JP6128555B2 - 置換ピラゾリルピラゾール誘導体とその除草剤としての使用 - Google Patents

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Description

本発明は、置換ピラゾリルピラゾール誘導体と、該化合物の除草剤としての利用に関する。
近年、農作物の栽培にあたり多数の除草剤が使用され農作業の省力化や農作物の生産性向上に寄与してきた。畑地・水稲栽培においては多くの除草剤が実用化されている。
しかしながら、雑草の種類は多岐にわたり、また各雑草の発芽及び生育時期は一様ではなく、さらに、多年生雑草の発生は長期におよぶ。そのため一回の除草剤散布ですべての雑草を防除することは非常に困難である。
水稲における初中期一発処理剤はノビエ(タイヌビエ(Echinochloa oryzicola)、イヌビエ(Echinochloa crus−galli var.crus−galli)、ヒメタイヌビエ(Echinochloa crus−galli var.formosensis)、ヒメイヌビエ(Echinochloa crus−galli var.praticola)、ケイヌビエ(Echinochloa crus−galli var.caudata)の総称)の2〜3葉期までの処理で有効であることを示しており、一回の処理で、主要雑草を防除することができる(非特許文献1 参考)。しかし、実用化されている初中期一発処理剤においてノビエが3.5葉期以上に生育した時期の雑草を防除することは非常に困難であり、ノビエの3葉期時の防除と3.5葉期時の防除には技術的に大きな隔絶がある。
さらに長期に亘る除草効果の維持(残効性)は農薬散布の低減、作業の省力化、コスト削減といった面で重要となり、初中期一発処理剤においては必須性能とされている。
また、近年ではALS(アセト乳酸合成酵素)阻害剤が広く普及され、ALS阻害剤に抵抗性を有する雑草が問題になっている。特に、多年生であるオモダカ(Sagittaria trifolia)やウリカワ(Sagittaria pygmaea)のALS阻害剤抵抗性バイオタイプに対して十分な効果を有する除草剤は少ない。また、近年に問題となる雑草として多年生ではクログワイ(Eleocharis kuroguwai)、コウキヤガラ(Scirpus planiculmis)、シズイ(Scirpus nipponicus)など、一年生ではクサネム(Aeschynomene
indica)、アゼガヤ(Leptochloa chinensis)、イボクサ(Murdannia keisak)などが挙げられ、これら難防除雑草に対して十分な効果を有する除草剤は少ない。
一方、多くのピラゾール誘導体は、除草剤として実用化され、例えば、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル p−トルエンスルホネート(一般名:「ピラゾレート」)、2−[4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]アセトフェノン(一般名:「ピラゾキシフェン」)、2−[4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]−4’−メチルアセトフェノン(一般名:「ベンゾフェナップ」)等が広く使用されているが、いずれの単剤も日本では登録上ノビエに対する適用範囲は1.5葉期までであり、これらのピラゾール誘導体は、広範囲な雑草に有効であるが、高葉齢のノビエに対する効果は必ずしも十分でない。
また、特許文献1に記載の実施例4.73の化合物である1−(3−クロロ−4,5,
6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−5−[メチル(プロプ−2−イニル)アミノ]ピラゾール−4−カルボニトリル(一般名:「ピラクロニル」,商品名ピラクロン)は広範囲な雑草に有効であるが、高葉齢のノビエに対する効果は十分でなく、日本での登録上の本剤単剤のノビエに対する適用範囲は1.5葉期までである。
WO94/08999
水田雑草の生態とその防除―水稲作の雑草と除草剤解説― 159頁
本発明は、広い殺草スペクトルを有し、実用上問題となる、より高葉齢の重要雑草を防除することができ、かつ、水稲等の作物に対して、薬害を生じない除草剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、特定の化学構造を有するピラゾリルピラゾール誘導体が、長期間に亘って幅広い殺草スペクトラムを有するとともに、高葉齢の重要雑草に対して優れた除草効力を示し、一方で、栽培作物に対して十分な安全性を有することを見出し、こうした知見に基づいて本発明を完成するに至った。従って本発明は、下記式(I)で示される化合物、ピラゾリルピラゾール誘導体を提供する。
上式中
はハロゲン原子を表わし、
はシアノ基、ニトロ基を表わし、
は水素原子、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基、ヘプタフルオロブテニル基を表わし、
〜Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、(場合により、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換された)C〜Cアルキル基、(場合により、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換された)C〜Cシクロアルキル基、(場合により、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換された)C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキル基、あるいは(場合により、1個またはそれ以上のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、(場合により、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換された)C〜Cアルキル基もしくはC〜Cアルコキシ基によって置換された)フェニル基を表わし、
aは3〜5を表わし、かつ
bは0〜2を表わす
(ただし、Rは塩素原子、Rはシアノ基、R〜Rは水素原子、bは1で表される化合物を除く)。
式(I)中、
好ましくは、
が塩素原子、臭素原子を表わし、
〜Rが同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、(場合により、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換された)C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキル基、フェニル基を表わし、かつ
aが4を表わす。
式(I)中、
より好ましくは、
が塩素原子を表わし、
がシアノ基を表わし、
〜Rが同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、場合により、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換された)C〜Cアルキル基を表わし、かつ
bは1を表わす。
本明細書において、
「ハロゲン原子」には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が包含される。
「アルキル基」は、直鎖状もしくは分枝鎖状であることができ、限定されるものではないが、例えば、メチル、エチル、n−もしくはiso−プロピル、n−、iso−、sec−もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル基などが挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
「アルコキシ基」は、アルキル部分が上記の意味を有するアルキル−O−基を意味し、限定されるものではないが、例えば、メトキシ、エトキシ、n−もしくはiso−プロポキシ、n−、iso−、sec−もしくはtert−ブトキシ基などが挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
「シクロアルキル基」には、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが包含され、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
「アルキル基」、「アルコキシ基」、「シクロアルキル基」、はこれらの基に含まれる水素原子の少なくとも1個がハロゲン原子により置換されていてもよく、例えばアルキル基を例に挙げると、限定されるものではないが、クロロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、トリフルオロエチル、テトラフルオロプロピル、ブロモエチル、ブロモプロピル、クロロブチル、クロロヘキシル、ペルフルオロヘキシル基であることができ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
前記の基もしくは部分がハロゲン原子により多置換されているか、またはフェニル基がハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、(場合により、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換された)C〜Cアルキル基もしくはC〜Cアルコキシ基によって多置換されている場合、この基は、1個より多くの同一または異なるハロゲン原子および/または置換基で置換されていることができる。
また、幾何異性体が存在する場合には、シス体およびトランス体が含まれる。本発明はまた、式(I)によって示される化合物に包含されるが具体的には定義されていない全て
の幾何異性体およびその混合物にも関する。
以下に挙げる全ての式において、置換基および記号は、別に定義しない限り、式(I)において定義したのと同じ意味を有する。本発明により提供される式(I)の化合物のうちRが水素原子のものは、式(II):
で示される化合物のアルキル化反応により簡便に合成することが出来る。
が水素原子を含まない化合物は、続く式(III):
のパーフルオロアミド化反応により合成することができる。
式(II)の化合物はWO93/10100及びWO94/08999に記載の方法に従い、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イリデンアセトニトリルもしくは、5−クロロバレリルクロリドより合成することが出来る。
式(II)の化合物のアルキル化反応はそれ自体、公知の反応条件を参考に合成することが出来る(例えば、WO94/08999)。場合により、アミノ基を保護し、アルキル化、脱保護という手順で行ってもよい。
式(III)のパーフルオロアミド化反応はそれ自体、公知の反応条件および、そこに引用されている文献に記載されている公知の方法によって容易に製造することができる(例えば特開2005−154420)。
本発明により提供される式(I)の化合物は、後述する試験例1〜3に記載の除草活性試験の結果から明らかなように、優れた除草効果を有しており、除草剤として有用である。
本発明の式(I)の化合物は、多種の農耕地雑草及び非農耕地雑草に対して活性を有している。栽培植物としては、例えばイネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、エンバク、ソルガムなどのイネ科植物や、ダイズ、ワタ、ビート、ヒマワリ、ナタネなどの広葉作物のほか、果樹、果菜類や根菜類、葉菜類などの野菜、芝生などが挙げられ、それらの栽培に使用することができる。
本発明の化合物は、水田において次に挙げられる問題となる種々の雑草に対して、湛水
もしくは湛水していない状態での土壌処理、土壌混和処理及び茎葉処理のいずれの処理方法においても除草効力を有する。以下にその雑草を例示するが、これらの例に限定されるものではない。
本発明の式(I)の化合物によって防除し得る水田雑草としては、例えば、ヘラオモダカ(Alisma canaliculatum)、オモダカ(Sagittaria trifolia)、ウリカワ(Sagittaria pygmaea)などのオモダカ科雑草、タマガヤツリ(Cyperus difformis)、ミズカヤツリ(Cyperus serotinus)、ホタルイ(Scirpus juncoides)、クログワイ(Eleocharis kuroguwai)、コウキヤガラ(Scirpus planiculmis)、シズイ(Scirpus nipponicus)などのカヤツリグサ科雑草、アゼナ(Lindernia procumbens)、タケトアゼナ(Lindernia dubia subsp.dubia)、アメリカアゼナ(Lindernia dubia)などのゴマノハグサ科雑草、コナギ(Monochoria vaginalis)、ミズアオイ(Monochoria korsakowii)などのミズアオイ科雑草、ヒルムシロ(Potamogeton distinctus)などのヒルムシロ科雑草、キカシグサ(Rotala indica)、ヒメミソハギ(Ammannia multiflora)などのミソハギ科雑草、タウコギ(Bidens tripartita)、アメリカセンダングサ(Bidens frondosa)などのキク科雑草、クサネム(Aeschynomene indica)などのマメ科雑草、イボクサ(Murdannia keisak)などのツユクサ科雑草、タイヌビエ(Echinochloa oryzicola)、イヌビエ(Echinochloa crus−galli var.crus−galli)、ヒメタイヌビエ(Echinochloa crus−galli var.formosensis)、ヒメイヌビエ(Echinochloa crus−galli var.praticola)、ケイヌビエ(Echinochloa crus−galli var.caudata)、アゼガヤ(Leptochloa chinensis)、アシカキ(Leersia japonica)、キシュウスズメノヒエ(Paspalum distichum)、エゾノサヤヌカグサ(Leersia oryzoides)などのイネ科雑草などが挙げられる。
また、畑地、非農耕地としては、次に挙げられる問題となる種々の雑草に対して、土壌処理、土壌混和処理及び茎葉処理のいずれの処理方法においても除草効力を有する。以下にその雑草を例示するが、これらの例に限定されるものではない。
イヌホウズキ(Solanum nigrum)、シロバナチョウセンアサガオ(Datura stramonium)などのナス科雑草、イチビ(Abutilon avicennae)、アメリカキンゴジカ(Sida spinosa)などのアオイ科雑草、マルバアサガオ(Ipomoea purpurea)などのヒルガオ科雑草、イヌビユ(Amaranthus lividus)などのヒユ科雑草、オナモミ(Xanthium strumarium)、ブタクサ(Ambrosia artemisiifolia)、ハキダメギク(Galinsoga ciliata)、セイヨウトゲアザミ(Cirsium arvense)、ノボロギク(Senecio vulgaris)、ヒメジョオン(Stenactis annuus)などのキク科雑草、イヌガラシ(Rorippa indica)、ノハラガラシ(Sinapis arvensis)、ナズナ(Capsella bursa―pastoris)などのアブラナ科雑草、イヌタデ(Persicaria longiseta)、ソバカズラ(Fallopia convolvulus)などのタデ科雑草、スベリヒユ(Portulaca
oleracea)などのスベリヒユ科雑草、シロザ(Chenopodium album)、コアカザ(Chenopodium ficifolium)、ホウキギ(Kochia scoparia)などのアカザ科雑草、コハコベ(Stellaria
media)などのナデシコ科雑草、オオイヌノフグリ(Veronica persica)などのゴマノハグサ科雑草、ツユクサ(Commelina communis)などのツユクサ科雑草、ホトケノザ(Lamium amplexicaule)、ヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)などのシソ科雑草、コニシキソウ(Euphorbia supina)、オオニシキソウ(Euphorbia maculata)などのトウダイグサ科雑草、トゲナシヤエムグラ(Galium spurium)、ヤエムグラ(Galium spurium var. echinospermon)、アカネ(Rubia argyi)などのアカネ科雑草、スミレ(Viola
mandshurica)などのスミレ科雑草、アメリカツノクサネム(Sesbania exaltata)、エビスグサ(Cassia obfusitolia)などのマメ科雑草などの広葉雑草、野性ソルガム(Sorgham bicolor)、オオクサキビ(Panicum dichotomiflorum)、ジョンソングラス(Sorghum halepense)、イヌビエ(Echinochloa crus−galli var.crus−galli)、メヒシバ(Digitaria ciliaris)、カラスムギ(Avena fatua)、オヒシバ(Eleusine indica)、エノコログサ(Setaria viridis)、スズメノテッポウ(Alopecurus aequalis)、スズメノカタビラ(Poa annua)などのイネ科雑草、ハマスゲ(Cyperus rotundus)などのカヤツリグサ科雑草などが挙げられる。
さらに、刈り取り跡、休耕畑、樹園地、牧草地、芝生地、線路端、空き地、林業地、あるいは農道、畦畔、その他の非農耕地に発生する広範囲の雑草を除草することができる。
しかも本発明の式(I)の化合物は、水稲の直播栽培や移植栽培等のどのような栽培方法でも水稲に対して問題となるような薬害を示さない。
本発明の式(I)の化合物は、植物の発芽前及び発芽後のいずれにおいても施用することができ、さらに、播種前に土壌に混和することもできる。
本発明の式(I)の化合物の投薬量は、化合物の種類、対象植物の種類、適用時期、適用場所、望むべき効果の性質などに応じて広い範囲にわたって変えることができるが、一応の目安としては、1アール当たりの活性化合物として、約0.01〜100g、好ましくは約0.1〜10gの範囲内を例示することができる。
本発明の式(I)の化合物は、単独で使用することもできるが、通常は常法に従い、式(I)の化合物に処方助剤などを配合し、限定されるものではないが、例えば、粉剤、乳剤、油剤、可溶化剤、サスポエマルション剤、微粒剤、噴霧剤、DL粉剤、微粒剤F、細粒剤F、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、ジャンボ剤、錠剤、ペースト剤、油性懸濁液、水溶剤、液剤、マイクロカプセル剤などの任意の剤型に製剤化して使用することが好ましい。
製剤化に使用し得る処方助剤としては、限定されるものではないが、例えば、固体担体、液体担体、結合剤、増粘剤、界面活性剤、凍結防止剤、防腐剤などが挙げられる。
固体担体としては、限定されるものではないが、例えば、タルク、ベントナイト、モンモリロナイト、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉、酸性白土、ケイソウ土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、消石灰、植物性粉末、アルミナ、活性炭、糖類、ガラス中空体、ケイ砂、硫安、尿素などが挙げられる。
液体担体としては、限定されるものではないが、例えば、炭化水素類(例えば、ケロシン、鉱油など);芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、ジメチルナフタレン、フェニルキシリルエタンなど);塩素化炭化水素類(例えば、クロロホルム、四塩化炭素など);エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど);ケトン類(例えば、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロンなど);エステル類(例えば、酢酸エチル、エチレングリコールアセテート、マレイン酸ジブチルなど);アルコール類(例えば、メタノール、n−ヘキサノール、エチレングリコールなど);極性溶媒類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなど);水などが挙げられる。
結合剤および増粘剤としては、限定されるものではないが、例えば、デキストリン、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリカルボン酸系高分子化合物、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カルシウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、ベントナイト系鉱物質、ポリアクリル酸とその誘導体、ホワイトカーボン、天然の糖類誘導体(例えば、キサンタンガム、グアーガム等)等が挙げられる。
界面活性剤としては、限定されるものではないが、例えば、脂肪酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩等の陰イオン系の界面活性剤およびソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等の非イオン系の界面活性剤が挙げられる。
凍結防止剤としては、限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
防腐剤としては、限定されるものではないが、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキ安息香酸ブチル、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、過酸化水素水、グルコン酸クロルヘキシジン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ジンクピリチオン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン誘導体、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、及びサリチル酸誘導体が挙げられる。
以上に述べた固体担体、液体担体、結合剤、増粘剤、界面活性剤、凍結防止剤及び防腐
剤を使用目的等に応じて、それぞれ単独で又は適当に組み合わせて使用することができる。
本発明の除草剤組成物全体に対する本発明の式(I)の化合物の配合割合は、必要に応じて加減することができ特に制限されないが、通常0.01〜90質量%程度であり、例えば、粉剤或いは粒剤とする場合は0.1〜50質量%程度が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%程度であり、乳剤、水和剤或いは顆粒水和剤等とする場合は0.1〜90質量%程度が好ましく、より好ましくは0.5〜50質量%程度である。
これらの製剤は、必要に応じて適当な濃度に希釈して植物茎葉、土壌、水田の水面などに散布するか又は直接施用することによって、各種の用途に供することができる。
以下の実施例により本発明を説明する。
実施例1.1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−5−(2−メチルプロプ−2−エニルアミノ)ピラゾール−4−カルボニトリルの製法(化合物1)
5−アミノ−1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)ピラゾール−4−カルボニトリル(19.7g)にアセトニトリル(75ml)を加え、そこへ酢酸クロリド(5.8g)をゆっくりと滴下し、5時間加熱還流を行った。反応終了後、反応液に水を加え、析出した固体を酢酸エチルで洗浄し、N−(1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−4−シアノピラゾール−5−イル)アセトアミド(12g)を得た。
得られたN−(1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−4−シアノピラゾール−5−イル)アセトアミド(2.5g)をアセトニトリル(8ml)に溶かし、炭酸カリウム(1.3g)を加え攪拌を行った。そこへ、3−クロロ−2−メチル−1−プロペン(0.8g)を加え、8時間加熱還流を行った。反応終了後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で精製した。精製した化合物(1.3g)をエタノール(3ml)に溶かし、水酸化ナトリウム(0.14g)と水(1ml)を加え、室温で1日反応を行った。反応終了後、反応液に水を加え、析出した固体をイソプロピルエーテルで洗浄し、目的物(0.8g)を得た。
実施例2.1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−5−(2−クロロプロプ−2−エニルアミノ)ピラゾール−4−カルボニトリルの製法(化合物2)
5℃に冷却した無水酢酸(33.7g)に蟻酸(18.4g)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間攪拌を行った(反応液A)。別途、5−アミノ−1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)ピラゾール−4−カルボニトリル(26.3g)をアセトニトリル(200ml)に溶かし、攪拌を行った。そこへ、先程調整した反応液Aをゆっくりと滴下し、室温で1日、60℃で4時間反応を行った。その後、溶媒を減圧濃縮し、炭酸カリウム水溶液を用いて中和し、析出した固体を水で洗浄し、乾燥した後、N−(1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−4−シアノピラゾール−5−イル)ホルムアミド(28g)を得た。
得られたN−(1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−4−シアノピラゾール−5−イル)ホルムアミド(1.5g)をアセトニトリル(5ml)に溶かし、炭酸カリウム(0.8g)を加え、攪拌を行った。そこへ、2,3−ジクロロ−1−プロペン(0.6g)をゆっくりと滴下し、40℃
で3時間反応を行い、反応終了後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で精製し、N−(1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−4−シアノピラゾール−5−イル)−N−(2−クロロプロプ−2−エニル)ホルムアミド(1.73g)を得た。
得られたN−(1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジ−2−イル)−4−シアノピラゾール−5−イル)−N−(2−クロロプロプ−2−エニル)ホルムアミド(1.73g)をエタノール(5ml)に溶かし、10%塩酸(6.9g)を加え、室温で3時間攪拌を行った。反応終了後、反応液に水を加え析出した固体を濾取し、乾燥した後、目的物(4.1g)を得た。
実施例3.(N−1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−4−シアノピラゾール−5−イル)−N−(2−クロロプロプ−2−エニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミドの製法(化合物3)
1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)−5−(2−クロロプロプ−2−エニル)ピラゾール−4−カルボニトリル(0.7g)をアセトニトリル(5ml)に溶かし、そこへトリフルオロ酢酸無水物(1.3g)をゆっくりと滴下した。40℃で7日攪拌し、反応液に飽和水素化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4:1)で精製し、目的物(0.4g)を得た。
出発材料である式(II)はWO93/10100及びWO94/08999に従い合成した。
以下の表に挙げる実施例は上記の方法と同様にして製造したか、または上記の方法と同様にして得られる。
製剤実施例
1.粉剤
式(I)の化合物 10重量部
タルク 90重量部
を混合しハンマーミルで微粉砕することにより得られる。
2.水和剤
式(I)の化合物 10重量部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩 22.5重量部
ホワイトカーボン 67.5重量部
を混合し、この混合物をハンマーミルで微粉砕することにより得られる。
3.フロアブル剤
式(I)の化合物 10重量部
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩 10重量部
ベントナイト 5重量部
エチレングリコール 5重量部
水 70重量部
を混合し、湿式粉砕機を用いて粉砕することによりフロアブル剤が得られる。
4.乳剤
式(I)の化合物 15重量部
エトキシル化ノニルフェノール 10重量部
シクロヘキサノン 75重量部
を混合することにより乳剤が得られる。
5.粒剤
式(I)の化合物 5重量部
リグニンスルホン酸カルシウム 3重量部
ポリカルボン酸塩 3重量部
炭酸カルシウム 89重量部
を混合し、水を加えて混練後押出し造粒する。その後乾燥、整粒することにより粒剤が得られる。
<生物試験実施例>
1.水田除草試験
1/10000アールのポットに水田土壌を充填し、適量の水と化学肥料を加えて混練し、ノビエ、コナギ及びホタルイの種子を播種し、水深3cmの湛水状態を保った。
製剤例に準じて調整した表1に示す目的化合物(I)の水和剤を適量の水で希釈し、ノビエ3.5葉期に2.0葉期のイネを移植し、アール当たり所定の薬量となるようにピペットを用いて滴下処理した。
そして平均気温30℃のガラス室で30日間管理した後に、それらの除草効果を調査した。
除草効果の評価は、無処理区の状態と生育阻害率(%)を比較し、薬害の評価は完全除草区の状態と生育阻害率(%)を比較して以下の11段階で示した。
0(指数):0%〜10%未満(生育抑制率)、
1:10%以上〜20%未満、
2:20%以上〜30%未満、
3:30%以上〜40%未満、
4:40%以上〜50%未満、
5:50%以上〜60%未満、
6:60%以上〜70%未満、
7:70%以上〜80%未満、
8:80%以上〜90%未満、
9:90%以上〜100%未満、
10:100%
その結果を、表2に示す。
対照剤4.59(WO94/08999記載)
対照剤4.75(WO94/08999記載)
対照剤4.85、4.156(WO94/08999記載)
対照剤4.239(WO94/08999記載)
2.畑作土壌処理試験
1/6000アールのポットに畑土壌を充填し、メヒシバ、シロザ、アオビユの種子を播種して覆土した。
製剤例に準じて調製した表1に示す式(I)の化合物の水和剤を所定の薬量になるように水で希釈し、播種後雑草発生前にアール当たり10リットルの散布水量で各土壌表層に均一に噴霧処理した。
そして平均気温30℃のガラス室で30日間管理した後に、それらの除草効果を調査した。
除草効果の評価は、前記試験例1と同様に行った。
その結果を表3に示す。
3.畑作茎葉処理試験
1/6000アールのポットに培土を充填し、メヒシバ、シロザ、アオビユ、の種子を播種して覆土し、平均気温25℃のガラス室で栽培した。
メヒシバが1.0〜2.0葉期に生育した時期に、製剤例に準じて調製した表1に示す
目的化合物(I)の水和剤を所定の薬量になるように水で希釈し、アール当たり15リットルの散布水量で雑草上に均一に噴霧処理した。
そして平均気温25℃のガラス室で3週間管理した後に、それらの除草効果を調査した。
除草効果の評価は前記試験例1と同様に行った。
その結果を表4に示す。
本発明によると、本発明の式(I)の化合物は望ましくない植物に対して、優れる防除効果を有することから、有害植物防除剤として有用である。

Claims (8)

  1. 次式(I):
    式中
    1塩素原子または臭素原子を表わし、
    2はシアノ基またはニトロ基を表わし、
    3は水素原子、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基またはヘプタフルオロブテニル基を表わし、
    4、R5およびR6は、同一でも異なっていてもよく、
    (i)1個若しくはそれ以上の水素原子、
    (ii)1個若しくはそれ以上のハロゲン原子、
    (iii)1個若しくはそれ以上のハロゲン原子によって場合により置換された1個若しくはそれ以上のC1〜C6アルキル基、
    (iv)1個若しくはそれ以上のハロゲン原子によって場合により置換された1個若しくはそれ以上のC3〜C6シクロアルキル基、
    (v)1個若しくはそれ以上のハロゲン原子によって場合により置換された1個若しくはそれ以上のC1〜C6アルコキシ−C1〜C6アルキル基、または
    (vi)1個またはそれ以上のハロゲン原子若しくはニトロ基若しくはシアノ基、または1個若しくはそれ以上のハロゲン原子によって場合により置換された1個若しくはそれ以上のC1〜C4アルキル基若しくは1個若しくはそれ以上のC1〜C4アルコキシ基によって、場合により置換されたフェニル基を表わし、
    aはを表わし、かつ
    bは〜2を表わす、
    で示される化合物であって、
    ただし、R 3、R4、R5およびR6が水素原子を表し、かつ、bが1である化合物を除く、化合物。
  2. 請求項1に記載の化合物であって
    4 、R5およびR6が、同一でも異なっていてもよく、
    (i)1個若しくはそれ以上の水素原子、
    (ii)1個若しくはそれ以上のハロゲン原子、または
    (iii)1個若しくはそれ以上のハロゲン原子によって、場合により置換された1個若しくはそれ以上のC1〜C6アルキル基、1個若しくはそれ以上のC3〜C6シクロアルキル基、1個若しくはそれ以上のC3〜C6アルコキシC1〜C6アルキル基、または1個若しくはそれ以上のフェニル基を表わし、かつ
    aが4を表わす、化合物。
  3. 請求項1に記載の化合物であって、
    1が塩素原子を表わし、
    2がシアノ基を表わし、
    4、R5およびR6が同一でも異なっていてもよく、
    (i)1個若しくはそれ以上の水素原子、
    (ii)1個若しくはそれ以上のハロゲン原子、または
    (iii)1個若しくはそれ以上のハロゲン原子によって場合により置換された1個もしくはそれ以上のC1〜C6アルキル基を表わし、かつ
    bは1を表わす、化合物。
  4. 請求項1、2または3に記載の化合物の少なくとも1つの除草有効量を含む、除草剤組成物。
  5. 処方助剤をさらに含む、請求項4に記載の除草剤組成物。
  6. 請求項1、2または3に記載の化合物の少なくとも1つの有効量を望ましくない植物または望ましくない植生の場所に施用する工程を含む、望ましくない植物の防除方法。
  7. 請求項4または5に記載の有効量を除草剤組成物を望ましくない植物または望ましくない植生の場所に施用する工程を含む、望ましくない植物の防除方法。
  8. 請求項1、2または3に記載の化合物の望ましくない植物の防除用除草剤組成物を調製するための使用。
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