JP6206010B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、氷上での制動性能等を改善した空気入りタイヤに関する。
従来、スタッドレスタイヤについて、氷上性能(制動性能及び駆動性能)を改善した技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された空気入りタイヤは、複数のブロックを格子状に密集配置させたトレッドパターンを有する。
国際公開第2010/032606号
一般に、溝によって区画形成されるブロックの形状に異方性を与えた場合には、特定の方向の外力に対する抗力のみが大きくなり、タイヤ性能のうち、特定の性能が改善される傾向にある。例えば、ブロックの形状にタイヤ周方向において異方性を与えることで、タイヤ周方向の外力に対する抗力を大きくした場合には、氷上での制動性能やウェット路面での制動性能が改善される。
また、ブロックを区画形成する溝の形状に異方性を与えた場合には、排水性能が改善される傾向にある。例えば、V字型のタイヤ幅方向溝を配設した場合には、この溝により区画形成されたブロックの最初に接地する側(踏み込み側)をV字の頂点とすることで、水を溝から効率的に排出して、排水性能を向上させることができる。
特許文献1に開示された空気入りタイヤについては、各ブロックの形状がいずれの方向においても異方性を有していない。このため、上記空気入りタイヤによっては、氷上での制動性能、ウェット路面での制動性能及び排水性能がバランス良く発揮されるか不明である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、特に、氷上での制動性能と、ウェット路面での制動性能と、排水性能とをバランス良く改善した、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る空気入りタイヤは、周方向主溝を有するとともに、複数の周方向細溝と、上記周方向細溝と交差する複数の幅方向細溝と、により小ブロック列が区画形成された空気入りタイヤである。上記周方向細溝は、0.06本/mm以上0.2本/mm以下のタイヤ幅方向密度で配設されている。上記幅方向細溝は少なくとも1つの屈曲部を有する。上記屈曲部は、タイヤ幅方向両外側の各部分であって、タイヤ幅方向中央部に向かってタイヤ周方向の同じ向きに延在する第1の部分及び第2の部分と、上記第1の部分及び上記第2の部分の双方と連なってタイヤ幅方向中央部に延在する第3の部分とを含む。上記第1の部分と上記第2の部分とのなす角は、40°以上160°以下である。上記第3の部分は、上記第1の部分及び上記第2の部分よりも幅狭となっている。
本発明に係る空気入りタイヤでは、周方向細溝のタイヤ幅方向における配設密度について改良を加えるとともに、幅方向細溝に屈曲部を設けることを前提に、小ブロック列を構成する小ブロックの形状について改良を加えている。その結果、本発明に係る空気入りタイヤによれば、特に、氷上での制動性能と、ウェット路面での制動性能と、排水性能とがバランス良く改善される。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図である。 図2は、図1に示すトレッド部の丸囲み部分周辺を拡大して示す平面図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図である。 図4は、図1又は図3に示す空気入りタイヤにおける、タイヤ周方向に隣り合う小ブロックB1、B1(B2、B2)の関係を示す平面図であり、(a)は小ブロック同士が同一のタイヤ周方向領域を有さない場合であり、(b)は小ブロック同士が同一のタイヤ周方向領域を有する場合である。 図5は、図2に示す小ブロックB1について、サイプの配設態様を示す平面図であり、(a)はサイプがタイヤ幅方向に延在する例であり、(b)はサイプが幅方向細溝に平行に延在する例である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施の形態(以下に示す、基本形態及び付加的形態1から9)を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態は、本発明を限定するものではない。また、上記実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記実施の形態に含まれる各種形態は、当業者が自明の範囲内で任意に組み合わせることができる。
<基本形態>
以下に、本発明に係る空気入りタイヤについて、その基本形態を説明する。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤの回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、上記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。さらに、タイヤ幅方向とは、上記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CL(タイヤ赤道線)に向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。なお、タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤの回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤのタイヤ幅の中心を通る平面である。
[基本形態1]
基本形態1は、回転方向が指定された空気入りタイヤについての形態である。図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図(接地したタイヤを真上から見た図)である。空気入りタイヤ1は、同図に示すように回転方向(車両が前進している状態でのタイヤ転動向き)が定められている。この空気入りタイヤ1では、図1に示す踏み込み側が蹴り出し側よりも先に接地する。空気入りタイヤ1のトレッド部10は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。このトレッド部10の表面は、空気入りタイヤ1を装着する車両(図示せず)が走行した際に路面と接触する面であるトレッド表面12として形成されている。
トレッド表面12には、図1に示すように、タイヤ周方向に延在する溝14、18(例えば、18a、18b)と、タイヤ周方向に対して傾斜する溝22(例えば、22a、22b)とがそれぞれ設けられ、同図に示すトレッドパターンが形成されている。溝14から22の具体的構成は、以下のとおりである。
即ち、トレッド表面12には、タイヤ赤道面CLについて対称である2本の周方向主溝14が設けられている。2本の周方向主溝14の間及び各周方向主溝14のタイヤ幅方向両外側には、周方向主溝14に対して幅狭であってタイヤ周方向に延在する周方向細溝18が複数配設されている。
また、トレッド表面12には、2本の周方向主溝14の間及び各周方向主溝14のタイヤ幅方向両外側に、周方向主溝14に対して幅狭であってタイヤ幅方向にジグザグに延在し、タイヤ幅方向の延在途中で周方向寸法が変化する幅方向細溝22が複数配設されている。
以上により、図1に示す例では、2本の周方向主溝14及び複数の周方向細溝18と、これら周方向細溝18と交差する複数の幅方向細溝22と、により、タイヤ幅方向に隣り合う複数の小ブロック列が形成されている。なお、本実施の形態においては、周方向細溝18よりも幅広であって、略タイヤ周方向に延在する周方向太溝(図1に示すところでは周方向主溝14)が存在する場合には、この周方向太溝間に区画形成された陸部をリブとみなすものとする。また、本実施の形態においては、幅方向細溝22が配設されているタイヤ幅方向領域に、幅方向細溝22よりも幅広であって、略タイヤ幅方向に延在する幅方向太溝(図1には存在しない)がさらに存在する場合には、上記周方向太溝間に区画形成されるとともに、幅方向太溝間に区画形成された陸部を、ブロックとみなすものとする。
また、本実施の形態において、周方向主溝14の溝幅は、4.0mm以上とすることができる。ここで、溝幅とは、溝が延在する方向に垂直な方向における当該溝の最大寸法をいう。
このような前提の下、本実施の形態(基本形態1)においては、周方向細溝18が0.06本/mm以上0.2本/mm以下のタイヤ幅方向密度で配設されている。ここで、周方向細溝18のタイヤ幅方向密度とは、図1に示す両接地端E同士の間のタイヤ幅方向領域における、タイヤ幅方向の単位長さ当たりの、周方向細溝18の配設本数を意味する。
また、本実施の形態においては、幅方向細溝22が、少なくとも1つの、図1に示す例では複数の、屈曲部を有する。即ち、図1に示す例では、1本の幅方向細溝22に関し、隣り合う周方向細溝18間(例えば、周方向細溝18a、18b間)に1つの屈曲部が形成されている。これにより、タイヤ幅方向に隣り合う各小ブロック列が、タイヤ周方向に連続する複数の矢羽状の小ブロックB1を含む。
ここで、矢羽状とは、小ブロックB1について、踏み込み側で幅方向細溝22に隣接する外輪郭(踏み込み側輪郭)と、蹴り出し側で幅方向細溝22に隣接する外輪郭(蹴り出し側輪郭)とが、いずれもタイヤ周方向の同じ向きに、具体的には踏み込み側に、頂点を有するように、屈曲している形状いう。また、頂点とは、踏み込み側輪郭及び蹴り出し側輪郭のそれぞれにおいて最も踏み込み側に突出した点をいう。
なお、矢羽状とは、図1に示す形状に限らない。本実施の形態の矢羽状には、例えば、踏み込み側輪郭の頂点及び蹴り出し側輪郭の頂点の少なくともいずれかが小ブロックB1のタイヤ幅方向中心にない形状、及び踏み込み側輪郭及び蹴り出し側輪郭の少なくともいずれかが曲線状である形状を含む。
さらに、本実施の形態においては、図2(図1に示すトレッド部の丸囲み部分周辺を拡大して示す平面図)に示すように、上記屈曲部が、タイヤ幅方向両外側の各部分であって、タイヤ幅方向中央部に向かってタイヤ周方向の同じ向きに延在する第1の部分221及び第2の部分222と、第1の部分221及び第2の部分222の双方と連なってタイヤ幅方向中央部に延在する第3の部分223と含む。
そして、図2に示すように、第1の部分221と第2の部分222とのなす角が、40°以上160°以下である。ここで、第1の部分221と第2の部分222とのなす角は、以下のように定めるものとする。
即ち、第1の部分221の踏み込み側(蹴り出し側)のプロファイルライン221a(221b)と第2の部分222の踏み込み側(蹴り出し側)のプロファイルライン222a(222b)とを考える。そして、これらのプロファイルラインの延長線同士の交点におけるなす角を測定し、その平均値を第1の部分221と第2の部分222とのなす角とする。
なお、図2に示す例において、第1の部分221の踏み込み側(蹴り出し側)のプロファイルライン221a(221b)と第2の部分222の踏み込み側(蹴り出し側)のプロファイルライン222a(222b)とのなす角は、α1(β1)である。図2に示す例では、なす角α1となす角β1とは等しいので、これらの角度がそのまま第1の部分221と第2の部分222とのなす角となる。なお、角α1及び角β1は、それぞれのプロファイルラインについて、タイヤ周方向の同じ側で測定した角度とする。
加えて、本実施の形態においては、図2に示すように、第3の部分223が、第1の部分221及び第2の部分222よりも幅狭となっている。本実施の形態において、第3の部分223の幅狭態様としては、第1及び第2の部分221、222の踏み込み側のプロファイルラインに対して第3の部分223の踏み込み側のプロファイルラインが、蹴り出し側に位置する態様(態様1)と、第1及び第2の部分221、222の蹴り出し側のプロファイルラインに対して第3の部分223の蹴り出し側のプロファイルラインが、踏み込み側に位置している態様(態様2)と、上記態様1と上記態様2とを組み合わせた態様(態様3)とが含まれる。なお、図2に示す態様は、上記態様2に該当する。
(作用等)
本実施の形態に係る空気入りタイヤにおいては、周方向細溝18を、0.06本/mm以上のタイヤ幅方向密度で配設することで、小ブロックB1のタイヤ周方向長さをそのタイヤ幅方向長さに対して過度に小さくすることを抑制することができる。これにより、小ブロックB1のタイヤ周方向への倒れ込みを抑制して、タイヤ周方向の外力に対する抗力を十分に確保して、氷上での優れた制動性能及びウェット路面での優れた制動性能を発揮することができる。
一方、本実施の形態の空気入りタイヤにおいては、周方向細溝18を、0.2本/mm以下のタイヤ幅方向密度で配設することで、小ブロックB1についてタイヤ幅方向のエッジ成分を十分に確保することができる。これにより、タイヤ周方向の外力に対する抗力を高め、ひいては氷上での優れた制動性能及びウェット路面での優れた制動性能を発揮することができる。
なお、周方向細溝18のタイヤ幅方向配設密度を0.08本/mm以上0.12本/mm以下とすることで、上記効果をそれぞれさらに高いレベルで奏することができる。
また、本実施の形態の空気入りタイヤにおいては、幅方向細溝22に少なくとも1つの屈曲部を設けることで、幅方向細溝22により区画形成された小ブロックB1の形状に、異方性、図1に示すところではタイヤ周方向に関する異方性、を与えている。これにより、タイヤ周方向の外力に対する抗力を、その他の方向の外力に対する抗力と比べて大きくすることができ、ひいては氷上での優れた制動性能及びウェット路面での優れた制動性能を発揮することができる。
そして、このように、幅方向細溝22に少なくとも1つの屈曲部を設けることで、幅方向細溝22により区画形成された小ブロックB1の最初に接地する側(踏み込み側)をV字の頂点し、最後に接地する側(蹴り出し側)をV字の両端点とすることができる。これにより、水を幅方向溝22から効率的に排出して、優れた排水性能を発揮することができる。
さらに、本実施の形態の空気入りタイヤにおいては、図2に示すように、屈曲部に、タイヤ幅方向両外側の各部分であって、タイヤ幅方向中央部に向かってタイヤ周方向の同じ向きに延在する第1の部分221及び第2の部分222と、第1の部分221及び第2の部分222の双方と連なってタイヤ幅方向中央部に延在する第3の部分223とを含ませることを前提に、第1の部分221と第2の部分222とのなす角を40°以上とすることで、幅方向細溝22の少なくとも第1の部分221及び第2の部分222により区画形成される小ブロックB1のエッジに、タイヤ幅方向のエッジ成分を十分に持たせている。これにより、タイヤ周方向の外力に対する抗力を大きくすることができ、ひいては氷上での優れた制動性能及びウェット路面での優れた制動性能を発揮することができる。
一方、第1の部分221と第2の部分222とのなす角を160°以下とすることで、幅方向細溝22の少なくとも第1の部分221及び第2の部分222により区画形成される小ブロックB1のエッジに、タイヤ周方向のエッジ成分を十分に持たせている。これにより、タイヤ幅方向の外力に対する抗力を大きくすることができ、ひいては氷上での優れた旋回性能及びウェット路面での優れた旋回性能を発揮することができる。
なお、第1の部分221と第2の部分222とのなす角を、いずれも60°以上140°以下とすることで、上記効果をそれぞれさらに高いレベルで奏することができる。
加えて、本実施の形態の空気入りタイヤにおいては、第3の部分223を比較的幅狭とするとともに、第1の部分221及び第2の部分222を比較的幅広としている。これにより、小ブロックB1がタイヤ周方向に倒れ込んだ際には、タイヤ周方向に隣り合う小ブロックB1、B1同士の間には、第1及び第2の部分221、222で隙間が残存する。その結果、水の流れる領域が確保され、優れた排水性能を発揮することができる。これに対し、第3の部分223では、タイヤ周方向に隣り合う小ブロックB1、B1同士が互いに支え合い、陸部剛性を高めることができる。その結果、氷上での優れた制動性能及びウェット路面での優れた制動性能を発揮することができる。
なお、本実施の形態においては、図1に示すようにタイヤ周方向に隣り合う小ブロックB1、B1同士の間の、特にタイヤ幅方向両外側部又はその近傍に隙間が残存することとなる。即ち、この隙間は周方向主溝14や周方向細溝18と連通している。このため、他の状態(例えば、上記隙間が周方向主溝14等に連通せずに、小ブロックB1、B1に囲まれた状態)に比べて、周方向細溝18内での水の滞留を抑制することができる。従って、本実施の形態の空気入りタイヤによれば、排水性能を効率的に発揮することができる。
以上に示すように、本実施の形態に係る空気入りタイヤは、周方向細溝のタイヤ幅方向における配設密度について改良を加えるとともに、幅方向細溝に屈曲部を設けることを前提に、小ブロック列を構成する小ブロックの形状について改良を加えている。その結果、本実施の形態(基本形態1)に係る空気入りタイヤによれば、特に、氷上での制動性能と、ウェット路面での制動性能と、排水性能とをバランス良く改善することができる。
なお、以上に示す、本実施の形態に係る空気入りタイヤは、図示しないが、従来の空気入りタイヤと同様の子午断面形状を有する。ここで、空気入りタイヤの子午断面形状とは、タイヤ赤道面CLと垂直な平面上に現れる空気入りタイヤの断面形状をいう。本実施の形態の空気入りタイヤは、タイヤ子午断面視で、タイヤ径方向内側から外側に向かって、ビード部、サイドウォール部、ショルダー部及びトレッド部を有する。そして、上記空気入りタイヤは、例えば、タイヤ子午断面視で、トレッド部から両側のビード部まで延在して一対のビードコアの周りで巻回されたカーカス層と、上記カーカス層のタイヤ径方向外側に順次形成された、ベルト層及びベルト補強層とを備える。
また、本実施の形態の空気入りタイヤは、通常の各製造工程、即ち、タイヤ材料の混合工程、タイヤ材料の加工工程、グリーンタイヤの成型工程、加硫工程及び加硫後の検査工程等を経て得られるものである。本実施の形態の空気入りタイヤを製造する場合には、特に、加硫用金型の内壁に、図1に示すトレッドパターンに対応する凹部及び凸部を形成し、この金型を用いて加硫を行う。
[基本形態2]
基本形態2は、回転方向が指定されていない空気入りタイヤについての形態である。図3は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図(接地したタイヤを真上から見た図)である。空気入りタイヤ2は、タイヤ赤道面CLに対して点対称であるトレッドパターンを有する。図3に示す参照符号中、図1に示す参照符号と同一の参照符号については、図1に示す構成要素と同じ構成要素を示す。
図3に示す空気入りタイヤ2のトレッド部11は、図1に示す基本形態1と同様に、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ2のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ2の輪郭となる。トレッド部11の表面は、空気入りタイヤ2を装着する車両(図示せず)が走行した際に路面と接触する面であるトレッド表面13として形成されている。
図3に示す例においても、複数の周方向細溝18(例えば、溝18a、18b)と、これら周方向細溝18と交差する複数の幅方向細溝22(例えば、22aから22d)及び幅方向細溝24(例えば、24aから24d)と、により、タイヤ幅方向に隣り合う複数の小ブロック列が形成されている。
このような前提の下、本実施の形態(基本形態2)においても、周方向細溝18が0.06本/mm以上0.2本/mm以下のタイヤ幅方向密度で配設され、幅方向細溝22、24が少なくとも1つの、図3に示すところでは複数の屈曲部を有することにより、小ブロック列がタイヤ周方向に連続する複数の矢羽状の小ブロックB1(B2)を含む。また、上記屈曲部が上記所定形状の第1の部分から第3の部分を含むとともに、第1の部分と第2の部分とのなす角が40°以上160°以下となっており、さらに第3の部分が第1の部分及び第2の部分よりも幅狭となっている。
なお、小ブロックB1と小ブロックB2とは、大きさが同じでタイヤ周方向における向きが逆である。図3に示す例では、タイヤ赤道面CLよりも紙面の左側では小ブロックB1がタイヤ周方向に複数形成されている小ブロック列がタイヤ幅方向に複数形成されている。同様に、タイヤ赤道面CLよりも紙面の右側では小ブロックB2がタイヤ周方向に複数形成されている小ブロック列がタイヤ幅方向に複数形成されている。
以上に示すように、基本形態2に係る空気入りタイヤにおいても、周方向細溝のタイヤ幅方向における配設密度について改良を加えるとともに、幅方向細溝に屈曲部を設けることを前提に、小ブロック列を構成する小ブロックの形状について改良を加えている。その結果、本実施の形態(基本形態2)に係る空気入りタイヤによっても、特に、氷上での制動性能と、ウェット路面での制動性能と、排水性能とをバランス良く改善することができる。
<付加的形態>
次に、本発明に係る空気入りタイヤの上記基本形態に対して、任意選択的に実施可能な、付加的形態1から9を説明する。
[付加的形態1]
基本形態(基本形態1、2)においては、図1、3のそれぞれにおいて、幅方向細溝222、24が、0.04本/mm以上0.3本/mm以下のタイヤ周方向密度で配設されていること(付加的形態1)が好ましい。
ここで、幅方向細溝22、24のタイヤ周方向密度とは、タイヤ周方向の単位長さ当たりの、幅方向細溝22、24の配設本数を意味する。
幅方向細溝22、24を、0.04本/mm以上の周方向密度で配設することで、各小ブロックB1、B2のタイヤ幅方向長さを、いずれも、そのタイヤ周方向長さに対して過度に小さくすることを抑制することができる。これにより、小ブロックB1、B2のタイヤ幅方向への倒れ込みを抑制して、タイヤ幅方向の外力に対する抗力を十分に確保して、氷上での旋回性能及びウェット路面での旋回性能を改善することができる。
一方、幅方向細溝22、24を、0.3本/mm以下の周方向密度で配設することで、小ブロックB1、B2に形成されるタイヤ周方向に延在するエッジを十分に長くすることができる。これにより、タイヤ幅方向の外力に対する抗力を高め、ひいては氷上での旋回性能及びウェット路面での旋回性能を改善することができる。
[付加的形態2]
基本形態及び基本形態に付加的形態1を加えた形態においては、図2に示す第3の部分223の面積が、4mm以上40mm以下であること(付加的形態2)が好ましい。
第3の部分223の面積を4mm以上とすることで、屈曲部のタイヤ幅方向中心部からその両側に至る排水経路が十分に確保されるため、排水性能が改善される。また、第3の部分223の面積を4mm以上とすることで、雪上路面においては、小ブロックB1(B2)がタイヤ周方向に倒れ込んだ際にも、タイヤ周方向に隣り合う小ブロックB1、B1同士の間(小ブロックB2、B2同士の間)には、雪が十分に入り込む。その結果、十分な雪柱せん断力(タイヤが雪を踏み固めて形成された雪柱をせん断する力)が確保され、雪上での優れた制動性能を発揮することができる。
一方、第3の部分の面積を40mm以下とすることで、タイヤ周方向に隣り合う小ブロックB1、B1同士(小ブロックB2、B2同士の間)がタイヤ周方向に倒れ込んだ際に、これらが十分に支え合い、陸部剛性をさらに高めることができる。その結果、氷上での制動性能及びウェット路面での制動性能を改善することができる。
[付加的形態3]
基本形態及び基本形態に付加的形態1、2の少なくともいずれかを加えた形態においては、図2に示す第3の部分223は、タイヤ周方向に延在する小ブロック列の、タイヤ幅方向中心部80%の領域RC80に存在していること(付加的形態3)が好ましい。なお、図2に示す例は、第3の部分223を、タイヤ周方向に延在する小ブロック列の、タイヤ幅方向中心部50%の領域(上記80%の領域の一部)RC50に存在させた場合である。
ここで、各小ブロックB1(B2)のタイヤ幅方向領域の中央部80%の領域RC80とは、例えば小ブロックB1については、図2に示すように、そのタイヤ幅方向の一方側の端部から他方側の端部までのタイヤ幅方向領域R内における、タイヤ幅方向の中央部80%の領域をいう。なお、図2中、符号Lは、タイヤ幅方向領域R内におけるタイヤ幅方向の中心線である。また、小ブロックB2についても、タイヤ幅方向領域の中央部80%の領域RC80についての解釈は、小ブロックB1の場合と同じである。
図2に示すように、第3の部分223を小ブロック列のタイヤ幅方向中心部80%の領域RC80に存在させることで、周方向主溝14又は周方向細溝18からタイヤ幅方向にある程度離間した部分に、屈曲部の比較的幅の狭い部分を設けている。これにより、小ブロックB1がタイヤ周方向に倒れ込んだ際には、小ブロックB1のタイヤ幅方向中央部で、小ブロック同士が互いに支え合うこととなるため、小ブロック列全体として陸部剛性を高めることができる。その結果、氷上での制動性能及びウェット路面での制動性能を改善することができる。
[付加的形態4]
基本形態及び基本形態に付加的形態1から3の少なくともいずれかを加えた形態においては、図2に示す屈曲部が突出する側とは反対側(図1の小ブロックB1については蹴り出し側)における、幅方向細溝22のプロファイルライン(221b、222b、223b)が、第1の部分のプロファイルライン221b及び第2の部分のプロファイルライン222bに対して第3の部分のプロファイルライン223bで、屈曲部が突出する側(上記の踏み込み側)に存在していること(付加的形態4)が好ましい。なお、図2では、第1から第3の部分(221から223)のそれぞれについて、屈曲部が突出する側のプロファイルラインを符号221a、222a、223aで示し、屈曲部が突出する側と反対側のプロファイルラインを符号221b、222b、223bで示している。
ここで、第1及び第2の部分のプロファイルライン221b、222bに対して第3の部分のプロファイルライン223bが屈曲部の突出する側に存在しているとは、第3の部分のプロファイルライン223bが第1及び第2の部分のプロファイルライン221b、222bの延長線よりも屈曲部の突出する側に存在することをいう。また、本実施の形態においては、第3の部分のプロファイルライン223bの全部が第1及び第2の部分のプロファイルライン221b、222bの延長線よりも屈曲部の突出する側に存在する場合は勿論、その一部が第1及び第2の部分のプロファイルライン221b、222bの延長線よりも屈曲部の突出する側に存在する場合も含まれる。
図2に示すように、屈曲部が突出する側とは反対側における、幅方向細溝22のプロファイルライン(221b、222b、223b)について、第1の部分のプロファイルライン221b及び第2の部分のプロファイルライン222bに対して第3の部分のプロファイルライン223bを、屈曲部が突出する側に存在させることで、第3の部分223において、タイヤ周方向の両側におけるプロファイルライン223a、223bの屈曲態様がタイヤ周方向の同じ側に突出するものとなる。これにより、タイヤ周方向に隣り合う小ブロックB1、B1同士がタイヤ周方向に倒れ込んだ際に、これらが十分に支え合い、陸部剛性をさらに高めることができる。その結果、氷上での制動性能及びウェット路面での制動性能を改善することができる。
[付加的形態5]
基本形態及び基本形態に付加的形態1から4の少なくともいずれかを加えた形態においては、図2に示す第3の部分223のタイヤ周方向の各側におけるプロファイルライン(223a、223b)の屈曲角α2、β2同士の差が30°以下であること(付加的形態5)が好ましい。
ここで、第3の部分223のタイヤ周方向の各側におけるプロファイルライン223a、223bの屈曲角は、当該プロファイルラインが直線の場合にはその屈曲角(図2の角α2が該当)し、当該プロファイルラインが曲線の場合は、図2に示すタイヤ周方向の一方側の端点P1、P3から他方側の端点P2までの2つの直線同士のなす角(図2の角β2が該当)とする。なお、角α2及び角β2は、それぞれのプロファイルラインについて、タイヤ周方向の同じ側で測定した角度とする。
第3の部分223のタイヤ周方向の各側におけるプロファイルライン223a、223bの屈曲角α2、β2同士の差を30°以下とすることで、タイヤ周方向に隣り合う小ブロックB1、B1同士(小ブロックB2、B2同士)がタイヤ周方向に倒れ込んだ際に、これらが十分に支え合い、陸部剛性をさらに高めることができる。その結果、氷上での制動性能及びウェット路面での制動性能を改善することができる。
なお、本実施の形態においては、角α2及び角β2の大小関係は、特に限定されない。但し、図2に示すように角α2>角β2の場合は、小ブロックB1がタイヤ周方向に倒れ込んだ際に、小ブロックB1のタイヤ幅方向中央部で、小ブロック同士の互いに支え合う領域をより広く確保することができる。その結果、小ブロック列全体として陸部剛性をより高めることができることから、氷上での制動性能及びウェット路面での制動性能をさらに改善することができる。
また、第3の部分223のタイヤ周方向の各側におけるプロファイルライン223a、223bの屈曲角α2、β2同士の差を10°以下とすることで、上記効果をさらに高いレベルで奏することができる。
[付加的形態6]
基本形態及び基本形態に付加的形態1から5の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1、3のそれぞれにおいて、周方向細溝18の溝幅が、1.0mm以上4.0mm以下であること(付加的形態6)が好ましい。ここで、周方向細溝18の溝幅とは、周方向細溝18の延在方向に垂直な方向に測った溝寸法をいう。
周方向細溝18の溝幅を1.0mm以上とすることで、氷上及びウェット路面での排水性能をさらに高めることができる。一方、上記溝幅を4.0mm以下とすることで、タイヤ幅方向の外力が加わった場合に、共通の周方向細溝18によって区画形成された、タイヤ幅方向に隣り合う小ブロック同士(図1に示す小ブロックB1同士、図3に示す小ブロックB1同士、小ブロックB1、B2、又は小ブロックB2同士)が接触して互いに支え合う。これにより、小ブロックB1、B2のタイヤ幅方向への倒れ込みが抑制され、氷上での旋回性能及びウェット路面での旋回性能をさらに改善することができる。
なお、周方向細溝18の溝幅を2.0mm以上3.0mm以下とすることで、上記効果をそれぞれさらに高いレベルで奏することができる。
[付加的形態7]
基本形態及び基本形態に付加的形態1から6の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1、3のそれぞれにおいて、幅方向細溝22、24の溝幅が、1.0mm以上4.0mm以下であること(付加的形態7)が好ましい。ここで、幅方向細溝22、24の溝幅とは、幅方向細溝22、24の延在方向に垂直な方向に測った溝寸法をいう。
幅方向細溝22、24の溝幅を1.0mm以上とすることで、氷上及びウェット路面での排水性能をさらに高めることができる。一方、幅方向細溝22、24の溝幅を4.0mm以下とすることで、特に、タイヤ周方向の外力が加わった際に、小ブロックB1、B1(小ブロックB2、B2)が接触して互いに支え合う。これにより、小ブロックB1、B2のタイヤ周方向への倒れ込みが抑制され、氷上での制動性能及びウェット路面での制動性能がさらに改善される。
なお、幅方向細溝22、24の溝幅を2.0mm以上3.0mm以下とすることで、上記効果をそれぞれさらに高いレベルで奏することができる。
[付加的形態8]
基本形態及び基本形態に付加的形態1から7の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1(図3)において、タイヤ周方向に隣接する小ブロックB1、B1(小ブロックB2、B2)が、同一のタイヤ周方向領域を有すること(付加的形態8)が好ましい。
図4は、図1又は図3に示す空気入りタイヤにおける、タイヤ周方向に隣り合う小ブロックB1、B1(B2、B2)の関係を示す平面図である。図4中、(a)は小ブロック同士が同一のタイヤ周方向領域を有さない場合であり、(b)は小ブロック同士が同一のタイヤ周方向領域を有する場合である。これらの図中、小ブロックB1(B11、B12、B13、B14)以外の領域は小ブロックB1を区画形成する溝の領域を示す。なお、図4に示す例は、図1の小ブロックB1についての例であるが、以下に示す小ブロックB1についての説明は、図3に示す小ブロックB2についても当てはまる。
図4(a)に示す例では、タイヤ周方向に異方性を有する矢羽状の小ブロックB11の矢羽後端部と、タイヤ周方向に異方性を有する矢羽状の小ブロックB12の矢羽先端部と、の間のタイヤ周方向領域(同図においてタイヤ周方向線分Xがタイヤ幅方向に連なる領域)には、溝のみが存在する。即ち、図4(a)に示す例では、これら小ブロックB11、B12が同一のタイヤ周方向領域を有しない。
これに対し、図4(b)に示す例では、タイヤ周方向に異方性を有する矢羽状の小ブロックB13の矢羽後端部と、タイヤ周方向に異方性を有する矢羽状の小ブロックB14の矢羽先端部と、の間のタイヤ周方向領域(同図においてタイヤ周方向線分Yがタイヤ幅方向に連なる領域)には、溝のみならず、小ブロックB13、B14の一部も存在する。即ち、図4(b)に示す例では、これら小ブロックB13、B14が同一のタイヤ周方向領域を有する。
本実施の形態(付加的形態8)では、図4(b)に示す形態が想定されている。同図に示す例は、図4(a)に示す例と比較して、小ブロックB13、B14間に介在する溝のタイヤ周方向寸法が小さい。このため、小ブロックB13、B14にタイヤ周方向の外力が加わると、小ブロックB13、B14がこれらの間に介在する領域において接触して互いに支え合う。これにより、小ブロックB13、B14のタイヤ周方向への倒れ込みがさらに抑制され、氷上での制動性能及びウェット路面での制動性能がさらに改善される。
同様に、図4(b)に示す例では、図4(a)に示す例と比較して、小ブロックB13、B14間に介在する溝のタイヤ幅方向寸法(タイヤ幅方向に連続して延在する寸法)が小さい。このため、小ブロックB13、B14にタイヤ幅方向の外力が加わると、小ブロックB13、B14がこれらの間に介在する領域において互いに支え合う。これにより、小ブロックB13、B14のタイヤ幅方向への倒れ込みがさらに抑制され、氷上での旋回性能及びウェット路面での旋回性能がさらに改善される。
[付加的形態9]
基本形態及び基本形態に付加的形態1から8の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1、3のそれぞれにおいて、小ブロックB1、B2の少なくともいずれかに、少なくとも1本のサイプが形成されていること(付加的形態9)が好ましい。ここで、サイプとは、溝幅が0.4mm以上1.0mm未満の溝をいう。
小ブロックB1、B2の少なくともいずれかに、少なくとも1本のサイプを形成することで、複数の小ブロックからなる小ブロック群にさらに多くのエッジを持たせることができる。これにより、サイプ形成によるエッジがタイヤ周方向成分を多く含む場合には、タイヤ幅方向の外力に対する抗力がさらに高まり、氷上での旋回性能及びウェット路面での旋回性能を大幅に高めることができる。一方、サイプ形成によるエッジがタイヤ幅方向成分を多く含む場合には、タイヤ周方向の外力に対する抗力がさらに高まり、氷上での制動性能及びウェット路面での制動性能を大幅に高めることができる。
図5は、図2に示す小ブロックB1について、サイプの配設態様を示す平面図であり、(a)はサイプS1がタイヤ幅方向に延在する例であり、(b)はサイプS2が幅方向細溝22のいずれかに平行に延在する例である。本実施の形態において、サイプの配設態様は、特に限定されない。例えば、図5(a)に示すように、サイプS1をタイヤ幅方向に延在させた場合には、サイプ形成によるエッジのタイヤ幅方向成分が最大となるため、タイヤ周方向の外力に対する抗力が最大となり、氷上での制動性能及びウェット路面での制動性能を極めて高くすることができる。また、図5(b)に示すように、サイプS2を幅方向細溝22のいずれかと平行に延在させた場合には、1つの矢羽状の小ブロックB1をサイプS2によって同じ形状に分割することとなり、サイプS2によって分割された小ブロック片B1aと小ブロック片B1bとが、タイヤ周方向からの外力及びダイヤ幅方向からの外力に対して、いずれも、略同じ動きをする。このため、サイプS2近傍における局所的なヒールアンドトゥ摩耗等の偏摩耗を抑制してタイヤの耐久性能をさらに高めることができる。
タイヤサイズを195/65R15とし、図1、3に示すいずれかのトレッドパターンを有するとともに、表1に示す諸条件(1−1)から(10)、即ち
(1−1)周方向細溝のタイヤ幅方向配設密度(周方向細溝密度)、
(1−2)幅方向細溝が少なくとも1つの屈曲部を有するか否か(屈曲部の有無)、
(1−3)屈曲部が第1から第3の部分を有するか否か(所定の構成部分の有無)、
(1−4)第1の部分と第2の部分とのなす角(なす角)、
(1−5)第3の部分が、第1の部分及び第2の部分よりも幅狭であるか否か(所定の幅狭部の有無)、
(2)幅方向細溝のタイヤ周方向配設密度(幅方向細溝密度)、
(3)第3の部分の面積、
(4)第3の部分がタイヤ周方向に延在する小ブロック列のタイヤ幅方向中心部80%の領域(80%領域)に存在しているか否か(第3の部分のタイヤ幅方向位置)、
(5)第3の部分(幅狭領域)の形成に寄与したプロファイルライン、
(6)第3の部分のタイヤ周方向の各側におけるプロファイルラインの屈曲角同士の差(屈曲角同士の差)、
(7)周方向細溝の溝幅、
(8)幅方向細溝の溝幅、
(9)タイヤ周方向に隣接する小ブロック同士が同一のタイヤ周方向領域を有するか否か(タイヤ周方向同一領域の有無)、及び
(10)小ブロックに少なくとも1本のサイプが形成されているか否か(サイプの有無)
に従い、実施例1から実施例20の空気入りタイヤを作製した。なお、図1に示す例は、タイヤの回転方向が指定された例であり、図3に示す例は、タイヤの回転方向が指定されていない例である。
これに対し、タイヤサイズを195/65R15とし、幅方向細溝が屈曲部を持たずにタイヤ幅方向に直線状に延在すること以外は、実施例1のトレッパターンと同じトレッドパターンを有する従来例の空気入りタイヤを作製した。
このよう作製した、実施例1から実施例20及び従来例の各試験タイヤを、15x6Jのリムに空気圧220kPaで組み付け、排気量1500CCのセダン型車両に装着し、氷上での制動性能と、ウェット路面での制動性能と、排水性能とについて評価を行った。これらの結果を表1に併記する。
(氷上での制動性能)
氷盤路面において、時速40kmで走行した状態からの制動距離を測定して従来例を基準(100)とした指数評価を行った。この評価は、数値が大きいほど、氷上での制動性能が優れていることを示す。
(ウェット路面での制動性能)
ウェット路面(水深1mm)において、時速100kmで走行した状態からの制動距離を測定して従来例を基準(100)とした指数評価を行った。この評価は、数値が大きいほど、ウェット路面での制動性能が優れていることを示す。
(排水性能)
水深5mmのウェット路面を停止から加速して行く過程において、タイヤのグリップがなくなりタイヤが空転したときの速度を計測して従来例を基準(100)とした指数評価を行った。この評価は、数値が大きいほど、排水性能が優れていることを示す。
Figure 0006206010
Figure 0006206010
Figure 0006206010
なお、表1中、項目「タイヤ周方向同一領域の有無」において、「無し」とは、図4(a)における寸法Xが1.0mmの場合であり、「有り」とは、図4(b)における寸法Yが0.1mmの場合である。さらに、項目「サイプの有無」において、「有り」とは、図5(b)に示すような形状のサイプS2を各小ブロックに形成した場合である。
また、表1中、項目「第3の部分(幅狭領域)の形成に寄与したプロファイルライン」において、「屈曲部が突出する側」とは、第3の部分を規定する2つのプロファイルラインのうち、タイヤ周方向において、屈曲部が突出する側のプロファイルラインをいう。同様に、「屈曲部が突出しない側」とは、第3の部分を規定する2つのプロファイルラインのうち、タイヤ周方向において、屈曲部が突出しない側のプロファイルラインをいう。
表1によれば、本発明の技術的範囲に属する(周方向細溝のタイヤ幅方向における配設密度について改良を加えるとともに、幅方向細溝に屈曲部を設けることを前提に、小ブロック列を構成する小ブロックの形状について改良を加えた)実施例1から実施例20の空気入りタイヤについては、いずれも、本発明の技術的範囲に属しない、従来例の空気入りタイヤよりも、氷上での制動性能と、ウェット路面での制動性能と、排水性能とがバランス良く改善されていることが判る。
本発明は以下の態様を包含する。
(1)周方向主溝を有するとともに、複数の周方向細溝と、上記周方向細溝と交差する複数の幅方向細溝と、により小ブロック列が区画形成された空気入りタイヤにおいて、上記周方向細溝が、0.06本/mm以上0.2本/mm以下のタイヤ幅方向密度で配設され、上記幅方向細溝が少なくとも1つの屈曲部を有し、上記屈曲部が、タイヤ幅方向両外側の各部分であって、タイヤ幅方向中央部に向かってタイヤ周方向の同じ向きに延在する第1の部分及び第2の部分と、上記第1の部分及び上記第2の部分の双方と連なってタイヤ幅方向中央部に延在する第3の部分とを含み、上記第1の部分と上記第2の部分とのなす角が、40°以上160°以下であり、上記第3の部分が、上記第1の部分及び上記第2の部分よりも幅狭となっている空気入りタイヤ。
(2)上記幅方向細溝が、0.04本/mm以上0.3本/mm以下のタイヤ周方向密度で配設されている、上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
(3)上記第3の部分の面積が4mm以上40mm以下である、上記(1)又は(2)に記載の空気入りタイヤ。
(4)上記第3の部分は、タイヤ周方向に延在する小ブロック列の、タイヤ幅方向中心部80%の領域に存在している、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
(5)上記屈曲部が突出する側とは反対側における、上記幅方向細溝のプロファイルラインが、第1の部分及び第2の部分に対して第3の部分で上記屈曲部が突出する側に存在している、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
(6)上記第3の部分のタイヤ周方向の各側におけるプロファイルラインの屈曲角同士の差が30°以下である、上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
(7)上記周方向細溝の溝幅は、1.0mm以上4.0mm以下ある、上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
(8)上記幅方向細溝の溝幅は、1.0mm以上4.0mm以下である、上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
(9)タイヤ周方向に隣接する上記小ブロック同士が、同一のタイヤ周方向領域を有する、上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
(10)上記小ブロックの少なくともいずれかに、少なくとも1本のサイプが形成されている、上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
1、2 空気入りタイヤ
10、11 トレッド部
12、13 トレッド表面
14 周方向主溝
18、18a、18b 周方向細溝
22、22a、22b、22c、22d、24、24a、24b、24c、24d 幅方向細溝
221 第1の部分
222 第2の部分
223 第3の部分
221a、222a、223a、221b、222b、223b プロファイルライン
B1、B2、B11、B12、B13、B14 小ブロック
B1a、B1b 小ブロック片
CL タイヤ赤道面
E 接地端
L タイヤ幅方向領域R内におけるタイヤ幅方向の中心線
P1、P3 曲線状のプロファイルラインにおける、タイヤ周方向の一方側の端点
P2 曲線状のプロファイルラインにおける、タイヤ周方向の他方側の端点
R 小ブロックB1のタイヤ幅方向の一方側の端部から他方側の端部までのタイヤ幅方向領域
RC50 タイヤ幅方向領域R内における、タイヤ幅方向の中央部50%の領域
RC80 タイヤ幅方向領域R内における、タイヤ幅方向の中央部80%の領域
S1、S2 サイプ
X 小ブロックB11の矢羽後端部と小ブロックB12の矢羽先端部との間のタイヤ周方向領域
Y 小ブロックB13の矢羽後端部と小ブロックB14の矢羽先端部との間のタイヤ周方向領域
α1 第1の部分221の踏み込み側のプロファイルライン221aと第2の部分222の踏み込み側のプロファイルライン222aとのなす角
α2 第3の部分223のタイヤ周方向の一方側におけるプロファイルラインの屈曲角
β1 第1の部分221の蹴り出し側のプロファイルライン221bと第2の部分222の蹴り出し側のプロファイルライン222bとのなす角
β2 第3の部分223のタイヤ周方向の他方側におけるプロファイルラインの屈曲角

Claims (10)

  1. 周方向主溝を有するとともに、複数の周方向細溝と、前記周方向細溝と交差する複数の幅方向細溝と、によりタイヤ幅方向に隣り合う小ブロック列が区画形成された空気入りタイヤにおいて、
    前記周方向細溝が、0.06本/mm以上0.2本/mm以下のタイヤ幅方向密度で配設され、
    前記幅方向細溝が少なくとも1つの屈曲部を有し、前記屈曲部は前記小ブロック列のタイヤ幅方向領域に対応するタイヤ幅方向領域を有し、
    前記屈曲部が、
    タイヤ幅方向両外側の各部分であって、タイヤ幅方向中央部に向かってタイヤ周方向の同じ向きに延在する第1の部分及び第2の部分と、
    前記第1の部分及び前記第2の部分の双方と連なってタイヤ幅方向中央部に延在する第3の部分とを含み、
    前記第1の部分と前記第2の部分とのなす角が、40°以上160°以下であり、
    前記第3の部分が、前記第1の部分及び前記第2の部分よりもタイヤ周方向において幅狭となっている
    空気入りタイヤ。
  2. 前記幅方向細溝が、0.04本/mm以上0.3本/mm以下のタイヤ周方向密度で配設されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第3の部分の面積が4mm以上40mm以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第3の部分は、タイヤ周方向に延在する小ブロック列の、タイヤ幅方向中心部80%の領域に存在している、請求項1から3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記屈曲部が突出する側とは反対側における、前記幅方向細溝のプロファイルラインが、第1の部分及び第2の部分に対して第3の部分で前記屈曲部が突出する側に存在している、請求項1から4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記第3の部分のタイヤ周方向の各側におけるプロファイルラインの屈曲角同士の差が30°以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記周方向細溝の溝幅は、1.0mm以上4.0mm以下ある、請求項1から6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記幅方向細溝の溝幅は、1.0mm以上4.0mm以下である、請求項1から7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. タイヤ周方向に隣接する前記小ブロック同士が、同一のタイヤ周方向領域を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記小ブロックの少なくともいずれかに、少なくとも1本のサイプが形成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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