JP6258920B2 - 口腔内崩壊性フィルムコーティング錠 - Google Patents

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Description

本発明は、経時的な外観変化の生じない口腔内崩壊性フィルムコーティング錠に関する。更に詳しくは、甘味料の少なくとも1種を含有するセルロース系樹脂のフィルムコーティングが施された、ごくわずかな経時的な外観の変化も認められない安定な口腔内崩壊性フィルムコーティング錠に関する。
フィルムコーティングとは、錠剤表面に薄い膜状の物質を形成させる処理の一つであり、外観の改善、耐水性の付与、摩損性の改善、光安定化、識別性の向上などの様々な機能を付与する目的で実施される。
近年、疾患、加齢、唾液分泌量の低下など様々な原因から、嚥下機能の低下した患者に対して、服用しやすい剤形として、口腔内で迅速に崩壊する口腔内崩壊錠の開発が盛んに行われている。口腔内崩壊錠は、患者の服用性の観点から、一般的な錠剤と比較して求められる崩壊速度が圧倒的に速く、崩壊速度を追求した特殊剤形である。しかしながら、一般的に、速崩壊性と高い錠剤硬度は相反する特性であるため、口腔内崩壊錠は錠剤硬度不足や高い摩損性のために、PTPから錠剤を取り出す際に錠剤の欠け、割れを生じ、調剤現場でも自動分包機を使用する上で取り扱い面での課題が指摘されている。すなわち、錠剤は、自動分包前の分包機内では無包装形態で保存され、また分包後は簡易包装形態で保存されるため、光、温度、湿度などの保存環境の影響を受けやすい。例えば、光により分解するなど、外的環境に弱い活性成分に適用できないのは勿論のこと、吸湿により、口腔内崩壊錠自体の硬度が低下し、服用までの取り扱いに耐えられないなどの課題が指摘されている。これらの課題を解決する上で、フィルムコーティングの手法は有用であるが、コーティング層による崩壊遅延が懸念され、口腔内崩壊錠へのフィルムコーティングの適用は難しいのが現状である。
一方で、コーティング層に水溶性物質を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることで、口腔内での速崩壊性を確保しながら、口腔内崩壊錠が高湿度下において吸湿により膨潤した場合においても、被覆層に亀裂が生じることが無い安定な口腔内崩壊性被覆錠剤が開示されている(特許文献1)。しかしながら、亀裂以外の外観変化については、一切、報告されておらず、また、水溶性物質を配合していることから、高湿度での外観変化が予想される。
さらに、ある一定以上の硬度を有した口腔内崩壊性の錠芯に水溶性高分子を含むフィルムコーティング層を施すことで、高い強度を付与した口腔内崩壊性フィルムコーティング錠が開示されているが(特許文献2)、前項同様に、破断以外の外観変化については、一切、報告されていない。
一方で、フィルムコーティングによらない口腔内崩壊錠の被覆方法として、有核型速溶崩壊性錠剤が開示されている(特許文献3)。しかしながら、製造に特殊な装置を要することのほか、フィルムコーティング錠と比べて外周層が厚いため、錠剤径が大きくなる場合が多い。口腔内崩壊錠は口腔内で崩壊させて服用するだけでなく、通常の錠剤と同様に、水で服用する場合もあることから、錠剤径が大きくなることは好ましくない。
国際公開第2010/113841号パンフレット 特開2010−248106号公報 国際公開第2003/028706号パンフレット
本発明は、口腔内での速崩壊性の機能を保持しつつ、高湿度下において吸湿により、コーティング層の亀裂のみならず、艶消失などのごくわずかな経時的な外観の変化も認められない安定な口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を提供することを目的とする。
一般に、錠剤のフィルムコーティングは、外観の改善、耐水性の付与、摩損性の改善、光安定化、識別性の向上などを目的として実施される。この手法を口腔内崩壊錠に適用する場合、速崩壊性を要するという性質上、コーティング層に溶解性の優れるポリビニルアルコール系樹脂を用い、水溶性物質を配合する方法が有用である。一方で、これらの錠剤は、分包時および分包後においては、無包装および簡易包装形態で保存されるため、光、温度、湿度などの外的環境に晒されても、品質を維持することが要求されるが、ポリビニルアルコール系樹脂に水溶性物質を配合したコーティング層では、特に高湿度下での保存時に、艶の消失することが明らかとなった。このような外観変化は、患者に不安を与え、服薬コンプライアンスの低下を招く。
そこで、発明者らは、速崩壊性を有し、高湿度下でも外観変化の生じない口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を開発すべく、鋭意検討を行った結果、セルロース系樹脂に甘味料を組み合わせることにより、速崩壊性の機能を保持しつつ、高湿度下においても、コーティング層の亀裂のみならず、艶消失などのごくわずかな経時的な外観変化の生じない口腔内崩壊性フィルムコーティング錠が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]甘味料の少なくとも1種を含有するセルロース系樹脂のフィルムコーティングが施された口腔内崩壊性フィルムコーティング錠、
[2]当該セルロース系樹脂が、メチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルから選択される少なくとも1種である、上記[1]記載の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠、
[3]当該甘味料が、D−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、乳糖、トレハロース、ラクチトールおよびスクラロースから選択される少なくとも1種である、上記[1]記載の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠、
[4]30℃、相対湿度81%の環境下で1箇月保存するとき、錠剤表面の艶が消失することを特徴とするごくわずかな経時的な外観の変化も認められない安定な、上記[1]記載の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠、
[5]30℃、相対湿度81%の環境下で1箇月保存するとき、8°グロス値が製造直後に対し80%以上保持されている、上記[1]記載の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠、
[6]フィルムコーティング層中のセルロース系樹脂と甘味料の比率が、セルロース系樹脂1重量部に対し、甘味料が0.1〜9重量部であることを特徴とする、上記[1]記載の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠、
[7]甘味料の少なくとも1種およびセルロース系樹脂を含有する口腔内崩壊性錠剤フィルムコーティング用組成物、
[8]甘味料がD−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、乳糖、トレハロース、ラクチトールおよびスクラロースから選択される少なくとも1種であり、セルロース系樹がメチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルから選択される少なくとも1種である、上記[7]記載の組成物、
[9]セルロース系樹脂と甘味料の比率が、セルロース系樹脂1重量部に対し、甘味料が0.1〜9重量部であることを特徴とする、上記[7]に記載の組成物および
[10]上記[7]〜[9]いずれか1項記載の組成物を用いて素錠をコーティングすることを特徴とする口腔内崩壊性錠剤のフィルムコーティング方法に関する。
本発明によれば、口腔内での速崩壊性の機能を保持しつつ、高湿度下においても、コーティング層の亀裂のみならず、艶消失などのごくわずかな経時的な外観変化の生じない口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を提供することができる。また、自動分包時および服用までの取り扱い上、十分な硬度を有し、光、温度、湿度などの外的環境に晒された場合であっても、硬度低下や光による活性成分の分解が改善された口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を提供することができる。より詳細には、光に不安定な活性成分を含有する口腔内崩壊錠においては、コーティング層に光安定化剤を配合することで、活性成分の分解を抑制することもできる。また、フィルムコーティングすることで、錠剤硬度の向上が可能であることから、これまで硬度不足により自動分包できなかった口腔内崩壊錠の一包化包装を可能とし、また、高湿度下において、吸湿により硬度低下する口腔内崩壊錠であっても、取り扱い可能な錠剤強度を確保することができる。これらの効果により、患者の服薬コンプライアンスを改善し、治療効果を向上させることができる。
比較例1(製造直後)の錠剤表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。 比較例1(30℃、相対湿度81%、1箇月後)の錠剤表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。 比較例2(製造直後)の錠剤表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。 比較例2(30℃、相対湿度81%、1箇月後)の錠剤表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。 比較例3(製造直後)の錠剤表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。 比較例3(30℃、相対湿度81%、1箇月後)の錠剤表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。 比較例4(製造直後)の錠剤表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。 比較例4(30℃、相対湿度81%、1箇月後)の錠剤表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。 実施例1(製造直後)の錠剤表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。 実施例1(30℃、相対湿度81%、1箇月後)の錠剤表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
本発明の好適な実施形態について、以下に説明する。
本発明の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠は、内核錠(素錠)である口腔内崩壊錠の表面に、甘味料等を含有するセルロース系樹脂のコーティング層で被覆を施した口腔内崩壊性のフィルムコーティング錠である。
本発明の口腔内崩壊性錠剤フィルムコーティング用組成物は、甘味料の少なくとも1種およびセルロース系樹脂を含有し、内核錠(素錠)である口腔内崩壊錠の表面のコーティングに用いられる成分の組合せである。組合せは各成分の粉末の混合物であってもよく、粉末を混合して適切な溶媒に溶解または懸濁した状態でもよく、粉末を単独で適切な溶媒に溶解または懸濁した複数の液の組合せでもよく、コーティング層としての被膜を形成する成分の組合せであればよい。
本発明に用いられる「甘味料」とは、速やかに水に溶解し、口腔内で好適な甘味を呈する物質を指し、これらの群より選択される少なくとも1種を含んでなる。薬学上許容される甘味料としては、例えば、乳糖、白糖、精製白糖、ブドウ糖、果糖、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、トレハロース、キシロース、グリシン、グリセリン、スクラロース、アセスルファムカリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられ、好ましくは、マンニトール、エリスリトール、乳糖、マルチトール、ラクチトール、トレハロース、キシリトールであり、さらに好ましくは、マンニトール、エリスリトールである。
本発明に用いられる「セルロース系樹脂」とは、薬学上許容されるセルロース系誘導体を指し、これらの群より、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、メチルセルロース、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースなどが挙げられ、好ましくは、メチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルであり、さらに好ましくは、メチルセルロース、ヒプロメロースである。
本発明のコーティング層およびコーティング用組成物におけるセルロース系樹脂に対する甘味料の重量比は特に制限されないが、好ましくは、セルロース系樹脂1重量部に対し甘味料が約0.1〜約9重量部であり、さらに好ましくは、約0.3〜約1.1重量部である。この理由としては、甘味料の配合量が多い場合、成膜性が低下し、甘味料の配合量が少ない場合、速崩壊性を確保できないからである。
本発明の「ごくわずかな経時的な外観の変化も認められない安定な口腔内崩壊性フィルムコーティング錠」とは、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠が高湿度下に晒された場合においても、吸湿により、コーティング層の亀裂などの明らかな外観の変化のみならず、表面の艶消失など、肉眼で観察し得るごくわずかな外観の変化も生じないことを意味する。具体的には、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を30℃、相対湿度81%の雰囲気下に1箇月間保存し、コーティング層の外観を肉眼観察することで評価できる。
本発明の「外観の変化」の程度は4段階で評価し、製造直後と比較して変化がない場合を1(変化なし)、製造直後と30℃、相対湿度81%の雰囲気下に1箇月保存後の錠剤を並べて同時観察した時に、認識できる艶の消失があった場合を2(ごくわずかに変化あり)、製造直後と30℃、相対湿度81%の雰囲気下に1箇月保存後の錠剤を個々に観察した時に、認識できる艶の消失があった場合を3(わずかに変化あり)、30℃、相対湿度81%の雰囲気下に1箇月保存後の錠剤を単独で観察した時に、艶の消失に限らず、表面の荒れ、亀裂など、認識できる変化があった場合を4(変化あり)とし、本発明の「ごくわずかな経時的な外観の変化も認められない安定な口腔内崩壊性フィルムコーティング錠」とは、評価が1であった場合を指す。
本発明の「8°グロス値」とは、JISの60°光沢計に近似するように設定された分光測色計で測定される数値であり、数値が大きいほど光沢度が高い、即ち、艶の程度が高いことを示す。錠剤は表面積が小さく光沢計は使用できないため、分光測色計を用いた。8°グロス値は、外観を肉眼観察した結果を客観的に示す数値であり、認識できる艶の消失がないことを示す観点では、製造直後に対し80%以上保持されていることが好ましい。本発明に用いた分光測色計は、正反射光を含むSCI(Specular Component Include)測定と正反射光を含まないSCE(Specular Component Exclude)測定を同時に行うことが可能であり、これらの結果から8°グロス値を算出する機構となっている。
本発明のコーティング層およびコーティング用組成物は、上述の成分のほか、必要に応じて光安定化剤を配合することが可能である。例えば、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、タルク、およびカオリンなどが挙げられ、これらの具体例のうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。光安定化剤の量は本発明に含まれる活性成分の量や光への感受性によっても異なるが、本発明の効果を損なわない観点からコーティング量の50%以下であることが好ましい。これらは例示されたものであり、何ら限定するものではない。
本発明のコーティング層およびコーティング用組成物には、上述の成分のほか、必要に応じて薬学的に許容される添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で加えることが可能である。当該添加剤として例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、可塑剤、矯昧剤、香料、着色剤または滑沢剤などが挙げられる。例えば賦形剤として、コーンスターチ、ポテトスターチなどのデンプン類、微結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などを挙げることができる。例えば崩壊剤として、部分アルファー化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどを挙げることができる。例えば結合剤として、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルラン、アミノアルキルメタルリレートコポリマーなどを挙げることができる。例えば可塑剤として、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチルなどを挙げることができる。例えば矯昧剤として、クエン酸などを挙げることができる。例えば香料として、メントール、ペパーミント、レモン、レモンライム、オレンジ、ハッカ油、各種フレーバーを挙げることができる。例えば着色剤として、タール系色素、ウコン抽出液、カラメル、カロチン液、s−カロテン、銅クロロフィル、リボフラビンなどを挙げることができる。例えば滑沢剤として、流動パラフィン、シリコーン、長鎖脂肪酸エステルなどの界面活性剤類、ミツロウ、カルナウバロウ、パラフィンなどのワックス類などが挙げられる。これら添加剤は例示されたものであり、何ら限定するものではない。また、本発明のコーティング層内のほか外表面に、当該添加剤を添加することも可能である。
本発明の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠のコーティング操作は、当業者において周知の方法を用いることが可能である。例えば、コーティング液を錠剤の表面に噴霧、乾燥することによりコーティングする方法などが挙げられる。コーティング液は、本発明の甘味料とセルロース系樹脂のほか、必要に応じて配合される、薬学上許容される添加剤を、水またはエタノール、メタノールなどの溶媒に溶解もしくは懸濁して調製される。これらの溶媒は単独もしくは混合して用いることが可能である。口腔内崩壊錠の表面にコーティングする工程は、一般的に使用される装置が用いられ、例えばパンコーティング装置などを使用することができる。運転条件に特に制限はないが、摩損性が高い口腔内崩壊錠の場合は、パンの回転数は通常より低速に設定することで、錠剤のエッジ部分にも均一にコーティング層を形成することができる。コーティング量は、製剤の形状や大きさによって異なるが、口腔内崩壊錠の重量に対し0.1%以上あればよく、速崩壊性である観点から、上限は10%以下であればよく、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
口腔内崩壊錠の口腔内崩壊時間は、健常成人の口腔内で、水を服用せず、錠剤を噛まずに唾液により錠剤が完全に崩壊するまでの時間を測定することで得られる。ここで、錠剤が完全に崩壊するとは、口腔内で異物感を感じなくなった時点を意味する。一般に、口腔内崩壊錠は、口腔内で水無しで60秒以内に崩壊するように設計される。そのため、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠の口腔内崩壊時間も、60秒未満であることが好ましい。
コーティング層の口腔内溶解時間は、健常成人が、水を服用せずに錠剤を口に含んだ時、噛まずに唾液によりコーティング層が溶解し、内核錠が露出したことを感じるまでの時間を測定することで得られる。口腔内崩壊性フィルムコーティング錠の口腔内崩壊時間を60秒未満とするためには、内核錠の口腔内崩壊時間にもよるが、コーティング層の口腔内溶解時間は、20秒未満であることが好ましく、15秒未満であることがさらに好ましい。なお、本発明の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠は、水なしで服用することを限定したものではなく、水とともに服用してもよい。
本発明における口腔内崩壊錠である内核錠は、口腔内での崩壊時間が60秒未満程度であれば、製法、組成に関して特に制限はされない。例えば、直接打錠法、間接打錠法、鋳型成形法など製剤分野における常法により製造されるものを用いることができる。このような製法として、例えば湿潤した粒子を打錠して多孔性錠剤を得る製法や、糖類の結晶化など物理化学的性質を利用する製法、凍結乾燥技術を用いた製法、クロスポビドンなどの崩壊剤を利用した製法、外部滑沢剤法を用いた製法などが挙げられる。
本発明における口腔内崩壊性フィルムコーティング錠が含有する活性成分は、コーティング層、内核錠またはこれらの両者のいずれに含有されていてもよく、該活性成分としては特に限定する必要はなく、生理活性を有する活性成分であれば制限されない。例えば、アカルボース、アムロジピン、アリピプラゾール、イミダフェナシン、イルソグラジン、エバスチン、オランザピン、オロパタジン、オンダンセトロン、ガランタミン、グリメピリド、シロスタゾール、セチリジン、セフジトレン ピボキシル、セレギリン、ソリフェナシン、ゾルピデム、タムスロシン、タルチレリン、沈降炭酸カルシウム、デスモプレシン、ドキシドパ、ドネペジル、ドンペリドン、ナフトピジル、パロキセチン、ピオグリタゾン、ファモチジン、フェキソフェナジン、ブロチゾラム、ベポタスチン、ボグリボース、ポラプレジンク、ミドドリン、ラフチジン、ラモセトロン、ランソプラゾール、リザトリフタン、リスペリドン、レバミピド、ロラタジンならびにその薬理学的に許容される塩および溶媒和物(たとえば水和物)およびビタミン類等のサプリメントの少なくとも1種を活性成分として含有することができる。なかでも、アムロジピン、エバスチン、セフジトレン ピボキシル、セレギリン、ブロチゾラム、ミドドリンおよびラモセトロン、ならびにその薬理学的に許容される塩および溶媒和物の少なくとも1種を活性成分として含有する場合、これらの活性成分は光に対して不安定であるので本コーティング層に光安定化剤を添加することが好ましい。
また、内核錠である口腔内崩壊錠には、上述の活性成分のほか、必要に応じて薬学的に許容される添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で加えることが可能である。当該添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、可塑剤、矯昧剤、香料、着色剤または滑沢剤などが挙げられる。例えば賦形剤として、コーンスターチ、ポテトスターチなどのデンプン類、微結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などを挙げることができる。例えば崩壊剤として、部分アルファー化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどを挙げることができる。例えば結合剤として、ポリビニルピロリドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム末、ゼラチン、プルラン、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、アミノアルキルメタルリレートコポリマーなどを挙げることができる。例えば可塑剤として、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチルなどを挙げることができる。例えば矯昧剤として、アスパルテーム、スクラロース、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、ステビア、ソーマチン、クエン酸などを挙げることができる。例えば香料として、メントール、ペパーミント、レモン、レモンライム、オレンジ、ハッカ油、各種フレーバーを挙げることができる。例えば着色剤として、タール系色素、ウコン抽出液、カラメル、カロチン液、s−カロテン、銅クロロフィル、リボフラビンなどを挙げることができる。例えば滑沢剤として、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、シリコーン、長鎖脂肪酸エステルなどの界面活性剤類、ミツロウ、カルナウバロウ、パラフィンなどのワックス類などが挙げられる。これら添加剤は例示されたものであり、何ら限定するものではない。
以下に実施例および試験例をもって、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
参考例1〜3
表1に示す配合比率で、内添部の添加剤を乾式造粒機(ローラーコンパクターTF−MINI:フロイント産業またはローラーコンパクターFR125×40:フロイント・ターボ)で圧縮した後、整粒機(ロールグラニュレーター(登録商標)GRN−T−54S:日本グラニュレーター)で整粒し、顆粒を得た。これに外添部の添加剤を混合した後、打錠機(コレクト6HUKまたは12HUK:菊水製作所)を用いて圧縮成形し、直径9mmの口腔内崩壊錠を得た。なお、D−マンニトールは三菱商事フードテック製マンニットQ、クロスポビドンはISP製ポリプラスドンINF−10、アスパルテームは味の素製味の素KKアスパルテーム、ショ糖脂肪酸エステルは第一製薬工業製DKエステル(登録商標)SS、結晶セルロースは旭化成ケミカルズ製セオラスステアリン酸マグネシウムは日油製ステアリン酸マグネシウムGV、Mallinckrodt製または太平化学産業製、結晶セルロースは旭化成ケミカルズ製セオラス(登録商標)KG−1000、軽質無水ケイ酸はフロイント産業製アドソリダー(登録商標)−101を用いた。
比較例1〜4
比較例1〜3は参考例1、比較例4は参考例2の口腔内崩壊錠に、表2に示す配合比率で水分散液を調製し、フィルムコーティング機(ハイコーター(登録商標)HCT−30:フロイント産業)を用いてフィルムコーティングを施した後、微量のカルナウバロウでコーティングし、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を得た。なお、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(PVA−PEGグラフトコポリマー)はBASF製Kollicoat(登録商標)IR、マルチトールは林原生物化学研究所製結晶マビット(登録商標)微粉、乳糖水和物はDMV製Pharmatose(登録商標)DCL−11、D−マンニトールは三菱商事フードテック製マンニットP、スクラロースは三栄源エフ・エフ・アイ製スクラロースP、酸化チタンは和光純薬工業製、黄色三二酸化鉄は癸巳化成製、カルナウバロウはフロイント産業製ポリシングワックス−103を用いた。
試験例1
比較例1〜4の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を30℃、相対湿度81%に1箇月間保存した後、外観を肉眼で製造直後と比較した。なお、変化の程度は、以下の4段階評価とした。結果を表3に示す。いずれの組成も、艶が消失し、ポリビニルアルコール系樹脂に水溶性物質を配合したコーティング層は、高湿度下において、外観変化の著しいことが判明した。
1:変化なし
2:ごくわずかに変化あり(並べて同時観察した時に認識できる艶の消失があった場合)
3:わずかに変化あり(個々に観察した時に認識できる艶の消失があった場合)
4:変化あり(30℃、相対湿度81%に1箇月間保存後の錠剤を単独で観察した時に、艶の消失に限らず、表面の荒れ、亀裂など、認識できる変化があった場合)
さらに、参考までに走査型電子顕微鏡(無蒸着、30MPa、加速電圧5kV、反射電子像、1000倍)で表面状態を観察した。結果を図1〜8に示す。いずれの組成もコーティング層表面に結晶状もしくは結晶が積層した析出物を認め、これが外観変化となって表れたものと考えられた。
実施例1および2
参考例1の口腔内崩壊錠に、表4に示す配合比率で水分散液を調製し、フィルムコーティング機(ハイコーター(登録商標)HCT−30:フロイント産業)を用いてフィルムコーティングを施した後、微量のカルナウバロウでコーティングし、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を得た。なお、メチルセルロースは信越化学工業製メトローズ(登録商標)SM−4、D−マンニトールは三菱商事フードテック製マンニットP、エリスリトールは物産フードサイエンス製エリスリトール100M、スクラロースは三栄源エフ・エフ・アイ製スクラロースP、PEG400は日興製薬製、酸化チタンは和光純薬工業製、黄色三二酸化鉄は癸巳化成製、カルナウバロウはフロイント産業製ポリシングワックス−103を用いた。
試験例2
比較例1〜4、実施例1および2の製造直後の崩壊性と、実施例1および2の外観変化を評価し、試験例1の結果と合わせて比較した。崩壊性は、第16改正日本薬局方の崩壊試験法(水、補助盤あり)による崩壊時間の測定と、健常成人2名による口腔内膜溶解時間および口腔内錠剤崩壊時間の測定を行い、評価した。水を服用せずに錠剤を口に含み、口腔内膜溶解時間は、コーティング層が溶解し、内核錠が露出したことを感じるまでの時間を、口腔内錠剤崩壊時間は、錠剤が完全に崩壊するまでの時間を測定した。また、外観変化は、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を30℃、相対湿度81%に1箇月間保存した後、外観を肉眼で製造直後と比較した。なお、変化の程度は、試験例1と同様に4段階評価とした。結果を表5に示す。ポリビニルアルコール系樹脂に水溶性物質を配合してコーティングした口腔内崩壊錠は、良好な崩壊性を示す一方で、試験例1で既述のとおり、高湿度下における外観変化が顕著であった。一方、本発明の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠は、ポリビニルアルコール系樹脂に水溶性物質を配合してコーティングした口腔内崩壊錠と同等以上の崩壊性を示し、且つ、高湿度下においても、亀裂は勿論のこと、艶の消失といった外観変化を全く認めなかった。
さらに、参考までに実施例1については、走査型電子顕微鏡(無蒸着、30MPa、加速電圧5kV、反射電子像、1000倍)で表面状態も観察した。結果を図9〜10に示す。製造直後(図9)と30℃、相対湿度81%、1箇月後(図10)を比較した結果、コーティング層の表面状態に変化は認められなかった。
このように、ごくわずかな経時的な外観の変化を生じないといった点で、本発明の優位性が示された。
実施例3〜5
参考例1の口腔内崩壊錠に、表6に示す配合比率で水分散液を調製し、フィルムコーティング機(ハイコーター(登録商標)HCT−30:フロイント産業)を用いてフィルムコーティングを施した後、微量のカルナウバロウでコーティングし、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を得た。なお、メチルセルロースは信越化学工業製メトローズ(登録商標)SM−4、D−マンニトールは三菱商事フードテック製マンニットP、スクラロースは三栄源エフ・エフ・アイ製スクラロースP、PEG400は日興製薬製、酸化チタンは和光純薬工業製、黄色三二酸化鉄は癸巳化成製、カルナウバロウはフロイント産業製ポリシングワックス−103を用いた。
試験例3
実施例1および3〜5の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠につき、製造直後の崩壊性および外観変化を評価した。崩壊性は、第16改正日本薬局方の崩壊試験法(水、補助盤あり)による崩壊時間の測定と、健常成人2名による口腔内膜溶解時間および口腔内錠剤崩壊時間の測定を、試験例2と同様の基準で行い、評価した。また、外観変化は、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を30℃、相対湿度81%に1箇月間保存した後、外観を肉眼で製造直後と比較した。なお、変化の程度は、試験例1と同様に4段階評価とした。結果を表7に示す。甘味料の増加に伴って崩壊性は向上し、いずれも口腔内崩壊錠として好ましい速崩壊性を示した。一方、高湿度下において、いずれも外観変化を認めず、本発明が、速崩壊性の機能を保持しつつ、ごくわずかな経時的な外観の変化を生じないことが示された。
比較例5、実施例6および7
参考例1の口腔内崩壊錠に、表8に示す配合比率で水分散液を調製し、フィルムコーティング機(ハイコーター(登録商標)HCT−30:フロイント産業)を用いてフィルムコーティングを施した後、微量のカルナウバロウでコーティングし、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を得た。なお、メチルセルロースは信越化学工業製メトローズ(登録商標)SM−4、D−マンニトールは三菱商事フードテック製マンニットP、PEG400は日興製薬製、酸化チタンは和光純薬工業製、黄色三二酸化鉄は癸巳化成製、カルナウバロウはフロイント産業製ポリシングワックス−103を用いた。
試験例4
比較例5、実施例1、3、6および7の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠につき、製造直後の崩壊性と外観変化および8°グロス値を評価した。崩壊性は、第16改正日本薬局方の崩壊試験法(水、補助盤あり)による崩壊時間の測定と、健常成人2名による口腔内膜溶解時間および口腔内錠剤崩壊時間の測定を、試験例2と同様の基準で行い、評価した。また、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を30℃、相対湿度81%に1箇月間保存した後、外観変化は、試験例1と同様の4段階評価で、外観を肉眼で製造直後と比較して評価し、8°グロス値は分光測色計(CM−700d:コニカミノルタ、孔径3mmのターゲットマスク装着、C光源、2°視野)を用いて測定した。結果を表9に示す。甘味料を全く配合しない場合は、口腔内膜溶解時間および口腔内錠剤崩壊時間が長く、口腔内崩壊錠としては好ましくないことが示された。また、甘味料が1種であっても、崩壊性は良好であり、且つ、高湿度下において外観変化および8°グロス値の低下を認めなかったことから、必要とされる甘味料は少なくとも1種で良いことが示された。
比較例6〜9および実施例8
参考例3の口腔内崩壊錠に、表10に示す配合比率で水分散液を調製し、フィルムコーティング機(ハイコーター(登録商標)HCT−30:フロイント産業)を用いてフィルムコーティングを施した後、微量のカルナウバロウでコーティングし、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を得た。なお、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(PVA−PEGグラフトコポリマー)はBASF製Kollicoat(登録商標)IR、メチルセルロースは信越化学工業製メトローズ(登録商標)SM−4、マルチトールは林原生物化学研究所製結晶マビット(登録商標)微粉、乳糖水和物はDMV製Pharmatose(登録商標)DCL−11、D−マンニトールは三菱商事フードテック製マンニットP、スクラロースは三栄源エフ・エフ・アイ製スクラロースP、PEG400は日興製薬製、酸化チタンは和光純薬工業製、黄色三二酸化鉄は癸巳化成製、カルナウバロウはフロイント産業製ポリシングワックス−103を用いた。
試験例5
比較例1〜4および6〜9と実施例5および8の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠につき、試験例4と同様の方法で、製造直後の崩壊性と外観変化および8°グロス値を評価した。結果を表11に示す。内核錠が実薬錠であっても、プラセボ錠であっても、崩壊性、高湿度下における外観変化および8°グロス値に顕著な差は認められず、試験例2で示された特性、即ち、ポリビニルアルコール系樹脂に水溶性物質を配合してコーティングした口腔内崩壊錠は、良好な崩壊性を示す一方で、高湿度下における外観変化が顕著であるのに対し、本発明の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠は、良好な崩壊性を示し、且つ、高湿度下においても外観変化を全く認めなかったという特性は、コーティング層の組成によるものであることが示された。
実施例9〜11
参考例3の口腔内崩壊錠に、表12に示す配合比率で水分散液を調製し、フィルムコーティング機(ハイコーター(登録商標)HCT−30:フロイント産業)を用いてフィルムコーティングを施した後、微量のカルナウバロウでコーティングし、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を得た。なお、メチルセルロースは信越化学工業製メトローズ(登録商標)SM−4、ヒプロメロースは信越化学工業製TC−5(登録商標)E、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルは信越化学工業製Shin−Etsu AQOAT(登録商標)、D−マンニトールは三菱商事フードテック製マンニットP、エリスリトールは物産フードサイエンス製エリスリトール100M、スクラロースは三栄源エフ・エフ・アイ製スクラロースP、PEG400は日興製薬製、酸化チタンは和光純薬工業製、黄色三二酸化鉄は癸巳化成製、カルナウバロウはフロイント産業製ポリシングワックス−103を用いた。
試験例6
実施例8〜11の口腔内崩壊性フィルムコーティング錠につき、試験例4と同様の方法で、製造直後の崩壊性と外観変化および8°グロス値を評価した。結果を表13に示す。セルロース系樹脂および甘味料の種類を変化させた場合であっても、本発明が、速崩壊性の機能を保持しつつ、ごくわずかな経時的な外観の変化を生じないことが示された。
実施例12
表14に示す配合比率で水分散液を調製し、アムロジピンベシル酸塩を含有する大日本住友製薬製アムロジン(商標登録)OD錠2.5mgに、フィルムコーティング機(ハイコーター(登録商標)HCT−30:フロイント産業)を用いてフィルムコーティングを施した後、微量のカルナウバロウでコーティングし、口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を得た。なお、メチルセルロースは信越化学工業製メトローズ(登録商標)SM−4、D−マンニトールは三菱商事フードテック製マンニットP、スクラロースは三栄源エフ・エフ・アイ製スクラロースP、PEG400は日興製薬製、酸化チタンは和光純薬工業製、黄色三二酸化鉄は癸巳化成製、カルナウバロウはフロイント産業製ポリシングワックス−103を用いた。
試験例7
実施例12およびその内核錠であるアムロジン(商標登録)OD錠2.5mgにつき、製造直後の崩壊性と外観変化、8°グロス値および硬度を評価した。崩壊性、外観変化および8°グロス値は試験例4と同様の方法で、硬度は錠剤硬度計(8M:シュロイニゲル)を用いて評価した。結果を表15に示す。含有される活性成分をアムロジピンベシル酸塩とした場合であっても、本発明が、速崩壊性の機能を保持しつつ、ごくわずかな経時的な外観の変化を生じないことが示された。また、本発明のコーティングを施すことで製造直後の絶対硬度は向上し、高湿度下における絶対硬度は、コーティングを施さない場合よりも高く保持されることが示された。
本発明によれば、口腔内での速崩壊性の機能を保持しつつ、高湿度下においても、コーティング層の亀裂のみならず、艶消失などのごくわずかな経時的な外観の変化が生じない口腔内崩壊性フィルムコーティング錠を提供することができる。また、これまで適用できなかった、光に不安定な活性成分であっても、口腔内崩壊錠とすることができる。さらに、フィルムコーティングすることで、錠剤硬度の向上が可能であることから、これまで硬度不足により自動分包できなかった口腔内崩壊錠の一包化包装を可能とし、また、高湿度下において、吸湿により硬度低下する口腔内崩壊錠であっても、取り扱い可能な錠剤強度を確保することができる。これらの効果により、患者の服薬コンプライアンスを改善し、治療効果を向上させることができる。




Claims (4)

  1. 内核錠の表面にメチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルから選択される少なくとも1種のセルロース系樹脂と、D−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、トレハロース、ラクチトールおよびスクラロースから選択される少なくとも1種の甘味料を含有するフィルムコーティングが施された口腔内崩壊錠
  2. 30℃、相対湿度81%の環境下で1箇月保存するとき、錠剤表面の艶が消失することを特徴とするごくわずかな経時的な外観の変化も認められない安定な、請求項1に記載の口腔内崩壊錠
  3. 30℃、相対湿度81%の環境下で1箇月保存するとき、8°グロス値が製造直後に対し80%以上保持されている、請求項1に記載の口腔内崩壊錠
  4. フィルムコーティング層中のセルロース系樹脂と甘味料の比率が、セルロース系樹脂1重量部に対し、甘味料が0.1〜9重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の口腔内崩壊錠
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