JP6187090B2 - 車両用運転制御装置及び車両用運転制御方法 - Google Patents
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Description
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は、本実施形態に係る車両用運転姿勢制御装置を搭載した車両のステアリングシステムを示す図である。
コントローラ10は、ステアリングホイール1の操舵状態に応じて転舵モータ6を駆動制御し、転舵輪7を転舵する。これにより、転舵輪7の転舵角は、操舵状態に応じた転舵角に一致する。また同時に、コントローラ10は、転舵輪7の転舵状態に応じて反力モータ3を駆動制御し、ステアリングホイール1に操舵反力を付与する。これにより、ステアリングホイール1に路面反力を模擬した操舵反力を与える。このようにして、コントローラ10は、ステアバイワイヤ制御(SBW制御)を行う。
図中、符号101は外部走行環境検出装置、符号102は自車両状態検出装置である。外部走行環境検出装置101は、例えばカメラやレーザーレーダ、GPSセンサなどを備え、前方車両との車間距離や自車走行位置などの走行中の自車両の外部状況を認識する。外部走行環境検出装置101で認識した外部状況の情報は、自動運転走行コントローラ103(図1のコントローラ10に対応)に入力する。
自動運転走行コントローラ103は、例えばCPUやメモリ等からなるマイクロコンピュータで構成する。
具体的には、自動運転走行コントローラ103は、外部走行環境検出装置101と自車両状態検出装置102とから、目的地までのルートや交通状況、交通規制などの道路状況、他車両や障害物の有無などの走行環境の情報と共に、走行レーンの状況と自車両の位置や速度などを取得する。そして、自動運転走行コントローラ103は、これらの情報に基づいて走行軌跡を算出し、その走行軌跡に沿って走行するための目標舵角や目標車速を設定する。このとき、自車両前方に先行車両が存在する場合には、走行速度設定装置110で運転者が予め設定した速度を超えない範囲で、先行車両との車間距離を速度に応じて一定に保つような目標車速を設定する。一方、先行車両が存在しない場合には、走行速度設定装置110で設定した速度を保つように目標車速を設定する。
さらに、自動運転走行コントローラ103は、緊急時や報知が必要な場合に、ブザーや警報装置などの報知装置112により、運転者および同乗者にこれを報知する。
さらに、自動運転走行コントローラ103は、ドライバ状態判定コントローラ113による判定結果も入力する。ここで、ドライバ状態判定コントローラ113は、操舵トルクセンサ114で検出した操舵トルクと、操舵角センサ115で検出した操舵角とに基づいて、運転者が自動走行制御中にオーバーライドしているか否かを判定するものである。
ドライバ状態判定コントローラ113は、例えばCPUやメモリ等からなるマイクロコンピュータで構成する。当該ドライバ状態判定コントローラ113は、自動運転走行コントローラ103と同じコンピュータで共用することもできる。
先ずステップS1で、ドライバ状態判定コントローラ113は、各種データを読込み、ステップS2に移行する。ここでは、具体的には、操舵トルクセンサ114で検出した操舵トルクTと、操舵角センサ115で検出した操舵角θとを読み込む。ここで、自動走行制御中は、ステアリングホイール1と転舵輪7とは機械的に切り離した状態となっているため、操舵トルクセンサ114で検出した操舵トルクTは運転者がステアリングホイール1に加えた操舵トルクである。また、操舵角センサ115で検出した操舵角θは運転者がステアリングホイール1を操作した操舵角である。
ステップS3では、ドライバ状態判定コントローラ113は、前記ステップS1で読み込んだ操舵トルクTと、前記ステップS2で演算した操舵角速度ωとに基づいて、運転者がステアリングホイールを操作したときの操舵仕事率W[Nm/s]を演算する。
操舵仕事率Wとは、単位時間あたりの操舵仕事量である。ここで、操舵仕事量は、運転者によるステアリング操作の仕事量であり、操舵仕事率Wは、ステアリングホイールに作用する運転者の操舵力F[N]と操舵速度V[m/s]との積として定義する(W=F×V)。ここで、操舵速度Vは、ステアリングホイールの半径をR[m]とすると、半径R[m]と操舵角速度ω[rad/s]との積となる(W=F×R×ω)。
一般に、運転者がステアリング操作を行い転舵輪が転舵すると、タイヤ側からステアリングホイールをニュートラル方向に戻そうとする復元トルクが生じる。このとき、図5(a)に示すように、ステアリングホイールの操作方向(実線)と、タイヤ側からの復元トルクの方向(破線)とが異なる場合、操舵トルクTと操舵角速度ωとは同符号となるため、操舵仕事率の符号は「正」となる。一方、図5(b)に示すように、ステアリングホイールの操作方向(実線)と、タイヤ側からの復元トルクの方向(破線)とが同じである場合、操舵仕事率の符号は「負」となる。
ここで、図6は、運転者が周期的にステアリング操作を行ったときの操舵状態と操舵仕事率との関係を示している。本実施形態では、左右の方向性のあるデータは、左方向を正方向としている。このように、操舵トルクTと操舵角速度ωが共に正の値、或いは共に負の値であるとき、運転者は操舵の手応えを感じ、操舵仕事率Wは正の値となる。
次にステップS7では、ドライバ状態判定コントローラ113は、運転者のオーバーライド判定を行うための判定閾値ΣWTHを設定する。
これにより、操舵仕事量ΣWの正の成分が大きいほど、運転者の修正操舵が、車両姿勢を目標ラインに沿うように修正するために費やされたと考えることができる。
そこで、判定閾値ΣWTHは正の値とし、運転者が修正操舵をしていると判断できる程度の大きさに設定する。また、判定閾値ΣWTHは、自車速が速いほど小さい値に設定する。
そして、このステップS8で、操舵仕事量ΣWが判定閾値ΣWTHよりも大きいと判定した場合、運転者がオーバーライドしたと判定してステップS9に移行し、その判定結果を自動運転走行コントローラ103へ出力してからドライバ状態判定処理を終了する。
次に、本実施形態の動作について説明する。
ここでは、高速道路を自動運転モードで直進走行しているときに、路面不整や路面カント(横断勾配)、横風などにより車両の姿勢(向き)が進行方向とずれた場合について説明する。
このとき、運転者がステアリングホイールを操作せず、自動走行制御車両に運転を任せているものとすると、操舵仕事量ΣWは0となる(図3のステップS8でNo)。そのため、この場合には、ドライバ状態判定コントローラ113は、運転者がオーバーライドしていないと判定し(ステップS10)、その判定結果を自動運転走行コントローラ103に出力する。
一方、車両姿勢が進行方向とずれたとき、これを修正するために運転者が修正操舵を行った場合には、操舵仕事量ΣWは正となる。例えば、図9の点線に示すように自車両が直進走行している状態から、実線に示すようにリアが左に流れた場合(自車両に時計回りのヨー角がついた場合)、その修正操舵は左向き(反時計回り)のカウンターステアとなる。
そして、ドライバ状態判定コントローラ113は、この操舵仕事量ΣWが判定閾値ΣWTHよりも大きいと判定すると(ステップS8でYes)、運転者がオーバーライドしたと判定し、その判定結果を自動運転走行コントローラ103に出力する(ステップS9)。
ここで、操舵仕事量ΣWの算出に際し、操舵仕事率Wを積分する積分時間は、自車両近傍の対象物に到達するまでの到達時間TTCよりも短く設定する。自車両近傍の対象物(例えば、前方車両)との車間距離が短くなった場面で自動運転モードから手動運転モードに移行する場合、オーバーライドの許容判定時間は、最大でも自車両が前方車両に到達するまでの時間よりも短くなるためである。
また、オーバーライド判定に用いる判定閾値ΣWTHは、自車速が速いほど小さい値に設定する。すなわち、自車速が速いほどオーバーライドしていると判定し易くする。高速道路走行中は、自車速が速くなるほど前方車両や路上障害物などへの接近に対して注意が必要であり、オーバーライドを精度良く検出して、運転者が修正操舵した場合には確実に手動運転モードへ移行する必要があるためである。
以上のように、本実施形態では、操舵トルクTと操舵角速度ωとの積を操舵仕事率Wとして演算し、これを自車両近傍の対象物までの到達時間TTCを考慮して設定した積分時間で積分することで、操舵仕事量ΣWを演算する。そして、操舵仕事量ΣWの正の成分が判定閾値ΣWTHよりも大きい場合、運転者がオーバーライドしていると判定する。したがって、運転者がオーバーライドしたことを適切に判定して、自動運転モードから手動運転モードへ切り替えることができる。
なお、図2において、自動運転走行コントローラ103が運転モード切替部に対応している。さらに、操舵トルクセンサ114が操舵トルク検出部に対応している。
また、図3において、ステップS2が操舵角速度検出部に対応し、ステップS3が操舵仕事率演算部に対応し、ステップS4が到達時間演算部に対応している。また、ステップS3、S5及びS6が操舵仕事量演算部に対応し、ステップS7〜S10が運転モード切替部に対応している。
本実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)ドライバ状態判定コントローラ113は、運転者がステアリングホイールに加えた操舵トルクTと運転者が操舵した操舵角速度ωとに基づいて、運転者がステアリングホイールを操舵したことによる操舵仕事量ΣWを演算する。そして、自動運転走行コントローラ103は、自動運転モード中に操舵仕事量ΣWがオーバーライド判定閾値ΣWTHを越えたとき、自動走行制御を行う自動運転モードから、運転者による手動運転を行う手動運転モードへ切り替える。
このように、操舵トルクTと操舵角速度ωとの積を操舵仕事率Wとするので、操舵仕事率Wの符号から、運転者がタイヤ側からのトルクに打ち勝つ方向のステアリング操作を行っているか否かを判定することができる。また、瞬時瞬時に検出した操舵仕事率Wを時間積分して操舵仕事量ΣWを演算するので、操舵に要するエネルギーを適切に求めることができる。
これにより、自車両が自車両近傍の対象物に到達する前に、運転者がオーバーライドしているか否かの判定を終えることができる。
これにより、自車速が速いほど、より僅かなオーバーライドでも検出可能となる。また、その検出に要する時間を短縮することができる。
(5)運転者がステアリングホイールに加えた操舵トルクと運転者が操舵した操舵角速度とに基づいて、運転者がステアリングホイールを操舵したことによる操舵仕事量を演算する。そして、ステアリングホイールと転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離した状態で自車両を自動的に走行させる自動走行制御を行う自動運転モード中に演算した操舵仕事量が、オーバーライド判定閾値ΣWTHを越えたとき、自動運転モードから、自動走行制御を解除して運転者による手動運転を可能とする手動運転モードへ切り替える。
これにより、運転者のオーバーライドを適切に検出し、運転モードを適切に切り替えることができる。
(1)上記実施形態においては、ドライバ状態判定コントローラ113で運転者のオーバーライドを検出したとき、自動運転走行コントローラ103で、自動運転モードから手動運転モードへ徐々に移行するようにすることもできる。この場合、自動走行制御で設定した目標経路を走行するために必要な運転操作量(ステアリング操作量、アクセル操作量、ブレーキ操作量)を、徐々に運転者による運転操作量に近づけるようにする。換言すると、目標経路を走行するために必要な運転操作量に対する自動運転モードの比率を、徐々に低下するようにする。
これにより、運転者のオーバーライドを検出した後、自動運転モードから手動運転モードへ滑らかに移行することができる。そのため、自動運転モードでの運転操作量と運転者による運転操作量とが異なる場合でも、運転者に違和感を与えるのを抑制する効果がある。
Claims (6)
- 自車両を自動的に走行させる自動走行制御を行う自動運転モードと、前記自動走行制御を解除して運転者による手動運転を可能とする手動運転モードとを切り替え可能な車両用運転制御装置であって、
運転者がステアリングホイールに加えた操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
運転者が操舵した操舵角速度を検出する操舵角速度検出部と、
前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクと、前記操舵角速度検出部で検出した操舵角速度とに基づいて、運転者がステアリングホイールを操舵したことによる操舵仕事量を演算する操舵仕事量演算部と、
前記自動走行制御を行う自動運転モード中に前記操舵仕事量演算部で演算した操舵仕事量の正の成分が予め設定した判定閾値を越えたとき、前記自動運転モードから前記手動運転モードへ切り替える運転モード切替部と、を備えることを特徴とする車両用運転制御装置。 - 自車両を自動的に走行させる自動走行制御を行う自動運転モードと、前記自動走行制御を解除して運転者による手動運転を可能とする手動運転モードとを切り替え可能な車両用運転制御装置であって、
運転者がステアリングホイールに加えた操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
運転者が操舵した操舵角速度を検出する操舵角速度検出部と、
前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクと、前記操舵角速度検出部で検出した操舵角速度とに基づいて、運転者がステアリングホイールを操舵したことによる操舵仕事量を演算する操舵仕事量演算部と、
前記自動走行制御を行う自動運転モード中に前記操舵仕事量演算部で演算した操舵仕事量が予め設定した判定閾値を越えたとき、前記自動運転モードから前記手動運転モードへ切り替える運転モード切替部と、
自車両が自車両近傍の対象物に到達するまでの到達時間を演算する到達時間演算部と、を備え、
前記操舵仕事量演算部は、
前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクと、前記操舵角速度検出部で検出した操舵角速度との積を、単位時間あたりの前記操舵仕事量である操舵仕事率として演算する操舵仕事率演算部を備え、
前記操舵仕事率演算部で演算した操舵仕事率を積分することで、前記操舵仕事量を演算し、
前記操舵仕事量演算部は、前記操舵仕事率演算部で演算した操舵仕事率を積分する積分時間を、前記到達時間演算部で演算した到達時間よりも短く設定することを特徴とする車両用運転制御装置。 - 自車両の車速を検出する車速検出部を備え、
前記運転モード切替部は、前記車速検出部で検出した車速が速いほど、前記判定閾値を小さく設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用運転制御装置。 - 前記運転モード切替部は、自動運転モードから手動運転モードへ徐々に切り替えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用運転制御装置。
- 運転者がステアリングホイールに加えた操舵トルクと運転者が操舵した操舵角速度とに基づいて、運転者がステアリングホイールを操舵したことによる操舵仕事量を演算し、自車両を自動的に走行させる自動走行制御を行う自動運転モード中に演算した操舵仕事量の正の成分が、予め設定した判定閾値を越えたとき、前記自動運転モードから、前記自動走行制御を解除して運転者による手動運転を可能とする手動運転モードへ切り替えることを特徴とする車両用運転制御方法。
- 自車両が自車両近傍の対象物に到達するまでの到達時間を演算し、
運転者がステアリングホイールに加えた操舵トルクと運転者が操舵した操舵角速度との積を操舵仕事率として演算し、
前記到達時間よりも短く設定された積分時間で前記操舵仕事率を積分することで、運転者がステアリングホイールを操舵したことによる操舵仕事量を演算し、
自車両を自動的に走行させる自動走行制御を行う自動運転モード中に演算した前記操舵仕事量が、予め設定した判定閾値を越えたとき、前記自動運転モードから、前記自動走行制御を解除して運転者による手動運転を可能とする手動運転モードへ切り替えることを特徴とする車両用運転制御方法。
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