JP6173892B2 - 二重容器 - Google Patents

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Description

本発明は、内容物を収容する減容変形自在な内層体と、内層体を内側に収めて容器の外殻を形成する外層体とを備え、内容物の注出に伴って内層体のみが減容する二重容器に関するものである。
化粧水などの化粧料や、シャンプーやリンス或いは液体石鹸、また食品調味料や薬品などを収納する容器としては、内容物を収容する減容変形自在な内層体と、内層体を内側に収めて容器の外殻を形成する外層体とを備え、外層体に、内外に通じる外気導入用の開口を設け、内容物の注出に伴って内層体のみを減容させるようにした二重容器(デラミ容器、積層剥離容器とも言う)が知られている(例えば特許文献1)。この種の容器は、内層体内の内容物と外気との置換を行うことなく内容物を注出することができるので、特に、外気との接触によって品質が低下するおそれのある内容物を収納する容器として好適である。
特許文献1の積層剥離容器は、大気導入孔を備える外側層と、外側層に剥離自在に積層された内側層とを有し、通常時は内側層と外界との連通を阻止するとともに内側層の内圧上昇によって内容物の注出を許容する吐出弁を備え、また、通常時は大気導入孔に連通する空気流入孔を閉鎖するとともに外側層と内側層の相互間の減圧によって空気流入孔から空気を導入する吸込弁を備えるものである。このような容器によれば、外側層を押圧すると、外側層と内側層の相互間の空気を介して内側層を押圧することができるため、内側層の内圧が上昇して内容物を注出することができる。また、外側層の押圧を解除すれば、外側層の復元に伴い外側層と内側層の相互間が減圧されて空気流入孔から外気が導入されるため、外側層のみを元の形状に戻すことができる。
特許第3688373号公報
ところで、このような二重容器を例えば冷所に保存する場合、これを室内に取り出すと、外気によって内層体と外層体との相互間の空気が温められて膨張する結果、この相互間の内圧が上昇して内層体が加圧され、注出口から内容物が噴き出すことがあった。
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、周囲の温度が変化しても、内容物の噴き出しを有効に防止することができる新たな二重容器を提案するところにある。
本発明は、内容物を収容する減容変形自在な内層体と、該内層体を内側に収めるとともに口部周壁に貫通開口を有し該内層体との相互間に該貫通開口につながる内部空間を有する外層体と、内容物の注出口を有するとともに該外層体に装着されるノズルと、該ノズルを覆って該口部周壁に着脱可能に取り付けられるオーバーキャップとを備える二重容器であって、
前記口部周壁の外面に、前記オーバーキャップの周壁との間で外界への通気路を形成するとともに、口部根元側への摺動によって前記貫通開口を開放して前記内部空間と該通気路とを連通させる一方、口部先端側への摺動によって該貫通開口を閉鎖するスライド部材を設け、
前記オーバーキャップの周壁内面に、該オーバーキャップの取り付けによって該スライド部材を口部根元側へ押し下げる上部突起と、該オーバーキャップの取り外しを開始すると該スライド部材を口部先端側へ押し上げる下部突起とを設けた二重容器である。
前記スライド部材は、前記貫通開口に向けて突出し、口部根元側への摺動にて該貫通開口の下縁に当接する一方、口部先端側への摺動にて該貫通開口の上縁に当接するストッパー突起を有することが好ましい。
前記スライド部材は、前記口部周壁を部分的に周回してC字状をなすとともに2つの周端部の相互間に前記通気路を備えることが好ましい。
外層体の口部周壁の外面に、オーバーキャップの周壁との間で外界への通気路を形成するとともに、口部根元側への摺動によって貫通開口を開放して外層体と内層体との相互間(内部空間)と通気路とを連通させる一方、口部先端側への摺動によって貫通開口を閉鎖するスライド部材を設け、オーバーキャップの周壁内面に、オーバーキャップの取り付けによってスライド部材を口部根元側へ押し下げる上部突起と、オーバーキャップの取り外しを開始するとスライド部材を口部先端側へ押し上げる下部突起とを設けたので、オーバーキャップを取り付けた状態では、内部空間と外界とが連通した状態になる。これにより、周囲の温度が変化しても、内部空間内の空気を外界へ逃がすことができるので、内容物の噴き出しを防止することができる。
スライド部材に、貫通開口に向けて突出し、口部根元側への摺動にて貫通開口の下縁に当接する一方、口部先端側への摺動にて貫通開口の上縁に当接するストッパー突起を設ける場合は、スライド部材が外層体から脱落することがなくなるので、使い勝手が良くなる。
スライド部材が、口部周壁を部分的に周回してC字状をなすものである場合は、スライド部材の内径が広がるように変形させることができるので、口部周壁への取り付けが容易になる。またC字状にすることで、周方向に切り欠かれた部分となる2つの周端部の相互間を通気路として利用することができるので、通気路を形成するための溝等を別途設ける必要がなくなる。
本発明に従う二重容器の一実施形態を示す、側面視での半断面図である。 図1のノズル周辺を拡大して示す図である。 図2のA−Aに沿う断面図である。 オーバーキャップを取り外す途中の状態を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書、及び図面において、「上」とは、容器を水平面上に載置した際に外層体の底部に対してノズルが位置する側であり、「下」とは、その反対側である。
図1において、符号1は、本発明の二重容器の一実施形態を示す。本実施形態の二重容器1は、特に、少量の内容物を注出させるのに適した形態をなすものである。二重容器1は、内容物を収容する内層体2と、内層体2を内側に収める外層体3と、外層体3に装着されるノズル4を備えている。ノズル4は、中栓5と注出筒体7とで構成されている。更に中栓5と注出筒体7との間には、シール弁6が設けられている。また、外層体3の口部周壁の外側にはスライド部材8が設けられている。そして、ノズル4の外側にはオーバーキャップ9が設けられている。
内層体2は、その内側に内容物を収容する収容空間Sを備えている。内層体2は薄肉の合成樹脂製であって、減容変形自在となっている。
外層体3は、円板状の底部3aに円筒状の胴部3bを連結するとともに、上方へ向けて縮径する肩部3cを介して円筒状の口部周壁3dを連結したものである。口部周壁3dには上方へ向けて開口する上部開口3eが設けられている。また口部周壁3dの根元側には貫通開口3fが設けられていて、先端側には雄ねじ3gが設けられている。外層体3は合成樹脂製であって、胴部3bは復元自在な可撓性を有している。外層体3の内側には内層体2を収めていて、内層体2が減容変形することで、それらの相互間には貫通開口3fにつながる内部空間が形成される。
本実施形態において内層体2と外層体3は、相互に相溶性が低い合成樹脂を剥離可能に積層させたものである。図示は省略するが内層体2と外層体3との間には、上下方向に延在して内層体2と外層体3とを部分的に接合する、1本或いは複数本の接着帯を設けてもよい。なお、このような内層体2と外層体3は、内層体2の合成樹脂素材と外層体3の合成樹脂素材とが積層されたパリソンを、ブロー成形することによって得ることができるが、他にも、試験管状に形成したプリフォームを2軸延伸ブロー成形することや、外層体及び内層体を個別に形成し、その後、内層体を外層体内に装着するようにしたものでもよい。
図2に示すように中栓5は、中央部に開口5aを有する上壁5bと、上壁5bに段部5cを介して連結する筒壁5dと、筒壁5dの下端に連結するとともに口部周壁3dの上端との間で内層体2を挟む中栓フランジ5eと、中栓フランジ5eの下面から垂下され、口部周壁3dの内面との間で内層体2を挟む円筒状のシール壁5fとを備えている。また、筒壁5dの外面には、径方向外側へ向けて凸となる凸部5g(環状でも間欠状でも良い)が設けられている。
シール弁6は、開口5aを覆って上壁5bに当接する板状の可動壁6aと、可動壁6aから起立する円柱状の棒状部6bと、棒状部6bの先端を径方向外側に膨出させた膨出部6cを備えている。また、可動壁6aの径方向外側には、下端が段部5cに当接する環状部6dが設けられていて、可動壁6aと環状部6dとの間には、可動壁6aを上壁5bに向けて付勢する弾性アーム6eが設けられている。本実施形態のシール弁6は、弾性アーム6eを均等配置で3つ設けた3点弁の如き構成となっているが、1点弁等、他の弁構造を採用することも可能である。
注出筒体7は、中央部に注出口7aを有し下方に向けて拡径するテーパ部7bと、テーパ部7bの下端に連結する筒状部7cと、筒状部7cの下端に連結し中栓フランジ5eの上面に接するフランジ7dとを備えている。また、筒状部7cの内面には、中栓5の凸部5gに対応する形状をなし凸部5gに係合して注出筒体7を抜け止め保持する凹部7eが設けられている。更に、筒状部7cの内面において、テーパ部7bと筒状部7cとの境界部分には、環状部6d上端に当接し中栓5との協働にてシール弁6の上下方向の位置を規制する突起7fが設けられている。また、注出口7aには膨出部6cが挿通されていて、膨出部6cに対し注出口7aの周面に設けたシール段部7gが当接している。注出筒体7の内側には、可動壁6aが上壁5bから離反した際に開口5aを介して収容空間Sと連通する注出空間Tが形成されている。
スライド部材8は、口部周壁3dに対し、外層体3の中心軸線Mに沿う向きに摺動可能に設けられている。図1に示すようにスライド部材8は、側面視では、下方に位置する薄肉部8aと上方に位置する厚肉部8bとを連結した形態をなすものであり、図3に示すように平面視では、口部周壁3dを部分的に周回してC字状をなすものである。ここで、図3に示す2つの周端部8c、8d間の隙間は、オーバーキャップ9を取り付けた際に貫通開口3fと外界とを連通させる通気路Vとして機能する。また、スライド部材8の内面には、貫通開口3fに向けて突出する突起(ストッパー突起8e)が設けられている。
オーバーキャップ9は、半球状の天部9aに上部を小径に、下部を大径にした2段の筒状になる周壁9bを連結したものである。周壁9bの内面には、雄ねじ3gに係合する雌ねじ9cが設けられ、雌ねじ9cの下方には、断面視で直角状になる上部突起9dと、周壁9bの内面からの突出量が上部突起9dよりも少なく、断面視で半円状になる下部突起9eが設けられている。なお、上部突起9dは、本実施形態のような面全体が突出するような段状に形成したものに限られず、面の一部が局所的に突出するような凸状に形成したものも含む。また下部突起9eも、本実施形態のような面の一部が局所的に突出するような凸状に形成したものに限られず、面全体が突出するような段状に形成したものも含む。また、天部9aの下面には、オーバーキャップ9を取り付けた際に膨出部6cに当接する環状のリブ9fが設けられている。
上記のような構成になる二重容器1は、図2に示すようにオーバーキャップ9を最後まで取り付けると、上部突起9dが厚肉部8bを押し下げるので、スライド部材8が口部根元側へ移動する。これにより、貫通開口3fが開放されるので、内層体2と外層体3との相互間に形成される内部空間は、貫通開口3fと通気路V(図3)を介して外界と連通する。これにより、周囲の温度が変化して内部空間内の空気が膨張しても、この空気を外界へ逃がすことができるので、内容物の噴き出しを防止することができる。なお、この状態においてストッパー突起8eは、貫通開口3fの下縁に当接するようにしているので、スライド部材8を、上部突起9dとストッパー突起8eによって上下方向に位置決めすることができる。また膨出部6cは、オーバーキャップ9のリブ9fによって傾かない(中心軸線Mに対する振れが生じない)ように保持されるので、膨出部6cとシール段部7gとを全周に亘って均等に当接させることができる。これにより、注出空間Tへの空気の侵入や注出空間Tからの内容液の漏れ出しをより確実に防止することができる。
そして図4に示すようにオーバーキャップ9の取り外しを開始すると、下部突起9eが厚肉部8bを押し上げるので、スライド部材8が口部先端側へ移動する。なお、下部突起9eの突出量は少なく、また断面視で半円状になるものであるので、そのままオーバーキャップ9の取り外しを継続すると、下部突起9eはスライド部材8を乗り越えることができる。またこの時、ストッパー突起8eは、貫通開口3fの上縁に当接するので、オーバーキャップ9とともにスライド部材8が外れてしまうことはない。そしてスライド部材8の内径は、口部周壁3dの外径と略同じか若干小さくなっているので、オーバーキャップ9を取り外しても、スライド部材8は自重で落下することはなく、図4に示す貫通開口3fを閉鎖する位置で保持される。
図4に示す状態から外層体3を押圧すると、内部空間内の空気を介して収容空間Sが加圧される。これによって可動壁6aが上壁5bから離反するとともに膨出部6cもシール段部7gから離反する結果、注出空間T内の内容物が棒状部6bと注出口7aとの隙間を通して少量注出される。なお、この状態では貫通開口3fは閉鎖したままであるので、外層体3の押圧を解除しても外層体3は復元していないが、注出させる内容物が少量であるため、外層体3の変形量は僅かであって使い勝手や見栄えが損なわれることはないその後、オーバーキャップ9を取り付ければ、上述したように内部空間と外界とが連通するので、外層体3を復元させることができる。
本発明に従う二重容器は、本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に従う範囲で種々の変更が可能である。例えば、本実施形態のスライド部材8は平面視でC字状となるものであるが、例えば環状にすることも可能である。この場合は、口部周壁3dの雄ねじ3g周辺は図示のままとし、貫通開口3f周辺は大径にしてスライド部材も大径にすることで、スライド部材を口部周壁に取り付ける際に雄ねじが邪魔になることがない。また、スライド部材8の外面やオーバーキャップ9の内面に溝を設け、この溝を通気路Vとしてもよい。また、オーバーキャップ9を口部周壁に取り付けるに当たっては、上述したねじの他、アンダーカット等を採用することも可能である。
本発明によれば、周囲の温度が変化しても、内容物の噴き出しを有効に防止することができる新規の二重容器を提供することが可能となる。
1 二重容器
2 内層体
3 外層体
3a 底部
3b 胴部
3c 肩部
3d 口部周壁
3e 上部開口
3f 貫通開口
3g 雄ねじ
4 ノズル
5 中栓
5a 開口
5b 上壁
5c 段部
5d 筒壁
5e 中栓フランジ
5f シール壁
5g 凸部
6 シール弁
6a 可動壁
6b 棒状部
6c 膨出部
6d 環状部
6e 弾性アーム
7 注出筒体
7a 注出口
7b テーパ部
7c 筒状部
7d フランジ
7e 凹部
7f 突起
7g シール段部
8 スライド部材
8a 薄肉部
8b 厚肉部
8c 周端部
8d 周端部
8e ストッパー突起
9 オーバーキャップ
9a 天部
9b 周壁
9c 雌ねじ
9d 上部突起
9e 下部突起
9f リブ
M 外層体の中心軸線
S 収容空間
T 注出空間
V 通気路

Claims (3)

  1. 内容物を収容する減容変形自在な内層体と、該内層体を内側に収めるとともに口部周壁に貫通開口を有し該内層体との相互間に該貫通開口につながる内部空間を有する外層体と、内容物の注出口を有するとともに該外層体に装着されるノズルと、該ノズルを覆って該口部周壁に着脱可能に取り付けられるオーバーキャップとを備える二重容器であって、
    前記口部周壁の外面に、前記オーバーキャップの周壁との間で外界への通気路を形成するとともに、口部根元側への摺動によって前記貫通開口を開放して前記内部空間と該通気路とを連通させる一方、口部先端側への摺動によって該貫通開口を閉鎖するスライド部材を設け、
    前記オーバーキャップの周壁内面に、該オーバーキャップの取り付けによって該スライド部材を口部根元側へ押し下げる上部突起と、該オーバーキャップの取り外しを開始すると該スライド部材を口部先端側へ押し上げる下部突起とを設けた二重容器。
  2. 前記スライド部材は、前記貫通開口に向けて突出し、口部根元側への摺動にて該貫通開口の下縁に当接する一方、口部先端側への摺動にて該貫通開口の上縁に当接するストッパー突起を有する請求項1に記載の二重容器。
  3. 前記スライド部材は、前記口部周壁を部分的に周回してC字状をなすとともに2つの周端部の相互間に前記通気路を備える請求項1又は2に記載の二重容器。
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