以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図7を参照して説明する。
<構成>
図1には、本発明の第1実施形態に係る放送受信装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。なお、放送受信装置100Aは、両側波帯成分を有するAM放送波を受信する放送受信装置となっている。
図1に示されるように、放送受信装置100Aは、アンテナ110と、RF処理ユニット120と、検波ユニット130と、ノイズ処理ユニット150Aとを備えている。また、放送受信装置100Aは、アナログ処理ユニット160と、スピーカユニット170と、入力ユニット180と、制御ユニット190とを備えている。
上記のアンテナ110は、放送波を受信する。アンテナ110による受信結果は、信号RFSとして、RF処理ユニット120へ送られる。
上記のRF処理ユニット120は、制御ユニット190から送られた選局指令CSLに従って、選局すべき希望局の信号を信号RFSから抽出する選局処理を行い、所定の中間周波数帯の成分を有する中間周波信号IFDを生成する。そして、RF処理ユニット120は、生成された中間周波信号IFDを、検波ユニット130及びノイズ処理ユニット150Aへ送る。このRF処理ユニット120は、入力フィルタと、高周波増幅器(RF−AMP:Radio Frequency-Amplifier)と、バンドパスフィルタ(以下、「RFフィルタ」とも呼ぶ)とを備えている。また、RF処理ユニット120は、ミキサ(混合器)と、中間周波フィルタ(以下、「IFフィルタ」とも呼ぶ)と、AD(Analogue to Digital)変換器と、局部発振回路(OSC)とを備えている。
ここで、入力フィルタは、アンテナ110から送られた信号RFSの低周波成分を遮断するハイパスフィルタである。高周波増幅器は、入力フィルタを通過した信号を増幅する。RFフィルタは、高周波増幅器から出力された信号のうち、高周波帯の信号を選択的に通過させる。ミキサは、RFフィルタを通過した信号と、局部発振回路から供給された局部発振信号とを混合する。
IFフィルタは、ミキサから出力された信号のうち、予め定められた中間周波数範囲の信号を選択して通過させる。AD変換器は、IFフィルタを通過した信号をデジタル信号に変換する。この変換結果は、中間周波信号IFDとして、検波ユニット130及びノイズ処理ユニット150Aへ送られる。
なお、局部発振回路は、電圧制御等により発振周波数の制御が可能な発振器等を備えて構成される。この局部発振回路は、制御ユニット190から送られた選局指令CSLに従って、選局すべき希望局に対応する周波数の局部発振信号を生成し、ミキサへ供給する。
上記の検波ユニット130は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、検波ユニット130は、中間周波信号IFDに対して検波処理を施し、検波結果を検波信号DTDとして、ノイズ処理ユニット150Aへ送る。ここで、検波信号DTDは、音声帯域の信号となっている。
なお、検波信号DTDのスペクトルは、中間周波信号IFDのUSB成分のスペクトルとLSB成分のスペクトルとにおける中間周波信号IFDの中心周波数との周波数差が同一の周波数成分同士の和として算出されるスペクトルとなっている。そこで、以下の説明においては、検波信号DTDを、「信号(U+L)」とも記すものとする。
上記のノイズ処理ユニット150Aは、検波ユニット130から送られた検波信号DTD、及び、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、ノイズ処理ユニット150Aは、検波信号DTDに対して、ノイズ除去処理を施して、信号AODを生成する。こうして生成された信号AODは、アナログ処理ユニット160へ送られる。
なお、ノイズ処理ユニット150Aの構成の詳細については、後述する。
上記のアナログ処理ユニット160は、ノイズ処理ユニット150Aから送られた信号AODを受ける。そして、アナログ処理ユニット160は、制御ユニット190による制御のもとで、出力音声信号AOSを生成し、生成された出力音声信号AOSをスピーカユニット170へ送る。
かかる機能を有するアナログ処理ユニット160は、DA(Digital to Analogue)変換部と、音量調整部と、パワー増幅部とを備えて構成されている。ここで、DA変換部は、ノイズ処理ユニット150Aから送られた信号AODを受ける。そして、DA変換部は、信号AODをアナログ信号に変換する。DA変換部によるアナログ変換結果は音量調整部へ送られる。
音量調整部は、DA変換部から送られたアナログ変換結果の信号を受ける。そして、音量調整部は、制御ユニット190からの音量調整指令VLCに従って、アナログ変換結果の信号に対して音量調整処理を施す。なお、音量調整部は、第1実施形態では、電子ボリューム素子等を備えて構成されている。音量調整部による音量調整結果の信号は、パワー増幅部へ送られる。
パワー増幅部は、音量調整部から送られた音量調整結果の信号を受ける。そして、パワー増幅部は、音量調整結果の信号をパワー増幅する。なお、パワー増幅部は、パワー増幅器を備えている。パワー増幅部による増幅結果である出力音声信号AOSは、スピーカユニット170へ送られる。
上記のスピーカユニット170は、スピーカを備えている。このスピーカユニット170は、アナログ処理ユニット160から送られた出力音声信号AOSに従って、音声を再生出力する。
上記の入力ユニット180は、放送受信装置100Aの本体部に設けられたキー部、あるいはキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、不図示の表示ユニットに設けられたタッチパネルを用いることができる。また、キー部を有する構成に代えて、音声入力する構成を採用することもできる。入力ユニット180への入力結果は、入力データIPDとして制御ユニット190へ送られる。
上記の制御ユニット190は、入力ユニット180から送られた入力データIPDを受ける。この入力データIPDの内容が選局指定であった場合には、制御ユニット190は、指定された希望局に対応する選局指令CSLを生成して、RF処理ユニット120へ送る。また、入力データIPDの内容が音量調整指定であった場合には、制御ユニット190は、指定された音量調整指定に対応する音量調整指令VLCを生成して、アナログ処理ユニット160へ送る。
《ノイズ処理ユニット150Aの構成》
次に、上記のノイズ処理ユニット150Aの構成について説明する。
ノイズ処理ユニット150Aは、図2に示されるように、第1周波数特定部151Aと、フーリエ変換部(FFT部)152と、第2周波数特定部153と、ノイズフロア評価部154とを備えている。また、ノイズ処理ユニット150Aは、ノイズ除去部155と、逆フーリエ変換部(IFFT部)156とを備えている。
上記の第1周波数特定部151Aは、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、第1周波数特定部151Aは、中間周波信号IFDにおけるノイズ成分に対応する音声周波数帯の周波数(以下、「第1周波数NF1」という)の特定処理を行う。かかる第1周波数特定部による特定処理により第1周波数NF1が特定されると、特定された第1周波数NF1が、ノイズ除去部155へ送られる。ここで、第1周波数特定部151Aによる特定処理により第1周波数NF1が特定されなかった場合には、第1周波数NF1として「0」が、ノイズ除去部155へ送られるようになっている。
なお、第1周波数特定部151Aの構成の詳細については、後述する。
上記のFFT部152は、検波ユニット130から送られた検波信号DTD(=信号(U+L))を受ける。そして、FFT部152は、検波信号DTDにフーリエ変換を施す。かかるフーリエ変換の結果(スペクトル)は、フーリエ変換結果FFDとして、第2周波数特定部153及びノイズフロア評価部154へ送られる。
上記の第2周波数特定部153は、FFT部152から送られたフーリエ変換結果FFDを受ける。そして、第2周波数特定部153は、フーリエ変換結果FFDに基づいて、検波信号DTDにおけるノイズ成分の周波数(以下、「第2周波数NF2」という)及びレベル(以下、「ノイズレベルNLV」という)の特定処理を行う。かかる第2周波数特定部153による特定処理により第2周波数NF2及びノイズレベルNLVが特定されると、特定された第2周波数NF2及びノイズレベルNLVが、ノイズ除去部155へ送られる。ここで、第2周波数特定部153による特定処理により第2周波数NF2が特定されなかった場合には、第2周波数NF2として「0」が、ノイズ除去部155へ送られるようになっている。
なお、第2周波数特定部153の構成の詳細については、後述する。
上記のノイズフロア評価部154は、FFT部152から送られたフーリエ変換結果FFDを受ける。そして、ノイズフロア評価部154は、フーリエ変換結果FFDに基づいて、検波信号DTDにおけるノイズフロアのレベルを評価する。こうして評価されたノイズフロアレベルNFLは、ノイズ除去部155へ送られる。
なお、第1実施形態では、ノイズフロア評価部154は、例えば、特開2012−178804号公報に記載のノイズ推定方法を利用して、ノイズフロアレベルの評価を行う。
上記のノイズ除去部155は、FFT部152から送られたフーリエ変換結果FFDを受ける。また、ノイズ除去部155は、第1周波数特定部151Aから送られた第1周波数NF1、第2周波数特定部153から送られた第2周波数NF2及びノイズレベルNLV、並びに、ノイズフロア評価部154から送られたノイズフロアレベルNFLを受ける。そして、ノイズ除去部155は、第1周波数NF1、第2周波数NF2及びノイズレベルNLV、並びに、ノイズフロアレベルNFLに基づいて、フーリエ変換結果FFDに含まれるノイズ成分を低減させる。こうして得られたノイズ成分の低減結果は、ノイズ除去スペクトルNRDとして、IFFT部156へ送られる。
なお、ノイズ除去部155によるノイズ低減処理については、後述する。
上記のIFFT部156は、ノイズ除去部155から送られたノイズ除去スペクトルNRDを受ける。そして、IFFT部156は、ノイズ除去スペクトルNRDに逆フーリエ変換を施す。かかる逆フーリエ変換の結果は、信号AODとして、アナログ処理ユニット160へ送られる。
(第1周波数特定部151Aの構成)
次いで、第1周波数特定部151Aの構成について説明する。
第1周波数特定部151Aは、図3に示されるように、(U−L)検出部211と、FFT部212とを備えている。また、第1周波数特定部151Aは、時間平均部213と、抽出部214とを備えている。
上記の(U−L)検出部211は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、(U−L)検出部211は、中間周波信号IFDのUSB成分のスペクトルとLSB成分のスペクトルとにおける中間周波信号IFDの中心周波数との周波数差が同一の周波数成分間の差分を算出することにより、差分信号(U−L)を算出する。なお、(U−L)検出部211は、中間周波信号IFDの中心周波数が0[Hz]となっている音声帯域の信号として差分信号(U−L)を算出する。
かかる機能を有する(U−L)検出部211では、検波前信号である中間周波信号IFDに対して、中間周波信号IFDにおける搬送波成分を90°だけ位相をずらした信号を乗算する。引き続き、当該乗算の結果にローパスフィルタリング処理を施す。かかるローパスフィルタリング処理の結果が、信号SBDとしてFFT部212へ送られる。
なお、信号SBDは、中間周波信号IFDにおける非対称成分となっている。このため、中間周波信号IFDにビートノイズ成分が非対称成分として混入している場合には、信号SBDは、当該ビートノイズ成分を含んだ信号となる。
上記のFFT部212は、(U−L)検出部211から送られた信号SBDを受ける。そして、FFT部212は、信号SBDにフーリエ変換を施す。かかるフーリエ変換の結果(スペクトル)は、フーリエ変換結果FTRとして、時間平均部213へ送られる。
上記の時間平均部213は、FFT部212から送られたフーリエ変換結果FTRを受ける。そして、時間平均部213は、フーリエ変換結果FTRにおける各周波数成分のレベルの時間平均を算出する。かかる時間平均の結果は、時間平均スペクトルFTAとして抽出部214へ送られる。
なお、中間周波信号IFDに定常的なビートノイズ成分が非対称成分として混入している場合には、時間平均スペクトルFTAでは、当該ビートノイズ成分の周波数成分のレベルが、他の周波数成分のレベルと比べて突出したレベルとなる。
上記の抽出部214は、時間平均部213から送られた時間平均スペクトルFTAを受ける。そして、抽出部214は、時間平均スペクトルFTAにおいて、他の周波数成分のレベルと比べて突出したピークレベル及び細いピーク幅を有するピークを抽出し、当該ピークの中心周波数を第1周波数NF1として特定する。こうして特定された第1周波数NF1は、ノイズ除去部155へ送られる。
なお、上述したように、第1周波数NF1が特定されなかった場合、すなわち、ノイズピークが抽出されなかった場合には、第1周波数NF1として「0」が、ノイズ除去部155へ送られるようになっている。
図4には、中間周波信号IFDのスペクトルと、時間平均スペクトルFTAとの例が示されている。ここで、図4(A)には、中間周波信号IFDにノイズ成分が非対称成分として含まれており、かつ、そのノイズ成分が定常的なビートノイズであった場合の例が示されている。
また、図4(B)には、中間周波信号IFDに定常的なビートノイズ成分が含まれているが、波形歪の発生により、あたかもAM変調されたような態様でビートノイズ成分が含まれる場合の例が示されている。この場合には、時間平均スペクトルFTAにおいては、他の周波数成分のレベルと比べて突出したピークレベル、及び、細いピーク幅を有するピークは現れない。
(第2周波数特定部153の構成)
次いで、第2周波数特定部153の構成について説明する。この第2周波数特定部153は、図5に示されるように、時間平均部221と、抽出部222とを備えている。
上記の時間平均部221は、FFT部152から送られたフーリエ変換結果FFDを受ける。そして、時間平均部221は、フーリエ変換結果FFDにおける各周波数成分のレベルの時間平均を算出する。かかる時間平均の結果は、時間平均スペクトルFTBとして抽出部222へ送られる。
なお、検波信号DTDに定常的なビートノイズ成分が混入している場合には、時間平均スペクトルFTBでは、当該ビートノイズ成分の周波数成分のレベルが、他の周波数成分のレベルと比べて突出したレベルとなる。
上記の抽出部222は、時間平均部221から送られた時間平均スペクトルFTBを受ける。そして、抽出部222は、時間平均スペクトルFTBにおいて、所定閾値LVTH以上のピークレベル及び細いピーク幅を有するピークを抽出し、当該ピークの中心周波数を第2周波数NF2として特定するとともに、ピークレベルをノイズレベルNLVとして特定する。こうして特定された周波数NF2及びノイズレベルNLVは、ノイズ除去部155へ送られる。
なお、上述したように、第2周波数NF2が特定されなかった場合、すなわち、ノイズピークが抽出されなかった場合には、第2周波数NF2として「0」が、ノイズ除去部155へ送られるようになっている。
図6には、中間周波信号IFDのスペクトルと、検波信号DTD(=信号(U−L))と、時間平均スペクトルFTBとの例が示されている。ここで、図6(A)には、中間周波信号IFDにノイズ成分が非対称成分として含まれており、かつ、そのノイズ成分が定常的なビートノイズであった場合の例が示されている。
また、図6(B)には、中間周波信号IFDに定常的なビートノイズ成分が含まれているが、波形歪の発生により、あたかもAM変調されたような態様でビートノイズ成分が含まれる場合の例が示されている。この場合には、上述した図4(B)の時間平均スペクトルFTAの場合とは異なり、時間平均スペクトルFTBにおいては、他の周波数成分のレベルと比べて突出したピークレベル及び細い幅を有するピークが現れる。
<動作>
次に、以上のように構成された放送受信装置100Aの動作について、ノイズ処理ユニット150Aにおける処理に主に着目して説明する。
前提として、入力ユニット180には既に利用者により選局指定が入力されており、指定された希望局に対応する選局指令CSLが、RF処理ユニット120へ送られているものとする。また、入力ユニット180には既に利用者により音量調整指定が入力されており、指定された音量調整態様に対応する音量調整指令VLCが、アナログ処理ユニット160へ送られているものとする(図1参照)。
こうした状態で、アンテナ110で放送波を受信すると、信号RFSが、アンテナ110からRF処理ユニット120へ送られる。そして、RF処理ユニット120において、選局すべき希望局の信号が中間周波数帯の信号に変換された後、AD変換が行われる。RF処理ユニット120は、このAD変換の結果を、中間周波信号IFDとして、検波ユニット130及びノイズ処理ユニット150Aへ送る(図1参照)。
中間周波信号IFDを受けると、検波ユニット130が、中間周波信号IFDに対して検波処理を施す。そして、検波ユニット130は、検波結果を、検波信号DTDとして、ノイズ処理ユニット150Aへ送る(図1参照)。
中間周波信号IFD及び検波信号DTDを受けると、ノイズ処理ユニット150Aは、検波信号DTDに含まれるノイズ成分の除去処理を実行する。かかるノイズ成分の除去処理には、中間周波信号IFDに基づく第1周波数特定処理が含まれている。また、当該ノイズ成分の除去処理には、ノイズ処理ユニット150AにおけるFFT部152による検波信号DTDのフーリエ変換結果FFDに基づく第2周波数特定処理及びノイズフロア評価処理が含まれる。さらに、当該ノイズ成分の除去処理には、ノイズ低減処理が含まれている。
《第1周波数特定処理》
第1周波数特定処理は、第1周波数特定部151Aにより実行される。
第1周波数特定部151Aでは、(U−L)検出部211が中間周波信号IFDを受ける(図3参照)。そして、(U−L)検出部211は、中間周波信号IFDのUSB成分とLSB成分のスペクトルとにおける中間周波信号IFDの中心周波数との周波数差が同一の周波数成分間の差分を算出することにより、差分信号(U−L)を算出する。
かかる差分信号(U−L)の算出に際して、(U−L)検出部211は、中間周波信号IFDに対して、搬送波成分と90°だけ位相をずらした信号を乗算する。引き続き、(U−L)検出部211は、当該乗算の結果にローパスフィルタリング処理を施す。そして、(U−L)検出部211は、ローパスフィルタリング処理の結果を、信号SBDとしてFFT部212へ送る(図3参照)。
信号SBDを受けると、FFT部212は、信号SBDにフーリエ変換を施す。そして、FFT部212は、フーリエ変換結果FTRを時間平均部213へ送る(図3参照)。
フーリエ変換結果FTRを受けると、時間平均部213は、フーリエ変換結果FTRにおける各周波数成分のレベルの時間平均を算出する。そして、時間平均部213は、時間平均の結果を、時間平均スペクトルFTAとして抽出部214へ送る(図3参照)。
なお、中間周波信号IFDに定常的なビートノイズ成分が非対称成分として混入している場合には、時間平均スペクトルFTAにおいて、当該ビートノイズ成分の周波数成分のレベルが、他の周波数成分のレベルと比べて突出したレベルとなる(図4(A)参照)。
時間平均スペクトルFTAを受けると、抽出部214は、時間平均スペクトルFTAにおける他の周波数成分のレベルと比べて突出したピークレベルを有するとともに、細いピーク幅のピークを抽出する。引き続き、抽出部214は、当該ピークの中心周波数を第1周波数NF1として特定する。そして、抽出部214は、第1周波数NF1をノイズ除去部155へ送る(図3参照)。
なお、上述したように、第1周波数NF1が特定されなかった場合、すなわち、上記の条件を満たすノイズピークが抽出されなかった場合には、抽出部214は、第1周波数NF1として「0」が、ノイズ除去部155へ送られるようになっている。
《第2周波数特定処理》
第2周波数特定処理は、第2周波数特定部153により実行される。
第2周波数特定部153では、時間平均部221が検波信号DTDを受ける。引き続き、時間平均部221は、フーリエ変換結果FFDにおける各周波数成分のレベルの時間平均を算出する。そして、時間平均部221は、時間平均の結果を、時間平均スペクトルFTBとして抽出部222へ送る(図5参照)。
なお、検波信号DTDに定常的なビートノイズ成分が混入している場合には、時間平均スペクトルFTBにおいて、当該ビートノイズ成分の周波数成分のレベルが、他の周波数成分のレベルと比べて突出したレベルとなる(図6(A)及び図6(B)参照)。
時間平均スペクトルFTBを受けると、抽出部222は、時間平均スペクトルFTBにおいて、所定閾値LVTH以上のピークレベル及び細いピーク幅を有するピークを抽出する。引き続き、抽出部222は、当該ピークの中心周波数を第2周波数NF2として特定するとともに、ピークレベルをノイズレベルNLVとして特定する。そして、抽出部222は、周波数NF2及びノイズレベルNLVを、ノイズ除去部155へ送る(図5参照)。
なお、上述したように、第2周波数NF2が特定されなかった場合、すなわち、ノイズピークが抽出されなかった場合には、第2周波数NF2として「0」が、ノイズ除去部155へ送られるようになっている。
《ノイズフロア評価処理》
ノイズフロア評価処理は、ノイズフロア評価部154により実行される。
フーリエ変換結果FFDを受けると、ノイズフロア評価部154は、フーリエ変換結果FFDに基づいて、検波信号DTDにおけるノイズフロアのレベルを評価する。そして、ノイズフロア評価部154は、評価結果を、ノイズフロアレベルNFLとしてノイズ除去部155へ送る(図2参照)。
《ノイズ低減処理》
ノイズ低減処理は、ノイズ除去部155により実行される。
かかるノイズ低減処理に際しては、図7に示されるように、まず、ステップS11において、ノイズ除去部155が、第1周波数特定部151Aから送られた第1周波数NF1を取得する。また、ノイズ除去部155は、第2周波数特定部153から送られた第2周波数NF2及びノイズレベルNLV、並びに、ノイズフロア評価部154から送られたノイズフロアレベルNFLを取得する。
次に、ステップS12において、ノイズ除去部155が、第2周波数NF2が「0」であるか否かを判定することにより、第2周波数NF2が未特定であるか否かを判定する。ステップS12における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS12:Y)には、ノイズ除去部155は、検波信号DTDには、低減すべきビートノイズ成分が含まれていないと判断する。そして、処理はステップS11に戻る。以後、ステップS12における判定の結果が否定的となるまで、ステップS11,S12の処理が繰り返される。
ステップS12における判定の結果が否定的となると(ステップS12:N)、処理はステップS13へ進む。このステップS13では、ノイズ除去部155が、第1周波数NF1と第2周波数NF2との差が、所定値ΔTH以下であるか否かを判定することにより、第1周波数NF1と第2周波数NF2との差が所定範囲内であるか否かを判定する。ここで、「所定値ΔTH」は、第1周波数NF1と第2周波数NF2とが実質的に同一といえるか否かを判定するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
なお、第1周波数NF1が特定されなかった場合には、第1周波数NF1は「0」となっているが、ステップS13が実行されるときには、第2周波数NF2が特定されている。このため、ステップS13の実行時において第1周波数NF1が特定されていなかった場合には、第1周波数NF1と第2周波数NF2とは有意な差となり、第1周波数NF1と第2周波数NF2との差は所定範囲外となる。
ステップS13における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS13:Y)には、ノイズ除去部155が、検波信号DTDには、第2周波数NF2のビートノイズ成分が含まれていると判断する。そして、処理はステップS14へ進む。
ステップS14では、ノイズ除去部155が、第1ノイズ低減処理を実行する。そして、ノイズ除去部155は、第1ノイズ低減処理の結果を、ノイズ除去スペクトルNRDとしてIFFT部156へ送る(図2参照)。
かかる第1ノイズ低減処理に際して、ノイズ除去部155は、第2周波数NF2の成分、及び、第2周波数NF2のN(例えば、N=2,3)倍の周波数の成分について、ノイズレベルNLVに対応する量だけ、スペクトラムサブトラクション法を用いて、検波信号DTDのフーリエ変換結果FFDから除去する。ここで、第2周波数NF2のN倍の周波数の成分を低減させるのは、ビートノイズ成分を含む中間周波信号IFDに対して検波処理を施すと、中間周波信号IFDにおけるビートノイズ成分が独立して検波結果に反映されるのではなく、当該ビートノイズ成分に由来する歪を有する波形の検波結果となるためである。
こうして、ステップS14の処理が終了すると、処理はステップS11に戻る。
上述したステップS13における判定の結果が否定的であった場合(ステップS13:N)には、処理はステップS15へ進む。このステップS15では、ノイズ除去部155が、ノイズフロアレベルNFLが所定閾値レベルLVTH以上であるか否かを判定する。かかる判定を行うのは、ビートノイズ成分が検波信号DTDに含まれる場合には、検波信号DTDのノイズフロアレベルNFLが高くなっているという経験的事実に基づいている。
ステップS15における判定の結果が否定的であった場合(ステップS15:N)には、ノイズ除去部155は、検波信号DTDにおける第2周波数NF2の成分には、低減すべきビートノイズ成分が含まれていないと判断する。そして、処理はステップS11へ戻る。
一方、ステップS15における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS15:Y)には、処理はステップS16へ進む。ステップS16では、ノイズ除去部155が、第2ノイズ低減処理を実行する。そして、ノイズ除去部155は、第2ノイズ低減処理の結果を、ノイズ除去スペクトルNRDとしてIFFT部156へ送る(図2参照)。
かかる第2ノイズ低減処理に際して、ノイズ除去部155は、第2周波数NF2の成分について、ノイズレベルNLVに対応する量だけ、スペクトラムサブトラクション法を用いて、検波信号DTDのフーリエ変換結果FFDから除去する。ここで、第2ノイズ低減処理においては、上述した第1ノイズ低減処理のように第2周波数NF2のN倍の周波数の成分は低減させないようになっている。
こうして、ステップS16の処理が終了すると、処理はステップS11に戻る。以後、ステップS11〜S16の処理が繰り返されて、各時点における第1周波数NF1、第2周波数NF2、ノイズレベルNLV、並びに、ノイズフロアレベルNFLに対応したノイズ低減処理が実行される。
ノイズ除去スペクトルNRDを受けると、IFFT部156は、ノイズ除去スペクトルNRDに逆フーリエ変換を施す。そして、IFFT部156は、逆フーリエ変換の結果を、信号AODとしてアナログ処理ユニット160へ送る。
さて、ノイズ処理ユニット150Aから送られた信号AODを受けると、アナログ処理ユニット160では、DA変換部、音量調整部及びパワー増幅部による信号処理が順次施され、出力音声信号AOSが生成される。そして、アナログ処理ユニット160は、生成された出力音声信号AOSをスピーカユニット170へ送る(図1参照)。この結果、スピーカユニット170が、出力音声信号AOSに従って、音声を再生出力する。
以上説明したように、第1実施形態では、アンテナ110による両側波帯を有するAM放送波の受信結果である信号RFSが、RF処理ユニット120及び検波ユニット130により順次処理されて、検波信号DTDが生成される。この検波信号DTD及びRF処理ユニット120により生成された中間周波信号IFDを受けると、ノイズ処理ユニット150Aが、検波信号DTDに含まれるビートノイズ成分の低減を行う。
かかるビートノイズ成分の低減に際して、ノイズ処理ユニット150Aでは、第1周波数特定部151Aが、検波前信号である中間周波信号IFDにおけるノイズ成分の第1周波数NF1の特定処理を行う。また、第2周波数特定部153が、検波後信号である検波信号DTDにおけるノイズ成分の第2周波数NF2の特定処理を行う。そして、第1周波数NF1及び前記第2周波数NF2が特定され、かつ、第1周波数NF1と第2周波数NF2との差が所定の範囲内である場合に、ノイズ除去部155が、検波信号DTDにおける第2周波数NF2の成分を低減させる。
したがって、第1実施形態によれば、中間周波信号IFDに混入したビートノイズ成分が、検波信号DTDにおいても残存している場合に、検波信号DTDにおけるビートノイズ成分を、適切に除去することができる。
また、第1実施形態では、ノイズフロア評価部154が、検波信号DTDにおけるノイズフロアのレベルを評価する。そして、ノイズ除去部155が、第2周波数NF2が特定されたが、第1周波数NF1が特定されなかった、又は、第1周波数NF1及び第2周波数NF2が特定されたが、第1周波数NF1と第2周波数NF2との差が所定の範囲内になかったときには、ノイズフロアのレベルが所定閾値以上であった場合に、検波信号DTDにおける第2周波数NF2の成分を低減させる。このため、あたかもAM変調されたような態様でビートノイズ成分が中間周波信号IFDに含まれる場合や、検波信号DTDのみにビートノイズ成分が含まれる場合にも、検波信号DTDにおけるビートノイズ成分を、適切に除去することができる。
また、第1実施形態では、第1周波数特定部151Aが、中間周波信号IFDにおける非対称成分の時間平均に基づいて、第1周波数NF1を特定する。このため、ビートノイズ成分が、中間周波信号IFDにおける非対称成分として定常的に混入している場合に、第1周波数NF1を精度良く特定することができる。
また、第1実施形態では、第2周波数特定部153が、検波信号DTDのスペクトルの時間平均に基づいて、第2周波数NF2を特定する。このため、ビートノイズ成分が、検波信号DTDに定常的に混入している場合に、第2周波数NF2を精度良く特定することができる。
また、第1実施形態では、第1周波数NF1と第2周波数NF2との差が所定の範囲内であった場合には、ノイズ除去部155が、検波信号DTDにおける第2周波数NF2の所定自然数倍の周波数の成分を更に低減させる。このため、ビートノイズ成分を含む中間周波信号IFDを検波した結果、当該中間周波信号IFDにおけるビートノイズ成分に由来する歪を有する波形となった検波信号DTDにおけるビートノイズ成分を、適切に除去することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図8を主に参照して説明する。
<構成>
第2実施形態に係る放送受信装置は、上述した第1実施形態に係る放送受信装置100Aと比べて、第1周波数特定部151Aに代えて、図8に示される構成の第1周波数特定部151Bを備える点のみが異なっている。以下、かかる相違点に着目して説明する。
なお、以下の説明においては、第2実施形態に係る放送受信装置を「放送受信装置100B」と記すとともに、第1周波数特定部151Bを備えるノイズ処理ユニットを「ノイズ処理ユニット150B」と記すものとする。
上記の第1周波数特定部151Bは、図7に示されるように、FFT部216を備えている。また、第1周波数特定部151Bは、時間平均部217と、抽出部218とを備えている。
上記のFFT部216は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、FFT部216は、中間周波信号IFDにフーリエ変換を施す。かかるフーリエ変換の結果(スペクトル)は、フーリエ変換結果FTQとして、時間平均部217へ送られる。
上記の時間平均部217は、FFT部216から送られたフーリエ変換結果FTQを受ける。そして、時間平均部217は、フーリエ変換結果FTQにおける各周波数成分のレベルの時間平均を算出する。かかる時間平均の結果は、時間平均スペクトルFTCとして抽出部218へ送られる。
なお、中間周波信号IFDに定常的なビートノイズ成分が混入している場合には、時間平均スペクトルFTCにおいては、当該ビートノイズ成分の周波数成分のレベルが、他の周波数成分のレベルと比べて突出したレベルとなる。
上記の抽出部218は、中間周波信号における搬送波成分の周波数を保持している。この抽出部218は、時間平均部217から送られた時間平均スペクトルFTCを受ける。引き続き、抽出部218は、時間平均スペクトルFTCにおいて、他の周波数成分のレベルと比べて突出したピークレベル及び細いピーク幅を有するピークを抽出し、当該ピークの中心周波数を抽出する。そして、抽出部218は、抽出されたピークの中心周波数と、中間周波信号における搬送波成分の周波数との差の絶対値を算出し、算出結果を第1周波数NF1として特定する。こうして特定された第1周波数NF1は、ノイズ除去部155へ送られる。
なお、上述した第1周波数特定部151Aの場合と同様に、第1周波数NF1が特定されなかった場合、すなわち、ノイズピークが抽出されなかった場合には、第1周波数NF1として「0」が、ノイズ除去部155へ送られるようになっている。
<動作>
以上のように構成された放送受信装置100Bの動作について、第1周波数特定部151Bによる第1周波数特定処理に主に着目して説明する。
第1周波数特定部151Bによる第1周波数特定処理に際して、第1周波数特定部151Bでは、FFT部216が、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。引き続き、FFT部216は、中間周波信号IFDにフーリエ変換を施す。そして、FFT部216は、フーリエ変換の結果(スペクトル)を、フーリエ変換結果FTQとして、時間平均部217へ送る。
フーリエ変換結果FTQを受けると、時間平均部217は、フーリエ変換結果FTQにおける各周波数成分のレベルの時間平均を算出する。そして、時間平均部217は、時間平均の結果を、時間平均スペクトルFTCとして抽出部218へ送る。
なお、上述したように、中間周波信号IFDに定常的なビートノイズ成分が混入している場合には、時間平均スペクトルFTCにおいては、当該ビートノイズ成分の周波数成分のレベルが、他の周波数成分のレベルと比べて突出したレベルとなる。
時間平均部217から送られた時間平均スペクトルFTCを受けると、抽出部218は、時間平均スペクトルFTCにおいて、他の周波数成分のレベルと比べて突出したピークレベル及び細いピーク幅を有するピークを抽出し、当該ピークの中心周波数を抽出する。引き続き、抽出部218は、抽出されたピークの中心周波数と、中間周波信号における搬送波成分の周波数との差の絶対値を算出し、算出結果を第1周波数NF1として特定する。そして、抽出部218は、第1周波数NF1をノイズ除去部155へ送る。ここで、抽出部218により特定される第1周波数NF1は、上述した抽出部214により特定される第1周波数NF1と同等となっている。
かかる第1周波数特定処理以外については、ノイズ処理ユニット150Bでは、ノイズ処理ユニット150Aの場合と同様の処理が実行される。すなわち、第1周波数特定処理以外については、放送受信装置100Bでは、放送受信装置100Aの場合と同様の処理が実行される。
以上説明したように、第2実施形態では、上述した第1実施形態と同等の動作を行うので、第1実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。
[実施形態の変形]
本発明は、上記の第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、上記の第1実施形態では、ノイズフロアのレベルの評価を、検波信号のフーリエ変換結果に基づいて行うようにした。これに対し、検波信号、第1周波数特定部において得られる差分信号又は差分信号のフーリエ変換結果に基づいて、ノイズフロアのレベルの評価を行うようにしてもよい。
また、上記の第2実施形態では、ノイズフロアのレベルの評価を、検波信号のフーリエ変換結果に基づいて行うようにした。これに対し、検波信号又は第1周波数特定部において得られる中間周波信号のフーリエ変換結果に基づいて、ノイズフロアのレベルの評価を行うようにしてもよい。
また、ノイズレベルの推定手法としては、第1及び第2実施形態において例示した推定手法以外の手法を採用するようにしてもよい。
なお、上記の第1又は第2実施形態における検波ユニット、ノイズ処理ユニット及び制御ユニットを中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。