれ接合されている。したがって、ヘアピン管20とU字管40とは気密性が確保された状態で接続される。
以上説明したように、U字管40の端部41の内周面がヘアピン管20の端部21の外周面と嵌めあうように接続されており、ヘアピン管20の外周面およびU字管40の外周面を連続して覆う補助部材30によって、U字管40の外周面とヘアピン管20の外周面とに接合される構成となっているので、ろう材がヘアピン管20内部まで流れ込むことがなくなり、圧力損失の増大による熱交換効率の低下およびヘアピン管20の管内流路のろう材詰まりを防止できる。
なお、本実施形態においてヘアピン管20と接続する接続管をU字管40としたが、ヘアピン管20の管内流路を接続する部品であればこの限りでなく、例えば、三方ベント管などでも本発明と同様の効果を発揮できる。
次に、熱交換器1の製造工程時における溶接の適否判定を行うための構成について、図8を用いて説明する。
従来、本発明のようにリングろう材を用いた置きろうでの溶接において、気密性が十分に確立されるように溶接が行われたかどうかの判定は接続部の目視によって行われていた。より詳細には、図9におけるAの部分の隙間が、全周にわたってろう材で満たされているかどうかで判断していた。
図6において、U字管40と補助部材30の大径部32との間の接合部51Aについては、従来通り目視による判定が行えた。しかし、ヘアピン管20と補助部材30の小径部31との間の接合部51Bについては、補助部材30によって覆われているため、従来の様に目視による判定を行うことができず、信頼性に問題がある。
したがって、本実施形態の熱交換器1は、図8(A)に示すように、補助部材30の小径部31に所定の切欠き部31aを設けている。本構成によれば、融解したろう材がヘアピン管20と補助部材30の小径部31との間に適切に接合部を形成できていれば切欠き部31aから目視によってろう材を確認できるため、気密性が十分に確立されるように溶接が行われたかどうかの判定を行うことができ、信頼性を確保できる。
なお、切欠き部31aの形状については、ろう材の回り具合を確認できる形状であればこの限りでなく、図8(B)の切欠き部31bの様な形状や、図8(C)の覗き孔31cの様な形状であってもよい。
また、図8(D)に示すように、管板12の貫通孔近傍に突起部12aを設けて、補助部材30の小径部31を管板12の平面に当接させずに一定の隙間を形成することで、切欠き部31a等と同様の効果を発揮できる。
1 熱交換器
10 フィン組
11 積層フィン
11a フィン
12 管板
12a 突起部
13 貫通孔
20 ヘアピン管
21 端部
30 補助部材
31 小径部
31a 切欠き部
31b 切欠き部
31c 覗き孔
32 大径部
33 接続部
34 拡管部
40 U字管
41 U字管端部
50 リングろう
51 接合部
110 積層フィン
120 ヘアピン管
121 大径部
122 拡管部
140 U字管
150 ろう材

Claims (2)

  1. 積層された複数のフィンと、該フィンの積層方向両端に設けられた一対の管板と、前記フィンおよび前記管板に設けられた貫通孔に挿通された複数のヘアピン管と、異なる該ヘアピン管を接続する接続管とを有するクロスフィン型の熱交換器において、
    前記接続管は、内周面が前記ヘアピン管の管端部の外周面と重なるように嵌合され、
    前記ヘアピン管の外径より内径が大きい小径部と、一端が前記小径部に接続され、他端側に向かって徐々に内径が大きくなる接続部と、一端が前記接続部に接続された大径部とを有する補助部材を備え、
    前記補助部材は、前記小径部が前記管板に当接し、かつ、前記ヘアピン管の外周面および前記接続管の外周面を前記小径部と前記接続部および前記大径部によって連続して覆っており、
    前記小径部は前記ヘアピン管の外周面と、前記大径部は前記接続管の外周面とでろう材によって接合されるものであって、
    前記小径部及び前記管板の少なくとも一方に確認部が設けられ、
    前記確認部は、前記小径部と前記管板の間に、ろう材の回り具合を確認するための隙間を形成することを特徴とした
    熱交換器。
  2. 前記確認部は、前記管板に設けられた前記補助部材の端面の一部と当接する凸部であることを特徴とした請求項1に記載の熱交換器。
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